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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/374 20110101AFI20220930BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H04N5/374
H01L27/146 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020206484
(22)【出願日】2020-12-14
(62)【分割の表示】P 2016156104の分割
【原出願日】2016-08-09
(65)【公開番号】P2021061616
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】P 2015161851
(32)【優先日】2015-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】王丸 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直人
(72)【発明者】
【氏名】林 健太郎
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-210254(JP,A)
【文献】特開平05-326912(JP,A)
【文献】特開2013-210322(JP,A)
【文献】特開2013-210277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-374
H01L 27/14-146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光電変換素子と、第2の光電変換素子と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、を有し、
前記第1の光電変換素子のアノードは、前記第2の光電変換素子のアノードと電気的に接続され、
前記第2の光電変換素子のカソードは、電源線と直接的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第1の光電変換素子のカソードと電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第3のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続される、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、撮像装置およびその動作方法、ならびに電子機器に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技
術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は
、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マタ
ー)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の
技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、記憶装置、
それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
基板上に形成された酸化物半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されて
いる。例えば、酸化物半導体として酸化亜鉛、またはIn-Ga-Zn系酸化物半導体を
用いてトランジスタを作製する技術が特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0004】
また、酸化物半導体を有するオフ電流が極めて低いトランジスタを画素回路の一部に用い
、CMOS(Complementary Metal Oxide Semicond
uctor)回路が作製可能なシリコンを有するトランジスタを周辺回路に用いる構成の
撮像装置が特許文献3に開示されている。
【0005】
また、アバランシェ増倍現象を利用した撮像装置として、セレンを主体とする非晶質半導
体層を光電変換素子として用いた撮像デバイスが特許文献4に開示されている。
【0006】
また、CMOS回路上に結晶セレン薄膜を用いた光電変換素子を形成した撮像装置が非特
許文献1で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【文献】特開2011-119711号公報
【文献】特開2013-33664号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】S.Imura et al., ”High Sensitivity Image Sensor Overlaid with Thin-Film Crystalline-Selenium-based Heterojunction Photodiode,” International Electron Devices Meeting,pp.88-91,Dec.2014.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
撮像データを表示装置などの外部機器に出力する頻度を減らすことにより、撮像装置にお
ける消費電力を低減することができる。これを実現する方法として、例えば、撮像データ
を前のフレームの撮像データを比較し、両者に差分がみられる場合のみ撮像データを外部
機器に出力することが挙げられる。
【0010】
本発明の一態様では、消費電力を低減した撮像装置を提供することを課題の一とする。ま
たは、小型の撮像装置を提供することを課題の一とする。または、光感度を調整すること
ができる撮像装置を提供することを課題の一とする。または、オン電流が大きいトランジ
スタを有する撮像装置を提供することを課題の一とする。または、オフ電流が小さいトラ
ンジスタを有する撮像装置を提供することを課題の一とする。または、高電位を印加する
ことができるトランジスタを有する撮像装置を提供することを課題の一とする。または、
ダイナミックレンジが大きい撮像装置を提供することを課題の一とする。または、撮像デ
ータの保持時間が長い撮像装置を提供することを課題の一とする。または、被写体が移動
する場合であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる撮像装置を提供することを
課題の一とする。または、広い温度範囲で使用することができる撮像装置を提供すること
を課題の一とする。または、ノイズの少ない撮像データを得られる撮像装置を提供するこ
とを課題の一とする。または、光感度が高い撮像装置を提供することを課題の一とする。
または、低価格の撮像装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高い撮像
装置を提供することを課題の一とする。
【0011】
または、本発明の一態様では、新規な撮像装置、新規な撮像装置の動作方法、新規な電子
機器等を提供することを課題の一とする。
【0012】
なお本発明の一態様の課題は、上記列挙した課題に限定されない。上記列挙した課題は、
他の課題の存在を妨げるものではない。なお他の課題は、以下の記載で述べる、本項目で
言及していない課題である。本項目で言及していない課題は、当業者であれば明細書また
は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる
。なお、本発明の一態様は、上記列挙した記載、および/または他の課題のうち、少なく
とも一つの課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、第1の光電変換素子と、第2の光電変換素子と、第1のトランジスタ
と、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第5のトラ
ンジスタと、を有する撮像装置である。第1の光電変換素子のカソードは、第1のトラン
ジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第2の光電変換素子のアノー
ドは、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。ま
た、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第2のトランジスタのソース
またはドレインの他方、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方および第4の
トランジスタのゲートと電気的に接続され、第4のトランジスタのソースまたはドレイン
の一方は、第5のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている
【0014】
また、第1乃至第3のトランジスタは活性層に酸化物半導体を有していてもよい。当該酸
化物半導体は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、C
e、NdまたはHf)と、を有していてもよい。
【0015】
また、第1の光電変換素子と、第2の光電変換素子と、はセレンを含む材料を有していて
もよい。
【0016】
第1の光電変換素子と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジ
スタと、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、第6のトランジスタと、第7の
トランジスタと、を有する撮像装置も本発明の一態様である。第1の光電変換素子のカソ
ードは、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方および第2のトランジスタの
ソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第1の光電変換素子のアノードは、第
3のトランジスタのソースまたはドレインの一方および第4のトランジスタのソースまた
はドレインの一方と電気的に接続されている。また、第2のトランジスタのソースまたは
ドレインの他方は、第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続さ
れ、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第4のトランジスタのソース
またはドレインの他方、第5のトランジスタのソースまたはドレインの一方および第6の
トランジスタのゲートと電気的に接続され、第6のトランジスタのソースまたはドレイン
の一方は、第7のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている
。また、第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方には配線が電気的に接続され
、該配線は、高電位と低電位を切り替えて供給する機能を有する。
【0017】
また、第1乃至第5のトランジスタは活性層に酸化物半導体を有していてもよい。当該酸
化物半導体は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、C
e、NdまたはHf)と、を有していてもよい。
【0018】
また、第1の光電変換素子はセレンを含む材料を有していてもよい。
【0019】
また、本発明の一態様の撮像装置は容量素子を有していてもよい。容量素子の一方の端子
は、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続されていてもよい
【0020】
また、第1の光電変換素子と、第2の光電変換素子と、を有する画素を有する撮像装置の
動作方法も本発明の一態様である。該動作方法では、リセット動作により画素に電荷を蓄
えた後、画素に照射された光の照度に応じて、第1の光電変換素子を通して電荷を放出し
、その後画素に照射された光の照度に応じて、第2の光電変換素子を通して電荷を蓄える
【0021】
本発明の一態様の撮像装置と、表示装置と、を有する電子機器も本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様では、消費電力を低減した撮像装置を提供することができる。または、小
型の撮像装置を提供することができる。または、光感度を調整することができる撮像装置
を提供することができる。または、オン電流が大きいトランジスタを有する撮像装置を提
供することができる。または、オフ電流が小さいトランジスタを有する撮像装置を提供す
ることができる。または、高電位を印加することができるトランジスタを有する撮像装置
を提供することができる。または、ダイナミックレンジが大きい撮像装置を提供すること
ができる。または、撮像データの保持時間が長い撮像装置を提供することができる。また
は、被写体が移動する場合であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる撮像装置
を提供することができる。または、広い温度範囲で使用することができる撮像装置を提供
することができる。または、ノイズの少ない撮像データを得られる撮像装置を提供するこ
とができる。または、光感度が高い撮像装置を提供することができる。または、低価格の
撮像装置を提供することができる。または、信頼性の高い撮像装置を提供することができ
る。
【0023】
または、本発明の一態様では、新規な撮像装置、新規な撮像装置の動作方法、新規な電子
機器等を提供することができる。
【0024】
なお本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、
他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で
言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば明細書また
は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる
。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、および/または他の効果のうち、少なく
とも一つの効果を有するものである。従って本発明の一態様は、場合によっては、上記列
挙した効果を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】撮像装置の画素回路を説明する図。
図2】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図3】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図4】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図5】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図6】撮像装置を説明するブロック図。
図7】画素回路および差分判定用回路を説明する図。
図8】撮像装置の動作方法を説明するフローチャート。
図9】撮像装置の動作方法を説明するフローチャート。
図10】撮像装置の画素回路を説明する図。
図11】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図12】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図13】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図14】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図15】撮像装置の画素回路を説明する図。
図16】撮像装置の画素回路を説明する図。
図17】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図18】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図19】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図20】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図21】撮像装置の画素回路を説明する図。
図22】撮像装置の画素回路を説明する図。
図23】撮像装置の画素回路を説明する図。
図24】撮像装置の画素回路を説明する図。
図25】撮像装置の画素回路を説明する図。
図26】ローリングシャッタ方式およびグローバルシャッタ方式の動作を説明する図。
図27】撮像装置の画素回路を説明する図。
図28】撮像動作を説明するタイミングチャート。
図29】撮像装置の画素回路を説明する図。
図30】撮像装置の構成を説明する断面図。
図31】撮像装置の構成を説明する断面図。
図32】撮像装置の構成を説明する断面図。
図33】撮像装置の構成を説明する断面図。
図34】撮像装置の構成を説明する断面図。
図35】撮像装置の構成を説明する断面図および回路図。
図36】撮像装置の構成を説明する断面図。
図37】撮像装置の構成を説明する断面図。
図38】撮像装置の構成を説明する断面図。
図39】撮像装置の構成を説明する断面図。
図40】撮像装置の構成を説明する断面図。
図41】撮像装置の構成を説明する断面図。
図42】撮像装置の構成を説明する断面図。
図43】撮像装置の構成を説明する断面図。
図44】湾曲した撮像装置を説明する図。
図45】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図46】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図47】トランジスタのチャネル幅方向の断面を説明する図。
図48】酸化物半導体層を説明する上面図および断面図。
図49】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図50】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図51】トランジスタのチャネル幅方向の断面を説明する図。
図52】トランジスタのチャネル長方向の断面を説明する図。
図53】トランジスタのチャネル長方向の断面を説明する図。
図54】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図55】トランジスタを説明する上面図。
図56】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図、ならびにCAAC-OSの制限視野電子回折パターンを示す図。
図57】CAAC-OSの断面TEM像、ならびに平面TEM像およびその画像解析像。
図58】nc-OSの電子回折パターンを示す図、およびnc-OSの断面TEM像。
図59】a-like OSの断面TEM像。
図60】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
図61】撮像装置を収めたパッケージの斜視図および断面図。
図62】撮像装置を収めたパッケージの斜視図および断面図。
図63】電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変
更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施
の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成
において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通
して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハ
ッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0027】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている
場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を
模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、ノイ
ズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、または、タイミングのずれによる信号、
電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0028】
また本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少
なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領
域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチ
ャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことが
できるものである。
【0029】
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造または動作条件等によって変わるた
め、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、「
ソース」という用語と、「ドレイン」という用語とは、場合によっては、または、状況に
応じて、互いに入れ替えることが可能である。
【0030】
なお本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同
を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0031】
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合
は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合
と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。
したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、
図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとす
る。
【0032】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電層、層
、など)であるとする。
【0033】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であ
り、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量
素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに
、XとYとが、接続されている場合である。
【0034】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが
可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイ
ッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか
流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択し
て切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、Xと
Yとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0035】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能
とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変
換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電
源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)
、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る
回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成
回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能であ
る。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号
がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとY
とが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとY
とが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0036】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYと
が電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟ん
で接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYと
の間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されてい
る場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟まずに接続されている場合
)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と
明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている
場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0037】
なお、例えば、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1を介して(また
は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)
が、Z2を介して(または介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタ
のソース(または第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部
がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2の
一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下
のように表現することが出来る。
【0038】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または
第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(ま
たは第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yの順序で
電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース
(または第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または
第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端
子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この順序で電気的
に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(
または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とを介して、Yと電気的に
接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイ
ン(または第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することが
できる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規
定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(また
は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
【0039】
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(または第1の端子など
)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路
は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、ト
ランジスタのソース(または第1の端子など)とトランジスタのドレイン(または第2の
端子など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トラ
ンジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、
Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前
記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「
トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって
、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有し
ておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタ
のドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介
して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していな
い。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子な
ど)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、
前記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、
トランジスタのソース(または第1の端子など)からトランジスタのドレイン(または第
2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など
)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前
記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、ト
ランジスタのドレイン(または第2の端子など)からトランジスタのソース(または第1
の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表
現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタ
のソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別し
て、技術的範囲を決定することができる。
【0040】
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X
、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電層、
層、など)であるとする。
【0041】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されてい
る場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もあ
る。例えば配線の一部が電極としての機能を有する場合は、一の導電層が、配線の機能、
および電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書にお
ける電気的に接続とは、このような、一の導電層が、複数の構成要素の機能を併せ持って
いる場合も、その範疇に含める。
【0042】
なお本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関
