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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】スポーツボトルキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
B65D47/06 120
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020507013
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018072531
(87)【国際公開番号】W WO2019038269
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】102017119160.7
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518383600
【氏名又は名称】エムザ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ホルストマン
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106974510(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0026218(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0187075(US,A1)
【文献】特開2002-211613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツボトル(1)用のスポーツボトルキャップ(00)であって、少なくとも:
隆起した縁(15)によって取り囲まれたベースプレート(11)内に少なくとも1つの注入開口部(21)を有するベース要素(10)と、
可撓性飲料チューブ(23)であって、前記可撓性飲料チューブ(23)を曲げることによってロック可能な内側流れチャネル(24)を備える、可撓性飲料チューブと
を備え、
前記飲料チューブ(23)は、前記ベース要素(10)上に枢動可能に装着された案内要素(30)内に保持され、
曲げられた前記可撓性飲料チューブ(23)を前記縁(15)によって取り囲まれた受け入れ空間(14)内に格納することができ、
曲げられた前記飲料チューブ(23)の復元力に反して前記案内要素(30)をロッキング位置に引き止める解放可能なロックが、提供されるものであり、
前記案内要素(230)は、両側に、前記ベース要素(210)内の支承くぼみ(218)内に保持される支承ジャーナル(231)を有し、
前記ロックは、支承ピン(231)に径方向に隣接する少なくとも1つのロッキングピン(232)、および前記案内要素(230)の前記ロッキング位置において前記ロッキングピン(232)が内部に挿入される支承受け入れ部(218)内のロッキング受け入れ部(219)によって形成されることを特徴とするスポーツボトルキャップ
【請求項2】
少なくとも1つの安全スライド(40)であって、前記受け入れ空間(14)の上方のレール(16)内に変位可能に配置され、第1の端部位置において、曲げられた前記飲料チューブ(23)および/または前記案内要素(30)を閉位置に保持する、少なくとも1つの安全スライドが提供される請求項1記載のスポーツボトルキャップ(00)。
【請求項3】
前記安全スライド(40)は、前記縁(15)を超えて延びる案内レールによって、前記受け入れ空間(14)の外側に配置された第2の端部位置まで変位可能である請求項に記載のスポーツボトルキャップ(00)。
【請求項4】
前記飲料チューブ(23)は、前記ベースプレート(11)の底側にシール式に連結され、前記注入開口部(21)を覆うエラストマー製インサート要素(20)の一体的部分である請求項1乃至のいずれか一項に記載のスポーツボトルキャップ(00)。
【請求項5】
前記受け入れ空間(14)内に下降した前記飲料チューブ(23)は、前記注入開口部(21)の近くの第1の曲がり点において第1の方向に延び、上方の第2の曲がり点(22)において反対方向に延び、前記飲料チューブ(23)はS字形状構成をとる請求項1乃至のいずれか一項に記載のスポーツボトルキャップ(00)。
【請求項6】
前記案内要素(30)は、下方向の枢動運動中、逸出表面によってまたは逸出縁(33)によって案内要素(13)上を摺動し、径方向に外方向に変位される請求項1乃至のいずれか一項に記載のスポーツボトルキャップ(200)。
【請求項7】
前記案内要素(30)は、少なくとも1つのばね要素介して前記ベース要素(10)上に支持される請求項1乃至のいずれか一項に記載のスポーツボトルキャップ(200)。
【請求項8】
前記案内要素(230)は、少なくとも1つのばね要素を介して前記ベース要素(210)上に支持され、
