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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】レベルプレート及び基礎の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
E02D27/01 102A
E02D27/01 101C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019229966
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021098942
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 耕平
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-050467(JP,A)
【文献】特開平07-082755(JP,A)
【文献】特開平11-181789(JP,A)
【文献】実開平06-035341(JP,U)
【文献】特開平07-150572(JP,A)
【文献】特開平11-107292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストコンクリート製の立ち上がり部が載せられるとともに、前記立ち上がり部の下端部と共に、内部に鉄筋が組まれて配筋される基礎スラブに埋め込まれて一体化され、かつ、幅方向両端部における上半部がL字に切り欠かれて断面凸字形板状に形成されているレベルプレートであって、
前記立ち上がり部が載せられる上面と、
前記基礎スラブの内部に配筋される前記鉄筋が水平方向に通される鉄筋通し部と、を備えており
前記幅方向両端部の切り欠かれた箇所が、前記鉄筋通し部とされ、当該鉄筋通し部よりも上方に位置する面が、前記上面とされていることを特徴とするレベルプレート。
【請求項2】
請求項1に記載のレベルプレートを複数用いる基礎の施工方法であって、
複数の前記レベルプレートを、設置面に対して互いに間隔を空けて配置する工程と、
前記複数のレベルプレート間に、前記立ち上がり部を架け渡して設置する工程と、
前記基礎スラブが形成される箇所に前記鉄筋を配筋し、当該鉄筋のうち前記レベルプレートの設置位置を通過する鉄筋を、前記鉄筋通し部に通す工程と、
前記基礎スラブを構成するコンクリートを打設し、前記立ち上がり部の下端部と、前記レベルプレートと、前記鉄筋と、を前記基礎スラブの内部に埋め込んだ状態とする工程と、を有することを特徴とする基礎の施工方法
【請求項3】
プレキャストコンクリート製の立ち上がり部が載せられるとともに、前記立ち上がり部の下端部と共に、内部に鉄筋が組まれて配筋される基礎スラブに埋め込まれて一体化され、かつ、四角形板状に形成された天面板部と、前記天面板部の下面から下方に突出する複数の支持脚部と、からなるレベルプレートであって、
前記立ち上がり部が載せられる上面と、
前記基礎スラブの内部に配筋される前記鉄筋が水平方向に通される鉄筋通し部と、を備えており、
前記天面板部の上面が、前記上面とされ、
前記複数の支持脚部間に形成された隙間が、前記鉄筋通し部とされていることを特徴とするレベルプレート。
【請求項4】
請求項3に記載のレベルプレートにおいて、
前記複数の支持脚部は、少なくとも前記天面板部の四隅に配置され、かつ、全ての前記支持脚部が縦横に等間隔に配置されていることを特徴とするレベルプレート。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のレベルプレートを複数用いる基礎の施工方法であって、
前記レベルプレートが載せられる複数の支持底盤を、設置面に対して互いに間隔を空けて配置する工程と、
前記基礎スラブが形成される箇所に前記鉄筋を配筋して前記複数の支持底盤の上方を通過させる工程と、
複数の前記レベルプレートを、前記複数の支持底盤のそれぞれに載せるとともに、前記複数の支持脚部間に形成された隙間である前記鉄筋通し部に、前記鉄筋を通す工程と、
前記複数のレベルプレート間に、前記立ち上がり部を架け渡して設置する工程と、
前記基礎スラブを構成するコンクリートを打設し、前記立ち上がり部の下端部と、前記レベルプレートと、前記支持底盤と、前記鉄筋と、を前記基礎スラブの内部に埋め込んだ状態とする工程と、を有することを特徴とする基礎の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベルプレート及び基礎の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物用基礎としては、予め工場等でブロック状に成形されたプレキャストコンクリート製の所謂PC基礎を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1においては、立ち上がり部のみをPC基礎とし、立ち上がり部の下端部が埋設される基礎スラブを現場打ち施工している。基礎スラブの現場打ち施工は、複数の鉄筋を組み、当該複数の鉄筋が埋まるようにコンクリートを打設して行う。一方で、立ち上がり部の施工は、根切り部に設置され、かつ高さ調整された複数のPC底盤(以下、レベルプレート)間に架け渡すようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-179761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鉄筋とレベルプレートとが干渉してしまうような場合は、レベルプレートの位置で鉄筋を切断したり、レベルプレートの位置に合わせて配筋の調整を行ったりして、レベルプレートの位置で鉄筋を分断することが行われる。また、分断された鉄筋を必要に応じて補強する場合もある。そのため、施工手間が多くなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、レベルプレートの設置に係る施工手間を軽減し、基礎の施工性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1~図に示すように、プレキャストコンクリート製の立ち上がり部12が載せられるとともに、前記立ち上がり部12の下端部と共に、内部に鉄筋11a・11bが組まれて配筋される基礎スラブ11に埋め込まれて一体化され、かつ、幅方向両端部における上半部がL字に切り欠かれて断面凸字形板状に形成されているレベルプレート20であって、
