(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】吸収性物品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/535 20060101AFI20220930BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20220930BHJP
A61F 13/42 20060101ALI20220930BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
A61F13/535 200
A61F13/15 353
A61F13/15 355B
A61F13/42
A61F13/53 100
A61F13/53 200
(21)【出願番号】P 2020533297
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 SE2017000050
(87)【国際公開番号】W WO2019125227
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シラーストローム,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】コルネリウソン,ヘレナ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-061186(JP,A)
【文献】特表2017-501768(JP,A)
【文献】特開2012-179230(JP,A)
【文献】特開2012-034715(JP,A)
【文献】特表2012-513842(JP,A)
【文献】特表2016-514570(JP,A)
【文献】特開2016-120017(JP,A)
【文献】中国実用新案第203988675(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0303583(US,A1)
【文献】特開2016-087288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/535
A61F 13/15
A61F 13/42
A61F 13/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートとバックシートに挟まれた吸収性コアを備える吸収性物品であって、前記吸収性物品は、縦軸y1方向、及び前記縦軸に垂直方向に延びる横軸x1方向に配置され、前記吸収性物品は、前部、後部及びクロッチ部を特定し、ここで、前記吸収性コアは上部及び下部を備えるコアカバーで囲まれた吸収性部材を備え、かつ、前記吸収性コアは、前記クロッチ部の前記縦軸y1方向に延びる、幅がw1である第1チャネル密封部、及び幅がw2である第2チャネル密封部の2つのチャネル密封部を特定する、前記上部及び下部のコアカバー側面を接合する、密封部アレンジメントで構成され、ここで、前記吸収性コアの前部は、前記吸収性コアの前縁部から前記前部へ延びる深さがcである凹部を形成し、前記吸収性コアの前記前縁部と各チャネル密封部の前縁部との間の距離がl2であり、前記深さcと前記距離l2との比が0.05~0.8である、吸収性物品。
【請求項2】
凹部は、吸収性部材内に形成される、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
凹部は、コアカバー、及び吸収性部材内に形成される、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
物品の横方向のチャネル密封部間の距離b1が、凹部の最大幅b3未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
凹部の形状は、概ね、半円形、U字形、V字形、又は前部に延びる長方形である、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
吸収性コアの前縁部と各チャネル密封部の前縁部との間の距離l2が、50~180mmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
凹部の深さcは、10~40mmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
吸収性コアは、縦方向に延び、かつ、前部のみ、後部のみ、又は前記前部、及び前記後部の両方に概ね配置される、少なくとも1つの湿潤インジケータを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
湿潤インジケータがクロッチ部内に延びないように配置される、請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
湿潤インジケータは、チャネル密封部間に延びないように配置される、請求項8又は9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
湿潤インジケータは、縦軸y1に沿って配置される、請求項8~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
湿潤インジケータは、バックシートとコアカバーとの間に配置される、請求項8~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
吸収性コアは、略長方形である、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
チャネル密封部は、縦軸y1に略平行である、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
チャネル密封部は、吸収性材料を概ね含まない吸収性コアの部分を形成する2つの対応するチャネル内に配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項16】
チャネル密封部は、熱及び/又は機械溶接パターンにより形成される、請求項1~15のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項17】
溶接パターンは、第1軸方向の沿って延びるように配置される第1列、及び前記第1軸と協同して第1角度α1を画定する第2軸方向に沿って延びるように配置される第2列に配置される、複数の溶接スポットを備える、請求項16記載の吸収性物品。