前記ばね要素、前記ベースプレート(211)の底側にシール式に連結され、前記注入開口部(221)を覆うエラストマー製インサート要素(20)の一部であるエラストマー製の圧縮可能な圧縮ばね要素ある請求項に記載のスポーツボトルキャップ(200)。
【請求項9】
飲料ボトル(1)および請求項1乃至のいずれか一項に記載のスポーツボトルキャップ(200)を少なくとも備えるスポーツボトル。
【請求項10】
前記飲料ボトル(1)および前記スポーツボトルキャップ(00)は、ねじ山によって連結される請求項に記載のスポーツボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を備えたスポーツボトル用のスポーツボトルキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなスポーツボトルキャップは、特許文献1に開示されている。飲み口は、内部流れチャネルを閉じるために曲がることができる可撓性プラスチックチューブとして設計される。スポーツボトルキャップの密封性をそれだけで保証するチューブの曲がり位置は、クリックイン連結によってスポーツボトルキャップの下部にロックすることができるキャップによって固定される。キャップが解放され、後ろに折り曲げられたとき、飲み口は、弾性の復元力によりその元の形状に戻ることができ、内部流れチャネルは、再度解放される。そのようなスポーツボトルキャップは、特に、飲用シュノーケル(snorkel)とも呼ばれる、飲み口を介してボトルから直接飲むことが意図されているスポーツ活動中に使用することが意図されている。この目的のために、操作はできるだけ簡単でなければならず、片手で可能でなければならない。知られているスポーツボトルキャップの欠点は、ロックの役割も果たす枢動キャップが障害になることである。飲み口を介して飲むとき、これは、1本の指で引き止めておかなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許第2532601号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、飲み口を曲げ、これを曲げ位置に保持し、したがって密封閉鎖を作りだすために追加のキャップを必要としない飲み口を備えたスポーツボトルキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を備えたスポーツボトルキャップによって、特に、飲み口が、ベース要素上に枢動可能におよび/またはシフト可能に装着された案内要素内に保持されることによって、そして曲げられた飲み口を、縁によって取り囲まれた受け入れ空間内に格納できることによって達成される。
【0006】
飲み口用の受け入れ空間がキャップの下方の空洞内に形成される従来技術とは対照的に、受け入れ空間は、本発明により、ベース部上に直接形成される。飲み口は、受け入れ空間の上部においてロッキング位置に配置された案内要素を介して曲げ位置に固定される。本発明によれば、飲み口は、ベース要素から突起するだけではなく、案内要素の内側にその画定された横方向支承点によって保持される。したがって、弾性飲み口の画定された曲げ点が、提供される。
【0007】
案内要素は、飲み口とは対照的に、これが剛性であり、したがって可撓性飲み口をロッキング位置に強制し、これを所定場所に保持することを特徴とする。案内要素は、好ましくは、断面がU字形状であり、開放プロファイル内に飲み口の端部領域を収容する。
【0008】
好ましい実施形態では、さらに、案内要素は、二重の曲がりが発生するように、ベース要素内の出口開口部の位置に関連して配置されるものとする。これは、側面で見て飲み口のS字形状のうねり構成を作りだし、それにより、内側飲料チャネルは、2点において等しく遮断され、固定シールが達成される。
【0009】
案内要素の位置と、飲み口の弾性との間の相互作用もまた、本発明の本質的なものである。案内要素は、たとえば親指で押し下げられ、前方に傾斜し、これによって飲み口をとらえる。押し下げられた飲み口のそれまでの変形の結果生じる復元力は、本発明のすべての好ましい実施形態において、ユーザによって設定された後にロッキング位置を固定するために使用される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、案内要素のヒンジ点は、シフトされたときに水平位置に到達するように意図される。これは、線形後退運動を可能にする、摺動要素におけるレールまでの案内によって達成される。これは、ユーザが、飲み口を押し下げた後、案内要素を容易に引き戻す、すなわち径方向に外方向に引っ張ることができることを意味し、ここで、案内要素は、ロック解除ボタンによってブロックされ、したがって曲げられた飲み口を下にして保持する。案内要素のロッキング位置は、これが傾斜装着され、変形された飲み口のばね力が案内要素を解放ボタンにしっかりと押しつけるという事実によって保持される。
