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特許7149989自動車用ナンバープレート用の再帰反射シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】自動車用ナンバープレート用の再帰反射シート
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/12 20060101AFI20220930BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220930BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20220930BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20220930BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220930BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
G02B5/12
B32B7/023
B32B27/40
B32B27/36
B32B27/30 A
B32B27/30
B32B15/08 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020115805
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2021012371
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0080802
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520281103
【氏名又は名称】エイチジェイ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ユン、セ ウォン
【審査官】中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-509276(JP,A)
【文献】特表2012-512428(JP,A)
【文献】特表2001-525555(JP,A)
【文献】特表2002-509277(JP,A)
【文献】特開2002-243924(JP,A)
【文献】国際公開第2009/038197(WO,A1)
【文献】特表2013-508748(JP,A)
【文献】米国特許第06243201(US,B1)
【文献】国際公開第2019/022069(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/022708(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0276844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/12
B32B 7/023
B32B 27/40
B32B 27/36
B32B 27/30
B32B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ナンバープレートに粘着付与される再帰反射シートにおいて、
可視光線領域の光を透過させると共に赤外線領域の光を反射して、昼間での視認性と夜間での赤外線カメラでの視認性とを両立させる自動車用ナンバープレート用の再帰反射シートであって、
保護層と、
前記保護層上に形成されて、自動車用ナンバープレートと粘着付着される粘着樹脂層と、
前記粘着樹脂層上に形成されて、入射される可視光線領域の光を反射させる反射層と、
前記反射層上に形成されて、入射される前記可視光線領域の光が、前記反射層との表面で焦点を結ぶようにする焦点樹脂層と、
前記焦点樹脂層上に多数のビーズが付着形成されて、入射されて前記反射層によって反射される前記可視光線領域の光を再帰反射されるようにする集光層と、
前記集光層上に形成され、前記集光層を固定する第1のベース層と、
前記第1のベース層上に形成された付着層と、
前記付着層に形成され、外部から入射される光のうち赤外線領域の光を反射させて遮断し、前記可視光線領域の光を選択的に透過させる赤外線遮断層と、
前記赤外線遮断層上に形成され、前記赤外線遮断層が損傷されることを防止する第2のベース層とを含み、
前記反射層と前記赤外線遮断層は、低屈折率のSiO2薄膜と高屈折率のTiO2薄膜が一対をなしN(Nは2以上の自然数)回繰り返して形成された多層膜であり、
前記SiO2薄膜及び前記TiO2薄膜はそれぞれ厚み500~3000Åであり、前記多層膜は厚み4000~20000Åである
ことを特徴とする自動車用ナンバープレート用の再帰反射シート。
【請求項2】
前記焦点樹脂層はポリウレタン、ポリエステル、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、または(メチル)メタクリレート樹脂で前記ビーズ直径の20~40%の厚みで形成される
請求項1に記載の自動車用ナンバープレート用の再帰反射シート。
【請求項3】
前記ベース層は、耐候性、延伸加工性を有し、光の損失を防止するために透明なポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、PVCまたは(メチル)メタクリレート樹脂が塗布形成された
