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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】蓋の制動保持要素を備えるボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20220930BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20220930BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20220930BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
B65D47/06 110
B65D47/08 200
A47J41/02 104B
A47J41/00 304B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019569772
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 FR2018051381
(87)【国際公開番号】W WO2018229427
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】1755388
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ プリション
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3164889(JP,U)
【文献】特開2008-200067(JP,A)
【文献】特開2010-222794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
B65D 47/08
A47J 41/02
A47J 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 飲料の容器本体(2)と、
- 前記容器本体(2)に対して閉鎖位置と開放位置との間で回転軸(4)の周りに枢動して開放行程を規定するように取り付けられた蓋(3)と、
- 前記蓋(3)の開放位置への戻り装置(5)と
を備える飲料持ち歩き用のボトル(1)であって、
戻り手段(7)の作用によって前記蓋(3)に押し付けられる制動保持要素(6)を備え、前記制動保持要素(6)は、前記開放行程の全域で前記蓋(3)に制動をかけるために、また前記蓋(3)を前記開放位置で保持するために前記蓋(3)に対して可動であり、
前記制動保持要素(6)は、前記蓋(3)と協働する制動機構(62)を備え、前記制動機構(62)が前記蓋(3)の補完的摩擦面(322)と摩擦する摩擦面(622)を備えることで、前記蓋(3)が前記閉鎖位置から前記開放位置に移行するときに前記蓋(3)の動きを減速させることができ、前記摩擦面(622)は、らせん面(623)の一部位であることを特徴とするボトル(1)。
【請求項2】
前記制動保持要素(6)は、前記蓋(3)が前記閉鎖位置から前記開放位置に移行するときに前記制動保持要素(6)が前記蓋(3)に対して摩擦する制動位置と、前記制動保持要素(6)が前記蓋(3)を前記開放位置で保持する保持位置との間で前記回転軸(4)に沿って並進可能となるように取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のボトル(1)。
【請求項3】
前記制動保持要素(6)は、前記蓋(3)を前記開放位置で拘束する保持機構(61)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のボトル(1)。
【請求項4】
前記保持機構(61)は、前記蓋(3)が前記開放位置にあるときに前記蓋(3)の少なくとも1つの二次壁(311)と協働して前記蓋(3)を前記開放位置で保持することのできる一次壁(611)を備え、前記一次壁(611)と前記二次壁(311)は、所定の値を上回る値の外力が前記蓋(3)に加えられたとき、前記制動保持要素(6)がその前記保持位置から前記制動位置に移行し、前記蓋(3)が前記開放位置を離れて前記閉鎖位置に向かうように構成されることを特徴とする請求項に記載のボトル(1)。
【請求項5】
前記一次壁(611)および/または前記二次壁(311)は平坦であることを特徴とする請求項に記載のボトル(1)。
【請求項6】
前記容器本体(2)に設けられた支持部(23)を備え、前記支持部(23)は、飲料を特に前記容器本体(2)の外の方へ通すことのできる開口(231)および注ぎ口(232)を備え、前記蓋(3)は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間で前記回転軸(4)の周りに枢動可能に前記支持部(23)に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のボトル(1)。
