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特許7149838食器用液体洗浄剤組成物及び食器の洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】食器用液体洗浄剤組成物及び食器の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/14 20060101AFI20220930BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20220930BHJP
   C11D 1/28 20060101ALI20220930BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20220930BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20220930BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20220930BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
C11D1/14
C11D1/29
C11D1/28
C11D1/75
C11D3/386
A47L15/42 Z
C11D17/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018240281
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020100745
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】森山 洋匡
(72)【発明者】
【氏名】永盛 明日香
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035251(JP,A)
【文献】特表2018-517820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:2級アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩及び下記式(a1-1)で表される化合物から選ばれる1種以上の(a1)成分を含むアニオン界面活性剤と、
(B)成分:アミンオキシド型界面活性剤と、
(C)成分:プロテアーゼと、
(D)成分:アミラーゼと、
を含有し、
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.7~2であり、
前記(a1)成分/(前記(C)成分+前記(D)成分)で表される質量比が3~20である、食器用液体洗浄剤組成物。
【化1】
[式(a1-1)中、RとRは、独立して、炭素数1~8のアルキル基であり、RとRとの合計炭素数は、6~16であり、Rは、水素を表す。POはプロピレンオキシ基を表す。
EOはエチレンオキシ基を表す。pは、POの平均繰り返し数を表し、qは、EOの平均繰り返し数を表し、p+qは0~10である。Mは、対イオンであり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアンモニウムから選ばれる1種である。]
【請求項2】
前記(a1)成分/前記(A)成分で表される質量比は、0.05~1である、請求項1に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(C)成分/前記(D)成分で表される質量比は、0.2~20である、請求項1又は2に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(a2)成分:前記(a1)成分以外のアニオン界面活性剤、を含有し、前記(a2)成分/(前記(a1)成分+前記(C)成分+前記(D)成分)で表される質量比が、0.4~5である、請求項1~3のいずれか一項に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
(E)成分:下記(e1)式で表される化合物をさらに含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【化2】
[式(e1)中、AOはエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基の双方もしくは一方を表す。mはAOの平均繰返し数を表し、6~12の数である。xとyはそれぞれ1~6の整数であり、6≦x+y≦12である。]
【請求項6】
前記(E)成分/(前記(A)成分+前記(B)成分)で表される質量比は、0.01~5である、請求項5に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
(前記(a1)成分+前記(C)成分+前記(D)成分)/(前記(A)成分+前記(B)成分+前記(E)成分)で表される質量比が、0.1~0.2である請求項5又は6に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の液体洗浄剤組成物0.01~50質量%を含む洗浄液に、食器を5分間~10時間浸漬した後、前記食器を洗浄具で擦るか又は擦らずに、前記食器を前記洗浄液から取り出し、取り出した前記食器を浄水ですすぐ、食器の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器用液体洗浄剤組成物及び食器の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
台所用品である食器や調理器具(以下、総じて食器ということがある)を洗浄する方法としては、非浸漬法と浸漬法とがある。非浸漬法は、スポンジ等の洗浄具に食器用液体洗浄剤組成物を付け、洗浄具で洗浄対象を擦る方法である。浸漬法は、食器用液体洗浄剤組成物を水に分散して洗浄液とし、この洗浄液に洗浄対象を浸漬し、その後、洗浄対象を濯ぐ方法である。浸漬法においては、洗浄液中で、洗浄対象を洗浄具で擦ることもある。
【0003】
浸漬法及び非浸漬法のいずれにおいても、食器用液体洗浄剤組成物には、優れた洗浄力が求められている。
例えば、特許文献1には、特定のノニオン界面活性剤と、特定のアニオン界面活性剤と、半極性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種と、を特定の割合で含有する食器洗い用液体洗浄剤が提案されている。特許文献1の発明によれば、油汚れに対する洗浄力の向上が図られている。
また、特許文献2には、特定の分岐型アルキル基を有する化合物と、特定のアニオン界面活性剤と、アミンオキシド型界面活性剤、両性界面活性剤及びアルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる界面活性剤と、酵素と、酵素安定剤とを特定比率で含有する液体洗浄剤組成物が提案されている。特許文献2の発明によれば、漬け置き洗浄における洗浄力の向上が図られている。
あるいは、特許文献3には、ジアルキルスルホスクシネートと、直鎖アミンオキシドと、アルキル又はヒドロキシアルキルのスルフェート又はスルフォネート類とを特定量で含有する液体洗浄剤組成物が提案されている。特許文献3の発明によれば、低温での油汚れに対する洗浄力の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-8276号公報
【文献】特開2005-325281号公報
【文献】特表2008-507611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、油とタンパクとデンプンとの複合物のような強固な汚れに対する洗浄力が、未だ満足できるものではなかった。加えて、食器用液体洗浄剤組成物には、素早く泡立ちかつ泡立ちが持続することが求められ、かつ排水口に泡が残らないこと(良好な消泡性)が求められる。
そこで、本発明は、高い洗浄力を有し、かつ消泡性に優れる食器用液体洗浄剤組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1](A)成分:2級アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩及び下記式(a1-1)で表される化合物から選ばれる1種以上の(a1)成分を含むアニオン界面活性剤と、
(B)成分:アミンオキシド型界面活性剤と、
(C)成分:プロテアーゼと、
(D)成分:アミラーゼと、
を含有し、
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.7~2である、食器用液体洗浄剤組成物。
【化1】
