(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】合成セグメント、環状体、構造物及びスキンプレート
(51)【国際特許分類】
E21D 5/00 20060101AFI20220930BHJP
E02D 17/08 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
E21D5/00
E02D17/08 A
(21)【出願番号】P 2019019114
(22)【出願日】2019-02-05
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】中西 克佳
(72)【発明者】
【氏名】松岡 馨
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-042284(JP,A)
【文献】特開平11-229394(JP,A)
【文献】特開2017-101493(JP,A)
【文献】特開2019-196692(JP,A)
【文献】特開2000-120372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 5/00
E02D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を構成する合成セグメントであって、
前記構造物の壁面を形成する本体部と、
前記構造物の軸線方向に沿って前記本体部の内面に設けられ、搬送物の移動を案内する案内部と、を備え、
前記案内部の長さは、前記本体部における前記構造物の軸線方向に沿った長さの整数倍であることを特徴とする合成セグメント。
【請求項2】
前記本体部は、前記構造物の内壁面を形成するスキンプレートを備え、
前記案内部は、前記スキンプレートに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の合成セグメント。
【請求項3】
前記案内部は、その一端部が、前記本体部における前記構造物の軸線方向に沿った一方の端縁に一致するように前記本体部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成セグメント。
【請求項4】
前記構造物を構成する多角形断面の環状体の隅角部を形成することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の合成セグメント。
【請求項5】
前記本体部は、
構造物の壁面を形成する第1の躯体部と、
前記構造物の壁面を形成し、この壁面の面方向が前記第1の躯体部の壁面の面方向に交差するように前記第1の躯体部に設けられた第2の躯体部と、
前記第2の躯体部から離間して前記第1の躯体部に設けられた第3の躯体部と、を有するセグメントピースを一対備え、
前記一対のセグメントピースにおける前記第2の躯体部同士は、その壁面を前記多角形断面の環状体の外壁面に沿わせた状態で連結され、
前記一対のセグメントピースにおける前記第3の躯体部同士は、その壁面を前記多角形断面の環状体の内壁面に沿わせた状態で連結され、
前記案内部は、前記第1の躯体部のうち、前記第3の躯体部よりも前記第2の躯体部とは反対側の内壁面を形成する面に設けられ、
前記案内部の長さは、前記本体部における前記構造物の軸線方向に沿った長さの整数倍であることを特徴とする請求項4に記載の合成セグメント。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の合成セグメントが環状に連結されていることを特徴とする環状体。
【請求項7】
請求項6に記載の環状体が軸線方向に連結された構造物であって、
前記環状体は、前記合成セグメントの継ぎ目が隣接する環状体間において重ならないように連結されていることを特徴とする構造物。
【請求項8】
構造物を構成する合成セグメントのスキンプレートであって、
前記構造物の内壁面を形成する面に設けられ、前記構造物の軸線方向に沿って搬送物を移動させるための案内部を備え、
前記案内部の長さは、前記合成セグメントにおける前記構造物の軸線方向に沿った長さの整数倍であることを特徴とするスキンプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成セグメント、環状体、構造物及びスキンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のセグメントを連結して環状体を構築し、この環状体をその軸線方向に複数重ねて連結することで地中又は水中に構築される、立坑、橋脚補強用構造物、トンネル及びケーソン等の構造物が知られている。
これらの構造物のうち、例えば、ケーソンは、複数の甲枠(セグメント)が円環状に連結されたケーソン躯体によって構成されている。連結された複数の甲枠の内部空間には、コンクリート等の充填材が打設されており、甲枠と充填材が一体に形成されている。甲枠は、複数の補強材が設けられたフレームと、フレームの外側面又は内側面を覆う側壁板とを有している(例えば、特許文献1参照)。
また、ケーソンの施工システムとして、ケーソン躯体の内壁にレールを敷設して、例えば、チェーンドライブやセルフクライミング機構等によって水中掘削機をレールに沿って自走可能とした構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-11327号公報
【文献】特開平11-229394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、地中又は水中に構築される構造物の、大深度での施工の需要が増加している。大深度での施工になると、掘削途中で硬い地盤に突き当たる確率が高い。硬い地盤におけるセグメントの圧入は困難であり、この場合、バックホウ等の掘削装置によりセグメント近傍の地盤を直接掘削し、セグメントの圧入に対する抵抗を減少させることが有効である。特に、構造物の断面が矩形状の場合、断面隅角部付近での圧入に対する抵抗は大きいため、隅角部の地盤を直接掘削することは極めて有効な方法である。バックホウ等の掘削装置を用いるためには、別途、掘削装置を係止および昇降させるためのレールを内壁に設置する必要がある。
【0005】
しかし、施工中に掘削装置が必要となった時点でレールを構造物に設置する場合、施工工程が増加し、施工効率が低下する。特に、地上又は水面から深い位置で硬い地盤に突き当たり、掘削装置が必要となった場合には、その深さ分と同程度の長さのレールを構造物に設置する必要があり、施工工程が大幅に増加し、施工効率が大幅に低下する。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、構造物の構築にあたって掘削装置を用いる場合であっても、施工効率の低下を抑制することができる合成セグメント、環状体、構造物及びスキンプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、構造物を構成する合成セグメントであって、前記構造物の壁面を形成する本体部と、前記構造物の軸線方向に沿って前記本体部の内面に設けられ、搬送物の移動を案内する案内部と、を備え、前記案内部の長さは、前記本体部における前記構造物の軸線方向に沿った長さの整数倍であることを特徴とする。
【0008】
また、前記本体部は、前記構造物の内壁面を形成するスキンプレートを備え、前記案内部は、前記スキンプレートに設けられていることが好ましい。
【0009】
また、前記案内部は、その一端部が、前記本体部における前記構造物の軸線方向に沿った一方の端縁に一致するように前記本体部に設けられていることが好ましい。
【0010】
また、前記構造物を構成する多角形断面の環状体の隅角部を形成することが好ましい。
【0011】
