IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミサワホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図1
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図2
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図3
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図4
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図5
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図6
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図7
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図8
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図9
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図10
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図11
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図12
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図13
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図14
  • 特許-壁放射冷暖房装置及び部屋構造 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】壁放射冷暖房装置及び部屋構造
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0093 20190101AFI20220930BHJP
   F24D 3/16 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
F24F1/0093
F24D3/16 D
F24D3/16 Z
F24D3/16 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020047149
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021148344
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 理人
(72)【発明者】
【氏名】田口 秀法
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 惇
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-074403(JP,A)
【文献】特開平11-200538(JP,A)
【文献】特開2001-231661(JP,A)
【文献】特開2007-162392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0093
F24D 3/16
E04G 23/00-23/08
E04B 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設けられた壁放射冷暖房装置であって、
前記壁面の一部にふかし壁が形成され、
前記ふかし壁は、当該ふかし壁に内蔵された第一フレーム材及び第二フレーム材と、前記第一フレーム材及び前記第二フレーム材を連結する複数の連結材と、高温又は低温の流体を流通させる管材と、を備え、
前記第二フレーム材は、前記第一フレーム材よりも前記壁面側に設けられており、
前記管材は、当該管材と前記第二フレーム材との間に設けられた前記第一フレーム材に支持されており、
前記複数の連結材は、上下に並ぶ複数の連結材を含み、当該上下に並ぶ複数の連結材は、互いに間隔を空けて配置されていることを特徴とする壁放射冷暖房装置。
【請求項2】
請求項1に記載の壁放射冷暖房装置において、
前記第一フレーム材は、前記壁面から離間して設けられており、
前記第二フレーム材は、前記壁面に接して設けられていることを特徴とする壁放射冷暖房装置。
【請求項3】
請求項2に記載の壁放射冷暖房装置において、
前記第一フレーム材と前記管材との間に下地材が配設されており、
前記下地材には、配管用の開口部が設けられていることを特徴とする壁放射冷暖房装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の壁放射冷暖房装置において、
第一領域に設けられた前記管材と、第二領域に設けられた前記管材と、が異なる系統で配管されていることを特徴とする壁放射冷暖房装置。
【請求項5】
請求項4に記載の壁放射冷暖房装置において、
当該壁放射冷暖房装置を介して前記壁面に沿って設けられたデスクの天板よりも上側の領域を、前記第一領域とし、
前記天板よりも下側の領域を、前記第二領域としたことを特徴とする壁放射冷暖房装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の壁放射冷暖房装置において、
前記第一領域と前記第二領域の温度又は温湿度をそれぞれ測定するセンサーを備え、
当該壁放射冷暖房装置の端部には、前記センサーを収納するためのセンサー収納凹部が形成されていることを特徴とする壁放射冷暖房装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の壁放射冷暖房装置において、
当該壁放射冷暖房装置の端部には、照明器具を収納するための照明器具収納凹部が形成されていることを特徴とする壁放射冷暖房装置。
【請求項8】
壁面の一部にふかし壁が形成された部屋構造であって、
前記ふかし壁が複数形成されており、
複数の前記ふかし壁は、それぞれ当該ふかし壁に内蔵された第一フレーム材及び第二フレーム材と、前記第一フレーム材及び前記第二フレーム材を連結する複数の連結材と、高温又は低温の流体を流通させる管材と、を備えており、
前記第二フレーム材は、前記第一フレーム材よりも前記壁面側に設けられており、
前記管材は、当該管材と前記第二フレーム材との間に設けられた前記第一フレーム材に支持されており、
前記複数の連結材は、上下に並ぶ複数の連結材を含み、当該上下に並ぶ複数の連結材は、互いに間隔を空けて配置されていることを特徴とする部屋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁放射冷暖房装置及び部屋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の温度を調節する冷暖房装置の一種として、床暖房が知られている(例えば特許文献1参照)。床暖房には、風が出ない、乾燥しにくい、騒音が少ない、室内に器具が設置されないなどの利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-74400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷暖房装置は、大別すると、広範囲の温度調節に優れた装置と局所的な温度調節に優れた装置とに分けられ、床暖房は前者である。したがって、床暖房だと、在室人数が一人である場合には、必要のない空間まで暖房してしまって効率の良い暖房ができないことがある。また、快適温度は人それぞれ違うので、床暖房だと、在室人数が複数人である場合に全員が快適と感じる暖房ができないことがある。すなわち、床暖房は、パーソナル空調に適していない。
【0005】
