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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/28 20060101AFI20220930BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
A23F5/28
B65D81/20 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020108220
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002496
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2022-05-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391009501
【氏名又は名称】メロディアン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将隼
(72)【発明者】
【氏名】井出 涼子
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-062741(JP,A)
【文献】特開2012-105638(JP,A)
【文献】特開平02-219542(JP,A)
【文献】特開昭47-039569(JP,A)
【文献】特開2021-024607(JP,A)
【文献】特開2012-000064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 5/00-5/50
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状の小分け容器の収容部に所定量の濃縮コーヒー液が充填され、前記収容部の開口部が剥離可能な蓋材でシールされた小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法であって、
濃縮コーヒー原液と安定剤とを混合して前記濃縮コーヒー液を作製する調合工程と、
前記調合工程により得られた濃縮コーヒー液を均質化する均質化工程と、
前記均質化工程において均質化した濃縮コーヒー液を殺菌する1次殺菌工程と、
前記1次殺菌工程において殺菌した濃縮コーヒー液を、ガスバリア性を有する容器成形材で成形された前記収容部に充填し、前記収容部の開口部をガスバリア性を有する蓋材で密封する充填工程と、
前記充填工程により濃縮コーヒー液を充填した小分け容器を殺菌する2次殺菌工程と、
を含み、
前記充填工程において、前記1次殺菌工程において殺菌した濃縮コーヒー液を前記小分け容器の収容部に充填した後に、前記収容部の前記濃縮コーヒー液以外の空間に不活性ガスを充填してから前記収容部の開口部を蓋材で密封することを特徴とする、小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法。
【請求項2】
前記1次殺菌工程において殺菌した濃縮コーヒー液を均質化する2次均質化工程を有し、
前記充填工程において、前記2次均質化工程で均質化した濃縮コーヒー液を充填することを特徴とする、請求項1に記載の小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法。
【請求項3】
前記調合工程において、前記安定剤を前記濃縮コーヒー原液に対して0.54%以上0.83%以下の割合で混合させることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法。
【請求項4】
前記安定剤は微結晶セルロースである、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法。
【請求項5】
前記2次殺菌工程の後に包装工程を備え、
前記包装工程は遮光性を有するフィルムを備える外袋に複数個の小分け容器入り濃縮コーヒーを包装する工程を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小分け容器入りの濃縮コーヒーに関し、特に開封時の飛び散りを抑制し、保存性に優れ、かつコーヒー特有の風味が長期間保持された小分け容器入り濃縮コーヒー製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーヒーは、一般にコーヒー豆、レギュラーコーヒー、インスタントコーヒーおよびリキッドコーヒー(コーヒー抽出液、濃縮コーヒー液)の形態で流通している。以前は手軽な飲用形態としてインスタントコーヒーが好まれていたが、近年は消費者の嗜好の多様化からコーヒー豆やレギュラーコーヒーの需要が増加している。さらに、手軽であり、かつ、インスタントコーヒーよりも香りが良く、風味もレギュラーコーヒーに近いことから、小型容器入りの濃縮コーヒーの需要も増加している。小型容器入りの濃縮コーヒーの小型容器には、1回の飲用で使用する濃縮コーヒー液が充填されている。小型容器入りの濃縮コーヒーは、カップに濃縮コーヒー液を入れ、湯、水、ミルクを加えることで、ホットコーヒー、アイスコーヒー、カフェラテ等を手軽に作ることができる。
【0003】
例えば、特許文献1において、揮発性のガスフレーバー成分に対して非透過性の合成樹脂で成形され、所定の少量のコーヒーの濃縮液を収容する小型の容器本体と、コーヒーの濃縮液を収容した前記小型の容器本体に熱封着されるシート状の蓋とからなる容器の中に、コーヒーカップの1カップ分だけコーヒーの濃縮液を充填してなる小型容器入り濃縮コーヒーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-219542号公報
【文献】特開平4-45745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の小型容器入り濃縮コーヒーは、濃縮コーヒー液の酸化や香気成分の流出を抑制するために容器いっぱいに濃縮コーヒー液を充填すると、開封時に濃縮コーヒー液が飛び出してしまうという問題があった。また、濃縮コーヒー液の飛び出しを防止するために蓋と濃縮コーヒー液の液面との間に空間を設けてしまうと、空間に存在する酸素によって濃縮コーヒー液が酸化してしまい、長期間保存することができないという問題があった。さらに、蓋と濃縮コーヒー液の液面との間に空間を設けてしまうと、コーヒーの香気成分が空間に流出してしまい、風味を長期間保持することができないという問題があった。
【0006】
また、コーヒー豆を湯で抽出した濃縮コーヒー液は、水溶性食物繊維が含まれており、濃縮することにより沈殿性のある成分が過多となり、長期間保存すると沈殿が生じやすいという問題があった。濃縮コーヒー液に沈殿が発生すると飲用時にザラツキ感が生じ、口あたりが悪くなるという問題があった。この問題を解決するために、特許文献2では、コーヒー抽出液に繊維質分解酵素を混ぜて沈殿を防止する方法が開示されている。しかし、繊維質分解酵素を混合することによって濃縮コーヒー液に異味が生じるという問題があった。
【0007】