請求項1に記載の自動車用ナンバープレート用の再帰反射シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再帰反射シートに関するものであり、特に、自動車用のナンバープレートに使用できる再帰反射体に関する。
【背景技術】
【0002】
再帰反射シート(retroreflective sheet)は、集光層と反射層を含んで、入射される光に対して入射される方向にそのまま反射させる反射体である。再帰反射シートは、通常のシート形状に形成され、被着物の表面に望ましい形状やパターンで加工されて、道路標識板や消防隊員などの制服の選択された部分に熱圧着または裁縫などの方法により付着することにより、視認性(visibility)が向上し、周囲の環境が暗い場所でも容易に識別できるようにする。従って、清掃員、消防隊員、警察、工場の作業者は、建設現場の作業者及び各部分の安全管理者などの道路または危険な場所で作業を行う人の着用した衣類に再帰反射シートを付着すると、周りの人に着用者の位置を確実に確認でき、着用者の保護及び安全に大きな効果が得られる。
【0003】
また、再帰反射シートは、自動車用ナンバープレートに適用することができる。自動車用ナンバープレートは、夜間に周囲が暗く近くに走行する他の車両や歩行者が容易に識別することが難しい。したがって、自動車用ナンバープレートに再帰反射シートを適用して、暗い夜に視認性を向上させる技術が開発されている。
【0004】
図1は、従来の技術に係る再帰反射シートの断面図である。
【0005】
従来の技術に係る再帰反射シートは、保護層11、粘着樹脂層13、反射層17、焦点樹脂層19、集光層21及びベース層23が積層されて形成される。
【0006】
前記保護層11は、粘着樹脂層13が汚染されることを防止することで、離型性フィルムまたは紙で形成される。
【0007】
粘着樹脂層13は、被付着体、すなわち、自動車用ナンバープレートの表面に粘着付着されることで、ナンバープレートを形成するアルミニウムなどの板材と強い粘着力を有する樹脂で形成される。
【0008】
反射層17は、粘着樹脂層13上にアルミニウムなどの光反射特性の良好な金属が蒸着されて形成されるもので入射される光を反射させる。
【0009】
焦点樹脂層19は、集光層21を形成する多数のビーズ(bead)の表面に形成され、このビーズを介して入射される光が焦点を結ぶようにすることで光の損失を防止するために透明な樹脂でビーズの直径の20~40%の厚みで形成されることが望ましい。
【0010】
集光層21は、焦点樹脂層19上に形成され、多数のビーズ(bead)からなり、入射される光を反射層17に集束させ、また反射層17で反射される光を外部に伝達する。前記集光層21は、入射光線を光源に戻して反射するので、反射される光の光量の損失を最小限に抑えることができる。
【0011】
ベース層23は、摩擦や衝突などの物理的な衝撃によって集光層21を形成する多数のビーズが破損したり、脱着されることを防止する。
【0012】
上述した構成で、反射層17は集光層21を介して入射される光を再帰反射させて、視認性(visibility)が向上し、周囲の環境が暗い場所でも容易に識別できるようにする。また、焦点樹脂層19は、集光層21を形成する多数のビーズ(bead)を介して入射される光が焦点を結ぶようにするもので、透明な樹脂で形成されて光の損失を防止する。
【0013】
粘着樹脂層13は、保護層11が除去された状態で被付着体、すなわち、自動車用ナンバープレートの表面に粘着付着されることで、ナンバープレートを形成するアルミニウムなどの板材と強い粘着力を有する樹脂で形成される。
【0014】
しかし、従来の技術に係る再帰反射シートの適用されたナンバープレートを、夜間に赤外線ランプを取り付けたカメラで撮影すると、過剰な量の光が再帰反射される。
【0015】
したがって、夜間に再帰反射シートのが適用されたナンバープレートを取り付けた自動車用ナンバープレートを赤外線ランプを取り付けたカメラで撮影しても、再帰反射される過剰な量の光により番号を識別することは困難な問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、昼間に視認性が低下することを防げる再帰反射シートを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、夜間に赤外線ランプを取り付けたカメラで、自動車用ナンバープレートを撮影するときに、車両番号を容易に識別できる再帰反射シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するための本発明に係る再帰反射シートは、保護層と、前記保護層上に形成されて、自動車用ナンバープレートと粘着付着される粘着樹脂層と、前記粘着樹脂層上に形成されて、入射される可視光線領域の光を反射させる反射層と、前記反射層上に形成されて、入射される前記可視光線領域の光が前記反射層との表面で焦点を結ぶようにする焦点樹脂層と、前記焦点樹脂層上に多数のビーズが付着形成されて、入射されて前記反射層によって反射される前記可視光線領域の光を再帰反射されるようにする集光層と、前記集光層上に形成された第1のベース層と、前記第1のベース層上に形成された付着層と、前記付着層に形成され、外部から入射される光の中の赤外線領域の光を反射させて遮断し、前記可視光線領域の光を選択的に透過させる赤外線遮断層と、前記赤外線遮断層上に形成され、前記赤外線遮断層が損傷されることを防止する第2のベース層を含んでいる。