本発明の課題は、パーソナル空調に適した冷暖房装置及び部屋構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図8に示すように、
壁面(第一壁部4の壁面)に設けられた壁放射冷暖房装置12であって、
前記壁面の一部にふかし壁が形成され、
前記ふかし壁は、当該ふかし壁に内蔵された第一フレーム材(前側フレーム材212)及び第二フレーム材(後側フレーム材211)と、前記第一フレーム材及び前記第二フレーム材を連結する複数の連結材213と、高温又は低温の流体を流通させる管材231と、を備え、
前記第二フレーム材は、前記第一フレーム材よりも前記壁面側に設けられており、
前記管材231は、当該管材231と前記第二フレーム材との間に設けられた前記第一フレーム材に支持されており、
前記複数の連結材213は、上下に並ぶ複数の連結材213を含み、当該上下に並ぶ複数の連結材213は、互いに間隔を空けて配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、壁面(第一壁部4の壁面)の一部に形成されたふかし壁は、当該ふかし壁に内蔵された第一フレーム材(前側フレーム材212)及び第二フレーム材(後側フレーム材211)と、前記第一フレーム材及び前記第二フレーム材を連結する複数の連結材213と、高温又は低温の流体を流通させる管材231と、を備え、管材231は、前記第一フレーム材に支持されているので、管材231をふかし壁内に支持することができる。そして、管材231に高温の流体を流通させれば、壁面近傍の局所的な空間を暖める暖房装置として使用でき、管材231に低温の流体を流通させれば、壁面近傍の局所的な空間を冷やす冷房装置として使用できるので、パーソナル空調に適している。
また、第二フレーム材(後側フレーム材211)は、第一フレーム材(前側フレーム材212)よりも壁面(第一壁部4の壁面)側に設けられており、管材231は、当該管材231と前記第二フレーム材との間に設けられた前記第一フレーム材に支持されている。したがって、冷暖房の放射面を前記第一フレーム材や前記第二フレーム材よりもふかし壁表面側(前記壁面とは反対側)に形成することができるので、冷暖房効率がよい。
さらに、管材231は、壁面(第一壁部4の壁面)に形成されたふかし壁の内部のうち、第一フレーム材(前側フレーム材212)の表面側(前記壁面とは反対側)に設置されている。したがって、管材231を前記壁面に直接設置した場合や管材231を前記第一フレーム材の裏面側(前記壁面側)に設置した場合に比べて、冷暖房時において前記壁面の温度変化を抑えることができるので、前記壁面やその他の箇所(前記壁面を形成する壁部(第一壁部4)の内部など)に結露が発生することを防止できる。
また、部屋を形成するふかし壁に管材231を内蔵して成るので、部屋を形成する床に管材を内蔵して成る床暖房と同様、風が出ない、乾燥しにくい、騒音が少ない、室内に器具が設置されないなどの利点がある。
床暖房には、上記利点がある一方で、管材を壁近傍まで配置できないので、壁近傍の冷暖房に適していないという問題がある。また、床は人体と直接接触するので、不快感を与えてしまうおそれがある。また、床に内蔵された管材に低温の流体を流通させれば床暖房を冷房装置として用いることができるが、その場合、足元から冷えることになるので、好ましくない。これに対し、本発明の壁放射冷暖房装置12であれば、これらの問題を解決することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図2図8に示すように、
請求項1に記載の壁放射冷暖房装置12において、
前記第一フレーム材(前側フレーム材212)は、前記壁面(第一壁部4の壁面)から離間して設けられており、
前記第二フレーム材(後側フレーム材211)は、前記壁面に接して設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第一フレーム材(前側フレーム材212)の表面側に管材231が配置されており、前記第一フレーム材の裏面側に壁面(第一壁部4の壁面)が配置されており、前記第一フレーム材が前記壁面から離間している。したがって、前記壁面と前記第一フレーム材との間には空間が形成されているので、管材231の配管スペースを確保できるとともに、配管作業を容易に行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図2図8に示すように、
請求項2に記載の壁放射冷暖房装置12において、
前記第一フレーム材(前側フレーム材212)と前記管材231との間に下地材220が配設されており、
前記下地材220には、配管用の開口部221が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、下地材220の表面側に管材231が配置されており、当該下地材220の裏面側に第一フレーム材(前側フレーム材212)が配置されており、当該下地材220に配管用の開口部221が設けられている。したがって、下地材220の表面側に配置されている管材231を壁面(第一壁部4の壁面)前記第一フレーム材との間の空間へ配管するための開口部221が下地材220に設けられており、開口部221に通すだけでよいので、配管作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図2図8に示すように、
請求項1から3のいずれか一項に記載の壁放射冷暖房装置12において、
第一領域に設けられた前記管材231と、第二領域に設けられた前記管材231と、が異なる系統で配管されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、第一領域に設けられた管材231と、第二領域に設けられた管材231とが異なる系統で配管されているので、第一領域と第二領域とで異なる温度調節が可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図1図8に示すように、
請求項4に記載の壁放射冷暖房装置12において、
当該壁放射冷暖房装置12を介して前記壁面に沿って設けられたデスク10の天板10aよりも上側の領域を、前記第一領域とし、
前記天板10aよりも下側の領域を、前記第二領域としたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、デスク10は、壁放射冷暖房装置12を介して壁面に沿って設けられており、壁放射冷暖房装置12における内部の管材231は、デスク10の天板10aを境にして上側と下側に異なる系統で配管されているので、デスク10の天板10aを境にした上側と下側で、壁放射冷暖房装置12の異なる温度調節が可能となる。これにより、例えば冬季に足元だけを暖めたり、夏季に上半身だけを涼しくしたり、天井付近の熱溜まりを解消したり、壁放射冷暖房装置12の上側と下側の温度を別々に調節して頭部と足元の温度差を小さくしたりすることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図2図7図8に示すように、
請求項4又は5に記載の壁放射冷暖房装置12において、
前記第一領域と前記第二領域の温度又は温湿度をそれぞれ測定するセンサー(例えば温度センサー16)を備え、
当該壁放射冷暖房装置12の端部には、前記センサーを収納するためのセンサー収納凹部(凹部12a)が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、第一領域と第二領域の温度をそれぞれ測定するセンサー(温度センサー16)又は第一領域と第二領域の温湿度をそれぞれ測定するセンサーを備えており、当該センサーは、端部に設けた凹部12aの内部に収納されているので、センサーが目立たず、美観を損なうことがない。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば図7図8に示すように、
請求項1から6のいずれか一項に記載の壁放射冷暖房装置12において、