【請求項7】
前記制動保持要素(6)は、前記支持部(23)の区画(234)内で並進するように案内されることを特徴とする請求項に記載のボトル(1)。
【請求項8】
前記蓋(3)が前記閉鎖位置にあるとき、前記蓋(3)は錠止システム(9)によって前記支持部(23)に錠止されることを特徴とする請求項6またはに記載のボトル(1)。
【請求項9】
前記蓋(3)の前記開放位置への前記戻り装置(5)は、前記回転軸(4)の周りに設けられたねじりばね(51)を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のボトル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋の開放速度の減速と開放位置での蓋の保持を可能にする制動保持要素を備える飲料持ち歩き用のボトルに関する。
【0002】
本明細書では、ボトルについて説明するために使用する「長手方向」、「横断方向」、「水平」、「垂直」、「下」、「上」、「高」、「低」の用語は、水平面に置いたときの使用状態でのボトルを基準としていることに留意されたい。
【背景技術】
【0003】
飲料持ち歩き用のボトルであって、飲料の容器本体と、本体に対して閉鎖位置と開放位置との間で回転軸の周りに枢動して開放行程を規定するように取り付けられた蓋と、蓋の開放位置への戻り装置とを備えるボトルが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
こうしたボトルは、蓋と協働するようにされた蓋の錠止機構であって、錠止機構が錠止位置にあるときに蓋をその閉鎖位置に錠止するように、また錠止機構がその錠止位置から錠止解除位置に移行すると蓋をその閉鎖位置から解放し、その後は蓋が戻り装置の作用で開放されるように構成された錠止機構を備える。
【0005】
しかし、こうしたボトル構造における蓋の開放動作は、蓋がその閉鎖位置から開放位置に移行するとき、戻り装置の作用によって突然で急なものとなり、そのために蓋はストッパに勢いよく突き当たる。
【0006】
さらに、こうしたボトルの蓋は、開いたときにその開放位置で保持されない。ボトル内の飲料を飲もうとするとき、ユーザーはボトルを手に持ち、腕を曲げてボトルを口に持っていくが、その際、開放位置の蓋はその自重によって閉鎖位置の方に再び閉じようとする傾向がある。そのため、蓋はその使用中にユーザーの顔に落ちてくるおそれがある。そのため、こうした構造はユーザーにとって不快な使用感を引き起こすことになりかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2015055055号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述のような不都合を是正して、ユーザーが快適な使用感を得られるようにする人間工学的に改善されたボトルを提案することにある。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、単純かつ経済的に実施することのできる設計を有する飲料持ち歩き用のボトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的は、飲料の容器本体と、容器本体に対して閉鎖位置と開放位置との間で回転軸の周りに枢動して開放行程を規定するように取り付けられた蓋と、前記蓋の開放位置への戻り装置とを備える飲料持ち歩き用のボトルにおいて、戻り手段の作用によって蓋に押し付けられる制動保持要素を備え、制動保持要素は、開放行程の全域で蓋に制動をかけるために、また蓋をその開放位置で保持するために蓋に対して可動であることを特徴とするボトルによって達成される。
【0011】
このような構造により、制動保持要素は2つの機能を果たす。すなわち、開放動作時の蓋の制動という第1の機能と開放位置での蓋の保持という第2の機能である。それにより、蓋の突然の開放とユーザーの顔面への蓋の降下を防いで、ユーザーによる体験が改善される。
【0012】
好ましくは、制動保持要素は、蓋がその閉鎖位置からその開放位置に移行するときに制動保持要素が蓋に対して摩擦する制動位置と、制動保持要素が蓋をその開放位置で保持する保持位置との間で回転軸に沿って並進可能となるように取り付けられる。
【0013】
制動保持要素は制動位置と保持位置との間で回転軸に沿って並進可能である。戻り手段は制動保持要素に対して回転軸の方向に戻り力を加え、それにより、蓋がその閉鎖位置からその開放位置に移行するとき、制動保持要素は回転軸に沿って並進してその保持位置に移行する。こうした制動保持要素は実施するに当たってコンパクトかつ単純な構造を有する。
