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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】運転支援システム及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220930BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01C21/26 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019026229
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020135258
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長須賀 弘文
(72)【発明者】
【氏名】尾白 大知
(72)【発明者】
【氏名】栗山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公則
(72)【発明者】
【氏名】篠原 雄飛
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-067234(JP,A)
【文献】特開平09-008752(JP,A)
【文献】特開2003-097954(JP,A)
【文献】特開2008-143520(JP,A)
【文献】特開平10-104006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶装置と、出力装置と、を有する運転支援システムであって、
前記記憶装置は、車両の走行環境を示す走行環境情報と、前記車両の運転者の運転特性を示す運転特性情報と、を保持し、
前記プロセッサは、
前記走行環境情報に基づいて、前記車両の走行環境に対応したメッセージを生成し、
前記運転特性情報に基づいて、前記車両の運転者の運転特性に対応したメッセージを生成し、
前記出力装置は、前記走行環境に対応したメッセージと、前記運転特性に対応したメッセージとを、相違する態様で出力し、
前記記憶装置は、前記走行環境に対応したメッセージと前記運転特性に対応したメッセージとのいずれの優先度が高いかを示す優先度情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記走行環境に対応したメッセージを生成すると、それを前記記憶装置内の走行環境向けメッセージキューに格納し、
前記走行環境向けメッセージキューに一つ以上の前記走行環境に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記走行環境に対応したメッセージの優先度が高い場合、前記走行環境向けメッセージキューに格納された全ての前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させ、
前記走行環境向けメッセージキューに一つ以上の前記走行環境に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記走行環境に対応したメッセージの優先度が高くない場合、前記走行環境向けメッセージキューに格納された最初の前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させた後、所定の時間、次の前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させず、
前記運転特性に対応したメッセージを生成すると、それを前記記憶装置内の運転特性向けメッセージキューに格納し、
前記運転特性向けメッセージキューに一つ以上の前記運転特性に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記運転特性に対応したメッセージの優先度が高い場合、前記運転特性向けメッセージキューに格納された全ての前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させ、
前記運転特性向けメッセージキューに一つ以上の前記運転特性に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記運転特性に対応したメッセージの優先度が高くない場合、前記運転特性向けメッセージキューに格納された最初の前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させた後、所定の時間、次の前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させないことを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援システムであって、
前記態様の相違は、メッセージの音声を発声する人物の相違、メッセージの音声の周波数の相違、メッセージの音声の調子の相違、メッセージに付加された音声の相違、及び、メッセージに付加された振動の相違の少なくともいずれかであることを特徴とする運転支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の運転支援システムであって、
前記プロセッサは、
前記走行環境に対応したメッセージを、男性又は女性の一方の声による音声メッセージとして生成し、
前記運転特性に対応したメッセージを、男性又は女性の他方の声による音声メッセージとして生成し、
前記出力装置は、前記プロセッサによって生成された男性又は女性の声による音声メッセージを出力することによって、前記走行環境に対応したメッセージと、前記運転特性に対応したメッセージとを、相違する態様で出力することを特徴とする運転支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の運転支援システムであって、
前記プロセッサは、前記走行環境向けメッセージキューに格納された前記走行環境に対応したメッセージ及び前記運転特性向けメッセージキューに格納された前記運転特性に対応したメッセージのうち、所定の削除条件を満たしたメッセージを削除することを特徴とする運転支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の運転支援システムであって、
ネットワークに接続される通信インターフェースをさらに有し、
前記運転支援システムは前記車両に搭載され、
前記走行環境情報は、前記ネットワークを介して取得した天候及び交通状況の少なくとも一方に関する情報を含むことを特徴とする運転支援システム。
【請求項6】
プロセッサと、記憶装置と、出力装置と、を有する運転支援システムであって、
前記記憶装置は、2種類以上の運転を支援する情報を保持し、
前記プロセッサは、前記2種類以上の運転を支援する情報の各々に対応したメッセージを生成し、
前記出力装置は、前記2種類以上の運転を支援する情報の各々に対応したメッセージを、前記情報の種類ごとに、相違する態様で出力し、