当該壁放射冷暖房装置12の端部には、照明器具19を収納するための照明器具収納凹部(凹部12a)が形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、内部に照明器具19が配置される照明器具収納凹部(凹部12a)を有しているので、ふかし壁として使用できるだけでなく、照明装置としても使用可能な多機能の冷暖房装置を提供することができる。また、照明器具19は、端部に設けた凹部12aの内部に収納されているので、照明器具19が目立たず、美観を損なうことがない。
【0019】
請求項8に記載の発明は、例えば図8図9に示すように、
壁面(第一壁部4の壁面)の一部にふかし壁が形成された部屋構造であって、
前記ふかし壁が複数形成されており、
複数の前記ふかし壁は、それぞれ当該ふかし壁に内蔵された第一フレーム材(前側フレーム材212)及び第二フレーム材(後側フレーム材211)と、前記第一フレーム材及び前記第二フレーム材を連結する複数の連結材213と、高温又は低温の流体を流通させる管材231と、を備えており、
前記第二フレーム材は、前記第一フレーム材よりも前記壁面側に設けられており、
前記管材231は、当該管材231と前記第二フレーム材との間に設けられた前記第一フレーム材に支持されており、
前記複数の連結材213は、上下に並ぶ複数の連結材213を含み、当該上下に並ぶ複数の連結材213は、互いに間隔を空けて配置されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、壁面(第一壁部4の壁面)の一部に複数のふかし壁が形成されており、複数のふかし壁は、それぞれ当該ふかし壁に内蔵された第一フレーム材(前側フレーム材212)及び第二フレーム材(後側フレーム材211)と、前記第一フレーム材及び前記第二フレーム材を連結する複数の連結材213と、高温又は低温の流体を流通させる管材231と、を備え、管材231は、前記第一フレーム材に支持されているので、管材231をふかし壁内に支持することができる。そして、管材231に高温の流体を流通させれば、壁面近傍の局所的な空間を暖める暖房装置として使用でき、管材231に低温の流体を流通させれば、壁面近傍の局所的な空間を冷やす冷房装置として使用できるので、パーソナル空調に適している。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、パーソナル空調に適した冷暖房装置及び部屋構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】住宅に設けられた部屋空間を示す斜視図である。
図2】壁放射冷暖房装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は横断面図、(c)は縦断面図である。
図3】枠体の取り付け方を示す図であり、(a)は正面図、(b)は横断面図、(c)は縦断面図である。
図4】下地材の取り付け方を示す図であり、(a)は正面図、(b)は横断面図、(c)は縦断面図である。
図5】冷暖房パネルの取り付け方を示す図である。
図6】冷暖房パネルの取り付け方を示す図であり、(a)は正面図、(b)は横断面図、(c)は縦断面図である。
図7】壁放射冷暖房装置の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は横断面図である。
図8】壁放射冷暖房装置の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は横断面図である。
図9】ベッドルームに設置した壁放射冷暖房装置の一例を示す図である。
図10】枠体の取り付け方を示す斜視図である。
図11】下地材(第一下地材)の取り付け方を示す斜視図である。
図12】冷暖房パネル(第一冷暖房パネル)の取り付け方を示す斜視図である。
図13】冷暖房パネル(第一冷暖房パネル)の取り付け方を示す斜視図である。
図14】下地材(第二下地材)の取り付け方を示す斜視図である。
図15】壁放射冷暖房装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0023】
図1において符号1は、部屋空間を示す。この部屋空間1は、住宅内の子供部屋や書斎などのデスク10が設置される部屋の内部空間である。部屋空間1は、床部2と、天井部3と、第一壁部4と、第二壁部5と、第三壁部6と、部屋空間1に対して第二壁部5側とは反対側に隣接する部屋との間を仕切る仕切壁(図示省略)と、によって囲まれて形成されている。
【0024】
床部2は、住宅における同一階層の床体と連続して設けられており、本実施形態においては、同一階層の床体に対して一体的に設けられているが、同一階層の床体と一体に形成されていてもよい。
本実施形態における床部2は、全面が同一の高さに設定されているが、スキップ床や掘りごたつのように段違いの部分があってもよい。
なお、床部2の上面には、椅子11の脚部に設けられるキャスターによる傷付きを防ぐタイルカーペットなどの敷物が敷かれてもよい。
【0025】
天井部3は、床部2の上方に位置しており、住宅における居室等の他の部屋と同等の天井高となるように設けられている。
本実施形態における天井部3は、全面が同一の高さに設定されているが、勾配天井や折り上げ天井でもよい。
【0026】
第一壁部4、第二壁部5、第三壁部6は、平面視において略コ字状に配置されている。すなわち、第一壁部4と第三壁部6は、平面視において平行かつ対向して配置され、第二壁部5は、平面視において第一壁部4の一端部と第三壁部6の一端部との間に配置されている。すなわち、第一壁部4及び第三壁部6は、第二壁部5に対し、平面視において直交して配置されている。
さらに、これら第一壁部4、第二壁部5、第三壁部6は、床部2と天井部3との間に設けられており、本実施形態においては同一の高さ寸法に設定されている。
【0027】
なお、これら第一壁部4、第二壁部5、第三壁部6は、住宅における他の部屋を形成する壁体と連続して設けられる場合がある。
また、これら第一壁部4、第二壁部5、第三壁部6は、住宅内部の内壁として設けられる場合もあるし、住宅の外周を構成する外壁として設けられる場合もある。
【0028】
第一壁部4は、本実施形態においては外壁として設けられており、住宅における他の外壁と、平面視において同一方向に連続して設けられている。
また、この第一壁部4は、外壁であるものの、開口部が無い状態となっている。したがって、ユーザが第一壁部4側に向いている状態においては屋外が見えない。
【0029】
第二壁部5は、本実施形態においては外壁として設けられており、住宅における他の外壁と、平面視において同一方向に連続して設けられている。
また、この第二壁部5には、開口部(図示省略)が形成されている。したがって、ユーザが第二壁部5側に向いた状態になると屋外が見える。
【0030】
第三壁部6は、本実施形態においては内壁として設けられている。また、この第三壁部6は、上記のように、第二壁部5に対して直交して配置されているため、第二壁部5に連続する他の外壁とも直交して配置されている。
この第三壁部6には、部屋空間1に出入りするための出入り用開口部(図示省略)が形成されている。
【0031】
部屋空間1には、デスク10と、椅子11と、壁放射冷暖房装置12と、が備えられている。
【0032】
デスク10は、第一壁部4に沿って設けられており、平面視において略矩形状に形成された天板10aと、天板10aの下面に設けられた複数の脚部10bと、を有する。
本実施形態におけるデスク10は、部屋空間1に対して造り付けられて一体化しているが、床部2上に置かれるものでもよい。
【0033】
デスク10は、複数の脚部10bにおける下端面から天板10aの上面までの高さが700ミリメートル程度に設定されている。したがって、ユーザがデスク10を使用する際は、椅子11が必要となる。
天板10aにおける第一壁部4側縁部の長さ寸法は、壁放射冷暖房装置12の幅寸法と略等しく設定されている。
【0034】
壁放射冷暖房装置12は、内部の管材231に高温又は低温の流体を流通させて表面から熱放射する装置であり、第一壁部4の壁面に接して設けられている。