【0014】
好ましくは、制動保持要素は蓋と協働する制動機構を備え、その制動機構が蓋の補完的摩擦面と摩擦する摩擦面を備えることで、蓋がその閉鎖位置から開放位置に移行するときに蓋の動きを減速させることができる。
【0015】
そのため、制動保持要素の摩擦面は戻り手段の作用で蓋の補完的摩擦面に押し付けられて、蓋に動摩擦を加え、蓋がその閉鎖位置からその開放位置に移行するときに蓋の動きに対抗する。
【0016】
有利には、摩擦面は平坦で、回転軸に対して垂直をなす。
【0017】
摩擦面は蓋の補完的摩擦面に摩擦力を加え、それによって開放行程の間、蓋の動きに対抗する。
【0018】
有利には、摩擦面は、らせん面の一部位を備える。
【0019】
らせん面とは、回転軸と直交する線分が、その一方の端点が回転軸と一体化した直線を描くようにらせん移動することによって得られる面をいう。
【0020】
そのため、蓋がその閉鎖位置からその開放位置に移行するとき、動摩擦は次第に低下する。蓋の開放行程の当初は、開放行程の当初に最大の戻り力をもたらす戻り手段の作用で蓋に加わる最大の動摩擦によって動きの加速度は大幅に下がる。次いで、制動保持要素に加わる戻り手段の戻り力は蓋がその閉鎖位置からその開放位置に移行するにつれて弱まり、動摩擦は次第に低下する。
【0021】
好ましくは、制動保持要素は、蓋をその開放位置で拘束する保持機構を備える。
【0022】
こうした保持機構は蓋を開放位置で保持する第2の機能を保証する。
【0023】
有利には、保持機構は、蓋が開放位置にあるときに蓋の少なくとも1つの二次壁と協働して蓋をその開放位置で保持することのできる一次壁を備え、一次壁と二次壁は、所定の値を上回る値の外力が蓋に加えられたとき、制動保持要素がその保持位置からその制動位置に移行し、蓋がその開放位置を離れて閉鎖位置に向かうように構成される。
【0024】
ユーザーは蓋を押し戻すだけで、蓋をその開放位置から閉鎖位置に移行させることができる。そのため、蓋をその開放位置から閉鎖位置に移行させるための操作はユーザーが容易に行えるものである。
【0025】
有利には、一次壁および/または二次壁は平坦である。
【0026】
一次壁および/または二次壁は、単純で効果的かつ実施が容易な構造を有する。
【0027】
好ましい実施形態では、ボトルは、容器本体に設けられた支持部を備え、支持部は、飲料を特に容器本体の外の方へ通すことのできる開口および注ぎ口を備え、蓋は、閉鎖位置と開放位置との間で回転軸の周りに枢動可能に支持部に取り付けられる。
【0028】
蓋は支持部に枢動可能に取り付けられ、その支持部は容器本体に設けられる。支持部は、洗浄および本体への飲料充填のために容易に取り外せるように設計される。
【0029】
有利には、制動保持要素は支持部の区画内で並進するように案内される。
【0030】
蓋の効果的な減速および保持が保証されるように、制動保持要素ならびに支持部の区画は、支持部の区画内では制動保持要素が回転軸に沿って並進でのみ可動となるように構成される。
【0031】
好ましい実施形態では、蓋が閉鎖位置にあるとき、蓋は錠止システムによって支持部に錠止される。
【0032】
錠止システムは、蓋がその閉鎖位置に保持される錠止位置と、蓋がその閉鎖位置から解放される錠止解除位置との間で可動な錠止機構を備える。
【0033】
有利には、前記蓋の開放位置への戻り装置は回転軸の周りに設けられたねじりばねを備える。
【0034】
これにより、蓋がその閉鎖位置にあるときには、ねじりばねは最大レベルで付勢され、蓋に対して最大のねじり力を加える。錠止機構がその錠止解除位置に移行して蓋をその閉鎖位置から解放すると、蓋はその最大のねじり力の作用で自動的に開放される。ねじりばねによって与えられるねじり力は蓋の開放の間に次第に低下し、蓋がその開放位置に到達すると最低レベルに達する。
【0035】
本発明の目的、態様および利点については、限定的でない例として添付の図面を参照しながら紹介する本発明の具体的実施形態に関する以下の説明によってよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の具体的実施形態によるボトルであって、蓋が閉鎖位置にあるボトルの斜視図である。
図2】蓋が開放位置にある図1のボトルの斜視図である。
図3図1のボトルの分解図である。
図4図2のボトルの上面図である。
図5】保持位置にある制動保持要素を示した図4のA-A断面によるボトルの断面図である。
図6】制動位置にある制動保持要素を示したボトルの断面図である。
図7図1の制動保持要素の斜視図である。
図8図1の蓋、とりわけ二次壁および補完的摩擦面を示した斜視図である。
図9】本発明の第2の具体的実施形態による制動保持要素を示した図である。