前記記憶装置は、前記2種類以上の運転を支援する情報のうち第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージと、前記2種類以上の運転を支援する情報のうち第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージとのいずれの優先度が高いかを示す優先度情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージを生成すると、それを前記記憶装置内の第1の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに格納し、
前記第1の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに一つ以上の前記第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージの優先度が高い場合、前記第1の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに格納された全ての前記第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージを前記出力装置に出力させ、
前記第1の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに一つ以上の前記第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージの優先度が高くない場合、前記第1の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに格納された最初の前記第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージを前記出力装置に出力させた後、所定の時間、次の前記第1の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージを前記出力装置に出力させず、
前記第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージを生成すると、それを前記記憶装置内の第2の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに格納し、
前記第2の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに一つ以上の前記第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージの優先度が高い場合、前記第2の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに格納された全ての前記第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージを前記出力装置に出力させ、
前記第2の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに一つ以上の前記第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージの優先度が高くない場合、前記第2の種類の運転を支援する情報向けメッセージキューに格納された最初の前記第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージを前記出力装置に出力させた後、所定の時間、次の前記第2の種類の運転を支援する情報に対応したメッセージを前記出力装置に出力させないことを特徴とする運転支援システム。
【請求項7】
プロセッサと、記憶装置と、出力装置と、を有する運転支援システムが実行する運転支援方法であって、
前記記憶装置は、車両の走行環境を示す走行環境情報と、前記車両の運転者の運転特性を示す運転特性情報と、を保持し、
前記運転支援方法は、
前記プロセッサが、前記走行環境情報に基づいて、前記車両の走行環境に対応したメッセージを生成する第1手順と、
前記プロセッサが、前記運転特性情報に基づいて、前記車両の運転者の運転特性に対応したメッセージを生成する第2手順と、
前記出力装置が、前記走行環境に対応したメッセージと、前記運転特性に対応したメッセージとを、相違する態様で出力する第3手順と、を含み、
前記記憶装置は、前記走行環境に対応したメッセージと前記運転特性に対応したメッセージとのいずれの優先度が高いかを示す優先度情報を保持し、
前記第1手順において、前記プロセッサは、
前記走行環境に対応したメッセージを生成すると、それを前記記憶装置内の走行環境向けメッセージキューに格納し、
前記走行環境向けメッセージキューに一つ以上の前記走行環境に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記走行環境に対応したメッセージの優先度が高い場合、前記走行環境向けメッセージキューに格納された全ての前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させ、
前記走行環境向けメッセージキューに一つ以上の前記走行環境に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記走行環境に対応したメッセージの優先度が高くない場合、前記走行環境向けメッセージキューに格納された最初の前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させた後、所定の時間、次の前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させず、
前記第2手順において、前記プロセッサは、
前記運転特性に対応したメッセージを生成すると、それを前記記憶装置内の運転特性向けメッセージキューに格納し、
前記運転特性向けメッセージキューに一つ以上の前記運転特性に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記運転特性に対応したメッセージの優先度が高い場合、前記運転特性向けメッセージキューに格納された全ての前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させ、
前記運転特性向けメッセージキューに一つ以上の前記運転特性に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記運転特性に対応したメッセージの優先度が高くない場合、前記運転特性向けメッセージキューに格納された最初の前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させた後、所定の時間、次の前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させないことを特徴とする運転支援方法。
【請求項8】
請求項7に記載の運転支援方法であって、
前記態様の相違は、メッセージの音声を発声する人物の相違、メッセージの音声の周波数の相違、メッセージの音声の調子の相違、メッセージに付加された音声の相違、及び、メッセージに付加された振動の相違の少なくともいずれかであることを特徴とする運転支援方法。
【請求項9】
請求項8に記載の運転支援方法であって、
前記第1手順において、前記プロセッサは、前記走行環境に対応したメッセージを、男性又は女性の一方の声による音声メッセージとして生成し、
前記第2手順において、前記プロセッサは、前記運転特性に対応したメッセージを、男性又は女性の他方の声による音声メッセージとして生成し、