前記立ち上がり部12が載せられる上面21と
前記基礎スラブ11の内部に配筋される前記鉄筋11a・11bが水平方向に通される鉄筋通し部22と、を備えており、
前記幅方向両端部の切り欠かれた箇所が、前記鉄筋通し部22とされ、当該鉄筋通し部22よりも上方に位置する面が、前記上面21とされていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、立ち上がり部12が載せられる上面21と、基礎スラブ11の内部に配筋される鉄筋11a・11bが水平方向に通される鉄筋通し部22と、を備えるので、レベルプレート20の設置位置に鉄筋11a・11bを通過させて配置することができるとともに、鉄筋11a・11bの配置に関わりなく、立ち上がり部12を設置することができる。これにより、鉄筋11a・11bと、レベルプレート20とが干渉し合うことがないので、レベルプレート20の設置に係る施工手間を軽減し、基礎10の施工性を向上させることができる。さらに、レベルプレート20の設置位置に鉄筋11a・11bを通過させて配置することができるので、構造上必要となる鉄筋11a・11bの連続性を確保することができる。
また、幅方向両端部における上半部がL字に切り欠かれて断面凸字形板状に形成されており、幅方向両端部の切り欠かれた箇所が、鉄筋通し部22とされ、当該鉄筋通し部22よりも上方に位置する面が、立ち上がり部12が載せられる上面21とされているので、幅方向両端部の鉄筋通し部22に鉄筋11a,11bをそれぞれ通すことができ、上面21に立ち上がり部12を載せることができる。すなわち、シンプルな形状であり、レベルプレート20の製作時の手間を極力軽減できるとともに、鉄筋11a,11bを配置するときも、鉄筋11a,11bを通す位置を感覚的に認識させやすく、結果的に、レベルプレート20の設置に係る施工手間の軽減に貢献できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図4に示すように、請求項1に記載のレベルプレート20を複数用いる基礎10の施工方法であって、
複数の前記レベルプレート20を、設置面(例えば捨てコンクリート2の上面や敷モルタルの上面)に対して互いに間隔を空けて配置する工程と、
前記複数のレベルプレート20間に、前記立ち上がり部12を架け渡して設置する工程と、
前記基礎スラブ11が形成される箇所に前記鉄筋11a,11bを配筋し、当該鉄筋11a,11bのうち前記レベルプレート20の設置位置を通過する鉄筋11aを、前記鉄筋通し部22に通す工程と、
前記基礎スラブ11を構成するコンクリートを打設し、前記立ち上がり部12の下端部と、前記レベルプレート20と、前記鉄筋11a,11bと、を前記基礎スラブ11の内部に埋め込んだ状態とする工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、レベルプレート20を配置した後に鉄筋11a,11bを配筋し、レベルプレート20の設置位置を通過する鉄筋11aを、鉄筋通し部22に通すようにすれば、立ち上がり部12をレベルプレート20の上面21に設置する前か後かに関わりなく、鉄筋11a,11bを配筋することができる。そのため、基礎10の施工手順を簡易なものとすることができるので、レベルプレート20の設置に係る施工手間を軽減し、基礎10の施工性を向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図2図5図11図13図14に示すように、プレキャストコンクリート製の立ち上がり部12が載せられるとともに、前記立ち上がり部12の下端部と共に、内部に鉄筋31a・31bが組まれて配筋される基礎スラブ31に埋め込まれて一体化され、かつ、四角形板状に形成された天面板部41と、前記天面板部41の下面から下方に突出する複数の支持脚部42と、からなるレベルプレート40であって、
前記立ち上がり部12が載せられる上面41と、
前記基礎スラブ11,31の内部に配筋される前記鉄筋31a・31bが水平方向に通される鉄筋通し部22,Sと、を備えており、
前記天面板部41の上面が、前記上面41とされ、
前記複数の支持脚部42間に形成された隙間Sが、前記鉄筋通し部Sとされていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、立ち上がり部12が載せられる上面41と、基礎スラブ31の内部に配筋される鉄筋31a・31bが水平方向に通される鉄筋通し部Sと、を備えるので、レベルプレート40の設置位置に鉄筋31a・31bを通過させて配置することができるとともに、鉄筋31a・31bの配置に関わりなく、立ち上がり部12を設置することができる。これにより、鉄筋31a・31bと、レベルプレート40とが干渉し合うことがないので、レベルプレート40の設置に係る施工手間を軽減し、基礎30の施工性を向上させることができる。さらに、レベルプレート40の設置位置に鉄筋31a・31bを通過させて配置することができるので、構造上必要となる鉄筋31a・31bの連続性を確保することができる。
また、四角形板状に形成された天面板部41の上面が、立ち上がり部12が載せられる上面41とされ、複数の支持脚部42間に形成された隙間Sが、鉄筋通し部Sとされているので、複数の支持脚部42間に形成された鉄筋通し部である隙間Sに鉄筋31a,31bを通すことができ、上面41に立ち上がり部12を載せることができる。すなわち、天面板部41の下に鉄筋31a,31bが通され、天面板部41の上に立ち上がり部12が載せられることとなり、立ち上がり部12の直下近傍に、鉄筋31a,31bを容易に配置できるので、レベルプレート40の設置に係る施工手間の軽減に貢献できる。さらに、このように立ち上がり部12の直下近傍に鉄筋31a,31bを配置できるので、立ち上がり部12による荷重の支持力の向上に寄与する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図2図5図11図13図14に示すように、請求項3に記載のレベルプレート40において、