【請求項18】
第1角度α1は、45~130°である、請求項17に記載の吸収性物品。
【請求項19】
溶接スポットは、概ね長方形又は長円形である、請求項17又は18に記載の吸収性物品。
【請求項20】
第1軸が、縦軸y1に対して30~60°にある第2角度α2を画定する、請求項17~19のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項21】
吸収性コアの側面に沿って2つの側部シームをさらに備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項22】
幅が第1幅a1である中心セグメント5aが、吸収性部材内の各チャネル密封部の間に設けられ、各々幅が第2幅a2である2つの側部セグメントが、前記吸収性部材内の前記各チャネル密封部の外側に設けられる、請求項1~21のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項23】
吸収性部材は、中心セグメントの吸収性材料の総量が、側部セグメント各々の前記吸収性材料の総量と概ね等しくなるように形成される、請求項22に記載の吸収性物品。
【請求項24】
第3幅b1と第4幅b2は、2つのチャネル密封部と2つの側部シームとの間の幅であり、第1幅a1と前記第3幅b1との比が、第2幅a2と前記第4幅b2の比よりも大きい、請求項22又は23に記載の吸収性物品。
【請求項25】
クロッチ部の吸収性部材のうち、吸収性材料の33~41質量%が中央セグメントに、前記吸収性材料の25~33質量%が各側部セグメントにある、請求項22~24のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項26】
クロッチ部の吸収性材料は、パルプ材料、及び超吸収性材料を含み、前記パルプ材料の坪量は、50~400g/m
2であり、前記超吸収性材料の坪量は、100~900g/m
2である、請求項22~25のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項27】
第1幅a1と第3幅b1の比が0.75~0.91であり、かつ、第2幅a2と第4幅b2の比が0.57~0.71である、請求項22~26のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項28】
第1幅a1、第2幅a2、第3幅b1、及び第4幅b2が、b1<b2*2、及びa1<a2*2である、請求項22~27のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項29】
吸収性部材は、基準重量が400~700g/m
2であり、前記基準重量の最大偏差が±5%である、吸収性材料を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項30】
チャネル密封部は、略直線である、請求項1~29のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項31】
上部及び下部を備えるコアカバーで囲まれた吸収性部材並びに前記上部及び下部のコアカバー側面を接合する密封部アレンジメントを含む、吸収性物品用吸収性コアであって、前記密封部アレンジメントは、クロッチ部の縦軸y1方向に延びる、幅がw1である第1チャネル密封部、及び幅がw2である第2チャネル密封部の2つのチャネル密封部を含み、ここで、前記吸収性コアの前部は、前記吸収性コアの前縁部から前記前部へ延びる深さがcである凹部を備え、前記吸収性コアの前記前縁部と各前記チャネル密封部の前縁部との間の距離がl2であり、前記深さcと前記距離l2との比が0.05~0.8である、吸収性コア。
【請求項32】
縦軸y1方向、及び前記縦軸に垂直方向に延びる横軸x1方向を備え、前部、後部、及びクロッチ部を画定する、吸収性物品の製造方法であって、以下の:
吸収性部材を備える吸収性コアを形成し、前記吸収性部材を上部及び下部を備えるコアカバーに囲む工程;
前記クロッチ部に2つのチャネル密封部を設け、前記上部及び下部のコアカバー側面を接合する工程;
前記吸収性コアを液体透過性トップシート(3)と液体不透過性バックシート(4)との間に挟む工程;を含み、ここで、前記囲む工程はさらに、以下の:
前記吸収性コアの前部に、前記吸収性コアの前縁部から前部に延びる深さがcである、凹部を形成する工程;及び、
前記吸収性コアの前記前縁部と前記各チャネル密封部の前縁部との間の距離がl2であり、前記深さcと前記距離l2との比が0.05~0.8である、前記
吸収性コアを形成する工程;を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体透過性トップシートと液体不透過性バックシートとの間に挟まれた吸収性コアを含む吸収性物品に関する。本開示はまた、吸収性物品用吸収性コア、及び当該吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装着可能な使い捨て吸収性物品、例えば、おむつ、失禁用衣類、女性用衣類等はよく知られている。当該物品は、使用時に装着者に高度な快適性と乾燥感を提供しつつ、様々な対外滲出物を吸収、分散、及び貯蔵するのに用いられる。
【0003】
おむつ形態の従来の使い捨て吸収性物品は、通常、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアを挟むように設計される。当該物品は、縦軸方向、及び縦軸に垂直な方向に延びる横軸方向に沿って配置される。さらに、当該物品は、前部、後部及びクロッチ部に分けることができ、当該コアは、クロッチ部に配置される。
【0004】
ユーザの臍周囲の部位は、吸収性物品を、新生児や乳幼児に用いる場合に、特に重要である。
【0005】
特許文献1は、一実施形態として、物品の装着時に、使用者の臍が位置する部位に近接して配置される切り抜き部分を備えるように構成される、吸収性コアを備える使い捨ておむつを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第29513199号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、おむつの全体的な快適性やフィット感が、特定の態様で吸収性コアに凹部を設けることにより、最適化されうるという洞察に基づく。
【0008】