係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は
、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語
句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0043】
なお図面におけるブロック図の各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特定する
ものであり、異なる回路ブロックで別々の機能を実現するよう示していても、実際の回路
ブロックにおいては同じ回路ブロック内で別々の機能を実現しうるように設けられている
場合もある。また図面における各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定するもの
であり、一つの回路ブロックとして示していても、実際の回路ブロックにおいては一つの
回路ブロックで行う処理を、複数の回路ブロックで行うよう設けられている場合もある。
【0044】
なお、「膜」という用語と、「層」という用語とは、場合によっては、または、状況に応
じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜
」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用
語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0045】
(実施の形態1)
本発明の一態様の撮像装置について図面を用いて説明する。
【0046】
本明細書等において撮像装置とは、撮像機能を有する装置全般を指す。または、撮像機能
を有する回路、あるいは該回路を含むシステム全体を撮像装置という。
【0047】
本発明の一態様は、差分検出機能を有する撮像装置に関する。差分検出機能とは、撮像デ
ータを前のフレームの撮像データと比較し、両者に差分があるか否かを検出する機能を意
味する。これにより、例えば差分があった場合はフレーム内の物体が動いたとすることに
より、物体の動作を検出することができる。差分が検出された場合、つまりフレーム内の
物体に動きが見られた場合のみ撮像データを外部機器に出力することにより、全フレーム
の撮像データを外部機器に出力する場合より例えば消費電力を低減することができる。
【0048】
本明細書において、撮像装置の外部に設けられた機器のことを外部機器と呼ぶ場合がある
。外部機器として、例えば表示装置が挙げられる。
【0049】
本発明の一態様である撮像装置が有する画素10の回路図を図1に示す。画素10は、光
電変換素子20aと、光電変換素子20bと、トランジスタ31aと、トランジスタ31
bと、トランジスタ32と、トランジスタ33と、トランジスタ34と、容量素子41と
、を有する。なお、図1において、トランジスタ31a、トランジスタ31bおよびトラ
ンジスタ32乃至トランジスタ34はすべてnチャネル型トランジスタとする。
【0050】
なお、本明細書ではnチャネル型トランジスタをn-ch型トランジスタ、pチャネル型
トランジスタをp-ch型トランジスタと呼ぶことがある。
【0051】
図1の画素10において、光電変換素子20aのカソードは、トランジスタ31aのソー
スまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、光電変換素子20bのアノー
ドは、トランジスタ31bのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。ま
た、トランジスタ31aのソースまたはドレインの他方は、トランジスタ31bのソース
またはドレインの他方、トランジスタ32のソースまたはドレインの一方、トランジスタ
33のゲートおよび容量素子41の一方の端子と電気的に接続されている。また、トラン
ジスタ33のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ34のソースまたはドレイン
の一方と電気的に接続されている。
【0052】
また、光電変換素子20aのアノードは、配線51a(VPDa)と電気的に接続されて
いる。また、光電変換素子20bのカソードは、配線51b(VPDb)と電気的に接続
されている。また、トランジスタ32のソースまたはドレインの他方は、配線52(VR
)と電気的に接続されている。また、容量素子41の他方の端子は、配線53(VSS)
と電気的に接続されている。また、トランジスタ34のソースまたはドレインの他方は、
配線54(VPI)と電気的に接続されている。また、トランジスタ33のソースまたは
ドレインの他方は、配線55(VOUT)と電気的に接続されている。
【0053】
また、トランジスタ31aのゲートは、配線61a(TXa)と電気的に接続されている
。また、トランジスタ31bのゲートは、配線61b(TXb)と電気的に接続されてい
る。また、トランジスタ32のゲートは、配線62(RES)と電気的に接続されている
。また、トランジスタ34のゲートは、配線64(SEL)と電気的に接続されている。
【0054】
ここで、配線51a(VPDa)、配線51b(VPDb)、配線52(VR)、配線5
3(VSS)および配線54(VPI)は、電源線として機能させることができる。また
、配線61a(TXa)、配線61b(TXb)、配線62(RES)および配線64(
SEL)は、信号線として機能させることができる。
【0055】
上記構成において、トランジスタ31aのソースまたはドレインの他方、トランジスタ3
1bのソースまたはドレインの他方、トランジスタ32のソースまたはドレインの一方、
トランジスタ33のゲートおよび容量素子41の一方の端子が接続されるノードをFDと
する。
【0056】
画素10において、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bは受光素子であり、画
素10に照射した光の照度に応じた電流を生成する機能を有する。トランジスタ31aは
、画素10に照射した光の照度に応じた、ノードFDから光電変換素子20aへの電荷の
放出を制御する機能を有する。トランジスタ31bは、画素10に照射した光の照度に応
じた、光電変換素子20bからノードFDへの電荷の蓄積を制御する機能を有する。トラ
ンジスタ32は、ノードFDの電位をリセットする機能を有する。トランジスタ33は、
ノードFDの電位に応じた信号を出力する、増幅トランジスタとしての機能を有する。ト
ランジスタ34は、読み出し時に画素10の選択を制御する、選択トランジスタとしての
機能を有する。
【0057】
また、配線55(VOUT)を介して、画素10により取得された撮像データを信号とし
て出力することができる。
【0058】
前述のように、本発明の一態様の撮像装置が有する画素では、光電変換素子20aのカソ
ードがトランジスタ31aのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されており、光
電変換素子20bのアノードがトランジスタ31bのソースまたはドレインの一方と電気
的に接続されている。画素を当該構成とすることにより、本発明の一態様の撮像装置は、
通常撮像モードまたは差分検出モードにより動作することができる。通常撮像モードは、
図1に示す画素10により取得された撮像データを外部機器に出力するモードである。差
分検出モードは、詳細は後述するが、基準フレームの撮像データの取得後に差分検出用フ
レームの撮像データの取得を行い、差分検出用フレームの撮像データの取得後に出力され
る信号の電位に応じて基準フレームの撮像データと、差分検出用フレームの撮像データと
の間に差分が有るか否かを判定することにより差分検出を行うモードである。差分検出モ
ードでは、例えば差分があった場合はフレーム内の物体が動いたとすることにより、物体
の動作を検出することができる。
【0059】
なお、図1に示す構成の画素10を、積分型の画素と呼ぶ場合がある。
【0060】
次に、図1に示す画素10の動作について、図2乃至図5に示すタイミングチャートを用
いて詳細な説明を行う。該タイミングチャートは、配線61a(TXa)、配線61b(
TXb)、配線62(RES)、配線64(SEL)およびノードFDの電位を示す。
【0061】
なお、図2および図3に示すタイミングチャートに基づいて画素10が動作する場合、配
線51b(VPDb)、配線52(VR)および配線54(VPI)の電位をHレベル、
配線51a(VPDa)および配線53(VSS)の電位をLレベルとする。
【0062】
本明細書において、Hレベルは高電位を、Lレベルは低電位をそれぞれ示す。また、Lレ
ベルは例えば接地電位とすることができる。
【0063】
通常撮像モードにおける画素10の動作について、図2に示すタイミングチャートを用い
て説明する。時刻T01乃至時刻T05において1フレーム目の撮像データの取得および
読み出しを行い、時刻T11乃至時刻T15において2フレーム目の撮像データの取得お
よび読み出しを行う。
【0064】
時刻T01において、配線61a(TXa)および配線62(RES)の電位をHレベル
とすることにより、トランジスタ31aおよびトランジスタ32をオンとする。また、配
線61b(TXb)および配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトラン
ジスタ31bおよびトランジスタ34をオフとする。これにより、ノードFDの電位は配
線52(VR)の電位VRに設定される。
【0065】
時刻T02において、配線62(RES)の電位をLレベルとすることにより、トランジ
スタ32をオフとする。これにより、ノードFDの電位が低下し始める。ノードFDの電
位は、画素10に照射する光の照度が高いほど大きく低下する。
【0066】
時刻T03において、配線61a(TXa)の電位をLレベルとすることにより、トラン
ジスタ31aをオフとする。これにより、ノードFDの電位が保持される。以上の動作に
より1フレーム目の撮像データを取得する。
【0067】
時刻T04において、配線64(SEL)の電位をHレベルとすることにより、トランジ
スタ34をオンとする。これにより、ノードFDの電位に応じて配線55(VOUT)か
ら信号が出力される。なお、該信号は時刻T01乃至時刻T03において取得した撮像デ
ータに対応する。なお、ノードFDの電位が低いほど、配線55(VOUT)から出力さ
れる信号の電位は低くなる。すなわち、画素10に照射する光の照度が高いほど、配線5
5(VOUT)から出力される信号の電位は低くなる。
【0068】
時刻T05において、配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジス
タ34をオフとする。以上の動作により1フレーム目の撮像データが読み出され、外部機
器に出力される。
【0069】
時刻T11乃至時刻T15における動作は、時刻T01乃至時刻T05における動作と同
様である。このように、時刻T01乃至時刻T05における動作を繰り返すモードが、通
常撮像モードである。
【0070】
次に、差分検出モードにおける画素10の動作について、図3に示すタイミングチャート
を用いて説明する。
【0071】
時刻T101乃至時刻T103は、基準フレームの撮像データを取得する期間に相当する
。時刻T101乃至時刻T103における動作は、図2に示す時刻T01乃至時刻T03
における動作と同様である。
【0072】
時刻T111乃至時刻T114は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮
像データとの間に差分が無い場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および読み
出しを行う期間に相当する。なお、時刻T111乃至時刻T112において画素10に照
射する光の照度は、時刻T102乃至時刻T103において画素10に照射する光の照度
と等しい。
【0073】
時刻T111において、配線61b(TXb)の電位をHレベルとすることによりトラン
ジスタ31bをオンとする。また、時刻T112において、配線61b(TXb)の電位
をLレベルとすることによりトランジスタ31bをオフとする。以上の動作により差分検
出用フレームの撮像データを取得する。
【0074】
トランジスタ31bのソースまたはドレインの一方は光電変換素子20bのアノードと電
気的に接続されており、光電変換素子20bのカソードにはHレベル電位が印加されてい
る。したがって、時刻T111乃至時刻T112において画素10に光を照射すると、ノ
ードFDの電位が上昇する。ここで、画素10に照射される光の照度が同じであれば、ト
ランジスタ31aをオンとした場合に光電変換素子20aに流れる単位時間当たりの電荷
量と、トランジスタ31bをオンとした場合に光電変換素子20bに流れる単位時間当た
りの電荷量とがノードFDの電位によらず等しいとする。さらに時刻T102乃至時刻T
103の間隔と時刻T111乃至時刻T112の間隔が等しいとする。以上の条件下にお
いて、時刻T112においてノードFDの電位はVRまで上昇する。
【0075】
なお、ここでは時刻T102乃至時刻T103の間隔と時刻T111乃至時刻T112の
間隔は等しいとしたが、画素10に照射される光の照度が等しい場合、時刻T102乃至
時刻T103におけるノードFDの電位低下と、時刻T111乃至時刻T112における
ノードFDの電位上昇が等しくなるように設定することが本発明の一態様の本質である。
したがって、上記条件を満たすように、時刻T102乃至時刻T103の間隔と、時刻T
111乃至時刻T112の間隔とを適宜調整する構成が好ましい。
【0076】
時刻T113において、配線64(SEL)の電位をHレベルとすることにより、トラン
ジスタ34をオンとする。これにより、ノードFDの電位に応じて、配線55(VOUT
)から信号が出力される。当該信号の電位は、ノードFDの電位がVRである場合に対応
する。
【0077】
時刻T114において、配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジ
スタ34をオフとする。以上の動作により差分検出用フレームの撮像データが読み出され
る。
【0078】
時刻T201乃至時刻T203は、再び基準フレームの撮像データを取得する期間に相当
する。時刻T201乃至時刻T203における動作は、時刻T101乃至時刻T103に
おける動作と同様である。
【0079】
時刻T211乃至時刻T214は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮
像データとの間に差分が有る場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および読み
出しを行う期間に相当する。なお、時刻T211乃至時刻T212において画素10に照
射する光の照度は、時刻T202乃至時刻T203において画素10に照射する光の照度
より高い。
【0080】
時刻T211乃至時刻T214における動作は、時刻T111乃至時刻T114における
動作と同様である。時刻T211乃至時刻T212において画素10に照射する光の照度
は、時刻T202乃至時刻T203において画素10に照射する光の照度より高い。この
ため、時刻T212におけるノードFDの電位は時刻T202におけるノードFDの電位
VRよりも高い。したがって、時刻T213乃至時刻T214において配線55(VOU
T)から出力される信号の電位は、ノードFDの電位がVRである場合に配線55(VO
UT)から出力される信号の電位より高い。
【0081】
時刻T301乃至時刻T303は、再び基準フレームの撮像データを取得する期間に相当
する。時刻T301乃至時刻T303における動作は、時刻T201乃至時刻T203に
おける動作と同様である。
【0082】
時刻T311乃至時刻T314は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮
像データとの間に差分が有る場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および読み
出しを行う期間に相当する。なお、時刻T311乃至時刻T312において画素10に照
射する光の照度は、時刻T302乃至時刻T303において画素10に照射する光の照度
より低い。
【0083】
時刻T311乃至時刻T314における動作は、時刻T211乃至時刻T214における
動作と同様である。時刻T311乃至時刻T312において画素10に照射する光の照度
が、時刻T302乃至時刻T303において画素10に照射する光の照度より低い。この
ため、時刻T312におけるノードFDの電位は時刻T302におけるノードFDの電位
VRよりも低い。したがって、時刻T313乃至時刻T314において配線55(VOU
T)から出力される信号の電位は、ノードFDの電位がVRである場合に配線55(VO
UT)から出力される信号の電位より低い。
【0084】
以上のように、差分検出モードでは、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの
撮像データを交互に取得する。基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像デ
ータとの間に差分が有る場合は、ノードFDの電位がVRと異なる。したがって、差分検
出用フレームの撮像データを取得後に配線55(VOUT)から出力される信号の電位が
、ノードFDの電位がVRである場合に配線55(VOUT)から出力される信号の電位
と異なる。一方、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に
差分が無い場合は、ノードFDの電位がVRと等しい。したがって、差分検出用フレーム
の撮像データを取得後に配線55(VOUT)から出力される信号の電位が、ノードFD
の電位がVRである場合に配線55(VOUT)から出力される信号の電位と等しい。
【0085】
以上により、差分検出用フレームの撮像データの取得後に配線55(VOUT)から出力
される信号の電位から、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データと
の間の差分の有無を判定することができる。
【0086】
なお、図3に示すタイミングチャートでは基準フレームの撮像データは外部機器に出力し
ていないが、基準フレームの撮像データを、通常撮像モードと同様に外部機器に出力して
もよい。この場合、時刻T103、時刻T203または時刻T303における動作が終了
した後、図2に示す時刻T04および時刻T05と同様の動作を行う。
【0087】
図1に示す画素10は、配線51b(VPDb)、配線53(VSS)および配線54(
VPI)の電位をHレベル、配線51a(VPDa)および配線52(VR)の電位をL
レベルとして動作させることもできる。この場合における画素10の動作を図4および図
5に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0088】
図4は通常撮像モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである。時刻T
01乃至時刻T05において1フレーム目の撮像データの取得および読み出しを行い、時
刻T11乃至時刻T15において2フレーム目の撮像データの取得および読み出しを行う
【0089】
時刻T01において、配線61b(TXb)および配線62(RES)の電位をHレベル
とすることにより、トランジスタ31bおよびトランジスタ32をオンとする。また、配
線61a(TXa)および配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトラン
ジスタ31aおよびトランジスタ34をオフとする。これにより、ノードFDの電位は配
線52(VR)の電位VRに設定される。
【0090】
時刻T02において、配線62(RES)の電位をLレベルとすることにより、トランジ
スタ32をオフとする。配線51b(VPDb)の電位VPDbはHレベルで、配線52
(VR)の電位VRはLレベルであるので、ノードFDの電位は上昇する。ノードFDの
電位は、画素10に照射する光の照度が高いほど大きく上昇する。
【0091】
時刻T03において配線61b(TXb)の電位をLレベルとすることにより、トランジ
スタ31bをオフとする。これにより、ノードFDの電位が保持される。以上の動作によ
り1フレーム目の撮像データを取得する。
【0092】
時刻T04において、配線64(SEL)の電位をHレベルとすることにより、トランジ
スタ34をオンとする。これにより、ノードFDの電位に応じて配線55(VOUT)か
ら信号が出力される。なお、該信号は時刻T01乃至時刻T03において取得した撮像デ
ータに対応する。なお、ノードFDの電位が高いほど、配線55(VOUT)から出力さ
れる信号の電位は高くなる。すなわち、画素10に照射する光の照度が高いほど、配線5
5(VOUT)から出力される信号の電位は高くなる。
【0093】
時刻T05において、配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジス
タ34をオフとする。以上の動作により1フレーム目の撮像データが読み出され、外部機
器に出力される。
【0094】
時刻T11乃至時刻T15における動作は、時刻T01乃至時刻T05における動作と同
様である。以上が通常撮像モードにおける動作である。
【0095】
図5は差分検出モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである。時刻T
101乃至時刻T103、時刻T201乃至時刻T203および時刻T301乃至時刻T
303は、基準フレームの撮像データを取得する期間に相当し、それぞれ図4に示す時刻
T01乃至時刻T03における動作と同様である。
【0096】
時刻T111乃至時刻T114は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮
像データとの間に差分が無い場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および読み
出しを行う期間に相当する。なお、時刻T111乃至時刻T112において画素10に照
射する光の照度は、時刻T102乃至時刻T103において画素10に照射する光の照度
と等しい。
【0097】
時刻T111において、配線61a(TXa)の電位をHレベルとすることによりトラン
ジスタ31aをオンとする。また、時刻T112において、配線61a(TXa)の電位
をLレベルとすることによりトランジスタ31aをオフとする。以上の動作により差分検
出用フレームの撮像データを取得する。
【0098】
トランジスタ31aのソースまたはドレインの一方は光電変換素子20aのカソードと電
気的に接続されており、光電変換素子20aのアノードにはLレベル電位が印加されてい
る。したがって、時刻T111乃至時刻T112において画素10に光を照射するとノー
ドFDの電位が低下する。ここで、画素10に照射される光の照度が同じであれば、トラ
ンジスタ31aをオンとした場合に光電変換素子20aに流れる単位時間当たりの電荷量
と、トランジスタ31bをオンとした場合に光電変換素子20bに流れる単位時間当たり
の電荷量がノードFDの電位によらず等しいとする。さらに時刻T102乃至時刻T10
3の間隔と時刻T111乃至時刻T112の間隔が等しいとする。以上の条件下において
、時刻T112においてノードFDの電位はVRまで低下する。
【0099】
なお、ここでは時刻T102乃至時刻T103の間隔と時刻T111乃至時刻T112の
間隔は等しいとしたが、画素10に照射される光の照度が等しい場合、時刻T102乃至
時刻T103におけるノードFDの電位上昇と、時刻T111乃至時刻T112における
ノードFDの電位低下が等しくなるように設定することが本発明の一態様の本質である。
したがって、上記条件を満たすように時刻T102乃至時刻T103の間隔と、時刻T1
11乃至時刻T112の間隔とを適宜調整する構成が好ましい。
【0100】
時刻T113において、配線64(SEL)の電位をHレベルとすることにより、トラン
ジスタ34をオンとする。これにより、ノードFDの電位に応じて、配線55(VOUT
)から信号が出力される。当該信号の電位は、ノードFDの電位がVRである場合に対応
する。
【0101】
時刻T114において、配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジ
スタ34をオフとする。以上の動作により差分検出用フレームの撮像データが読み出され
る。
【0102】
時刻T211乃至時刻T214は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮
像データとの間に差分が有る場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および読み
出しを行う期間に相当する。なお、時刻T211乃至時刻T212において画素10に照
射する光の照度が、時刻T202乃至時刻T203において画素10に照射する光の照度
より高い。
【0103】
時刻T211乃至時刻T214における動作は、時刻T111乃至時刻T114における
動作と同様である。時刻T211乃至時刻T212において画素10に照射する光の照度
は、時刻T202乃至時刻T203において画素10に照射する光の照度より高い。この
ため、時刻T212におけるノードFDの電位は時刻T202におけるノードFDの電位
VRよりも低い。したがって、時刻T213乃至時刻T214において配線55(VOU
T)から出力される信号の電位は、ノードFDの電位がVRである場合に配線55(VO
UT)から出力される信号の電位より低い。
【0104】
時刻T311乃至時刻T314は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮
像データとの間に差分が有る場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および読み
出しを行う期間に相当する。なお、時刻T311乃至時刻T312において画素10に照
射する光の照度が、時刻T302乃至時刻T303において画素10に照射する光の照度
より低い。
【0105】
時刻T311乃至時刻T314における動作は、時刻T211乃至時刻T214における
動作と同様である。時刻T311乃至時刻T312において画素10に照射する光の照度
は、時刻T302乃至時刻T303において画素10に照射する光の照度より低い。この
ため、時刻T312におけるノードFDの電位は時刻T302におけるノードFDの電位
VRよりも高い。したがって、時刻T313乃至時刻T314において配線55(VOU
T)から出力される信号の電位は、ノードFDの電位がVRである場合に配線55(VO
UT)から出力される信号の電位より高い。
【0106】
以上が差分検出モードにおける動作である。なお、図5に示すタイミングチャートでは基
準フレームの撮像データは外部機器に出力していないが、基準フレームの撮像データを、
通常撮像モードと同様に外部機器に出力してもよい。この場合、時刻T103、時刻T2
03または時刻T303における動作が終了した後、図4に示す時刻T04および時刻T
05と同様の動作を行う。
【0107】
本発明の一態様の撮像装置の構成を示すブロック図を図6に示す。撮像装置は、画素10
、回路12、回路13、回路14および回路15を有する。画素10はマトリクス状に配
置されて画素アレイ11を構成する。
【0108】
なお、図6では回路15は画素アレイ11の列ごとに設けられているが、これに限られな
い。例えば本発明の一態様の撮像装置1個あたり、回路15を1個だけ設けてもよい。
【0109】
画素10は、回路12、回路13、回路14と電気的に接続されている。また、画素10
は、配線55(VOUT)を介して回路13および回路15と電気的に接続されている。
【0110】
回路12は、画素アレイ11の行を選択する、行ドライバとしての機能を有する。回路1
3は、画素アレイ11の列を選択する、列ドライバとしての機能を有する。回路14は、
A/D変換回路としての機能を有する。
【0111】
回路12および回路13には、様々な回路、例えば、デコーダやシフトレジスタ等が用い
られる。
【0112】
回路15は、差分検出モードにおいて、基準フレームの撮像データと差分検出用フレーム
の撮像データとの間に差分が有るか否かを判定する機能を有する。これは、差分検出モー
ドにおいて配線55(VOUT)から出力される信号の電位を、図1に示す画素10が有
するノードFDの電位が配線52(VR)の電位VRである場合に配線55(VOUT)
から出力される信号の電位と比較することにより行うことができる。
【0113】
なお、画素10が有するノードFDの電位が配線52(VR)の電位VRである場合に配
線55(VOUT)から出力される信号の電位を、基準電位と呼ぶことがある。
【0114】
差分検出モードにおいて配線55(VOUT)から出力される信号の電位と、基準電位と
が異なる場合は、回路15において基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮
像データとの間に差分が有ると判定することができる。一方、差分検出モードにおいて配
線55(VOUT)から出力される信号の電位と、基準電位とが等しい場合は、差分が無
いと判定することができる。
【0115】
また、回路15は、差分判定を行った後、判定信号16を生成する機能を有する。判定信
号16は、例えば1ビットの出力とすることができ、差分判定の結果を本発明の一態様の
撮像装置が有する回路および外部機器に伝達する機能を有する。
【0116】
基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に差分が有ると判定
された場合は判定信号16をアクティブとし、差分が無いと判定された場合は判定信号1
6を非アクティブとすることができる。
【0117】
ここで、判定信号16をアクティブにするとは、例えば判定信号16の電位をHレベルと
することをいう。逆に判定信号16を非アクティブにするとは、例えば判定信号16の電
位をLレベルとすることをいう。判定信号16の論理は、逆でもよい。
【0118】
なお、差分検出モードでは、回路14を非アクティブとすることができる。また、通常撮
像モードでは、回路15を非アクティブとすることができる。以上により、消費電力を低
減することができる。
【0119】
回路15の構成および、画素10と回路15との接続関係を説明する回路図を図7に示す
。回路15は、コンパレータ17aと、コンパレータ17bと、OR回路18と、バッフ
ァ19と、トランジスタ35と、を有する。
【0120】
なお、図7ではトランジスタ35はn-ch型としているが、場合によっては、または、
状況に応じて、p-ch型としてもよい。また、トランジスタ35は、スイッチング特性
を有していればトランジスタでなくても構わない。
【0121】
図7に示す回路15において、コンパレータ17aの反転入力端子およびコンパレータ1
7bの非反転入力端子は、配線55(VOUT)と電気的に接続されている。また、コン
パレータ17aの出力端子およびコンパレータ17bの出力端子は、OR回路18の入力
端子と電気的に接続されている。また、OR回路18の出力端子は、バッファ19の入力
端子と電気的に接続されている。また、バッファ19の出力端子は、トランジスタ35の
ソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。
【0122】
また、コンパレータ17aの非反転入力端子は、配線56(Vref+)と電気的に接続
されている。また、コンパレータ17bの反転入力端子は、配線57(Vref-)と電
気的に接続されている。また、トランジスタ35のソースまたはドレインの他方は、配線
58(EOUT)と電気的に接続されている。また、トランジスタ35のゲートは、配線
65(SW1)と電気的に接続されている。
【0123】
なお、図示しないが、配線65(SW1)は図6に示す回路13と電気的に接続されてい
る。
【0124】
配線56(Vref+)には電位Vref+を、配線57(Vref-)には電位Vre
f-をそれぞれ印加する。なお、電位Vref+は基準電位より低く、電位Vref-は
基準電位より高い。
【0125】
差分検出モードにおいて、差分検出用フレームの撮像データの取得後に配線55(VOU
T)から出力された信号の電位VOUTが、コンパレータ17aの反転入力端子およびコ
ンパレータ17bの非反転入力端子に印加される。コンパレータ17aは、電位VOUT
が電位Vref+より低い場合はHレベルの電位の信号を出力し、電位VOUTが電位V
ref+より高い場合はLレベルの電位の信号を出力する。また、コンパレータ17bは
、電位VOUTが電位Vref-より高い場合はHレベルの電位の信号を出力し、電位V
OUTが電位Vref-より低い場合はLレベルの電位の信号を出力する。
【0126】
そして、OR回路18は、コンパレータ17aとコンパレータ17bの少なくとも一方が
Hレベルの電位の信号を出力した場合にHレベルの電位の信号を出力し、コンパレータ1
7aとコンパレータ17bの両方がLレベルの電位の信号を出力した場合にLレベルの電
位の信号を出力する。つまり、OR回路18は判定信号16を出力する機能を有する。
【0127】
回路15は、電位VOUT<電位Vref+または電位VOUT>電位Vref-である
場合はHレベル電位の判定信号16を出力する。つまり、基準フレームの撮像データと、