[式中、RとRは、独立して、炭素数1~8のアルキル基であり、RとRとの合計炭素数は、6~16であり、Rは、水素を表す。POはプロピレンオキシ基を表す。EOはエチレンオキシ基を表す。pは、POの平均繰り返し数を表し、qは、EOの平均繰り返し数を表し、p+qは0~10である。Mは、対イオンであり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアンモニウムから選ばれる1種である。]
[2]前記(a1)成分/前記(A)成分で表される質量比は、0.05~1である、[1]に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
[3]前記(a1)成分/(前記(C)成分+前記(D)成分)で表される質量比は、0.4~165である、[1]又は[2]に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
[4]前記(C)成分/前記(D)成分で表される質量比は、0.2~20である、[1]~[3]のいずれかに記載の食器用液体洗浄剤組成物。
[5](E)成分:下記(e1)式で表される化合物をさらに含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【化2】
[6]前記(E)成分/(前記(A)成分+前記(B)成分)で表される質量比は、0.01~5である、[5]に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【0007】
[7](前記(a1)成分+前記(C)成分+前記(D)成分)/(前記(A)成分+前記(B)成分+前記(E)成分)で表される質量比は、0.03~1である、[5]又は[6]に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
[8]前記(A)成分は、前記(a1)成分以外の(a2)成分を含有し、前記(a2)成分/(前記(a1)成分+前記(C)成分+前記(D)成分)であらわあれる質量比は、0.1~10である、[1]~[7]のいずれかに記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【0008】
[9][1]~[8]のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物0.01~50質量%を含む洗浄液に、食器を5分間~10時間浸漬した後、前記食器を洗浄具で擦るか又は擦らずに、前記食器を前記洗浄液から取り出し、取り出した前記食器を浄水ですすぐ、食器の洗浄方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の食器用洗浄剤組成物によれば、洗浄力と消泡性との向上を図れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(食器用液体洗浄剤組成物)
本発明の食器用液体洗浄剤組成物(以下、単に「液体洗浄剤組成物」ということがある)は、下記(A)~(D)成分を含有する組成物である。
(A)成分:2級アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩及びポリオキシエチレンガーベット型アルキルエステル硫酸塩から選ばれる1種以上の(a1)成分を含むアニオン界面活性剤。
(B)成分:アミンオキシド型界面活性剤。
(C)成分:プロテアーゼ。
(D)成分:アミラーゼ。
【0011】
液体洗浄剤組成物は、いわゆる手洗いの液体洗浄剤である。
液体洗浄剤組成物のpH(25℃)は、6~9が好ましく、6~8がより好ましい。
液体洗浄剤組成物のpH(25℃)は、pHメーターを用い、JIS Z8802-2011に準拠した方法により測定される値である。
【0012】
液体洗浄剤組成物の粘度(25℃)は、例えば、10~2000mPaが好ましい。液体洗浄剤組成物の粘度は、B型粘度計を用い、下記条件で測定した値である。
≪測定条件≫
・ローター:3番ローター(1000mPa・s未満の場合)又は4番ローター(1000mPa・s以上の場合)。
・回転数:60rpm。
・測定温度:25℃。
・粘度の読み取り:ローターの回転開始30秒後。
【0013】
<(A)成分:アニオン界面活性剤>
(A)成分は、アニオン界面活性剤であり、特定のアニオン界面活性剤である(a1)成分を含有する。液体洗浄剤組成物は、(A)成分を含有することで、洗浄力、起泡性及び消泡性を高められる。
【0014】
≪(a1)成分≫
(a1)成分は、2級アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、式(a1-1)で表される化合物((a1-1)成分)から選ばれる1種以上である。
【0015】
(a1)成分の塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカノールアンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカノールアンモニウム塩としては、モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩等が挙げられる。
【0016】
本発明の効果が得られやすいことから、(a1)成分の炭化水素基は、炭素数8~18のアルキル基又は炭素数8~18のアルケニル基が好ましく、炭素数8~18のアルキル基がより好ましい。また、(a1)成分としては、2級アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩が好ましく、2級アルカンスルホン酸塩がより好ましい。
【0017】
これらの(a1)成分は、親水基(SO基、SO基)を中心に疎水基として炭素数2以上の2つの炭化水素基を有する(2級アルキル、ジアルキル型、分岐アルキル型)点で共通する。このような構造を有するアニオン界面活性剤を(B)成分、(C)成分及び(D)成分と併用することにより、優れた泡立ちと優れた消泡性を発現するものと考えられる。
【0018】
[2級アルカンスルホン酸塩]
2級アルカンスルホン酸塩としては、炭素数14~17の2級アルカンスルホン酸ナトリウムの混合物が好ましい。
市販品としては、クラリアントジャパン社製「HOSTAPUR SAS30A」(商品名)、バイエル社製「MERSOLATE H-95」(商品名)、花王株式会社製「ラムテルPS」(商品名)等が挙げられる。
【0019】
[ジアルキルスルホコハク酸塩]
ジアルキルスルホコハク酸塩としては、ジ(2-エチルヘキシル)ソジウムスルホサクシネート、ジ(1,3-ジメチルブチル)ソジウムスルホサクシネート、ジシクロヘキシルソジウムスルホサクシネート、ジ(1-メチルヘプチル)ソジウムスルホサクシネート、ジ(モノオキシエチレン-2-エチルヘキシル)ソジウムスルホサクシネート、ジイソデシルソジウムスルホサクシネート等が挙げられる。
市販品としては、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(商品名「リパール870P」)や花王株式会社製の「ペレックス」(商品名)等が挙げられる。
【0020】
[(a1-1)成分]
(a1-1)成分は、下記式(a1-1)で表される化合物であり、いわゆる分岐型アルキル基を有するアニオン性界面活性剤である。
【0021】
【化3】
【0022】
式(a1-1)中、RとRは、独立して、炭素数1~8のアルキル基であり、炭素数2~7のアルキル基が好ましい。式(a1-1)中、RとRとの合計炭素数は、6~16であり、6~14が好ましく、8~10がより好ましく、8が特に好ましい。Rは、水素である。
[Rの炭素数]と[Rの炭素数]との割合は、[Rの炭素数]:[Rの炭素数]=2:6~6:2が好ましく、3:5~5:3がより好ましい。
【0023】
POはプロピレンオキシ基を表す。EOはエチレンオキシ基を表す。
pは、POの平均繰り返し数(即ち、プロピレンオキシドの平均付加モル数)を表す数である。qは、EOの平均繰り返し数(即ち、エチレンオキシドの平均付加モル数)を表す数である。
p+qは0~10であり、1~10が好ましい。EOとPOが両者存在する場合、それらの配列状態は問わない。即ち、EOとPOとは、ランダム重合でもよいし、ブロック重合でもよい。
Mは、対イオンであり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアンモニウムから選ばれる1種である。
【0024】
(a1-1)成分は、ガーベット反応による2分子縮合で得られるものが好ましく、β位に分岐構造を有するアルコールのアルキレンオキシド付加物の硫酸化物(ガーベット型AES)であることがより好ましい。
ガーベット型AESは、ガーベットアルコールのアルキレンオキシド付加物を硫酸化した後、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニウム又はアルカノールアミン等で中和することにより製造できる。硫酸化する方法としては、例えば、槽型反応方式、フィルム型反応方式、管型気液混相流反応方式等を用いて、ガーベットアルコールのアルキレンオキシド付加物を液体無水硫酸と混合するか又はSOガスと接触させる方法が挙げられる。