前記複数の支持脚部42は、少なくとも前記天面板部41の四隅に配置され、かつ、全ての前記支持脚部42が縦横に等間隔に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、複数の支持脚部42は、少なくとも天面板部41の四隅に配置され、かつ、全ての支持脚部42が縦横に等間隔に配置されているので、複数の支持脚部42間に形成される隙間Sを格子状に配列できる。そのため、鉄筋31a,31bを水平方向に真っ直ぐ通しやすくなり、レベルプレート40の設置に係る施工手間をより軽減することができる。
【0016】
請求項に記載の発明は、例えば図2図5図11図13図14に示すように、請求項3又は4に記載のレベルプレート40を複数用いる基礎30の施工方法であって、
前記レベルプレート40が載せられる複数の支持底盤50を、設置面(例えば捨てコンクリート2の上面や敷モルタルの上面)に対して互いに間隔を空けて配置する工程と、
前記基礎スラブ31が形成される箇所に前記鉄筋31a,31bを配筋して前記複数の支持底盤50の上方を通過させる工程と、
複数の前記レベルプレート40を、前記複数の支持底盤50のそれぞれに載せるとともに、前記複数の支持脚部42間に形成された隙間Sである前記鉄筋通し部Sに、前記鉄筋31a,31bを通す工程と、
前記複数のレベルプレート40間に、前記立ち上がり部12を架け渡して設置する工程と、
前記基礎スラブ31を構成するコンクリートを打設し、前記立ち上がり部12の下端部と、前記レベルプレート40と、前記支持底盤50と、前記鉄筋31a,31bと、を前記基礎スラブ31の内部に埋め込んだ状態とする工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、レベルプレート40が載せられる複数の支持底盤50を、設置面に対して互いに間隔を空けて配置するので、複数の支持脚部42が下方に向けられたレベルプレート40を、地盤1に沈下することなく設置できる。
そして、基礎スラブ31が形成される箇所に鉄筋31a,31bを配筋して複数の支持底盤50の上方を通過させた後に、複数のレベルプレート40を、複数の支持底盤50のそれぞれに載せるとともに、複数の支持脚部42間に形成された隙間Sである鉄筋通し部Sに、鉄筋31a,31bを通すようにすれば、天面板部41の上面に立ち上がり部12を載せただけで、立ち上がり部12の直下近傍に、鉄筋31a,31bを容易に配置できる。そのため、レベルプレート40の設置に係る施工手間を軽減し、基礎30の施工性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、レベルプレートの設置に係る施工手間を軽減し、基礎の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】布基礎である基礎の構成を示す断面図である。
図2】基礎における立ち上がり部を示す斜視図である。
図3】布基礎用のレベルプレートを示す斜視図である。
図4】布基礎用のレベルプレートに沿って鉄筋を配置した状態を示す図である。
図5】べた基礎である基礎の構成を示す断面図である。
図6】(a)べた基礎用のレベルプレートの上面側を示す斜視図である。(b)べた基礎用のレベルプレートの下面側を示す斜視図である。
図7】支持底盤上に鉄筋が配置された状態を示す斜視図である。
図8】べた基礎用のレベルプレートを支持底盤上に設置した状態を示す斜視図である。
図9】べた基礎用のレベルプレートに対応する鉄筋の配置例を示す底面図である。
図10】べた基礎用のレベルプレートに対応する鉄筋の配置例を示す底面図である。
図11】べた基礎用のレベルプレートに対応する鉄筋の配置例を示す底面図である。
図12】べた基礎である基礎の構成を示し、レベルプレートが上下逆に使用されれる変形例を説明する断面図である。
図13】レベルプレートの変形例を示す斜視図である。
図14図13に示すレベルプレートの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1において符号10は、住宅等の建物における基礎を示す。本実施形態における基礎10は、逆T字型の断面で帯状に連続する布基礎であり、地盤1に埋め込まれた基礎スラブ11(ベース部、フーチング部ともいう。)と、地盤1よりも上方に突出する立ち上がり部12と、立ち上がり部12が載せられるとともに、立ち上がり部12の下端部と共に基礎スラブ11に埋め込まれるレベルプレート20と、を備える。なお、立ち上がり部12の上端面には、建物の躯体が載せられる。
【0022】
本実施形態における基礎スラブ11は、コンクリートが現場打ち(現場で打設)されることで形成されるものであり、根切り工事が行われた部分に打設された捨てコンクリート2上に設けられている。基礎スラブ11を構成するコンクリートは、内部に鉄筋11a,11bを内包するようにして打設され、図1に示すように、固まった後の基礎スラブ11には鉄筋11a,11bが埋め込まれた状態となる。鉄筋11aはベース配力筋であり、鉄筋11bはベース筋(主筋)である。
捨てコンクリート2の上面は、立ち上がり部12を設計された高さに配置するのに必要な、ある程度の高さ位置に配置されている。また、捨てコンクリート2の上面は、立ち上がり部12を水平に配置するため、極力水平(平坦)な状態となっている。
なお、本実施形態においては、基礎スラブ11を、捨てコンクリート2上に設けるものとしたが、捨てコンクリート2を打設せずに、根切り工事が行われた地面に敷かれた砕石や砂利の上に設けるようにしてもよい。
【0023】
立ち上がり部12は、プレキャストコンクリート製部材であり、工場で予め製造されて現場に輸送されるものである。内部には鉄筋(図示省略)が埋め込まれている。そして、下端部が、現場打ちの基礎スラブ11に対して埋設され、基礎スラブ11が固まる過程で、基礎スラブ11と接合されるようになっている。また、立ち上がり部12は、複数のレベルプレート20間に架け渡されて設置される。
このような立ち上がり部12においては、基礎スラブ11の上面から露出する部分が本体部13とされ、本体部13は、基礎スラブ11の上面の面方向に沿って帯状に連続している。
【0024】
基礎スラブ11に埋設される立ち上がり部12の下端部は、基礎スラブ11に定着するシアキーとして形成されている。立ち上がり部12の下端部がシアキーとして形成されることにより、立ち上がり部12の下端部を、基礎スラブ11が固まる過程で、基礎スラブ11に対して定着させることができる。