また、前記本体部は、構造物の壁面を形成する第1の躯体部と、前記構造物の壁面を形成し、この壁面の面方向が前記第1の躯体部の壁面の面方向に交差するように前記第1の躯体部に設けられた第2の躯体部と、前記第2の躯体部から離間して前記第1の躯体部に設けられた第3の躯体部と、を有するセグメントピースを一対備え、前記一対のセグメントピースにおける前記第2の躯体部同士は、その壁面を前記多角形断面の環状体の外壁面に沿わせた状態で連結され、前記一対のセグメントピースにおける前記第3の躯体部同士は、その壁面を前記多角形断面の環状体の内壁面に沿わせた状態で連結され、前記案内部は、前記第1の躯体部のうち、前記第3の躯体部よりも前記第2の躯体部とは反対側の内壁面を形成する面に設けられ、前記案内部の長さは、前記本体部における前記構造物の軸線方向に沿った長さの整数倍であることが好ましい。
【0012】
本発明は、環状体であって、上記の合成セグメントが環状に連結されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記の環状体が軸線方向に連結された構造物であって、前記環状体は、前記合成セグメントの継ぎ目が隣接する環状体間において重ならないように連結されていることを特徴とする。
【0014】
本発明は、構造物を構成する合成セグメントのスキンプレートであって、前記構造物の軸線方向に沿って内壁面を形成する面に設けられ、搬送物の移動を案内する案内部を備え、前記案内部の長さは、前記合成セグメントにおける前記構造物の軸線方向に沿った長さの整数倍であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、構造物の構築にあたって掘削装置を用いる場合であっても、施工効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】
図3における中詰材を取り除いた構造を示す平面図である。
【
図5】本体部におけるセグメントピースの構造を示す平面図である。
【
図6】(a)は矩形状の断面を有する地中構造物を示す斜視図であり、(b)は(a)におけるB-B矢視図であり、(c)は隅角部セグメントの斜視図である。
【
図7】案内部が設けられたプレートの斜視図である。
【
図9】
図6における地中構造物の隅角部セグメント及び案内部の連結構造を説明する図であり、(a)は連結前の状態、(b)は連結後の状態を示す図である。
【
図10】(a)は案内部の一端部(上端部)の構成を示す斜視図であり、(b)は案内部を一端部側から見た平面図であり、(c)は案内部の連結構造を説明する図である。
【
図16】本体部におけるセグメントピースの構造を示す平面図である。
【
図18】(a)は円形状の断面を有する地中構造物を示す斜視図であり、(b)は(a)におけるH-H矢視図であり、(c)は合成セグメントの斜視図である。
【
図19】(a)は他の例における円形状の断面を有する地中構造物を示す斜視図であり、(b)は(a)におけるI-I矢視図であり、(c)は合成セグメントの斜視図である。
【
図20】
図19における地中構造物の合成セグメント及び案内部の連結構造を説明する図であり、(a)は連結前の状態、(b)は連結後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一つの例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態をとりうる。
【0018】
<構造物、環状体>
図1に示すように、構造物100は、立坑、橋脚補強用構造物、トンネル及びケーソン等の施工時に、主として地中又は水中に構築されるものである。
図1に、一部分又は全部が地中に埋設される地中構造物100の例を示す。地中構造物100を立坑に使用する場合、地中構造物100は、シールド工法等によって地中に構築されるトンネルの掘削開始地点や中間地点等に設けられ、地中構造物100の内側の空間がシールドマシンの搬送路や換気口となる。
図1、
図2に示すように、地中構造物100は、筒状に構築されており、例えば、その軸線が鉛直方向に沿うように地中に設置される。地中構造物100は、平面視(横断面視)多角形状に形成されている。本実施の形態においては、地中構造物100は、平面視矩形状に形成されている。
【0019】
図1、
図2に示すように、地中構造物100は、複数の環状体1と複数の環状体2とが地中構造物100の軸線方向に交互に積み重ねられ、隣接する環状体1,2同士が互いに連結されることによって構成されている。
図2に示すように、環状体2は、それぞれ、複数の隅角部セグメント3と複数の直線部セグメント4とが連結されて環状に形成されている。具体的には、各環状体2は、各辺が25mの平面視正方形状に形成されており、各環状体2は、4個の隅角部セグメント3と、14個の直線部セグメント4とを備えている。
図2に示す環状体2において、各隅角部セグメント3は、その長さ方向が図中の縦方向に沿って配置されている。
図1に示すように、各環状体1,2は、各環状体1,2を構成する隅角部セグメント3及び直線部セグメント4の継ぎ目が隣接する環状体1,2間において軸線方向に重ならないように積み重ねられ、連結されている。すなわち、各環状体1,2を構成する隅角部セグメント3及び直線部セグメント4は、地中構造物100の側面から見て千鳥状に配置されている。
【0020】
なお、地中構造物100をケーソン等の沈設構造物として使用する場合、地中構造物100の内側の底部には、コンクリートの打設により底盤部が形成されている。また、地中構造物100を効率的に地中に設置するため、地中構造物100の最下層には刃口リングが設けられており、環状体1,2と刃口リングとの間に作業台リングとガイドリングを介して両者が連結されている。
地中構造物100を地中に沈設する際には、施工場所の地表面上に上記の刃口リングを設け、刃口リングの内側の地盤を掘削した後、刃口リングの上端を沈設装置によって地盤に向けて押圧し、刃口リングを地中に沈設していく。ある程度の深さまで刃口リングを沈設させた後、刃口リングの上端に上記の環状体1,2を連結し、環状体1,2の内側を掘削し、環状体1,2の上端を沈設装置によって地盤に向けて押圧し、環状体1,2を地中に沈設していく。このように、複数の環状体1,2の連結による地中構造物100の組み立てと、地盤の掘削及び環状体1,2の押圧とを順に繰り返すことで、地中構造物100を沈設構造物として地中に沈設することができる。
【0021】
<隅角部セグメント>
図3~
図7に示すように、隅角部セグメント3は、本体部50と、案内部51と、中詰材52とを備えている。すなわち、隅角部セグメント3は、本体部50と、案内部51と、中詰材52とを一体に形成した合成セグメントである。
【0022】
(本体部)
本体部50は、合成セグメントの躯体となる部分であるとともに、地中構造物100の壁面(内壁面及び外壁面)を形成する。
図3~
図5に示すように、本体部50は、二つのセグメントピース71,72と、補強部73とを備えている。セグメントピース71は、環状体1,2の外側寄りに配置され、その一部が外壁を形成している。セグメントピース72は、環状体1,2の内側寄りに配置され、その一部が内壁及び外壁を形成している。以下では、セグメントピース71を外側ピース71、セグメントピース72を内側ピース72として説明する。
【0023】
(本体部:外側ピース)
図3~
図5に示すように、外側ピース71は、第1の躯体部10と、第2の躯体部20と、第3の躯体部30と、連結部40と、を備えている。
第1の躯体部10は、地中構造物100の外壁面を形成する。第1の躯体部10は、プレート(スキンプレート)11と、主桁12と、継手板13と、補剛材14とを備えている。
【0024】
プレート11は、環状体1,2の外壁面をなすものであり、矩形状に形成されている。プレート11は、例えば、鋼板によって形成されている。
【0025】