これらの(a1)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0025】
(a1)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~10質量%が好ましく、1.5~8質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。
(a1)成分の含有量が上記上限値以下であると、浸漬法の洗浄液をスポンジに取った際の泡立ちが良好(洗浄液の起泡性が高い)となり、消泡性をさらに高められる。(a1)成分の含有量が上記下限値以上であると、浸漬法における洗浄力をさらに高め、消泡性をより高められる。
【0026】
液体洗浄剤組成物中、(a1)成分/(A)成分で表される質量比(a1/A)比は、0.05~1が好ましく、0.1~0.7がより好ましく、0.2~0.5がさらに好ましい。a1/A比が上記下限値以上であれば、液の均一性をさらに高め、洗浄液の起泡性及び消泡性をさらに高められる。a1/A比が上記上限値以下であれば、消泡性をさらに高められる。「液の均一性」は、液体洗浄剤組成物に沈殿、白濁、分離、ゲル化を生じにくい性質をいう。
【0027】
≪(a2)成分≫
(A)成分は、(a1)成分以外のアニオン界面活性剤((a2)成分)を含有してもよい。
(a2)成分としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、直鎖のアルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸塩(石けん)等が挙げられる。
塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカノールアンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカノールアンモニウム塩としては、モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩等が挙げられる。
【0028】
[直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩]
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ベンゼン環に結合する直鎖アルキル基の炭素数は、10~18が好ましく、12~14がより好ましい。
塩の形態としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0029】
[α-オレフィンスルホン酸塩]
α-オレフィンスルホン酸塩のアルキル基の平均炭素数は、10~18が好ましく、12~14がより好ましい。塩の形態としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0030】
[ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩]
ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩としては、下記式(a2-1)で表される化合物が挙げられる。
【0031】
10-O-(EO)-SOM ・・・(a2-1)
【0032】
[式(a2-1)中、R10は、炭素数8~18の直鎖アルキル基である。R10-O-における酸素原子に結合している炭素原子は第1級炭素原子である。EOは、エチレンオキシ基を表す。nはエチレンオキシ基の平均繰返し数を示し、0<n≦4である。Mは、水素イオン以外の陽イオンである。]
【0033】
式(a2-1)中、R10の炭素数は、8~18であり、10~14が好ましく、12~14がより好ましい。
10としては、洗浄力向上及び環境負荷低減の点から、油脂原料由来のアルキル基であることが好ましい。好適な油脂原料としては、パーム核油、ヤシ油等が挙げられる。
式(a2-1)中、Mは、水溶性の塩を形成し得るものであればよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又はアルカノールアンモニウムが挙げられる。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。アルカノールアンモニウムとしては、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等が挙げられる。Mがアルカリ土類金属の場合、アルカリ土類金属イオンは、陰イオン(R10-O-(EO)-SO )1モルに対して0.5モルとなる。
【0034】
[高級脂肪酸塩]
高級脂肪酸塩は、アシル基の炭素数10~20の高級脂肪酸塩が挙げられ、アシル基の炭素数10~16の高級脂肪酸塩が好ましい。塩の形態としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0035】
(a2)成分としては、炭素数12~14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシプロピレン(0.4)ポリオキシエチレン(1.5)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記の中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩が好ましい。
ここで、例えば「ポリオキシエチレン(1)」とは、エチレンオキシ基の平均繰返し数が1(エチレンオキシドの平均付加モル数が1)であることを意味する。
「アルキル(C12)」とは、アルキル基の炭素数が12であることを意味する。
「C12/14=75/25;天然油脂由来」とは、炭素数12の直鎖アルキル基を有する化合物と、炭素数14の直鎖アルキル基を有する化合物と、の質量比で75/25の混合物であること、及び天然油脂由来の直鎖のアルキル基であることを意味する。
これらの(a2)成分は、1種を単独でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。
【0036】
(a2)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~28質量%が好ましく、5~18質量%がより好ましく、7~12質量%がさらに好ましい。(a2)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄液の起泡性を高め、洗浄力をさらに高められる。(a2)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の液の均一性が保たれやすく、消泡性をさらに高められる。
【0037】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~30質量%が好ましく、7~20質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が、上記下限値以上であれば、洗浄液の起泡性を高め、洗浄力をさらに高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の液の均一性をより高め、消泡性をさらに高められる。
【0038】
<(B)成分:アミンオキシド型界面活性剤>
(B)成分は、アミンオキシド型界面活性剤である。(A)成分と(B)成分とを併有することにより、液体洗浄剤組成物における油汚れに対する洗浄力を高め、良好に泡立てられる。
「アミンオキシド型界面活性剤」は、例えばアルキルアミンオキシド、アルカノイルアミドアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
好ましいアミンオキシド型界面活性剤としては、下記式(b1)で表される化合物が挙げられる。
【0039】
【化4】
【0040】
[式(b1)中、Rは、炭素数8~18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~18の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基を表す。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。Rは、炭素数1~4のアルキレン基を表す。Bは-CONH-、-NHCO-、-COO-、-OCO-又は-O-である。rは、0又は1である。]
【0041】