それゆえに、本発明の主たる目的は、開封時の飛び散りを抑制し、保存性に優れ、かつコーヒー特有の風味が長期間保持された小分け容器入り濃縮コーヒー製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法は、カップ状の小分け容器の収容部に所定量の濃縮コーヒー液が充填され、収容部の開口部が剥離可能な蓋材でシールされた小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法であって、濃縮コーヒー原液と安定剤とを混合して濃縮コーヒー液を作製する調合工程と、調合工程により得られた濃縮コーヒー液を均質化する均質化工程と、均質化工程において均質化した濃縮コーヒー液を殺菌する1次殺菌工程と、1次殺菌工程において殺菌した濃縮コーヒー液を、ガスバリア性を有する容器成形材で成形された収容部に充填し、収容部の開口部をガスバリア性を有する蓋材で密封する充填工程と、充填工程により濃縮コーヒー液を充填した小分け容器を殺菌する2次殺菌工程と、を含み、充填工程において、1次殺菌工程において殺菌した濃縮コーヒー液を小分け容器の収容部に充填した後に、収容部の濃縮コーヒー液以外の空間に不活性ガスを充填してから収容部の開口部を蓋材で密封することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法によれば、小分け容器に濃縮コーヒー液以外の空間が設けられているので、開封時の濃縮コーヒー液の飛び散りを抑制することができる。そして、小分け容器の収容部の空間に不活性ガスを充填することで、充填されている濃縮コーヒー液の酸化による劣化を抑制することができる。また、濃縮コーヒー液に安定剤が混合されているため、濃縮コーヒー液の沈殿を抑制することができる。濃縮コーヒー液の沈殿を抑制することができるため、飲用時の口あたりを改善することができ、保存性も向上させることができる。さらに、小分け容器の収容部および蓋材はガスバリア性を有する材質で構成されており、酸素の流入を防ぐとともにコーヒー特有の香気成分も小分け容器および蓋材の外に流出することを抑制することができるので、コーヒー特有の風味を長期間保持させることができる。
【0010】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法は、1次殺菌工程において殺菌した濃縮コーヒー液を均質化する2次均質化工程を有し、充填工程において、2次均質化工程で均質化した濃縮コーヒー液を充填することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法によれば、1次殺菌工程の後にも均質化工程を行うことで、粒子を再度均一とすることができる。したがって、濃縮コーヒー液の沈殿が生じにくくなり、濃縮コーヒー液の安定性をより向上させることができる。
【0012】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法は、調合工程において、安定剤を濃縮コーヒー原液に対して0.54%以上0.83%以下の割合で混合させることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法によれば、安定剤を濃縮コーヒー原液に対して0.54%以上0.83%以下の割合で混合させることで、舌触りや風味に影響を与えることなく、沈殿を防止することができる。
【0014】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法において、安定剤は微結晶セルロースであることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法によれば、安定剤として微結晶セルロースを使用しているため、風味に影響を与えることなく、沈殿を防止することができる。
【0016】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法は、2次殺菌工程の後に包装工程を備え、包装工程は遮光性を有するフィルムを備える外袋に複数個の小分け容器入り濃縮コーヒーを包装する工程を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法によれば、遮光性を有するフィルムを備える外袋に包装することで、光による劣化を防ぐことができる。特に、遮光性のある小分け容器および遮光性のある蓋材によって小分け容器入り濃縮コーヒーを製造し、遮光性を有するフィルムを備える外袋に包装することで、小分け容器および蓋材による遮光性に加えて、遮光性を有するフィルムによる遮光効果も加わり、より強力に光による劣化を防ぐことができる。
【0018】
分け容器入り濃縮コーヒーは、カップ状の小分け容器の収容部に所定量の濃縮コーヒー液が充填され、収容部の開口部が剥離可能な蓋材でシールされた小分け容器入り濃縮コーヒーであって、濃縮コーヒー液は安定剤を含み、小分け容器および蓋材は、ガスバリア性を有する素材で形成されており、収容部には、濃縮コーヒー液以外の空間が設けられ、空間には不活性ガスが充填され、製品完成時に空間の残存酸素濃度が1%未満であることを特徴とする。
【0019】
分け容器入り濃縮コーヒーによれば、小分け容器に濃縮コーヒー液以外の空間が設けられているので、開封時の濃縮コーヒー液の飛び散りを抑制することができる。そして、小分け容器の収容部の空間に不活性ガスを充填することで、充填されている濃縮コーヒー液の酸化による劣化を抑制することができる。また、濃縮コーヒー液に安定剤が混合されており、濃縮コーヒー液の沈殿を抑制することができる。濃縮コーヒー液の沈殿を抑制することができるため、飲用時の口あたりを改善することができ、保存性も向上させることができる。さらに、小分け容器の収容部および蓋材はガスバリア性を有する材質で構成されており、酸素の流入を防ぐとともにコーヒー特有の香気成分も小分け容器の外に流出することを抑制することができるので、コーヒー特有の風味を長期間保持することができる。
【0020】
分け容器入り濃縮コーヒーは、小分け容器および蓋材は、遮光性を有する素材で形成されていることを特徴とする。
【0021】
分け容器入り濃縮コーヒーによれば、小分け容器および蓋材に遮光性を有する素材を使用することにより、光による劣化を防ぐことができる。
【0022】
分け容器入り濃縮コーヒーの安定剤は、濃縮コーヒー原液に対して0.54%以上0.83%以下の割合で混合されていることを特徴とする。
【0023】
分け容器入り濃縮コーヒーによれば、安定剤を濃縮コーヒー原液に対して0.54%以上0.83%以下の割合で混合させることで、舌触りや風味に影響を与えることなく、沈殿を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、開封時の飛び散りを抑制し、保存性に優れ、かつコーヒー特有の風味が長期間保持された小分け容器入り濃縮コーヒー製造方法を提供することができる。

【0025】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの正面図解図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの平面図解図である。
図3図2のIII-III線における小分け容器入り濃縮コーヒーの断面図解図である。
図4図2のIII-III線における小分け容器の断面図解図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法を示す図解図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの充填装置を示す図解図である。
図8】本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの充填装置の平面図解図である。