主桁12は、プレート11における高さ方向(環状体1,2を積み重ねて連結する方向)の上端縁と下端縁に立設されている。すなわち、主桁12は、プレート11に2つ設けられていることになる。主桁12は、プレート11の内面に対して直角に立設されている。主桁12は、例えば、鋼板より形成されている。主桁12には、その長手方向(延在方向)に沿って所定の間隔をあけて、複数の継手12aが設けられている。
継手12aは、上下の環状体1,2を互いに連結して、相対的にずれないようにするためのものである。継手12aは、具体的には、雄継手と、この雄継手が挿入されて係止される雌継手とを備える。雄継手は、プレート11の上端部側の主桁12に設けられており、例えば、くさび状に形成されている。雌継手は、プレート11の下端部側の主桁12に設けられていて、両継手は相対して互いに同心に位置している。雄継手は、くさび状に形成された部分が弾性変形した状態で雌継手に挿入され、雄継手の復元力によって雌継手内に保持される。なお、継手12aは公知のものを使用することができ、上記の構成には限定されない。
【0026】
継手板13は、2つの主桁12の両端部間を結ぶように主桁12の長手方向(延在方向)における両端に立設されている。継手板13は、プレート11の内面に対して直角に立設されている。継手板13は、例えば、鋼板により形成されている。
【0027】
補剛材14は、隅角部セグメント3の剛性を高める機能、及び、補強部73を取り付ける機能の2つの機能を兼ね備えている。補剛材14は、それぞれ主桁12の長手方向に沿って所定の間隔をあけて、それぞれ継手板13に対して平行に、それぞれプレート11の内面に直角に立設されている。補剛材14は、それぞれプレート11の内面に溶接等により接合されている。なお、補剛材14の形状は、隅角部セグメント3の剛性を高め、それぞれ補強部73との連結を可能にするものであれば、その形状については限定されない。補剛材14は、例えば、鋼板から形成されている。
なお、主桁12及び補剛材14は、いずれもプレート11に溶接によって接合されていてもよいし、一部がプレート11と一体に形成されていてもよい。また、継手板13は、主桁12に溶接によって接合されていてもよいし、一部が主桁12と一体に形成されていてもよい。
【0028】
第2の躯体部20は、地中構造物100の外壁面を形成する。第2の躯体部20は、外壁面の面方向が第1の躯体部10の外壁面の面方向に交差するように第1の躯体部10に連結されている。第2の躯体部20は、プレート21と、主桁22と、継手板23と、補剛材24とを備えている。
【0029】
プレート21は、環状体1,2の外壁面をなすものであり、矩形状に形成されている。プレート21は、第1の躯体部10における環状体1,2の隅角部側の継手板13に側方から突き合わされており、溶接等によって接合されている。すなわち、プレート21は、この継手板13と面一となるように設けられている。もちろん、プレート21と継手板13とが必ずしも面一になる必要はなく、継手板13に重ねるように設けられていてもよい。プレート21は、例えば、鋼板によって形成されている。
【0030】
主桁22は、プレート21における高さ方向(環状体1,2を積み重ねて連結する方向)の上端縁と下端縁に立設されている。すなわち、主桁22は、プレート21に2つ設けられていることになる。主桁22の長手方向(延在方向)の一端部は、第1の躯体部10の主桁12に側方から突き合わされており、溶接等によって接合されている。すなわち、主桁22は、主桁12と面一となるように設けられている。主桁22の一端部には、他の部分よりも幅が広い拡幅部22bが形成されており、主桁12との接合強度が高められている。主桁22は、プレート21の内面に対して直角に立設されている。主桁22は、例えば、鋼板より形成されている。主桁22には、その長手方向(延在方向)に沿って所定の間隔をあけて、継手12aが設けられている。
継手12aは、上下の環状体1,2を互いに連結して、相対的にずれないようにするためのものである。継手12aは、具体的には、雄継手と、この雄継手が挿入されて係止される雌継手とを備える。雄継手は、プレート21の上端部側の主桁22に設けられており、例えば、くさび状に形成されている。雌継手は、プレート21の下端部側の主桁22に設けられていて、両継手は相対して互いに同心に位置している。雄継手は、くさび状に形成された部分が弾性変形した状態で雌継手に挿入され、雄継手の復元力によって雌継手内に保持される。なお、継手12aは公知のものを使用することができ、上記の構成には限定されない。
【0031】
継手板23は、2つの主桁22の端部間を結ぶように主桁22の長手方向(延在方向)における他端部(主桁12に接合されていない側の端部)に立設されている。継手板23は、プレート21の内面に対して直角に立設されている。継手板23は、例えば、鋼板により形成されている。
【0032】
補剛材24は、隅角部セグメント3の剛性を高める機能、及び、補強部73を取り付ける機能の2つの機能を兼ね備えている。補剛材24は、それぞれ主桁22の長手方向に沿って所定の間隔をあけて、それぞれ継手板23に対して平行に、それぞれプレート21の内面に直角に立設されている。補剛材24は、それぞれプレート21の内面に溶接等により接合されている。なお、補剛材24の形状は、隅角部セグメント3の剛性を高め、それぞれ補強部73との連結を可能にするものであれば、その形状については限定されない。補剛材24は、例えば、鋼板から形成されている。
なお、主桁22及び補剛材24は、いずれもプレート21に溶接によって接合されていてもよいし、一部がプレート21と一体に形成されていてもよい。また、継手板23は、主桁22に溶接によって接合されていてもよいし、一部が主桁22と一体に形成されていてもよい。
【0033】
第3の躯体部30は、第2の躯体部20から離間して第1の躯体部10に連結されている。第3の躯体部30は、壁面の面方向が第1の躯体部10の外壁面の面方向に交差するように第1の躯体部10に連結されている。第3の躯体部30は、その延在方向が第2の躯体部20の延在方向と平行となるように第1の躯体部10に連結されている。これにより、外側ピース71は、下側から見た際に、平面視略F字状に形成されている。
第3の躯体部30は、プレート31と、主桁32と、継手板33と、補剛材34とを備えている。
【0034】
プレート31は、矩形状に形成されている。プレート31は、第1の躯体部10の補剛材14に側方から突き合わされており、溶接等によって接合されている。すなわち、プレート31は、この補剛材14と面一となるように設けられている。もちろん、プレート31と補剛材14とが必ずしも面一になる必要はない。プレート31は、その面方向がプレート21の面方向と平行になるように設けられている。プレート31は、例えば、鋼板によって形成されている。
【0035】
主桁32は、プレート31における高さ方向(環状体1,2を積み重ねて連結する方向)の上端縁と下端縁に立設されている。すなわち、主桁32は、プレート31に2つ設けられていることになる。主桁32の長手方向(延在方向)の一端部は、第1の躯体部10の主桁12に側方から突き合わされており、溶接等によって接合されている。すなわち、主桁32は、主桁12と面一となるように設けられている。主桁32は、プレート31の内面に対して直角に立設されている。主桁32は、例えば、鋼板より形成されている。主桁32には、その長手方向(延在方向)に沿って所定の間隔をあけて、継手12aが設けられている。
継手12aは、上下の環状体1,2を互いに連結して、相対的にずれないようにするためのものである。継手12aは、具体的には、雄継手と、この雄継手が挿入されて係止される雌継手とを備える。雄継手は、プレート31の上端部側の主桁32に設けられており、例えば、くさび状に形成されている。雌継手は、プレート31の下端部側の主桁32に設けられていて、両継手は相対して互いに同心に位置している。雄継手は、くさび状に形成された部分が弾性変形した状態で雌継手に挿入され、雄継手の復元力によって雌継手内に保持される。なお、継手12aは公知のものを使用することができ、上記の構成には限定されない。