【0011】
ボトルから再度飲むには、ユーザは、案内要素をわずかに前方向に押出すだけでよく、それにより、これは解放ボタンとの係合から外れる。ロックがそれによって解放されるわずかな圧力により、案内キャリッジ上の案内突出部もまた、摺動要素内に押し戻され、それにより、案内要素は、飲み口の弾性のリセットの結果、真っ直ぐに伸びることができる。ユーザは、次いで、案内要素を再度前方向に押出し、それによって飲み口を曲げ、案内要素をそのロッキング位置に戻す。
【0012】
意図しない開放および飲料の意図しない漏出に対するさらに大きな保護を提供するために、安全スライドが、好ましくはすべての実施形態に提供され、この安全スライドは、受け入れ空間上方の位置に移動することができ、ここで、これは、たとえば案内キャリッジとのクリックイン連結を形成することによって、追加的に、曲げられた飲み口をロックする、および/または案内要素を固定する。
【0013】
ロッキングスライドは並進に動くことしかできないため、案内要素は、ロッキングスライドと係合されている限り傾斜できない。その代わり、これを解放するために、ユーザは、最初に、ロッキングスライドを外側位置に戻して案内要素および飲み口を動かすことができるようにし、次いで、上記ですでに説明した案内要素の逸出運動を行わなければならない。
【0014】
本発明によるスポーツボトルキャップの別の利点は、飲み口がクランプから外される水平位置に案内要素をもっていく案内要素の枢動運動と、固定のためのその後の線形変形との組み合わせである。この組み合わせは自己ロック運搬位置を確実にし、この位置は、シフトするだけで解放することができる。
【0015】
いくつかの実施形態により、シフト作用は、ユーザ自身によって、後退運動によって行われ得る。しかし、これは、好ましくは、ユーザが案内要素を下方向に動かしたときに、案内要素が案内ブロック上を逸出縁または逸出表面によって枢動するように設計される。この強制された案内は、案内要素が運搬位置のわずか下方に押されたときに達成される。次いで、案内要素は、支持縁が支持表面の上方に位置するまで、その外側の後支持縁をわずかに隆起させた傾けられた位置で外方向に押出される。これは、ユーザがロック作用を確実するために案内要素を押し下げるだけでよいという利点を有する。ユーザがこれを解放すると、表面は互いに寄りかかり、運搬位置は固定される。
【0016】
閉じるときにユーザが2つの異なる動きを行わなければならないことを回避するために、好ましい実施形態は、案内要素の外側の支承ジャーナル上に作用する少なくとも1つの追加のばね要素を提供する。ユーザは、飲み口と共に案内要素を下に下ろすだけでよい。ロックを生み出すために必要な後退運動は、案内要素をロッキング位置に線形に押し戻すばね要素を介して達成される。
【0017】
本発明の別の実施形態では、案内要素の運動は反転される:飲み口が受け入れ空間内に押し下げられた後、案内要素は、中心方向に前方向に押出され、それによって各支承ジャーナル上の径方向のロッキングピンは、ベース要素内の支承くぼみ内のくぼみと係合し、案内要素の位置を固定する。これを開くために、案内要素をわずかに径方向に外方向に押出してこの係合を再度解放しなければならない。この実施形態は、ロック解除ボタンを必要としない。
【0018】
本発明は、後続の図を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】飲み口の位置を有する、本発明の第1の実施形態によるスポーツボトルキャップの断面図である。
図2】飲み口の別の位置を有する、本発明の第1の実施形態によるスポーツボトルキャップの断面図である。
図3】飲み口の別の位置を有する、本発明の第1の実施形態によるスポーツボトルキャップの断面図である。
図4】飲み口の別の位置を有する、本発明の第1の実施形態によるスポーツボトルキャップの断面図である。
図5A】固定された運搬位置にあるスポーツボトルキャップの斜視図である。
図5B】固定された運搬位置にあるスポーツボトルキャップの別の斜視図である。
図6A】固定されていない運搬位置にあるスポーツボトルキャップの斜視図である。
図6B】固定されていない運搬位置にあるスポーツボトルキャップの別の斜視図である。
図7A】ロック解除位置にあるスポーツボトルキャップの斜視図である。
図7B】ロック解除位置にあるスポーツボトルキャップの別の斜視図である。
図8】飲み位置にあるスポーツボトルキャップの斜視図である。
図9】運搬位置を確立する直前のスポーツボトルキャップの断面斜視図である。
図10】運搬位置を確立した直後のスポーツボトルキャップの断面斜視図である。
図11A】固定された運搬位置にある、第2の実施形態によるスポーツボトルキャップの斜視図である。
図11B】ロック解除位置にある、第2の実施形態によるスポーツボトルキャップの斜視図である。
図12】固定された運搬位置にある、第3の実施形態によるスポーツボトルキャップの斜視図である。