図9図8のIX-IX線における断面図解図である。
図10図9のX-X線における断面図解図である。
図11】長期保管試験の結果を示す図である。
図12】味覚センサーによる風味試験の結果を示す図である。
図13】安定剤量による沈殿量評価試験の結果を示す図である。
図14】光照射による風味試験の結果を示す図である。
図15】酵素混合有無による風味試験の結果を示す図である。
図16】酵素混合有無による沈澱量評価試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において「濃縮コーヒー」とは、一般消費者が湯、水、ミルク等で希釈して飲用するコーヒー飲料等である。本明細書において「コーヒー飲料等」とは、コーヒー豆を原料とした飲料およびこれに糖類、乳製品、乳化された食用油脂その他の可処分を加え容器に密封した飲料であって、コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料、カフェインレスコーヒーに該当するものである。
本明細書において「風味」とは、いわゆるフレーバーと同義であり、口腔内に入れたときの味覚、嗅覚などの総合的な感覚を指す。
本明細書において「口あたり」とは、口腔内で知覚される触覚などの総合的な感覚を指す。
【0028】
1.小分け容器入り濃縮コーヒー
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーについて、図1ないし図4を用いて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの正面図解図である。図2は、本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの平面図解図である。図3は、図2のIII-III線における小分け容器入り濃縮コーヒーの断面図解図である。図4は、図2のIII-III線における小分け容器の断面図解図である。
【0029】
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒー10は、カップ状の小分け容器12の収容部14aに収容部14aの容積に応じた所定量の濃縮コーヒー液50が充填され、収容部14aの開口部16が剥離可能な蓋材22でシールされている。また、蓋材22でシールされた小分け容器12の収容部14aの充填された濃縮コーヒー液50以外の空間14bには不活性ガスが充填されている。
【0030】
(小分け容器)
本発明に係る小分け容器12は、例えば円筒形や截頭錐体形状の一方に開口部16を有するカップ状の容器である。また、小分け容器12には、内容物を充填するための収容部14aが設けられている。収容部14aの開口部16の周縁には鍔部18が設けられている。鍔部18は、蓋材22を取り付けるための部分である。小分け容器12の鍔部18において小分け容器12と蓋材22とが熱溶着され、収容部14aの開口部16を閉塞するように、蓋材22が形成される。さらに、鍔部18の一端から外側に延びる、つまみ部20が形成されている。つまみ部20の中央から先端にかけては、段差部24が形成されている。段差部24は、蓋材22を鍔部18から剥離しやすくするように構成されている。
【0031】
小分け容器12の収容部14aの容量は、例えば、4ml以上13ml以下である。小分け容器12の収容部14aに充填する濃縮コーヒー液50の容量は濃縮コーヒー液50の濃縮率によっても異なるが、例えば、湯、水、ミルク等により11~13倍に希釈して約120mlのコーヒー液を作成する場合は、濃縮コーヒー液50の充填量を9.5ml~10.5mlとすることが好ましい。小分け容器12の収容部14aの容量を例えば13mlとすることで、1回あたりの濃縮コーヒー液50の使用量を充填することができる。
【0032】
小分け容器12は、ガスバリア性を有する素材で形成される。小分け容器12が気体(酸素、水蒸気等)を遮断するガスバリア性を有することにより、小分け容器12の収容部14aに酸素・水分が流入することを防止するとともに、充填された不活性ガスやコーヒーの香気成分が流出することを抑制することができる。小分け容器12の素材は、例えば、ポリプロピレン層、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂層、ポリプロピレン層およびポリエチレン層を順に積層させた4層構造としてもよい。エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂は、ガスバリア性を有する素材である。ポリプロピレン層の間にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂を備えることにより、小分け容器に成形することが容易となる。さらに、小分け容器12は、遮光性を有する素材であることが好ましい。例えば、小分け容器12のポリプロピレン層を着色することによって、遮光性を付与することができる。遮光性を有する小分け容器12の収容部14aに濃縮コーヒー液50を充填することにより、光による濃縮コーヒー液50の劣化を抑制することができる。
【0033】
(蓋材)
蓋材22は、小分け容器12の開口部16にシールされ、剥離可能に設けられる。蓋材22は、ガスバリア性を有する素材で形成される。蓋材22が気体(酸素、水蒸気等)を遮断するガスバリア性を有することにより、小分け容器12の収容部14aに酸素・水分が流入することを防止するとともに、充填された不活性ガスやコーヒーの香気成分が流出することを防止することができる。蓋材22の素材は、例えば、アルミの表面にポリエチレンやポリエチレンテレフタレートなどを積層させたシートとすることが好ましい。蓋材22の素材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート層、印刷層、アルミ層、ポリエチレン層、ポリエチレンテレフタレート層およびポリエチレン層を順に積層させた6層構造としてもよい。さらに、蓋材22は、遮光性を有する素材であることが好ましい。小分け容器12の収容部14aに濃縮コーヒー液50を充填し、蓋材22でシールすることにより、光による濃縮コーヒー液50の劣化を抑制することができる。蓋材22に、例えば、アルミシートを用いることにより、遮光性を付与することができる。小分け容器12と蓋材22とは、小分け容器12のポリプロピレン層と蓋材22のポリエチレン層とが熱溶着されて密閉される。
【0034】
(濃縮コーヒー)
本発明に係る小分け容器12の収容部14aに充填される濃縮コーヒー液50は、濃縮コーヒー原液52と安定剤54とを混合することにより得ることができる。濃縮コーヒー原液52は、例えば、コーヒー豆を焙煎し、湯水で抽出し、水分を蒸発することによって濃縮して製造される。濃縮コーヒー原液52の製造に使用されるコーヒー豆の種類、焙煎条件、抽出条件などは、特に限定されず、所望により、又は必要により適宜定めることができる。濃縮コーヒー原液52の濃縮率は例えば23倍である。さらに、濃縮コーヒー液50は糖類、乳製品、乳化された食用油脂などを加えてもよい。濃縮コーヒー液50の充填量は小分け容器12の容量の56%以上81%以下であることが好ましい。このように充填量を調整することで、空間14bを十分に設けることができるので開封時の濃縮コーヒー液50の飛び散りを抑制することができる。
【0035】
