(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】マルチカラーマイクロLEDアレイ光源
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20220930BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220930BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220930BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220930BHJP
F21V 7/04 20060101ALI20220930BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20220930BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20220930BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20220930BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20220930BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H01L33/48
F21S2/00 311
F21S2/00 375
F21V29/503
F21V23/00 140
F21V7/04 500
F21V5/04 100
F21V7/00 590
H01L33/58
H01L33/62
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2019525881
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(86)【国際出願番号】 US2017058032
(87)【国際公開番号】W WO2018089189
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-04-03
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520510771
【氏名又は名称】ジェイド バード ディスプレイ(シャンハイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウィン チュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン イージン
(72)【発明者】
【氏名】レイ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】オウ ファン
(72)【発明者】
【氏名】リー チーミン
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-147679(JP,A)
【文献】特表2012-531062(JP,A)
【文献】特開2009-105123(JP,A)
【文献】特開2004-286858(JP,A)
【文献】特開2014-003168(JP,A)
【文献】特開2004-335992(JP,A)
【文献】特開2010-027612(JP,A)
【文献】特開2001-305306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチカラーマイクロLEDアレイ光源であって、
熱伝導性基板と、
前記熱伝導性基板上にモノリシックに集積され
た複数のアレイであっ
て、各アレイが、全てが同一色である複数のマイクロLEDであって、前記同一色の個々のマイクロLEDは、列、行、又は斜線をなすように配置される、該複数のマイクロLEDと、前記複数のマイクロLED用のドライバ信号を受信するためのドライバ入力と、前記複数のマイクロLEDを前記ドライバ入力に接続する電気的接続とを含
み、全ての前記アレイ
における前記マイクロLEDは全体として、交互配置方式で配置された少なくとも2つの異なる色のマイクロLEDを備え、前記少なくとも2つの異なる色のマイクロLEDは、前記色のマイクロLEDのすべてがモノリシックに集積されるように同一基板上に集積されて、単一のチップをなして
おり、前記各アレイは、前記マイクロLEDのアレイによって生成された光を平行化するために前記マイクロLEDのアレイの上方に位置付けられた合焦構造の屈折光学系であって、前記合焦構造が、第1の半径をもつ球面が第2の半径をもつ半球面上に重ね合わされた複合上面を有するように構成された、該屈曲光学系を含む、該複数のアレイと、
と
を
備え、
前記複数のマイクロLEDは、前記ドライバ信号によって一斉に駆動されることを特徴とするマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項2】
各マイクロLEDは、100ミクロンよりも小さな少なくとも1つの幅方向寸法を有することを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項3】
各マイクロLEDは、100ミクロンよりも小さな全ての幅方向寸法を有することを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項4】