【0036】
継手板33は、2つの主桁32の端部間を結ぶように主桁32の長手方向(延在方向)における他端部(主桁12に接合されていない側の端部)に立設されている。継手板33は、プレート31の内面に対して直角に立設されている。継手板33は、例えば、鋼板により形成されている。
【0037】
補剛材34は、隅角部セグメント3の剛性を高める機能、及び、補強部73を取り付ける機能の2つの機能を兼ね備えている。補剛材34は、それぞれ主桁32の長手方向に沿って所定の間隔をあけて、それぞれ継手板33に対して平行に、それぞれプレート31の内面に直角に立設されている。補剛材34は、それぞれプレート31の内面に溶接等により接合されている。なお、補剛材34の形状は、隅角部セグメント3の剛性を高め、それぞれ補強部73との連結を可能にするものであれば、その形状については限定されない。補剛材34は、例えば、鋼板から形成されている。
なお、主桁32及び補剛材34は、いずれもプレート31に溶接によって接合されていてもよいし、一部がプレート31と一体に形成されていてもよい。また、継手板33は、主桁32に溶接によって接合されていてもよいし、一部が主桁32と一体に形成されていてもよい。
【0038】
連結部40は、例えば、その先端部が平面視略C字状に形成されており、同じ形状の連結部40同士をかみ合わせることで連結が実現される。連結部40は、例えば、直線状に形成された鋼矢板から形成されている。
連結部40は、第1の躯体部10のプレート11の長手方向における隅角ではない側の一端に設けられており、隣接する直線部セグメント4に連結される。
連結部40は、第2の躯体部20のプレート21の長手方向における他端部側(主桁22に連結されていない側)に設けられており、内側ピース72に連結される。
連結部40は、第3の躯体部30のプレート31の長手方向における他端部側(主桁32に連結されていない側)に設けられており、内側ピース72に連結される。
【0039】
(本体部:内側ピース)
図3~
図5に示すように、内側ピース72は、第1の躯体部10と、第2の躯体部20と、第3の躯体部30と、連結部40と、を備えている。
第1の躯体部10は、地中構造物100の内壁面を形成する。第1の躯体部10は、プレート(スキンプレート)11と、主桁12と、継手板13と、補剛材14とを備えている。
【0040】
プレート11は、環状体1,2の内壁面をなすものであり、矩形状に形成されている。プレート11は、例えば、鋼板によって形成されている。
【0041】
主桁12は、プレート11における高さ方向(環状体1,2を積み重ねて連結する方向)の上端縁と下端縁に立設されている。すなわち、主桁12は、プレート11に2つ設けられていることになる。主桁12は、プレート11の内面に対して直角に立設されている。主桁12は、例えば、鋼板より形成されている。主桁12には、その長手方向(延在方向)に沿って所定の間隔をあけて、複数の継手12aが設けられている。
継手12aは、上下の環状体1,2を互いに連結して、相対的にずれないようにするためのものである。継手12aは、具体的には、雄継手と、この雄継手が挿入されて係止される雌継手とを備える。雄継手は、プレート11の上端部側の主桁12に設けられており、例えば、くさび状に形成されている。雌継手は、プレート11の下端部側の主桁12に設けられていて、両継手は相対して互いに同心に位置している。雄継手は、くさび状に形成された部分が弾性変形した状態で雌継手に挿入され、雄継手の復元力によって雌継手内に保持される。なお、継手12aは公知のものを使用することができ、上記の構成には限定されない。
【0042】
継手板13は、2つの主桁12の両端部間を結ぶように主桁12の長手方向(延在方向)における両端に立設されている。継手板13は、プレート11の内面に対して直角に立設されている。継手板13は、例えば、鋼板により形成されている。
【0043】
補剛材14は、隅角部セグメント3の剛性を高める機能、及び、補強部73を取り付ける機能の2つの機能を兼ね備えている。補剛材14は、それぞれ主桁12の長手方向に沿って所定の間隔をあけて、それぞれ継手板13に対して平行に、それぞれプレート11の内面に直角に立設されている。補剛材14は、それぞれプレート11の内面に溶接等により接合されている。なお、補剛材14の形状は、隅角部セグメント3の剛性を高め、それぞれ補強部73との連結を可能にするものであれば、その形状については限定されない。補剛材14は、例えば、鋼板から形成されている。
なお、主桁12及び補剛材14は、いずれもプレート11に溶接によって接合されていてもよいし、一部がプレート11と一体に形成されていてもよい。また、継手板13は、主桁12に溶接によって接合されていてもよいし、一部が主桁12と一体に形成されていてもよい。
【0044】
第2の躯体部20は、地中構造物100の外壁面を形成する。第2の躯体部20は、外壁面の面方向が第1の躯体部10の内壁面の面方向に交差するように第1の躯体部10に連結されている。第2の躯体部20は、プレート21と、主桁22と、継手板23と、補剛材24とを備えている。
【0045】
プレート21は、環状体1,2の外壁面をなすものであり、矩形状に形成されている。プレート21は、第1の躯体部10における環状体1,2の隅角部側の継手板13に重なるように設けられており、溶接等によって接合されている。なお、プレート21は、この継手板13と面一となるように設けられていてもよい。プレート21は、例えば、鋼板によって形成されている。
【0046】
主桁22は、プレート21における高さ方向(環状体1,2を積み重ねて連結する方向)の上端縁と下端縁に立設されている。すなわち、主桁22は、プレート21に2つ設けられていることになる。主桁22の長手方向(延在方向)の一端部は、第1の躯体部10の主桁12に側方から突き合わされており、溶接等によって接合されている。すなわち、主桁22は、主桁12と面一となるように設けられている。主桁22は、プレート21の内面に対して直角に立設されている。主桁22は、例えば、鋼板より形成されている。主桁22には、その長手方向(延在方向)に沿って所定の間隔をあけて、継手12aが設けられている。
継手12aは、上下の環状体1,2を互いに連結して、相対的にずれないようにするためのものである。継手12aは、具体的には、雄継手と、この雄継手が挿入されて係止される雌継手とを備える。雄継手は、プレート21の上端部側の主桁22に設けられており、例えば、くさび状に形成されている。雌継手は、プレート21の下端部側の主桁22に設けられていて、両継手は相対して互いに同心に位置している。雄継手は、くさび状に形成された部分が弾性変形した状態で雌継手に挿入され、雄継手の復元力によって雌継手内に保持される。なお、継手12aは公知のものを使用することができ、上記の構成には限定されない。
【0047】
継手板23は、2つの主桁22の端部間を結ぶように主桁22の長手方向(延在方向)における他端部(主桁12に接合されていない側の端部)に立設されている。継手板23は、プレート21の内面に対して直角に立設されている。継手板23は、例えば、鋼板により形成されている。
【0048】
補剛材24は、隅角部セグメント3の剛性を高める機能、及び、補強部73を取り付ける機能の2つの機能を兼ね備えている。補剛材24は、それぞれ主桁22の長手方向に沿って所定の間隔をあけて、それぞれ継手板23に対して平行に、それぞれプレート21の内面に直角に立設されている。補剛材24は、それぞれプレート21の内面に溶接等により接合されている。なお、補剛材24の形状は、隅角部セグメント3の剛性を高め、それぞれ補強部73との連結を可能にするものであれば、その形状については限定されない。補剛材24は、例えば、鋼板から形成されている。