【0019】
前記焦点樹脂層はポリウレタン、ポリエステル、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、または(メチル)メタクリレート樹脂で前記ビーズ直径の20~40%の厚みで形成される。
【0020】
前記反射層は、SiO2、TiO2、ZnS、ZnO、Al2O3、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、CaF2及びNa3AlF6の中から選ばれたそれぞれの低屈折率を有する物質と高屈折率を有する物質の2つの薄膜が一対をなしN(Nは2以上の自然数)回繰り返して形成される。
【0021】
前記反射層は、Al、Ag、Cu、ZnまたはSnの金属が蒸着されて形成される。
【0022】
前記赤外線遮断層はSiO2、TiO2、ZnS、ZnO、Al2O3、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、CaF2及びNa3AlF6の中から選ばれたそれぞれの低屈折率を有する物質と高屈折率を有する物質の2つの薄膜が一対をなしN(Nは、2以上の自然数)回繰り返して形成される。
【0023】
前記赤外線遮断層は、酸化タングステン化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ、アンチモンスズ酸化物(ATO)、酸化セシウム、硫化亜鉛、酸化セリウム及び6ホウ化物の中のいずれか一つで形成される。
【0024】
前記のベース層は、耐候性、延伸加工性を有し、光の損失を防止するために透明なポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、PVCまたは(メチル)メタクリレート樹脂が塗布形成される。
【発明の効果】
【0025】
したがって、本発明は、昼間に視認性が低下することを防止しながら、夜間に赤外線ランプを取り付けたカメラで、自動車用ナンバープレートを撮影するときに、車両番号を容易に識別できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来の技術に係る再帰反射シートの断面図である。
図2】本発明に係る再帰反射シートの断面図である。
図3】本発明に係る再帰反射シートの透明選択反射層の光特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0028】
図2は、本発明に係る再帰反射シートの断面図である。
【0029】
本発明に係る再帰反射シートは、保護層31、粘着樹脂層33、反射層37、焦点樹脂層41、集光層43、第1のベース層45、付着層47、赤外線遮断層49及び第2のベース層51に形成される。
【0030】
前記保護層31は、粘着樹脂層33が汚染されることを防止するもので、離型性フィルムや紙で形成される。
【0031】
粘着樹脂層33は、製造された再帰反射シートが保護層31の除去された状態で、自動車用ナンバープレート(図示せず)の表面に粘着付着される。従って、粘着樹脂層33は、ナンバープレートを形成するアルミニウムなどの板材と強い粘着力を有する樹脂で形成される。したがって、粘着樹脂層33は、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤またはゴム系粘着剤などがグラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷(Flexo printing)、オフセット印刷(offset printing)、スロットダイコーティングまたはコンマコーティングなどの方法で塗布することによって、30~100μm程度の厚みで形成される。
【0032】
反射層37は、粘着樹脂層33上にSiO2、TiO2、ZnS、ZnO、Al2O3、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、CaF2及びNa3AlF6などの物質の中から選ばれた2つの層以上の複数の薄膜、例えば、それぞれ500~3000Å程度の厚みを有する低屈折率物質のSiO2と高屈折率物質のTiO2の2つの薄膜が一対をなし、N(Nは、2以上の自然数)回繰り返し、合計4000~20000Å程度の厚みで形成される。前記反射層37は、SiO2、TiO2、Zns、ZnO、Al2O3、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、CaF2及びNa3AlF6などの物質の中から選ばれた2つの薄膜以上の複数の薄膜、例えば、SiO2薄膜とTiO2薄膜の2つの薄膜が真空蒸着(Vacuum Evaporation)、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング(sputtering)、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)またはイオン-ビーム(Ion-beam)などの蒸着方法で交番に形成される。
【0033】
前記反射層37を構成するSiO2薄膜とTiO2薄膜は、薄膜状態で透明であって、膜の厚みが薄くなるほど透明度が増加する。従って、反射層37を適用した自動車用ナンバープレートは、昼間に視認性が低下することが防止される。
【0034】