図10】本発明の第3の具体的実施形態による蓋を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に説明する実施形態は、湯、水、コーヒー、紅茶などの飲料の持ち歩き用のボトルであって、蓋の開放速度を減速するとともにその開放位置でのその保持を可能にする制動保持要素を備えるボトルに関する。図1および2に示すような本発明の具体的実施形態では、ボトル1は飲料の容器本体2と、容器本体2に対して回転軸4の周りに枢動可能に取り付けられた蓋3と、支持部23とを備える。この具体的実施形態では、容器本体2の一部分はステンレス鋼で製作され、容器本体2は真空の空間を間に挟んだ二重壁構造を有する。それ以外の実施形態では、容器本体2は、金属材料、複合材料、プラスチック材料、ガラス材料、ポリマー材料およびそれらを組み合わせたものなどを含むがそれだけに限らない、あらゆる適切な材料で製造される。ボトル1は、プラスチック製またはゴム製の材料からなるベース部20であって、容器本体2を外部の衝撃から守るために容器本体2の下部に設けられたベース部20を備える。支持部23は容器本体2と蓋3との間に設けられ、蓋3は、閉鎖位置と開放位置との間で回転軸4の周りに枢動して開放行程を規定するように支持部23に取り付けられる。
【0038】
図3および4のとおり、蓋3は、支持部23に備わる管23Aに軸42を介して回転軸4の周りに枢動連結される形で取り付けられている。支持部23は、飲料を特に容器本体2の外の方へ通すことができるように構成された注ぎ口232および開口231を備える。支持部23は容器本体2の上部開口(図示せず)に螺合される。容器本体2と支持部23との間の組立ての水密性はシール(図示せず)によって保証される。ボトル1は、蓋3の開放位置への戻り装置5と、支持部23に設けられた錠止システム9とを備える。錠止システム9は、蓋3がその閉鎖位置で保持される錠止位置と、蓋3がその閉鎖位置で錠止を解かれる錠止解除位置との間で軸10の周りを枢動する錠止ボタン91の形の錠止機構を備える。
【0039】
蓋3は、蓋3の内面30に設けられた柔軟素材製の閉鎖栓32を備えている。閉鎖栓32は、蓋3が閉鎖位置に来ると、開口231を通る飲料の通路が閉鎖栓32によって密閉状態で閉ざされるように支持部23の開口231と協働する。
【0040】
戻り装置5は、蓋3と支持部23との間で回転軸4の周りに設けられたねじりばね51を備える。錠止位置にある錠止機構91によって蓋3がその閉鎖位置で錠止されるときは、ねじりばね51は最大レベルで付勢され、蓋3に対して最大のねじり力を加える。錠止機構91がその錠止解除位置に移行して蓋3をその閉鎖位置から解放すると、蓋3はねじりばね51の作用でその閉鎖位置から開放位置に開く。ねじりばね51によって与えられるねじり力は蓋が開く間に次第に低下し、蓋3がその開放位置に到達したときに最小レベルに達する。
【0041】
図5および6に示すように、ねじりばね51は、管23A内部に設けられた第1の空所233内に軸42の周りに設けられている。ボトル1は、戻り手段7の作用を受けて蓋3に押し付けられる制動保持要素6を備えている。戻り手段7は、支持部23の区画234内に回転軸4の周りに設けられたばね7であり、区画234は管23Aの内部に設けられた第2の空所234であり、制動保持要素6は部分的に第2の空所234内に設けられており、ばね7の一部分は制動保持要素6の内部空所60内に設けられている。制動保持要素6は、蓋3がその閉鎖位置から開放位置に移行するときに制動保持要素6が蓋3に対して摩擦する制動位置と、制動保持要素6が蓋3をその開放位置に錠止する保持位置との間を回転軸4に沿って並進可能である。図5に示すように、蓋3はその開放位置で保持され、制動保持要素6はその保持位置にある。
【0042】
図7および8のとおり、制動保持要素6は、蓋3がその閉鎖位置から開放位置に移行するときに蓋3の動きを制動するように構成された制動機構62を備えている。制動機構62は摩擦面622を備えている。図6に示すように制動保持要素6が制動位置にあるとき、摩擦面622は蓋3の補完的摩擦面322にばね7の作用で押し付けられて蓋に動摩擦を加え、蓋がその閉鎖位置からその開放位置に移行するときに蓋3の動きに対抗する。この具体的な実施形態では、摩擦面622および補完的摩擦面322は平坦で、回転軸4に対して垂直である。摩擦面622および補完的摩擦面322の接触面は蓋3の開放が進むにつれて小さくなっていく。そのため、蓋3に加わる動摩擦は、蓋3がその閉鎖位置からその開放位置に移行するとき、次第に低下する。摩擦の低減はねじりばね51によって蓋3に加わる力の変化を埋め合わせる。
【0043】