前記第3手順において、前記出力装置は、前記プロセッサによって生成された男性又は女性の声による音声メッセージを出力することを特徴とする運転支援方法。
【請求項10】
請求項7に記載の運転支援方法であって、
前記第1手順及び前記第2手順において、前記プロセッサは、前記走行環境向けメッセージキューに格納された前記走行環境に対応したメッセージ及び前記運転特性向けメッセージキューに格納された前記運転特性に対応したメッセージのうち、所定の削除条件を満たしたメッセージを削除することを特徴とする運転支援方法。
【請求項11】
請求項7に記載の運転支援方法であって、
前記運転支援システムは、
ネットワークに接続される通信インターフェースをさらに有し、
前記車両に搭載され、
前記走行環境情報は、前記ネットワークを介して取得した天候又は交通状況の少なくとも一方に関する情報を含むことを特徴とする運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の運転を支援する技術として、例えば特開2017-68673(特許文献1)がある。特許文献1には、「実施形態による運転支援装置は、車両の周囲の状況を認識する認識処理部と、認識処理部によって認識された前記車両の周囲の状況に応じて運転支援制御を実行する運転支援処理部と、車両の周囲の状況が変化した場合に、車両の周囲の状況の変化を表示部に表示する表示処理部と、車両の運転者の視線に関する情報を検出する検出処理部と、認識状況が変化した場合に、表示部とは別の通知部を用いて、車両の周囲の状況が変化したことを運転者に通知する第1の通知を出力し、第1の通知を出力した後、検出処理部による検出結果に基づき、運転者の視線が表示部に向いていることが検出されない場合に、通知部を用いて、車両の周囲の状況が変化したことを運転者に再度通知する第2の通知を出力する出力処理部とを備える。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-68673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の運転を支援するために、運転者に異なる種類の情報が提供される場合がある。異なる種類の情報とは、例えば、車両の走行環境に関する情報と、運転者の特性に関する情報である。前者の例は、道路の形状、天候及び交通状況など、運転者が誰であるかにかかわらず提供される情報であり、後者の例は、運転者の運転の特性に関連する情報など、運転者が誰であるかによって提供の有無及び提供される内容が変わり得る情報である。このような情報を種類の区別が容易な形態で運転者に提供することが望ましい場合がある。また、このような複数の種類の情報が提供されるタイミングが重なった場合、いずれかを優先する処理が必要となる場合がある。しかし、上記の特許文献1には、異なる種類の情報の提供については記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、本願において開示される発明の代表的な一例は、プロセッサと、記憶装置と、出力装置と、を有する運転支援システムであって、前記記憶装置は、車両の走行環境を示す走行環境情報と、前記車両の運転者の運転特性を示す運転特性情報と、を保持し、前記プロセッサは、前記走行環境情報に基づいて、前記車両の走行環境に対応したメッセージを生成し、前記運転特性情報に基づいて、前記車両の運転者の運転特性に対応したメッセージを生成し、前記出力装置は、前記走行環境に対応したメッセージと、前記運転特性に対応したメッセージとを、相違する態様で出力し、前記記憶装置は、前記走行環境に対応したメッセージと前記運転特性に対応したメッセージとのいずれの優先度が高いかを示す優先度情報を保持し、前記プロセッサは、前記走行環境に対応したメッセージを生成すると、それを前記記憶装置内の走行環境向けメッセージキューに格納し、前記走行環境向けメッセージキューに一つ以上の前記走行環境に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記走行環境に対応したメッセージの優先度が高い場合、前記走行環境向けメッセージキューに格納された全ての前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させ、前記走行環境向けメッセージキューに一つ以上の前記走行環境に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記走行環境に対応したメッセージの優先度が高くない場合、前記走行環境向けメッセージキューに格納された最初の前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させた後、所定の時間、次の前記走行環境に対応したメッセージを前記出力装置に出力させず、前記運転特性に対応したメッセージを生成すると、それを前記記憶装置内の運転特性向けメッセージキューに格納し、前記運転特性向けメッセージキューに一つ以上の前記運転特性に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記運転特性に対応したメッセージの優先度が高い場合、前記運転特性向けメッセージキューに格納された全ての前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させ、前記運転特性向けメッセージキューに一つ以上の前記運転特性に対応したメッセージが格納されており、かつ、前記運転特性に対応したメッセージの優先度が高くない場合、前記運転特性向けメッセージキューに格納された最初の前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させた後、所定の時間、次の前記運転特性に対応したメッセージを前記出力装置に出力させないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、運転者が運転操作中に提供されたメッセージがいずれの種類のメッセージであるかを容易に判別することができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例の運転支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例の指示センタの構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施例の運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施例の運転支援装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の実施例の運転支援装置が保持するメッセージレコードの一例を示す説明図である。
図6】本発明の実施例の運転支援装置が保持するプライオリティ定義フラグの一例を示す説明図である。
図7】本発明の実施例の運転支援装置の走行環境に対応したメッセージの送信部の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施例の運転支援装置の運転特性に対応したメッセージの送信部の処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施例の運転支援装置の音声生成部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施例の運転支援システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