【0025】
立ち上がり部12の下端部には、当該下端部をシアキーとして機能させるための切欠部14,15が形成されている。切欠部14,15は、立ち上がり部12の下端部における正面及び背面の双方に形成されている。本実施形態における切欠部14,15のそれぞれは、本体部13の正面及び背面に対して凹んで形成され、かつ本体部13の長さ方向に沿って長尺に形成されている。
【0026】
本実施形態における切欠部14,15のそれぞれは、立ち上がり部12の下端部における正面及び背面が、断面視において三角形状に切り欠かれて形成されたものであり、断面視において斜め下を向く面と、斜め上を向く面とを有する。
このような切欠部14,15のそれぞれには、立ち上がり部12の下端部と基礎スラブ11との間に生じる外力に抵抗するための複数の凹部140が形成されている(正面側のみ図示する)。複数の凹部140は、凹みの深さ方向奥側の面141(以下、奥側面141)と、切欠部14の表面(斜め上を向く面)との間に位置する一対の傾斜面142と、をそれぞれ有する。また、複数の凹部140は、一対の傾斜面142における上端部と、奥側面141の上端部と交差する上側面143を更に有しており、当該上側面143は、切欠部14における斜め上を向く面と同一角度で傾斜して一体形成されている。
【0027】
立ち上がり部12の長さ方向両端部(左側端部及び右側端部)は、図示しない隣接する他の立ち上がり部と連結するための連結部16,17とされている。連結部16,17は、図2に示す平面図のように、立ち上がり部12の長さ方向中央部よりも厚さ寸法が長く、厚みのある状態となっている。なお、連結部16,17は、立ち上がり部12の背面側に向かって膨らんで厚みのある状態となっている。
さらに、連結部16,17は、立ち上がり部12の長さ方向の外方と、上下方向に向かって開口16a,17aを有することにより平面視コ字状に形成されている。
【0028】
連結部16,17を備えた立ち上がり部12と他の立ち上がり部は、他の立ち上がり部側から立ち上がり部12に向かって突出する連結用鉄筋(図示省略)が、開口16a,17aに挿入配置された上で、当該開口16a,17aに現場打ちのコンクリートが打設され、当該コンクリートが固まることで連結される。
【0029】
なお、本実施形態における立ち上がり部12の長さ方向両端部は、平面視コ字状の連結部16,17とされているが、いずれか一方だけが平面視コ字状の連結部16(17)とされてもよいし、両方とも平面視コ字状の連結部16,17とされていなくてもよい。平面視コ字状の連結部16,17とされない場合は、他の形状の連結部とされてもよい。
【0030】
また、立ち上がり部12には、上面から上方に突出するアンカーボルトが予め埋め込まれていてもよいし、後工程でアンカーボルトを差し込めるようにインサート穴部が予め形成されてもよい。
【0031】
レベルプレート20は、捨てコンクリート2上に設置され、図1に示すように、上面21に立ち上がり部12が載せられるとともに、立ち上がり部12の下端部と共に基礎スラブ11に埋め込まれる。
なお、レベルプレート20における上面21の高さ位置や水平状態に微調整が必要な場合は、レベルプレート20の設置位置に、微調整に必要な分量の敷モルタル(図示省略)の山を載置し、この敷きモルタルの山を潰すようにしてレベルプレート20を載置する。そして、このレベルプレート20を掛矢等で叩いて所定の高さで上面21がほぼ水平になるよう調整作業を行なう。なお、この作業は、水糸や水準器やレーザー光線による水準装置等を用いて水平レベル及び高さを確認しながら行なう。敷きモルタルが固まれば、レベルプレート20は、所定の高さで上面がほぼ水平の状態となり、その上に載せられる立ち上がり部12も所定の高さで水平に配置されることとなる。
捨てコンクリート2の上面が、立ち上がり部12を設計された高さに配置するのに必要な、ある程度の高さ位置に配置され、かつ、立ち上がり部12を水平に配置できる程度に極力水平な状態となっていれば、このようなレベルプレート20のレベル調整は行わなくてもよい。
【0032】
なお、本実施形態においては、レベルプレート20を、捨てコンクリート2の上面を設置面として設置するが、これに限られるものではない。すなわち、捨てコンクリート2を打設しない場合の、根切り工事が行われた地面に敷かれた砕石や砂利の上に敷モルタルを打設し、その敷モルタルの上面を設置面としてレベルプレート20を設置してもよい。
より詳細に説明すると、上記のレベルプレート20のレベル調整を行う場合に、敷モルタルは、微調整に必要な分量とされていたが、捨てコンクリート2を打設せずに、敷モルタルの上面を設置面とする場合には、立ち上がり部12を設計された高さに配置するのに必要な分量の敷モルタルが打設される。そして、打設された敷モルタルの山を潰すようにしてレベルプレート20を載置し、このレベルプレート20を掛矢等で叩いて所定の高さで上面21がほぼ水平になるよう調整作業を行なうようにする。
【0033】
このようなレベルプレート20は、図3に示すように、左右方向両端部における上半部がL字(直角)に切り欠かれた状態となっており、正面視において凸字形に形成され、正背方向に同一断面を有する。また、このレベルプレート20は、内部に補強鉄筋が埋め込まれて強化されたコンクリート板である。
【0034】
上面21は、何らかの機能を備えさせるために意図的に形成されたような凹凸がなく、滑らかな平面となっており、立ち上がり部12を載せるときに、この上面21に位置合わせのための墨出しを行えるようになっている。
レベルプレート20における上面21の面積は、下面の面積よりも狭く、載せられる立ち上がり部12の下面よりも広く設定されている。すなわち、レベルプレート20の下面は、正背方向の長さは上面21と等しく、上面21よりも左右方向両側に長く設定されているため、面積も広く設定されている。そのため、安定的な設置が可能となる。また、上面21は、上記のように滑らかな平面で、かつ立ち上がり部12の下面よりも面積が広いため、レベル調整が行われた状態であれば、立ち上がり部12を安定的に載せて支持することができる。
【0035】