前記複数のアレイは、少なくとも1つの赤色マイクロLEDのアレイと、少なくとも1つの緑色マイクロLEDのアレイと、少なくとも1つの青色マイクロLEDのアレイとを備えたことを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項5】
前記複数のアレイは、少なくとも1つの白色マイクロLEDのアレイをさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項6】
前記複数のアレイは、少なくとも2つのそれぞれ異なる色のマイクロLEDのアレイを含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項7】
各アレイについて、前記アレイ内の全ての前記マイクロLEDは、並列または直列に電気的に接続されたことを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項8】
前記複数の異なる色のマイクロLEDのアレイ用の前記ドライバ信号を生成するコントローラをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項9】
前記コントローラは、各々の異なる色について、全ての前記マイクロLEDを一斉に駆動するが、各異なる色を互いに別々に駆動することを特徴とする請求項8に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項10】
前記コントローラは、全ての異なる色について、全ての前記マイクロLEDを一斉に駆動することを特徴とする請求項8に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項11】
前記マイクロLED
は線状の形状であり、異なる色
の線状の形状は、1つの幅方向寸法に沿って交互配置されることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項12】
前記マイクロLEDは画素であり、異なる色の画素は、2つの幅方向寸法に沿って交互配置されることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項13】
前記マイクロLEDは、エピタキシャル層、n電極、およびp電極を備えかつ成長基板が取り外された薄膜マイクロLEDであることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項14】
前記薄膜マイクロLEDは、前記エピタキシャル層をホスト基板から前記熱伝導性基板に共晶接合を介して移行させることによって、前記熱伝導性基板上にモノリシックに集積されることを特徴とする請求項13に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項15】
前記熱伝導性基板上に集積化されたパッシブコリメーション光学系をさらに含み、前記パッシブコリメーション光学系は、前記LEDによって生成された出力光の角度発散を低減させることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項16】
前記パッシブコリメーション光学系は、
前記マイクロLEDのアレイによって中心発散円錐の外側に生成された光を平行化するための反射カップと、
前記マイクロLEDのアレイによって前記中心発散円錐内に生成された光を平行化するために、前記反射カップの内側および前記マイクロLEDのアレイの上方に位置付けられた屈折光学系と
を含むことを特徴とする請求項15に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項17】
前記屈折光学系は、前記マイクロLEDのアレイを中心としおよびその一焦点距離上方に位置付けられた屈折レンズを含むことを特徴とする請求項16に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項18】
前記屈折光学系は、屈折性半球の上部に重ね合わされた屈折レンズを含み、前記屈折レンズの焦点は、前記屈折性半球の中心と一致することを特徴とする請求項16に記載のマルチカラーマイクロLEDアレイ光源。
【請求項19】
マルチカラーマイクロLEDアレイ光源であって、
熱伝導性基板と、
前記熱伝導性基板上にモノリシックに集積され
た複数のアレイであっ
て、各アレイが、全て同一色である複数のマイクロLEDであって、前記同一色の個々のマイクロLEDは、列、行、又は斜線をなすように配置される、該複数のマイクロLEDと、前記複数のマイクロLED用のドライバ信号を受信するためのドライバ入力と、前記複数のマイクロLEDを前記ドライバ入力に接続する電気的接続とを含
み、前記全てのアレイ
における前記マイクロLEDは全体として、交互配置方式で配置された少なくとも2つの異なる色のマイクロLEDを備え、前記少なくとも2つの異なる色のマイクロLEDは、前記色のマイクロLEDのすべてがモノリシックに集積されるように同一基板上に集積されて、単一のチップをなして
いる、前記各アレイは、前記マイクロLEDのアレイによって生成された光を平行化するために前記マイクロLEDのアレイの上方に位置付けられた合焦構造の屈折光学系であって、前記合焦構造が、第1の半径をもつ球面が第2の半径をもつ半球面上に重ね合わされた複合上面を有するように構成された、該屈曲光学系を含む、該複数のアレイと、
と、
を備え、前記複数のマイクロLEDが前記ドライバ信号によって一斉に駆動される、前記マルチカラーマイクロLEDアレイ光源と、