差分検出用フレームの撮像データとの間に差分が有ると判定する。また、回路15は、電
位Vref+<電位VOUT<電位Vref-である場合はLレベル電位の判定信号16
を出力する。つまり、基準フレームの撮像データと、差分検出用フレームの撮像データと
の間に差分が無いと判定する。
【0128】
なお、電位Vref+および電位Vref-は、光電変換素子20aおよび光電変換素子
20bの特性バラつきなどに起因して発生するオフセット電圧を考慮して設定することが
好ましい。
【0129】
OR回路18から出力された判定信号16は、誤検出を防ぐためにバッファ19により論
理値を補正する。そして、判定信号16を外部に出力する場合は、配線65(SW1)の
電位をHレベル(トランジスタ35がp-ch型の場合はLレベル)とすることによりト
ランジスタ35をオンとする。以上により、配線58(EOUT)を通して判定信号16
を回路15の外部に出力することができる。
【0130】
なお、回路15はバッファ19を有さない構成とすることもできる。また、回路15はO
R回路18を有さない構成とすることもできる。
【0131】
また、配線55(VOUT)、配線56(Vref+)および配線57(Vref-)を
電気的に接続するコンパレータ17aおよびコンパレータ17bの入力端子は、適宜変更
することができる。さらに、OR回路18は適宜、NOR回路、AND回路、NAND回
路などの論理回路を用いることができる。以上により、例えば基準フレームの撮像データ
と、差分検出用フレームの撮像データとの間で差分が有ると判定された場合は判定信号1
6の電位をLレベルとし、差分が無いと判定された場合は判定信号16の電位をHレベル
とすることができる。
【0132】
次に、本発明の一態様の撮像装置の動作について、図8に示すフローチャートを用いて説
明する。
【0133】
まず、図2または図4に示すように通常撮像モードにより撮像を行う(S1)。該モード
では、すべての画素10で撮像データを取得する。取得した撮像データは、回路14で順
次デジタルデータに変換後、外部機器へ出力する。
【0134】
次に、差分検出モードに切り替えるか否かの判定を行う(S2)。あらかじめ設定した切
り替え条件を満たしていない場合、S1およびS2を再度行う。なお、切り替え条件とし
て、例えば指定した時間が経過、あるいは差分検出モードに切り替える信号の入力などが
挙げられる。
【0135】
切り替え条件を満たしている場合、図3または図5に示すように差分検出モードにより基
準フレームの撮像データの取得を行う(S3)。その後、差分検出用フレームの撮像デー
タを取得し、差分検出用フレームの撮像データを回路15へ出力する(S4)。
【0136】
次に、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に差分が有る
か否かを回路15により判定する(S5)。判定は、判定信号16がアクティブか非アク
ティブかで行うことができる。判定信号16がアクティブである場合は差分が有ると判定
され、非アクティブである場合は差分が無いと判定される。
【0137】
差分が無い場合はS3乃至S5が繰り返し実行される。一方、差分が有る場合は、通常撮
像モードに切り替わり、S1と同様に撮像を行う。以上が本発明の一態様である撮像装置
の動作である。
【0138】
なお、S5により基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に
差分が無いと判定された場合、図9に示すように、通常撮像モードへ切り替えるか否かの
判定を行ってもよい(S6)。あらかじめ設定した切り替え条件を満たしている場合、通
常撮像モードに切り替わり、S1と同様に撮像を行う。また、切り替え条件を満たしてい
ない場合、図8に示す場合と同様にS3乃至S5が繰り返し実行される。切り替え条件と
して、例えば指定した時間が経過、あるいは通常撮像モードへ切り替える制御信号の入力
などが挙げられる。
【0139】
本発明の一態様の撮像装置において、差分検出モードではA/D変換などの膨大な電力を
消費する処理を行わなくてよく、判定信号16を生成するなど、最低限の処理を行うだけ
でよい。このため、差分検出モードを有さず、全フレーム分の撮像データを外部機器に出
力する場合と比べて消費電力を低減することができる。
【0140】
なお、図1図6および図7に示す構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
【0141】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0142】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像装置が有する画素10の変形例について図面を
用いて説明する。
【0143】
本発明の一態様の撮像装置が有する画素10は、図1に示す構成だけでなく、図10に示
す構成とすることもできる。図10に示す画素10は、光電変換素子20と、トランジス
タ36aと、トランジスタ36bと、トランジスタ37aと、トランジスタ37bと、ト
ランジスタ32と、トランジスタ33と、トランジスタ34と、容量素子41と、を有す
る。なお、図10において、トランジスタ36a、トランジスタ36b、トランジスタ3
7a、トランジスタ37bおよびトランジスタ32乃至トランジスタ34はすべてn-c
h型トランジスタとする。
【0144】
図10に示す画素10において、光電変換素子20のカソードは、トランジスタ36aの
ソースまたはドレインの一方およびトランジスタ37aのソースまたはドレインの一方と
電気的に接続されている。また、光電変換素子20のアノードは、トランジスタ36bの
ソースまたはドレインの一方およびトランジスタ37bのソースまたはドレインの一方と
電気的に接続されている。また、トランジスタ36aのソースまたはドレインの他方は、
トランジスタ37bのソースまたはドレインの他方、トランジスタ32のソースまたはド
レインの一方、トランジスタ33のゲートおよび容量素子41の一方の端子と電気的に接
続されている。また、トランジスタ33のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ
34のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。
【0145】
また、トランジスタ36bのソースまたはドレインの他方およびトランジスタ37aのソ
ースまたはドレインの他方は、配線51(VPD)と電気的に接続されている。また、ト
ランジスタ32のソースまたはドレインの他方は、配線52(VR)と電気的に接続され
ている。また、容量素子41の他方の端子は、配線53(VSS)と電気的に接続されて
いる。また、トランジスタ34のソースまたはドレインの他方は、配線54(VPI)と
電気的に接続されている。また、トランジスタ33のソースまたはドレインの他方は、配
線55(VOUT)と電気的に接続されている。
【0146】
また、トランジスタ36aのゲートは、配線66a(TX1a)と電気的に接続されてい
る。また、トランジスタ36bのゲートは、配線66b(TX1b)と電気的に接続され
ている。また、トランジスタ37aのゲートは、配線67a(TX2a)と電気的に接続
されている。また、トランジスタ37bのゲートは、配線67b(TX2b)と電気的に
接続されている。また、トランジスタ32のゲートは、配線62(RES)と電気的に接
続されている。また、トランジスタ34のゲートは、配線64(SEL)と電気的に接続
されている。
【0147】
ここで、配線51(VPD)、配線52(VR)、配線53(VSS)および配線54(
VPI)は、電源線として機能させることができる。また、配線66a(TX1a)、配
線66b(TX1b)、配線67a(TX2a)、配線67b(TX2b)、配線62(
RES)および配線64(SEL)は、信号線として機能させることができる。
【0148】
上記構成において、トランジスタ36aのソースまたはドレインの他方、トランジスタ3
7bのソースまたはドレインの他方、トランジスタ32のソースまたはドレインの一方、
トランジスタ33のゲートおよび容量素子41の一方の端子が接続されるノードをFDと
する。
【0149】
図10に示す構成の画素10において、光電変換素子20は受光素子であり、画素10に
照射した光の照度に応じた電流を生成する機能を有する。トランジスタ36a、トランジ
スタ36b、トランジスタ37aおよびトランジスタ37bは、光電変換素子20からノ
ードFDへの電荷の蓄積またはノードFDから光電変換素子20への電荷の放出を制御す
る機能を有する。なお、トランジスタ32乃至トランジスタ34が有する機能は、図1
示す構成の画素10と同様である。
【0150】
また、配線55(VOUT)を介して、画素10により取得された撮像データを信号とし
て出力することができる。
【0151】
画素10を図10に示す構成とすることにより、図1に示す構成より1画素あたりの光電
変換素子の数を減らすことができる。これにより、1画素あたりの占有面積を小さくする
ことができる。したがって、撮像装置の高精細化を図ることができる。
【0152】
図11乃至図14は、図10に示す画素10の動作を示すタイミングチャートである。該
タイミングチャートは、配線51(VPD)、配線66a(TX1a)、配線66b(T
X1b)、配線67a(TX2a)、配線67b(TX2b)、配線62(RES)、配
線64(SEL)およびノードFDの電位を示す。
【0153】
なお、図11および図12に示すタイミングチャートに基づいて画素10が動作する場合
、配線52(VR)および配線54(VPI)の電位をHレベル、配線53(VSS)の
電位をLレベルとする。
【0154】
図11は、通常撮像モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである。ま
た、図12は、差分検出モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである
【0155】
図11および図12に示すタイミングチャートにおいて、各時刻における配線62(RE
S)、配線64(SEL)およびノードFDの電位は、それぞれ図2および図3に示す場
合と同様である。また、各時刻における配線66a(TX1a)および配線66b(TX
1b)の電位は、図2および図3に示す配線61a(TXa)の電位と同様である。さら
に、各時刻における配線67a(TX2a)および配線67b(TX2b)の電位は、図
2および図3に示す配線61b(TXb)の電位と同様である。
【0156】
図11に示すように通常撮像モードで動作する場合は、配線51(VPD)の電位はLレ
ベルとする。図12に示すように差分検出モードで動作する場合は、時刻T111、時刻
T211および時刻T311の直前の時刻T110、時刻T210および時刻T310に
おいて、配線51(VPD)の電位をHレベルとする。また、時刻T201および時刻T
301の直前の時刻T200および時刻T300において、配線51(VPD)の電位を
Lレベルとする。つまり、図12に示す差分検出モードの動作において、配線51(VP
D)の電位は、基準フレームの撮像データの取得の際はLレベルとなり、差分検出用フレ
ームの撮像データの取得の際はHレベルとなる。
【0157】
図10に示す画素10は、配線53(VSS)および配線54(VPI)の電位をHレベ
ル、配線52(VR)の電位をLレベルとして動作させることもできる。この場合におけ
図10に示す画素10の動作を図13および図14に示す。
【0158】
図13は、通常撮像モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである。ま
た、図14は、差分検出モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである
【0159】
図13および図14に示すタイミングチャートにおいて、各時刻における配線62(RE
S)、配線64(SEL)およびノードFDの電位は、図4および図5に示す場合と同様
である。また、各時刻における配線66a(TX1a)および配線66b(TX1b)の
電位は、図4および図5に示す配線61a(TXa)の電位と同様である。さらに、各時
刻における配線67a(TX2a)および配線67b(TX2b)の電位は、図4および
図5に示す配線61b(TXb)の電位と同様である。
【0160】
図13に示すように通常撮像モードで動作する場合は、配線51(VPD)の電位はHレ
ベルとする。図14に示すように差分検出モードで動作する場合は、時刻T111、時刻
T211および時刻T311の直前の時刻T110、時刻T210および時刻T310に
おいて、配線51(VPD)の電位をLレベルとする。また、時刻T201および時刻T
301の直前の時刻T200および時刻T300において、配線51(VPD)の電位を
Hレベルとする。つまり、図14に示すように差分検出モードで動作する場合、配線51
(VPD)の電位は、基準フレームの撮像データの取得の際はHレベルとなり、差分検出
用フレームの撮像データの取得の際はLレベルとなる。以上が図10に示す構成の画素1
0の動作である。
【0161】
なお、図11乃至図14に示すように、配線66a(TX1a)と配線66b(TX1b
)には同じレベルの電位を印加する。例えば、配線66a(TX1a)にHレベルの電位
を印加する場合は配線66b(TX1b)にもHレベルの電位を印加し、配線66a(T
X1a)にLレベルの電位を印加する場合は配線66b(TX1b)にもLレベルの電位
を印加する。同様に、配線67a(TX2a)と配線67b(TX2b)にも同じレベル
の電位を印加する。以上より、図10に示す構成の画素10は、図15に示すように配線
66a(TX1a)と配線66b(TX1b)を同じ配線とすることができる。また、配
線67a(TX2a)と配線67b(TX2b)も同じ配線とすることができる。このよ
うな構成とすることにより、本発明の一態様の撮像装置が有する配線の数を減らすことが
できる。したがって、撮像装置の小型化を実現することができる。
【0162】
また、画素10は図16(A)に示す構成とすることもできる。図16(A)に示す画素
10は、光電変換素子20aと、光電変換素子20bと、トランジスタ31と、トランジ
スタ32と、トランジスタ33と、トランジスタ34と、容量素子41と、を有する。な
お、図16(A)において、トランジスタ31乃至トランジスタ34はすべてn-ch型
トランジスタとする。
【0163】
図16(A)に示す画素10において、光電変換素子20aのアノードは、光電変換素子
20bのアノードと電気的に接続されている。また、光電変換素子20aのカソードは、
トランジスタ31のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、トラ
ンジスタ31のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ32のソースまたはドレイ
ンの一方、トランジスタ33のゲートおよび容量素子41の一方の端子と電気的に接続さ
れている。また、トランジスタ33のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ34
のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。
【0164】
また、光電変換素子20bのカソードは、配線51(VPD)と電気的に接続されている
。また、トランジスタ32のソースまたはドレインの他方は、配線52(VR)と電気的
に接続されている。また、容量素子41の他方の端子は、配線53(VSS)と電気的に
接続されている。また、トランジスタ34のソースまたはドレインの他方は、配線54(
VPI)と電気的に接続されている。また、トランジスタ33のソースまたはドレインの
他方は、配線55(VOUT)と電気的に接続されている。
【0165】
また、トランジスタ31のゲートは、配線61(TX)と電気的に接続されている。また
、トランジスタ32のゲートは、配線62(RES)と電気的に接続されている。また、
トランジスタ34のゲートは、配線64(SEL)と電気的に接続されている。
【0166】
ここで、配線51(VPD)、配線52(VR)、配線53(VSS)および配線54(
VPI)は、電源線として機能させることができる。また、配線61(TX)、配線62
(RES)および配線64(SEL)は、信号線として機能させることができる。
【0167】
上記構成において、トランジスタ31のソースまたはドレインの他方、トランジスタ32
のソースまたはドレインの一方、トランジスタ33のゲートおよび容量素子41の一方の
端子が接続されるノードをFDとする。
【0168】
図16(A)に示す構成の画素10において、トランジスタ31は、光電変換素子20a
および光電変換素子20bからのノードFDへの電荷の蓄積またはノードFDから光電変
換素子20aおよび光電変換素子20bへの電荷の放出を制御する機能を有する。なお、
光電変換素子20a、光電変換素子20bおよびトランジスタ32乃至トランジスタ34
が有する機能は、図1に示す構成の画素10と同様である。
【0169】
また、配線55(VOUT)を介して、画素10により取得された撮像データを信号とし
て出力することができる。
【0170】
なお、画素10は図16(B)に示す構成とすることもできる。該構成は、光電変換素子
20aのカソードが光電変換素子20bのカソードと電気的に接続され、光電変換素子2
0aのアノードがトランジスタ31のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
光電変換素子20bのアノードが配線51(VPD)と電気的に接続されている点が図1
6(A)に示す構成と異なる。
【0171】
画素10を図16(A)、(B)に示す構成とすることにより、1画素あたりのトランジ
スタの数を減らすことができる。これにより、1画素あたりの占有面積を小さくすること
ができる。したがって、撮像装置の高精細化を図ることができる。
【0172】
図17乃至図20は、図16(A)、(B)に示す画素10の動作を示すタイミングチャ
ートである。該タイミングチャートは、配線51(VPD)、配線61(TX)、配線6
2(RES)、配線64(SEL)およびノードFDの電位を示す。
【0173】
なお、図17および図18に示すタイミングチャートに基づいて画素10が動作する場合
、配線52(VR)および配線54(VPI)の電位をHレベル、配線53(VSS)の
電位をLレベルとする。
【0174】
図17は、通常撮像モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである。ま
た、図18は、差分検出モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである
【0175】
図17および図18に示すタイミングチャートにおいて、各時刻における配線62(RE
S)、配線64(SEL)およびノードFDの電位は、図2および図3に示すタイミング
チャートと同様である。
【0176】
また、図17に示すように通常撮像モードで動作する場合は、各時刻における配線61(
TX)の電位は、図2に示す配線61a(TXa)の電位と同様である。なお、配線51
(VPD)の電位はLレベルとする。
【0177】
図18に示すように差分検出モードで動作する場合は、図3に示すタイミングチャートに
おいて配線61a(TXa)および配線61b(TXb)の少なくとも一方の電位がHレ
ベルである時刻に、配線61(TX)の電位をHレベルとする。図3に示すタイミングチ
ャートでは、配線61a(TXa)の電位は、時刻T101乃至時刻T103、時刻T2
01乃至時刻T203および時刻T301乃至時刻T303においてHレベルであり、配
線61b(TXb)の電位は、時刻T111乃至時刻T112、時刻T211乃至時刻T
212および時刻T311乃至時刻T312においてHレベルである。したがって、時刻
T101乃至時刻T103、時刻T111乃至時刻T112、時刻T201乃至時刻T2
03、時刻T211乃至時刻T212、時刻T301乃至時刻T303および時刻T31
1乃至時刻T312において、配線61(TX)の電位をHレベルとする。なお、以上挙
げた時刻以外では配線61(TX)の電位はLレベルとする。
【0178】
また、図18に示すように差分検出モードで動作する場合は、時刻T111、時刻T21
1および時刻T311の直前の時刻T110、時刻T210および時刻T310において
、配線51(VPD)の電位をHレベルとする。また、時刻T201および時刻T301
の直前の時刻T200および時刻T300において、配線51(VPD)の電位をLレベ
ルとする。つまり、図18に示すように差分検出モードで動作する場合において、配線5
1(VPD)の電位は、基準フレームの撮像データの取得の際はLレベルとなり、差分検
出用フレームの撮像データの取得の際はHレベルとなる。
【0179】
図16(A)、(B)に示す画素10は、配線53(VSS)および配線54(VPI)
の電位をHレベル、配線52(VR)の電位をLレベルとして動作させることもできる。
この場合における図16(A)、(B)に示す画素10の動作を図19および図20に示
す。
【0180】
図19は、通常撮像モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである。ま
た、図20は、差分検出モードにおける画素10の動作を示すタイミングチャートである
【0181】
図19および図20に示すタイミングチャートにおいて、各時刻におけるノードFDの電
位は、図4および図5に示すタイミングチャートと同様である。また、各時刻における配
線61(TX)、配線62(RES)および配線64(SEL)の電位は、それぞれ図1
7および図18に示すタイミングチャートと同様である。
【0182】
なお、図19に示すように通常撮像モードで動作する場合は、配線51(VPD)の電位
はHレベルとする。図20に示すように差分検出モードで動作する場合は、時刻T111
、時刻T211および時刻T311の直前の時刻T110、時刻T210および時刻T3
10において、配線51(VPD)の電位をLレベルとする。また、時刻T201および
時刻T301の直前の時刻T200および時刻T300において、配線51(VPD)の
電位をHレベルとする。つまり、図20に示すように差分検出モードで動作する場合にお
いて、配線51(VPD)の電位は、基準フレームの撮像データの取得の際はHレベルと
なり、差分検出用フレームの撮像データの取得の際はLレベルとなる。以上が図16(A
)、(B)に示す構成の画素10の動作である。
【0183】
図21は、図1に示すトランジスタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32
乃至トランジスタ34をすべてp-ch型とした構成である。必要に応じて電位の大小関
係を逆にすることなどにより、通常撮像モードにおける動作は図2または図4を、差分検
出モードにおける動作は図3または図5をそれぞれ参照することができる。なお、トラン
ジスタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32乃至トランジスタ34のうち
、一部のトランジスタをp-ch型に置き換えてもよい。または、CMOS構成にしても
よい。
【0184】
また、図10および図15に示すトランジスタ36a、トランジスタ36b、トランジス
タ37aおよびトランジスタ37bのすべてまたは一部をp-ch型としてもよい。また
は、CMOS構成にしてもよい。必要に応じて電位の大小関係を逆にすることなどにより
、通常撮像モードにおける動作は図11または図13を、差分検出モードにおける動作は
図12または図14をそれぞれ参照することができる。
【0185】
さらに、図16(A)、(B)に示すトランジスタ31をp-ch型としてもよい。また
は、CMOS構成にしてもよい。必要に応じて電位の大小関係を逆にすることなどにより
、通常撮像モードにおける動作は図17または図19を、差分検出モードにおける動作は
図18または図20をそれぞれ参照することができる。
【0186】
また、図1ではトランジスタ34はトランジスタ33と配線54(VPI)の間に配置さ
れているが、図22に示すようにトランジスタ33をトランジスタ34と配線54(VP
I)の間に配置する構成としてもよい。
【0187】
また、本発明の一態様の撮像装置が有する画素10は、図23(A)、(B)に示す構成
であってもよい。
【0188】
図23(A)は、図1に示す画素10からトランジスタ32が除かれた構成である。この
場合、配線51a(VPDa)はHレベルとLレベルに変動できる構成とする。ノードF
Dのリセット動作は、トランジスタ31aをオンとした状態で配線51a(VPDa)を
Hレベルとすることで行うことができる。配線51a(VPDa)の電位をHレベルとす
ることにより、光電変換素子20aには順方向バイアスがかかる。したがって、ノードF
DをHレベル電位にリセットすることができる。
【0189】
なお、ノードFDをLレベル電位にリセットする場合、配線51b(VPDb)をHレベ
ルとLレベルに変動できる構成とすればよい。トランジスタ31bをオンとした状態で配
線51b(VPDb)をLレベルとすることでノードFDのリセット動作を行うことがで
きる。配線51b(VPDb)の電位をLレベルとすることにより、光電変換素子20b
には順方向バイアスがかかる。したがって、ノードFDをLレベル電位にリセットするこ
とができる。
【0190】
また、光を検出する動作を行う場合は、トランジスタ31aをオンとする場合は配線51
a(VPDa)をLレベルとし、トランジスタ31bをオンとする場合は配線51b(V
PDb)をHレベルとする。これにより、光電変換素子20aおよび光電変換素子20b
に逆方向バイアスがかかるため、光の照度に応じた撮像データを取得することができる。
【0191】
図23(B)は、図1に示す画素10から容量素子41を省略した構成である。この場合
、トランジスタ33のゲート容量と、ノードFDに電気的に接続された配線が有する寄生
容量等により、ノードFDに電荷を蓄積する。
【0192】
図23(A)または図23(B)に示す構成とすることで、本発明の一態様の撮像装置に
ついて、1画素あたりの占有面積を小さくすることができる。これにより、撮像装置の高
精細化を図ることができる。
【0193】
なお、図23において、配線の一部を図示していない。
【0194】
また、図1では、同じ電位を与える配線であっても異なる配線として図示したが、同じ配
線としてもよい。例えば、図24に示す画素10のように、Hレベル電位を印加する配線
51b(VPDb)、配線52(VR)および配線54(VPI)を同じ配線としてもよ
い。また、図25に示す画素10のように、Lレベル電位を印加する配線51a(VPD
a)および配線53(VSS)を同じ配線としてもよい。
【0195】
画素10を図24および/または図25に示す構成とすることにより、本発明の一態様の
撮像装置が有する配線の数を減らすことができる。したがって、撮像装置の小型化を実現
することができる。
【0196】
また、図1に示す構成の画素10において、トランジスタ31a、トランジスタ31bお
よびトランジスタ32乃至トランジスタ34を、活性層または活性領域を酸化物半導体で
形成したトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ)としてもよい。
【0197】
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導
通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断
りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしき
い値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の
電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトラン
ジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低
いときのドレイン電流をいう場合がある。
【0198】
トランジスタのオフ電流は、電圧Vgsに依存する場合がある。したがって、トランジス
タのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となる電圧Vgs
の値が存在することをいう場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定の電圧Vgsに
おけるオフ状態、所定の範囲内の電圧Vgsにおけるオフ状態、または、十分に低減され
たオフ電流が得られる電圧Vgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合があ
る。
【0199】
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、電圧Vgsが0.5Vにおけるドレ
イン電流が1×10-9Aであり、電圧Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×1
-13Aであり、電圧Vgsが-0.5Vにおけるドレイン電流が1×10-19Aで
あり、電圧Vgsが-0.8Vにおけるドレイン電流が1×10-22Aであるようなn
チャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、電圧Vgsが
-0.5Vにおいて、または、電圧Vgsが-0.5V乃至-0.8Vの範囲において、
1×10-19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10-19A以下
である、という場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10-22A以下と
なる電圧Vgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10-22A以下で
ある、という場合がある。
【0200】
本明細書では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを
流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れ
る電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単
位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
【0201】
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は
、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電
流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証
される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例え
ば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トラン
ジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当
該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジ
スタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の
温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となる電圧Vgsの値が存在すること
を指す場合がある。
【0202】
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。
本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、電圧Vdsが0.1V、0.8V
、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、ま
たは20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半
導体装置等の信頼性が保証される電圧Vds、または、当該トランジスタが含まれる半導
体装置等において使用される電圧Vdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジ
スタのオフ電流がI以下である、とは、電圧Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2
V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トラ
ンジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される電圧Vds、または、当該トラン
ジスタが含まれる半導体装置等において使用される電圧Vdsにおけるトランジスタのオ
フ電流がI以下となる電圧Vgsの値が存在することを指す場合がある。
【0203】
本明細書では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。