流体としては、例えば、水又は不凍液(例えば、エチレングリコールなど)が用いられている。水は加熱冷却が容易であり、配管などのメンテナンスにおいても好適な流体である。
【0035】
壁放射冷暖房装置12は、第一壁部4の壁面に対して固定されて一体的な状態となっている。そのため、第一壁部4とは、第一壁部4の壁体と、この壁放射冷暖房装置12と、を含めたものを指すものとしてもよい。
デスク10は、このような壁放射冷暖房装置12を介して第一壁部4に沿って設けられた状態となっている。そして、上記のように、天板10aにおける第一壁部4側縁部の長さ寸法は、壁放射冷暖房装置12の幅寸法と略等しく設定されているので、デスク10と壁放射冷暖房装置12の一体性も高く見える。
なお、第一壁部4は、開口部が無い状態となっているが、あくまでも壁放射冷暖房装置12が設けられた範囲に開口部が無い状態を指しており、壁放射冷暖房装置12が設けられていない箇所には開口部が形成されてもよい。
【0036】
そして、壁放射冷暖房装置12における内部の管材231は、デスク10における天板10aを境(図1中の二点鎖線)にして上側と下側に異なる系統で配管されている。これにより、デスク10の天板10aを境にした上側と下側で、壁放射冷暖房装置12の異なる温度調節が可能となる。
なお、快適な生活を送る上で頭部と足元の温度差は、3℃以下であることが理想であるとされている(ISO7730規格)。壁放射冷暖房装置12は、頭部と足元の温度差が3℃以下となるように、天板10aを境にした上側と下側で温度調節を行う。そのために、壁放射冷暖房装置12は、天板10aを境にした上側と下側の温度をそれぞれ測定する温度センサー16を備えているものとする。
【0037】
すなわち、壁放射冷暖房装置12は、天板10aを境にした上側と下側の温度に合わせて適宜調整される。
具体的には、冬季に足元だけを暖めたい場合は、壁放射冷暖房装置12の下側のみを暖房として稼働させる。夏季に上半身だけを涼しくしたい場合や天井部3付近の熱溜まりを解消したい場合は、壁放射冷暖房装置12の上側のみを冷房として稼働させる。
さらに、快適な生活を送るために頭部と足元の温度差を3℃以下にしたい場合は、壁放射冷暖房装置12の上側と下側を別々の温度で稼働させる。
【0038】
また、デスク10は、壁放射冷暖房装置12を介して第一壁部4に沿って設けられており、壁放射冷暖房装置12における内部の管材231は、デスク10の天板10aを境にして上側と下側に異なる系統で配管されているので、デスク10の天板10aを境にした上側と下側で、壁放射冷暖房装置12の異なる温度調節が可能となる。これにより、例えば冬季に足元だけを暖めたり、夏季に上半身だけを涼しくしたり、天井部3付近の熱溜まりを解消したり、壁放射冷暖房装置12の上側と下側の温度を別々に調節して頭部と足元の温度差を小さくしたりすることができる。そのため、ユーザにとって、温度に係る最適な勉強環境や仕事環境を形成することができる。
【0039】
〔壁放射冷暖房装置〕
図2は、壁放射冷暖房装置12の一例を示す図であり、(a)は壁放射冷暖房装置12の正面図、(b)は壁放射冷暖房装置12の横断面図、(c)は壁放射冷暖房装置12の縦断面図である。
壁放射冷暖房装置12は、第一壁部4の壁面に固定された枠体210と、枠体210の前面(第一壁部4とは反対側の面)に設けられた下地材220と、下地材220の前面に設けられた冷暖房パネル230と、冷暖房パネル230の前面に設けられた石膏ボード240とを備える。
【0040】
枠体210は、縦横の框材及び複数の補助桟材からなる後側フレーム材211と、縦横の框材及び複数の補助桟材からなる前側フレーム材212と、間隔を空けて前後に並ぶ後側フレーム材211及び前側フレーム材212を連結する複数の連結材213とにより構成される。なお、本実施形態においては、LVL(Laminated Veneer Lumber)で形成されてなる枠体210を用いるが、LVLに限定されず、通常の角材でもよいし、構造用集積材やCLT(Cross Laminated Timber)などでもよい。
【0041】
前側フレーム材212の高さ寸法(上下方向の長さ)は、後側フレーム材211の高さ寸法と略等しく設定されている。
一方、前側フレーム材212の幅寸法(左右方向の長さ)は、後側フレーム材211の幅寸法よりも長く設定されている。したがって、壁放射冷暖房装置12の左右両端部には、図2(b)に示すように、凹部12aがそれぞれ形成されている。具体的には、壁放射冷暖房装置12の左端部には、左向きに開口する凹部12aが上下方向に沿って形成されており、壁放射冷暖房装置12の右端部には、右向きに開口する凹部12aが上下方向に沿って形成されている。
【0042】
冷暖房パネル230は、内部に管材231が通ったパネル材であり、例えば既存の床暖房パネルを適用することができる。壁放射冷暖房装置12の制御部(図示省略)は、冷暖房パネル230の管材231に供給する流体の流量や温度などを制御することで、壁放射冷暖房装置12の温度を調節する。
本実施形態の壁放射冷暖房装置12は、冷暖房パネル230として、第一冷暖房パネル230aと第二冷暖房パネル230bとを備えている。
【0043】
第一冷暖房パネル230aの管材231と、第二冷暖房パネル230bの管材231とは異なる系統で配管されている。
また、図2(c)に示すように、第一冷暖房パネル230aは、下地材220の上側領域(デスク10の天板10aを境にした上側の領域)に貼設されており、第二冷暖房パネル230bは、下地材220の下側領域(デスク10の天板10aを境にした下側の領域)に貼設されている。
さらに、壁放射冷暖房装置12の制御部には、デスク10の天板10aを境にした上側と下側の温度をそれぞれ測定する温度センサー16、ユーザが視認可能な表示部(図示省略)、ユーザが操作可能な操作部(図示省略)などが接続されている。
【0044】
これにより、冬季に足元だけを暖めたい場合は、第二冷暖房パネル230b(壁放射冷暖房装置12の下側)のみを暖房として、すなわち運転モードを暖房に設定して稼働させることができるとともに、夏季に上半身だけを涼しくしたい場合や天井部3付近の熱溜まりを解消したい場合は、第一冷暖房パネル230a(壁放射冷暖房装置12の上側)のみを冷房として、すなわち運転モードを冷房に設定して稼働させることができる。無論、冬季に足元以外も暖めたい場合は、第二冷暖房パネル230b(壁放射冷暖房装置12の下側)だけでなく、第一冷暖房パネル230a(壁放射冷暖房装置12の上側)も運転モードを暖房に設定して稼働させることができる。また、夏季に上半身以外も涼しくしたい場合は、第一冷暖房パネル230a(壁放射冷暖房装置12の上側)だけでなく、第二冷暖房パネル230b(壁放射冷暖房装置12の下側)も運転モードを冷房に設定して稼働させることができる。
さらに、快適な生活を送るために頭部と足元の温度差を3℃以下にしたい場合は、第一冷暖房パネル230aと第二冷暖房パネル230b(壁放射冷暖房装置12の上側と下側)を別々の温度で稼働させることができる。
【0045】
本実施形態の壁放射冷暖房装置12は、図2(a)及び図2(b)に示すように、温度センサー16として、凹部12a内の上側領域(デスク10の天板10aを境にした上側の領域)に配置された第一温度センサー16aと、凹部12a内の下側領域(デスク10の天板10aを境にした下側の領域)に配置された第二温度センサー16bとを備えている。
【0046】
冷暖房パネル230の前面には、石膏ボード240が貼設されている。また、冷暖房パネル230と下地材220と前側フレーム材212の左側面及び右側面にも、石膏ボード240がそれぞれ貼設されている。石膏ボード240の表面には、図示はしないが、壁クロスなどの内壁仕上げ材が設けられている。
なお、壁放射冷暖房装置12の前面部の縁、すなわち前側フレーム材212と下地材220と冷暖房パネル230と石膏ボード240とで構成される前面部の縁は、クロス巻込み仕上げとなっていることが好ましい。
【0047】