なお、主桁22及び補剛材24は、いずれもプレート21に溶接によって接合されていてもよいし、一部がプレート21と一体に形成されていてもよい。また、継手板23は、主桁22に溶接によって接合されていてもよいし、一部が主桁22と一体に形成されていてもよい。
【0049】
第3の躯体部30は、第2の躯体部20から離間して第1の躯体部10に連結されている。第3の躯体部30は、壁面の面方向が第1の躯体部10の内壁面の面方向に交差するように第1の躯体部10に連結されている。第3の躯体部30は、その延在方向が第2の躯体部20の延在方向と平行となるように第1の躯体部10に連結されている。これにより、内側ピース72は、上側から見た際に、平面視略F字状に形成されている。すなわち、外側ピース71と内側ピース72では、第1の躯体部10に対する第2の躯体部20及び第3の躯体部30の連結位置が逆になっている。
第3の躯体部30は、プレート31と、主桁32と、継手板33と、補剛材34とを備えている。
【0050】
プレート31は、矩形状に形成されている。プレート31は、第1の躯体部10のプレート11の内面から外面に貫通されており、溶接等によって接合されている。すなわち、プレート31は、補剛材14の一つとしても機能している。プレート31は、その面方向がプレート21の面方向と平行になるように設けられている。プレート31は、例えば、鋼板によって形成されている。
【0051】
主桁32は、プレート31における高さ方向(環状体1,2を積み重ねて連結する方向)の上端縁と下端縁に立設されている。すなわち、主桁32は、プレート31に2つ設けられていることになる。主桁32の長手方向(延在方向)の一端部は、第1の躯体部10の主桁12に側方から突き合わされており、溶接等によって接合されている。すなわち、主桁32は、主桁12と面一となるように設けられている。主桁32の一端部には、他の部分よりも幅が広い拡幅部32bが形成されており、主桁12との接合強度が高められている。主桁32は、プレート31の内面に対して直角に立設されている。主桁32は、例えば、鋼板により形成されている。主桁32には、その長手方向(延在方向)に沿って所定の間隔をあけて、継手12aが設けられている。
継手12aは、上下の環状体1,2を互いに連結して、相対的にずれないようにするためのものである。継手12aは、具体的には、雄継手と、この雄継手が挿入されて係止される雌継手とを備える。雄継手は、プレート31の上端部側の主桁32に設けられており、例えば、くさび状に形成されている。雌継手は、プレート31の下端部側の主桁32に設けられていて、両継手は相対して互いに同心に位置している。雄継手は、くさび状に形成された部分が弾性変形した状態で雌継手に挿入され、雄継手の復元力によって雌継手内に保持される。なお、継手12aは公知のものを使用することができ、上記の構成には限定されない。
【0052】
継手板33は、2つの主桁32の端部間を結ぶように主桁32の長手方向(延在方向)における他端部(主桁12に接合されていない側の端部)に立設されている。継手板33は、プレート31の内面に対して直角に立設されている。継手板33は、例えば、鋼板により形成されている。
【0053】
補剛材34は、隅角部セグメント3の剛性を高める機能、及び、補強部73を取り付ける機能の2つの機能を兼ね備えている。補剛材34は、それぞれ主桁32の長手方向に沿って所定の間隔をあけて、それぞれ継手板33に対して平行に、それぞれプレート31の内面に直角に立設されている。補剛材34は、それぞれプレート31の内面に溶接等により接合されている。なお、補剛材34の形状は、隅角部セグメント3の剛性を高め、それぞれ補強部73との連結を可能にするものであれば、その形状については限定されない。補剛材34は、例えば、鋼板から形成されている。
なお、主桁32及び補剛材34は、いずれもプレート31に溶接によって接合されていてもよいし、一部がプレート31と一体に形成されていてもよい。また、継手板33は、主桁32に溶接によって接合されていてもよいし、一部が主桁32と一体に形成されていてもよい。
【0054】
連結部40は、例えば、その先端が平面視C字状に形成されており、同じ形状の連結部40同士をかみ合わせることで連結が実現される。連結部40は、例えば、直線状に形成された鋼矢板から形成されている。
連結部40は、第1の躯体部10のプレート11の長手方向における外壁部を形成しない側の一端に設けられており、隣接する直線部セグメント4に連結される。
連結部40は、第2の躯体部20のプレート21の長手方向における両端部に設けられており、一方が外側ピース71に連結され、他方が直線部セグメント4に連結される。
連結部40は、第3の躯体部30のプレート31の長手方向における両端部に設けられており、一方が外側ピース71に連結され、他方が直線部セグメント6に連結される。
セグメントピース71,72における第2の躯体部20のプレート21同士は、その壁面を環状体1,2の外壁面に沿わせた状態で連結されており、セグメントピース71,72における第3の躯体部30のプレート31同士は、その壁面を環状体1,2の内壁面に沿わせた状態で連結されている。
【0055】
(本体部:補強部)
図11に示すように、補強部73は、隅角部セグメント3を補強するものであり、隅角部に作用する引張力を主桁等に逃がして隅角部セグメント3の曲げ強度を高め、損壊を防止する。また、補強部73は、打設される中詰材52との一体性を高める機能を有する。補強部73は、例えば、鉄筋で構成された棒状の部材である。
補強部73は、1つの外側ピース71、内側ピース72において、第1の躯体部10と第2の躯体部20を連結し、第1の躯体部10と第3の躯体部30を連結する。また、補強部73は、連結される外側ピース71と内側ピース72との間において、第1の躯体部10と第2の躯体部20を連結し、第1の躯体部10と第3の躯体部30を連結する。
【0056】
図11に示すように、補強部73のうち、一部の補強部73aは、両端が締結板74を介して補剛材14,24,34に連結されている。締結板74は、
図4、
図5に示すように、側面視く字状に屈曲形成された板材であり、補強部73aの両端部に溶接等により接合されている。締結板74は、ボルト及びナットにより、補剛材14,24,34に連結されている。ここで、締結板74が屈曲形成されているのは、隅角部を形成する二つの外壁面の面方向に対して補強部73aの延在方向が45°の角度をなして交差するように補強部73aを配置するためである。すなわち、補強部73aは、地中構造物100の軸線方向に垂直に、かつ、断面方向に隅角部を形成する二辺とで構成される直角三角形の残りの斜辺を形成するように斜め方向に延在して設けられている。言い換えると、補強部73aは、外壁側の隅角部の頂点Mと、内壁側の隅角部の頂点Nとを結んだ直線Lに直交する直線Jに沿って配置されている。各補強部73aは、互いの延在方向が平行となるように配置されている。各補強部73aは、互いに等間隔に配置されている。
ここで、
図3、
図4に示すように、外壁側の隅角部の頂点Mは環状体1において外側ピース71上にあり、内壁側の隅角部の頂点Nは環状体1において内側ピース72上にある。
【0057】
一部の補強部73bは、一端が締結板74を介して補剛材14,34に連結されている。補強部73bの他端は湾曲形成されて鉤状に形成されており、外側プレート71及び内側プレート72における第3の躯体部30のプレート31に設けられた係止板75に係止されている。ここで、係止板75は、プレート31の外面に対して直角に立設された板材であり、長孔や凹部等の係止部75aが形成されている。補強部73bは、鉤状に形成された他端を係止部75aに係止した状態で、一端が締結板74を介して外側ピース71の補剛材14に連結されている。補強部73bは、外壁側の隅角部の頂点Mと、内壁側の隅角部の頂点Nとを結んだ直線Lに直交する直線Jに沿って配置されている。各補強部73bは、互いの延在方向が平行となるように配置されている。各補強部73bは、互いに等間隔に配置されている。