本実施例の運転支援システム100は、指示センタ101、ネットワーク102、及び、一つ以上の車両104に搭載された一つ以上の運転支援装置103を有する。例えば、一つ以上の車両104は、運送会社等が管理するトラック等の車両であり、指示センタ101は当該運送会社等がトラック等の運行を管理するためのセンタであってもよい。あるいは車両104は、バス又はタクシー等の旅客業で使用される車両であり、指示センタ101は営業所等の運行管理センタであってもよい。
【0011】
図2は、本発明の実施例の指示センタ101の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
本実施例の指示センタ101は、相互に接続された通信インターフェース201、プロセッサ202、主記憶装置203及び補助記憶装置204を有する計算機システムである。
【0013】
通信インターフェース201は、ネットワーク102に接続され、各運転支援装置103との通信を行う。
【0014】
プロセッサ202は、主記憶装置203に格納されたプログラムを実行することによって種々の機能を実現する。主記憶装置203は、例えばDRAM等の半導体記憶装置であり、補助記憶装置204は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等の比較的大容量の記憶装置である。これらの記憶装置には、プロセッサ202によって実行されるプログラム及びプロセッサ202が参照するデータ等が格納される。
【0015】
図2の例では、主記憶装置203に制御部205が格納され、補助記憶装置204に位置情報206、天候情報207及び交通情報208が格納される。制御部205は、指示センタ101の機能を実現するためのプログラムである。無論、図2の例に限らず、制御部205は、補助記憶装置204側に格納され、必要に応じてその少なくとも一部が主記憶装置203に格納されることで、プロセッサ202によって参照されるような態様であってもよい。
【0016】
位置情報206は、各車両104の位置を示す情報である。天候情報207は、各地の天候を示す情報である。交通情報208は、例えば道路の混雑状況及び交通規制の有無等の交通状況を示す情報である。位置情報206、天候情報207及び交通情報208の少なくとも一部が必要に応じて主記憶装置203に格納されてもよい。
【0017】
制御部205によって実現される指示センタ101の機能は、例えば次の通りである。すなわち、指示センタ101は、ネットワーク102を介して各車両104の位置を収集して位置情報206として格納する。そして、指示センタ101は、各車両104の位置を含む地域における天候及び交通状況をそれぞれ天候情報207及び交通情報208から抽出し、抽出した情報に基づいて各車両104に対する指示を生成し、ネットワーク102を介してその指示を各車両104に送信してもよい。あるいは、指示センタ101は、天候情報207及び交通情報208から抽出した天候の情報及び交通状況の情報そのものを各車両104に送信してもよい。
【0018】
図3は、本発明の実施例の運転支援装置103の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
本実施例の運転支援装置103は、相互に接続された通信インターフェース301、プロセッサ302、入力装置303、音声出力装置304、画像出力装置305、位置センサ306、主記憶装置307及び補助記憶装置308を有する計算機システムである。
【0020】
通信インターフェース301は、ネットワーク102に接続され、指示センタ101との通信を行う。
【0021】
プロセッサ302は、主記憶装置307に格納されたプログラムを実行することによって種々の機能を実現する。主記憶装置307は、例えばDRAM等の半導体記憶装置であり、補助記憶装置308は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等の比較的大容量の記憶装置である。これらの記憶装置には、プロセッサ302によって実行されるプログラム及びプロセッサ302が参照するデータ等が格納される。
【0022】
図3の例では、主記憶装置307に走行環境に対応したメッセージの送信部309、走行環境向けメッセージキュー310、運転特性に対応したメッセージの送信部311、運転特性向けメッセージキュー312、音声生成部313、音声出力部314、プライオリティ定義ファイル315及び超過時間定義ファイル316が格納され、補助記憶装置308に走行環境データベース(DB)317、地図データベース318、メッセージデータベース319及び運転特性データベース320が格納される。なお、図3の例では走行環境データベース317、地図データベース318、メッセージデータベース319及び運転特性データベース320が運転支援装置103の内部に保持されているが、これらは運転支援装置103に接続された外部の記憶装置又は計算機等に保持されてもよい。
【0023】
走行環境に対応したメッセージの送信部309、運転特性に対応したメッセージの送信部311、音声生成部313及び音声出力部314は、運転支援装置103の機能を実現するためのプログラムである。これらのプログラムは、補助記憶装置308に格納され、必要に応じてその少なくとも一部が主記憶装置307に格納され、プロセッサ302によって参照されてもよい。
【0024】
走行環境向けメッセージキュー310及び運転特性向けメッセージキュー312は、それぞれ、走行環境に対応したメッセージの送信部309及び運転特性に対応したメッセージの送信部311によって生成されたメッセージを含むメッセージレコード(後述)を生成された順に保持し、その順に出力する。
【0025】
プライオリティ定義ファイル315は、走行環境に対応したメッセージと運転特性に対応したメッセージとのどちらを優先するかを示すプライオリティ定義フラグ(後述)を保持する。超過時間定義ファイル316は、古いメッセージを出力せずに削除するための条件である超過時間を保持する。
【0026】
走行環境データベース317には、各車両104の走行環境を示す情報が格納される。走行環境を示す情報は、例えば、各車両104の所在地周辺の道路の形状、地形、指示センタ101から取得した天候及び交通状況等を含んでもよい。あるいは、走行時間(日中・夜間など)、朝日や夕日によるまぶしさの程度といった走行時間や季節的な情報に加え、埃による視界不良などの情報があればこれを含んでもよい。
【0027】
地図データベース318には、少なくとも各車両104の所在地及び目的地を含む地域の地図情報が格納される。そのほか、地図データベース318は、地図に付属する法定速度や一時停止地点などの道路標識情報を含んでも良い。
【0028】
メッセージデータベース319には、走行環境に対応したメッセージの送信部309及び運転特性に対応したメッセージの送信部311によって生成されるメッセージが格納される。例えば、メッセージデータベース319に多数のメッセージが予め格納されており、走行環境に対応したメッセージの送信部309及び運転特性に対応したメッセージの送信部311は、それらから適切なものを選択することによってメッセージを生成してもよい。
【0029】
運転特性データベース320には、各車両104の運転者の運転に関する特性を示す情報が格納される。運転者の運転に関する特性とは、例えば、スピードを上げがちである、又は、車間距離が短くなりがちである、といった、当該運転者に固有の傾向を示す情報である。