【0204】
本明細書において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソー
スとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
【0205】
OSトランジスタを画素10に用いると、撮像のダイナミックレンジを拡大することがで
きる。図1に示す回路構成の画素10を、図2または図3に示す手順で動作させる場合、
画素10に照射される光の照度が高いときにノードFDの電位が低くなる。また、図4
たは図5に示す手順で動作させる場合、画素10に照射される光の照度が低いときにノー
ドFDの電位が低くなる。OSトランジスタは極めてオフ電流が低いため、ノードFDの
電位(トランジスタ33のゲート電位)が極めて小さい場合においても当該ゲート電位に
応じた電流を正確に出力することができる。したがって、検出することのできる照度のレ
ンジ、すなわちダイナミックレンジを広げることができる。
【0206】
また、トランジスタの低いオフ電流特性によってノードFDで電荷を保持できる期間を極
めて長くすることができる。このため、回路構成や動作方法を複雑にすることなく、全画
素で同時に撮像データを取得するグローバルシャッタ方式を適用することができる。
【0207】
一般的に、画素がマトリクス状に配置された撮像装置では、図26(A)に示す、行毎に
撮像動作71、データ保持動作72、読み出し動作73を行う駆動方法であるローリング
シャッタ方式が用いられる。ローリングシャッタ方式を用いる場合には、撮像の同時性が
失われるため、被写体が移動した場合には、画像に歪が生じてしまう。したがって、図2
6(B)に示す、全行で同時に撮像動作71を行い、行毎に順次読み出し動作73を行う
ことができるグローバルシャッタ方式を用いることが好ましい。グローバルシャッタ方式
を用いることで、撮像装置の各画素における撮像の同時性を確保することができ、被写体
が移動する場合であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる。
【0208】
また、OSトランジスタは、活性層または活性領域をシリコンで形成したトランジスタ(
以下、Siトランジスタと呼ぶ)よりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて
広い温度範囲で使用することができる。したがって、OSトランジスタを有する撮像装置
および半導体装置は、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載にも適している。
【0209】
また、ノードFDと接続するトランジスタはノイズが少ないことが求められる。後述する
二層または三層の酸化物半導体層を有するトランジスタはチャネルが埋め込み型であり、
極めてノイズに強い特性を有する。したがって、当該トランジスタを用いることでノイズ
の少ない画像を得ることができる。
【0210】
特に、トランジスタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32乃至トランジス
タ34をOSトランジスタとすることで、画素をシリコンで形成した光電変換素子と、O
Sトランジスタと、で構成することができる。このような構成とすることで、画素にSi
トランジスタを形成する必要が無いため、光電変換素子の有効面積を増大することが容易
になる。したがって、光感度を向上することができる。
【0211】
また、画素10だけでなく、回路12乃至回路15などの周辺回路をOSトランジスタで
形成してもよい。周辺回路をOSトランジスタのみで形成する構成は、Siトランジスタ
の形成工程が不要となるため、撮像装置の低価格化に有効である。また、周辺回路をOS
トランジスタとp-ch型Siトランジスタのみで形成する構成は、n-ch型Siトラ
ンジスタの形成工程が不要となるため、撮像装置の低価格化に有効である。さらに、周辺
回路をCMOS回路とすることができるので、周辺回路の低消費電力化、すなわち、撮像
装置の低消費電力化に有効である。
【0212】
また、トランジスタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32をOSトランジ
スタとし、トランジスタ33およびトランジスタ34をSiトランジスタとする構成とし
てもよい。
【0213】
Siトランジスタは、OSトランジスタに比べて優れた電界効果移動度を有するといった
特性を有する。そのため、増幅トランジスタや選択トランジスタとして機能するトランジ
スタに流れる電流値を増やすことができる。例えば、図1に示すノードFDに蓄積された
電荷に応じて、トランジスタ33およびトランジスタ34に流れる電流値を増やすことが
できる。
【0214】
また、図10および図15に示すトランジスタ36a、トランジスタ36b、トランジス
タ37aおよびトランジスタ37bや、図16(A)、(B)に示すトランジスタ31を
OSトランジスタとしてもよい。
【0215】
また、図1に示す画素10に用いるトランジスタは、図27(A)または図27(B)に
示すように、トランジスタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32にバック
ゲートを設けた構成であってもよい。図27(A)はバックゲートに定電位を印加する構
成であり、しきい値電圧を制御することができる。また、図27(B)はフロントゲート
と同じ電位がバックゲートに印加される構成であり、オン電流を増加させることができる
。なお、図27(C)または図27(D)に示すように、トランジスタ31a、トランジ
スタ31bおよびトランジスタ32乃至トランジスタ34にバックゲートを設ける構成で
あってもよい。
【0216】
また、図27(E)に示すように、一つの画素に含まれるトランジスタに対し、フロント
ゲートと同じ電位がバックゲートに印加される構成、バックゲートに定電位を印加する構
成を必要に応じて組み合わせた構成であってもよい。さらにバックゲートを設けない構成
を必要に応じて任意に組み合わせた構成としてもよい。なお、バックゲートに定電位を印
加する構成においては、例えば、図27(F)に示すように、全てのバックゲートに同じ
電位を印加する構成とすることができる。
【0217】
なお、図27において、配線の一部を図示していない。
【0218】
また、図10および図15に示すトランジスタ36a、トランジスタ36b、トランジス
タ37aおよびトランジスタ37bや、図16(A)、(B)に示すトランジスタ31に
バックゲートを設けてもよい。該バックゲートには、各トランジスタのフロントゲートと
同じ電位を印加してもよいし、定電位を印加してもよい。
【0219】
OSトランジスタはSiトランジスタよりもオン電流が低いので、OSトランジスタには
バックゲートを設けることが特に好ましい。例えば、トランジスタ31a、トランジスタ
31bおよびトランジスタ32乃至トランジスタ34にOSトランジスタが用いられてい
る場合、トランジスタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32乃至トランジ
スタ34にバックゲートを設けることが好ましい。また、例えばトランジスタ31a、ト
ランジスタ31bおよびトランジスタ32にOSトランジスタが用いられている場合、ト
ランジスタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32にバックゲートを設ける
ことが好ましい。
【0220】
なお、図1図10図15図16(A)、(B)、図21乃至図25および図27
示す構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
【0221】
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態
において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定さ
れない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載され
ているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様と
して、トランジスタのチャネル形成領域、ソースドレイン領域などが、酸化物半導体を有
する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、ま
たは、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャ
ネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、様々な半導体を有し
ていてもよい。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々な
トランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイ
ン領域などは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン
、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、または、
有機半導体などの少なくとも一つを有していてもよい。または例えば、場合によっては、
または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチ
ャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、酸化物半導体を有
していなくてもよい。
【0222】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0223】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像装置における、差分検出以外の用途について図
面を用いて説明する。
【0224】
本発明の一態様の撮像装置は、画素の光感度を調整する目的で使用することもできる。本
発明の一態様の撮像装置が有する画素の光感度が高い場合、高照度下での撮像において、
撮像時の電荷蓄積量の限界によりダイナミックレンジが狭くなる場合がある。そこで、高
照度下での撮像では画素の光感度を低下させることにより、ダイナミックレンジを広げる
ことができる。
【0225】
また、上記の方法では高照度下での撮像においても長時間露光で撮像することができる。
【0226】
本実施の形態において、画素として図1に示す構成の画素10を用いることができる。光
電変換素子20aと光電変換素子20bうち、一方の光電変換素子は、他方の光電変換素
子より光感度の低いものを用いる。例えば、一方の光電変換素子は、他方の光電変換素子
より受光面積を小さくする。または、例えば一方の光電変換素子が有する光電変換層とし
て、他方の光電変換素子が有する光電変換層より量子効率が低い材料を用いる。
【0227】
本実施の形態における画素10の動作について、図28(A)、(B)に示すタイミング
チャートを用いて詳細な説明を行う。該タイミングチャートは、配線61a(TXa)、
配線61b(TXb)、配線62(RES)、配線64(SEL)およびノードFDの電
位を示す。
【0228】
なお、図28(A)に示すタイミングチャートに基づいて画素10が動作する場合、光電
変換素子20bは、光電変換素子20aより光感度の低いものを用いる。また、配線51
b(VPDb)、配線52(VR)および配線54(VPI)の電位をHレベル、配線5
1a(VPDa)および配線53(VSS)の電位をLレベルとする。
【0229】
図28(A)では、時刻T01乃至時刻T05において1フレーム目の撮像データの取得
を行い、時刻T11乃至時刻T15において2フレーム目の撮像データの取得を行う。な
お、2フレーム目の撮像データの取得の際は、1フレーム目の撮像データの取得の際より
画素10の光感度を低下させる。
【0230】
まず、1フレーム目の撮像データの取得および読み出しについて説明する。時刻T01に
おいて、配線61a(TXa)および配線62(RES)の電位をHレベルとすることに
より、トランジスタ31aおよびトランジスタ32をオンとする。また、配線61b(T
Xb)および配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジスタ31b
およびトランジスタ34をオフとする。これにより、ノードFDの電位は配線52(VR
)の電位VRに設定される。
【0231】
時刻T02において、配線62(RES)の電位をLレベルとすることにより、トランジ
スタ32をオフとする。これにより、ノードFDの電位が低下し始める。ノードFDの電
位は、画素10に照射する光の照度が高いほど大きく低下する。
【0232】
時刻T03において、配線61a(TXa)の電位をLレベルとすることにより、トラン
ジスタ31aをオフとする。これにより、ノードFDの電位が保持される。以上の動作に
より1フレーム目の撮像データを取得する。
【0233】
時刻T04において、配線64(SEL)の電位をHレベルとすることにより、トランジ
スタ34をオンとする。これにより、ノードFDの電位に応じて配線55(VOUT)か
ら信号が出力される。なお、該信号は時刻T01乃至時刻T03において取得した撮像デ
ータに対応する。なお、ノードFDの電位が低いほど、配線55(VOUT)から出力さ
れる信号の電位は低くなる。すなわち、画素10に照射する光の照度が高いほど、配線5
5(VOUT)から出力される信号の電位は低くなる。
【0234】
時刻T05において、配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジス
タ34をオフとする。以上の動作により1フレーム目の撮像データが読み出され、外部機
器に出力される。
【0235】
次に、2フレーム目の撮像データの取得および読み出しについて説明する。時刻T11に
おいて、配線61a(TXa)および配線62(RES)の電位の他、配線61b(TX
b)の電位もHレベルとすることにより、トランジスタ31a、トランジスタ32および
トランジスタ31bをオンとする。この際、ノードFDの電位は配線52(VR)の電位
VRに設定される。
【0236】
時刻T12において、配線62(RES)の電位をLレベルとすることにより、トランジ
スタ32をオフとする。これにより、ノードFDの電位が低下し始める。
【0237】
時刻T13において、配線61a(TXa)および配線61b(TXb)の電位をLレベ
ルとすることにより、トランジスタ31aおよびトランジスタ31bをオフとする。これ
により、ノードFDの電位が保持される。以上の動作により2フレーム目の撮像データを
取得する。
【0238】
ここで、時刻T12乃至時刻T13において、トランジスタ31bがオン状態となってい
る。したがって、光電変換素子20aによるノードFDの電位低下が、光電変換素子20
bにより軽減される。つまり、時刻T02乃至時刻T03の間隔と、時刻T12乃至時刻
T13の間隔がいずれもTで等しく、さらに画素10に照射する光の照度も等しい場合、
時刻T13におけるノードFDの電位は、時刻T03におけるノードFDの電位より高く
なる。したがって、画素10のダイナミックレンジを広げることができる。
【0239】
時刻T14において、配線64(SEL)の電位をHレベルとすることにより、トランジ
スタ34をオンとする。これにより、ノードFDの電位に応じて配線55(VOUT)か
ら信号が出力される。なお、該信号は時刻T11乃至時刻T13において取得した撮像デ
ータに対応する。
【0240】
時刻T15において、配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジス
タ34をオフとする。以上の動作により2フレーム目の撮像データが読み出される。なお
、ノードFDの電位が高いほど、配線55(VOUT)から出力される信号の電位は高く
なる。したがって、時刻T14乃至時刻T15において配線55(VOUT)から出力さ
れる信号の電位は、時刻T04乃至時刻T05において配線55(VOUT)から出力さ
れる信号の電位より高くなる。
【0241】
なお、本明細書において、1フレーム目の撮像データの取得のように、光感度が高い方の
光電変換素子のみを用いて撮像を行うモードを通常感度モードと呼ぶ場合がある。また、
2フレーム目の撮像データの取得のように、両方の光電変換素子を用いて撮像を行うモー
ドを低感度モードと呼ぶ場合がある。
【0242】
なお、光感度が低い方の光電変換素子である光電変換素子20bのみを用いて撮像を行う
こともできる。この場合、配線52(VR)の電位をLレベル、配線53(VSS)の電
位をHレベルとする。
【0243】
本実施の形態において、図1に示す画素10は、光電変換素子20bの光感度が光電変換
素子20aの光感度より高い場合であっても動作することができる。この場合の画素10
の動作を図28(B)に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0244】
なお、図28(B)に示すタイミングチャートにより画素10を動作させる場合、配線5
1b(VPDb)、配線53(VSS)および配線54(VPI)の電位をHレベル、配
線51a(VPDa)および配線52(VR)の電位をLレベルとする。
【0245】
図28(B)では、時刻T01乃至時刻T05において1フレーム目の撮像データの取得
を行い、時刻T11乃至時刻T15において2フレーム目の撮像データの取得を行う。な
お、2フレーム目の撮像データの取得では、1フレーム目の撮像データの取得より画素1
0の光感度を低下させる。
【0246】
まず、1フレーム目の撮像データの取得および読み出しについて説明する。時刻T01に
おいて、配線61b(TXb)および配線62(RES)の電位をHレベルとすることに
より、トランジスタ31bおよびトランジスタ32をオンとする。また、配線61a(T
Xa)および配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジスタ31a
およびトランジスタ34をオフとする。これにより、ノードFDの電位は配線52(VR
)の電位VRに設定される。
【0247】
時刻T02において、配線62(RES)の電位をLレベルとすることにより、トランジ
スタ32をオフとする。これにより、ノードFDの電位が上昇し始める。ノードFDの電
位は、画素10に照射する光の照度が高いほど大きく上昇する。
【0248】
時刻T03において、配線61b(TXb)の電位をLレベルとすることにより、トラン
ジスタ31bをオフとする。これにより、ノードFDの電位が保持される。以上の動作に
より1フレーム目の撮像データを取得する。
【0249】
時刻T04において、配線64(SEL)の電位をHレベルとすることにより、トランジ
スタ34をオンとする。これにより、ノードFDの電位に応じて配線55(VOUT)か
ら信号が出力される。なお、該信号は時刻T01乃至時刻T03において取得した撮像デ
ータに対応する。なお、ノードFDの電位が高いほど、配線55(VOUT)から出力さ
れる信号の電位は高くなる。すなわち、画素10に照射する光の照度が高いほど、配線5
5(VOUT)から出力される信号の電位は高くなる。
【0250】
時刻T05において、配線64(SEL)の電位をLレベルとすることによりトランジス
タ34をオフとする。以上の動作により1フレーム目の撮像データが読み出され、外部機
器に出力される。
【0251】
次に、2フレーム目の撮像データの取得および読み出しについて説明する。時刻T11乃
至時刻T15における配線61(TXa)、配線61b(TXb)、配線62(RES)
および配線64(SEL)の電位は、図28(A)に示すタイミングチャートの時刻T1
1乃至時刻T15と同様である。
【0252】
図28(B)に示す時刻T12乃至時刻T13において、トランジスタ31aがオン状態
となっている。したがって、光電変換素子20bによるノードFDの電位上昇が、光電変
換素子20aにより軽減される。つまり、時刻T02乃至時刻T03の間隔と、時刻T1
2乃至時刻T13の間隔がいずれもTで等しく、さらに画素10に照射する光の照度も等
しい場合、時刻T13におけるノードFDの電位は、時刻T03におけるノードFDの電
位より低くなる。したがって、画素10のダイナミックレンジを広げることができる。
【0253】
なお、ノードFDの電位が低いほど、配線55(VOUT)から出力される信号の電位は
低くなるので、時刻T14乃至時刻T15において配線55(VOUT)から出力される
信号の電位は、時刻T04乃至時刻T05において配線55(VOUT)から出力される
信号の電位より低くなる。
【0254】
なお、光感度が低い方の光電変換素子である光電変換素子20aのみを用いて撮像を行う
こともできる。この場合、配線52(VR)の電位をHレベル、配線53(VSS)の電
位をLレベルとする。
【0255】
なお、本実施の形態において、画素10が図28(B)に示すタイミングチャートに基づ
いて動作する場合、図29(A)に示すように、配線61a(TXa)と、トランジスタ
31aのソースまたはドレインの他方と、を電気的に接続することができる。このような
構成とすることにより、ノードFDの電位が低い場合はトランジスタ31aをオフとし、
ノードFDの電位が高い場合はトランジスタ31aをオンとすることができる。つまり、
画素10に照射される光の照度が低い場合はトランジスタ31aがオフとなり、通常感度
モードにより動作する。一方、画素10に照射される光の照度が高い場合はトランジスタ
31aがオンとなり、低感度モードにより動作する。以上により、配線61a(TXa)
の電位を手動で制御しなくとも、画素10に照射される光の照度に応じて自動的に画素1
0の光感度を調整することができる。
【0256】
また、画素10が図29(A)に示す構成の場合、ダイオード接続されたトランジスタ3
1aのしきい値電圧を調整することにより、通常感度モードと、低感度モードとの境界と
なる光の照度を調整することができる。例えば、トランジスタ31aのしきい値電圧を高
くした場合、通常感度モードと、低感度モードとが切り替わる光の照度が高くなる。
【0257】
図29(B)は、図29(A)に示す構成の画素10の変形例である。図29(B)は、
トランジスタ38を有する点で図29(A)と異なる。トランジスタ38のソースまたは
ドレインの一方は、配線61a(TXa)と電気的に接続されている。また、トランジス
タ38のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ31aのソースまたはドレインの
他方と電気的に接続されている。また、トランジスタ38のゲートは、配線68(SW2
)と電気的に接続されている。
【0258】
トランジスタ38は、OSトランジスタとすることが好ましいが、Siトランジスタとし
てもよい。また、トランジスタ38にはバックゲートを設けることが好ましいが、バック
ゲートを設けなくてもよい。
【0259】
なお、図29(B)において、トランジスタ38はn-ch型としているが、p-ch型
としてもよい。
【0260】
トランジスタ38をオンとした場合、画素10が図29(A)に示す構成である場合と同
様に、配線61a(TXa)の電位を画素10に照射される光の照度に応じて制御するこ
とができる。つまり、画素10に照射される光の照度に応じて自動的に画素10の光感度
を調整することができる。一方、トランジスタ38をオフとした場合、画素10が図1
示す構成である場合と同様に、配線61a(TXa)の電位を手動で制御できる。この場
合、通常感度モードと、低感度モードとを自由に切り替えることができる。
【0261】
以上より、画素10を図29(B)に示す構成とすることにより、配線61a(TXa)
の電位を自動的に制御するか、手動で制御するかを選択することができる。
【0262】
なお、画素10が図28(A)に示すタイミングチャートに基づいて動作する場合は、ト
ランジスタ31bがp-ch型であれば、配線61b(TXb)と、トランジスタ31b
のソースまたはドレインの他方とを電気的に接続することができる。このような構成とす
ることにより、配線61b(TXb)の電位を手動で制御しなくとも、画素10に照射さ
れる光の照度に応じて自動的に画素10の光感度を調整することができる。また、ダイオ
ード接続されたトランジスタ31bのしきい値電圧を調整することにより、通常感度モー
ドと、低感度モードとの境界となる光の照度を調整することができる。
【0263】
また、トランジスタ31bがp-ch型の場合、図1に示す画素10について、トランジ
スタ38を設け、トランジスタ38のソースまたはドレインの一方を配線61bと電気的
に接続し、トランジスタ38のソースまたはドレインの他方をトランジスタ31bのソー
スまたはドレインの他方と電気的に接続した構成とすることもできる。このような構成と
することにより、配線61b(TXb)の電位を自動的に制御するか、手動で制御するか
を選択することができる。
【0264】
なお、図29(A)、(B)に示す構成は、図1図10図15図16(A)、(B
)、図21乃至図25および図27に示す構成とそれぞれ任意に組み合わせることができ
る。
【0265】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0266】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像装置の具体的な構成例について、図面を用いて
説明する。
【0267】
図30(A)は、本発明の一態様の撮像装置の断面図の一例であり、図1に示す画素10
における光電変換素子20a、光電変換素子20b、トランジスタ31aおよびトランジ
スタ31bの具体的な接続形態の一例を示している。なお、図30(A)にはトランジス
タ32乃至トランジスタ34は図示されていない。当該撮像装置は、トランジスタ31a
、トランジスタ31bおよびトランジスタ32乃至トランジスタ34が設けられる層11
00と、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bと、が設けられる層1200を有
する。
【0268】
なお、本実施の形態で説明する断面図において、各配線、各電極および各導電体91を個
別の要素として図示しているが、それらが電気的に接続している場合においては、同一の
要素として設けられる場合もある。また、トランジスタのゲート、ソース、またはドレイ
ンが導電体91を介して各配線と接続される形態は一例であり、トランジスタのゲート、
ソース、またはドレインのそれぞれが配線としての機能を有する場合もある。
【0269】
また、各要素上には保護膜、層間絶縁層または平坦化膜としての機能を有する絶縁層92
および絶縁層93等が設けられる。例えば、絶縁層92および絶縁層93等は、酸化シリ
コン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル
樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。絶縁層92および絶縁層9
3等の上面は、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Pol
ishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
【0270】
なお、図面に示される配線等の一部が設けられない場合や、図面に示されない配線等やト
ランジスタ等が各層に含まれる場合もある。また、図面に示されない層が当該積層構造に
含まれる場合もある。また、図面に示される層の一部が含まれない場合もある。
【0271】
なお、図30(A)において、各トランジスタはバックゲートを有する形態を例示してい
るが、図30(B)に示すように、バックゲートを有さない形態であってもよい。当該バ
ックゲートは、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接続する場
合がある。または、当該バックゲートにフロントゲートとは異なる固定電位が供給される
場合がある。なお、当該バックゲートの有無に関する形態は、本実施の形態で説明する他
の撮像装置の形態にも適用することができる。
【0272】
層1200に設けられる光電変換素子20aおよび光電変換素子20bは、様々な形態の
素子を用いることができる。図30(A)では、セレン系材料を光電変換層21に用いた
形態を図示している。セレン系材料を用いた光電変換素子20aおよび光電変換素子20
bは、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバラ
ンシェ現象により入射される光量に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサとすること
ができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層21を薄くしやすい
利点を有する。
【0273】
セレン系材料としては、非晶質セレンまたは結晶セレンを用いることができる。結晶セレ
ンは、一例として、非晶質セレンを成膜後、熱処理することで得ることができる。なお、
結晶セレンの結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低
減させることができる。また、結晶セレンは、非晶質セレンよりも可視光に対する分光感
度や光吸収係数が高い特性を有する。
【0274】
また、光電変換層21は、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)を含む層であって
もよい。または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)を含む層であ
ってもよい。CISおよびCIGSでは、セレンの単層と同様にアバランシェ現象が利用
できる光電変換素子を形成することができる。
【0275】
セレン系材料を用いた光電変換素子20aおよび光電変換素子20bは、例えば、金属材
料などで形成された電極26と透光性導電層22との間に光電変換層21を有する構成と
することができる。また、CISおよびCIGSはp型半導体であり、接合を形成するた
めにn型半導体の硫化カドミウムや硫化亜鉛等を接して設けてもよい。
【0276】
アバランシェ現象を発生させるためには、光電変換素子に比較的高い電圧(例えば、10
V以上)を印加することが好ましい。OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレ
イン耐圧の高い特性を有するため、光電変換素子に比較的高い電圧を印加することが容易
である。したがって、ドレイン耐圧の高いOSトランジスタと、セレン系材料を光電変換
層とした光電変換素子とを組み合わせることで、高感度、かつ信頼性の高い撮像装置とす
ることができる。
【0277】
なお、図30(A)では、透光性導電層22と、配線94との間に配線95および導電体
91を介する構成を図示しているが、図30(C)に示すように透光性導電層22と配線
94が直接接する形態としてもよい。
【0278】
また、電極26および配線94等は多層としてもよい。例えば、図31(A)に示すよう
に、電極26を導電層26aおよび導電層26bの二層とし、配線94を導電層94aお
よび導電層94bの二層とすることができる。図31(A)の構成においては、例えば、
導電層26aおよび導電層94aを低抵抗の金属等を選択して形成し、導電層26bを光
電変換層21とコンタクト特性の良い金属等を選択して形成するとよい。このような構成
とすることで、光電変換素子の電気特性を向上させることができる。また、一部の金属は
透光性導電層22と接触することにより電蝕を起こすことがある。そのような金属を導電
層94aに用いた場合でも導電層94bを介することによって電蝕を防止することができ
る。
【0279】
導電層26aおよび導電層94aには、例えば、アルミニウム、チタン、またはアルミニ
ウムをチタンで挟むような積層を用いることができる。また、導電層26bおよび導電層
94bには、例えば、モリブデンやタングステンなどを用いることができる。
【0280】
また、絶縁層92等が多層である構成であってもよい。例えば、図31(B)に示すよう
に、絶縁層92が絶縁層92aおよび絶縁層92bを有し、かつ絶縁層92aと絶縁層9
2bとのエッチングレート等が異なる場合は、導電体91は段差を有するようになる。層
間絶縁層や平坦化膜に用いられるその他の絶縁層が多層である場合も同様に導電体91は
段差を有するようになる。なお、ここでは絶縁層92が2層である例を示したが、絶縁層
92およびその他の絶縁層は3層以上の構成であってもよい。
【0281】
また、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bには、非晶質シリコン膜や微結晶シ
リコン膜などを用いたpin型ダイオード素子などを用いてもよい。
【0282】
例えば、図32は光電変換素子20aおよび光電変換素子20bにpin型の薄膜フォト
ダイオードを用いた例である。当該フォトダイオードは、p型の半導体層25、i型の半
導体層24、およびn型の半導体層23が順に積層された構成を有している。i型の半導
体層24には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、n型の半導体層23および
p型の半導体層25には、それぞれの導電型を付与するドーパントを含む非晶質シリコン