【0058】
一部の補強部73cは、その延在方向が各主桁12の延在方向に対して直角をなすように、外側ピース71の補剛材14と内側ピース72の補剛材14とを連結している。すなわち、補強部73cは、第2の躯体部20及び第3の躯体部30の延在方向に沿って配置されている。補強部73(73a~73c)は、その延在方向が第1の躯体部10、第2の躯体部20、及び第3の躯体部30の延在方向に対して交差している。また、補強部73のうち、補強部73aは、第1の躯体部10、第2の躯体部20、及び第3の躯体部30によって囲まれた矩形の領域内に配置されており、補強部73b,73cは、当該矩形の領域外に配置されている。
【0059】
また、
図5に示すように、内側ピース72の第1の躯体部10におけるプレート11の内面には、打設される中詰材52が局所的に圧壊することを防ぐための支圧板76が溶接等により接合されている。具体的には、支圧板76は、隣接する直線部セグメント4における外側ピース81及び内側ピース82のそれぞれの継手板93が接触する面の裏面にそれぞれ設けられている。
【0060】
(案内部)
図3~
図10に示すように、案内部51は、地中構造物100の軸線方向に沿って本体部50の内面に設けられ、掘削装置110等の搬送物の移動を案内し、掘削装置110による掘削時の反力を取るものである。案内部51は、例えば、長手方向に直交する横断面が略H字状に形成されたレールから形成されている。案内部51は、プレート11に溶接等で接合可能な鋼材から形成されている。
具体的には、
図6、
図7に示すように、案内部51は、内側ピース72における第1の躯体部10のプレート11のうち、第3の躯体部30よりも第2の躯体部20とは反対側の内壁面を形成する面に設けられている。
図6~
図10に示すように、案内部51は、その一端部が、本体部50における地中構造物100の軸線方向に沿った一方の端縁に一致するように本体部50に設けられている。隅角部セグメント3は、案内部51の一端部が本体部50の端縁に一致している側が地中構造物100を構築する際に上側(地表側)にくるように用いられる。したがって、隅角部セグメント3は、本体部50の下端側から案内部51が下方に向かって突出するように延在している。
【0061】
図9、
図10に示すように、案内部51の一端部(上端部)には、環状体1,2の横断面方向に対して傾斜する傾斜面51aが形成されている。具体的には、案内部51の上端部は、地中構造物100の内側から外側に向かうにつれて、言い換えるとプレート11に近づくにつれて、下方に向かって傾斜するように形成されている。よって、案内部51は、その上端部の最も高い位置が本体部50の端縁に一致するように設けられている。
案内部51の他端部(下端部)には、環状体1,2の横断面方向に対して傾斜する傾斜面51bが形成されている。具体的には、案内部51の下端部は、地中構造物100の内側から外側に向かうにつれて、言い換えるとプレート11に近づくにつれて、下方に向かって傾斜するように形成されている。
ここで、傾斜面51aと傾斜面51bは、その面方向が互いに平行となるように形成されており、隣接する案内部51同士を連結する際に、一方の案内部51の上端部と他方の案内部51の下端部とが傾斜面51a,51b同士で面接触する。
【0062】
図6~
図10に示すように、案内部51は、例えば、二本設けられており、プレート11の高さ方向に沿って互いに平行に配置され、溶接等によってプレート11の表面に接合されている。
案内部51の長さは、本体部50における地中構造物100の軸線方向に沿った長さの整数倍となるように形成されており、隅角部セグメント3に設けられる案内部51は、本体部50における地中構造物100の軸線方向に沿った長さの2倍、すなわち、プレート11の高さ(地中構造物100の軸線方向に沿った長さ)の2倍であることが連結時の作業性の観点から好ましい。これにより、一つの案内部51は、隣接する二つの環状体1,2の案内部51として機能する。すなわち、案内部51は、地中構造物100を構築した際に、その軸線方向(高さ方向)に積み重ねて連結される環状体1と環状体2とに跨って連続し、プレート11の高さ方向に沿って延在している。
【0063】
案内部51は、隅角部セグメント3と直線部セグメント4のいずれに設けられていてもよいが、隅角部セグメント3に設けられていることが好ましい。これは、クラムシェル等を備えた大型の掘削装置120(
図1参照)による隅角部近傍の地盤の掘削が困難であり、圧入に対する地盤の抵抗が隅角部に集中するため、かかる隅角部の掘削を掘削装置110によって容易に行うためである。
ここで、同じ長さ(高さ方向に直交する方向の長さ)の合成セグメントのみで断面が矩形状の環状体1,2を構成する場合、各環状体1,2において隣接するセグメントの継ぎ目の位置は、環状体一つおきに地中構造物100の高さ方向に沿って同じ位置となる。
したがって、案内部51の長さを合成セグメントの高さの2倍の長さとすることで、隣接する案内部51同士の連結を環状体1,2の連結位置(高さ)と同じにすることができる。
【0064】
図9に示すように、案内部51の長さが隅角部セグメント3の高さの2倍に形成されている場合、案内部51を備える隅角部セグメント3と案内部51を備えない隅角部セグメント3a(案内部51以外の構成は隅角部セグメント3と同じ)とを地中構造物100の軸線方向に沿って互いに連結することにより、隅角部セグメント3の案内部51が隅角部セグメント3自身と隅角部セグメント3aの双方の案内部として軸線方向に沿って一直線上に配置される。したがって、隅角部セグメント3と隅角部セグメント3aとを交互に配置して連結するとともに、案内部51の上端部とその上方に隣接する案内部51の下端部とを連結し、案内部51の下端部とその下方に隣接する案内部51の上端部とを連結することで、案内部51が地中構造物100の軸線方向に沿って直線状に形成される。
図10に示すように、隣接する案内部51同士の連結は、傾斜面51aと傾斜面51bとを突き合わせる。このとき、下方に位置する案内部51の上端部の傾斜面51aとプレート11との間に形成された空間S内に、上方に位置する案内部51の下端部を嵌め込み、傾斜面51aと傾斜面51bとを面接触させて突き合わせる。その後、レール状に形成されている案内部51のリブの両側(又は片側)から連結板58を当てて双方の案内部51に溶接等で連結板58を接合することで、案内部51は連結される。なお、隣接する環状体1,2同士の連結によって、案内部51がずれることなく一直線上に並ぶように形成されていれば、連結板58を用いないことも可能である。
【0065】
(中詰材)
図3、
図6に示すように、中詰材52は、外側ピース71と内側ピース72とによって挟まれた空間内に充填されるものであり、例えば、コンクリート、ソイルセメント、モルタル、スラグ等が用いられる。
中詰材52を打設すると、補強部73が中詰材52内に埋没することになり、中詰材52の固化後には、補強部73は中詰材52と一体に結合されて、隅角部セグメント3の強度を高め、外側ピース71と内側ピース72と中詰材52との相対的な位置のずれが抑制される。
【0066】
<直線部セグメント>
図4、
図15、
図16に示すように、直線部セグメント4は、隅角部セグメント3間を直線状に連結している。直線部セグメント4は、本体部60と、中詰材62とを備えている。すなわち、直線部セグメント4は、本体部60と中詰材62とを一体に形成した合成セグメントである。