前記マルチカラーマイクロLEDアレイ光源からの出力光分布を変調させるデジタルマイクロミラーデバイスと、
前記マルチカラーLEDアレイ光源からの出力光分布を平行化して、前記デジタルマイクロミラーデバイスに至らせる光学系と、
エンドユーザに表示するために、前記変調された光を投影する投影レンズと
を備えたことを特徴とする光エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、例えば平行フルカラー照射を必要とする用途に使用されてよい、モノリシックに集積されたマイクロLEDアレイに基づくマルチカラー光源に関する。より空間的に均一な色混合を達成するために、異なる色のマイクロLEDアレイが交互配置方式で配置される。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2016年11月10日に出願された米国特許仮出願第62/420,260号、「Full color LED array light source」、および2017年9月12日に出願された米国特許出願第15/701,450号、「Multi-Color Micro-LED Array Light Source」の優先権を主張する。前述したもの全ての主題は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
発光ダイオード(LED)は、表示灯、交通信号灯、LCD背面照明、および全般照明など、さまざまな照明用途に広く使用されている。フルカラー調整可能光を必要とする照明用途については、個別の赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップからなる集積RGB光モジュールが、市場によって広く採用されてきた。
【0004】
典型的には、赤色、緑色、および青色LEDチップの各々は、それ自体のコントローラによって独立に制御される。赤色、緑色、および青色光の量を、赤色、緑色、および青色LEDに注入される電流の制御を通じて調整することによって、出力光色がチューニングされる。しかし、ステージ照明、環境照明、および色調整可能な自動車ヘッドライトなど、一定の用途は、平行ビーム照射も必要とする。従来のRGB光モジュールにおいては、個別の赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップが、並んで置かれている。そのような配置は、チップサイズよりも大きな、赤色源と、緑色源と、青色源との間の中心間のずれを生み出す。このRGB光源が、共用の投影光学系を使用して投影されるとき、投影される赤色、緑色、および青色ビームの中心ずれは、投影光学系によって拡大されて、特に投影されたパターンの縁部に望ましくないカラーアーチファクトをもたらすという結果となる。加えて、個別の赤色、緑色、および青色LEDチップを使用する従来の投影システムにおいては、異なるチップからの光の十分に重なり合った組合せを確実なものにするために、複数のコリメーティングレンズやダイクロイックミラーなどの追加の光学部品が必要とされることがある。このことが、システム全体に複雑さおよびより大きなサイズを導入する。
【0005】
したがって、モノリシックに集積された構成およびより空間的に均一な色混合を特徴とするマルチカラー光源が、広く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願第15/135,217号明細書
【文献】米国特許出願第15/269,954号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一例として、集積RGB光モジュールは、熱伝導性基板上に交互配置された、赤色マイクロLEDアレイ、緑色マイクロLEDアレイ、および青色マイクロLEDアレイを含む。従来のRGB光モジュール内の寸法Lをもつ個別の赤色、緑色、および青色LEDチップを、寸法L/Nをもつ赤色、緑色、および青色マイクロLEDの交互配置されたN×Nアレイと置き換えることによって、赤色、緑色、および青色光源の中心ずれがN分の1に低減される。これは、従来のRGB光モジュールに見られるカラーアーチファクトを著しく低減させることができる。
【0008】
一態様においては、マルチカラーLEDアレイ光源が、熱伝導性基板と、熱伝導性基板上にモノリシックに集積された異なる色のマイクロLEDのアレイとを含む。異なる色を放出するマイクロLEDは、同一基板上に集積されて、単一チップを成す。マイクロLEDは、例えばフルカラー平行ビーム照射光源として使用するのに適した空間分布、カラーチューナビリティ、および角度分布をもつ出力光を発生させる方式で配置される。
【0009】
一実施形態では、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源が、マイクロLEDの複数のアレイを含み、1つのアレイ内の全てのマイクロLEDが同一色を有する。各アレイ内のマイクロLEDは、例えば直列または並列に互いに電気的に接続され、それによって、それらは個々に制御されるのではなく一斉に駆動されることが可能である。一例として、RGB光源は、赤色マイクロLEDのアレイ、緑色マイクロLEDのアレイ、および青色マイクロLEDのアレイを含む。マイクロLEDのアレイは、異なる色のLEDが交互配置されるように物理的に配置される。一例として、マイクロLEDは、赤色LED、緑色LED、および青色LEDの交互配置されたストライプとして配置されてよい。別の例として、マイクロLEDは、赤色LED、緑色LED、および青色LEDの交互配置された画素を成すように配置されてよい。