または微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶質シリコンを光電変換層とするフ
ォトダイオードは可視光の波長領域における感度が高く、微弱な可視光を検知しやすい。
【0283】
図32に示す光電変換素子20aおよび光電変換素子20bでは、p型の半導体層25と
電極26が電気的に接続されている。また、n型の半導体層23は、導電体91および配
線95を介して配線94と電気的に接続されている。
【0284】
また、pin型の薄膜フォトダイオードの形態を有する光電変換素子20aおよび光電変
換素子20bの構成、ならびに光電変換素子20aおよび光電変換素子20bと、配線と
の接続形態は、図33(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す例であっ
てもよい。なお、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bの構成、ならびに光電変
換素子20aおよび光電変換素子20bと、配線との接続形態はこれらに限定されず、他
の形態であってもよい。
【0285】
図33(A)は、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bのn型の半導体層23と
接する透光性導電層22を設けた構成である。透光性導電層22は電極として作用し、光
電変換素子20aおよび光電変換素子20bの出力電流を高めることができる。
【0286】
透光性導電層22には、例えば、インジウム錫酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化
物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含
む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン
等を用いることができる。また、透光性導電層22は単層に限らず、異なる膜の積層であ
ってもよい。
【0287】
図33(B)は、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bのn型の半導体層23と
配線95が直接接続された構成である。
【0288】
図33(C)は、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bのn型の半導体層23と
接する透光性導電層22が設けられ、配線95と透光性導電層22が電気的に接続されて
いる構成である。
【0289】
図33(D)は、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bを覆う絶縁層にn型の半
導体層23が露出する開口部が設けられ、当該開口部を覆う透光性導電層22と配線95
が電気的に接続されている構成である。
【0290】
図33(E)は、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bを貫通する導電体91が
設けられた構成である。当該構成では、配線94は導電体91を介してn型の半導体層2
3と電気的に接続されている。なお、図面上では、配線94と電極26とは、p型の半導
体層25を介して見かけ上導通してしまう形態を示している。しかしながら、p型の半導
体層25の横方向の電気抵抗が高いため、配線94と電極26との間に適切な間隔を設け
れば、両者間は極めて高抵抗となる。したがって、光電変換素子20aおよび光電変換素
子20bは、アノードとカソードが短絡することなく、ダイオード特性を有する。なお、
n型の半導体層23と電気的に接続されている導電体91は複数であってもよい。
【0291】
図33(F)は、図33(E)の光電変換素子20aおよび光電変換素子20bに対して
、n型の半導体層23と接する透光性導電層22を設けた構成である。
【0292】
なお、図33(D)、図33(E)、および図33(F)に示す光電変換素子20aおよ
び光電変換素子20bでは、受光領域と配線等が重ならないため、広い受光面積を確保で
きる利点を有する。
【0293】
また、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bには、図34に示すように、シリコ
ン基板100を光電変換層としたフォトダイオードを用いることもできる。
【0294】
上述したセレン系材料や非晶質シリコンなどを用いて形成した光電変換素子20aおよび
光電変換素子20bは、成膜工程、リソグラフィ工程、エッチング工程などの一般的な半
導体作製工程を用いて作製するこができる。したがって、本発明の一態様の撮像装置は、
歩留りが高く、低コストで作製することができる。一方で、シリコン基板100を光電変
換層としたフォトダイオードを形成する場合は、研磨工程や貼り合わせ工程などの難度の
高い工程が必要となる。
【0295】
また、本発明の一態様の撮像装置は、回路が形成されたシリコン基板106を含んだ多層
構造としてもよい。例えば、図35(A)に示すようにシリコン基板106に活性領域を
有するトランジスタ101およびトランジスタ102を有する層1400が画素回路と重
なる構成とすることができる。なお、図35(B)はトランジスタのチャネル幅方向の断
面図に相当する。
【0296】
シリコン基板106に形成された回路は、画素回路が出力する信号を読み出す機能や当該
信号を変換する処理などを行う機能を有することができ、例えば、図35(C)に示す回
路図のようなCMOSインバータを含む構成とすることができる。トランジスタ101(
n-ch型)のゲートとトランジスタ102(p-ch型)のゲートは互いに電気的に接
続されている。また、一方のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、他方のトラ
ンジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、両方のトラン
ジスタのソースまたはドレインの他方はそれぞれ別の配線に電気的に接続されている。
【0297】
また、図34に示すシリコン基板100および図35(A)に示すシリコン基板106は
バルクのシリコン基板に限らず、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、
ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体
を材料とする基板を用いることもできる。
【0298】
ここで、図34および図35(A)に示すように、酸化物半導体を有するトランジスタが
形成される領域と、Siデバイス(SiトランジスタまたはSiフォトダイオード)が形
成される領域との間には絶縁層96が設けられる。
【0299】
トランジスタ101およびトランジスタ102の活性領域近傍に設けられる絶縁層中の水
素はシリコンのダングリングボンドを終端する。したがって、当該水素はトランジスタ1
01およびトランジスタ102の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ3
1a等の活性層である酸化物半導体層の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導
体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、当該水素はトランジスタ31
a等の信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、Siトランジスタを有す
る一方の層と、OSトランジスタを有する他方の層を積層する場合、これらの間に水素の
拡散を防止する機能を有する絶縁層96を設けることが好ましい。絶縁層96により、一
方の層に水素を閉じ込めることでトランジスタ101およびトランジスタ102の信頼性
が向上することができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されること
でOSトランジスタであるトランジスタ31a等の信頼性も向上させることができる。
【0300】
絶縁層96としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム
、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化
窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ:Yttria-Stabili
zed Zirconia)等を用いることができる。
【0301】
なお、図35(A)に示すような構成では、シリコン基板106に形成される回路(例え
ば、駆動回路)と、トランジスタ31a等と、光電変換素子20a等とを重なるように形
成することができるため、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解
像度を高めることができる。例えば、画素数が4K2K、8K4Kまたは16K8Kなど
の撮像装置に用いることが適する。なお、8K4Kの撮像装置は約3千3百万個の画素を
有するため、33Mと呼ぶこともできる。また、例えば画素10が有するトランジスタ3
3およびトランジスタ34をSiトランジスタで形成し、トランジスタ31a、トランジ
スタ31b、トランジスタ32、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bと、トラ
ンジスタ33およびトランジスタ34と、が重なる領域を有する構成とすることもできる
。この場合、トランジスタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32はOSト
ランジスタで形成する。
【0302】
また、図35(A)に示す撮像装置は、シリコン基板106には光電変換素子20aおよ
び光電変換素子20bを設けない構成である。したがって、各種トランジスタや配線など
の影響を受けずに光電変換素子20aおよび光電変換素子20bに対する光路を確保する
ことができ、高開口率の画素を形成することができる。
【0303】
なお、図35(A)、(B)において、Siトランジスタはフィン型の構成を例示してい
るが、図36(A)に示すようにプレーナー型であってもよい。または、図36(B)に
示すように、シリコン薄膜の活性層105を有するトランジスタであってもよい。また、
活性層105は、多結晶シリコンやSOI(Silicon on Insulator
)の単結晶シリコンとすることができる。
【0304】
また、本発明の一態様の撮像装置は、図37に示す構成とすることができる。
【0305】
図37に示す撮像装置は、図35(A)に示す撮像装置の変形例であり、OSトランジス
タおよびSiトランジスタでCMOSインバータを構成する例を図示している。
【0306】
ここで、層1400に設けるSiトランジスタであるトランジスタ102はp-ch型と
し、層1100に設けるOSトランジスタであるトランジスタ101はn-ch型とする
。p-ch型トランジスタのみをシリコン基板106に設けることで、ウェル形成やn型
不純物層形成などの工程を省くことができる。
【0307】
なお、図37に示す撮像装置は、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bにセレン
等を用いた例を示したが、図32と同様にpin型の薄膜フォトダイオードを用いた構成
としてもよい。
【0308】
図37に示す撮像装置において、トランジスタ101は、層1100に形成するトランジ
スタ31a、トランジスタ31bおよびトランジスタ32と同一の工程で作製することが
できる。したがって、撮像装置の製造工程を簡略化することができる。
【0309】
また、本発明の一態様の撮像装置は、図38に示すように、シリコン基板100に形成さ
れたフォトダイオードおよびその上に形成されたOSトランジスタで構成された画素を有
する構成と、回路が形成されたシリコン基板106とを貼り合わせた構成としてもよい。
このような構成とすることで、シリコン基板100に形成するフォトダイオードの実効的
な面積を向上することが容易になる。また、シリコン基板106に形成する回路を微細化
したSiトランジスタで高集積化することで高性能な半導体装置を提供することができる
【0310】
図39(A)は、撮像装置にカラーフィルタ等を付加した形態の一例の断面図である。当
該断面図は、3画素分の画素回路を有する領域の一部を示している。光電変換素子20a
および光電変換素子20bが形成される層1200上には、絶縁層2500が形成される
。絶縁層2500は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜などを用いることができ
る。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層する構成としてもよい。また
、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層する構成としてもよい。
【0311】
絶縁層2500上には、遮光層2510が形成されてもよい。遮光層2510は、上部の
カラーフィルタを通る光の混色を防止する機能を有する。遮光層2510には、アルミニ
ウム、タングステンなどの金属層や当該金属層と反射防止膜としての機能を有する誘電体
膜を積層する構成とすることができる。
【0312】
絶縁層2500および遮光層2510上には平坦化膜として樹脂層2520を設ける構成
とすることができる。また、画素別にカラーフィルタ2530(カラーフィルタ2530
a、カラーフィルタ2530b、カラーフィルタ2530c)が形成される。例えば、カ
ラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530cに
、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を
割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
【0313】
カラーフィルタ2530上には、透光性を有する絶縁層2560などを設けることができ
る。
【0314】
また、図39(B)に示すように、カラーフィルタ2530の代わりに光学変換層255
0を用いてもよい。このような構成とすることで、様々な波長領域における画像が得られ
る撮像装置とすることができる。
【0315】
例えば、光学変換層2550に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば赤外線
撮像装置とすることができる。また、光学変換層2550に近赤外線の波長以下の光を遮
るフィルタを用いれば遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層2550
に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば紫外線撮像装置とすることができる
【0316】
また、光学変換層2550にシンチレータを用いれば、X線撮像装置などに用いる、放射
線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等
の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンスと呼ばれる現象により可
視光線や紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換素子20a
および光電変換素子20bで検知することにより撮像データを取得する。また、放射線検
出器などに当該構成の撮像装置を用いてもよい。
【0317】
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収し
て可視光や紫外光を発する物質、または当該物質を含む材料からなる。例えば、Gd
S:Tb、GdS:Pr、GdS:Eu、BaFCl:Eu、NaI、C
sI、CaF、BaF、CeF、LiF、LiI、ZnOなどの材料や、それらを
樹脂やセラミクスに分散させたものが知られている。
【0318】
なお、セレン系材料を用いた光電変換素子20aおよび光電変換素子20bにおいては、
X線等の放射線を電荷に直接変換することができるため、シンチレータを不要とする構成
とすることもできる。
【0319】
図39(C)に示すように、カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよ
びカラーフィルタ2530c上には、マイクロレンズアレイ2540を設けてもよい。マ
イクロレンズアレイ2540が有する個々のレンズを通る光が直下のカラーフィルタを通
り、光電変換素子20aおよび光電変換素子20bに照射されるようになる。なお、図3
9(A)、(B)、(C)に示す層1200以外の領域を層1600とする。
【0320】
なお、図39において、光電変換素子20bは図示していない。
【0321】
図39(C)に示す撮像装置の具体的な構成は、図30(A)に示す撮像装置を例にする
と、図40に示すようになる。また、図34に示す撮像装置を例にすると、図41に示す
ようになる。
【0322】
また、本発明の一態様の撮像装置は、図42および図43に示すように回折格子1500
と組み合わせてもよい。回折格子1500を介した被写体の像(回折画像)を画素に取り
込み、画素における撮像画像から演算処理により入力画像(被写体の像)を構成すること
ができる。また、レンズの替わりに回折格子1500を用いることで撮像装置のコストを
下げることができる。
【0323】
回折格子1500は、透光性を有する材料で形成することができる。例えば、酸化シリコ
ン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹
脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。または、上記無機絶縁膜と有
機絶縁膜との積層であってもよい。
【0324】
また、回折格子1500は、感光性樹脂などを用いたリソグラフィ工程で形成することが
できる。また、リソグラフィ工程とエッチング工程とを用いて形成することもできる。ま
た、ナノインプリントリソグラフィやレーザスクライブなどを用いて形成することもでき
る。
【0325】
なお、回折格子1500とマイクロレンズアレイ2540との間に間隔Xを設けてもよい
。間隔Xは、1mm以下、好ましくは100μm以下とすることができる。なお、当該間
隔は空間でもよいし、透光性を有する材料を封止層または接着層として設けてもよい。例
えば、窒素や希ガスなどの不活性ガスを当該間隔に封じ込めることができる。または、ア
クリル樹脂、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂などを当該間隔に設けてもよい。または
シリコーンオイルなどの液体を設けてもよい。なお、マイクロレンズアレイ2540を設
けない場合においても、カラーフィルタ2530と回折格子1500との間に間隔Xを設
けてもよい。
【0326】
また、本発明の一態様における撮像装置は、図44(A1)および図44(B1)に示す
ように湾曲させてもよい。図44(A1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X1-X2の
方向に湾曲させた状態を示している。図44(A2)は、図44(A1)中の二点鎖線X
1-X2で示した部位の断面図である。図44(A3)は、図44(A1)中の二点鎖線
Y1-Y2で示した部位の断面図である。
【0327】
図44(B1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X3-X4の方向に湾曲させ、かつ、同
図中の二点鎖線Y3-Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図44(B2)は、図
44(B1)中の二点鎖線X3-X4で示した部位の断面図である。図44(B3)は、
図44(B1)中の二点鎖線Y3-Y4で示した部位の断面図である。
【0328】
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮
像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、
収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた半導体装置などの小型
化や軽量化を容易とすることができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事がで
きる。
【0329】
なお、図10図15図16(A)、(B)および図29(A)、(B)に示す構成の
画素10を含め、本明細書に記載したすべての構成の画素10について本実施の形態の記
載内容を適用することができる。
【0330】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0331】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体を有するトランジ
スタについて図面を用いて説明する。なお、本実施の形態における図面では、明瞭化のた
めに一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。
【0332】
図45(A)は本発明の一態様のトランジスタ401の上面図である。また、図45(A
)に示す一点鎖線B1-B2方向の断面が図45(B)に相当する。また、図45(A)
に示す一点鎖線B3-B4方向の断面が図47(A)に相当する。なお、一点鎖線B1-
B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3-B4方向をチャネル幅方向と呼称する場合が
ある。
【0333】
トランジスタ401は、基板415と、絶縁層420と、酸化物半導体層430と、導電
層440と、導電層450と、絶縁層460と、導電層470と、絶縁層475と、絶縁
層480と、を有する。
【0334】
絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430は絶縁層420と接し、導電層
440および導電層450は絶縁層420および酸化物半導体層430と接し、絶縁層4
60は絶縁層420、酸化物半導体層430、導電層440および導電層450と接し、
導電層470は絶縁層460と接し、絶縁層475は絶縁層420、導電層440、導電
層450および導電層470と接し、絶縁層480は絶縁層475と接する。
【0335】
ここで、酸化物半導体層430における、導電層440と接する領域を領域531、導電
層450と接する領域を領域532、絶縁層460と接する領域を領域533とする。
【0336】
また、導電層440および導電層450は酸化物半導体層430と電気的に接続されてい
る。
【0337】
導電層440はソースまたはドレインの一方、導電層450はソースまたはドレインの他
方、絶縁層460はゲート絶縁層、導電層470はゲートとしての機能を有する。
【0338】
また、図45(B)に示す領域531はソース領域またはドレイン領域の一方、領域53
2はソース領域またはドレイン領域の他方、領域533はチャネル形成領域としての機能
を有する。
【0339】
また、導電層440および導電層450は単層で形成される例を図示しているが、二層以
上の積層であってもよい。さらに、導電層470は、導電層471および導電層472の
二層で形成される例を図示しているが、一層または三層以上の積層であってもよい。当該
構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
【0340】
なお、必要に応じて絶縁層480に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
【0341】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図45(C)、(D)に示す構成であってもよ
い。図45(C)はトランジスタ402の上面図である。また、図45(C)に示す一点
鎖線C1-C2方向の断面が図45(D)に相当する。また、図45(C)に示す一点鎖
線C3-C4方向の断面は、図47(B)に相当する。なお、一点鎖線C1-C2方向を
チャネル長方向、一点鎖線C3-C4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0342】
トランジスタ402は、絶縁層460の端部と導電層470の端部を一致させない点が、
トランジスタ401と異なる。トランジスタ402の構造は、導電層440および導電層
450が絶縁層460で広く覆われているため、導電層440および導電層450と、導
電層470の間の電気抵抗が高く、ゲートリーク電流の少ない特徴を有している。
【0343】
トランジスタ401およびトランジスタ402は、導電層470と導電層440および導
電層450が重なる領域を有するトップゲート構造である。当該領域のチャネル長方向の
幅は、寄生容量を小さくするために3nm以上300nm未満とすることが好ましい。当
該構成では、酸化物半導体層430にオフセット領域が形成されないため、オン電流の高
いトランジスタを形成しやすい。
【0344】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図45(E)、(F)に示す構成であってもよ
い。図45(E)はトランジスタ403の上面図である。また、図45(E)に示す一点
鎖線D1-D2方向の断面が図45(F)に相当する。また、図45(E)に示す一点鎖
線D3-D4方向の断面は、図47(A)に相当する。なお、一点鎖線D1-D2方向を
チャネル長方向、一点鎖線D3-D4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0345】
トランジスタ403の絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430は絶縁層
420と接し、絶縁層460は絶縁層420および酸化物半導体層430と接し、導電層
470は絶縁層460と接し、絶縁層475は絶縁層420、酸化物半導体層430およ
び導電層470と接し、絶縁層480は絶縁層475と接し、導電層440および導電層
450は酸化物半導体層430および絶縁層480と接する。
【0346】
絶縁層475および絶縁層480に開口部が設けられ、当該開口部を通じて導電層440
および導電層450が酸化物半導体層430と電気的に接続されている。
【0347】
なお、必要に応じて導電層440、導電層450および絶縁層480に接する絶縁層(平
坦化膜)などを有していてもよい。
【0348】
また、酸化物半導体層430において、絶縁層475と接し、領域531と領域533に
挟まれた領域を領域534とする。また、絶縁層475と接し、領域532と領域533
に挟まれた領域を領域535とする。
【0349】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図46(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図46(A)はトランジスタ404の上面図である。また、図46(A)に示す一点
鎖線E1-E2方向の断面が図46(B)に相当する。また、図46(A)に示す一点鎖
線E3-E4方向の断面は、図47(A)に相当する。なお、一点鎖線E1-E2方向を
チャネル長方向、一点鎖線E3-E4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0350】
トランジスタ404の絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430は絶縁層
420と接し、導電層440および導電層450は絶縁層420および酸化物半導体層4
30と接し、絶縁層460は絶縁層420および酸化物半導体層430と接し、導電層4
70は絶縁層460と接し、絶縁層475は絶縁層420、酸化物半導体層430、導電
層440、導電層450および導電層470と接し、絶縁層480は絶縁層475と接す
る。
【0351】
トランジスタ404は、導電層440および導電層450が酸化物半導体層430の端部
を覆うように接している点が、トランジスタ403と異なる。
【0352】
トランジスタ403およびトランジスタ404は導電層470と、導電層440および導
電層450が重なる領域を有さないセルフアライン構造である。セルフアライン構造のト
ランジスタはゲートと、ソースおよびドレインと、の寄生容量が極めて小さいため、高速
動作用途に適している。
【0353】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図46(C)、(D)に示す構成であってもよ
い。図46(C)はトランジスタ405の上面図である。また、図46(C)に示す一点
鎖線F1-F2方向の断面が図46(D)に相当する。また、図46(C)に示す一点鎖
線F3-F4方向の断面は、図47(A)に相当する。なお、一点鎖線F1-F2方向を
チャネル長方向、一点鎖線F3-F4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0354】
トランジスタ405は、導電層440が導電層441と導電層442の2層で形成され、
導電層450が導電層451と導電層452の2層で形成されている。また、絶縁層42
0は基板415と接し、酸化物半導体層430は絶縁層420と接し、導電層441およ
び導電層451は酸化物半導体層430と接し、絶縁層460は絶縁層420、酸化物半
導体層430、導電層441および導電層451と接し、導電層470は絶縁層460と
接し、絶縁層475は絶縁層420、導電層441、導電層451および導電層470と
接し、絶縁層480は絶縁層475と接し、導電層442は導電層441および絶縁層4
80と接し、導電層452は導電層451および絶縁層480と接する。
【0355】
ここで、導電層441および導電層451は、酸化物半導体層430の上面と接し、側面
には接しない構成となっている。
【0356】
なお、必要に応じて導電層442、導電層452および絶縁層480に接する絶縁層など
を有していてもよい。
【0357】
また、導電層441および導電層451が酸化物半導体層430と電気的に接続されてい
る。そして、導電層442が導電層441と、導電層452が導電層451とそれぞれ電
気的に接続されている。
【0358】
酸化物半導体層430において、導電層441と重なる領域がソース領域またはドレイン
領域の一方としての機能を有する領域531となり、導電層451と重なる領域がソース
領域またはドレイン領域の他方としての機能を有する領域532となる。
【0359】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図46(E)、(F)に示す構成であってもよ
い。図46(E)はトランジスタ406の上面図である。また、図46(E)に示す一点
鎖線G1-G2方向の断面が図46(F)に相当する。また、図46(E)に示す一点鎖
線G3-G4方向の断面は、図47(A)に相当する。なお、一点鎖線G1-G2方向を
チャネル長方向、一点鎖線G3-G4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0360】
トランジスタ406は、導電層440が導電層441および導電層442の2層で形成さ
れ、導電層450が導電層451および導電層452の2層で形成されている点が、トラ
ンジスタ403と異なる。
【0361】
トランジスタ405およびトランジスタ406の構成では、導電層440および導電層4
50が絶縁層420と接しない構成であるため、絶縁層420中の酸素が導電層440お
よび導電層450に奪われにくくなり、絶縁層420から酸化物半導体層430中への酸
素の供給を容易とすることができる。
【0362】
なお、トランジスタ403、トランジスタ404およびトランジスタ406における領域
534および領域535には、酸素欠損を形成し導電率を高めるための不純物を添加して
もよい。酸化物半導体層に酸素欠損を形成する不純物としては、例えば、リン、砒素、ア
ンチモン、ホウ素、アルミニウム、シリコン、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリ
プトン、キセノン、インジウム、フッ素、塩素、チタン、亜鉛、および炭素のいずれかか
ら選択される一つ以上を用いることができる。当該不純物の添加方法としては、プラズマ
処理法、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテ
ーション法などを用いることができる。
【0363】
不純物元素として、上記元素が酸化物半導体層に添加されると、酸化物半導体層中の金属
元素および酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体層に含まれる酸
素欠損と酸化物半導体層中に残存または後から添加される水素の相互作用により、酸化物
半導体層の導電率を高くすることができる。
【0364】
なお、不純物元素の添加により酸素欠損が形成された酸化物半導体に水素を添加すると、
酸素欠損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。その結果、酸化物導
電体を形成することができる。ここでは、導電体化された酸化物半導体を酸化物導電体と
いう。なお、酸化物導電体は酸化物半導体と同様に透光性を有する。