式(b1)中、Rにおける炭素数は、8~18であり、10~14が好ましい。Rは、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は、直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基であり、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基が好ましい。
式(b1)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。中でも、R及びRがいずれもメチル基であることがさらに好ましい。
式(b1)中、Rの炭素数は、1~4であり、1~3が好ましく、3がより好ましい。
式(b1)中、Bは、-CONH-、-NHCO-、-COO-、-OCO-又は-O-であり、-CONH-が好ましい。
式(b1)中、rは、0又は1であり、0が好ましい。
【0042】
(B)成分としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、式(b1)中、rが0である化合物が好ましく、ラウリルジメチルアミンオキシドがより好ましい。
(B)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0043】
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、2~20質量%が好ましく、6~13質量%がより好ましく、8~10質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力及び起泡性をさらに高められる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液の均一性及び消泡性をさらに高められる。
【0044】
液体洗浄剤組成物において、(A)成分/(B)成分で表される質量比(A/B比)は0.7~2であり、1~2が好ましく、1.1~1.5がより好ましい。A/B比が上記下限値以上であれば、洗浄力、起泡性及び消泡性をさらに高められる。A/B比が上記上限値以下であれば、洗浄力及び消泡性をさらに高められる。
【0045】
<(C)成分:プロテアーゼ>
(C)成分は、プロテアーゼである。(C)成分としては、セリンプロテアーゼのように、分子内にセリン、ヒスチジン及びアスパラギン酸を有するプロテアーゼが好ましい。
プロテアーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L、Coronase Evity 48L及びProgress Uno100L、ジェネンコア社から入手できる商品名Purafect L、Purafect OX及びProperase L等が挙げられる。
【0046】
液体洗浄剤組成物における(C)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.01~2質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましく、0.01~0.6質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、浸漬法における洗浄力のさらなる向上を図れる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液の均一性のさらなる向上を図れる。
なお、(C)成分の含有量は、製剤としての配合量である。
【0047】
また、液体洗浄剤組成物1g当たりのプロテアーゼ活性Ep(kPU/g)は、0.1~40(kPU/g)が好ましく、0.1~20(kPU/g)がより好ましく、0.1~12(kPU/g)がさらに好ましい。
【0048】
[プロテアーゼ活性]
プロテアーゼ活性は、例えば、以下の方法で測定される。
本明細書において「プロテアーゼ活性単位(PU)」とは、タンパク分子中のペプチド結合を加水分解する活性の単位を表す。
なお、カゼイン中のチロシンを1分間に1μg遊離させる活性が、1PUである。
【0049】
≪液体洗浄剤組成物1g当たりのプロテアーゼ活性Epの測定方法≫
1)カゼイン基質溶液の調製
カゼイン(由来:Bovine Milk、メルク社製)基質0.6gを20mM四ホウ酸ナトリウム(関東化学社製)溶液に溶解する。これを1N水酸化ナトリウム(1mol/L水酸化ナトリウム溶液、関東化学社製)でpH10.5に調整する。次いで、20mM四ホウ酸ナトリウム溶液で100mLに定容することにより、カゼイン基質溶液を調製する。
【0050】
2)液体洗浄剤組成物1g当たりのプロテアーゼ活性の測定
プロテアーゼを配合していない液体洗浄剤組成物を調製し、この液体洗浄剤組成物1.0gをイオン交換水に溶解して1Lに定容し、プロテアーゼを配合していない洗浄剤水溶液aを得る。別途、プロテアーゼを配合した液体洗浄剤組成物を調製し、この液体洗浄剤組成物1.0gをイオン交換水に溶解して1Lに定容して、プロテアーゼを配合した洗浄剤水溶液bを得る。
洗浄剤水溶液a及びbをそれぞれ別々の試験管(φ15mm、長さ105mm)に0.5mL採取する。これらの試験管を35℃の恒温槽に5分間浸漬する。次いで、各試験管に35℃のカゼイン基質溶液2.5mLを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、35℃の恒温槽に戻して反応を開始する。
反応開始から10分後、各試験管に、酵素反応停止剤のTCA溶液(0.11mol/Lトリクロロ酢酸、0.22mol/L酢酸ナトリウム、0.33mol/L酢酸(いずれも特級、関東化学社製))2.5mLを添加した後、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、20℃で30分間静置する。その後、析出する未反応の基質を、ろ紙(アドバンテック社製のNo.131等)にてろ過し、チロシンを含有するろ液を回収する。回収したろ液における波長275nmの吸光度を紫外可視分光光度計(島津製作所社製のUV-160等)で測定する。次いで、洗浄剤水溶液bの吸光度と洗浄剤水溶液aの吸光度との差を求める。この差を、プロテアーゼを含有する液体洗浄剤組成物bの吸光度値とする。
そして、チロシン(特級、関東化学社製)のTCA溶液で作成した検量線を基にして、チロシン濃度を算出し、液体洗浄剤組成物1g当たりのプロテアーゼ活性(PU)を算出する。
【0051】
≪プロテアーゼ1g当たりの活性の測定方法≫
(C)成分(プロテアーゼ酵素製剤)1g当たりの活性は、例えば、以下の方法で測定される値である。
プロテアーゼ酵素製剤0.1gをイオン交換水に溶解し100mLに定容する。この酵素溶液1mLをイオン交換水に溶解して100mLに定容することにより、濃度0.001質量%のプロテアーゼ酵素製剤水溶液を調製する。
このプロテアーゼ酵素製剤水溶液0.5mLをφ15mm、長さ105mmの試験管に分取し、このプロテアーゼ酵素製剤水溶液入りの試験管を、35℃の恒温槽に5分間浸漬する。その後、試験管に、カゼイン基質溶液2.5mLを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌した後、35℃の恒温槽に戻し、10分間静置して酵素反応を進める。
その後、試験管に、酵素反応停止剤のTCA溶液(0.11mol/Lトリクロロ酢酸、0.22mol/L酢酸ナトリウム、0.33mol/L酢酸(いずれも特級、関東化学社製))2.5mLを添加した後、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、20℃で30分間静置する。その後、ろ紙(アドバンテック社製のNo.131等)にてろ過し、チロシンを含有するろ液を回収する。
回収したろ液における波長275nmの吸光度を紫外可視分光光度計(島津製作所社製のUV-160等)で測定する。そして、チロシン(特級、関東化学社製)のTCA溶液で作成した検量線を基にして、チロシン濃度を算出し、(C)成分1g当たりのプロテアーゼ活性(PU)を算出する。
【0052】
<(D)成分:アミラーゼ>
(D)成分は、アミラーゼである。(D)成分としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L及びAmplifyPrime 100L、ジェネンコア社から入手できる商品名Maxamyl、天野エンザイム株式会社から入手できる商品名プルラナーゼアマノ、生化学工業株式会社から入手できる商品名DB-250等が挙げられる。
【0053】
(C)成分と(D)成分は1つの酵素製剤に組み込まれていてもよい。例えば、(C)成分及び(D)成分を含有する酵素製剤として、Medley Core 210L(商品名、ノボザイムズ社製)等を好適に使用することができる。
【0054】
液体洗浄剤組成物における(D)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.01~1質量%が好ましく、0.01~0.8質量%がより好ましく、0.01~0.6質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であれば、浸漬法における洗浄力のさらなる向上を図れる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液の均一性のさらなる向上を図れる。