また、図2(b)及び図2(c)に示すように、前側フレーム材212の裏面(後面)にスタイロフォーム等の断熱材250を設置することが好ましい。これにより、冷暖房時において第一壁部4の壁面(外壁の室内側表面)の温度変化を抑えることができるので、第一壁部4の壁面や第一壁部4の内部などに結露が発生することを防止することが可能となる。
なお、図2(b)に示す例では、前側フレーム材212の裏面のうち、後側フレーム材211に対向する部分にのみ断熱材250を配置しているが、前側フレーム材212の裏面全体(すなわち、後側フレーム材211に対向する部分と、第一壁部4に対向する部分と、の両方)に断熱材250を配置してもよい。
【0048】
ここで、壁放射冷暖房装置12は、温度センサー16の代わりに、温湿度センサーを備えることも可能である。温湿度センサーを備えることで、壁放射冷暖房装置12の制御部(制御ユニット)は、温湿度センサーの検出結果に基づいて露点温度付近となったか否か判定することが可能となる。これにより、露点温度付近となったことを契機に、例えば冷房中の冷暖房パネル230の稼働をオフしたり設定温度を高くしたりすることができるので、壁放射冷暖房装置12や壁面での結露の発生を抑制することが可能となる。
【0049】
温湿度センサーを用いた制御システムの一例について説明する。
壁放射冷暖房装置12が設置された部屋(ひいては建物)には、温湿度センサー、壁放射冷暖房装置12(熱源機等も含む)、コントローラである制御ユニットを備えた空気調和システムが構築されている。
【0050】
建物内には、例えばLAN(Local Area Network)などの通信ネットワークが構築され、温湿度センサーと、制御ユニットと、居住者が所持する携帯情報端末と、が通信可能に接続されている。
温湿度センサーによって計測された部屋空間1の温度及び湿度のデータは、ローカルエリアネットワークを通じて制御ユニットに伝送され、制御ユニットは、当該温度及び湿度のデータに基づいて壁放射冷暖房装置12の制御を行う。
【0051】
温湿度センサーによって計測される湿度は、空気中に含むことができる最大の水蒸気量に対して、現在の水蒸気量はどれくらいかを表した相対湿度である。
制御ユニットは、温湿度センサーによって計測された温度及び相対湿度から、従来公知の重量絶対湿度算出式に基づいて重量絶対湿度を算出する絶対湿度算出手段(図示省略)を備える。重量絶対湿度とは、空気から水蒸気を取り除いた「渇き空気」1kgという重量に対して水蒸気がどのくらいの割合を占めているかを示している。すなわち、制御ユニットは、部屋空間1内の温度と、相対湿度及び絶対湿度(重量絶対湿度)の計測を行うことができる。
なお、制御ユニットが絶対湿度算出手段を備える代わりに、温度と相対湿度及び絶対湿度を計測可能な温湿度センサーを採用してもよい。
【0052】
コントローラである制御ユニットは、壁放射冷暖房装置12の制御を行うための制御ロジックとして、温湿度センサーによって計測された温度及び/又は湿度における上限値と下限値それぞれの設定と、温湿度センサーによって計測された温度及び/又は湿度が上限値と下限値に達した場合に対応する冷暖房パネル230の稼働状態の設定と、が可能となっている。
【0053】
制御ユニットに対して設定することが可能な制御ロジックについて、より詳細に説明すると、まず、制御対象環境の選択が可能となっている。すなわち、設定したい空気調和の対象を温度とするか、相対湿度とするか、絶対湿度とするか、をユーザが選択できるようになっている。続いて、各制御対象環境における上限値と下限値の選択・設定が可能となっている。そして、上限値と下限値の設定を行うと、冷暖房パネル230のオンオフ切り替え設定を行うことが可能となっている。
ユーザが温度の設定を行いたい場合は、温度を選択し、上限値と下限値の設定を行う。そして、上限値に達した場合に冷暖房パネル230の稼働がオンとなるかオフとなるかを選択する。また、下限値に達した場合に冷暖房パネル230の稼働がオンとなるかオフとなるかを選択する。
【0054】
夏場のような気温の高い時期において、温度が上限値に達したとき(部屋空間1内の温度が上昇して暑い状態を指す。)に、運転モードが冷房に設定された冷暖房パネル230の稼働がオンとなり、下限値に達したとき(部屋空間1内の温度が下がり過ぎた状態を指す。)に、運転モードが冷房に設定された冷暖房パネル230の稼働がオフとなる。
一方、冬場のような気温の低い時期においては、温度が上限値に達したとき(部屋空間1内の温度が上がり過ぎた状態を指す。)に、運転モードが暖房に設定された冷暖房パネル230の稼働がオフとなり、温度が下限値に達したとき(部屋空間1内の温度が下がって寒い状態を指す。)に、運転モードが暖房に設定された冷暖房パネル230の稼働がオンとなる。
なお、冷暖房パネル230の運転モードについては、部屋空間1内の温度と屋外の温度に応じて自動で運転モードが選択される自動運転機能を有するか、前回運転時の運転モードが自動的に引き継がれるものとする。
【0055】
部屋空間1内の湿度(相対湿度や絶対湿度)が高い時期において、湿度が上限値に達したときに、運転モードが冷房に設定された冷暖房パネル230の稼働がオフとなって結露の発生を抑制する。
一方、部屋空間1内の湿度(相対湿度や絶対湿度)が低い時期においては、湿度が下限値に達したときに、運転モードが冷房に設定された冷暖房パネル230の稼働がオンとなって結露の発生を抑制する。
【0057】
〔壁放射冷暖房装置の施工方法〕
次に、図2図6を用いて壁放射冷暖房装置12の施工手順の一例を説明する。
まず、図3に示すように、枠体210の後側フレーム材211を第一壁部4の壁面に図示しないビス止めにより固定することによって、枠体210を第一壁部4に取り付ける。これに先立ち、床部2に開口を設けて、第一熱源機(図示省略)から第一冷暖房パネル230aへ供給される流体が流通する第一供給パイプ17aの先端部と、第一冷暖房パネル230aから当該第一熱源機へ回収される流体が流通する第一回収パイプ18aの先端部とを、床部2に設けた開口を介して床下空間から部屋空間へと露出させておく。また、第二熱源機(図示省略)から第二冷暖房パネル230bへ供給される流体が流通する第二供給パイプ17bの先端部と、第二冷暖房パネル230bから当該第二熱源機へ回収される流体が流通する第二回収パイプ18bの先端部とを、床部2に設けた開口を介して床下空間から部屋空間へと露出させておく。
なお、供給パイプ17a・17b及び回収パイプ18a・18bは、図示しない断熱材で包まれている。また、供給パイプ17a・17b及び回収パイプ18a・18bを部屋空間へと露出させるための開口は、床部2ではなく、天井部3に設けてもよいし、第一壁部4の壁面や第二壁部5の壁面に設けてもよい。
また、本実施形態では、熱源機として、ヒートポンプ式冷温水機を用いる。
【0058】
次いで、図4に示すように、下地合板などの下地材220を、枠体210の前側フレーム材212の前面に、図示しないビス止めにより固定する。下地材220には、配管用の開口部221として、第一冷暖房パネル230aのための第一開口部221aと、第二冷暖房パネル230bのための第二開口部221bとが設けられている。開口部221は、下地材220を枠体210に固定する前に形成されてもよいし、下地材220を枠体210に固定した後に形成されてもよい。
なお、前側フレーム材212の裏面に断熱材250を設置する場合には、例えば、断熱材250を前面フレーム材212に固定した後に、下地材220を前面フレーム材212に固定する。
【0059】
次いで、第一冷暖房パネル230a及び第二冷暖房パネル230bを、下地材220の前面に、図示しない接着剤とビスで固定する。
本実施形態では、冷暖房パネル230として、図5に示すように、硬質発泡ポリスチレン板及び小根太用合板からなる基材232と、基材232の表面に形成された溝部に収容される架橋ポリエチレン製の管材231と、基材232に形成された切欠部233内に設けられ、管材231の入口端及び出口端が接続されているヘッダ234と、ヘッダ234から延出する2本の中継パイプ235と、溝部に管材231が収容された状態の基材232の表面を覆うアルミシート236とを備えるパネル材を用いる。この冷暖房パネル230においては、基材232の切欠部233を含む一部の領域がアルミシート236で覆われていない露出領域となっており、アルミシート236のうち当該露出領域を覆う部分の裏面(シール面)は剥離紙237で保護されている。