本発明によれば、請求項1に記載の吸収性物品、請求項31に記載の吸収性コア、及び請求項32に記載の方法が供される。
【0009】
当該吸収性物品は、トップシートとバックシートに挟まれた吸収性コアを備え、当該物品は、縦軸方向、及び前記縦軸に垂直方向に延びる横軸方向に配置され、当該物品は、前部、後部及びクロッチ部を特定(画定)し、ここで、前記吸収性コアは上部及び下部を備えるコアカバーで囲まれた吸収性部材を備え、かつ、前記吸収性コアは、前記縦軸方向に延びる、第1チャネル密封部幅、及び第2チャネル密封部幅の2つのチャネル密封部を特定する、前記クロッチ部で前記上部及び下部のコアカバー側面を接合する、密封部アレンジメントで構成される。ここで、前記コアの前部は、コアの前縁部から前記前部へ延びる深さを特定する凹部を形成し、前記コアの前記前縁部と各チャネル密封部の前縁部との間には距離が特定され、前記深さと前記距離との比が、0.15~0.4等の0.05~0.8である。
【0010】
本開示は、フィット感、快適性及び機能の改善に関する、吸収性物品に関する要件を満たす。吸収性コア、特に、その前部に、吸収性物品が、特に、使用者の臍が位置する部位と、使用者のクロッチ部とを同時に、正確に位置決めするように配置された凹部を備える、吸収性物品が提供される。
【0011】
本開示は、具体的には、新生児及び乳幼児用吸収性物品に関し、おむつをクロッチ部の所定の位置に保持しつつ、臍及び臍周囲の部位をケアすることは、特に重要である。
【0012】
また、吸収性物品は、上記2つのチャネル密封部を含むので、吸収性コアに放出される流体が、(当該物品の湿潤状態で)当該コアのクロッチ部が十分な剛性を獲得するのに寄与しうるように、当該物品を調整して、使用時の物品のクロッチ部がたるむリスクを低減することが利点でありうる。
【0013】
凹部が収性部材に構成されてよい。当該凹部はまたコアカバー及び吸収性部材に構成されてよい。
【0014】
さらに、物品の横方向のチャネル密封部間の距離は、前記凹部の最大幅よりも短くてよい。前記凹部の幅は、40~60mm等の30~70mmであってよい。
【0015】
凹部は、概ね、半円形、U字形、V字形、又は前部に延びる長方形として形成されてよい。
【0016】
コアの前縁部と各チャネル密封部の前縁部との間の距離は、50~180mm、例えば75~110mmであってよい。
【0017】
凹部の深さは、10~40mm、例えば15~30mmであってよい。
【0018】
コアは、縦方向に延び、かつ、前部のみ、後部のみ、又は前記前部、及び前記後部の両方に概ね配置される、少なくとも1つの湿潤インジケータを備えることができる。
【0019】
湿潤インジケータは、変化インジケータであってもよい。
【0020】
湿潤インジケータは、前記クロッチ部に延びないように配置されてもよい。また、湿潤インジケータは、前記チャネル密封部間に延びないように配置されてもよい。
【0021】
湿潤インジケータは、前記縦軸に沿って配置することができる。
【0022】
湿潤インジケータは、バックシートと下部コアカバー側面との間等の、前記バックシートと前記コアカバーとの間に配置されてもよい。
【0023】
吸収性物品は、開いたおむつ又はパンツタイプのおむつの形態であってよい。
【0024】
チャネル密封部は、熱及び/又は機械溶接パターンによって形成されることができる。
【0025】
溶接パターンは、溶接スポットが第1軸に沿って延びる第1列と、溶接スポットが第2軸に沿って延びる第2列が、前記第1軸と第2軸が互いに第1角度を備えるように配置される複数の溶接スポットを備える。第1角度は、45~130°、例えば45~100°、例えば45~70°であってよい。
【0026】
溶接スポットは、概ね長方形又は長円形であってよい。
【0027】
第1軸は、前記縦軸に対して30~60°にある第2角度α2を備えることができる。
【0028】
チャネル密封部は、吸収性材料を概ね含まない吸収性コアの部分を構成する2つの対応するチャネル内に配置することができる。
【0029】
物品は、前記コアの側面に沿って2つの側部シームを備えることができる。
【0030】
物品は、吸収性部材内の各チャネル密封部の間に設けられる第1幅の中心セグメントと、前記吸収性部材内の前記各チャネル密封部の外側に設けられる、第2幅の2つの側部セグメントを備えてよい。
【0031】
吸収性部材は、中心セグメントの吸収性材料の総量が、側部セグメント各々の吸収性材料の総量と概ね等しくなるように形成されてよい。
【0032】
チャネル密封部の間に第3幅を画定することができ、チャネル密封部と側部シームとの間に第4幅を画定でき、第1幅と第3幅との比は、第2幅と第4幅の比よりも大きくてよい。
【0033】
吸収性物品は、クロッチ部の吸収性部材のうち、吸収性材料の総量の33~41質量%が中央セグメントに、前記吸収性材料の総量の25~33質量%が各側部セグメントにあるように構成できる。
【0034】
前記クロッチ部の吸収性材料は、パルプ材料及び超吸収性材料を含んでよく、前記パルプ材料の坪量は、50~400g/m2であり、前記超吸収性材料の坪量は、100~900g/m2である。
【0035】
第1幅と第3幅の比は、0.80~0.86等の0.75~0.91であってよく、第2幅と第4幅の比は、0.62~0.66等の0.57~0.71であってよい。
【0036】
第1幅、第2幅、第3幅及び第4幅を、b1<b2*2、及びa1<a2*2と設定できる。
【0037】
吸収性部材は、基準重量が400~700g/m2であってよく、前記基準重量の最大偏差が±5%である、吸収性材料を含む。
【0038】
チャネル密封部は、略直線であってよい。また、チャネル密封部は、前記縦軸に略平行であってよい。吸収性コアは、略長方形であってよい。
【0039】
上部及び下部を備えるコアカバーで囲まれた吸収性部材と、クロッチ部に、縦軸に沿って延伸する、第1チャネル密封部幅、及び第2チャネル密封部幅を画定する、2つのチャネル密封部を備える、前記上部及び下部のコアカバー側面を接合する密封部アレンジメントとを含む、吸収性物品用吸収性コアも提供される。さらに、前記コアの前部は、前記コアの前縁部から前記前部へ延びる深さが画定される凹部を備え、前記コアの前記前縁部と各チャネル密封部の前縁部との間の距離が画定され、前記深さと前記距離との比が、0.15~0.4等の0.05~0.8である。
【0040】