制動保持要素6は、蓋3をその開放位置に拘束することができる保持機構61を備える。保持機構61は、環状面66から摩擦面622に延びる一次壁611を備える。蓋3が開放位置にあるとき、一次壁611は蓋3の二次壁311と協働することで蓋3をその開放位置に保持することができる。二次壁311は平坦で、回転軸4と垂直な平坦面33から蓋3の補完的摩擦面322に向けて延びる。一次壁611は回転軸4に対して傾斜した部位を少なくとも1つ備えることで、二次壁311が一次壁611に対して摺動できるようにされる。それにより、所定の値を上回る値の外力を蓋3に加えると、制動保持要素6はその保持位置から制動位置に移行し、蓋3はその開放位置を離れ、その閉鎖位置に向かう。
【0044】
図3および7のとおり、制動保持要素6は、制動保持要素6の回転を拘束し、支持部23に備わる管23Aの第2の空所234内でのその並進運動を案内するように構成された案内機構63を備えている。三角プリズムに似た構造を持つ案内機構63は、制動保持要素6の円筒面67に回転軸4に沿った突起の形で設けられる。
【0045】
使用時、錠止ボタン91によってその閉鎖位置に閉ざされていた状態の蓋3を開けるには、ユーザーは錠止ボタン91を押して、その錠止位置からその錠止解除位置に錠止ボタン91を転動させる。それにより、蓋3はその閉鎖位置から解放される。すると、蓋3はその開放位置の方に開き始め、ねじりばね51の作用で回転軸4の周りに枢動するようになる。制動保持要素6の摩擦面622は蓋の補完的摩擦面322に対してばね7の作用で摩擦し、蓋3の開放動作を遅らせることができる。蓋3がその開放位置に到達すると、制動保持要素6の一次壁611は蓋3の二次壁311と協働することで蓋3をその開放位置に保持できるようにする。
【0046】
開放位置に保持された蓋3を閉じるときは、ユーザーは所定の値を上回る値の外力を加えて、蓋3をその閉鎖位置に押し戻す。蓋3の二次壁311は制動保持要素6の一次壁611を摺動し、それによって制動保持要素6はその保持位置から制動位置に移行し、蓋3はその開放位置を離れてその閉鎖位置に向かう。蓋3がその閉鎖位置に到達すると、蓋3は錠止ボタン91によって錠止される。その結果、蓋3は閉ざされ、開口231を通る飲料の通路は閉鎖栓32によって閉ざされる。
【0047】
本発明が、あくまでも例として取り上げて説明し、図示した実施形態だけに何ら限定されるものでないことは言うまでもない。各種要素の構成という観点からの変更や、技術的等価物による置き換えによる変更は、それによって本発明の保護領域から外れることなく、なお可能である。
【0048】
図9に示した本発明の第2の具体的実施形態によれば、制動保持要素6の摩擦面622は、らせん面623の部位を備えている。らせん面とは、回転軸4と直交する線分が、その一方の端点が回転軸4と一体化した直線を描くようにらせん移動することによって得られる面をいう。摩擦面622のらせん面部位623は、蓋3がその閉鎖位置からその開放位置に移行する間に制動保持要素6がその保持位置に次第に並進していくように構成されている。そのため、蓋3に加わる動摩擦は、蓋3がその閉鎖位置からその開放位置に移行するとき、次第に低下する。蓋3の開放行程の当初は、開放行程の当初に最大の戻り力をもたらすばね7の作用で蓋3に加わる最大の動摩擦によって動きの加速度は大幅に低下する。その後、制動保持要素6に加わる戻りばね7の戻り力は蓋3がその閉鎖位置からその開放位置に移行するにつれて弱まり、動摩擦は次第に低下する。こうした摩擦面622の構造は、ユーザーが比較的小さな力を加えるだけでより容易に蓋3を閉めることを可能にする。
【0049】
ある変形実施形態では、蓋3の補完的摩擦面322は、蓋3がその閉鎖位置からその開放位置に移行する間に制動保持要素6がその保持位置に次第に並進するように制動機構62のらせん面623の部位と協働する補完的らせん面部位である。そのため、蓋3に加わる動摩擦は、蓋3がその閉鎖位置からその開放位置に移行するとき、次第に低下する。
【0050】
反対に、蓋の二次壁は回転軸に対して傾斜する。蓋の二次壁は平坦でない面を有する。
【0051】
図10に示した本発明の第3の具体的な実施形態によれば、蓋3の補完的摩擦面322は蓋3の平坦面33と一体化している。補完的摩擦面322は平坦で、回転軸4に対して垂直をなす。この具体的な実施形態では、制動保持要素6は図7に示したものと同じであり、制動機構62の摩擦面622はばね7の作用で蓋3の補完的摩擦面322に対して摩擦して蓋3をその開放行程で減速させるように構成される。そのため、蓋3の開放は蓋3がその開放位置に到達するまで次第に減速し、開放位置で蓋3は支持部23の面によって衝止される。開放行程の最後で、ばね7の作用で蓋3に押し付けられる制動機構62によって蓋3はその開放位置に保持される。
【0052】
別の変形実施形態では、制動保持要素の案内機構は、制動保持要素の円筒面に回転軸に沿って突出する直方体に類した形状を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10