【0365】
酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致して
いると推定される。このため、酸化物導電体層とソースおよびドレインとしての機能を有
する導電層との接触はオーミック接触であり、酸化物導電体層と、ソースおよびドレイン
としての機能を有する導電層と、の接触抵抗を低減することができる。
【0366】
また、図45乃至図47におけるトランジスタ401乃至トランジスタ406では、酸化
物半導体層430が単層である例を図示したが、酸化物半導体層430は積層であっても
よい。図48(A)は酸化物半導体層430の上面図であり、図48(B)、(C)は、
酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430bの二層構造を有する酸化物半導体
層430の断面図である。また、図48(D)、(E)は、酸化物半導体層430a、酸
化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430cの三層構造を有する酸化物半導体層
430の断面図である。
【0367】
なお、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cは、チャネル領域を形成し
ないため絶縁層と呼ぶこともできる。
【0368】
酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cには、それ
ぞれ組成の異なる酸化物半導体層などを用いることができる。
【0369】
トランジスタ401乃至トランジスタ406の酸化物半導体層430は、図48(B)、
(C)または図48(D)、(E)に示す酸化物半導体層430と入れ替えることができ
る。
【0370】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図49乃至図51に示す構成であってもよい。
図49(A)、(C)、(E)および図50(A)、(C)、(E)はトランジスタ40
7乃至トランジスタ412の上面図である。また、図49(A)、(C)、(E)および
図50(A)、(C)、(E)に示す一点鎖線H1-H2方向乃至M1-M2方向の断面
図49(B)、(D)、(F)および図50(B)、(D)、(F)に相当する。また
図49(A)、(E)および図50(A)、(C)、(E)に示す一点鎖線H3-H4
およびJ3-J4乃至M3-M4方向の断面が図51(A)に相当する。さらに、図49
(C)に示す一点鎖線I3-I4方向の断面が図51(B)に相当する。なお、一点鎖線
H1-H2方向乃至M1-M2方向をチャネル長方向、一点鎖線H3-H4方向乃至M3
-M4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0371】
トランジスタ407およびトランジスタ408は、領域531および領域532において
酸化物半導体層430が二層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b)であ
る点、領域533において酸化物半導体層430が三層(酸化物半導体層430a、酸化
物半導体層430b、酸化物半導体層430c)である点、および導電層440および導
電層450と、絶縁層460と、の間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層430c
)が介在している点を除き、トランジスタ401およびトランジスタ402と同様の構成
を有する。
【0372】
トランジスタ409、トランジスタ410およびトランジスタ412は、領域531、領
域532、領域534および領域535において酸化物半導体層430が二層(酸化物半
導体層430a、酸化物半導体層430b)である点、領域533において酸化物半導体
層430が三層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層4
30c)である点を除き、トランジスタ403、トランジスタ404およびトランジスタ
406と同様の構成を有する。
【0373】
トランジスタ411は、領域531および領域532において酸化物半導体層430が二
層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b)である点、領域533において
酸化物半導体層430が三層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化
物半導体層430c)である点、ならびに導電層441および導電層451と、絶縁層4
60と、の間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層430c)が介在している点を除
き、トランジスタ405と同様の構成を有する。
【0374】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図52(A)、(B)、(C)、(D)、(E
)、(F)および図53(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すトラン
ジスタ401乃至トランジスタ412のチャネル長方向の断面図、ならびに図47(C)
に示すトランジスタ401乃至トランジスタ406のチャネル幅方向の断面図および図5
1(C)に示すトランジスタ407乃至トランジスタ412のチャネル幅方向の断面図の
ように、酸化物半導体層430と基板415との間に導電層473を備えていてもよい。
導電層473を第2のゲート(バックゲートともいう)として用いることで、酸化物半導
体層430のチャネル形成領域は、導電層470と導電層473により電気的に取り囲ま
れる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s-
channel)構造とよぶ。これにより、オン電流を増加させることができる。また、
しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図52(A)、(B)、(C)、(D)
、(E)、(F)および図53(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す
断面図において、導電層473の幅を酸化物半導体層430よりも短くしてもよい。さら
に、導電層473の幅を導電層470の幅よりも短くしてもよい。
【0375】
オン電流を増加させるには、例えば、導電層470と導電層473を同電位とし、ダブル
ゲートトランジスタとして駆動させればよい。また、しきい値電圧の制御を行うには、導
電層470とは異なる定電位を導電層473に供給すればよい。導電層470と導電層4
73を同電位とするには、例えば、図47(D)および図51(D)に示すように、導電
層470と導電層473とをコンタクトホールを介して電気的に接続すればよい。
【0376】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図54(A)、(B)、(C)に示す構成とす
ることもできる。図54(A)は上面図である。また、図54(B)は、図54(A)に
示す一点鎖線N1-N2に対応する断面図である。また、図54(C)は、図54(A)
に示す一点鎖線N3-N4に対応する断面図である。なお、図54(A)の上面図では、
図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0377】
トランジスタ413の絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430(酸化物
半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430c)は絶縁層4
20と接し、導電層440および導電層450は酸化物半導体層430bと接し、絶縁層
460は酸化物半導体層430cと接し、導電層470は絶縁層460と接し、絶縁層4
80は絶縁層420、導電層440および導電層450と接する。なお、酸化物半導体層
430c、絶縁層460および導電層470は、絶縁層480に設けられ、酸化物半導体
層430bに達する開口部に設けられている。
【0378】
トランジスタ413の構成は、前述したその他のトランジスタの構成と比較して、導電層
440または導電層450と、導電層470と、が重なる領域が少ないため、寄生容量を
小さくすることができる。したがって、トランジスタ413は、高速動作を必要とする回
路の要素として適している。なお、トランジスタ413の上面は、図54(B)、(C)
に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)
法等を用いて平坦化することが好ましいが、平坦化しない構成とすることもできる。
【0379】
また、本発明の一態様のトランジスタにおける導電層440および導電層450は、図5
5(A)に示す上面図のように酸化物半導体層の幅(WOS)よりも導電層440および
導電層450の幅(WSD)が長く形成されていてもよいし、図55(B)に示す上面図
のように短く形成されていてもよい。特に、WOS≧WSD(WSDはWOS以下)とす
ることで、ゲート電界が酸化物半導体層430全体にかかりやすくなり、トランジスタの
電気特性を向上させることができる。また、図55(C)に示すように、導電層440お
よび導電層450が酸化物半導体層430と重なる領域のみに形成されていてもよい。
【0380】
なお、図55(A)、(B)、(C)において、酸化物半導体層430、導電層440お
よび導電層450のみ図示している。
【0381】
また、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430bを有するトランジスタ、な
らびに酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430c
を有するトランジスタにおいては、酸化物半導体層430を構成する二層または三層の材
料を適切に選択することで酸化物半導体層430bに電流を流すことができる。酸化物半
導体層430bに電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくく、高いオン電流を得
ることができる。したがって、酸化物半導体層430bを厚くすることでオン電流が向上
する場合がある。
【0382】
以上の構成のトランジスタを用いることにより、半導体装置に良好な電気特性を付与する
ことができる。
【0383】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0384】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5に示したトランジスタの構成要素について詳細を説明す
る。
【0385】
基板415の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板415の一例として
は、半導体基板(例えば単結晶基板またはシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石
英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・
ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基
板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィルムなどがある。ガラ
ス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、または
ソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの
一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET
)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例とし
ては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリ
エステル、ポリフッ化ビニル、またはポリ塩化ビニルなどからなるフィルムがある。また
は、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、
または紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、またはSOI基板などを用いて
トランジスタを製造することによって、特性、サイズ、または形状などのばらつきが少な
く、電流供給能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このよ
うなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、または回路の高集積
化を図ることができる。
【0386】
また、基板415として、トランジスタが形成されたシリコン基板、および当該シリコン
基板上に絶縁層、配線、コンタクトプラグとしての機能を有する導電体等が形成されたも
のを用いることができる。なお、シリコン基板にp-ch型のトランジスタのみを形成す
る場合は、n型の導電型を有するシリコン基板を用いることが好ましい。または、n
型またはi型のシリコン層を有するSOI基板であってもよい。また、当該シリコン基板
におけるトランジスタを形成する面の面方位は、(110)面であることが好ましい。(
110)面にp-ch型トランジスタを形成することで、移動度を高くすることができる
【0387】
また、基板415として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形成
してもよい。または、基板とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その
上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載する
ために用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板に
も転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との
無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の樹脂膜が形成された構成等を用いる
ことができる。
【0388】
つまり、ある基板を用いてトランジスタを形成し、その後、別の基板にトランジスタを転
置し、別の基板上にトランジスタを配置してもよい。トランジスタが転置される基板の一
例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロフ
ァン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基
板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若し
くは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮
革基板、またはゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、特性のよいトラ
ンジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形成、壊れにくい装置の製造、耐熱性
の付与、軽量化、または薄型化を図ることができる。
【0389】
絶縁層420は、基板415に含まれる要素からの不純物の拡散を防止する役割を有する
ほか、酸化物半導体層430に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶
縁層420は酸素を含む絶縁層であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含
む絶縁層であることがより好ましい。例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS(Therm
al Desorption Spectroscopy))にて、酸素原子に換算して
の酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm以上である膜とする。なお、上記
TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃
以上500℃以下の範囲が好ましい。また、基板415が他のデバイスが形成された基板
である場合、絶縁層420は、層間絶縁層としての機能も有する。その場合は、表面が平
坦になるようにCMP法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
【0390】
例えば、絶縁層420には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化
窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム
、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁層
、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒
化物絶縁層、またはこれらの混合材料を用いることができる。また、上記材料の積層であ
ってもよい。
【0391】
なお、本実施の形態では、トランジスタが有する酸化物半導体層430が酸化物半導体層
430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430cを絶縁層420側から
順に積んだ三層構造である場合を主として詳細を説明する。
【0392】
なお、酸化物半導体層430が単層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層43
0bに相当する層を用いればよい。
【0393】
また、酸化物半導体層430が二層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層43
0aに相当する層および酸化物半導体層430bに相当する層を絶縁層420側から順に
積んだ積層を用いればよい。この構成の場合、酸化物半導体層430aと酸化物半導体層
430bとを入れ替えることもできる。
【0394】
また、酸化物半導体層430が四層以上である場合は、例えば、本実施の形態で説明する
三層構造の酸化物半導体層430に対して他の酸化物半導体層を付加する構成とすること
ができる。
【0395】
一例としては、酸化物半導体層430bには、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導
体層430cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸
化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン
化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギーギャッ
プ)を差し引いた値として求めることができる。
【0396】
酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cは、酸化物半導体層430bを構
成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層43
0bよりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれか以上で
あって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空準位に近
い酸化物半導体で形成することが好ましい。
【0397】
このような構造において、導電層470に電界を印加すると、酸化物半導体層430のう
ち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体層430bにチャネルが形成され
る。
【0398】
また、酸化物半導体層430aは、酸化物半導体層430bを構成する金属元素を一種以
上含んで構成されるため、酸化物半導体層430bと絶縁層420が接した場合の界面と
比較して、酸化物半導体層430bと酸化物半導体層430aとの界面には界面準位が形
成されにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トランジスタのし
きい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物半導体層430aを設けることに
より、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。
また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0399】
また、酸化物半導体層430cは、酸化物半導体層430bを構成する金属元素を一種以
上含んで構成されるため、酸化物半導体層430bとゲート絶縁層(絶縁層460)が接
した場合の界面と比較して、酸化物半導体層430bと酸化物半導体層430cとの界面
ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、酸化物半導体層430cを設ける
ことにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
【0400】
酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cには、例えば、Al、Ti、Ga
、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHfを酸化物半導体層430bよりも高い原
子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以上、好
ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結合する
ため、酸素欠損が酸化物半導体層に生じることを抑制する機能を有する。すなわち、酸化
物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cは、酸化物半導体層430bよりも酸
素欠損が生じにくいということができる。
【0401】
また、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、および酸化物半導体層430
cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともInもしくはZnを含むことが
好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用
いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを
含むことが好ましい。
【0402】
スタビライザーとしては、Ga、Sn、Hf、Al、またはZr等がある。また、他のス
タビライザーとしては、ランタノイドである、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等がある。
【0403】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、I
n-Zn酸化物、Sn-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、Zn-Mg酸化物、Sn-Mg
酸化物、In-Mg酸化物、In-Ga酸化物、In-Ga-Zn酸化物、In-Al-
Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、Sn-Ga-Zn酸化物、Al-Ga-Zn酸化
物、Sn-Al-Zn酸化物、In-Hf-Zn酸化物、In-La-Zn酸化物、In
-Ce-Zn酸化物、In-Pr-Zn酸化物、In-Nd-Zn酸化物、In-Sm-
Zn酸化物、In-Eu-Zn酸化物、In-Gd-Zn酸化物、In-Tb-Zn酸化
物、In-Dy-Zn酸化物、In-Ho-Zn酸化物、In-Er-Zn酸化物、In
-Tm-Zn酸化物、In-Yb-Zn酸化物、In-Lu-Zn酸化物、In-Sn-
Ga-Zn酸化物、In-Hf-Ga-Zn酸化物、In-Al-Ga-Zn酸化物、I
n-Sn-Al-Zn酸化物、In-Sn-Hf-Zn酸化物、In-Hf-Al-Zn
酸化物を用いることができる。
【0404】
なお、ここで、例えば、In-Ga-Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として
有する酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていても
よい。また、本明細書においては、In-Ga-Zn酸化物で構成した膜をIGZO膜と
も呼ぶ。
【0405】
また、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用
いてもよい。なお、Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdから選ばれた一つの
金属元素または複数の金属元素を示す。また、InSnO(ZnO)(n>0、且
つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0406】
なお、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cが、
少なくともインジウム、亜鉛およびM(Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La
、CeまたはHf等の金属)を含むIn-M-Zn酸化物であるとき、酸化物半導体層4
30aをIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、酸化物半導体層430bをI
n:M:Zn=x:y:z[原子数比]、酸化物半導体層430cをIn:M:Z
n=x:y:z[原子数比]とすると、y/xおよびy/xがy/x
よりも大きくなることが好ましい。y/xおよびy/xはy/xよりも1.
5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このとき、酸化物半
導体層430bにおいて、yがx以上であるとトランジスタの電気特性を安定させる
ことができる。ただし、yがxの3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度
が低下してしまうため、yはxの3倍未満であることが好ましい。
【0407】
酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cにおけるZnおよびOを除いた場
合において、InおよびMの原子数比率は、好ましくはInが50atomic%未満、
Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、M
が75atomic%より高くする。また、酸化物半導体層430bのZnおよびOを除
いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%より高く、M
が75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが
66atomic%未満とする。
【0408】
また、酸化物半導体層430bは、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430
cよりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌
道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌
道が重なるため、InがMよりも多い組成となる酸化物はInがMと同等または少ない組
成となる酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層430bにイン
ジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現
することができる。
【0409】
酸化物半導体層430aの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上5
0nm以下、さらに好ましくは5nm以上25nm以下とする。また、酸化物半導体層4
30bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上150nm以下、さ
らに好ましくは10nm以上100nm以下とする。また、酸化物半導体層430cの厚
さは、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上30nm以下、さらに好ましくは
3nm以上15nm以下とする。また、酸化物半導体層430bは、酸化物半導体層43
0cより厚い方が好ましい。
【0410】
なお、酸化物半導体層をチャネルとするトランジスタに安定した電気特性を付与するため
には、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体層を真性または実質的に真
性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体層のキャリア密度
が、1×1015/cm未満であること、1×1013/cm未満であること、8×
1011/cm未満であること、あるいは1×10/cm未満であり、かつ1×1
-9/cm以上であることとする。
【0411】
また、酸化物半導体層において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属
元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密
度を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体層中で不純物準位の形成に寄与す
る。当該不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある
。したがって、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層
430cの層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
【0412】
酸化物半導体層を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondar
y Ion Mass Spectrometry)分析で見積もられるシリコン濃度が
1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満
、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満となる領域を有するように制御
する。また、水素濃度が、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×10
atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さら
に好ましくは5×1018atoms/cm以下になる領域を有するように制御する。
また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体
層のある領域において、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018
atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに
好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
【0413】
また、シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半導体層の結晶性を低下させること
がある。酸化物半導体層の結晶性を低下させないためには、例えばシリコン濃度を1×1
19atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さら
に好ましくは1×1018atoms/cm未満になる領域を有するように制御する。
また、炭素濃度を1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018ato
ms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満になる領域を
有するように制御する。
【0414】
また、上述のように高純度化された酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いたトランジ
スタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5
V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅あたりのオフ電流を数
yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
【0415】
なお、トランジスタのゲート絶縁層としては、シリコンを含む絶縁層が多く用いられるた
め、上記理由により酸化物半導体層のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジ
スタのようにゲート絶縁層と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート
絶縁層と酸化物半導体層との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱
が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなることがある。このような観点からも
、酸化物半導体層のチャネルとなる領域はゲート絶縁層から離すことが好ましいといえる
【0416】
したがって、酸化物半導体層430を酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b
、酸化物半導体層430cの積層構造とすることで、酸化物半導体層430bにチャネル
を形成することができ、高い電界効果移動度および安定した電気特性を有したトランジス
タを形成することができる。
【0417】
酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cのバンド構
造においては、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物半導体層4
30a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cの組成が近似することにより
、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物半導体層430a
、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cは組成が異なる層の積層体ではある
が、物性的に連続であるということもでき、図面において、当該積層体のそれぞれの界面
は点線で表している。
【0418】
主成分を共通として積層された酸化物半導体層430は、各層を単に積層するのではなく
連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の
井戸構造(U Shape Well))が形成されるように作製する。すなわち、各層
の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しな
いように積層構造を形成する。仮に、積層された酸化物半導体層の層間に不純物が混在し
ていると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結
合により消滅してしまう。
【0419】
例えば、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cにはIn:Ga:Zn=
1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:3:6、1:4:5、1:6:4または1:
9:6(原子数比)などのIn-Ga-Zn酸化物などを用いることができる。また、酸
化物半導体層430bにはIn:Ga:Zn=1:1:1、2:1:3、5:5:6、ま
たは3:1:2(原子数比)などのIn-Ga-Zn酸化物などを用いることができる。
なお、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、および酸化物半導体層430
cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含
む。
【0420】
なお、In、GaおよびZnの原子数比は整数でなくても構わない。
【0421】
酸化物半導体層430における酸化物半導体層430bはウェル(井戸)となり、チャネ
ルは酸化物半導体層430bに形成される。なお、酸化物半導体層430は伝導帯下端の
エネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸とも呼ぶことができる。また、この
ような構成で形成されたチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
【0422】
また、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cと、酸化シリコン膜などの
絶縁層との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。酸化物
半導体層430aおよび酸化物半導体層430cがあることにより、酸化物半導体層43
0bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
【0423】
ただし、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cの伝導帯下端のエネルギ
ーと、酸化物半導体層430bの伝導帯下端のエネルギーとの差が小さい場合、酸化物半
導体層430bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。電子
がトラップ準位に捕獲されることで、絶縁層界面にマイナスの電荷が生じ、トランジスタ
のしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
【0424】
酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430cには、
結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタ
に安定した電気特性を付与することができる。また、c軸に配向した結晶は歪曲に強く、
フレキシブル基板を用いた半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0425】
ソースまたはドレインの一方として作用する導電層440およびソースまたはドレインの
他方として作用する導電層450には、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、
W、Ni、Mn、Nd、Sc、および当該金属材料の合金から選ばれた材料の単層、また
は積層を用いることができる。代表的には、特に酸素と結合しやすいTiや、後のプロセ
ス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。ま
た、低抵抗のCuやCu-Mnなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。なお、ト
ランジスタ405、トランジスタ406、トランジスタ411およびトランジスタ412
においては、例えば、導電層441および導電層451にW、導電層442および導電層
452にTiとAlとの積層膜などを用いることができる。
【0426】
上記材料は酸化物半導体層から酸素を引き抜く性質を有する。そのため、上記材料と接し
た酸化物半導体層の一部の領域では酸化物半導体層中の酸素が脱離し、酸素欠損が形成さ
れる。膜中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域は顕著に
n型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインと
して作用させることができる。
【0427】
また、導電層440および導電層450にWを用いる場合には、窒素をドーピングしても
よい。窒素をドーピングすることで酸素を引き抜く性質を適度に弱めることができ、n型
化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。また、導電層440お
よび導電層450をn型の半導体層との積層とし、n型の半導体層と酸化物半導体層を接
触させることによってもn型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことがで
きる。n型の半導体層としては、窒素が添加されたIn-Ga-Zn酸化物、酸化亜鉛、
酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどを用いることができる。
【0428】
ゲート絶縁層として作用する絶縁層460には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸
化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、
酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、
絶縁層460は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁層460に、La、N、Zr
などを、不純物として含んでいてもよい。
【0429】
また、絶縁層460の積層構造の一例について説明する。絶縁層460は、例えば、酸素
、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化
シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
【0430】
酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比
誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁層460の膜厚を
大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オ
フ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハ
フニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したが
って、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウム
を用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる
。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
【0431】
また、酸化物半導体層430と接する絶縁層420および絶縁層460は、窒素酸化物の
放出量の少ない膜を用いることが好ましい。窒素酸化物の放出量の多い絶縁層と酸化物半
導体が接した場合、窒素酸化物に起因する準位密度が高くなることがある。当該窒素酸化
物に起因する準位密度は酸化物半導体のエネルギーギャップ内に形成されうる場合がある
。絶縁層420および絶縁層460には、例えば、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化
シリコン膜または酸化窒化アルミニウム膜等の酸化物絶縁層を用いることができる。
【0432】
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS法において、窒素酸化
物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1
×1018/cm以上5×1019/cm以下である。なお、アンモニアの放出量は
、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処
理による放出量とする。
【0433】
絶縁層420および絶縁層460として、上記酸化物絶縁層を用いることで、トランジス
タのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動
を低減することができる。
【0434】
ゲートとして作用する導電層470には、例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu
、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Mn、Nd、Sc、TaおよびWなどの導電層を用いる
ことができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、
上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積
層であってもよい。代表的には、タングステン、タングステンと窒化チタンの積層、タン
グステンと窒化タンタルの積層などを用いることができる。また、低抵抗のCuまたはC
u-Mnなどの合金や上記材料とCuまたはCu-Mnなどの合金との積層を用いてもよ
い。本実施の形態では、導電層471に窒化タンタル、導電層472にタングステンを用
いて導電層470を形成する。
【0435】
絶縁層475には、水素を含む窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜などを用いるこ
とができる。トランジスタ403、トランジスタ404、トランジスタ406、トランジ
スタ409、トランジスタ410、およびトランジスタ412では酸化物半導体層430
と絶縁層475が一部接しているため、絶縁層475として水素を含む絶縁層を用いるこ
とで酸化物半導体層430の一部をn型化することができる。また、窒化絶縁層は水分な
どのブロッキング膜としての作用も有し、トランジスタの信頼性を向上させることができ
る。
【0436】
また、絶縁層475としては酸化アルミニウム膜を用いることもできる。特に、トランジ
スタ401、トランジスタ402、トランジスタ405、トランジスタ407、トランジ
スタ408、およびトランジスタ411では絶縁層475に酸化アルミニウム膜を用いる
ことが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に
対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジ
スタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物の酸化物半導体層43
0への混入防止、酸素の酸化物半導体層からの放出防止、絶縁層420からの酸素の不必
要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。また、酸化アルミニ
ウム膜に含まれる酸素を酸化物半導体層中に拡散させることもできる。
【0437】
また、絶縁層475上には絶縁層480が形成されていることが好ましい。当該絶縁層に
は、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリ
コン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ラ
ンタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用い
ることができる。また、当該絶縁層は上記材料の積層であってもよい。
【0438】
ここで、絶縁層480は絶縁層420と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有するこ
とが好ましい。絶縁層480から放出される酸素は絶縁層460を経由して酸化物半導体
層430のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形
成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの
電気特性を得ることができる。
【0439】
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタ
の微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、特にチャネル幅
が縮小するとオン電流が低下する。
【0440】
本発明の一態様のトランジスタ407乃至トランジスタ412では、チャネルが形成され
る酸化物半導体層430bを覆うように酸化物半導体層430cが形成されており、チャ
ネル形成層とゲート絶縁層が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲ
ート絶縁層との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電
流を大きくすることができる。
【0441】
また、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体層430のチャ
ネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート(導電層470)が形成されているため、酸
化物半導体層430に対しては上面に対して垂直な方向からのゲート電界に加えて、側面
に対して垂直な方向からのゲート電界が印加される。すなわち、チャネル形成層に対して
全体的にゲート電界が印加されることになり実効チャネル幅が拡大するため、さらにオン
電流を高められる。
【0442】
また、本発明の一態様における酸化物半導体層430が二層または三層のトランジスタで
は、チャネルが形成される酸化物半導体層430bを酸化物半導体層430a上に形成す
ることで界面準位を形成しにくくする効果を有する。また、本発明の一態様における酸化
物半導体層430が三層のトランジスタでは、酸化物半導体層430bを三層構造の中間
に位置する層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有
する。そのため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定
化や、S値(サブスレッショルド値)の低減をはかることができる。したがって、ゲート
電圧VGが0V時の電流を下げることができ、消費電力を低減させることができる。また
、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上さ
せることができる。また、本発明の一態様のトランジスタは、微細化にともなう電気特性
の劣化が抑えられることから、集積度の高い半導体装置の形成に適しているといえる。
【0443】
なお、本実施の形態で説明した金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜は、代表的に
はスパッタリング法やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposit
ion)法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成し
てもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD法やALD(Atomic Layer
Deposition)法などがある。
【0444】
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成
されることが無いという利点を有する。
【0445】
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を
大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで
成膜を行ってもよい。
【0446】
ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスをチャンバ
ーに導入・反応させ、これを繰り返すことで成膜を行う。原料ガスと一緒に不活性ガス(
アルゴン、或いは窒素など)をキャリアガスとして導入してもよい。例えば2種類以上の
原料ガスを順番にチャンバーに供給してもよい。その際、複数種の原料ガスが混ざらない
ように第1の原料ガスの反応後、不活性ガスを導入し、第2の原料ガスを導入する。ある
いは、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第
2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着・反応して第1の層
を成膜し、後から導入される第2の原料ガスが第1の層上に吸着・反応する。つまり、第
2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望
の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができ
る。薄膜の厚さは、ガス導入の繰り返す回数によって調節することができるため、精密な
膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
【0447】
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された
金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In-Ga
-Zn-O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH)、トリメ
チルガリウム(Ga(CH)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH)を用いる
ことができる。これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチ
ルガリウム(Ga(C)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル
亜鉛(Zn(C)を用いることもできる。
【0448】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒と
ハフニウム前駆体を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハ
フニウム(TDMAH、Hf[N(CH)やテトラキス(エチルメチルアミド
)ハフニウムなどのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(
)の2種類のガスを用いる。
【0449】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒
とアルミニウム前駆体を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH
)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてHOの2種類のガスを用いる。他の材
料としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ア
ルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)など
がある。
【0450】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサク
ロロジシランを被成膜面に吸着させ、酸化性ガス(O、一酸化二窒素)のラジカルを供
給して吸着物と反応させる。
【0451】
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF
スとBガスを順次導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WFガスとH
ガスを順次導入してタングステン膜を形成する。なお、Bガスに代えてSiH
ガスを用いてもよい。
【0452】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体層、例えばIn-Ga-Zn-O
膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次導入してIn-O層を形
成し、その後、Ga(CHガスとOガスを順次導入してGaO層を形成し、更に
その後Zn(CHガスとOガスを順次導入してZnO層を形成する。なお、これ
らの層の順番はこの例に限らない。これらのガスを用いてIn-Ga-O層やIn-Zn
-O層、Ga-Zn-O層などを形成してもよい。なお、Oガスに変えてAr等の不活
性ガスでバブリングして得られたHOガスを用いてもよいが、Hを含まないOガスを
用いる方が好ましい。
【0453】
なお、酸化物半導体層の成膜には、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることも
できる。当該対向ターゲット式スパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(vap
or deposition SP)と呼ぶこともできる。
【0454】
対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて酸化物半導体層を成膜することによって、
酸化物半導体層の成膜時におけるプラズマ損傷を低減することができる。そのため、膜中
の酸素欠損を低減することができる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用い
ることで低圧での成膜が可能となるため、成膜された酸化物半導体層中の不純物濃度(例
えば水素、希ガス(アルゴンなど)、水など)を低減させることができる。
【0455】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0456】
(実施の形態7)
以下では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体層の構造について説明する
【0457】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平
行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。ま
た、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態を
いう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二
つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0458】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
【0459】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けら
れる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(c-axis-aligned
crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semicond
uctor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-l
ike oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがあ
る。
【0460】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半
導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-
OS、多結晶酸化物半導体およびnc-OSなどがある。
【0461】
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置
が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さな
い、などといわれている。
【0462】
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous
)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構
造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a-li
ke OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。
不安定であるという点では、a-like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い
【0463】
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0464】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半
導体の一種である。
【0465】
CAAC-OSをX線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解
析した場合について説明する。例えば、空間群R-3mに分類されるInGaZnO
結晶を有するCAAC-OSに対し、out-of-plane法による構造解析を行う
と、図56(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピー
クは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSで
は、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともい
う。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°
近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近
傍のピークは、空間群Fd-3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC
-OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
【0466】
一方、CAAC-OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin-pla
ne法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、I
nGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し
、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を
行っても、図56(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZ
nOに対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図56(C)に示すよ
うに(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、X
RDを用いた構造解析から、CAAC-OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であるこ
とが確認できる。
【0467】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGaZ
nOの結晶を有するCAAC-OSに対し、CAAC-OSの被形成面に平行にプロー
ブ径が300nmの電子線を入射させると、図56(D)に示すような回折パターン(制
限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、In
GaZnOの結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回
折によっても、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面
または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に
垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図56(E)
に示す。図56(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プロー
ブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC-OSに含まれるペレ
ットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図56(E)における第
1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面および(100)面などに起因する
と考えられる。また、図56(E)における第2リングは(110)面などに起因すると
考えられる。
【0468】
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Mi
croscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像
(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる
。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC
-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0469】
図57(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能T
EM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Ab
erration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分
解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、
例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによ
って観察することができる。
【0470】
図57(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することが
できる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわ
かる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこと
もできる。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned nan
ocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC
-OSを被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上
面と平行となる。
【0471】
また、図57(B)および図57(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC
-OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図57(D)および図57(E)は、
それぞれ図57(B)および図57(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理
の方法について説明する。まず、図57(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast
Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得
したFFT像において原点を基準に、2.8nm-1から5.0nm-1の間の範囲を残
すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:
Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像
処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフ
ィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子
配列を示している。
【0472】
図57(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、
一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部であ
る。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレ
ットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
【0473】
図57(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線
で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近
傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角
形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制して
いることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において原子配列が稠密で
ないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、
歪みを許容することができるためと考えられる。
【0474】
以上に示すように、CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複
数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CA
AC-OSを、CAA crystal(c-axis-aligned a-b-pl
ane-anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもでき
る。
【0475】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混
入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(
酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0476】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属
元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素
との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二
酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0477】
次に、nc-OSについて説明する。
【0478】
nc-OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc-OSに対し
、out-of-plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない
。即ち、nc-OSの結晶は配向性を有さない。
【0479】
また、例えば、InGaZnOの結晶を有するnc-OSを薄片化し、厚さが34nm
の領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図58
(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測され
る。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナ
ノビーム電子回折パターン)を図58(B)に示す。図58(B)より、リング状の領域
内に複数のスポットが観測される。したがって、nc-OSは、プローブ径が50nmの
電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入
射させることでは秩序性が確認される。
【0480】
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、
図58(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測
される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc-OSが秩序
性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているた
め、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
【0481】
図58(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc-OSの断面のCs補正高分
解能TEM像を示す。nc-OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所など
のように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない
領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさで
あり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが1
0nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro
crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがあ
る。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合
がある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性
がある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0482】
このように、nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に
1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは
、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見ら
れない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質
酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0483】
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc-OSを、
RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物
半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystals)を有す
る酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0484】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる
。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため
、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0485】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半
導体である。
【0486】
図59に、a-like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図59(A)は
電子照射開始時におけるa-like OSの高分解能断面TEM像である。図59(B
)は4.3×10/nmの電子(e)照射後におけるa-like OSの高
分解能断面TEM像である。図59(A)および図59(B)より、a-like OS
は電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また
、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密
度領域と推測される。
【0487】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-like
OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すため
、電子照射による構造の変化を示す。
【0488】
試料として、a-like OS、nc-OSおよびCAAC-OSを準備する。いずれ
の試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0489】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料
は、いずれも結晶部を有する。
【0490】
なお、InGaZnOの結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-
O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている
。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同
程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以
下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZn
の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa-b面に対応す
る。
【0491】
図60は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である
。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図60より、a-like
OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなってい
くことがわかる。図60より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさ
だった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e)の累積照射量が4.2×10
/nmにおいては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc
-OSおよびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
/nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図60
り、電子の累積照射量によらず、nc-OSおよびCAAC-OSの結晶部の大きさは、
それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射お
よびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H-9000NARを用いた。電子線照射条件
は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×10/(nm・s)、照射領域
の直径を230nmとした。
【0492】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合があ
る。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど
見られない。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、
不安定な構造であることがわかる。
【0493】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べ
て密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結晶
の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc-OSの密度およびCAAC
-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶
の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0494】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱
面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmである。よっ
て、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、a-like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満である。また
、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm
未満である。
【0495】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わ
せることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所
望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、
加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組
み合わせて見積もることが好ましい。
【0496】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。な
お、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、
CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0497】
次に、酸化物半導体のキャリア密度について、以下に説明を行う。
【0498】
酸化物半導体のキャリア密度に影響を与える因子としては、酸化物半導体中の酸素欠損(
Vo)、または酸化物半導体中の不純物などが挙げられる。
【0499】
酸化物半導体中の酸素欠損が多くなると、該酸素欠損に水素が結合(この状態をVoHと
もいう)した際に、欠陥準位密度が高くなる。または、酸化物半導体中の不純物が多くな
ると、該不純物に起因し欠陥準位密度が高くなる。したがって、酸化物半導体中の欠陥準
位密度を制御することで、酸化物半導体のキャリア密度を制御することができる。
【0500】
ここで、酸化物半導体をチャネル領域に用いるトランジスタを考える。
【0501】
トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトの抑制、またはトランジスタのオフ電流の
低減を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を低くする方が好ましい
。酸化物半導体のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体中の不純物濃度
を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠
陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性の酸化
物半導体のキャリア密度としては、8×1015cm-3未満、好ましくは1×1011
cm-3未満、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm
以上とすればよい。
【0502】
一方で、トランジスタのオン電流の向上、またはトランジスタの電界効果移動度の向上を
目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を高くする方が好ましい。酸化
物半導体のキャリア密度を高くする場合においては、酸化物半導体の不純物濃度をわずか
に高める、または酸化物半導体の欠陥準位密度をわずかに高めればよい。あるいは、酸化
物半導体のバンドギャップをより小さくするとよい。例えば、トランジスタのId-Vg
特性のオン/オフ比が取れる範囲において、不純物濃度がわずかに高い、または欠陥準位
密度がわずかに高い酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。また、電子親和力が大き
く、それにともなってバンドギャップが小さくなり、その結果、熱励起された電子(キャ
リア)の密度が増加した酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。なお、より電子親和
力が大きな酸化物半導体を用いた場合には、トランジスタのしきい値電圧がより低くなる
【0503】
上述のキャリア密度が高められた酸化物半導体は、わずかにn型化している。したがって
、キャリア密度が高められた酸化物半導体を、「Slightly-n」と呼称してもよ
い。
【0504】
実質的に真性の酸化物半導体のキャリア密度は、1×10cm-3以上1×1018
-3未満が好ましく、1×10cm-3以上1×1017cm-3以下がより好まし
く、1×10cm-3以上5×1016cm-3以下がさらに好ましく、1×1010
cm-3以上1×1016cm-3以下がさらに好ましく、1×1011cm-3以上1
×1015cm-3以下がさらに好ましい。
【0505】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0506】
(実施の形態8)
本実施の形態では、イメージセンサチップを収めたパッケージおよびモジュールの一例に
ついて説明する。当該イメージセンサチップには、本発明の一態様の撮像装置の構成を用
いることができる。
【0507】
図61(A)は、イメージセンサチップを収めたパッケージの上面側の外観斜視図である
。当該パッケージは、イメージセンサチップ850を固定するパッケージ基板810、カ
バーガラス820および両者を接着する接着剤830等を有する。
【0508】
図61(B)は、当該パッケージの下面側の外観斜視図である。パッケージの下面には、
半田ボールをバンプ840としたBGA(Ball grid array)の構成を有
する。なお、BGAに限らず、LGA(Land grid array)やPGA(P
in Grid Array)などであってもよい。
【0509】
図61(C)は、カバーガラス820および接着剤830の一部を省いて図示したパッケ
ージの斜視図であり、図61(D)は、当該パッケージの断面図である。パッケージ基板
810上には電極パッド860が形成され、電極パッド860およびバンプ840はスル
ーホール880およびランド885を介して電気的に接続されている。電極パッド860
は、イメージセンサチップ850が有する電極とワイヤ870によって電気的に接続され
ている。
【0510】
また、図62(A)は、イメージセンサチップをレンズ一体型のパッケージに収めたカメ
ラモジュールの上面側の外観斜視図である。当該カメラモジュールは、イメージセンサチ
ップ851を固定するパッケージ基板811、レンズカバー821、およびレンズ835
等を有する。また、パッケージ基板811およびイメージセンサチップ851の間には撮
像装置の駆動回路および信号変換回路などの機能を有するICチップ890も設けられて
おり、SiP(System in package)としての構成を有している。
【0511】
図62(B)は、当該カメラモジュールの下面側の外観斜視図である。パッケージ基板8
11の下面および4側面には、実装用のランド841が設けられるQFN(Quad f
lat no- lead package)の構成を有する。なお、当該構成は一例で
あり、QFP(Quad flat package)や前述したBGA等であってもよ
い。
【0512】
図62(C)は、レンズカバー821およびレンズ835の一部を省いて図示したモジュ
ールの斜視図であり、図62(D)は、当該カメラモジュールの断面図である。ランド8
41の一部は電極パッド861として利用され、電極パッド861はイメージセンサチッ
プ851およびICチップ890が有する電極とワイヤ871によって電気的に接続され
ている。
【0513】
イメージセンサチップを上述したような形態のパッケージに収めることで実装が容易にな
り、様々な半導体装置、電子機器に組み込むことができる。
【0514】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0515】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る撮像装置を適用できる電子機器の一例について
説明する。
【0516】
本発明の一態様に係る撮像装置を適用できる電子機器として、テレビ、モニタ等の表示装
置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセ
ッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶
された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テー
プレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、ナビゲーションシステム、置き時計、壁掛
け時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、
タブレット型端末、パチンコ機などの大型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電
子書籍端末、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シ
ェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器
、扇風機、毛髪乾燥機、エアコンディショナー、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗
い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫
、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソー等の工具、煙感知器、透析装置等の医療
機器、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、
自動販売機などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、
エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドの
ための蓄電装置等の産業機器が挙げられる。また、電力を用いて電動機により推進する移
動体なども、電子機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自
動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハ
イブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシ
スト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は
大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査
機、宇宙船などが挙げられる。
【0517】
図63(A)はロボットアームであり、台座921、腕部922、関節923、アーム9
24、センサ925等を有する。センサ925により、物体の位置や形状などを判断する
ことができ、アーム924で物体をつかむことにより物体の運搬などを行うことができる
。センサ925として本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0518】
図63(B)は検査装置であり、筐体931、センサ932等を有する。該検査装置は、
例えばベルトコンベア933に配置された商品934に発生したキズを検出することがで
きる。センサ932として本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0519】
図63(C)は眼球であり、網膜941、水晶体942、視神経943等を有する。網膜
941にはセンサ944が埋め込まれており、網膜941が視覚情報を電気信号に変換す
る機能を失った場合に、センサ944が網膜941と同様の機能を果たすことができる。
これにより、視力を回復することができる。センサ944として本発明の一態様の撮像装
置を用いることができる。
【0520】
図63(D)は監視カメラであり、筐体951、レンズ952、支持部953等を有する
。当該監視カメラにおける画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像
装置を備えることができる。なお、監視カメラとは慣用的な名称であり、用途を限定する
ものではない。例えば監視カメラとしての機能を有する機器はカメラ、またはビデオカメ
ラとも呼ばれる。
【0521】
図63(E)は腕時計型の情報端末であり、筐体961、表示部962、リストバンド9
63、操作用のボタン965、竜頭966、カメラ969等を有する。表示部962はタ
ッチパネルとなっていてもよい。当該情報端末における画像を取得するための部品の一つ
として本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0522】
図63(F)は携帯データ端末であり、第1筐体971、表示部972、カメラ979等
を有する。表示部972が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができ
る。当該携帯データ端末における画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様
の撮像装置を備えることができる。
【0523】
なお、本発明の一態様の撮像装置を具備していれば、上記で示した電子機器に特に限定さ
れない。
【0524】
本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0525】
10 画素
11 画素アレイ
12 回路
13 回路
14 回路
15 回路
16 判定信号
17a コンパレータ
17b コンパレータ
18 OR回路
19 バッファ
20 光電変換素子
20a 光電変換素子
20b 光電変換素子
21 光電変換層
22 透光性導電層
23 半導体層
24 半導体層
25 半導体層
26 電極
26a 導電層
26b 導電層
31 トランジスタ
31a トランジスタ
31b トランジスタ
32 トランジスタ
33 トランジスタ
34 トランジスタ
35 トランジスタ
36a トランジスタ
36b トランジスタ
37a トランジスタ
37b トランジスタ
38 トランジスタ
41 容量素子
51 配線
51a 配線
51b 配線
52 配線
53 配線
54 配線
55 配線
56 配線
57 配線
58 配線
61 配線
61a 配線
61b 配線
62 配線
64 配線
65 配線
66a 配線
66b 配線
67a 配線
67b 配線
68 配線
71 撮像動作
72 データ保持動作
73 読み出し動作
91 導電体
92 絶縁層
92a 絶縁層
92b 絶縁層
93 絶縁層
94 配線
94a 導電層
94b 導電層
95 配線
96 絶縁層
100 シリコン基板
101 トランジスタ
102 トランジスタ
105 活性層
106 シリコン基板
401 トランジスタ
402 トランジスタ
403 トランジスタ
404 トランジスタ
405 トランジスタ
406 トランジスタ
407 トランジスタ
408 トランジスタ
409 トランジスタ
410 トランジスタ
411 トランジスタ
412 トランジスタ
413 トランジスタ
415 基板
420 絶縁層
430 酸化物半導体層
430a 酸化物半導体層
430b 酸化物半導体層
430c 酸化物半導体層
440 導電層
441 導電層
442 導電層
450 導電層
451 導電層
452 導電層
460 絶縁層
470 導電層
471 導電層
472 導電層
473 導電層
475 絶縁層
480 絶縁層
531 領域
532 領域
533 領域
534 領域
535 領域
810 パッケージ基板
811 パッケージ基板
820 カバーガラス
821 レンズカバー
830 接着剤
835 レンズ
840 バンプ
841 ランド
850 イメージセンサチップ
851 イメージセンサチップ
860 電極パッド
861 電極パッド
870 ワイヤ
871 ワイヤ
880 スルーホール
885 ランド
890 ICチップ
921 台座
922 腕部
923 関節
924 アーム
925 センサ
931 筐体
932 センサ
933 ベルトコンベア
934 商品
941 網膜
942 水晶体
943 視神経
944 センサ
951 筐体
952 レンズ
953 支持部
961 筐体
962 表示部
963 リストバンド
965 ボタン
966 竜頭
969 カメラ
971 筐体
972 表示部
979 カメラ
1100 層
1200 層
1400 層
1500 回折格子
1600 層
2500 絶縁層
2510 遮光層
2520 樹脂層
2530 カラーフィルタ
2530a カラーフィルタ
2530b カラーフィルタ
2530c カラーフィルタ
2540 マイクロレンズアレイ
2550 光学変換層
2560 絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63