縦軸y1方向、及び前記縦軸に垂直方向に延びる横軸x1方向を備え、吸収性コア、前部、後部、及びクロッチ部を備える、吸収性物品の製造方法であって、以下の:吸収性部材を備える前記吸収性コアを形成し、前記吸収性部材を上部及び下部を備えるコアカバーに囲む工程;前記クロッチ部に2つのチャネル密封部を設け、前記上部及び下部のコアカバー側面を接合する工程;前記吸収性コアを液体透過性トップシート(3)と液体不透過性バックシート(4)との間に挟む工程;を含む方法もまた提供される。さらに、前記囲む工程はさらに、以下の:前記吸収性コアの前部に、前記吸収性コアの前縁部から前部に延びる深さを画定する、凹部を形成する工程;及び、前記コアの前記前縁部と各チャネル密封部の前縁部との間の距離が画定され、前記深さと前記距離との比が0.15~0.4等の0.05~0.8である、前記コアを形成する工程;を含む。
【0041】
本開示のさらなる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属項に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図3】
図1及び2で示されるおむつ用と意図される吸収性コアを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示の様々な態様は、添付の図面を参照して、以下により詳細に説明される。しかしながら、本明細書に開示された実施形態は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載された態様に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0044】
図1には、ベビー用オムツの形態の吸収性物品1の上方から見た図が示される。
図1では、吸収性物品1は、折り畳まれていない平らな状態で示される。また、吸収性物品1は、着用者の体液を吸収する吸収性構造に基づき、着用者にドライで快適なフィット感を提供する。
【0045】
図1に示すように、吸収性物品1は、液体透過性トップシート3と、液体不透過性バックシート4と、トップシート3とバックシート4との間に挟まれた吸収性コア5とを備える。トップシート3は、物品1の表面、すなわち、着用者に面する側に配置され、バックシート4は、物品1の下側に配置される。さらに、トップシート3とバックシート4はともに、物品1の全周に沿って、吸収性コア5の外側に横方向に延びてもよい。
【0046】
図1に示す吸収性コアのデザインは長方形である。しかしながら、本開示は、当該デザインに限定されるものではなく、本発明の範囲内の一般的ないかなる幾何学的形態でも形成されることができる。
【0047】
トップシート3、バックシート4、及び吸収性コア5は、以下にさらに詳細に説明するように、各々の目的に適したいかなる材料から構成されてよい。
【0048】
図1に示すように、吸収性物品1には、縦軸y1方向の縦延伸部と、縦軸y1に垂直な横軸x1方向の横延伸部とがある。さらに、吸収性物品1を、前部6、後部7、及びクロッチ部8に分割して特定してもよい。前部6及び後部7には各々、ウエスト縁部2がある。前部6は、物品1の使用時に着用者の前腹の方向に面するように意図される。
【0049】
さらに、
図1及び
図2を参照すると、
図2は、横軸x1方向の吸収性物品1の断面図であり、吸収性コア5には、コアカバー上部11とコアカバー下部12との間に挟まれた、吸収性部材5a、5b、5cがあり、コアカバー上部11をコアカバー下部12に接合するように構成された、2つの縦方向に延びる略直線のチャネル密封部9、10で構成され、特に
図2では、吸収性コア5は、コアカバー上部11とコアカバー下部12との間に挟まれていることに留意されたい。本開示は、2つのコアカバー層を含むコアカバーに限定されない。当該コアカバーは、単一の材料層であってもよい。当該吸収性部材は、2つに折り畳まれた1つのコアカバー層によって囲まれてもよく、又は連続したコアカバーシートによって囲まれてもよく、それにより、吸収性部材を包む上部及び下部コアカバー側面が提供される。
【0050】
コアカバー上部11及びコアカバー下部12は、例えば、熱密封、超音波接合等の熱及び/又は機械的接合による、様々な技術により、互いに接着されることができ、1又は複数の接着剤、縫合等と組み合わせることができる。
図1及び
図2では、コアカバー上部11とコアカバー下部12は、超音波溶接により互いに接合される。
【0051】
チャネル密封部9、10は、吸収性材料が充填されていない吸収性コア5の部分を構成する2つの対応するチャネル13、14に沿って配置される。これは、マット形成プロセスを含む吸収性コア5を製造することによって得られ、その間、吸収性材料は、チャネル13、14に対応する領域から省略される。このようにして、チャネル13、14、すなわちチャネル密封部9、10が配置された場合、吸収性材料は存在しない。
【0052】
図1に示すように、コア5の前部6は、凹部27が形成される。当該凹部27は、主として
図4を参照して、以下でより詳細に説明される。
【0053】
図1及び
図2に示すように、吸収性コア5は、クロッチ部8内で、中央セグメント5a及び二つの側部セグメント5b、5cに分割することができる。したがって、上記2つのチャネル13、14、及びチャネル密封部9、10は、クロッチ部8に沿って3つのセグメント5a、5b、5cを互いに離間するように構成される。また、各チャネル密封部9、10の長さl1は、クロッチ部8の長さに対応することができ、各チャネル13、14の長さよりもわずかに短くてもよい。
【0054】
吸収性コア5は、略長方形であってよく、前記縦軸y1に略平行で、第1チャネル密封部幅w1及び第2チャネル密封部幅w2を画定する、2つの略直線チャネル密封部9、10を備える。本開示は、長方形コア5及び略直線チャネル密封部9、10に限定されず、すなわち、他の幾何学的形態であってよい。チャネル密封部9、10は各々、第1チャネル13及び第2チャネル14内に配置され、コアカバー上部11をコアカバー下部12に取り付けるように構成される。
【0055】
さらに、中央セグメント5aは、コア5のチャネル密封部9、10の間に画定されてよい。また、2つの側部セグメント5b、5cは、コア5の各チャネル密封部9、10の外側に画定されてよい。より具体的には、第1側部セグメント5bは、第1チャネル密封部9と第1側部シーム15との間に配置され、第2側部セグメント5cは、第2チャネル密封部10と第2側部シーム16との間に配置される。側部シーム15、16は、コアカバー上部11をコアカバー下部12に、好ましくは、チャネル密封部9、10に関して、超音波溶接又は上記の他の関連技術により接合されて構成される。さらに、側部シーム15、16は、吸収性コア5の第1側縁17及び第2側縁18方向に、吸収性コア5の各側面に延伸する。