【0010】
マイクロLEDアレイ光源から放出される光は、オンチップでもよくオフチップでもよいコントローラによって変調される。例えば、出力光の色は、何らかの色のLEDを他の色のLEDよりも強く駆動することによって、または異なる色のLEDを異なる時間量にわたってオンにすることによって、制御されてよい。加えて、非結像光学系を含む屈折および反射光学系などの光学構造が、発生された光の空間分布および角度分布を成形するために使用されてよい。
【0011】
基板上に取り付けられた個別の大きなサイズLEDチップを使用する従来の光源と比較して、集積マルチカラーマイクロLEDアレイ光源は、より均一な色混合、ならびに異なる色の出力光のより良好な調整および位置整合を可能にする。加えて、個別のLEDチップを位置整合するのに必要とされる追加の光学部品が必要にはならず、そのことが、光源およびこれらの光源を使用する対応するシステムの、複雑さおよびサイズを低減させる。
【0012】
マルチカラーマイクロLEDアレイ光源は、多様な用途に使用されることが可能である。いくつかの例は、ステージ照明、環境照明、および色調整可能な自動車ヘッドライトなど、大きなサイズの光源が関与する高出力用途を含む。別の例として、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)光エンジン用の光源として使用されることが可能である。
【0013】
他の態様は、構成要素、デバイス、システム、改善点、方法、プロセス、用途、および上記のいずれかに関連付けられる他の技術を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の実施形態は、他の利点および特徴を有し、それらは、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を添付の図面と併せ読めば、より容易に明らかとなろう。
【0015】
【
図1】一実施形態による、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源を含む光エンジンを示す図である。
【
図2A】一実施形態による、赤色LED、緑色LED、および青色LEDの交互配置されたストライプを備えた例示的マルチカラーマイクロLEDアレイ光源の上面図である。
【
図2B】一実施形態による、一物理的配置にある赤色マイクロLED、緑色マイクロLED、および青色マイクロLEDの交互配置された画素を備えた例示的マルチカラーマイクロLEDアレイ光源の上面図である。
【
図2C】一実施形態による、別の物理的配置にある赤色マイクロLED、緑色マイクロLED、および青色マイクロLEDの交互配置された画素を備えた例示的マルチカラーマイクロLEDアレイ光源の上面図である。
【
図3A】一実施形態による、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源をパッシブコリメーション光学系とともに利用する、例示的光モジュールの図である。
【
図3B】一実施形態による、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源をパッシブコリメーション光学系とともに利用する、例示的光モジュールの図である。
【
図3C】一実施形態による、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源をパッシブコリメーション光学系とともに利用する、例示的光モジュールの図である。
【
図4A】一実施形態による、パッシブコリメーション光学系を利用する別の例示的光モジュールの図である。
【
図4B】一実施形態による、パッシブコリメーション光学系を利用する別の例示的光モジュールの図である。
【
図4C】一実施形態による、パッシブコリメーション光学系を利用する別の例示的光モジュールの図である。
【
図5A】さまざまな実施形態による、パッシブコリメーション光学系を利用するさらに追加の例示的光モジュールの断面図である。
【
図5B】さまざまな実施形態による、パッシブコリメーション光学系を利用するさらに追加の例示的光モジュールの別の断面図である。
【
図6】一実施形態による、複数のコリメーション構造を利用するさらに別の例示的光モジュールの断面図である。
【
図7A】一実施形態による、さらに別の例示的光モジュールの図である。
【
図7B】一実施形態による、さらに別の例示的光モジュールの図である。
【
図8A】さまざまな実施形態による、さらに追加の例示的光モジュールの断面図である。
【
図8B】さまざまな実施形態による、さらに追加の例示的光モジュールの別の断面図である。
【
図8C】さまざまな実施形態による、さらに追加の例示的光モジュールの別の断面図である。
【
図9】一実施形態による、さらに別の例示的光モジュールの断面図である。
【
図10】一実施形態による、複数のコリメーション構造を利用するさらに別の例示的光モジュールの断面図である。
【0016】
これらの図は、単に例示を目的としてさまざまな実施形態を描いている。本明細書に例示された構造および方法の代替的実施形態が、本明細書で説明された原理から逸脱することなく用いられてよいことを、当業者なら以下の論考から容易に認識するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これらの図および以下の説明は、単なる例示として、好ましい実施形態に関する。以下の論考から、本明細書に開示される構造および方法の代替的実施形態が、特許請求されるものの原理から逸脱することなく用いられてよい実行可能な代替形態として容易に認識されるであろうことに、留意されるべきである。