下地材220の第一開口部221aは、第一冷暖房パネル230aの切欠部233に対応する位置に設けられている。また、下地材220の第二開口部221bは、第二冷暖房パネル230bの切欠部233に対応する位置に設けられている。
【0060】
第一冷暖房パネル230aを下地材220に固定した後、図6(b)に示すように、第一冷暖房パネル230aの中継パイプ235の一端部(ヘッダ234に接続されていない側の端部)を、第一開口部221aを介して下地材220の前面側から後面側へと押し込んで、当該後面側(すなわち、壁面と前側フレーム材212との間の空間内)でパイプ17a・18aに接続する。これにより、第一開口部221aを貫通する2本の中継パイプ235のうち、一方の中継パイプ235を介して第一冷暖房パネル230aの各管材231の入口端と第一供給パイプ17aとが接続されるとともに、他方の中継パイプ235を介して第一冷暖房パネル230aの各管材231の出口端と第一回収パイプ18aとが接続される。
【0061】
また、第二冷暖房パネル230bを下地材220に固定した後、図6(b)及び図6(c)に示すように、第二冷暖房パネル230bの中継パイプ235の一端部(ヘッダ234に接続されていない側の端部)を、第二開口部221bを介して下地材220の前面側から後面側へと押し込んで、当該後面側(すなわち、壁面と前側フレーム材212との間の空間内)でパイプ17b・18bに接続する。これにより、第二開口部221bを貫通する2本の中継パイプ235のうち、一方の中継パイプ235を介して第二冷暖房パネル230bの各管材231の入口端と第二供給パイプ17bとが接続されるとともに、他方の中継パイプ235を介して第二冷暖房パネル230bの各管材231の出口端と第二回収パイプ18bとが接続される。
なお、前側フレーム材212の裏面に断熱材250を設置する場合には、断熱材250にも第一開口部221a及び第二開口部221bに対応する図示しない開口部又は中継パイプ235が挿通可能な径の挿通孔が設けられている。当該開口部又は挿通孔を介して中継パイプの接続を行う。
【0062】
次いで、中継パイプ235を図示しない断熱材で包み、剥離紙237をはがして、図6(a)に示すように、基材232の切欠部233を含む一部の領域(露出領域)をアルミシート236で覆う。これにより、冷暖房パネル230の前面全体がアルミシート236で構成された状態となる。
その後、図2に示すように、石膏ボード240を、冷暖房パネル230a・230bの前面と、冷暖房パネル230a・230b、下地材220及び前側フレーム材212の左側面と、冷暖房パネル230a・230b、下地材220及び前側フレーム材212の右側面とに、図示しないビス止めにより固定して、石膏ボード240の表面に、内壁仕上げ材(図示省略)を貼設する。
【0063】
本実施形態によれば、壁放射冷暖房装置12は、第一壁部4の壁面に設けられており、当該壁面の一部に形成されたふかし壁は、当該ふかし壁に内蔵された前側フレーム材212と、高温又は低温の流体を流通させる管材231と、を備え、管材231は、前側フレーム材212に支持されているので、管材231をふかし壁内に支持することができる。そして、管材231に高温の流体を流通させれば、壁面近傍の局所的な空間を暖める暖房装置として使用でき、管材231に低温の流体を流通させれば、壁面近傍の局所的な空間を冷やす冷房装置として使用できるので、パーソナル空調に適している。
また、管材231は、前側フレーム材212におけるふかし壁外側に設けられている。したがって、冷暖房の放射面を前側フレーム材212よりもふかし壁外方向に形成することができるので、冷暖房効率がよい。
さらに、管材231は、第一壁部4の壁面に形成されたふかし壁の内部のうち、前側フレーム材212よりも外側に設置されている。したがって、管材231を第一壁部4の壁面に直接設置した場合や管材231を前側フレーム材212よりも内側に設置した場合に比べて、冷暖房時において第一壁部4の壁面の温度変化を抑えることができるので、第一壁部4の壁面やその他の箇所(第一壁部4の内部など)に結露が発生することを防止できる。
また、部屋を形成するふかし壁に管材231を内蔵して成るので、部屋を形成する床に管材を内蔵して成る床暖房と同様、風が出ない、乾燥しにくい、騒音が少ない、室内に器具が設置されないなどの利点がある。
床暖房には、上記利点がある一方で、管材を壁近傍まで配置できないので、壁近傍の冷暖房に適していないという問題がある。また、床は人体と直接接触するので、不快感を与えてしまうおそれがある。また、床に内蔵された管材に低温の流体を流通させれば床暖房を冷房装置として用いることができるが、その場合、足元から冷えることになるので、好ましくない。これに対し、本実施形態の壁放射冷暖房装置12であれば、これらの問題を解決することができる。
【0064】
また、前側フレーム材212は、当該壁面から離間して設けられている。
すなわち、前側フレーム材212の表面側に管材231が配置されており、前側フレーム材212の裏面側に壁面が配置されており、前側フレーム材212が壁面から離間している。したがって、壁面と前側フレーム材212との間には空間が形成されているので、管材231の配管スペース(本実施形態の場合、管材231に接続するパイプ(中継パイプ235、供給パイプ17a・17b、回収パイプ18a・18b)の配管スペース)を確保できるとともに、配管作業を容易に行うことができる。
【0065】
また、前側フレーム材212と管材231との間に下地材220が配設されており、下地材220には、配管用の開口部221が設けられている。
すなわち、下地材220の表面側に管材231が配置されており、下地材220の裏面側に前側フレーム材212が配置されており、下地材220に配管用の開口部221が設けられている。したがって、下地材220の表面側に配置されている管材231(本実施形態の場合、管材231に接続する中継パイプ235)を壁面と前側フレーム材212との間の空間へ配管するための開口部221が下地材220に設けられており、開口部221に通すだけでよいので、配管作業を容易に行うことができる。
なお、第一開口部221aの位置や形状や個数は、図4図5に示す位置や形状や個数に限定されず適宜変更可能である。また、第二開口部221bの位置や形状や個数は、図4図5に示す位置や形状や個数に限定されず適宜変更可能である。また、第一開口部221aと第二開口部221bとを一体的に設けてもよい。
【0066】
また、第一領域(第一冷暖房パネル230aが配置される領域)に設けられた管材231と、第二領域(第二冷暖房パネル230bが配置される領域)に設けられた管材231とが異なる系統で配管されているので、第一領域と第二領域とで異なる温度調節が可能となる。
なお、第一領域に複数の第一冷暖房パネル230aを設けてもよい。すなわち、第一領域に同じ系統で配管されている複数の冷暖房パネルを設けてもよい。
また、第二領域に複数の第二冷暖房パネル230bを設けてもよい。すなわち、第二領域に同じ系統で配管されている複数の冷暖房パネルを設けてもよい。
また、壁放射冷暖房装置12が備える冷暖房パネル230は、第一冷暖房パネル230aと第二冷暖房パネル230bの2系統に限定されず、例えば、第一冷暖房パネル230aのみの1系統であってもよい。あるいは、それぞれ異なる系統で配管されている第一から第三冷暖房パネルの3系統であってもよいし、それ以上であってもよい。
【0067】
また、壁放射冷暖房装置12を介して第一壁部4の壁面に沿って設けられたデスク10の天板10aよりも上側の領域を、第一領域(第一冷暖房パネル230aが配置される領域)とし、デスク10の天板10aよりも下側の領域を、第二領域(第二冷暖房パネル230bが配置される領域)としている。