なお、(D)成分の含有量は、製剤としての配合量である。
【0055】
また、液体洗浄剤組成物1g当たりのアミラーゼ活性Ea(kAU/g)は、0.035~3.5(kAU/g)が好ましく、0.035~2.8(kAU/g)がより好ましく、0.035~2.1(kAU/g)がさらに好ましい。
【0056】
[アミラーゼ活性]
アミラーゼ活性は、例えば、以下の方法で測定される。
本明細書において「アミラーゼ活性単位(AU)」とは、α-アミラーゼが、澱粉中のα-1,4-グルコシド結合を加水分解する活性である。アミラーゼ活性単位(AU)は、既知活性の標準酵素「ファデバスヒトα-アミラーゼコントロール」により作成された吸光度検量線(試薬付属)から換算した値である。なお、1U/Lが1AUである。
【0057】
≪液体洗浄剤組成物1g当たりのアミラーゼ活性Eaの測定方法≫
液体洗浄剤組成物1g当たりのアミラーゼ活性Eaは、例えば、以下の方法で測定される値である。アミラーゼ活性Eaは、「ファデバス アミラーゼテスト」(Magle Life Sciences社製)を用いて測定される。
【0058】
検量線の作成には、各濃度に希釈した標準酵素液を用いる。標準酵素液を入れた試験管を37℃の恒温槽で5分間加温する。次いで、この試験管に、基質である青色澱粉ポリマーに一定量の牛血清アルブミンを含有した錠剤1錠を加える。錠剤が崩壊するまで混和し、37℃の恒温槽で30分間正確に保温し酵素反応を行う。0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液1mLを加えて、酵素反応を停止させた後、遠心分離(1500G、5分間)を行い、上清の吸光度を波長620nmで測定することで検量線を得る。
【0059】
リン酸二水素カリウム2.59g、リン酸二ナトリウム12水和物29.01g、亜硫酸ナトリウム10g、塩化カルシウム2水和物1.322g、トリヒドロキシメチルアミノメタン0.11gをイオン交換水で1.1Lとした混合液を緩衝液とする。
アミラーゼを配合していない液体洗浄剤組成物を調製し、この液体洗浄剤組成物1.0gを緩衝液に溶解して1Lに定容して、アミラーゼを配合していない洗浄剤水溶液cを得る。別途、アミラーゼを配合した液体洗浄剤組成物を調製し、この液体洗浄剤組成物1.0gを緩衝液に溶解して1Lに定容して、アミラーゼを配合した洗浄剤水溶液dを得る。
洗浄剤水溶液c及びdを、それぞれ別々の試験管(φ15mm、長さ105mm)に1mL採取する。各試験管に37℃の緩衝液5mLを添加し、これらの試験管を37℃の恒温槽に10分間浸漬する。その後、各試験管にファデバスタブレットを一錠投入し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、再び37℃の恒温槽に戻して反応を開始する。
反応開始から15分後、各試験管に、酵素反応停止剤の1NのNaOH1mLを加えた後、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、20℃で30分間静置する。その後、ろ紙(アドバンテック社製のNo.131等)にてろ過し、ろ液を回収する。回収したろ液における波長620nmの吸光度を、紫外可視分光光度計(島津製作所社製のUV-160等)で測定する。次いで、洗浄剤水溶液cの吸光度と洗浄剤水溶液dの吸光度との差を求め、この差をアミラーゼを含有する液体洗浄剤組成物dの吸光度値とする。
そして、活性既知のアミラーゼ酵素で作成した検量線を基にして計算した濃度から、液体洗浄剤組成物1g当たりのアミラーゼ活性(AU)を算出する。
【0060】
≪アミラーゼ1g当たりの活性の測定方法≫
(D)成分(アミラーゼ酵素製剤)1g当たりの活性は、例えば、以下の方法で測定される値である。
アミラーゼ酵素製剤0.1gを緩衝液に溶解して100mLに定容する。この酵素溶液1mLをイオン交換水に溶解して100mLに定容することにより、濃度0.001質量%のアミラーゼ酵素製剤水溶液を調製する。
このアミラーゼ酵素製剤水溶液1mLをφ15mm、長さ105mmの試験管に分取し、37℃の緩衝液5mLを加える。これらの試験管を37℃の恒温槽に10分間浸漬した後、各試験管にファデバスタブレットを一錠投入し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、再び37℃の恒温槽に戻して反応を開始する。
反応開始から15分後、各試験管に、酵素反応停止剤である1NのNaOH1mLを添加した後、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、20℃で30分間静置する。その後、ろ紙(アドバンテック社製のNo.131等)にてろ過し、ろ液を回収する。回収したろ液における波長620nmの吸光度を、紫外可視分光光度計(島津製作所社製のUV-160等)を用いて測定する。
活性既知のアミラーゼ酵素で作成した検量線を基にして計算した濃度から、(D)成分1g当たりのアミラーゼ活性(AU)を算出する。
【0061】
液体洗浄剤組成物における(C)成分と(D)成分との合計量(CD合計量)は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.02~3質量%が好ましく、0.02~2質量%がより好ましく、0.02~1質量%がさらに好ましい。CD合計量が上記下限値以上であれば、洗浄力をさらに高め、消泡性をさらに高められる。CD合計量が上記上限値以下であると液の均一性のさらなる向上を図れる。
【0062】
液体洗浄剤組成物中、(C)成分/(D)成分で表される質量比(C/D比)は、0.2~20が好ましく、0.5~10がより好ましく、1~5がさらに好ましい。C/D比が上記範囲内であれば、汚れに含まれるタンパク質及び多糖を効率よく分解して、洗浄力をさらに高め、消泡性をさらに高められる。
【0063】
液体洗浄剤組成物におけるEp/Eaで表される酵素活性比(Ep/Ea比)は、1~350が好ましく、2.6~175がより好ましく、5~88がさらに好ましい。Ep/Ea比が上記範囲内であれば、汚れに含まれるタンパク質及び多糖を効率よく分解し、浸漬法における洗浄力をさらに高められる。
【0064】
液体洗浄剤組成物中、(a1)成分/((C)成分+(D)成分)で表される質量比(a1/(C+D))比は、0.4~165が好ましく、3~20がより好ましく、8~12がさらに好ましい。a1/(C+D)比が上記下限値以上であれば、液の均一性をさらに高め、洗浄液の起泡性及び消泡性をさらに高められる。a1/(C+D)比が上記上限値以下であれば、消泡性をさらに高められる。
【0065】
液体洗浄剤組成物中、(a2)成分/((a1)成分+(C)成分+(D)成分)で表される質量比(a2/(a1+C+D)比)は、0.1~10が好ましく、0.4~5がより好ましく、2.5~4がさらに好ましい。a2/(a1+C+D)比が上記範囲内であれば、洗浄力及び消泡性をさらに高められる。
【0066】
<(E)成分:分岐型ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤>
(E)成分は、分岐型ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤である。液体洗浄剤組成物は、(E)成分を含有することで、液の均一性をさらに高め、洗浄液の起泡性及び消泡性をさらに高められる。
【0067】
分岐型ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤は、下記(e1)式で表される化合物((e1)成分)が挙げられる。(e1)成分は、アルコールにエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基の双方もしくは一方が導入され、疎水部(炭化水素基)がβ位の炭素原子でC2y+1とC2y+1とに分岐した構造を有する。
【0068】
【化5】
【0069】
[式中、AOはエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基の双方もしくは一方を表す。mはAOの平均繰返し数を表し、6~12の数である。xとyはそれぞれ1~6の整数であり、6≦x+y≦12である。]
【0070】
式(e1)中、AOは、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基の双方もしくは一方である。中でも、AOは、エチレンオキシ基を含むものが好ましい。エチレンオキシ基を含むことで、洗浄液の起泡性及び消泡性をさらに高められる。この中でも、(AO)は、エチレンオキシ基のみからなるもの、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とが混在しているものであってエチレンオキシ基の方を多く含んでいるものがより好ましく、その中でもエチレンオキシ基のみからなるものが特に好ましい。