【0030】
入力装置303は、運転支援装置103のユーザ(例えば当該運転支援装置103を搭載した車両104の運転者又はその同乗者)からの入力を受け付ける装置であり、例えば、音声入力用のマイク、ボタン又はタッチパネル等であってもよい。音声出力装置304は、ユーザに対して音声情報を出力する装置であり、例えばスピーカ及びそれを駆動するための増幅器等を含んでもよい。画像出力装置305は、ユーザに対して画像情報を出力する装置であり、例えば液晶ディスプレイ等を含んでもよい。
【0031】
位置センサ306は、例えばGPS(Global Positioning System)端末であり、運転支援装置103の(すなわちそれが搭載された車両104の)位置を計測する。運転支援装置103は、例えば、定期的に位置センサ306が計測した位置を指示センタ101に送信してもよい。その場合、指示センタ101は、各車両104の運転支援装置103から受信した位置を位置情報206として保持する。また、運転支援装置103は、車両104の周囲を撮影するカメラ等の任意の種類のセンサをさらに有してもよいし、車両104に設置された同様のセンサからの情報をネットワーク102を介して受信してもよい。
【0032】
図4は、本発明の実施例の運転支援装置103の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0033】
図4では、走行環境に対応したメッセージの送信部309、運転特性に対応したメッセージの送信部311、音声生成部313及び音声出力部314は、プロセッサ302が主記憶装置307に格納されたプログラムを実行することによって実現される機能を示している。以下の説明においてこれらの各部が実行する処理は、実際にはプロセッサ302が主記憶装置307に格納されたプログラムに従って必要に応じて運転支援装置103の各部を制御することによって実行される。
【0034】
図4に示すように、走行環境に対応したメッセージの送信部309及び運転特性に対応したメッセージの送信部311が出力されるべきメッセージを生成する。生成されたメッセージは、走行環境向けメッセージキュー310及び運転特性向けメッセージキュー312に格納される。音声生成部313は、生成されたメッセージを読み上げる音声を生成し、音声出力部314が音声を出力する。
【0035】
図5は、本発明の実施例の運転支援装置103が保持するメッセージレコードの一例を示す説明図である。
【0036】
本実施例のメッセージレコード500は、メッセージ識別子501、タイムスタンプ502及びメッセージ503を含む。メッセージ503は、走行環境に対応したメッセージの送信部309又は運転特性に対応したメッセージの送信部311によって生成されたメッセージである。メッセージ識別子501は、当該メッセージ503が走行環境に対応したメッセージ又は運転特性に対応したメッセージのいずれであるか、すなわち、走行環境に対応したメッセージの送信部309又は運転特性に対応したメッセージの送信部311のいずれによって生成されたものであるかを示す。例えば、メッセージ識別子501の値「0」及び「1」は、それぞれ、当該メッセージ503が走行環境に対応したメッセージ及び運転特性に対応したメッセージを示す。タイムスタンプ502は、当該メッセージ503が生成された時刻を示す。
【0037】
メッセージ識別子501の値が「0」であるメッセージレコード500が走行環境向けメッセージキュー310に、メッセージ識別子501の値が「1」であるメッセージレコード500が運転特性向けメッセージキュー312に、それぞれ格納される。走行環境向けメッセージキュー310及び運転特性向けメッセージキュー312には、それぞれ複数のメッセージレコード500が格納される場合がある。
【0038】
図6は、本発明の実施例の運転支援装置103が保持するプライオリティ定義フラグの一例を示す説明図である。
【0039】
本実施例のプライオリティ定義フラグ600は、プライオリティ定義ファイル315に含まれる。プライオリティ定義フラグ600の値「0」は、走行環境に対応したメッセージが優先されることを、プライオリティ定義フラグ600の値「」は、運転特性に対応したメッセージが優先されることを、それぞれ示す。
【0040】
プライオリティ定義フラグ600の値は、例えば指示センタ101の管理者によって、又は運転支援装置103のユーザによって、予め設定される。例えば、重要性が高いと判断された種類のメッセージについて、高い優先度を設定することができる。また、プライオリティ定義フラグ600の値は、運転支援装置103ごとに異なってもよい。例えば、指示センタ101の管理者は、運転の習熟度が低い運転者が使用する運転支援装置103については、運転特性に対応したメッセージが優先されることを示す値をプライオリティ定義フラグ600に設定してもよい。あるいは、指示センタ101の管理者は、劣悪な環境下を走行することが予定されている車両104の運転支援装置103については、走行環境に対応したメッセージが優先されることを示す値をプライオリティ定義フラグ600に設定してもよい。
【0041】
後述するように、このようにして設定されたプライオリティ定義フラグ600に従って、優先度の高い種類のメッセージを優先的に出力することによって、重要な情報を確実にユーザに伝えることができる。
【0042】
図7は、本発明の実施例の運転支援装置103の走行環境に対応したメッセージの送信部309の処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
最初に、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、走行環境に対応したメッセージを作成して、作成したメッセージを新しいメッセージレコード500に代入する(ステップ701)。このメッセージの作成は、公知の技術など、任意の方法で行うことができるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
例えば、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、位置センサ306によって検出された車両104の現在地と、現在地から目的地までの経路とに基づいて、現在地またはこれから通過する地点の走行環境の情報を走行環境データベース317から検索し、その走行環境に対応するメッセージをメッセージデータベース319から取得して、それをメッセージレコード500に代入してもよい。
【0045】
具体的には、例えば、走行環境の情報として、進行方向に急な上り坂、急な下り坂又は急なカーブがあるといった、地形又は道路の形に関する情報が取得されてもよいし、進行方向に渋滞が発生している又は交通規制が行われているといった交通状況に関する情報が取得されてもよいし、降雨又は降雪が予想されるといった天候に関する情報が取得されてもよい。あるいは、過去の道路情報をもとに、事故、落下物、飛び出しなどの多発するような地点においては、かかるメッセージが取得されるようにしてもよい。あるいは、夜間の場合にはヘッドライトの点灯を促したり、制限速度や道路標識情報に関して注意喚起したりするようなメッセージを取得するようにしてもよい。走行環境に対応したメッセージの送信部309は、取得した情報を通知するためのメッセージを生成してもよいし、さらに、その情報に対応して車両104の運転に関する注意(例えば前方注意又は速度抑制など)を喚起するためのメッセージを生成してもよい。