また、左右方向両端部の切り欠かれた箇所22には、図4に示すように、当該箇所22(以下、鉄筋通し部22)の長さ方向に沿って、基礎スラブ用の鉄筋11aが通されるようになっている。
鉄筋通し部22は、上記のようにL字(直角)に切り欠かれて形成されているため、シンプルな形状であり、製作時の手間を極力軽減できる。
【0036】
上面21の左右方向の寸法は、一般的な立ち上がり部12のサイズを考慮して160mm~266mmに設定されている。また、ベース筋である複数の鉄筋11b間の間隔が300mmになるため、レベルプレート20(上面21)の正背方向の寸法は、250mm程度に設定されており、コンクリートを十分充填できるスペースを確保できるようになっている。
下面は、例えば5mの立ち上がり部12の重量を支持するために、少なくとも、左右方向の寸法が336mm以上に設定されている。
鉄筋通し部22は、垂直面の上下寸法が35mmに、水平面の左右寸法が35mmに設定されている。この寸法設定は、鉄筋11aが干渉しないようにするためのものである。つまり、鉄筋11aは、鉄筋通し部22を通るように配筋されるが、鉄筋通し部22における垂直面及び水平面には接しない。
【0037】
なお、本実施形態におけるレベルプレート20は、鉄筋通し部22が、左右方向両端部に形成されるものとしたが、図示はしないが、正背方向両端部にも形成されてもよい。すなわち、図3に示すレベルプレート20の場合は、鉄筋通し部22が、レベルプレート20の上半部における平行する二辺に沿って形成された状態となっているが、これら平行する二辺に対して直交する二辺にも沿って形成されてもよい。
【0038】
次に、以上のように構成された布基礎である基礎10の施工方法について説明する。
【0039】
まず、建物の構築領域の地盤1を連続的に掘削して根切り部を形成する。この根切り部は、立ち上がり部12の設置部分に形成されている。根切り部には、砕石や砂利を敷き込み、プレートコンパクター等の機械を用いて転圧することで、根切り部内の地盤1を締め固めて平らにならす。
【0040】
続いて、根切り部内に、砕石や砂利の上からコンクリートを打設し、捨てコンクリート2を形成する。この時点で、捨てコンクリート2の上面が、所定の高さ位置に配置され、立ち上がり部12を水平に配置できる程度の水平を確保できるように表面を平坦に均すようにする。
【0041】
捨てコンクリート2が固まったら、この捨てコンクリート2上に、レベルプレート20を設置する。なお、上面21の高さ位置や水平状態に微調整が必要な場合は、上記のように敷モルタルを利用して微調整の作業を行う。
また、レベルプレート20は、立ち上がり部12同士の連結位置と、長尺に形成された立ち上がり部12の長さ方向中央部の位置に対応して設置されるようになっている。
レベルプレート20を載置する向きは、立ち上がり部12の長さ方向と、鉄筋通し部22の長さ方向と、が揃う向きとされている。
【0042】
続いて、根切り部内に、基礎スラブ11を打設するための型枠(図示省略)を設置するとともに、基礎スラブ11に埋設される鉄筋11a,11bを適宜組んで配筋する。
鉄筋11aは、立ち上がり部12の長さ方向に沿って長尺(すなわち、基礎スラブ11の長さ方向にも長尺)に形成されており、レベルプレート20に形成された左右方向両端部の鉄筋通し部22を通過して配筋される。
一方、鉄筋11bは、レベルプレート20の左右の鉄筋通し部22を通過する長尺な鉄筋11a同士間に架け渡されて配筋されており、長尺な鉄筋11aよりも長さが短い。このような短尺な鉄筋11bは、レベルプレート20を避けて配置する。
【0043】
続いて、複数のレベルプレート20間に、立ち上がり部12を架け渡して設置する。また、立ち上がり部12における連結部16,17にも必要な鉄筋を配筋する。
その後、根切り部に設置された型枠の内側にコンクリートを打設して充填し、基礎スラブ11を形成する。これにより、レベルプレート20及び鉄筋11a,11bは、基礎スラブ11の内部に埋設された状態となる。また、立ち上がり部12の下端部に形成された複数の凹部140にもコンクリートが充填され、基礎スラブ11と立ち上がり部12の下端部とが係合した状態となる。
さらに、連結部16,17の内部にもコンクリートを打設して充填し、立ち上がり部12同士の連結も強化する。
以上のようにして、布基礎である基礎10の施工が行われて構築される。
【0044】
本実施形態によれば、レベルプレート20が、立ち上がり部12が載せられる上面21と、基礎スラブ11の内部に配筋される鉄筋11a,11bが水平方向に通される鉄筋通し部22と、を備えるので、レベルプレート20の設置位置に鉄筋11a,11bを通過させて配置することができるとともに、鉄筋11a,11bの配置に関わりなく、立ち上がり部12を設置することができる。これにより、鉄筋11a,11bと、レベルプレート20とが干渉し合うことがないので、レベルプレート20の設置に係る施工手間を軽減し、基礎10の施工性を向上させることができる。さらに、レベルプレート20の設置位置に鉄筋11a,11bを通過させて配置することができるので、構造上必要となる鉄筋11a,11bの連続性を確保することができる。
【0045】
また、本実施形態のレベルプレート20は、左右方向両端部(幅方向両端部)における上半部がL字に切り欠かれて断面凸字形板状に形成されており、左右方向両端部の切り欠かれた箇所が、鉄筋通し部22とされ、当該鉄筋通し部22よりも上方に位置する面が、立ち上がり部12が載せられる上面21とされているので、左右方向両端部の鉄筋通し部22に鉄筋11a,11bをそれぞれ通すことができ、上面21に立ち上がり部12を載せることができる。すなわち、シンプルな形状であり、レベルプレート20の製作時の手間を極力軽減できるとともに、鉄筋11a,11bを配置するときも、鉄筋11a,11bを通す位置を感覚的に認識させやすく、結果的に、レベルプレート20の設置に係る施工手間の軽減に貢献できる。
【0046】
また、本実施形態における基礎10の施工方法によれば、レベルプレート20を配置した後に鉄筋11a,11bを配筋し、レベルプレート20の設置位置を通過する鉄筋11aを、鉄筋通し部22に通すようにすれば、立ち上がり部12をレベルプレート20の上面21に設置する前か後かに関わりなく、鉄筋11a,11bを配筋することができる。そのため、基礎10の施工手順を簡易なものとすることができるので、レベルプレート20の設置に係る施工手間を軽減し、基礎10の施工性を向上させることができる。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の第1実施形態との共通部分には同一符号を付し、上記の第1実施形態とは異なる構成部分に重点を置いて説明する。