【0018】
図1は、一実施形態による、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源110を含む光エンジン100を示す。光エンジン100は、光源110からの出力光を変調させるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)140、光源110からの光をDMD140に結合させる光学系120、および変調された光を投影してエンドユーザに表示する投影レンズ150も含む。一例として、LEDアレイ光源110は、赤色マイクロLEDのアレイ、緑色マイクロLEDのアレイ、および青色マイクロLEDのアレイを使用する、RGB光源である。別の例として、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源110は、赤色マイクロLEDのアレイ、緑色マイクロLEDのアレイ、青色マイクロLEDのアレイ、および白色マイクロLEDのアレイを使用する、RGBW光源である。各色について個別の大きなLEDチップを使用する従来の光エンジンに比べて、光エンジン100全体のフォームファクタは、複数のLEDチップおよび対応する光学部品を集積マルチカラーマイクロLEDアレイ光源110と置き換えることによって、著しく低減されることが可能である。
図1の光エンジンは、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源の用途の一例であるが、そのような源は、他の用途に使用されることも可能である。
【0019】
図2Aは、一実施形態による、赤色LED220R、緑色LED220G、および青色LED220Bの交互配置されたストライプを備えた例示的マルチカラーマイクロLEDアレイ光源200の上面図である。
図2Aにおいては、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源200は、基板205と、基板上にモノリシックに集積された異なる色のマイクロLED220の複数のアレイと、マイクロLEDのアレイを駆動するように電気的に結合されたコントローラ225とを含む。この例においては、コントローラ225はオンチップである(すなわち同一チップ上にLEDと集積されている)が、それはオフチップとすることもできる。基板205は、熱伝導性基板であり、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ素、アルミニウム、銅、およびセラミックなどの材料から作製されることが可能である。一実施形態では、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源200内のLEDは、好ましくは100ミクロンよりも大きくないサイズをもつマイクロLEDである。
図2Aに示される例においては、LEDの各色について3本のストライプがあり、異なる色をもつLEDのストライプが互いに交互配置されている。左から始まって右に至るLEDのストライプは、各色について同数のストライプで、赤色、緑色、青色、赤色、緑色、青色などの順番になっている。代替的実施形態においては、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源は、各光色について異なる数のストライプを有することができ、またストライプは、異なる順序で配置されることが可能である。
【0020】
製造に関して、カラーLEDは、好ましくは、エピタキシャル層を使用して製造される。一手法においては、異なる色のマイクロLED220のアレイが熱伝導性基板205上に、エピタキシャル層をホスト基板から熱伝導性基板に金-金、金-インジウム、または金-スズ共晶接合を介して移行(transfer)させることによって、モノリシックに集積される。さらなる製造技法については、特許文献1、「Semiconductor Devices with Integrated Thin-Film Transistor Circuitry」、および特許文献2、「Making Semiconductor Devices with Alignment Bonding and Substrate Removal」に説明されており、そのどちらも、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
コントローラ225は、LED220R、220G、および220Bを駆動する。
図2Aにおいては、コントローラ225は、LEDのアレイを囲む破線の境界に接続されたものとして示されている。便宜上、個々のLEDへの接続は示されていない。一実施形態では、コントローラ225は、全ての同一色のLEDを一斉に駆動する。例えば、コントローラ225は、赤色LED220Rを一斉に駆動し、緑色LED220Gを一斉に駆動し、青色LED220Bを一斉に駆動する。これは、全ての同一色のLEDを単一アレイとして電気的に接続し(例えばそれら全てを並列または直列に接続し)、次いでその単一アレイを駆動することによって行われることが可能である。あるいは、同一色のLEDが複数のアレイとして接続されるが、全てのアレイが一斉に駆動されることも可能である。例えば、コントローラ225は、赤色LED220Rを一斉に駆動し、緑色LED220Gを一斉に駆動し、青色LED220Bを一斉に駆動する。しかし、異なる色が互いに別々に駆動されることが可能である。このようにして、相対的カラーコンテントがコントローラ225によって調整されることが可能である。一手法においては、コントローラ225はこれを、異なる色を駆動するのに使用される電流を調整することによって達成する。あるいは、コントローラ225は、時間多重された手法を使用してもよい。場合によっては、異なる色のLEDを含む、全てのLEDを一斉に駆動することが望ましいことがある。