図13】飲み位置にある、本発明の第4の実施形態によるスポーツボトルキャップの断面斜視図である。
図14】飲み位置と運搬位置との間の、図13によるスポーツボトルキャップの断面斜視図である。
図15】運搬位置を確立する直前の図13によるスポーツボトルキャップの断面斜視図である。
図16】固定された運搬位置にある第4の実施形態によるスポーツボトルキャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、以下の本質的な構成要素を備えるスポーツボトルキャップ100の断面図を示す:
- 硬質プラスチック製のベース要素10、
- 軟質プラスチックまたはゴム製のインサート要素20、
- 案内要素30、
- 安全スライド40、および
- ロック解除ボタン50。
【0021】
ベース要素10は、ねじ山が始まる下縁から、上縁15まで延びる外側のほぼ円筒状の本体を有する。ねじ山は、スポーツボトルまたは飲料ボトル、特に断熱されたボトルのネック部とのシール連結を作りだすために使用することができる。
【0022】
ベース要素10の内部は、いくつかの開口部12、19を有するベースプレート11によって分割される。第1のものは注入開口部19である。ベースプレート内にはいくつかの小さい通気開口部12も存在する。
【0023】
インサート要素20は、下面からベース要素10内のベース11に嵌合し、シール式にこれに連結される。インサート要素20によって覆われた注入開口部19は、入口開口部21から開始する内部流れチャネル24を有する飲み口23に取り付けられる。
【0024】
通気開口部12周りでは、インサート要素20に、ベースプレート11から下方に突起するスペーサ13にわたって広がる小さいドームが設けられる。
【0025】
図1は、飲料ボトル閉鎖具100の閉じられた運搬位置を示す。飲み口23は、2回曲げられ、1回は、出口開口部21から左に径方向に外方向であり、ここからこれは、曲がり部22内で向け直され、他の方向に進む。第1に、2回折り畳まれることにより、飲み口23をより長くし、縁15の内側に依然として保つことが可能になり、第2に、内側流れチャネル24を二重で閉じることにより、液体漏出に対するより大きな保護が提供される。曲がり部22の後方の飲み口23の部分は、受け入れ空間14内に完全に位置し、この受け入れ空間は、縁15によって取り囲まれ、後方においてベース11によって制限される。第1に、曲げられた飲み口23の位置は、図1ではロッキング位置にある案内要素30によって固定される。案内要素30は、ベース要素10内の枢動式装着のために各側に1つの支承ジャーナル31を有する。
【0026】
第2に、図1では、安全スライド40は、案内要素30が受け入れ空間14の上方に位置するロッキング位置にもっていかれている。安全スライド40は、レール16内で案内される。これは、案内要素30を固定し、したがって飲み口23が意図せずに立ち上がり、したがって内側の流れチャネルを解放することを防止する。レール16は、U字形状ブレース17の内側側面の両側に形成され、U字形状ブレースは、ベース要素10の縁15を超えて径方向に外方向に延びる。ブレース17はまた、キャップが閉位置にあるときにその水筒(flask)を運ぶために使用することもできる。
【0027】
図2は、開口プロセスの始まりを別の断面図で示す。安全スライド40は、すでに、ブレース17内の縁15の外側のその端部位置に押し入れられており、それによって案内要素30の妨害のない動きを可能にしている。安全スライド40は、クリックイン突起部41によってこの位置に保持される。
【0028】
安全スライドによって解放されているにもかかわらず、案内要素30は、これが短い距離にわたってハウジング10に依然としてぴったりと取り付けられているため、自動的に立ち上がることはできず、それにより、これは、径方向に変位することはできるが、その支承ジャーナル周りでまだ回転することはできない。この中間位置に打ち勝つために、案内要素30は、解放ボタン50をわずかに押さえることによって、前方に径方向に、中心の方向に押出される。次いで、これは、図3に示すようにその後端において自由になる。このとき、案内要素30は、もはやベース要素10に対するねじりに対して固定されず、曲げられた弾性飲み口23の復元力によって再度立ち上がることができる。
【0029】
図4は、飲み位置を示す。飲み口23は、完全に広がっており、それにより、出口開口部21と飲み口23の端部との間の内部流れチャネル24は、開いている。飲み口23は、案内キャリッジ30内に保持され、それにより、両方の構成要素は同じ角度位置に位置決めされる。
【0030】
図5A、5Bの各々では、閉位置が、図1と同様に、但し斜視図で示されている。案内要素30および安全スライド40の両方は、内側の受け入れ空間14の上方のほぼ水平位置にあり、受け入れ空間14の開口部を完全に覆っている。案内要素30および安全スライド40の上部には、突起部が形成され、この突起部は、くぼみ状グリップを形成して、構成要素を逸出させることによってスポーツボトルキャップ100の操作を容易にする。