また、濃縮コーヒー液50に含まれる安定剤54は、例えば、微結晶セルロースである。微結晶セルロースは、繊維性植物から得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合して精製したものである。微結晶セルロースは水に完全には溶解しない多糖類であるが、粒子が膨潤し、互いに網目状のネットワークを生み出すことで水中に分散・浮遊し、懸濁安定効果を発揮する。したがって、濃縮コーヒー原液52に安定剤54として微結晶セルロースを混合することにより、濃縮コーヒー液50の沈殿を防止することができる。濃縮コーヒー液50は、安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して0.54%以上0.83%以下の割合で混合することが好ましい。このような割合で混合することで、風味に影響を与えることなく、沈殿を防止することができる。
【0036】
(空間)
本発明に係る小分け容器12の空間14bは、蓋材22でシールされた小分け容器12の収容部14aに充填された濃縮コーヒー液50以外の空間である。例えば、小分け容器12の収容部14aの容量の19%以上44%以下の空間14bを設けることができる。小分け容器12の収容部14aに空間14bを設けることにより、開封時に濃縮コーヒー液50が飛び散ることを抑制することができる。
また、空間14bには不活性ガスが充填されている。不活性ガスは、例えば、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス、窒素ガスと炭酸ガスとを混合したガス等である。空気中には通常約21%の酸素が含まれるが、空間14bに不活性ガスを充填し、製品完成時に空間14bの残存酸素濃度を1%未満にすることで、所定の賞味期限に亘って濃縮コーヒー液50の酸化による劣化を抑制することができる。ここで、所定の賞味期限とは、「定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限」を意味する。小分け容器12の空間14bに不活性ガスを充填することにより、小分け容器12中の酸素を抜き、濃縮コーヒー液50の酸化を進みにくくしている。
【0037】
(効果)
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒー10によれば、小分け容器12に濃縮コーヒー液50以外の空間14bが設けられているので、開封時の濃縮コーヒー液50の飛び散りを抑制することができる。そして、小分け容器12の収容部14aの空間14bに不活性ガスを充填することで、充填されている濃縮コーヒー液50の酸化による劣化を抑制することができる。
また、濃縮コーヒー液50は安定剤54を混合しており、沈殿を抑制することができる。濃縮コーヒー液50の沈殿を抑制することができるため、飲用時の口あたりを改善することができ、保存性も向上させることができる。
さらに、小分け容器12および蓋材22はガスバリア性を有する材質で構成されており、酸素の流入を防ぐとともにコーヒー特有の香気成分も小分け容器12の外に流出することを抑制することができるので、コーヒー特有の風味を長期間保持することができる。また、小分け容器12および蓋材22に遮光性を有する素材を使用することにより、光による劣化を防ぐことができる。
【0038】
2.小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法について図5および図6を用いて説明する。図5は、本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法を示すフローチャートである。図6は、本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法を示す図解図である。
【0039】
本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法100は、以下の7つの工程を含む。
(1)調合工程
(2)1次均質化工程
(3)1次殺菌工程
(4)2次均質化工程
(5)加熱工程
(6)充填工程
(7)2次殺菌工程
【0040】
以下において、各工程の詳細について説明する。
【0041】
(1)調合工程
まず、調合タンク202において、濃縮コーヒー原液52に安定剤54を混合し、濃縮コーヒー液50を準備する(調合工程110)。安定剤54は水または温水に分散させる。濃縮コーヒー原液52の熱による劣化を防ぐために、水または温水に安定剤54を分散させることが好ましい。分散させた安定剤54を濃縮コーヒー原液52に泡立たないように混合させる。安定剤54を濃縮コーヒー原液52に混合するときに泡立ててしまうと、均質化の効率が悪くなってしまうからである。調合工程110以降は、低速で攪拌させる。濃縮コーヒー原液52と安定剤54とを混合した後、ラインフィルターが設けられたパイプに濃縮コーヒー液50を送り込み、不純物を取り除く。
【0042】
(2)1次均質化工程
混合した濃縮コーヒー液50にホモジナイズ処理を行う(1次均質化工程120)。調合工程110で得られた濃縮コーヒー液50をホモゲナイザー204に送水パイプを通して送り込み、圧力をかけて均質化を行う。後述する1次殺菌工程130の前に均質化工程を行うことで、粒子が均一となり、安定剤54が完全に分散し安定性効果を向上させることができる。濃縮コーヒー液50にホモジナイズ処理を行った後、金属捕獲器が設けられたパイプに濃縮コーヒー液50を送り込み、金属性の不純物を取り除く。その後、クッションタンク206に一時的に保管される。
【0043】
(3)1次殺菌工程
1次均質化した濃縮コーヒー液50に殺菌処理を行う(1次殺菌工程130)。殺菌処理は、プレート式殺菌機やチューブ式殺菌機等を使用して行うことができる。1次均質化工程120によって得られた濃縮コーヒー液50を、プレート式殺菌機208にパイプを通して連続的に送り込み、濃縮コーヒー液50を120℃~150℃、1秒~5秒の条件で殺菌を行うことが好ましい。このように、プレート式殺菌機による超高温瞬間殺菌処理(UHT処理)を行うことで、コーヒーの風味を損なうことなく殺菌をすることができる。また、1次殺菌工程130を行う前に、ラインフィルターが設けられたパイプに濃縮コーヒー液50を送り込み、不純物を取り除くようにすることが好ましい。この時使用されるラインフィルターは、混合した後に使用されるラインフィルターよりもメッシュサイズが細かいフィルターを使用することが好ましい。1次殺菌工程130の前に細かい不純物を取り除くことで、濃縮コーヒー液50を効率よく殺菌することができる。
【0044】
(4)2次均質化工程
1次殺菌処理を行った濃縮コーヒー液50にホモジナイズ処理を行う(2次均質化工程140)。1次殺菌工程130で得られた濃縮コーヒー液50をホモゲナイザー210に送水パイプを通して送り込み、圧力をかけて均質化を行う。1次殺菌工程130の後に均質化処理140を行うことで、粒子を再度均一とすることができる。したがって、濃縮コーヒー液50の沈殿が生じにくくなり、濃縮コーヒー液50の安定性をより向上させることができる。2次均質化工程140をした後、冷却して保持タンク212に一時的に保管される。
【0045】
(5)加熱工程
2次均質化処理を行った濃縮コーヒー液50を、熱交換器214を使用して加熱する(加熱工程150)。加熱は、例えば、プレート加熱や濃縮コーヒー液50が入ったタンクに蒸気等を当て、タンクの全量を昇温させる方法により行う。プレート加熱により濃縮コーヒー液50を加熱することで、瞬間的に加熱することができ、加熱による品質劣化を抑制することができる。熱交換器214から出るときの濃縮コーヒー液50の出口温度は60℃以上85℃以下となるように管理することが好ましい。また、濃縮コーヒー液50を加熱した後、金属捕獲器が設けられたパイプに濃縮コーヒー液50を送り込み、金属性の不純物を取り除く。その後、コニカルフィルターを使用して、濃縮コーヒー液50の不純物を取り除く。