【0046】
次に、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、メッセージレコード500のメッセージ識別子501に、当該メッセージが走行環境に対応したメッセージであることを示す値(本実施例では「0」)を代入する(ステップ702)。
【0047】
次に、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、メッセージレコード500のタイムスタンプ502に、当該メッセージを作成した時刻を代入する(ステップ703)。
【0048】
次に、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、当該メッセージレコード500を走行環境向けメッセージキュー310の末尾にエンキューする(ステップ704)。
【0049】
次に、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、走行環境向けメッセージキュー310の全てのメッセージレコード500から、タイムスタンプ502の値と現在時刻との差分が超過時間定義ファイル316に定義された時間を超えたメッセージレコード500を抽出する(ステップ705)。
【0050】
次に、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、ステップ705において少なくとも一つのメッセージレコード500が抽出されたかを判定し(ステップ706)、抽出された場合(ステップ706:YES)、当該メッセージレコード500を走行環境向けメッセージキュー310から削除する(ステップ707)。一方、ステップ705においてメッセージレコード500が一つも抽出されなかった場合(ステップ706:NO)、ステップ707は実行されない。
【0051】
上記のステップ705からステップ707を実行することによって、古いメッセージレコード500が削除される。これによって、もはや出力する必要がなくなった古いメッセージの出力が防止される。
【0052】
なお、本実施例では上記のようにメッセージを削除するか否かの判断をメッセージが作成されてからの経過時間に基づいて行っているが、これはメッセージの削除の基準(削除条件)の一例であり、別の基準を用いてもよい。例えば、あるメッセージレコード500に含まれるメッセージ503が、急カーブ又は交通規制など、特定の地点に対応付けられている場合において、対応する地点を車両104が通過した後もまだ当該メッセージレコード500が出力されずに残っている場合には、当該メッセージレコード500を削除してもよい。あるいは、天候に関するメッセージレコード500については、それが出力される前に天候の予想が変化した場合に削除してもよい。
【0053】
このように、出力する必要があると判断されて生成されたメッセージであっても、その後の状況の変化によって出力する必要がないと判断が変更された場合には、そのメッセージを削除することで、不要なメッセージの出力による運転者の混乱を防止することができる。
【0054】
次に、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、プライオリティ定義フラグ600が走行環境に対応したメッセージを優先することを示す値(本実施例では「0」)であるかを判定する(ステップ708)。プライオリティ定義フラグ600が走行環境に対応したメッセージを優先することを示す値である場合(ステップ708:YES)、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、走行環境向けメッセージキュー310に格納された全てのメッセージレコード500を、エンキューされた順に全て音声生成部313に出力し、それらのメッセージレコード500を走行環境向けメッセージキュー310から削除する(ステップ709)。
【0055】
一方、プライオリティ定義フラグ600が走行環境に対応したメッセージを優先することを示す値でない場合(ステップ708:NO)、走行環境に対応したメッセージの送信部309は、走行環境向けメッセージキュー310の先頭のメッセージレコード500を音声生成部313に出力し、そのメッセージレコード500を走行環境向けメッセージキュー310から削除し(ステップ710)、所定の時間待機する(ステップ711)。これによって、走行環境向けメッセージキュー310に複数のメッセージレコード500が格納されている場合、次のメッセージレコード500は当該所定の時間出力されない。
【0056】
本実施例では、ステップ708においてプライオリティ定義フラグ600が走行環境に対応したメッセージを優先することを示す値でないと判定されたことは、運転特性に対応したメッセージが優先されることを意味する。この場合、ステップ711において走行環境に対応したメッセージの送信部309が待機している間に、運転特性に対応したメッセージの送信部311が運転特性に対応したメッセージを出力することができる。このとき、運転特性向けメッセージキュー312に複数のメッセージレコードが格納されている場合には、それらが全て出力される(後述する図8のステップ809参照)。これによって、プライオリティ定義フラグ600による定義に従って、運転特性に対応したメッセージが優先的に出力される。その結果、例えば短時間に多数のメッセージが生成された場合などに、重要なメッセージの出力に失敗することが防止される。
【0057】
走行環境に対応したメッセージの送信部309は、ステップ711で所定の時間待機した後、走行環境向けメッセージキュー310の全てのメッセージレコード500を出力したかを判定する(ステップ712)。まだ出力していないメッセージレコード500がある場合(ステップ712:NO)、処理はステップ710に戻る。
【0058】
ステップ709で全てのメッセージレコード500を出力した場合、及び、ステップ712で全てのメッセージレコード500を出力したと判定した場合(ステップ712:YES)、走行環境に対応したメッセージの送信部309は処理を終了する。
【0059】
図8は、本発明の実施例の運転支援装置103の運転特性に対応したメッセージの送信部311の処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
最初に、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、運転特性に対応したメッセージを作成して、作成したメッセージを新しいメッセージレコード500に代入する(ステップ801)。このメッセージの作成は、公知の技術など、任意の方法で行うことができるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
例えば、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、運転特性データベース320から車両104の運転者の運転特性を示す情報を取得し、その運転特性に対応するメッセージをメッセージデータベース319から取得して、それをメッセージレコード500に代入してもよい。このとき、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、位置センサ306によって検出された車両104の現在地と、現在地から目的地までの経路とに基づいて走行環境データベース317から検索された、現在地またはこれから通過する地点の走行環境の情報を利用してもよい。