(AO)において、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とが混在している場合、これらはランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
【0071】
式(e1)中、mはAOの平均繰返し数を表し、6~12の数であり、8~11が好ましく、10がより好ましい。mが6以上であると、浸漬法における洗浄力をさらに高められる。mが12以下であると、非浸漬法における油汚れに対する洗浄力をさらに高められる。
なお、ここでのmは、AOの「平均」繰返し数を示している。したがって、一般式で表される化合物は、AOの繰返し数が異なる分子の集合体である。
式(a1)中、xとyは、それぞれ1~6の整数であり、6≦x+y≦12である。中でも、スポンジに汚れがより残りにくくなることから、6≦x+y≦10が好ましく、6≦x+y≦8がより好ましく、x+y=8が特に好ましい。x+yが6以上であれば、浸漬法における洗浄力をさらに高められる。x+yが12以下であれば、液体洗浄剤組成物の液の均一性をより高め、液体洗浄剤組成物が水に容易に溶解しやすく、浸漬法における洗浄力の効果がさらに安定に得られる。
【0072】
2x+1、C2y+1としては、それぞれ、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、直鎖のアルキル基であることが好ましく、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好適なものとして挙げられる。中でも、C2x+1とC2y+1との組合せは、エチル基とブチル基との組合せ、プロピル基とペンチル基との組合せ(以上、いずれの組合せも一方がどちらの基であってもよい)が好ましく、プロピル基とペンチル基との組合せ(一方がどちらの基であってもよい)が特に好ましい。
【0073】
上記のなかでも、(E)成分としては、ガーベット反応による2分子縮合で得られた、β位に分岐構造を有するアルコールのエチレンオキシド付加物が特に好ましい。
このような市販品としては、BASF社製のポリオキシエチレンモノ(2-プロピルへプチル)エーテルが挙げられる。具体的には、上記一般式(e1)におけるm=6の化合物である商品名「Lutensol XP60」、上記一般式(e1)におけるm=8の化合物である商品名「Lutensol XP80」、上記一般式(e1)におけるm=9の化合物である商品名「Lutensol XP90」、上記一般式(e1)におけるm=10の化合物である商品名「Lutensol XP100」が挙げられる。
また、(E)成分としては、日本乳化剤株式会社製のポリオキシエチレンモノ(2-エチルヘキシル)エーテルが挙げられる。具体的には、式(e1)におけるm=8の化合物である商品名「ニューコール1008」が挙げられる。
また、(E)成分としては、BASF社製のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(2-プロピルへプチル)エーテルも挙げられる。具体的には、式(e1)におけるm=9の化合物(エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とが混在したもの)である商品名「Lutensol XL90」、式(e1)におけるm=10の化合物(エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とが混在したもの)である商品名「Lutensol XL100」が挙げられる。
【0074】
(E)成分としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルがより好ましく、下記式(e2)で表される化合物((e2)成分)が好ましい。
【0075】
16-O-(R17O)-H ・・・(e2)
【0076】
式(e2)中、R16は、炭素数10~18の直鎖の炭化水素基又は炭素数10~18の分岐鎖の炭化水素基である。R17Oは、アルキレンオキシ基である。R17は、炭素数1~3の炭化水素基であり、好ましくはエチレン基、プロピレン基である。wは、R17Oの平均繰返し数を表し、1~20の数であり、好ましくは5~20の数であり、より好ましくは5~15の数である。(e2)成分の中でも、R16の炭素数が10~18、R17の炭素数が2又は3、wが5~20の数であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0077】
液体洗浄剤組成物における(E)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%が好ましく、2~12質量%がより好ましく、3~8質量%がさらに好ましい。(E)成分の含有量が、上記下限値以上であれば、液の均一性をさらに高め、起泡性及び消泡性をさらに高められる。(E)成分の含有量が上記上限値以下であれば、消泡性をさらに高められる。
【0078】
液体洗浄剤組成物中、(E)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比(E/(A+B)比)は、0.01~5が好ましく、0.05~2がより好ましく、0.1~1がさらに好ましい。E/(A+B)比が上記下限値以上であれば、液の均一性をさらに高められ、消泡性をさらに高められる。E/(A+B)比が上記上限値以下であれば、洗浄力をさらに高め、消泡性をさらに高められる。
【0079】
液体洗浄剤組成物中、((a1)成分+(C)成分+(D)成分)/((A)成分+(B)成分+(E)成分)で表される質量比((a1+C+D)/(A+B+E)比)は、0.03~1が好ましく、0.05~0.3がより好ましく、0.1~0.2がさらに好ましい。(a1+C+D)/(A+B+E)比が上記下限値以上であれば、液の均一性をさらに高め、消泡性をさらに高められる。(a1+C+D)/(A+B+E)比が上記上限値以下であれば、浄液の起泡性及び消泡性をさらに高められる。
【0080】
<任意成分>
本発明の洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した成分以外の任意成分を含有してもよい。
任意成分は、剤形等を勘案して適宜選択される。任意成分としては、(A)成分、(B)成分及び(E)成分を除く界面活性剤(任意界面活性剤)、溶媒、(C)~(D)成分を除く酵素(任意酵素)、防腐剤、ハイドロトロープ剤、無機ビルダー、pH調整剤、漂白成分、金属捕捉成分、ラジカルトラップ剤、香料、色素等、従来公知の成分が挙げられる。
【0081】
[溶媒]
液体洗浄剤組成物の溶媒としては、水が好ましい。水を溶媒として用いることで、液体洗浄剤組成物を調製しやすく、水への溶解性がより良好となる。
液体洗浄剤組成物における水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して75質量%以下が好ましく、40~70質量%がより好ましく、50~70質量%がさらに好ましい。
水の含有量が上記下限値以上であれば、ゲル化が抑制され、液の均一性をより高められる。水の含有量が上記上限値以下であれば、(A)~(D)成分の配合量を確保でき、かつ粘度が低くなりすぎず、さらに使用しやすくなる。
【0082】
任意酵素としては、例えば、カタラーゼが挙げられる。カタラーゼは、(B)成分に由来する残留過酸化水素を分解することができる。このため、液体洗浄剤組成物において、過酸化水素の影響を受けやすい(C)成分及び(D)成分の安定性を高められる。
カタラーゼの含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.001~1質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。なお、カタラーゼの含有量は、製剤としての配合量である。
【0083】
[カタラーゼ酵素製剤1g当たりの活性の測定方法]
本発明において、カタラーゼ1g当たりのカタラーゼ活性は、例えば、以下の方法で測定される。本明細書において「カタラーゼ活性単位(CU)」とは、過酸化水素を分解する活性の単位を表す。なお、過酸化水素を1分間に1μmol分解する活性を1CUとする。
リン酸二水素カリウム2.66g、リン酸水素二カリウム5.31g、イオン交換水950mLの混合液を、1Mの塩酸によりpH7.00に調整した後、1Lにメスアップしたものを緩衝液とする。