【0046】
(6)充填工程
充填装置216を使用して、容器成形材をプレス成形、真空成形、圧空成形等により小分け容器の収容部14aを成形し、収容部14aに濃縮コーヒー液50を充填する。濃縮コーヒー液50を収容部14aに充填した後、不活性ガスを収容部14aに向かって噴射する。これにより、空間14bは空気から不活性ガスに置換される。そして、小分け容器12と蓋材22とを熱溶着し、最終形状に整形する(充填工程160)。小分け容器12の収容部14aに充填する濃縮コーヒー液50の充填量は容器の容量の56%以上81%以下であることが好ましい。例えば、小分け容器12の容量が13mlの場合、7.3ml以上10.5ml以下の濃縮コーヒー液50を充填することが好ましい。
【0047】
本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの充填工程160について、図7および図8を用いて説明する。図7は、本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの充填装置を示す図解図である。図8は、本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの充填装置の平面図解図である。
【0048】
図7および図8に示すように、本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの充填装置216は、小分け容器12を成形するために、容器成形材300を加熱し軟化させるための加熱機構314と、軟化させた容器成形材300から小分け容器12を成形する容器成形機構316と、濃縮コーヒー液50を小分け容器12に充填する充填機構318と、小分け容器12の収容部14aの空間14bに不活性ガスを噴射して空間14bの空気を不活性ガスに置換する不活性ガス置換機構320と、小分け容器12に蓋材302を溶着するシール機構326と、容器配列シート300´(容器成形材300)及び蓋材302を切断して所定の形状に整形する打ち抜き機構328とを備える。
ここで、容器成形材300から成形された小分け容器12が進行する進行方向Aは、加熱機構314から打ち抜き機構328に向かう方向である。
【0049】
小分け容器入り濃縮コーヒーの充填装置216の上記の加熱機構314、容器成形機構316、充填機構318、不活性ガス置換機構320、シール機構326および打ち抜き機構328は、小分け容器入り濃縮コーヒーの充填装置216の機枠310A内に設けられている。機枠310Aの側部には小分け容器12が進行する進行方向Aに沿って一対のフレーム310Bが設けられている。容器成形材300を引き出して容器成形材300の両端部300a、300bをクリップ310Cで挟み、クリップ310Cを一対のフレーム310Bに沿って搬送することによって、容器成形材300を搬送する。
【0050】
図7を用いて小分け容器入り濃縮コーヒーの充填工程について説明する。
【0051】
本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの充填工程は、以下の6つの工程を含む。
(i)小分け容器12を成形する工程
(ii)小分け容器12の収容部14aに所定量の濃縮コーヒー液50を充填する工程
(iii)濃縮コーヒー液50が充填された小分け容器12に不活性ガスを噴射し、収容部14aの空間14bの空気を不活性ガスに置換する工程
(iv)収容部14aの開口部16を蓋材22で覆う工程
(v)収容部14aの開口部16に設けられた鍔部18に蓋材22を熱溶着する工程
(vi)小分け容器12を打ち抜く工程
【0052】
以下において、各工程の詳細について説明する。
【0053】
(i)小分け容器12を成形する工程
まず、容器成形材供給機構312から容器成形材300を引き出し、加熱機構314を用いて容器成形材300を加熱し、容器成形材300を軟化させる。次に、容器成形機構316において、軟化させた容器成形材300から小分け容器12を成形する。
容器成形材300は、小分け容器12の素材をシート状にしたものである。容器成形材300は、例えば、ポリプロピレン層、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂層、ポリプロピレン層、ポリエチレン層を順に積層させた4層構造で構成されており、帯状に形成されている。容器成形材300は、ロール状に巻回されており、容器成形材300を引き出して容器成形材300の両端部300a、300bをクリップ310Cで挟み、容器成形材300を加熱機構314まで搬送する。
加熱機構314は、容器成形材300を上下両側からヒーターによって加熱し、容器成形材300を軟化させる。
容器成形機構316は、軟化させた容器成形材300をプレス成形、真空成形、圧空成形などによって、一度に複数個の小分け容器12が成形された容器配列シート300´を形成する。容器成形機構316は、例えば1回あたり24個の小分け容器12を成形することができる。また、容器成形機構316による小分け容器12の成形速度は、例えば360~432個/分である。
【0054】
(ii)小分け容器12の収容部14aに所定量の濃縮コーヒー液50を充填する工程
充填機構318は、容器成形機構316によって成形された小分け容器12に濃縮コーヒー液50を充填する。小分け容器12の収容部14aに充填する濃縮コーヒー液50の充填量は容器の容量の56%以上81%以下であることが好ましい。このように充填量を調整することで、空間14bを十分に設けることができるので開封時の濃縮コーヒー液50の飛び散りを抑制することができる。また、濃縮コーヒー液50の液温は60℃以上80℃以下で充填することが好ましい。濃縮コーヒー液50の液温をこのような温度条件とすることで、後述する2次殺菌工程170において、小分け容器12の熱膨張を抑制することができる。
【0055】
(iii)濃縮コーヒー液50が充填された小分け容器12に不活性ガスを噴射し、収容部14aの空間14bの空気を不活性ガスに置換する工程
不活性ガス置換機構320は、濃縮コーヒー液50が充填された小分け容器12の収容部14aの空間14bに不活性ガスを噴射して空間14bの空気を不活性ガスに置換する。不活性ガス置換機構320の容器配列シート300´側には不活性ガスの噴射口320aが設けられている。
【0056】
不活性ガスは、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス、窒素ガスと炭酸ガスとを混合したガス等を用いることができる。残存酸素濃度を低下させることにより濃縮コーヒー液50の酸化による劣化を抑制することができる。また、不活性ガスの流量は30L/分以上70L/分以下であることが好ましい。不活性ガスの流量を30L/分以下にすると不活性ガスの流量が少ないため、製品完成時において空間14bの残存酸素濃度が1%未満にならず、不活性ガスの流量を70L/分以上にすると不活性ガスの流量が多いため、製造時に充填された濃縮コーヒー液50が飛び散ってしまう可能性があるからである。このような条件にすることで小分け容器に充填された濃縮コーヒー液50が飛び散ってしまうことを防止し、かつ、空間14bの空気を適切に不活性ガスに置換させることができる。さらに、置換時間は7秒以上であることが好ましい。置換時間は、不活性ガス置換機構320の噴射口320aの下に小分け容器12の開口部16が位置するときの時間である。不活性ガス置換機構320の噴射口320aの下に収容部14aの開口部16が位置するときに不活性ガスが7秒以上噴射されることによって、製品完成時において収容部14aの空間14bの残存酸素濃度を1%未満にすることができる。