【0056】
上記のように、クロッチ部8の長さl1は、チャネル密封部9、10の長さと等しくてよく、すなわち、チャネル密封部9、10は、クロッチ部8に沿ってのみ延伸することができる。しかしながら、側部シーム15、16は、クロッチ部8に沿って位置決めされるだけでなく、前部6及び後部7に沿って延伸することもできる。これについては、以下に詳述する。
【0057】
要約すると、吸収性コア5は、2つのチャネル密封部9、10及び、場合によっては、また2つの側部シーム15、16から構成される密封部アレンジメントで構成される。密封部アレンジメントは、クロッチ部8において、吸収性コア5が、中央セグメント5aと2つの側部セグメント5b、5cとに分割されるように構成されてよい。より具体的には、
図2に示すように、中央セグメント5aは第1幅a1を備え、各側部セグメント5b、5cは第2幅a2を備える。また、第3幅b1が、2つのチャネル密封部9、10の間に画定される。さらに、第4幅b2が、第1チャネル密封部9と第1側部シーム15との間、及び第2チャネル密封部10と第2側部シーム16との間に画定される。
【0058】
図1及び
図2によれば、吸収性部材5a、5b、5cは、中央セグメント5aの吸収性材料の総量が、側部セグメント5b、5c各々の吸収性材料の総量と概ね等しいか、それより多くなるように構成されてよい。以下により詳細に説明するように、吸収性材料は、パルプ材料と超吸収性材料との混合物を含んでもよい。また、第1幅a1と第3幅b1との比率は、第2幅a2と第4幅b2との比率よりも大きい。実際、これは、吸収性物品1を湿潤状態で使用する間、中央セグメント5aの吸収性材料の膨張に利用可能な空間が、対応する各側部セグメント5b、5cの利用可能な空間よりも小さいことを意味する。これにより、中央セグメント5aの剛性は、(湿潤時に)側部セグメント5b、5cの剛性より高くなる。これは、吸収性物品1のクロッチ部8のいかなるたるみ傾向も、特に湿潤時に、軽減されることを意味する。
【0059】
中央セグメント5aの吸収性材料量を、側部セグメント5b、5cと比較して記載するために用いる、上記表現「おおむね等しい」は、吸収性材料量が、いかなるクロッチ部8の部分でも、約±5%変動しうるように解釈されるべきである。
【0060】
吸収性物品1は、クロッチ部8の吸収性材料の総量の33~41質量%が中央セグメント5aに、クロッチ部8の吸収性材料の総量の25~33質量%が側部セグメント5b、5c各々にあるように構成することができる。このように、中央セグメント5aの所望の剛性を得ることができる。
【0061】
要約すると、吸収性コア5は、吸収性物品1のクロッチ部8内に上記3つのセグメント5a、5b、5cを含む、吸収性部材を含んでよい。クロッチ部8の吸収性部材5a、5b、5cは、パルプ状の吸収性材料と超吸収性材料で構成されてよい。パルプ材料の坪量は、50~400g/m2の範囲であり、超吸収性材料の坪量は、100~900g/m2の範囲であってよい。しかしながら、上記のように、クロッチ部8で選択された坪量の±5%の偏差が容認されて、十分な剛性の中心セグメント5aが提供され、物品1のたるみ傾向が低減されるという目的が達成される。
【0062】
吸収性物品1には様々な材料が用いられてよい。トップシート3は、吸収性物品1の着用時に着用者に面するように配置される。トップシート3は、熱可塑性合成繊維で作製された液体透過性不織布又はフィルムにより構成されてよい。トップシート3は、排出体液がトップシート3の厚さを貫通するのに十分な液体透過性を備えてよい。また、トップシート3は、好ましくは、着用者の肌にフィットしてソフトな感触を付与する材料で作製されることができる。トップシート3は、単層で構成されてもよく、又は複数層、例えば、2又はそれ以上の層を含む積層構造であってもよい。これらの層は、同一材料で作製されてよく、又は、部分、若しくは全ての層が、異なる材料で作製されてもよい。
【0063】
トップシート3の層、又は積層構造の場合には、トップシートの1、部分、又は全ての層は、単一材料で作製されてよく、又は、例えば、着用者に面するトップシートの表面の異なる部分内に、異なる材料で作製された部分が複数あってよい。
【0064】
トップシート3の層、又は積層構造の場合には、トップシートの1、部分、又は全ての層は、不織布材料、多孔プラスチックフィルム、プラスチック又は織物のメッシュ、又は液体透過性発泡層であってよい。
【0065】
トップシート3の層、又は積層構造の場合には、トップシートの1、部分、又は全ての層は、例えば、親水性の不開口不織布材料ウェブ、綿又はパルプ繊維等の天然繊維、ポリエステル又はポリプロピレン繊維等の合成繊維、又はこれらの繊維の組み合わせであってよい。
【0066】
トップシートの坪量は、8~40g/m2の範囲であってよい。しかしながら、本開示は、この秤量のトップシートのみに限定されない。
【0067】
さらに、バックシート4は、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンのフィルム等のポリマーフィルム等の、液体不透過性かつ通気性の層により構成されてよい。さらなる実施形態では、バックシート4で用いられうる材料としては、薄くて柔軟な液体不透過性プラスチックフィルム、又は液体不透過性不織布材料、液体不透過性フォーム、及び液体不透過性積層体があげられる。
【0068】
バックシート4は、単一層で構成されてよいが、積層構造、すなわち、少なくとも1つの層が液体不透過性である積層体により構成されてよい。
【0069】
さらに、バックシート4は、いかなる方向に弾性であってもよい。さらに、バックシート4には、液体不透過性と不織布層が互いに重なり合って配置される(図面には詳細には示さず)積層構造があってよく、不織布層は、着用時に吸収性物品1の着用者から離れた外側に配置される。
【0070】
不織布層は、熱可塑性ポリマー材料繊維又はフィラメントで作製されることができる。不織布層は、スパンボンド法、エアレイ法、メルトブロー法、又はボンデッドカードウェブ形成法等の様々な方法で作製できる。不織布層は、ポリプロピレンのSMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)又はSS(スパンボンド/スパンボンド)の不織布材料、又はポリプロピレン及びポリエチレンの二成分繊維、又はこれらの材料の組み合わせから作製することができる。不織布層の坪量は、5~40g/m2の範囲であってよい。