【0048】
図5において符号30は、住宅等の建物における基礎を示す。本実施形態における基礎30は、建物の直下全面を板状の鉄筋コンクリートにした、べた基礎であり、基礎スラブ31と、地盤1よりも上方に突出する立ち上がり部12と、立ち上がり部12が載せられるとともに、立ち上がり部12の下端部と共に基礎スラブ31に埋め込まれるレベルプレート40と、レベルプレート40が載せられるとともに、立ち上がり部12の下端部及びレベルプレート40と共に基礎スラブ31に埋め込まれる支持底盤50と、を備える。なお、立ち上がり部12の上端面には、建物の躯体が載せられる。
【0049】
本実施形態における基礎スラブ31は、コンクリートが現場打ち(現場で打設)されることで形成されるものであり、根切り工事が行われた部分に設置された捨てコンクリート2上に設けられている。基礎スラブ31を構成するコンクリートは、内部に鉄筋31a,31bを内包するようにして打設され、図5に示すように、固まった後の基礎スラブ31には鉄筋31a,31bが埋め込まれた状態となる。鉄筋31aはベース配力筋であり、鉄筋31bはベース筋(主筋)である。
【0050】
レベルプレート40は、支持底盤50上に設置され、図5に示すように、立ち上がり部12が載せられるとともに、立ち上がり部12の下端部及び支持底盤50と共に基礎スラブ31に埋め込まれる。
支持底盤50は、捨てコンクリート2上に設置され、図5に示すように、レベルプレート40が載せられるとともに、立ち上がり部12の下端部と共に基礎スラブ31に埋め込まれる。また、基礎スラブ31の鉄筋31a,31bは、この支持底盤50上を通過する。
レベルプレート40と支持底盤50は、セットで用いられるものであって、これらレベルプレート40と支持底盤50とで、立ち上がり部12を支持するとともに鉄筋31a,31bを通過させるための支持構造部を構成している。また、支持底盤50は、捨てコンクリート2と共に、レベルプレート40を支持するためのベース部を構成している。
【0051】
なお、捨てコンクリート2を打設しない場合には、根切り工事が行われた地面に敷かれた砕石や砂利の上に敷モルタルを打設し、その敷モルタルの上面を設置面として支持底盤50のレベル調整を行う。その方法は、上記のレベルプレート20のレベル調整と同様であり、支持底盤50の設置位置に敷きモルタル(図示省略)の山を載置し、この敷きモルタルの山を潰すようにして支持底盤50を載置する。そして、この支持底盤50を掛矢等で叩いて所定の高さで上面がほぼ水平になるよう調整作業を行なう。
また、支持底盤50上に設けられるレベルプレート40についても、同様の方法で、支持底盤50上に敷モルタルを打設してレベル調整(微調整)を行ってもよい。
【0052】
レベルプレート40は、コンクリート製であり、図6(a),(b)に示すように、立ち上がり部12が載せられる正方形の天面板部41と、天面板部41の下面から下方に突出して設けられた16本の支持脚部42と、を備える。
そして、このようなレベルプレート40は、支持底盤50上に配置されたときに、16本の支持脚部42間の空間(隙間S、溝)に、基礎スラブ31用の鉄筋31a,31bが通されるようになっている。
なお、天面板部41の内部には、例えばラス網などが埋め込まれて補強されてもよいし、支持脚部42の内部には、補強鉄筋が埋め込まれて補強されてもよい。もしくは、レベルプレート40自体を、鋼製のものとしてもよい。
【0053】
天面板部41の上面は、何らかの機能を備えさせるために意図的に形成されたような凹凸がなく、滑らかな平面となっており、立ち上がり部12を載せるときに、この上面に位置合わせのための墨出しを行えるようになっている。
天面板部41における上面の面積は、載せられる立ち上がり部12の下面よりも広く設定されている。天面板部41における上面は、上記のように滑らかな平面で、かつ立ち上がり部12の下面よりも面積が広いため、捨てコンクリート2の上面又は支持底盤50がレベル調整された状態であれば、立ち上がり部12を安定的に載せて支持することができる。
【0054】
16本の支持脚部42は、全てが縦横(正背方向と左右方向)に等間隔に配置されており、12本の支持脚部42が天面板部41の四辺に沿って配置されている。天面板部41の四隅には、支持脚部42が配置されている。また、16本の支持脚部42は、天面板部41の下面からの突出寸法が等しい。
本実施形態における支持脚部42の一つ一つは、正四角柱状(直方体状又は立方体状としてもよい)に形成されているが、これに限られるものではなく、三角柱や五角柱など他の角柱状に形成されてもよい。
【0055】
天面板部41の一辺の長さは335mmに設定されており、支持脚部42の下面における一辺の長さは35mmに設定されている。これにより、隣り合う支持脚部42間の間隔は65mmに設定されている。そして、本実施形態においては、隣り合う支持脚部42間の隙間S(溝)に、正背方向に伸びる鉄筋31aを3本通すことができ、左右方向に伸びる鉄筋31bも3本通すことができる。正背方向に伸びる鉄筋31aと、左右方向に伸びる鉄筋31bは、天面板部41の下方で、上下に重なって交差している。なお、鉄筋31a,31bが交差しない箇所に設けられるレベルプレート40の場合はこの限りではない。
支持脚部42の高さは、正背方向に伸びる鉄筋31aと、左右方向に伸びる鉄筋31bとが上下に重なって交差することを考慮し、少なくとも32mm以上とされている(住宅の基礎では、直径10mm・13mm・16mmの鉄筋が多く使われる。)。
【0056】
なお、本実施形態においては、正背方向に伸びる複数の鉄筋31aと、左右方向に伸びる複数の鉄筋31bは、100mmピッチに間隔を空けて配置されている。そして、レベルプレート40における16本の支持脚部42間の空間(隙間S、溝)の全てに、100mm間隔の鉄筋31a,31bが通るようになっている。ところで、このような鉄筋31a,31bの間隔は、例えば150mm間隔、200mm間隔、300mm間隔など、建築される建物の規模などに応じて変更されるが、上記のレベルプレート40であれば、建築される建物の規模などに応じて変更される鉄筋31a,31bの間隔にも適宜対応できるようになっている。