【0062】
具体的には、例えば、運転特性データベース320から車両104の運転者の運転特性として車両104の速度を上げる傾向があるという情報が得られた場合において、車両104の位置及び目的地までの経路から進行方向に急カーブ又は長い下り坂等があることが特定された場合、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、速度を抑えるように注意喚起するメッセージを生成してもよい。あるいは、運転時間の経過に従い集中力の低下や疲労の蓄積が生じる時間帯を予測し、注意喚起するメッセージを生成してもよい。更には、その日の運行計画に合わせて、時間あるいは拠点ごとに次の走行ルートを知らせるメッセージや、休憩の取得を促すようなメッセージを生成してもよい。
【0063】
次に、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、メッセージレコード500のメッセージ識別子501に、当該メッセージが運転特性に対応したメッセージであることを示す値(本実施例では「1」)を代入する(ステップ802)。
【0064】
次に、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、メッセージレコード500のタイムスタンプ502に、当該メッセージを作成した時刻を代入する(ステップ803)。
【0065】
次に、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、当該メッセージレコード500を運転特性向けメッセージキュー312の末尾にエンキューする(ステップ804)。
【0066】
次に、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、運転特性向けメッセージキュー312の全てのメッセージレコード500から、タイムスタンプ502の値と現在時刻との差分が超過時間定義ファイル316に定義された時間を超えたメッセージレコード500を抽出する(ステップ805)。
【0067】
次に、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、ステップ805において少なくとも一つのメッセージレコード500が抽出されたかを判定し(ステップ806)、抽出された場合(ステップ806:YES)、当該メッセージレコード500を運転特性向けメッセージキュー312から削除する(ステップ807)。一方、ステップ805においてメッセージレコード500が一つも抽出されなかった場合(ステップ806:NO)、ステップ807は実行されない。
【0068】
上記のステップ805からステップ807を実行することによって、古いメッセージレコード500が削除される。これによって、もはや出力する必要がなくなった古いメッセージの出力が防止される。
【0069】
なお、経過時間以外の基準に基づいて出力する必要がないメッセージを抽出してもよいことは、走行環境向けメッセージキュー310からのメッセージレコード500の削除の場合と同様である。
【0070】
次に、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、プライオリティ定義フラグ600が運転特性に対応したメッセージを優先することを示す値(本実施例では「1」)であるかを判定する(ステップ808)。プライオリティ定義フラグ600が運転特性に対応したメッセージを優先することを示す値である場合(ステップ808:YES)、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、運転特性向けメッセージキュー312に格納された全てのメッセージレコード500を、エンキューされた順に全て音声生成部313に出力し、それらのメッセージレコード500を運転特性向けメッセージキュー312から削除する(ステップ809)。
【0071】
一方、プライオリティ定義フラグ600が運転特性に対応したメッセージを優先することを示す値でない場合(ステップ808:NO)、運転特性に対応したメッセージの送信部311は、運転特性向けメッセージキュー312の先頭のメッセージレコード500を音声生成部313に出力し、そのメッセージレコード500を運転特性向けメッセージキュー312から削除し(ステップ810)、所定の時間待機する(ステップ811)。これによって、運転特性向けメッセージキュー312に複数のメッセージレコード500が格納されている場合、次のメッセージレコード500は当該所定の時間出力されない。
【0072】
本実施例では、ステップ808においてプライオリティ定義フラグ600が運転特性に対応したメッセージを優先することを示す値でないと判定されたことは、走行環境に対応したメッセージが優先されることを意味する。この場合、ステップ811において運転特性に対応したメッセージの送信部311が待機している間に、走行環境に対応したメッセージの送信部309が走行環境に対応したメッセージを出力することができる。このとき、走行環境向けメッセージキュー310に複数のメッセージレコードが格納されている場合には、それらが全て出力される(図7のステップ709)。これによって、プライオリティ定義フラグ600の定義に従って、走行環境に対応したメッセージが優先的に出力される。その結果、例えば短時間に多数のメッセージが生成された場合などに、重要なメッセージの出力に失敗することが防止される。
【0073】
運転特性に対応したメッセージの送信部311は、ステップ811で所定の時間待機した後、運転特性向けメッセージキュー312の全てのメッセージレコード500を出力したかを判定する(ステップ812)。まだ出力していないメッセージレコード500がある場合(ステップ812:NO)、処理はステップ810に戻る。
【0074】
ステップ809で全てのメッセージレコード500を出力した場合、及び、ステップ812で全てのメッセージレコード500を出力したと判定した場合(ステップ812:YES)、運転特性に対応したメッセージの送信部311は処理を終了する。
【0075】
図9は、本発明の実施例の運転支援装置103の音声生成部313の処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
音声生成部313は、走行環境に対応したメッセージの送信部309又は運転特性に対応したメッセージの送信部311から出力されたメッセージレコード500を受け取ると、そのメッセージレコード500のメッセージ識別子501が「0」であるかを判定する(ステップ901)。
【0077】
メッセージ識別子501が「0」である場合(ステップ901:YES)、当該メッセージレコード500のメッセージ503は、走行環境に対応したメッセージである。この場合、音声生成部313は、女性の声でのメッセージの出力を依頼する(ステップ902)。具体的には、音声生成部313は、当該メッセージ503を女性の声で読み上げる音声データを生成して、それを音声出力部314に出力してもよい。音声出力部314は、当該音声データを使用して、当該メッセージ503を女性の声で読み上げる音声を音声出力装置304に出力させる。
【0078】