【0071】
液体不透過性シートは、プラスチック材料、例えば、熱可塑性フィルム材料、及び/又は不織布材料で作製されてよい。例えば、液体不透過性シートは、例えば、熱可塑性層等のプラスチック層、又は例えば、熱可塑性フィルム等のプラスチックフィルムとして作製しうる。熱可塑性フィルム材料等のプラスチック材料で液体不透過性シートを作製すると、液体不透過性シートの印刷性が特に良好になる。液体不透過性シートはまた、紙繊維を含んでもよい。
【0072】
液体不透過性シートは、液体不透過性、通気性、又は非通気性層であってよい。液体不透過性シートは、単一層、又は複数層、例えば、2層以上、3層以上、又は4層以上の積層構造で作製されてよい。液体不透過性シートの層は、例えば、熱密封、超音波溶接、1又は複数の接着剤、縫合等の超音波接合等の熱的及び/又は機械的接合により、互いに積層、接着又は取り付けられる。
【0073】
液体不透過性シートは、通気性微小多孔質フィルムであってよい。微孔性フィルムは、少なくとも2つの基本成分、すなわち熱可塑性エラストマーポリオレフィンポリマー及び充填剤を含む材料で作製しうる。これらの構成要素、及びいくつかの実施形態では、さらなる他の構成要素とともに混合され、加熱された後、鋳造エンボス加工、冷却及び平坦鋳造、及びブローフィルム加工等の様々なフィルム製造方法のいずれか1つを用いて、単層又は多層フィルムに押出されてよい。
【0074】
吸収性物品中の様々な層の材料の選択に関して、チャネル密封部及び側部シームを形成する結合方法のための材料が選択されてもよい。例えば、コアカバー上部とコアカバー下部12を接合するのに超音波溶接が選択される場合、コアカバー用に選択された材料は、超音波溶接中に接合を確実にするように適合されうる。
【0075】
さらに、トップシート3とバックシート4との間には、トップシート3を通過した尿や他の体液等の液体を吸収する吸収性コア5が設けられる。吸収性コア5は、セルロースフラッフパルプ、フォーム、ファイバーワッディング等の他の適当な吸収性又は液体吸収性材料から作られる1の層のみで作製されてよい。
【0076】
吸収性コア5は、適当量の超吸収性粒子を含んでよい。当該超吸収性材料は、吸収性物品業界で周知であり、ヒドロゲルの形成時に大量の液体を吸収しうる水膨張性かつ水不溶性の材料で構成される。吸収性コア5は、吸収性ポリマー材料の繊維又は粒子の形態の超吸収性材料を含んでよい。例えば、超吸収性材料は、表面架橋され、部分的に中和されたポリアクリレートであってよい。
【0077】
さらに、上記のように、コアカバー11,12は、坪量5~20g/m2の不織布材料で作製されてよい。織布材料は、熱可塑性ポリマー材料の繊維又はフィラメントで作製しうる。不織布層は、スパンボンド法、エアレイ法、メルトブロー法、またはボンデッドカードウェブ形成法等の様々な方法で作製しうる。不織布層は、ポリプロピレンのSMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)又はSS(スパンボンド/スパンボンド)の不織布材料、又はポリプロピレン及びポリエチレンの二成分繊維、又はこれらの材料の組み合わせで作製することができる。
【0078】
超吸収性材料、例えば超吸収性繊維又は粒子は、セルロースフラッフパルプ等の他の吸収性又は液体吸収性材料と混合されてよく、及び/又は吸収性コア5内のポケット又は層に配置されてもよい。吸収性コア5中の超吸収性材料及びパルプの比率は、0~50質量%のパルプ繊維及び50~100質量%の超吸収性材料とすることができる。
【0079】
吸収性コア5は、吸収性コア5の特性を改善する成分をさらに含んでよい。例えば、吸収性コア5は、バインダー繊維等の1又はそれ以上のバインダーを含んでもよい。
【0080】
さらに、当業者に公知であるように、吸収性物品1の様々な層は、接着材料を用いて接着されてよい。このような接着剤は図面には示されない。
【0081】
吸収性物品1内には、1又はそれ以上のさらなる層を設けることができる。例えば、吸収性コア5とトップシート3との間に、捕捉層を配置することができる。このようなさらなる層は、例えば、エアレイド層、スパンレース層、高ロフト、発泡体、又は液体獲得及び吸収層として作用するために吸収性物品中で使用され得る任意の他のタイプの材料層の形態であってもよい。取得層は、吸収性コアに吸収される前に、排出された液体を迅速に受け入れ、一時的に貯蔵するように構成される。このような捕捉層は、例えば、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ハイロフト不織布または発泡体材料で作製されてよい。エアレイド不織布は、毛羽、木材パルプで製造することができ、ここで毛羽繊維は、高速移動する空気流中に分散され、加圧及び真空により移動するスクリーン上に凝縮される。
【0082】
一実施形態では、中央セグメント5a第1幅a1と第3幅b1、すなわち、チャネル密封部9、10間の距離の比率(すなわち、a1/b1)は、0.75~0.91、例えば0.80~0.86の範囲である。さらに、各側部セグメント5b、5cの第2幅a2と第4幅b2の比率、すなわち、各チャネル密封部9、10と、その対応する隣接する側部シーム11、12との間の距離(すなわち、a2/b2)は、0.57~0.71、例えば、0.62~0.66の範囲である。このように、中央セグメント5aに必要な剛性を獲得しうる。
【0083】
一般に、物品1は、第1幅a1と第3幅b1との比率が、第2幅a2と第4幅b2との比率よりも大きいように配置されるが、これはすなわち、
(a1/b1)>(a2/b2)
である。
【0084】
さらに、第1幅a1、第2幅a2、第3幅b1及び第4幅b2は各々、以下:
b1<b2*2 及びa1<a2*2
のように構成することができる。
【0085】
吸収性物品1は、上記第1幅a1、第2幅a2、第3幅b1及び第4幅b2の配置、及び、吸収性コア5における吸収性材料の上記配置により、中央セグメント5a及び吸収性物品1全体に所望の剛性を提供するように配置されてよい。これは、湿潤状態の中央セグメント5aの剛性が、各側部セグメント5b、5cの剛性よりも高くなるよう構成されていることを意味する。これはまた、中央セグメント5a及び側部セグメント5b、5cからなる吸収性部材に湿潤時膨張能があり、乾燥時を第1体積、完全に膨張した湿潤状態を第2体積と示す場合、第2体積が第1体積より大きくなるように構成されうることを意味する。