【0022】
図2Bは、一実施形態による、一物理的配置にある赤色マイクロLED250R、緑色マイクロLED250G、および青色マイクロLED250Bの交互配置された画素を備えた例示的マルチカラーマイクロLEDアレイ光源240の上面図である。
図2Aに示されている光源200と同様に、
図2Bにおける光源240は、基板245と、基板上に集積された異なる色のマイクロLED250R、250G、および250Bのアレイと、マイクロLEDのアレイを駆動するように電気的に結合されたコントローラ255とを含む。基板245は、熱伝導性基板である。光源240においては、各マイクロLEDが正方画素に対応する。赤色LED250R、緑色LED250G、および青色LED250Bの交互配置された画素が、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源240を成す。LED250R、250G、および250Bのこの物理的配置においては、LEDアレイは、各列(column)に同一色の個々の画素がある9列の画素を有し、異なる色のLEDを有する列が互いに交互配置される。
図2Bは、交互配置される画素の物理的配置の一例を示すにすぎない。代替的実施形態においては、マイクロLEDアレイは、異なる物理的配置、例えば、個々のマイクロLEDを備えた異なる数の列または行(row)を有することができる。
【0023】
図2Cは、一実施形態による、別の物理的配置にある赤色マイクロLED280R、緑色マイクロLED280G、および青色マイクロLED280Bの交互配置された画素を備えた例示的マルチカラーマイクロLEDアレイ光源270の上面図である。光源270は、熱伝導性基板275と、基板上に集積された異なる色のマイクロLED280R、280G、および280Bのアレイと、マイクロLEDのアレイを駆動するように電気的に結合されたコントローラ285とを含む。この例においては、LEDは、破線の境界によって示されるように、同一色のLEDの斜線を成すように配置される。
【0024】
図3ないし
図10は、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源を、発生された光の角度分布を改善するための追加の光学系とともに利用する、光モジュールのさまざまな例を示す。これらの例においては、代表的なゴールは、平行光照射野の空間的均一性を損なわずに出力光を平行化すること(すなわち出力光の角度発散を低減させること)である。一手法においては、マイクロLEDによって発生された、中心発散円錐内にある(すなわち光軸に平行に、または光軸から一定度数以内で伝播している)光が、コリメーティングレンズなど、1セットの光学系によって平行化される。マイクロLEDによってより斜角で発生された他の光は、リフレクタなど、別セットの光学系によって平行化される。
【0025】
図3Aないし
図3Cは、一実施形態による、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源をパッシブコリメーション光学系とともに利用する、例示的光モジュールのさまざまな図である。
図3Aは、プロジェクタ、ステージライト、またはヘッドランプに使用されることの可能なマルチカラー光源の例である、光モジュール300の斜視図である。
図3Bは、光モジュール300の上面図であり、ヒートシンク330上に取り付けられ、反射カップ320によって取り囲まれたマルチカラーマイクロLEDアレイ光源310を示す。
図3Cは、光モジュール300の断面図であり、ヒートシンク330、ヒートシンク上に取り付けられた光源310、および光源を取り囲む反射カップ320を示す。ヒートシンク330は、光源310を位置付けるための機械的基部、ならびに熱を除去するための熱経路として働く。
【0026】
図3Cに示すように、反射カップ320は、光源310の上方の空気空間を取り囲む反射内面を有する。この例においては、反射カップ320は円錐台形状である。反射カップ320は、光源310からの出力光の一部を反射し、したがって、光モジュール300によって発生される光の全体的な平行化を高める、パッシブ光学系である。すでに適正に平行化されている(光ビーム340Aなどの)光ビームは、反射カップ320にぶつからず、パッシブリフレクタ320によって方向変更されることなく光モジュール300から出射する。対照的に、十分に平行化されていない(光ビーム340Bなどの)光ビームは、リフレクタ320にぶつかり、より平行な方向に方向変更されることになる。
図3Cにおいては、光ビーム340Bの発散角度は、角度332から角度334に低減される。光モジュール300によって出力される集合光の発散は低減される。
【0027】
図4Aないし
図4Cは、一実施形態による、パッシブコリメーション光学系を利用する別の例示的光モジュールのさまざまな図である。
図4Aは、光モジュール用の屈折コリメーション光学系の斜視図を示す。
図4Bおよび