100mLのメスフラスコに過酸化水素(35質量%、三菱ガス化学社製)122μLを入れ、上記緩衝液でメスアップした希釈液を過酸化水素基質液とする。波長240nmにおける吸光度を紫外可視分光光度計(島津製作所社製のUV-160等)で測定する。これにより、緩衝液をブランクとした吸光度が0.53から0.55の範囲内であることを確認する。上記範囲外の場合は緩衝液又は過酸化水素を添加して上記範囲内となるよう調整する。緩衝液と基質液とを25℃の恒温水槽に30分以上静置して温度を一定にしておく。
【0084】
カタラーゼ酵素製剤0.17gを緩衝液に溶解して100mLに定容し、30分程度スターラーで攪拌し、カタラーゼ酵素製剤水溶液を調製する。
0.1mLのカタラーゼ酵素製剤水溶液と25℃の上記緩衝液2.9mLとを入れたキュベットを対照とする。0.1mLのカタラーゼ酵素製剤水溶液と基質液2.9mLとの混合液における波長240nmの吸光度が0.450から0.400に低下するまでの時間を計測する。測定時間が0.267分間から0.400分間の範囲となるように、カタラーゼ酵素製剤水溶液中のカタラーゼ酵素製剤濃度を調整する。3回以上繰り返し測定した時間の平均値から、以下の式(s)により1g当たりのカタラーゼ酵素製剤の活性を算出する。
【0085】
1g当たりのカタラーゼ活性(kCU/g)=(3.45×V×F)/(W×T×0.1)・・・・(s)
V:カタラーゼ酵素製剤の緩衝液希釈容量(mL)。
F:希釈倍率。
W:カタラーゼ酵素製剤秤量値(g)。
T:測定時間(分)。
【0086】
なお、洗剤剤組成物1g当たりのカタラーゼ活性Ec(kCU/g)は、上記測定法のカタラーゼ酵素製剤を洗剤剤組成物に変えることで測定可能である。
洗剤剤組成物1g当たりのカタラーゼ活性Ec(kCU/g)は、0.0005~0.5(kCU/g)が好ましく、0.005~0.25(kCU/g)がより好ましい。
【0087】
防腐剤としては、例えば、イソチアゾリン系化合物が挙げられる。イソチアゾリン系化合物としては、例えば、ベンズイソチアゾリリン、メチルイソチアゾリノン、ブチルベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。防腐剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.0002~0.01質量%(2~100質量ppm)であることが好ましく、0.0005~0.004質量%(5~40質量ppm)であることがより好ましい。
【0088】
[任意界面活性剤]
任意界面活性剤としては、両性界面活性剤が挙げられる。
液体洗浄剤組成物における界面活性剤の合計量(総質量)は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、6~45質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、16~40質量%がさらに好ましく、16~35質量%が特に好ましい。
【0089】
[ハイドロトロープ剤]
ハイドロトロープ剤としては、炭素数2~4の1価アルコール、炭素数4~10のグリセリルエーテル、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩から選ばれる1種以上が使用される(但し、(A)成分は除く)。
炭素数2~4の1価アルコールはとしては、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャルブタノールが挙げられる。
炭素数4~10のグリセリルエーテルとしてはグリセリンやヘキシルグリセリルエーテル等が挙げられる。
このうち、液体洗浄剤組成物中の(A)~(E)成分の溶解効果、及び使用感の点から、炭素数2~4の1価アルコール、トルエンスルホン酸又はその塩が好ましく、エタノール、パラトルエンスルホン酸塩がより好ましい。
これらのハイドロトロープ剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ハイドロトロープ剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~30質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましい。
【0090】
[pH調整剤]
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸、グリコール酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
pH調整剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0091】
なお、(A)~(E)成分及び任意成分の合計は、100質量%を超えない。
【0092】
(製造方法)
液体洗浄剤組成物の製造方法としては、従来公知の方法が挙げられる。
液体洗浄剤組成物の製造方法としては、例えば、溶媒である水の一部に、酵素及びpH調整剤以外の成分を加え、混合し、任意のpHに調整した後、酵素と水の残部を加える方法が挙げられる。
【0093】
(使用方法)
液体洗浄剤組成物の使用方法(即ち、食器の洗浄方法)を以下に説明する。
食器を洗浄する方法としては、任意の量の液体洗浄剤組成物を洗浄具に付着させ、この洗浄具を用いて洗浄対象を擦り洗いする(擦り洗い操作)方法が挙げられる。
洗浄具に付着させる液体洗浄剤組成物の量は、例えば、1~10gである。
洗浄対象は、皿、箸、スプーン等の食器が挙げられる。また、洗浄対象は、鍋、包丁等の調理器具でもよい。本稿において、食器及び調理器具を総じて、「食器」と称する。
擦り洗い操作の後、洗浄対象をすすぎ水ですすぎ、洗浄対象に付着している液体洗浄剤組成物を洗い流す(すすぎ操作)。この際、本発明の液体洗浄剤組成物は、生じた泡が排水口に滞留せず、速やかに消泡する。
【0094】
また、食器を洗浄する方法としては、液体洗浄剤組成物を水に分散して洗浄液とし、洗浄液に洗浄対象を任意の時間(浸漬時間)で浸漬する(浸漬操作)方法(浸漬法)が挙げられる。
【0095】
洗浄液の総量に対する液体洗浄剤組成物の含有量は、例えば、0.01~50質量%(即ち、2~10000倍希釈)が好ましく、0.05~20質量%がより好ましく、0.1~5質量%がさらに好ましい。
浸漬法における浸漬時間は、洗浄対象の汚れの程度等を勘案して決定され、例えば、5分間以上が好ましく、5分間~10時間がより好ましく、5分間~1時間、15分間~1時間がさらに好ましい。浸漬時間が上記下限値以上であれば、洗浄力のさらなる向上を図れる。浸漬時間が上記上限値以下であれば、食器の洗浄時間が過剰に長くなるのを防止できる。
【0096】
浸漬操作においては、必要に応じて、洗浄液内で又は洗浄液から取り出して、洗浄対象を洗浄具で擦り洗いしてもよい。洗浄具としては、例えば、スポンジ、刷子等が挙げられる。
任意の時間、洗浄対象を洗浄液に浸漬し、次いで、洗浄液から洗浄対象を取り出す。取り出した洗浄対象に対し、液体洗浄剤組成物を含有しない浄水(すすぎ水)ですすぎ、洗浄対象に付着している洗浄液及び泡を洗い流す(すすぎ操作)。すすぎ操作を経ることで、洗浄された食器を得る。この際、本発明の液体洗浄剤組成物は、生じた泡が排水口に滞留せず、速やかに消泡する。
すすぎ操作において、後述する「消泡性」の評価方法で測定される消泡までの時間は、70秒未満が好ましく、50秒未満がより好ましく、40秒未満がさらに好ましい。
【実施例
【0097】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0098】
(使用原料)
<(A)成分>
≪(a1)成分≫
・A1-1:炭素数14~17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」、クラリアントジャパン株式会社製。
・A1-2:ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、商品名「リパール870P」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製。
・A1-3:ポリオキシエチレンモノ(2-プロピルヘプチル)エーテル硫酸エステルNa、式におけるR=プロピル基,R=ペンチル基、RとRの炭素鎖長8、p=0、q=3、M=ナトリウムに相当。下記調製例1により調製したもの。
【0099】
[調整例1]A1-1の調製
BASF社製「ルテンゾール XP30」290gを撹拌装置付の500mLフラスコに投入した。フラスコ内を窒素で置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりA1-3を得た。
【0100】
≪(a2)成分≫
・A2-1:AES(1EO)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム。式(a2-1)におけるR10=炭素数12~14の直鎖アルキル基、n=1、M=ナトリウム。下記調整例2で調整されたもの。
【0101】
[調製例2]A2-1の調製