【0086】
図1より、各チャネル密封部9、10の、クロッチ部8の縦延伸に対応する長さはl1又はそれよりわずかに短くありうることに留意されたい。チャネル密封部9、10の長さl1は各々、吸収性物品1の全長lの5~50%、例えば、10~50%、例えば、28~38%の範囲であってよい。さらに、各チャネル密封部9、10の長さl1は、吸収性コア5の長さの10~60%、例えば20~60%、例えば30~50%の範囲であってよい。
【0087】
さらなるパラメーターは、吸収性物品1のチャネル密封部9、10の縦方向の位置である。当該位置は、物品1の前縁19と各チャネル密封部9、10の前縁20との間の距離l2を適当な値を選択して決めることができる。これは、明らかに、前記距離l2を短くすると物品1の後縁21とチャネル密封部9、10の後縁22との間の距離l3が長くなり、その逆も同様であることを意味する。
【0088】
吸収性物品1の縦方向におけるチャネル密封部9、10の位置は、物品1の前縁17と各チャネル密封部9、10の前縁18との間の距離l2が、物品1の全長lの15~40%の範囲、例えば22~25%の範囲であるように選択されうる。
【0089】
上記のように、吸収性コア5は、コアカバー上部11とコアカバー下部12との間に挟まれている。吸収性コア5は、吸収性物品1の作製中にトップシート3とバックシート4との間に配置され、不織布に包まれた単一層として作製することができる。
【0090】
さらに、吸収性コア5には、スキンケア組成物等の少なくとも1つの添加剤材料が含まれてよい。側部セグメント5b、5cが、スキンケア組成物の形態の少なくとも1つの添加剤材料を含むことは有利であり得る。側部セグメント5b、5cが、吸収性物品1の着用者の身体に最も近いからである。添加剤は、側部セグメント5b、5cを覆うトップシートの部分に配置されてよい。
【0091】
当業者に公知のように、吸収性物品1にはさらに、例えばベビー用おむつや失禁用衣類等の吸収性物品に一般に用いられる締め付けタブ、弾性要素、及び他の要素等のさらなる構成要素を備えてよい。このような追加の構成要素は、本明細書では詳細に説明されない。
【0092】
図1を参照すると、吸収性コア5は密封部アレンジメント9、10、15、16、すなわち、上記チャネル密封部9、10と、場合によってはまた、側部シーム15、16を備える。
図1に示すように、側部シーム15、16は、コアの側縁17、18に沿って延伸してもよい。
【0093】
側部シーム15、16は、吸収性物品1のクロッチ部8方向に、第1側部シーム幅及び第2側部シーム幅w4をそれぞれ画定することができる。
【0094】
図1に示すように、チャネル密封部9、10は、略直線状であり、縦軸x1に略平行である。また、側部シーム15、16は、縦軸x1に対して略直線状であってよい。
【0095】
図3を参照して、上記凹部27について、より詳細に説明する。凹部27は、コア5の前縁部28から延びる深さcと、前部6への所定の距離と、を画定する。さらに、距離l2は、コア5の前縁部28と各チャネル密封部9、10の前縁部20との間を画定する。前記深さcと前記距離l2との比は、0.15~0.4等の、0.05~0.8の範囲内である。
【0096】
凹部27は、吸収性部材5a、5b、5cのみに形成されてよい。さらに、凹部27は、コアカバー11、12及び吸収性部材5a、5b、5cに形成されてもよい。
【0097】
図3をさらに参照すると、物品1の横方向のチャネル密封部9、10間の距離b1は、前記凹部27の最大幅b3より短くてよい。当該配置は、物品1のクロッチ部8が、放出流体のレベルが比較的低くても、物品1の湿潤時には、比較的高い剛性が付与されるため、有利である。これは、新生児、又は乳幼児が用いる吸収性成形品に有利であるが、それは年長の子供又は成人と比較して成形品中に放出される流体がより少ないからである。
【0098】
コア5の前縁部28と各チャネル密封部9、10の前縁部20との間の距離l2は、例えば75~110mm等の、50~180mmであってよい。また、凹部27の深さcは、15~30mm等の、10~40mmであってよい。当該測定値は、本開示が提供する上記利点に寄与する。
【0099】
さらに、凹部27は、
図4に示すように、略半円形であってもよい。凹部27は、U字形、V字形、又は前部に延びる長方形の形状であってよい。
【0100】
図3に示すように、吸収性コア5は、場合によっては、縦方向に延びる、前記前部6のみに配置される、湿潤インジケータ29を備えることができる。また、コア5には、
図3にも示すように、後部のみに配置される、湿潤インジケータ30が設けられてよい。あるいは、コア5は、
図3に示すように、湿潤インジケータ29、30をともに備えることができる。
【0101】
湿潤インジケータ29、30は、当業者に公知なように、pHインジケータ又は水溶性染料等の着色剤を含む接着性組成物の比較的薄い層によって構成されてよい。当該湿潤インジケータの一つは、コルキミカ社のKmeltW2488OLである。湿潤インジケータは、湿度及び/又はpHの変化に感受性があり、湿潤時の外観/色を変化させうる。このように、湿潤インジケータ29、30は、尿に接触すると、視覚信号を提供するように構成することができる。湿潤インジケータ29は、スロットコーティングにより塗布することができる。
【0102】
湿潤インジケータ29、30は、前記クロッチ部8に延びないように配置されてもよい。また、湿潤インジケータ29、30は、前記チャネル密封部9、10の間に延びないように配置されてもよい。
【0103】
さらに、湿潤インジケータ29、30は、前記縦軸y1に沿って配置されてもよい。湿潤インジケータ29、30は、バックシート4と下部コアカバー側12との間に配置されてもよい(
図2も参照)。
【0104】
湿潤インジケータ29は、縦軸y1(
図1も参照)と略直線で平行なストリップを形成しうる。さらに、湿潤インジケータ29は、前記縦軸y1に沿って前部6にほぼ対称に延在する。
【0105】
湿潤インジケータ29の長さl4は、吸収性コア5の長さlの5~35%であってよい。また、湿潤インジケータ29の長さl4は、チャネル密封部9、10の長さl1の5~35%であってよい。
【0106】
図3は、場合によっては備えられてよい1つの湿潤インジケータ29、又は場合によっては備えられてよい2つ湿潤インジケータ29、30を備える吸収性コア5を示すが、本発明は、当該構成に限定されず、当該湿潤インジケータ29、30を用いずに実施しうることに留意されたい。