一方、メッセージ識別子501が「0」でない(すなわち「1」である)場合(ステップ901:NO)、当該メッセージレコード500のメッセージ503は、運転特性に対応したメッセージである。この場合、音声生成部313は、男性の声でのメッセージの出力を依頼する(ステップ903)。具体的には、音声生成部313は、当該メッセージ503を男性の声で読み上げる音声データを生成して、それを音声出力部314に出力してもよい。音声出力部314は、当該音声データを使用して、当該メッセージ503を男性の声で読み上げる音声を音声出力装置304に出力させる。
【0079】
なお、走行環境に対応したメッセージについては女性の声で読み上げる音声を生成し、運転特性に対応したメッセージについては男性の声で読み上げる音声を生成するのは、それらのメッセージを相違する態様で出力する方法の一例であり、別の方法でそれぞれのメッセージを出力すればよく、男女の相違が必須であることを意味するものではない。例えば、態様の相違は、メッセージの音声を発声する人物の相違、メッセージの音声の周波数の相違、メッセージの音声の調子の相違、メッセージに付加された音声の相違、及び、メッセージに付加された振動の相違の少なくともいずれかであってもよい。
【0080】
具体的には、例えば、音声生成部313は、走行環境に対応したメッセージと運転特性に対応したメッセージの両方を男性(又は女性)の声で読み上げる音声を生成してもよい。そのときに、読み上げる声の調子をメッセージの種類に応じて変更してもよい。例えば、音声生成部313は、走行環境に対応したメッセージを平静な調子の声で読み上げる音声を生成し、運転特性に対応したメッセージを強い調子の声で読み上げる音声を生成してもよい。更には、予め記録しておいた運転者の家族からのメッセージを生成するようにしてもよい。
【0081】
あるいは、一方の種類のメッセージを出力するときに、音声出力部314が警報音を追加して出力してもよいし、運転支援装置103がバイブレータ等(図示省略)を有している場合にはそれによる振動等を追加して出力してもよい。
【0082】
また、このようなメッセージを出力する態様を、メッセージの種類(すなわちそれが走行環境に対応するものか運転特性に対応するものか)ではなく、メッセージの優先度に基づいて決定してもよい。例えば、プライオリティ定義フラグ600が、走行環境に対応したメッセージを優先することを示す値である場合には、音声生成部313は走行環境に対応したメッセージを男性の声で読み上げる音声を生成し、運転特性に対応したメッセージを女性の声で読み上げる音声を生成してもよい。
【0083】
また、上記の実施例ではメッセージを音声として出力する例を示したが、画像出力装置305がメッセージを文字画像として出力してもよい。このとき、画像出力装置305は、メッセージの種類(すなわちそれが走行環境に対応するものか運転特性に対応するものか)に応じて、表示の態様、例えば文字の色、大きさ、書体、又は、付随的に表示する記号、写真若しくは図形等を変更してもよい。
【0084】
以上の本発明の実施例によれば、複数の種類のメッセージが混在して出力される場合であっても、出力されるメッセージの種類によって出力の態様を変更することによって、ユーザ(例えば車両104の運転者)が混乱せずにそれらのメッセージを受け取り、活用することができる。また、メッセージの種類に応じて優先度を設定し、それに従ってメッセージの出力を制御することで、多数のメッセージが短時間に出力される場合でも重要なメッセージを確実にユーザに伝えることができる。
【0085】
なお、上記の実施例では、指示センタ101が天候情報207及び交通情報208を保持し、必要に応じてそれらを運転支援装置103に送信しているが、指示センタ101はこれらの情報をネットワーク102に接続された外部のサーバ(例えば天候情報サーバ及び交通情報サーバ等、いずれも図示省略)から取得してもよい。あるいは、運転支援装置103が、指示センタ101を介さずに、ネットワーク102を介してそれらの外部のサーバから必要な情報を取得してもよい。これによって、最新の情報を走行環境情報として利用することができる。
【0086】
また、上記の実施例では、走行環境に対応したメッセージの送信部309、運転特性に対応したメッセージの送信部311及び音声生成部313が、運転支援システム100の一部である運転支援装置103に設けられる例を示したが、これらは運転支援システム100内の別の部分に設けられてもよい。例えばこれらの少なくとも一部が指示センタ101内に設けられてもよい。その場合、走行環境データベース317、地図データベース318、メッセージデータベース319及び運転特性データベース320も指示センタ101内に保持される。例えば、指示センタ101は、生成した音声データを運転支援装置103に送信し、運転支援装置103の音声出力部314が音声出力装置304に当該音声データに基づく音声を出力してもよい。
【0087】
ただし、走行環境に対応したメッセージの送信部309、運転特性に対応したメッセージの送信部311及び音声生成部313が運転支援装置103にあることによって、運転支援装置103からユーザ(例えば車両104の運転者)に対するメッセージの出力がネットワーク102の混雑等の影響を受けにくくなる。
【0088】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0089】
例えば、本実施例の走行環境データベース317に格納された情報及び運転特性データベース320に格納された情報は、2種類以上の運転を支援する情報の例であり、運転支援装置103は上記以外の運転を支援する情報を保持してもよい。その場合、運転支援装置103は、走行環境に対応したメッセージの送信部309及び運転特性に対応したメッセージの送信部311と同様に、それぞれの種類の情報に対応したメッセージの送信部を有し、それらがそれぞれの種類の情報に対応したメッセージを生成する。
【0090】
例えば、2種類以上の運転を支援する情報の一つは、例えば、車両104が周囲を撮影するカメラ等のセンサを有している場合に、そのセンサから得られた情報であってもよいし、別の一つは、指示センタ101又はその他の外部のサーバから提供された情報であってもよい。また、その例において、指示センタ101から提供された情報とその他の外部のサーバから提供された情報とが別の種類の情報として扱われてもよい。
【0091】
それぞれの種類の情報に対応するメッセージの送信部は、それぞれの種類の情報に対応するメッセージを生成する。音声生成部313は、それぞれの種類の情報に対応するメッセージを、相違する態様で出力するための音声データ(例えば、情報の種類ごとに、性別の異なる人物の声で発声する音声データ、又は、調子の異なる声で発声するデータなど)を生成し、音声出力部314が音声データに基づいて音声を出力する。
【0092】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0093】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0094】
100 運転支援システム
101 指示センタ
102 ネットワーク
103 運転支援装置
104 車両
201、301 通信インターフェース
202、302 プロセッサ
203、306 主記憶装置
204、307 補助記憶装置
303 入力装置
304 音声出力装置
305 画像出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9