【0057】
本実施の形態では、不活性ガス置換機構320の内部を3室に分け、各室において連続的に不活性ガスが噴射されている。したがって、空間14bの空気から不活性ガスへの置換はそれぞれの小分け容器12に対して3回発生している。本実施の形態では、それぞれの小分け容器12に対して3回不活性ガスによる置換をさせているが、置換の回数は限定されない。すなわち、1回以上不活性ガスをそれぞれの小分け容器12の収容部14aに対して噴射させて、それぞれの収容部14aの空間14bを空気から不活性ガスへ置換させるようにしても良い。複数回不活性ガスをそれぞれの小分け容器12の収容部14aに対して噴射させることにより、効率的に空間14bの空気を不活性ガスへ置換させることができる。
【0058】
図9は、図8のIX-IX線における断面図解図である。噴射口320aは小分け容器12のそれぞれに不活性ガスを噴射するように設けられている。
【0059】
図10は、図9のX-X線における断面図解図である。図10において、実線部分は不
活性ガス置換機構320に設けられた噴射口320aを示し、破線部分は小分け容器12の収容部14aの開口部16を示す。図10に示すように、噴射口320aの直径D2は、小分け容器12の直径D1よりも小さい径を有することが好ましい。このような噴射口320aを有することにより、空間14bの空気を効率よく不活性ガスに置換させることができる。
【0060】
また、不活性ガス置換機構320は、容器配列シート300´の進行方向と同一方向の両端部300a、300bから不活性ガスが流出することを防止するための不活性ガス流出防止部321を備えることが好ましい。不活性ガス流出防止部321は、例えばL字状の金具である。不活性ガス流出防止部321は、機枠310Aと不活性ガス置換機構320との間に挟まれることにより固定される。また、不活性ガス流出防止部321は、不活性ガス置換機構320の噴射口320aから噴射された不活性ガスが機枠310A側に流出することを防止する。このように不活性ガス流出防止部321を設けることにより、容器配列シート300´の両端部300a、300bを挟むクリップ310Cの間から不活性ガスが流出することを防止し、かつ、空気(酸素)が流入することを防止することができる。
【0061】
(iv)収容部14aの開口部16を蓋材302で覆う工程
蓋材供給機322はロール状に巻回された蓋材302を引き出して、回転ローラ324から小分け容器12の収容部14aの開口部16を覆うように蓋材302を供給する。
蓋材302は、例えば、ポリエチレンテレフタレート層、印刷層、アルミ層、ポリエチレン層、ポリエチレンテレフタレート層およびポリエチレン層を順に積層させた6層構造で構成されており、帯状に形成されている。
また、不活性ガス置換機構320と蓋材供給機322の回転ローラ324との間には、不活性ガス置換機構320と回転ローラ324との間から不活性ガスが流出することを防止し、かつ、不活性ガス置換機構320と回転ローラ324との間から空気(酸素)が流入することを防止するために不活性ガス密閉機構323を有することが好ましい。不活性ガス密閉機構323はシート状である。不活性ガス密閉機構323の進行方向A側の端部はシール機構326のガイド機構326a、326bに隙間無く接続するように設けられる。容器配列シート300´は、不活性ガス置換機構320から蓋材供給機322の回転ローラ324に向かって動くため、不活性ガス置換機構320から蓋材供給機322の回転ローラ324に向かって不活性ガスが流れる。そのため、不活性ガス密閉機構323を設けることで、不活性ガス置換機構320と蓋材供給機322の回転ローラ324との間の密閉性を向上することができる。
【0062】
(v)収容部14aの開口部16に設けられた鍔部18に蓋材22を熱溶着する工程
シール機構326は、不活性ガス置換機構320によって小分け容器12の空間14bの空気を不活性ガスに置換させた小分け容器12に蓋材302を供給し、小分け容器12の収容部14aの開口部16の周縁に設けられた鍔部18に蓋材302を熱溶着する。熱溶着する温度は例えば120℃ないし215℃である。
さらに、蓋材供給機322の回転ローラ324とシール機構326との間には、容器配列シート300´の両端部と蓋材302の両端部とを押さえるように容器配列シート300´の進行方向Aと同一方向の両端部をガイドする一対のガイド機構326a、326bが設けられていることが好ましい。シール機構326に一対のガイド機構326a、326bを設けることにより、容器配列シート300´と蓋材302との密閉性を向上させ、容器配列シート300´と蓋材302との間から不活性ガスが流出することを防止し、かつ、容器配列シート300´と蓋材302との間から空気(酸素)が流入することを防止することができる。一対のガイド機構326a、326bは、耐熱性を有する素材であることが好ましく、例えば、テフロン(登録商標)(フッ素樹脂)とすることができる。
【0063】
(vi)小分け容器12を打ち抜く工程
打ち抜き機構328を用いて、容器配列シート300´及び蓋材302を切断して最終形状に整形する。
【0064】
本発明の一実施の形態に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの充填装置216は、濃縮コーヒー液50を充填して搬送するため、搬送速度を低速にすることが好ましい。搬送速度は、例えば、3m~3.6m/分である。搬送速度を高速にすると、濃縮コーヒー液50が小分け容器12の外に流出してしまう可能性がある。濃縮コーヒー液50が小分け容器12の外に流出してしまうと、シール機構326において小分け容器12と蓋材22とが熱溶着しにくくなる。
【0065】
(7)2次殺菌工程
濃縮コーヒー液50を充填した小分け容器入り濃縮コーヒー10を、ボイル殺菌機218を使用して85℃以上89℃以下、35分の条件でボイル殺菌を行う(2次殺菌工程170)。殺菌は、前記温度条件のボイル殺菌槽の中に小分け容器入り濃縮コーヒー10を入れて殺菌する。バケット単位でボイル殺菌槽の中に浸漬し、一定時間後に取り出すバッチ式ボイル殺菌やボイル殺菌槽の中をトンネル式に通して殺菌する連続式ボイル殺菌のいずれの方法による殺菌が可能である。
【0066】
このようにして、小分け容器入り濃縮コーヒー10は製造される。
その後、小分け容器入り濃縮コーヒー10は計量され、作製された小分け容器入り濃縮コーヒー10の複数個を、遮光性を有するフィルムを備える外袋に包装されて出荷される。遮光性を有するフィルムは、例えば、アルミ蒸着フィルムである。遮光性を有するフィルムに小分け容器入り濃縮コーヒー10を入れることにより、光による劣化を抑制することができる。
【0067】
(効果)