本体部60は、二つのセグメントピース81,82と、補強部83とを備えている。ここで、セグメントピース81は、環状体1,2の外壁を形成するものであり、セグメントピース82は、環状体1,2の内壁を形成するものである。以下では、セグメントピース81を外側ピース81、セグメントピース82を内側ピース82として説明する。
【0067】
(本体部:外側ピース、内側ピース)
図15~
図17に示すように、外側ピース81は、地中構造物100の外壁面を形成し、内側ピース82は、地中構造物100の内壁面を形成する。外側ピース81及び内側ピース82は、プレート91と、主桁92と、継手板93と、補剛材94と、連結部95とを備えている。
【0068】
プレート91は、環状体1,2の外壁面をなすものであり、矩形状に形成されている。プレート91は、例えば、鋼板によって形成されている。
【0069】
主桁92は、プレート91における高さ方向(環状体1,2を積み重ねて連結する方向)の上端縁と下端縁に立設されている。すなわち、主桁92は、プレート91に2つ設けられていることになる。主桁92は、プレート91の内面に対して直角に立設されている。主桁92は、例えば、鋼板により形成されている。主桁92には、その長手方向(延在方向)に沿って所定の間隔をあけて、複数の継手12aが設けられている。
継手12aは、上下の環状体1,2を互いに連結して、相対的にずれないようにするためのものである。継手12aは、具体的には、雄継手と、この雄継手が挿入されて係止される雌継手とを備える。雄継手は、プレート91の上端部側の主桁92に設けられており、例えば、くさび状に形成されている。雌継手は、プレート91の下端部側の主桁92に設けられていて、両継手は相対して互いに同心に位置している。雄継手は、くさび状に形成された部分が弾性変形した状態で雌継手に挿入され、雄継手の復元力によって雌継手内に保持される。なお、継手12aは公知のものを使用することができ、上記の構成には限定されない。
【0070】
継手板93は、2つの主桁92の両端部間を結ぶように主桁92の長手方向(延在方向)における両端に立設されている。継手板93は、プレート91の内面に対して直角に立設されている。継手板93は、例えば、鋼板により形成されている。
【0071】
補剛材94は、直線部セグメント4の剛性を高める機能、及び、補強部83を取り付ける機能の2つの機能を兼ね備えている。補剛材94は、それぞれ主桁92の長手方向に沿って所定の間隔をあけて、それぞれ継手板93に対して平行に、それぞれプレート91の内面に直角に立設されている。補剛材94は、それぞれプレート91の内面に溶接等により接合されている。なお、補剛材94の形状は、直線部セグメント4の剛性を高め、それぞれ補強部83との連結を可能にするものであれば、その形状については限定されない。補剛材94は、例えば、鋼板から形成されている。
なお、主桁92及び補剛材94は、いずれもプレート91に溶接によって接合されていてもよいし、一部がプレート91と一体に形成されていてもよい。また、継手板93は、主桁92に溶接によって接合されていてもよいし、一部が主桁92と一体に形成されていてもよい。
【0072】
連結部95は、連結部40と同じ構成であり、外側プレート91の両端部に設けられている。隅角部セグメント3側の連結部95は、隅角部セグメント3の内側ピース72の連結部40に連結される。
【0073】
(本体部:補強部)
図4、
図11~
図16に示すように、補強部83は、直線部セグメント4を補強するものであり、直線部セグメント4に作用する引張力を主桁等に逃がして直線部セグメント4の曲げ強度を高め、損壊を防止する。また、補強部83は、打設される中詰材62との一体性を高める機能を有する。
補強部83は、例えば、鉄筋で構成された棒状の部材である。補強部83のうち、一部の補強部83aは、一端が外側ピース81の補剛材94に連結されており、他端が内側ピース82の補剛材94に連結されている。補強部83aは、外側ピース81と内側ピース82とを連結する連結部としての機能も備えている。
図15に示すように、補強部83aは、その延在方向が直線部セグメント4の延在方向に直交する方向に沿って配置されている。すなわち、補強部83aは、互いに平行に配置されている。補強部83は、締結板84を介して補剛材94に連結されているが、補強部83aを補剛材94に直接連結してもよい。
【0074】
図4に示すように、一部の補強部83bは、一端が締結板74を介して外側ピース81の補剛材94に連結されている。
図12、
図13に示すように、補強部83bの他端は湾曲形成されて鉤状に形成されており、隅角部セグメント3の内側プレート72における第1の躯体部10のプレート11の外面に設けられた係止板75に係止されている。ここで、係止板75は、プレート11の外面に対して直角に立設された板材であり、長孔や凹部等の係止部75aが形成されている。補強部83bは、鉤状に形成された他端を係止部75aに係止した状態で、一端が締結板74を介して外側ピース81の補剛材94に連結されている。
補強部83bは、外壁側の隅角部の頂点Mと、内壁側の隅角部の頂点Nとを結んだ直線Lに直交する直線Jに沿って配置されている。各補強部83bは、互いの延在方向が平行となるように配置されている。各補強部83bは、互いに等間隔に配置されている。
【0075】
(中詰材)
図3に示すように、中詰材62は、外側ピース81と内側ピース82とによって挟まれた空間内に充填されるものであり、例えば、コンクリート、ソイルセメント、モルタル、スラグ等が用いられる。
中詰材62を打設すると、補強部83が中詰材62内に埋没することになり、中詰材62の固化後には、補強部83は中詰材62と一体に結合されて、直線部セグメント4の強度を高め、外側ピース81と内側ピース82と中詰材62との相対的な位置のずれが抑制される。
【0076】
以上のように、地中構造物100を構成する合成セグメントである隅角部セグメント3は、掘削装置110等の搬送物を案内する案内部51が本体部50に設けられているので、施工中に硬い地盤に突き当たり、掘削装置110が必要となった場合であっても、その時点で施工を中断して地中構造物100の内壁面に案内部51を設置する必要がない。これにより、施工工程を大幅に増加させることもなく、施工効率の低下を抑制することができる。特に、地上から深い位置で硬い地盤に突き当たった場合に絶大な効果を発揮する。
また、案内部51は、隅角部セグメント3を連結して地中に沈設する前に隅角部セグメント3に備えられているので、スペース等の制約が多い施工現場ではなく、工場で事前に製造しておくことができるので、施工現場での施工効率を高めることができ、隅角部セグメント3の品質を高めることもできる。
また、案内部51は、その一端部が、本体部50における地中構造物100の軸線方向に沿った一方の端縁に一致するように本体部50に設けられ、その長さが本体部50における地中構造物100の軸線方向に沿った長さの整数倍となるように形成されているので、環状体1,2を積み重ねて連結していく際に、環状体1,2の連結部位と案内部51の連結部位を同じ高さで連結することができる。これにより、地中構造物100の施工効率を向上させることができる。また、このような構成とすることにより、同じ構成の隅角部セグメント3を用いることができるので、少ない種類の隅角部セグメント3を用いて施工することができ、隅角部セグメント3の製造工程を最小限にとどめることができ、コストを削減することができる。
ここで、地中構造物100の断面を矩形状に形成する場合には、案内部51を本体部50における地中構造物100の軸線方向に沿った長さの2倍とすることで、環状体1,2を積み重ねて連結した際に案内部51を地中構造物100の軸線方向に沿って直線上に配置することができる。これにより、掘削装置110等の搬送物を地中構造物100の軸線方向に沿って真っすぐに移動させることができる。
また、案内部51は、内側ピース72の第1の躯体部10におけるスキンプレート11に設けられているので、案内部51を設置するために隅角部セグメント3の各構成を変更する必要がなく、溶接等で簡単に設けることができる。