すなわち、図9は、正背方向に伸びる複数の鉄筋31aと、左右方向に伸びる複数の鉄筋31bが、150mmピッチに間隔を空けて配置された場合を示しており、3本のうち2本の鉄筋31a,31bが、複数の支持脚部42間の空間(隙間S、溝)を通っている。
また、図10は、正背方向に伸びる複数の鉄筋31aと、左右方向に伸びる複数の鉄筋31bが、200mmピッチに間隔を空けて配置された場合を示しており、2本の鉄筋31a,31bが、複数の支持脚部42間の空間(隙間S、溝)を通っている。
また、図11は、正背方向に伸びる複数の鉄筋31aと、左右方向に伸びる複数の鉄筋31bが、300mmピッチに間隔を空けて配置された場合を示しており、1本の鉄筋31a,31bが、複数の支持脚部42間の空間(隙間S、溝)を通っている。
【0057】
支持底盤50は、内部に補強鉄筋が埋め込まれて強化されたコンクリート板である。その上面は、正背方向及び左右方向共に、レベルプレート40における天面板部41の寸法よりも長く設定され、面積が広く形成されている。より具体的には、一辺の長さが400mmに設定された正方形状のプレートであり、厚みは60mm程度に設定されている。したがって、レベルプレート40は、支持底盤50の周縁部よりも内側に、安定的に配置されている。
正背方向に伸びる鉄筋31aと、左右方向に伸びる鉄筋31bは、図7に示すように、支持底盤50の上で上下に重なって交差している。なお、鉄筋31a,31bが交差しない箇所に設けられる支持底盤50の場合はこの限りではない。
【0058】
次に、以上のように構成されたべた基礎である基礎30の施工方法について説明する。なお、捨てコンクリート2を形成する工程までは第1実施形態での説明と同一であるため、説明を省略する。
【0059】
根切り部に設けられた捨てコンクリート2が固まったら、この捨てコンクリート2上に、支持底盤50を設置する。なお、支持底盤50における上面の高さ位置や水平状態に微調整が必要な場合は、敷モルタルを利用して微調整の作業を行う。
また、支持底盤50は、立ち上がり部12同士の連結位置と、長尺に形成された立ち上がり部12の長さ方向中央部の位置に対応して設置されるようになっている。
【0060】
続いて、根切り部内に、基礎スラブ31を打設するための型枠(図示省略)を設置するとともに、基礎スラブ31に埋設される鉄筋31a,31bを適宜組んで配筋する。
鉄筋31aは、図5に示す立ち上がり部12の長さ方向に沿って長尺(すなわち、基礎スラブ11の長さ方向にも長尺)に形成されている。一方、鉄筋31bは、図5に示されていない他の立ち上がり部(立ち上がり部12と直交して配置される他の立ち上がり部)の長さ方向に沿って長尺に形成されているものとする。
そして、鉄筋31a,31bは、立ち上がり部12同士が交差して配置される位置では、互いに交差している。また、支持底盤50上に位置している。
【0061】
続いて、支持底盤50上に、レベルプレート40を設置する。このとき、天面板部41が上で、複数の支持脚部42が下になるように配置する。これにより、例えば天面板部41を下に、複数の支持脚部42を上になるように配置した場合に比して、立ち上がり部12の下端面が接する面積が大きくなるので、立ち上がり部12をより安定的に設置することができる。
【0062】
続いて、複数のレベルプレート40間に、立ち上がり部12を架け渡して設置する。また、立ち上がり部12における連結部16,17にも必要な鉄筋を配筋する。
その後、根切り部に設置された型枠の内側にコンクリートを打設して充填し、基礎スラブ31を形成する。これにより、レベルプレート40及び鉄筋31a,31bは、基礎スラブ31の内部に埋設された状態となる。また、立ち上がり部12の下端部に形成された複数の凹部140にもコンクリートが充填され、基礎スラブ31と立ち上がり部12の下端部とが係合した状態となる。
さらに、連結部16,17の内部にもコンクリートを打設して充填し、立ち上がり部12同士の連結も強化する。
以上のようにして、べた基礎である基礎30の施工が行われて構築される。
【0063】
本実施形態によれば、レベルプレート40が、立ち上がり部12が載せられる上面41と、基礎スラブ31の内部に配筋される鉄筋31a,31bが水平方向に通される鉄筋通し部Sと、を備えるので、レベルプレート40の設置位置に鉄筋31a,31bを通過させて配置することができるとともに、鉄筋31a,31bの配置に関わりなく、立ち上がり部12を設置することができる。これにより、鉄筋31a,31bと、レベルプレート40とが干渉し合うことがないので、レベルプレート40の設置に係る施工手間を軽減し、基礎30の施工性を向上させることができる。さらに、レベルプレート40の設置位置に鉄筋31a,31bを通過させて配置することができるので、構造上必要となる鉄筋31a,31bの連続性を確保することができる。
【0064】
また、本実施形態のレベルプレート40は、四角形板状に形成された天面板部41の上面が、立ち上がり部12が載せられる上面41とされ、複数の支持脚部42間に形成された隙間Sが、鉄筋通し部Sとされているので、複数の支持脚部42間に形成された鉄筋通し部である隙間Sに鉄筋31a,31bを通すことができ、上面41に立ち上がり部12を載せることができる。すなわち、天面板部41の下に鉄筋31a,31bが通され、天面板部41の上に立ち上がり部12が載せられることとなり、立ち上がり部12の直下近傍に、鉄筋31a,31bを容易に配置できるので、レベルプレート40の設置に係る施工手間の軽減に貢献できる。さらに、このように立ち上がり部12の直下近傍に鉄筋31a,31bを配置できるので、立ち上がり部12による荷重の支持力の向上に寄与する。
【0065】
また、複数の支持脚部42は、少なくとも天面板部41の四隅に配置され、かつ、全ての支持脚部42が縦横に等間隔に配置されているので、複数の支持脚部42間に形成される隙間Sを格子状に配列できる。そのため、鉄筋31a,31bを水平方向に真っ直ぐ通しやすくなり、レベルプレート40の設置に係る施工手間をより軽減することができる。
【0066】