4Lオートクレーブ中に、原料アルコールとしてP&G社製の商品名CO1270アルコール(C12/C14=75%/25%,質量比)400gと、反応用触媒として水酸化カリウム触媒0.8gとをそれぞれ仕込んだ。オートクレーブ内を窒素で置換した後、撹拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド91gを導入し、反応させた。得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシドの平均付加モル数は1であった。
次に、このようにして得られたアルコールエトキシレート237gを、撹拌装置付の500mLフラスコに採り、窒素置換の後、液体無水硫酸(サルファン)96gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了の後、撹拌を1時間続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。
次いで、これを、水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりA2-1を得た。
【0102】
・A2-2:炭素数10~14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テイカ株式会社製の商品名「テイカパワーL121」が水酸化ナトリウムで中和されたもの。
【0103】
<(B)成分>
B-1:AX、n-ドデシルジメチルアミンオキシド、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「カデナックス DM12D-W」。上記式(b1)におけるR=炭素数12の直鎖アルキル基、R=メチル基、R=メチル基、r=0。
【0104】
<(C)成分>
・C-1:プロテアーゼ、商品名「Savinase Ultra 16XL」、2000kPU/g、ノボザイムズジャパン株式会社製。
C-2:プロテアーゼ、商品名「ProgressUno 100L」、1800kPU/g、ノボザイムズジャパン株式会社製。
【0105】
<(D)成分>
・D-1:アミラーゼ、商品名「Amplify Prime 100L」、350kAU/g、ノボザイムズジャパン株式会社製。
・D-2:アミラーゼ、商品名「Termamyl Ultra 300L」、115kAU/g、ノボザイムズジャパン株式会社製。
【0106】
<(CD)成分:(C)成分と(D)成分との混合物>
・CD-1:プロテアーゼとアミラーゼとの混合品、商品名「Medley Core210L」、1440kPU/g、70kAU/g、ノボザイムズジャパン株式会社製。
【0107】
<(E)成分>
・E-1:ポリオキシエチレンモノ(2-プロピルへプチル)エーテル(EO10)、BASF社製、商品名「Lutensol XP100」。上記一般式(e1)におけるm=10、x=3、y=5の化合物。
【0108】
<任意成分>
・エタノール(EtOH):関東化学株式会社製。
・pTSH:パラトルエンスルホン酸、関東化学株式会社製。
・カタラーゼ:商品名「Terminox Ultra50L」、50kCU/g、ノボザイムズジャパン株式会社製。
・pH調整剤:水酸化ナトリウム、関東化学株式会社製。
・溶媒:水道水。
【0109】
(実施例1~43、比較例1~3)
表1~4に示す組成に従い、以下の手順で調製した。
なお、表中の組成は、特段の記載がない場合には質量%であり、純分換算量である。但し、酵素の配合量は製剤としての配合量である。また、表中、配合量の記載のない成分は、配合されていない。
表中、水の配合量「バランス」は、全体を100質量%とするのに必要な量である。表中、pH調整剤の配合量「適量」は、表中のpHとするのに必要な量である。
1Lビーカーに、(A)成分と、(B)成分と、エタノールとを入れ、マグネチックスターラー(NISSIN製、製品名SW-R800)で撹拌した。次いで、全体量が50質量%になるように水を入れ、攪拌後、(E)成分を入れて混合した。25℃でのpHが6~8の範囲になるように、pTSH及びpH調整剤を適量添加した後、(C)成分と(D)成分とカタラーゼを入れて混合した。
その後、全体量が100質量%になるように水を入れ、撹拌して、各例の液体洗浄剤組成物を得た。
液体洗浄剤組成物のpHは、25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、製品名HM-30G)を用い、ガラス電極を組成物に直接に浸漬し、1分間経過後に示す値を測定した。この25℃のpHを表中に示した。
各例の液体洗浄剤組成物について、洗浄力、起泡性及び消泡性を評価し、その結果を表中に示す。
但し、実施例19~21、26、31、32、36、43は参考例である。
【0110】
(評価方法)
<洗浄力>
市販のバスタソース(日清製粉グループ製、マ・マー ミルクたっぷりカルボナーラ)を水道水に対して、水:パスタソース=8:2の質量比で希釈して、油とでんぷんとタンパク質との複合汚れとした。
複合汚れ15gをアルミニウム製の片手鍋(直径18cm×高さ8cm、パール金属社製、H-2432)に均一に塗り広げ、IHホットプレートで160℃、7.5分間加熱して固着させた。
各例の液体洗浄剤組成物を水道水で希釈して、液体洗浄剤組成物の含有量が0.5質量%である洗浄液を調製した。洗浄液1Lを鍋に入れ、30分間、放置した。その後、水を含ませた食器洗い用スポンジ(縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cm、商品名スコッチブライト、住友スリーエム株式会社製)で鍋底全面を軽く1回擦った後、水道水で鍋をすすいだ。選任の検査員が、鍋底の汚れの残り具合を目視で確認し、下記基準に基づき評価した。評価点4点以上を合格とした。
【0111】
≪評価基準≫
5点:鍋底に汚れ残りが認められない。
4点:鍋底全面がきれいになっているが、よく見ると極僅かに汚れが認められる。
3点:鍋底の半分未満の面積に汚れの付着が明らかに認められる。
2点:鍋底の半分以上の面積に汚れの付着が明らかに認められる。
1点:鍋底全面に汚れが認められる。
【0112】
<起泡性>
「<洗浄力>」の評価を同様の複合汚れ6gを陶器皿(φ13cm、高さ7cm)に均一に塗り広げ、終夜放置して固着させた。各例の液体洗浄剤組成物を25℃の水道水で希釈して、表中の「洗剤濃度(%)」とした。各例の液体洗浄剤組成物の濃度は、表中の「洗剤濃度(%)」に示す。この洗浄液200mLを陶器皿に入れ、30分間漬け置いた。その後、食器洗い用スポンジ(縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cm、商品名スコッチブライト、住友スリーエム株式会社製)に陶器皿内の洗浄液を50gとり、10回手で揉んで泡立てた。このときのスポンジ状に生成した泡の泡質(泡感触)を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、泡立ち性を評価し、I又はIIを合格とした。
【0113】
≪評価基準≫
I :きめが非常に細かく、粘性のあるクリーミーな泡で、スポンジから垂れ落ちにくい。
II :きめが細かく、クリーミーな泡で、スポンジから垂れ落ちにくい。
III:きめは細かいが、クリーミー感に欠ける泡で、スポンジからやや垂れ落ちやすい。
IV :きめが荒く、水っぽい泡で、スポンジからこぼれ落ちる。
【0114】
<消泡性>
「<起泡性>」と同様にして、複合汚れの固着した陶器皿と、洗浄液とを調製した。複合汚れの固着した陶器皿を洗浄液に30分間漬け置いた。その後、食器洗い用スポンジ(縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cm、商品名スコッチブライト、住友スリーエム株式会社製)を陶器皿内の洗浄液で10回スポンジを揉んで泡立て、泡立てた液を排水口に流した後、一定水流(0.1L/min)で泡だまりが消えるまでの時間を測定した。評価は下記基準に基づき評価し、I~IIIを合格とした。
【0115】
≪評価基準≫
I :泡だまりが消えるまでの時間が40秒未満。
II :泡だまりが消えるまでの時間が40秒以上50秒未満。
III:泡だまりが消えるまでの時間が50秒以上70秒未満。
IV :泡だまりが消えるまでの時間が70秒以上80秒未満。
V :泡だまりが消えるまでの時間が80秒以上。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【0120】
表1~4に示すように、本発明を適用した実施例1~43は、洗浄力の評価が4~5点、消泡性の評価がI~IIIのいずれかであった。
(a1)成分を欠く比較例1は、消泡性の評価がVであった。A/B比が0.68である比較例2、A/B比が2.13である比較例3は、洗浄力が2~3点、消泡性の評価がIVであった。
以上の結果から、本発明を適用することで、洗浄力及び消泡性を高められることが確認された。