【0077】
また、環状体1,2がその軸線方向(高さ方向)に積み重ねられて連結されることにより構築される地中構造物100によれば、矩形断面の環状体1,2の直線部及び隅角部の双方において、外側ピース71,81と内側ピース72,82とを連結することで隅角部セグメント3及び直線部セグメント4が構成される。これにより、大断面での施工に際しても、外側ピース71,81と内側ピース72,82とを別個に製作して施工現場に搬送し、施工現場で、組み立て、中詰材52,62を打設して大きな合成セグメントを構築することができる。よって、大断面での施工に対応することができ、施工効率の低下を抑制することができる。
また、直線部セグメント4を形成する外側ピース81及び内側ピース82は、湾曲されておらず、各部が直線状に延在しているため、運搬の際、トラック等の輸送機器に重ねて積載することができ、輸送効率が高い。
一方、隅角部セグメント3を形成する矩形断面の隅角部を構成する外側ピース71及び内側ピース72も、ピースを長手方向にずらして重ねれば、運搬の際、トラック等の輸送機器にコンパクトに積載することができる。
【0078】
また、隅角部セグメント3において、外側ピース71と内側ピース72の連結は、少なくとも地中構造物100の外壁を形成する直線部セグメント4における外側ピース81のプレート91の延長線上、及び、地中構造物100の内壁を形成する直線部セグメント4における内側ピース82のプレート91の延長線上の2箇所で行っている。これにより、直線状に延在する外側ピース71及び内側ピース72との力の伝達が効率的に行え、隅角部に発生する断面方向の曲げモーメントに対して、経済的で簡素な構造で抵抗することができる。
また、隅角部セグメント3は、第2の躯体部20及び第3の躯体部30を備えており、これらが互いに連結されているので、隅角部セグメント3の強度を高めることができ、曲げモーメントに耐えるために設けられる補強部73,83の数を減らすことができる。また、補強部73,83を細くすることもできる。
【0079】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られるものではない。
案内部は、断面が矩形状の地中構造物100における隅角部を形成する合成セグメントに備えられているものに限らず、例えば、
図18、
図19に示すように、断面形状が円形状の地中構造物100a,100bにおける合成セグメント(円弧状セグメント)3c,3dに備えられていてもよい。この場合、合成セグメント3c,3dは、その長さ方向に円弧状に湾曲して形成されているので、案内部56a,56bにおけるプレート11a,11bとの接合部は、プレート11a,11bの湾曲面に合わせて湾曲するように形成されていることが好ましい。なお、プレート11a,11bの壁面の曲率が小さい場合には、案内部56a,56bにおけるプレート11a,11bとの接合部は、湾曲するように形成しなくてもよい。
【0080】
ここで、断面が円形状の地中構造物100a,100bの場合には、環状体1a,1bの圧入に対する地盤の抵抗が環状体1a,1bを構成する各合成セグメント3c,3dで均等であるため、案内部を設ける位置が限られることはなく、任意の位置に案内部56a,56bを設置することができる。
また、断面が円形状の地中構造物100a,100bの場合には、環状体1a,1bを構成する合成セグメント3c,3dの継ぎ目を隣接する環状体1a,1b間でどの程度の距離をずらすかによって、合成セグメント3c,3dの継ぎ目位置が地中構造物100a,100bの軸線方向に沿って同じ位置になる周期が異なる。
例えば、
図18に示すように、合成セグメント3cの継ぎ目位置を、合成セグメント3cの長さの1/2の長さだけずらして環状体1aを積み重ねて連結する場合には、合成セグメント3cの継ぎ目位置は、環状体1aの2段毎に地中構造物100aの軸線方向に沿って同じ位置になる。この場合には、案内部56aの長さを合成セグメント3cの高さの2倍となるように形成すればよい。
また、
図19に示すように、合成セグメント3dの継ぎ目位置を、合成セグメント3dの長さの1/3の長さだけずらして環状体1bを積み重ねて連結する場合には、合成セグメント3dの継ぎ目位置は、環状体1bの3段毎に地中構造物100bの軸線方向に沿って同じ位置になる。この場合には、案内部56bの長さを合成セグメント3dの高さの3倍となるように形成すればよい。
【0081】
図19に示す地中構造物100bの場合には、
図20に示すように、案内部56bの長さが合成セグメント3dの高さの3倍に形成されている場合、案内部56bを備える一つの合成セグメント3dと案内部56bを備えない二つの合成セグメント3e(案内部56b以外の構成は合成セグメント3dと同じ)とを地中構造物100bの軸線方向に沿って互いに連結することにより、合成セグメント3dの案内部56bが合成セグメント3d自身と合成セグメント3eの双方の案内部として軸線方向に沿って一直線上に配置される。したがって、合成セグメント3d、合成セグメント3e、合成セグメント3eの順に配置して連結するとともに、案内部56bの上端部とその上方に隣接する案内部56bの下端部とを連結し、案内部56bの下端部とその下方に隣接する案内部56bの上端部とを連結することで、案内部56bが地中構造物100bの軸線方向に沿って直線上に形成される。案内部56b同士の連結構造は、上述した案内部51同士の連結構造と同じである。
【0082】
案内部51を構成するものは、上述したレール状に形成された部材に限られるものではなく、掘削装置等の搬送物を搬送する際のガイドとなる部材で、本体部50に設置できるものであれば、その形状、大きさ、材質等は問わず、自由に変更可能である。
また、案内部51の連結方法も上述した連結板を用いた溶接による接合に限られるものではなく、隣接する案内部51同士を連結するものであれば自由に変更可能である。
また、各躯体部10,20,30を構成するプレート11,21,31、主桁12,22,32、継手板13,23,33、補剛材14,24,34、連結部40,95、補強部73,83の数、形状、設置位置は、セグメントとしての強度を満たす範囲で自由に変更可能である。
【0083】
地中構造物100を構成する環状体1,2の隅角部の数も自由に変更可能である。例えば、環状体1,2を上記実施の形態のような矩形に限らず、三角形、五角形、六角形等に形成することが可能である。
環状体1,2の外側ピース71,81及び内側ピース72,82における第2の躯体部20及び第3の躯体部30は、必ずしも同じ長さに形成する必要はなく、第1の躯体部10の延在方向が平行となるように第2の躯体部20及び第3の躯体部30の長さを変更可能である。
隣接するセグメントの継ぎ目(境界)に仕切板を設けてもよい。この場合、仕切板は、外側ピース71,81と内側ピース72,82において、対向する継手板13,23,33同士を連結するように設けられる。これにより、環状体1,2の強度を高めることができ、さらには中詰材52,62を特定のセグメントに集中して打設することができるようになる。
【符号の説明】
【0084】
1,2 環状体
3,3a 隅角部セグメント
3c,3d 円弧状セグメント
4 直線部セグメント
10 第1の躯体部
11,21,31,91 プレート
12,22,32,92 主桁
13,23,33,93 継手板
14,24,34,94 補剛材
20 第2の躯体部
30 第3の躯体部
40,95 連結部
50,60 本体部
51 案内部
51a 傾斜面
51b 傾斜面
58 連結板
52,62 中詰材
71,71a,81,81a 外側ピース(セグメントピース)
72,72a,82,82a 内側ピース(セグメントピース)
73,83 補強部
74 締結板
75 係止板
76 支圧部
100 地中構造物