また、本実施形態における基礎30の施工方法によれば、レベルプレート40が載せられる複数の支持底盤50を、設置面に対して互いに間隔を空けて配置するので、複数の支持脚部42が下方に向けられたレベルプレート40を、地盤1に沈下することなく設置できる。
そして、基礎スラブ31が形成される箇所に鉄筋31a,31bを配筋して複数の支持底盤50の上方を通過させた後に、複数のレベルプレート40を、複数の支持底盤50のそれぞれに載せるとともに、複数の支持脚部42間に形成された隙間Sである鉄筋通し部Sに、鉄筋31a,31bを通すようにすれば、天面板部41の上面に立ち上がり部12を載せただけで、立ち上がり部12の直下近傍に、鉄筋31a,31bを容易に配置できる。そのため、レベルプレート40の設置に係る施工手間を軽減し、基礎30の施工性を向上させることができる。
【0067】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0068】
〔変形例1〕
上記の第1実施形態においては、レベルプレート20のレベル調整又は微調整に、敷モルタルを利用し、上記の第2実施形態においては、支持底盤50のレベル調整又は微調整、レベルプレート40のレベル調整又は微調整に敷モルタルを利用するとしたが、本変形例においては、図示はしないが、レベル調整用のパッキン材が利用されている。
【0069】
レベル調整用のパッキン材は、樹脂製又は鋼製の板状体であり、スペーサーやライナープレート、樹脂製の場合はゴムレベル(登録商標)とも呼称される。
このようなパッキン材によれば、レベルプレート20,40や支持底盤50の上や下に介在させることで、これらレベルプレート20,40や支持底盤50の高さ調整を行うことができる。
また、立ち上がり部12の長さ方向に離間して配置される複数のパッキン材における厚みを異なるものとすることで、結果的に、立ち上がり部12を水平に配置することも可能となる。
樹脂製のパッキン材であれば、現場で表面を加工して角度をつけ、上に載せられる対象の角度を調整してもよい。
なお、本変形例におけるパッキン材と、敷モルタルを併用してもよい。
【0070】
〔変形例2〕
上記の第2実施形態において、レベルプレート40は、支持底盤50上に、天面板部41を上に、複数の支持脚部42を下にして配置されているが、本変形例におけるレベルプレート40は、上下逆にして配置されている。すなわち、図12に示すように、天面板部41を下に、複数の支持脚部42を上にした状態で配置されている。この場合、複数の支持脚部142における上向きの面が、立ち上がり部12が載せられる「上面」となる。
【0071】
本変形例によれば、レベルプレート40が、支持底盤50上に、天面板部41を下に、複数の支持脚部42を上にした状態で配置されているので、複数の支持脚部42間の空間に鉄筋31a,31bを通すことができるとともに、レベルプレート40自体を、支持底盤50上に安定的に設置することができる。
なお、図12に示す基礎30の構成は、レベルプレート40が上下逆に使用される以外は、上記の第2実施形態における基礎30の構成と同様である。
【0072】
〔変形例3〕
上記の第2実施形態において、レベルプレート40は、天面板部41と、複数の支持脚部42と、を備え、複数の支持脚部42は、角柱状に形成されていたが、本変形例におけるレベルプレート140は、天面板部241と、複数の支持脚部242と、を備え、複数(16本)の支持脚部242は、図13図14に示すように、円筒状に形成されている。また、本変形例におけるレベルプレート240は、全体が鋼製とされている。
【0073】
天面板部241は、一辺が340mmに設定された正方形の鋼板であり、複数の支持脚部242の上端部が差し込まれる差込孔241aが形成されている。天面板部241の上面は、複数の差込孔241a以外には、何らかの機能を備えさせるために意図的に形成されたような凹凸がなく、滑らかな平面となっている。
【0074】
複数の支持脚部242は、中空状に形成されるとともに、上下端部が開口し、上下方向に貫通して形成されている。また、外径は34mmに設定され、外側面及び内側面を構成する壁部分の厚みは3.2mmに設定され、上下寸法は45mmに設定されている。さらに、複数の支持脚部242間の間隔寸法は66mmに設定されている。
これら複数の支持脚部242における上端部は、天面板部241に形成された複数の差込孔241aのそれぞれに差し込まれ、溶接されている。複数の支持脚部242における上端面と、天面板部241の上面は面一の状態となっている。
【0075】
なお、本変形例における天面板部241は、複数の差込孔241aが形成されるものとしたが、複数の差込孔241aが形成されない単なる鋼板によって構成されてもよい。その場合、複数の支持脚部242は、単なる鋼板である天面板部241の下面に突き付けられて溶接される。
また、複数の支持脚部242は、中空状に形成されるとともに、上下端部が開口して形成されるものとしたが、中実の状態でもよいし、中空状であっても上下端部が閉塞された状態としてもよい。上下端部のいずれか一方が開口し、他方が閉塞された状態でもよい。
【0076】
本変形例によれば、上記の第2実施形態におけるレベルプレート40と同様に使用できるのはもちろんのこと、全体が鋼製とされ、かつ複数の支持脚部242が円筒状とされているので、例えばコンクリート製のレベルプレートよりも高い剛性を発揮する。
さらに、複数の支持脚部242は、上下方向に貫通して形成されているので、複数の支持脚部242の内部にも基礎スラブ11のコンクリートを充填できる。そのため、基礎スラブ11との一体性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 地盤
2 捨てコンクリート
10 基礎(布基礎)
11 基礎スラブ
11a 鉄筋
11b 鉄筋
12 立ち上がり部
13 本体部
14 切欠部
140 凹部
141 奥側面
142 傾斜面
143 上側面
15 切欠部
16 連結部
17 連結部
20 レベルプレート
21 上面
22 鉄筋通し部
30 基礎(べた基礎)
31 基礎スラブ
31a 鉄筋
31b 鉄筋
40 レベルプレート
41 天面板部(上面)
42 支持脚部
50 支持底盤
240 レベルプレート
241 天面板部(上面)
242 支持脚部
S 隙間(鉄筋通し部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14