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法100によれば、小分け容器12に濃縮コーヒー液50以外の空間14bが設けられているので、開封時の濃縮コーヒー液50の飛び散りを抑制することができる。そして、小分け容器12の収容部の空間14bに不活性ガスを充填することで、充填されている濃縮コーヒー液50の酸化による劣化を抑制することができる。また、濃縮コーヒー液50に安定剤54が混合されているため、濃縮コーヒー液50の沈殿を抑制することができる。濃縮コーヒー液50の沈殿を抑制することができるため、飲用時の口あたりを改善することができ、保存性も向上させることができる。さらに、小分け容器12の収容部14aおよび蓋材22はガスバリア性を有する材質で構成されており、酸素の流入を防ぐとともにコーヒー特有の香気成分も小分け容器および蓋材の外に流出することを抑制することができるので、コーヒー特有の風味を長期間保持することができる。
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法100によれば、1次殺菌工程130の後に、さらに2次均質化工程140を行うことで、粒子を再度均一とすることができる。したがって、濃縮コーヒー液50の沈殿が生じにくくなり、濃縮コーヒー液50の安定性をより向上させることができる。
本発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法100によれば、遮光性を有するフィルムを備える外袋に包装することで、光による劣化を防ぐことができる。
【0068】
(変形例)
上記充填工程160において、(i)小分け容器12を成形する工程から(v)収容部14aの開口部16に設けられた鍔部18に蓋材22を熱溶着する工程までの工程を不活性ガス雰囲気中で行うことも可能であるが、小分け容器12の収容部14aに向かって不活性ガスを噴射することで効率よく空間14bの空気を不活性ガスに置換することができる。
【実施例
【0069】
以下に本発明の実施例を、小分け容器入りの濃縮無糖ブラックコーヒーである場合を例として説明するが、本発明は濃縮された有糖コーヒー、ミルク入りコーヒーなどのコーヒー飲料等も含むものであり、当該実施例に限定されるものではない。
【0070】
小分け容器入り濃縮コーヒー10を以下の方法により製造した。
まず、濃縮コーヒー原液52に対して0.83%の割合の微結晶セルロース(安定剤54)を50~70℃の水に分散させ、調合タンク202において、濃縮コーヒー原液52と混合させて濃縮コーヒー液50を得た。その後、濃縮コーヒー液50をパンチング孔径0.35mm(40メッシュ相当)のラインフィルターに通過させた(調合工程110)。
次に、調合工程110で得た濃縮コーヒー液50をホモゲナイザー204(三和エンジニアリング社製)に送水パイプを通して送り込み、5~20MPaの圧力をかけて均質化処理を行った。均質化処理をした後、濃縮コーヒー液50を800mT以上/1T磁石の金属捕獲器に通過させ、クッションタンク206に保管した(1次均質化工程120)。
次に、1次均質化工程120で得た濃縮コーヒー液50をパンチング孔径0.14mm(80メッシュ相当)のラインフィルターに通過させた。その後、プレート式殺菌機208にパイプを通して連続的に送り込み、濃縮コーヒー液50を120℃~150℃、1秒~5秒の条件で殺菌を行った(1次殺菌工程130)。
次に、1次殺菌工程130で得た濃縮コーヒー液50をホモゲナイザー210(三和エンジニアリング社製)に送水パイプを通して送り込み、5~20MPaの圧力をかけて均質化処理を行った。2次均質化処理後に保持タンク212に保管した(2次均質化工程140)。
次に、2次均質化工程140で得た濃縮コーヒー液50を熱交換器214で60℃~85℃に加熱した。加熱した濃縮コーヒー液50を800mT以上/1T磁石の金属捕獲器に通過させ、120メッシュ、目開き0.13mmのコニカルフィルターに通過させた(加熱工程150)。
次に、上記充填装置216を使用して、13mlの容量の小分け容器12に加温した濃縮コーヒー液50を10ml充填し、小分け容器12の開口部16に対して不活性ガスとして窒素を噴射して空間14bの空気を窒素に置換し、蓋材22(302)を熱溶着して、小分け容器入り濃縮コーヒー10に整形した(充填工程160)。
最後に、充填工程160で得た小分け容器入り濃縮コーヒー10をボイル殺菌機218において87℃35分の条件でボイル殺菌を行った(2次殺菌工程170)。
【0071】
3.実験データ
上記の製造方法にしたがって、小分け容器入り濃縮コーヒー10を作製し、以下の試験を行った。
【0072】
(A)長期保管試験
上記の製造方法にしたがって作製された小分け容器入りの濃縮コーヒー10(実施例)について、37℃で保管し風味試験を行った。また、比較例として小分け容器12の空間14bの空気を不活性ガス(窒素)に置換させていない小分け容器入り濃縮コーヒーについて同様の条件で保管し、風味試験を行った。なお、37℃で20週間保管した場合は、23℃で369日間保管した場合に相当する。
風味試験は、香り、苦味、酸味、甘味、コク、異味・異臭の6つの観点で総合的な評価を行い、風味の良好なものを5とし、以後程度が悪化するにつれて1~4とし、許容範囲は4以上とした。
【0073】
長期保管試験の結果を図11に示す。
図11に示すように、本発明に係る製造方法にしたがって作製された小分け容器入り濃縮コーヒー10(実施例;不活性ガス有り)の方が風味劣化を抑えられるという結果となった。比較例では10週間目以降(23℃で約185日目以降)に風味が劣化するという結果となった。
【0074】
(B)味覚センサーによる風味試験
上記の製造方法にしたがって作製された小分け容器入りの濃縮コーヒー10(実施例)について、15℃・24000ルクス照射の条件で9日間保管した。その後、味覚センサーにより分析を行った。味覚センサーは、インテリジェントセンサーテクノロジー社製の味認識装置(TS-5000Z)を使用した。味覚センサーによる分析は、各味覚センサーの基準液の中での測定電位をゼロとし、試料そのもの中での測定電位との差を先味(先味:酸味、苦味雑味、渋味刺激、旨味、塩味)とし、その後各味覚センサーを軽く洗浄し、再度基準液を測定したときの電位差を後味(後味:苦味、渋味、旨味コク)として測定することにより行った。なお、24000ルクス照射の条件で9日間保管した場合は、量販店(1500ルクス)で300日保管した場合に相当する。
また、比較例1として、小分け容器入りの濃縮コーヒー10(実施例)をアルミ箔で包み保管した。比較例1は光条件のみ変更した。
さらに、比較例2として、小分け容器12をガスバリア性を有しない素材で成形し、小分け容器12の空間14bは空気(不活性ガスによる置換をしていない)の小分け容器入り濃縮コーヒーを作製し、実施例と同一の条件で保管した。
【0075】
味覚センサーによる風味試験の結果を図12に示す。比較例1の各検査項目の値を0として、実施例および比較例2の各試験項目の相対値を算出した。
図12に示すように、実施例は比較例1(光照射なし)との差がなく、比較例1と同程度の風味を保持することができた。特に、酸味、雑味、塩味は比較例2では大幅に変動しているが、実施例では比較例1と変わりない風味を保持することができた。
【0076】
(C)安定剤量による沈殿量評価試験
濃縮コーヒー原液52と安定剤54との混合比を下記のように変化させて、50℃で静置保管し、沈殿量を評価した。なお、50℃で7日間保管した場合は、23℃で45日間保管した場合に相当する。沈殿が発生しなかったもの1とし、以後沈殿量が増加するにつれて2~5とした。許容範囲は1のみとし、2以上は不可とした。
実施例1:安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して0.54%混合