したがって、デスク10は、壁放射冷暖房装置12を介して第一壁部4の壁面に沿って設けられており、壁放射冷暖房装置12における内部の管材231は、デスク10の天板10aを境にして上側と下側に異なる系統で配管されているので、デスク10の天板10aを境にした上側と下側で、壁放射冷暖房装置12の異なる温度調節が可能となる。これにより、例えば冬季に足元だけを暖めたり、夏季に上半身だけを涼しくしたり、天井部3付近の熱溜まりを解消したり、壁放射冷暖房装置12の上側と下側の温度を別々に調節して頭部と足元の温度差を小さくしたりすることができる。
なお、デスク10の天板10aを境にした上側の領域及び下側の領域をそれぞれ第一領域及び第二領域としたが、これに限定されない。すなわち、所定の面や所定の線を境にした一方側の領域及び他方側の領域をそれぞれ第一領域及び第二領域とすることが可能である。具体的には、例えば、壁放射冷暖房装置12の左右方向中央部を通る略鉛直線を境にした左側の領域及び右側の領域をそれぞれ第一領域及び第二領域としてもよい。
【0068】
また、壁放射冷暖房装置12は、第一領域と第二領域の温度をそれぞれ測定する温度センサー16を備え、壁放射冷暖房装置12の端部には、温度センサー16を収納するためのセンサー収納凹部(凹部12a)が形成されている。
したがって、第一領域と第二領域の温度をそれぞれ測定する温度センサー16を備えており、その温度センサー16は、端部に設けた凹部12aの内部に収納されているので、センサーが目立たず、美観を損なうことがない。
なお、右側の凹部12aに温度センサー16を配置したが、左側の凹部12aに温度センサー16を配置してもよいし、左側の凹部12a及び右側の凹部12aの両方に温度センサー16を配置してもよい。
また、上記のように、温度センサー16ではなく、第一領域と第二領域の温湿度をそれぞれ測定する温湿度センサーを備えて、この温湿度センサーを端部に設けた凹部12aの内部に収納するようにしてもよい。
また、凹部12aは、壁放射冷暖房装置12の左端部及び右端部の両方に設けられているが、これに限定されず、左端部及び右端部のうちの一方だけに凹部12aを設けてもよい。例えば、本実施形態の場合、壁放射冷暖房装置12の左右両端のうち、左端は壁部(第二壁部5)と接しており、右端は壁部と接していないので、右端部にのみ凹部12aを設けて、左端部には凹部12aを設けないようにしてもよい。
【0069】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下の変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0070】
上述の実施形態においては、壁放射冷暖房装置12の左端が第一壁部4に直交する第二壁部5と接しているが、これに限定されない。すなわち、左端及び右端のうち、一方だけが壁部と接していてもよいし、両方が壁部と接していてもよいし、図7に示すように両方が壁部と接していなくてもよい。
また、上述の実施形態において、温度センサー16は、枠体210の連結材213に取り付けられているが、これに限定されず、例えば、第一壁部4の壁面に取り付けられていてもよいし、図7に示すように枠体210の前側フレーム材212に取り付けられていてもよい。
【0071】
また、図7に示すように、凹部12aの内部には、照明器具19が配置されていてもよい。これにより、ふかし壁として使用できるだけでなく、照明装置としても使用可能な多機能の冷暖房装置を提供することが可能となる。また、照明器具19は、端部に設けた凹部12aの内部に収納されているので、照明器具19が目立たず、美観を損なうことがない。
なお、図7に示す例では、照明器具19を、枠体210の連結材213に取り付けているが、これに限定されず、例えば、第一壁部4の壁面に取り付けてもよいし、枠体210の前側フレーム材212に取り付けても。
【0072】
また、図7に示す例では、凹部12aの内部の上側領域(デスク10の天板10aを境にした上側の領域)及び下側領域(デスク10の天板10aを境にした下側の領域)のそれぞれに照明器具19を配置しているが、これに限定されない。例えば、上側領域及び下側領域のうちの一方だけに照明器具19を配置してもよいし、上側領域と下側領域とに跨って照明器具19を配置してもよい。
また、図7に示す例では、左側の凹部12a及び右側の凹部12aの両方に照明器具19を配置しているが、いずれか一方だけに照明器具19を配置するようにしてもよい。
【0073】
また、図7に示す例では、右側の凹部12aの内部に温度センサー16と照明器具19とを配置している。すなわち、温度センサー16(あるいは温湿度センサー)を収納するためのセンサー収納凹部と、照明器具19を収納するための照明器具収納凹部とが一体的に設けられているが、これに限定されず、センサー収納凹部と照明器具収納凹部とを別々に設けてもよい。
また、壁放射冷暖房装置12の下端が床部2から離間している場合には、壁放射冷暖房装置12の下端部に、センサー収納凹部及び/又は照明器具収納凹部を設けてもよい。
また、壁放射冷暖房装置12の上端が天井部3から離間している場合には、壁放射冷暖房装置12の上端部に、センサー収納凹部及び/又は照明器具収納凹部を設けてもよい。
【0074】
また、図8に示すように、一の部屋空間に複数(ここでは2つ)の壁放射冷暖房装置12を設けてもよい。これにより、一の部屋空間に、設定温度が異なる複数の壁放射冷暖房装置12を存在させることが可能となる。具体的には、例えば、デスク10の天板10aが2つの壁放射冷暖房装置12に跨って設けられており、当該天板10aを二人のユーザが同時に使用する場合に、デスク10の天板10aのうち、一方のユーザが使う部分に接する壁放射冷暖房装置12の設定温度と、他方のユーザが使う部分に接する壁放射冷暖房装置12の設定温度とを異ならせることが可能となる。このように、複数の壁放射冷暖房装置12を設置することで、ユーザ毎の快適温度を実現するパーソナル空調が可能となるので、部屋空間1内に在室する人数が複数人である場合でも、在室しているすべてのユーザが快適に勉強や仕事をすることが可能となる。
さらに、一の部屋空間に複数の壁放射冷暖房装置12を設ける場合には、例えば図9に示すように、隣接する壁放射冷暖房装置12同士の間に飾り棚13を設けてもよい。
なお、図8及び図9に示す例では、2つの壁放射冷暖房装置12を左右に並べて設置しているが、これに限定されず、各壁放射冷暖房装置12の設置場所は適宜変更可能である。具体的には、例えば、互いに直交するように設置してもよいし、互いの向き合うように設置してもよいし。
【0075】
また、壁放射冷暖房装置12を設ける部屋は、子供部屋や書斎に限定されず、適宜変更可能であり、例えば、ベッドルームに壁放射冷暖房装置12を設けてもよい。壁放射冷暖房装置12をベッドルームに設けることで、快適に睡眠することが可能となり、睡眠の質が向上する。この場合、例えば、一般的なベッド(設置するベッドが予め決まっていれば、そのベッド)のボトムB1上面を境にした上側の領域に第一冷暖房パネル230aを配置し、当該ボトムB1上面を境にした下側の領域に第二冷暖房パネル230bを配置することで、ベッドBのボトムB1上面を境にして上側と下側で異なる温度調節が可能となる。また、ヘッドボードのないベッドBである場合には特に、図9に示すように頭側が壁放射冷暖房装置12と接するようにベッドBを設置することで、壁放射冷暖房装置12をヘッドボードとしても使用することが可能となる。
【0076】
例えば図9に示すように、ベッドルームに2つの壁放射冷暖房装置12を設けることで、一方のベッドB(例えば夫用のベッド)に接する壁放射冷暖房装置12の設定温度と、他方のベッドB(例えば妻用のベッド)に接する壁放射冷暖房装置12の設定温度とを異ならせることが可能となる。夫婦間で快適に感じる温度が違う場合には寝室の室温が揉め事の原因になることがあるが、複数の壁放射冷暖房装置12を設置することで、ユーザ毎の快適温度を実現するパーソナル空調が可能となるので、このような揉め事を回避することが可能となる。
【0077】