図4Cは、この屈折光学系を使用する光モジュールの上面図および断面図を示す。この光モジュールは、屈折光学系420によって取り囲まれたマルチカラーマイクロLEDアレイ光源410を含む。それは、ヒートシンク430も含み、光源410がヒートシンク上に位置付けられている。この設計においては、屈折構造420は、光源410の周りの空気空間を使用するのではなく中実である。屈折構造420の側壁が、光源410からの出力光の部分を反射する。例えば、光ビーム440Bは、屈折光学系420の側面によって反射され、その発散角度は、角度432から角度434に低減される。反射は、全反射のためとすることができ、またはそれは、側壁が反射材料で被覆されているためとすることができる。
【0028】
図5Aないし
図5Bは、さまざまな実施形態による、パッシブコリメーション光学系520、570を利用するさらに追加の例示的光モジュール500、550の断面図である。これらの設計は、
図3Aないし
図3Cおよび
図4Aないし
図4Cにおける設計に類似している。それらはどちらもそれぞれ、ヒートシンク540上に取り付けられたマルチカラーマイクロLEDアレイ光源510、ヒートシンク590上に取り付けられたマルチカラーマイクロLEDアレイ光源560を含む。それぞれ、パッシブコリメーション光学系520、570も有する。しかし、コリメーション光学系520、570の形状が異なる。光学系520、570の形状は、(線分ではなく)曲線を中心軸の周りで回転させることによって生成される。一設計においては、これらは、相対的に小さな光源510、560によって発生される広く発散する光を、非結像光学系の開口全体から出射する(より狭い発散角度をもつ)最大限に平行化された光に効率良く変換する、非結像光学系とすることができる。この設計においては、光ビームは、リフレクタ520、570の側面に複数回反射してよい。
【0029】
図6ないし
図10は、
図5Aに示される光モジュールに対するさらなる機能強化を示す。
図6においては、光モジュールは、光源510によって発生された中心光ビーム630を平行化するための追加のコリメーション構造620を含む。光源510は、追加のコリメーション構造620内に埋められる。
【0030】
図7Aないし
図7Bは、一実施形態による、マルチカラーマイクロLEDアレイ光源およびパッシブコリメーション光学系を利用する別の例示的光モジュールのさまざまな図である。
図7Aは断面図であり、
図7Bは上面図である。
図7においては、光モジュールは、懸架された光学系720、例えば単一レンズを備え、それが、破線によって示される中心光ビーム730を平行化する。レンズ720は、レンズ720の光軸が光源510の中心を通じて通過した状態で、光源510の一焦点距離上方に置かれる。実線によって示される、光源510からの斜角ビームを平行化するために、反射カップが利用される。上面図は、レンズ720を光源510の上で懸架された状態に保つためのレンズホルダ750の一例を示す。
図7は一例を示すにすぎない。代替的実施形態においては、他のタイプの追加の合焦構造が、中心光ビームを平行化するために光源510の上方に位置付けられてよい。
【0031】
図8Aないし
図8Cは、より複雑な構造820、822、824を示す。これらの設計は、中心光ビーム830の平行化を助ける。
図8Aにおいては、光源510は埋められているが、構造の上面820が、
図6の光モジュールに比べて光源から隔置されている。
図8Aにおいては、この間隔は、構造820をより高くすることによって得られている。
図8Bにおいては、光源510は埋められていない。構造822の裏面が、光源510用の空間を作るために中空にされている。
【0032】
図8Cにおいては、構造824が複合上面を有する。この中心屈折光学系は、半径R1をもつ球面827が半径R2をもつ半球面828の上部に重ね合わされ、R1<R2<2*R1である、自由形状面設計を特徴とする。この自由面中心光学系は、半径R2をもつ下部半球828の中心が、半径R1をもつ球面827によって形成されるレンズの焦点と一致するように設計される。光源510は、その中心がこの焦点と一致するように位置付けられる。この設計においては、面827に衝突する光線は、光源510がその面の焦点に位置するので、平行化される。面828に衝突する光線は、光源510がその面の中心に位置するので、変更されない。これらの斜めのビームはその後、周囲の反射光学系、すなわち反射カップによって平行化される。
図8におけるマルチカラーマイクロLED光源の光抽出効率は、高屈折率媒質への埋め込みのため、高められる。
【0033】
図9は、反射光学系920を使用する手法を示す。この場合、反射面920Aないし920Bが、中心光ビーム930を平行化する。
図10においては、マイクロレンズアレイ
1020が、中心光ビーム
1030を平行化するために使用される。
【0034】
詳細な説明は、多くの具体的内容を含んでいるが、これらは本発明の範囲を限定するものと解釈されるのではなく、単にさまざまな例を例示するものと解釈されるべきである。本開示の範囲は、上で詳細に論考されていない他の実施形態を含むと理解されるべきである。当業者に明らかとなるさまざまな他の修正、変更、および変形が、添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された方法および装置の構成、動作、および細部において加えられてよい。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的等価物によって決定されるべきである。