【0031】
案内要素30は、一方では、ベース要素10の支承くぼみ18内の、図5Bに部分的に断面図に見える支承ジャーナル31によって固定される。他方では、案内要素30は、後縁32をベース要素10内のリッジ(ledge)上にして位置し、その前縁は安全スライド40によって保持される。図5Bでこれも分かるように、支承くぼみ18は、二重支承くぼみとして、または楕円穴として設計される。これにより、回転が可能になる前に、支承ジャーナル31を横断方向に動かすことが可能になる。
【0032】
図6Aでは、安全スライド40は、ブレース17内のその外側端部位置まですでに移送されており、それにより、案内要素30の固定は、片側においてすでに解放されている。しかし、案内要素30はその後縁32が、ベース要素10上の支持表面10.1(図6Bを参照)上に依然として載置しており、この位置は、弾性飲み口23のばね力によって保持される。支承ジャーナル31は、支承くぼみ18内の外側の後位置にある。
【0033】
図7Aに示すように、解放ボタン50を押さえるだけで、案内要素30をわずかに前進させることができる。支承くぼみ18内の支承ジャーナル31は、前部の内側位置に動く。それと同時に、後縁32は、支持表面10.1との係合から解放され、案内要素30は、支承ジャーナル31の軸周りで自由に枢動することができる。
【0034】
弾性飲み口23の復元力により、これは、図8に示す、図4の断面図の位置に対応する飲み位置をとるまで、それ自体およびこれに連結された案内要素30を完全に真っ直ぐにする。
【0035】
これまでの例示は主に開口プロセスに言及していたが、図9および10は、図4および8による飲み位置から、図1、5A、または5Bによる固定された運搬位置に戻る移行を示す。
【0036】
図8の操作位置または飲み位置から開始して、ユーザは、案内要素30を上方から押さえ、これを下方向に押し下げる。これはまた、飲み口23も変形させる。ユーザが、案内要素30を押さえて、これがハウジングの上側の下方になるまで受け入れ空間14内にさらに少しだけ下げると、これは、その前部の下側逸出縁33が、ベース要素10内の案内ブロック13の湾曲した凹状表面に到達する。
【0037】
図9は、逸出縁33と案内ブロック13との最初の接触を示す。案内要素30は、それによって、内側下方向にわずかに傾けられる。案内要素30の後側は、それと同時にわずかに隆起する。後縁32は、ベース要素10において支持表面10.1の上方に配置される。一方では案内ブロック30上の接触があるが、支承ジャーナル31は、他方では支承くぼみ18(図6B、7Bを参照)内に保持されているため、ユーザによってかけられた力は、支承ジャーナル31が、これらが支承くぼみ18内のその後位置になるまで、径方向にシフトされるように向け直される。ユーザが案内要素30を再度解放すると、これは、飲み口23の弾性力によって上方向に押し上げられ、それによって後縁32はそれ自体を支持表面10.1上に置いて運搬位置を確実にする。案内要素30が偶発的なわずかな圧力によってロッキング位置から外れることを防止する安全スライド40によって、さらなる安全性を達成することができる。
【0038】
図11Aは、第2の実施形態によるスポーツボトルキャップ100’を固定された運搬位置で、斜視図で示す。案内要素30、安全スライド40、およびベース要素10は、第1の実施形態と比べて実質的に変わらない。
【0039】
相違として、支承ジャーナル31とベースハウジングとの間に配置された圧力ばね要素25’が、提供される。図示する実施形態では、これは、インサート要素の一部であり、したがって、飲み口23’と一体的にエラストマー材料から形成される。圧力ばね要素25’は、支承ジャーナル31を介して案内スライド30を固定された位置に押さえ、これをそこに保持する圧縮可能な本体である。
【0040】
飲み口23’を隆起させるために、ユーザは、案内要素30を、圧力ばね要素25’の力に反して図11Bに示す位置に動かさなければならない。それによって、エラストマー圧力ばね要素25’は、圧縮される。この位置は、図7Bの第1の実施形態の図に対応する。したがって、飲み口23’が上昇する飲み位置は、図8に示すようなスポーツボトルキャップ100’の場合であっても全く同じである。
【0041】
図12は、第3の実施形態による、ここでもロック解除位置にあるスポーツボトルキャップ100”を斜視図で示す。案内要素30、安全スライド40、およびベース要素10は、ここでも同様に、第1の実施形態および第2の実施形態と比べて本質的に変わらない。飲み口23”を有するインサート要素は、成形されたエラストマーばね要素ではなく、金属圧力ばね要素50”を同じ位置および機能で有することが、異なる。圧力ばね要素50”は、ユーザが案内スライド30に圧力を及ぼさなくなるとすぐに、ベース要素10内の楕円穴形状の支承くぼみ18の支承ジャーナル31を外側に押出し、したがって、案内スライド30をロッキング位置に自動的に戻す。