また、SiO2は屈折率が1.46程度で低屈折率を有するTiO2は2.3程度の高屈折率を有する。前記反射層37は、低屈折率のSiO2薄膜と高屈折率のTiO2薄膜の2つの薄膜が一対をなし、N(Nは、2以上の自然数)回繰り返し積層形成されたもので、光を可視領域は反射して赤外線領域は透過させる。
【0035】
また、本発明は、反射層37が光反射特性に優れたAl、Ag、Cu、ZnまたはSnなどの金属が蒸着されて形成されることもできる。
【0036】
焦点樹脂層41は、反射層37上に形成されて集光層43を構成するビーズを介して入射される光が反射層37の表面で焦点を結ぶようにして反射光の輝度が低下することを防止する。焦点樹脂層41は、光の損失を防止するために、ポリウレタン、ポリエステル、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、(メチル)メタクリレート樹脂などの透明な樹脂でビーズ直径の20~40%の厚みで形成されることが望ましい。
【0037】
集光層43は、焦点樹脂層41上に多数のビーズが層をなすように散布されて形成される。前記集光層43は、多数のビーズが入射される光を集束させるもので、20~200μm程度の直径を有するガラス、透明な非ガラス質セラミックまたは透明な合成樹脂で形成される。
【0038】
第1のベース層45は集光層43上に形成される。第1のベース層45は、集光層43を構成するビーズを固定させるもので、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、PVCまたは(メチル)メタクリレート樹脂などがグラビア印刷、シルクスクリーン、プフレキソ印刷(Flexo printing)、オフセット印刷(offset printing)、スロットダイコーティングまたはコンマコーティングなどの方法で、20~100μm程度の厚みで塗布することによって形成される。
【0039】
付着層47は、第1のベース層45上に接着剤または粘着剤がグラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷(Flexo printing)、オフセット印刷(offset printing)、スロットダイコーティングまたはコンマコーティングなどの方法で塗布形成される。前記粘着剤は、アクリル系粘着剤。シリコーン系粘着剤またはゴム系粘着剤などを使用でき、接着剤はポリウレタン、ポリエステル、アクリル、エポキシ、エチレン系、アセテート、TPUまたはTPEなどを使用できる。
【0040】
赤外線遮断層49は、SiO2、TiO2、ZnS、ZnO、Al2O3、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、CaF2及びNa3AlF6などの物質の中から選ばれた2つ層以上の複数の薄膜、例えば、それぞれ500~3000Å程度の厚みを有する低屈折率物質のSiO2と高屈折率物質のTiO2の2つ薄膜が一対をなし、N(Nは、2以上の自然数)回繰り返し、合計4000~20000Å程度の厚みで形成されて、入射光のうち、近赤外線領域を含む赤外線領域の光を集光層43に入射しなくて、外部に反射させて遮断する。前記赤外線遮断層49は、SiO2、TiO2、Zns、ZnO、Al2O3、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、CaF2及びNa3AlF6などの物質の中から選ばれた2つの薄膜以上の複数の薄膜、例えば、SiO2薄膜とTiO2薄膜の2つの薄膜が真空蒸着(Vacuum Evaporation)、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング(sputtering)、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)またはイオン-ビーム(Ion-beam)などの蒸着方法で交番に形成される。
【0041】
赤外線遮断層49を構成するSiO2薄膜とTiO2薄膜は、薄膜状態で透明であって、膜の厚みが薄くなるほど透明度が増加する。従って、赤外線遮断層49を適用した自動車用ナンバープレートは、昼間に視認性が低下されることが防止される。
【0042】
また、SiO2は屈折率が1.46程度で低屈折率を有して、TiO2は2.3程度の高屈折率を有する。前記赤外線遮断層49は、低屈折率のSiO2薄膜と高屈折率のTiO2薄膜の2つの薄膜が一対をなし、N(Nは、2以上の自然数)回に繰り返し、積層形成されたもので、入射される光から近赤外線領域を含む赤外線領域の光を集光層43に入射しないように反射して遮断して、可視光線領域は透過させる。
【0043】
また、本発明は、赤外線遮断層49が低屈折率のSiO2薄膜と高屈折率のTiO2薄膜が2層以上に積層されて一対をなし、N(Nは、2以上の自然数)回繰り返し積層形成されることができる。
【0044】
また、本発明は、赤外線遮断層49が、酸化タングステン化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ、アンチモンスズ酸化物(ATO)、酸化セシウム、硫化亜鉛、酸化セリウム及び6ホウ化物の中のいずれか一つで形成することもできる。これらの赤外線遮断層49は、近赤外線領域を含む赤外線領域の光を吸収して遮断する。
【0045】