実施例2:安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して0.83%混合
比較例1:安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して0%混合
(安定剤を混合しない)
比較例2:安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して0.27%混合
比較例3:安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して1.00%混合
【0077】
安定剤量による沈殿量評価試験の結果を図13に示す。
図13に示すように、安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して0.54%以上0.83%以下の割合で混合した場合は、試験期間中沈殿が発生しなかった。一方、安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して0.27%以下の割合で混合した場合は、沈殿が発生した。また、安定剤54を濃縮コーヒー原液52に対して1.00%以上の割合で混合した場合は、安定剤54が過多となり、安定剤54自体によって沈殿が発生した。
【0078】
(D)光照射による風味試験
上記の製造方法にしたがって作製された小分け容器入りの濃縮コーヒー10を、遮光性を有するフィルムを備える外袋としてアルミ蒸着フィルムを備える外袋(以下ではアルミ蒸着袋と記載する。)にそれぞれ3個入れ保管した(実施例)。なお、小分け容器入り濃縮コーヒー10の小分け容器12はポリプロピレン層を黒色に着色することによって遮光性を付与した容器を使用した。また、小分け容器入り濃縮コーヒー10の蓋材22はアルミ箔を中間層に設けることによって遮光性を付与した蓋材を使用した。15℃・24000ルクス照射の条件で10日間保管し、風味試験を行った。なお、24000ルクス照射の条件で10日間保管した場合は、量販店(1500ルクス)で320日保管した場合に相当する。
また、比較例1として、小分け容器入りの濃縮コーヒー10を透明袋に入れて保管した。前記以外は実施例と同条件で保管した。比較例2として、窒素置換していない小分け容器入り濃縮コーヒーをアルミ蒸着袋に入れて保管した。前記以外は実施例と同条件で保管した。比較例3として、窒素置換していない小分け容器入り濃縮コーヒーを透明袋に入れて保管した。前記以外は実施例と同条件で保管した。
光照射による風味試験は、上記(A)の試験と同様に、香り、苦味、酸味、甘味、コク、異味・異臭の6つの観点により評価を行った。
【0079】
光照射による風味試験の結果を図14に示す。
図14に示すように、窒素置換をした小分け容器入り濃縮コーヒー10をアルミ蒸着袋で保管した方が風味劣化を抑えることができるという結果となった。特に、窒素置換をした小分け容器入り濃縮コーヒー10をアルミ蒸着袋で保管することで、より強力に光による劣化を抑制できることが確認された。
【0080】
(E)酵素混合有無による風味試験
上記の製造方法にしたがって作製された小分け容器入りの濃縮コーヒー10(実施例)と、濃縮コーヒー液に安定剤を混合していない小分け容器入り濃縮コーヒー(比較例1)と、濃縮コーヒー液に酵素を混合した小分け容器入り濃縮コーヒー(比較例2)を準備し、5℃で保管した。
比較例2において、酵素はヘミセルラーゼ(10,000units/g)を使用した。酵素は濃縮コーヒー液の0.005%と混合するように調整した。
酵素混合有無による風味試験は、上記(A)の試験と同様に、香り、苦味、酸味、甘味、コク、異味・異臭の6つの観点により評価を行った。
【0081】
酵素混合有無による風味試験の結果を図15に示す。
図15に示すように、本発明に係る製造方法にしたがって作製した小分け容器入り濃縮コーヒー10(実施例)は、比較例1、2よりも風味は良好であるという結果となった。
【0082】
(F)酵素混合有無による沈殿量評価試験
上記の製造方法にしたがって作製された小分け容器入りの濃縮コーヒー10(実施例)と、濃縮コーヒー液に安定剤を混合していない小分け容器入り濃縮コーヒー(比較例1)と、濃縮コーヒー液に酵素を混合した小分け容器入り濃縮コーヒー(比較例2)を準備し、50℃で静置保管し、沈殿量を評価した。なお、50℃で7日間保管した場合は、23℃で45日間保管した場合に相当する。
比較例2において、酵素はヘミセルラーゼ(10,000units/g)を使用した。酵素は濃縮コーヒー液の0.005%と混合するように調整した。
沈殿が発生しなかったもの1とし、以後沈殿量が増加するにつれて2~5とした。許容範囲は1のみとし、2以上は不可とした。
【0083】
酵素混合有無による沈殿量評価試験の結果を図16に示す。
図16に示すように、本発明に係る製造方法にしたがって作製した小分け容器入り濃縮コーヒー10(実施例)は、比較例1、2よりも沈殿が生じないという結果となった。
【0084】
以上の結果から、上記製造方法により製造された小分け容器入りの濃縮コーヒー10は、小分け容器入り濃縮コーヒー10の空間14bの空気を不活性ガスに置換することによって、風味劣化を抑制することができ、小分け容器入りの濃縮コーヒー10を所定の賞味期限に亘って良好に品質を保持することができることが確認された。
【0085】
また、小分け容器入り濃縮コーヒー10の濃縮コーヒー液50に安定剤として微結晶セルロースを混合することにより、濃縮コーヒー液50の風味に影響を与えることなく、濃縮コーヒー液50の沈殿を抑制できることが確認された。
【0086】
また、この発明に係る小分け容器入り濃縮コーヒー10を、遮光性を有するフィルムを備える外袋としてアルミ蒸着フィルムを備える外袋に包装して保管することにより、濃縮コーヒー液50の光による劣化も抑制することができることが確認された。
【0087】
以上のように、本発明の実施形態は、上記記載において開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
10 小分け容器入り濃縮コーヒー
12 小分け容器
14a 収容部
14b 空間
16 開口部
18 鍔部
20 つまみ部
24 段差部
22 蓋材
50 濃縮コーヒー液
52 濃縮コーヒー原液
54 安定剤
100 小分け容器入り濃縮コーヒーの製造方法
110 調合工程
120 1次均質化工程
130 1次殺菌工程
140 2次均質化工程
150 加熱工程
160 充填工程
170 2次殺菌工程
200 小分け容器入り濃縮コーヒーの製造装置
202 調合タンク
204 ホモゲナイザー
206 クッションタンク
208 プレート式殺菌機
210 ホモゲナイザー
212 保持タンク
214 熱交換器
216 充填装置
218 ボイル殺菌機
300 容器成形材
300´ 容器配列シート
300a、300b 両端部
302 蓋材
310A 機枠
310B フレーム
310C クリップ
312 容器成形材供給機構
314 加熱機構
316 容器成形機構
318 充填機構
320 不活性ガス置換機構
320a 噴射口
321 不活性ガス流出防止部
322 蓋材供給機
323 不活性ガス密閉機構
324 回転ローラ
326 シール機構
326a、326b ガイド機構
328 打ち抜き機構
1 収容部の開口部の直径
2 噴射口の直径
A 容器配列シートの搬送方向
図1
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