また、壁放射冷暖房装置12が備える冷暖房パネル230は、第一冷暖房パネル230aと第二冷暖房パネル230bの2系統に限定されず、例えば、それぞれ異なる系統で配管されている第一から第三冷暖房パネルの3系統であってもよいし、それ以上であってもよい。あるいは、第一冷暖房パネル230aのみの1系統であってもよい。
【0078】
第一冷暖房パネル230aのみの1系統である場合の壁放射冷暖房装置12の施工手順の一例を図10図15を用いて説明する。本例では、第一冷暖房パネル230aを、所定の水平面を境にした上側の領域及び下側の領域のうちの上側の領域に設けることとするが、これに限定されない。すなわち、1系統である場合には、例えば、所定の水平面を境にした上側の領域及び下側の領域のうち、上側の領域に冷暖房パネル230を設けて下側の領域には冷暖房パネル230を設けないようにしてもよいし、下側の領域に冷暖房パネル230を設けて上側の領域には冷暖房パネル230を設けないようにしてもよい。あるいは、例えば、所定の鉛直面を境にした左側の領域及び右側の領域のうち、左側の領域に冷暖房パネル230を設けて右側の領域には冷暖房パネル230を設けないようにしてもよいし、右側の領域に冷暖房パネル230を設けて左側の領域には冷暖房パネル230を設けないようにしてもよい。
【0079】
まず、図10に示すように、枠体210の後側フレーム材211を第一壁部4の壁面に図示しないビス止めにより固定することによって、枠体210を第一壁部4に取り付ける。これに先立ち、床部2に開口を設けて、第一熱源機(図示省略)から第一冷暖房パネル230aへ供給される流体が流通する第一供給パイプ17aの先端部と、第一冷暖房パネル230aから当該第一熱源機へ回収される流体が流通する第一回収パイプ18aの先端部とを、床部2に設けた開口を介して床下空間から部屋空間へと露出させておく。
なお、第一供給パイプ17a及び第一回収パイプ18aは、図示しない断熱材で包まれている。また、第一供給パイプ17a及び第一回収パイプ18aを部屋空間へと露出させるための開口は、床部2ではなく、天井部3に設けてもよいし、第一壁部4等の壁面に設けてもよい。
【0080】
次いで、図11に示すように、下地合板などの第一下地材220aを、枠体210の前側フレーム材212の前面のうちの上側領域(所定の水平面を境にした上側の領域)に、図示しないビス止めにより固定する。なお、前側フレーム材212の後面(裏面)に断熱材250を設置する場合には、例えば、断熱材250を前面フレーム材212の後面のうちの上側領域に固定した後に、第一下地材220aを前面フレーム材212に固定する。
次いで、図12に示すように、第一下地材220aに切欠部222を設ける。この切欠部222は、第一冷暖房パネル230aのための配管用の開口部221である第一開口部221aとなる。切欠部222を設けた後、第一下地材220aの前面に、第一冷暖房パネル230aを、図示しない接着剤とビスで固定する。
【0081】
第一下地材220aの切欠部222は、第一冷暖房パネル230aの切欠部233に対応する位置に設けられている。本例では、第一冷暖房パネル230aを2枚設けるため、第一下地材220aには切欠部222が2つ設けられている。
なお、配管用の開口部221となる切欠部222は、下地材220を枠体210に固定する前に形成されてもよいし、下地材220を枠体210に固定した後に形成されてもよい。
【0082】
第一冷暖房パネル230aを第一下地材220aに固定した後、図12に示すように、第一冷暖房パネル230aの中継パイプ235の一端部(ヘッダ234に接続されていない側の端部)を、第一開口部221a(切欠部222)を介して第一下地材220aの前面側から後面側へと押し込んで、当該後面側(すなわち、壁面と前側フレーム材212との間の空間内)でパイプ17a・18aに接続する。これにより、第一開口部221aを貫通する2本の中継パイプ235のうち、一方の中継パイプ235を介して第一冷暖房パネル230aの各管材231の入口端と第一供給パイプ17aとが接続されるとともに、他方の中継パイプ235を介して第一冷暖房パネル230aの各管材231の出口端と第一回収パイプ18aとが接続される。本例では、第一冷暖房パネル230aが2枚設けられているため、1本の供給パイプ17aに2本の中継パイプ235が接続されているとともに、1本の回収パイプ18aに2本の中継パイプ235が接続されている。
【0083】
次いで、中継パイプ235を図示しない断熱材で包み、剥離紙237をはがして、図13に示すように、基材232の切欠部233を含む一部の領域(露出領域)をアルミシート236で覆う。これにより、第一冷暖房パネル230aの前面全体がアルミシート236で構成された状態となる。
次いで、図14に示すように、下地合板などの第二下地材220bを、枠体210の前側フレーム材212の前面のうちの下側領域(所定の水平面を境にした下側の領域)に、図示しないビス止めにより固定する。なお、前側フレーム材212の後面(裏面)に断熱材250を設置する場合には、例えば、断熱材250を前面フレーム材212の後面のうちの下側領域に固定した後に、第二下地材220bを前面フレーム材212に固定する。また、本例では、下側領域(第二下地材220bが配置される領域)には冷暖房パネル230は設置されないから、前側フレーム材212の後面のうち、上側領域(第一下地材220aが配置される領域)にのみ断熱材250を設置して、下側領域(第二下地材220bが配置される領域)には断熱材250を設置しないようにしてもよい。加えて、断熱材250の下端を冷暖房パネル230の下端よりも下方の位置(下側領域のうち上部の範囲)まで設置してもよい。
【0084】
その後、図15に示すように、石膏ボード240を、第一冷暖房パネル230aの前面や第二下地材220bの前面などに、図示しないビス止めにより固定して、石膏ボード240の表面に、内壁仕上げ材(図示省略)を貼設する。
ここで、本例では、図10に示すように、後側フレーム材211のうちの上部及び上下方向中央部の幅寸法は、前側フレーム材212の幅寸法よりも短く設定されているのに対し、後側フレーム材211のうちの下部の幅寸法は、前側フレーム材212の幅寸法と略等しく設定されている。したがって、図15に示すように、壁放射冷暖房装置12の上部及び上下方向中央部には凹部12aが設けられているが、壁放射冷暖房装置12の下部には凹部12aが設けられていない。
【0085】
なお、図2図6に示す施工手順においても、図10図15に示す施工手順と同様、下地材220は、上側領域に設けられる第一下地材220aと、下側領域に設けられる第二下地材220bと、に分かれていてもよい。すなわち、第一冷暖房パネル230aが配置される領域に設けられる第一下地材220aと、第二冷暖房パネル230bが配置される領域に設けられる第二下地材220bと、に分かれていてもよい。この場合、例えば、第一下地材220aに、第一開口部221aとなる切欠部222が設けられ、第二下地材220bに、第二開口部221bとなる切欠部222が設けられる。また、この場合、枠体210に下地材220a・220bを取り付けて、当該下地材220a・220bの前面に冷暖房パネル230a・230bを取り付けてもよいし、枠体210に第一下地材220aを取り付けて、当該第一下地材220aの前面に第一冷暖房パネル230aを取り付けた後に、枠体210に第二下地材220bを取り付けて、当該第二下地材220bの前面に第二冷暖房パネル230bを取り付けてもよいし、あるいはその逆であっても、すなわち第二(第二下地材220b及び第二冷暖房パネル230b)を取り付けた後に第一(第一下地材220a及び第一冷暖房パネル230a)を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 デスク
10a 天板
12 壁放射冷暖房装置
12a 凹部(センサー収納凹部、照明器具収納凹部)
16 温度センサー(センサー)
19 照明器具
212 前側フレーム材(フレーム材)
220 下地材
221 開口部
231 管材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15