一方、夜間に赤外線ランプを取り付けたカメラを使用して撮影すると、ほとんどの赤外線領域の光が放出されながら、一定の少量の可視光線領域の光も一緒に放出される。つまり、カメラに取り付けた赤外線ランプは、可視領域の光を完全に遮断できず、一定の少量を赤外線領域の光と一緒に放出する。
【0046】
前記赤外線遮断層49は、カメラに取り付けた赤外線ランプから放出された光が入射され、近赤外線領域を含む赤外線領域の光を選択的に反射または吸収して遮断するが、可視領域の光は透過させる。
【0047】
図3は、低屈折率のSiO2薄膜と高屈折率のTiO2薄膜の2つの薄膜が一対をなし、2回繰り返し積層された赤外線遮断層49の光特性を示すグラフである。このグラフで実線は透過特性を示し、点線は反射特性を示す。
【0048】
グラフを参照すると、一般に、赤外線ランプでは700~900nm波長帯の光を放出するので、赤外線遮断層45は、400~700nm程度の波長帯の可視光を60~100%程度透過させて、700~900nm程度の波長帯の近赤外線領域を含む赤外線領域の光を60~80%程度の反射または吸収して遮断する。従って、赤外線遮断層49は、カメラに取り付けられた赤外線ランプから放出された光が入射すると、可視領域の光を透過させながら、近赤外線領域を含む赤外線領域の光のみを反射または吸収することによって遮断して集光層43に入射することを防止する。
【0049】
【表1】
【0050】
表1は、赤外線遮断率を示す。前記反射層37は、入射される光の近赤外線領域を含む赤外線領域の光を60%程度透過させて、40%程度のみ反射させる。前記赤外線遮断層49は、近赤外線領域を含む赤外線領域の光の80%程度を反射または吸収して遮断し、反射層37は、近赤外線領域を含む赤外線領域の光の60%程度透過させる。従って、反射層37と赤外線遮断層49を一緒に使用すると、入射される光で近赤外線領域を含む赤外線領域の光を92%程度遮断できる。
【0051】
第2のベース層51は、赤外線遮断層49上に形成されて摩擦や衝突などの外部の物理的な衝撃により、この赤外線遮断層49が破損することを防止する。また、ベース層51は、赤外線遮断層49が損傷しないよう、耐候性及び延伸加工性を持たなければならだけでなく、集光層43に入射される可視領域の光の損失を防止するために、透明でなければならない。したがって、ベース層51は、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、PVCまたは(メチル)メタクリレート樹脂などがグラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷(Flexo printing)、オフセット印刷(offset printing) 、スロットダイコーティングまたはコンマコーティングなどの方法で、20~100μm程度の厚みで塗布することによって形成される。
【0052】
前述した構造で再帰反射シートは、自動車用ナンバープレートに適用されるもので、保護層31を除去し、粘着樹脂層33を番号が形成されるナンバープレートに圧着して付着する。前記赤外線遮断層49を構成する低屈折率のSiO2薄膜と高屈折率のTiO2薄膜は透明であるので、この再帰反射シートを適用した自動車用ナンバープレートは、昼間に視認性が低下されることが防止される。
【0053】
また、赤外線遮断層49は、カメラに取り付けた赤外線ランプから放出されて入射される光のうち赤外線領域の光を反射または吸収して可視領域の光のみを集光層43に入射されるようにする。入射された可視領域の光は、集光層43と焦点樹脂層41を介して集束され、反射層37の表面に焦点が結ぶようにする。また、反射層37は、表面に焦点が結んだ可視領域の光を反射させるのに、反射層37によって反射された可視領域の光は集光層45を介してカメラに再帰反射される。前記集光層45を介して入射された可視領域の光は焦点樹脂層41によって反射層37の表面に焦点が結ばれた状態で反射されるので、集光層45を介してカメラに再帰反射された可視領域の光の損失を防げる。
【0054】
夜間に赤外線ランプを取り付けたカメラを使用して撮影すると、赤外線ランプからほとんどの赤外線領域の光が放出されながら、一定の少量の可視光線領域の光も一緒に放出される。これにより、本発明に係る再帰反射シートは、赤外線遮断層49が赤外線ランプから放出された光のうち赤外線領域の光を反射及び吸収して再帰反射させずに、一定の少量の可視光線領域の光のみを透過させて、反射層37及び集光層43によって再帰反射させる。したがって、夜間に再帰反射シートが適用されたナンバープレートを取り付けた自動車用ナンバープレートを赤外線ランプを取り付けたカメラで撮影して、車両番号を容易に識別できる。
【0055】
また、赤外線遮断層49が入射される赤外線領域の光をすべて遮断できず、少量に入射されても反射層37が、赤外線領域の光を透過させるSiO2薄膜とTiO2薄膜が積層形成される場合、入射される少量の赤外線領域の光を透過させて、赤外線領域の光を除去する効果がより向上する。
【0056】
以上で説明した本発明は、前述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、色んな置換、変形及び変更が可能であることが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0057】
31:保護層
33:粘着樹脂層
37:反射層
41:焦点樹脂層
43:集光層
45:第1のベース層
47:付着層
49:赤外線遮断層
51:第2のベース層
図1
図2
図3