【0042】
スポーツボトルキャップ100’の場合の圧力ばね要素25’、またはスポーツボトルキャップ100”内の圧力ばね要素50”は、一方では、ユーザが飲み口23と共に案内要素30を押し下げるだけでよく、案内要素30を能動的にロッキング位置に引き戻すことは必要でないため、閉鎖プロセスを容易にする。他方では、これは、案内要素30を飲み口23と共に立ち上がらせる速度を落とし、その理由は、ユーザが、これを圧力ばね要素50の力に反して動かす間、案内要素30のより長い距離にわたってこの上に指をのせたままにする必要があるためである。その結果、ユーザは、案内要素30の隆起を自動的に抑制する。
【0043】
スポーツボトルキャップ100’の第2の実施形態では、支承ジャーナル31とエラストマー圧力ばね要素25’との間の摩擦が、追加的にこの動きを制動する。
【0044】
図13は、飲料ボトル1上に置かれたスポーツボトルキャップ200のさらに別の実施形態を示す。ベース要素210が、これまで説明した実施形態と同様に形成され、受け入れ空間214を画定するベースプレート211の上方の隆起した縁215も有する。ベースプレート211は、通気開口部212および注入開口部221を有する。エラストマー製インサート要素220の一部は、ベースプレート211の下方に、注入開口部221および通気開口部212を覆って配置される。インサート要素220はまた、入口開口部221の領域に流れ込む内部流れチャネル224を有する飲み口223も含む。
【0045】
飲み口223は、ベース要素210内に可動式に装着された案内要素230内に保持される。図13は、飲み口223および案内要素230が直立しており、それによって飲み口223と入口開口部221との間の管状ピン222が開いている飲み位置を示す。案内要素230は、後縁233をインサート要素220のくぼみ213に入れて配置され、それによってインサート要素が図示する飲み位置を超えて外側に過度に伸張することを回避する。
【0046】
さらに、受け入れ空間214の外側の飲み位置に配置された安全スライド240が、図13に示される。ブラケット217がベース要素210に取り付けられる。安全スライド240は、レール216内で案内される。レール216の形状により、安全スライド240は、図16に示す閉位置に動かされる間、レール216の端部の下方に一旦飛び込まなければならず、そのため、意図せずシフトしないように確実に固定される。
【0047】
図14は、飲み口223が飲み位置からロッキングおよび運搬位置にもっていかれる中間位置にあるスポーツボトルキャップ200を示す。
【0048】
支承ジャーナル231の成形は、本質的なものである。これは、案内要素230の側面およびベース要素210内の関連する支承くぼみ218を連結する。支承ジャーナル231は、円筒状の軸スタブとして成形されるだけでなく、径方向に外方向に延びる追加のロッキングピン232も有する。支承くぼみ218は、ロッキングピン232を有する支承ジャーナル231が、案内要素230が押し下げられている間の必要な動きに十分な空間を有するように成形される。
【0049】
図15は、最終ロッキング位置直前の案内要素230の位置を示す。案内要素230は、すでに平坦に下がって位置しており、それにより、その表面は、大部分がベース要素210においてその周囲と同一平面にある。飲み口223は受け入れ空間214内にすでに下降している。安全スライド240は、依然として受け入れ空間214の外側にある。支承ジャーナル231上のロッキングピン232は、このとき、ほぼ水平であり、支承くぼみ218内のポケット219の正面に直接位置決めされる。案内要素230がここで前方に、すなわちブラケット217または受け入れ空間214の方向にわずかに押されると、ロッキングピン232はポケット219と係合する。復元力が、よじれた飲み口223の弾性によって案内要素230上に及ぼされるとき、ロッキングピン232は、ポケット219の壁に押さえつけられる。案内要素230のロッキング位置は、したがって、ユーザが案内要素230に触れなくなった場合でも、ロッキングピン232およびポケット219によって自動的に保持される。
【0050】
案内要素230をさらに固定するために、ロッキングスライド240は、これが受け入れ空間214の上方に位置し、案内要素230の前縁234にぴったりと固定するまで、レール216に沿って押される。そのため、飲み口223は、万が一ロッキングピン232が支承くぼみ内のポケット219から外れる場合であってもすぐに立ち上がることはできない。
【0051】
図16は、ロッキングスライド240が案内要素230近くに位置決めされる最終ロッキングおよび運搬位置を示す。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16