【0107】
図1及び4を参照して、密封部アレンジメント9、10、15、16は、超音波溶接で作製された溶接パターン23によって構成されてよい。溶接パターン23は、第1軸25に沿って配置される第1列23aに配置される溶接スポット24を含むことができる。また、さらなる数の溶接スポット24が、溶接スポット24が第2軸26に沿って延びる第2列23bに配置される。さらに、第1軸25及び第2軸26は、互いに第1角度α1を画定するように延伸する。このように、吸収性コア5は、材料強度が縦方向及び横方向でも確実に、高いレベルになるように製造することができる。
【0108】
溶接スポット24は、概ね長方形、楕円形、又は長円形であってよい。また、上記第1角度α1の範囲は、45~130°であってよい。
図4に示すように、第1角度α1は、90°であってよい。
【0109】
図4を参照して、密封部アレンジメント9、10、15、16は、超音波溶接で作製された溶接パターン23によって構成されてよい。溶接パターン23は、第1軸25に沿って配置される第1列23aに配置される溶接スポット24を含むことができる。また、さらなる数の溶接スポット24が、溶接スポット24が第2軸26に沿って延びる第2列23bに配置される。さらに、第1軸25及び第2軸26は、互いに第1角度α1を画定するように延伸する。このように、吸収性コア5は、材料強度が縦方向及び横方向でも確実に、高いレベルになるように製造することができる。
【0110】
溶接スポット24は、概ね長方形、楕円形、又は長円形であってよい。また、上記第1角度α1の範囲は、45~100°であってよい。
図4に示すように、第1角度α1は、90°であってよい。
【0111】
また、
図4に示すように、第1軸25は、30~60°の範囲内の前記縦軸y1と角度α2を画定することができる。
【0112】
図1及び4は、クロッチ部8に沿った各側部シーム15、16の溶接スポットの1列23c、及び前部6及び後部7に沿った各側部シーム15、16の溶接スポットの3列23c、23d、23eを各々教示する。また、各側部シーム15、16は各々、前部6及び後部7に沿った第3側部シーム幅及び第4側部シーム幅を画定することができる。
【0113】
図4及び5に示すように、第1列23a及び第2列23bの幅w2は、第1列23aの溶接スポット24の有効幅w2aと、第2列23bの溶接スポット24の有効幅w2bとの和に等しいという意味で「有効」幅として画定でき、各「有効幅」は、
図5に示すように、物品1の横方向の溶接スポット24の長さと画定できる。同様に、溶接スポット24の第3列23cの有効幅w4c、w6cも
図5に示す。クロッチ部8の第3列23cの有効幅は、
図5に示すように、前記横方向の溶接スポット24の長さw4cである。また、クロッチ部8の外側の側部シーム16の有効幅(
図1にも示される)、すなわち側部シーム16を構成する3つの列23c、23d、23eを合計した有効幅は、
図5に示すように長さw6d、w6c、w6eの合計である。
【0114】
物品1の横方向の有効チャネル密封部の幅w1、w2、並びに第1側部シーム、及び第2側部シームの幅w3、w4、w5、w6の合計は、コア5の縦方向でおおむね一定であってもよい。これは、チャネル密封部9、10及び側部シーム15、16の超音波溶接を含む製造方法では特に有利である。なぜなら、当該製造方法では、チャネル密封部9、10及び側部シーム15、16の超音波溶接がコア5の縦方向に作製される場合、ほぼ一定のエネルギーが要求されるように構成することができるからである。
【0115】
次に、吸収性物品1の製造方法について説明する。まず、吸収性コア5を、吸収性部材5a、5b、5cにより形成し、上部コアカバー11と下部コアカバー12との間で前記吸収性部材5a、5b、5cを囲む。次に、密封部アレンジメント、すなわち、チャネル密封部9、10、及び場合によっては側部シーム15、16を、上部コアカバー層11と下部コアカバー層12とを接合するように形成する。上記のように、密封部アレンジメント9、10、15、16を、超音波溶接で形成してもよい。
【0116】
また、吸収性コア5は、コアカバー11、12で囲まれた吸収性部材5a、5b、5cと、2つのチャネル密封部9、10と、場合によっては側部シーム14、15とを備える密封部アレンジメント9、10、15、16とで形成されてもよい。上部コアカバー11と下部コアカバー12は、前記密封部アレンジメント9、10、15、16を画定するように接合される。
【0117】
さらに、前記形成工程は、コア5の前部6に凹部27を形成する工程を含み、凹部27は、前記コア5の前縁部28から前記前部6へ延びる深さcを画定する。形成工程はまた、コア5の前記前縁部28と各チャネル密封部9、10の前縁部20との間の距離をl2と画定するように、コア5を形成する工程を含み、前記深さcと前記距離l2との比は、0.15~0.4等の0.05~0.8である。
【0118】
吸収性コア5及び密封部アレンジメント9、10、14、15は、中央セグメント5aがチャネル密封部9、10と2つの側部セグメント5b、5cとの間に形成されるように、各チャネル密封部9、10の外側に形成されるように形成されてよい。より具体的には、中心セグメント5aの第1幅はa1であり、各側部セグメント5b、5cの第2幅はa2でありうる。また、コア5のチャネル密封部9、10の間には第3幅b1があり、チャネル密封部9、10と側部シーム15、16の間に第4幅b2があるように形成されてよい。
【0119】
物品1(
図1参照)は、吸収性コア5を液体透過性トップシート3と液体不透過性バックシート4との間に挟んで形成される。物品1は、上記のように、縦軸y1及び横軸x1を画定する。また、物品1は、前部6、後部7、及びクロッチ部8を画定する。さらに、チャネル密封部9、10は、クロッチ部8に配置され、すなわち、各チャネル密封部9、10の長さl1は、クロッチ部8の延びに対応しうる。
【0120】
吸収性部材5は、中心セグメント5aの吸収性材料の総量が、側部セグメント5b、5c各々の吸収性材料の総量と概ね等しくなるか、又はそれよりも多くなるように形成されてもよい。さらに、第1幅a1と第3幅b1との比が第2幅a2と第4幅b2との比よりも大きくなるように、吸収性コア5を形成する製造方法を構成してもよい。これは、
図1及び2を参照して、上記の説明に対応する。
【0121】
本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記のように、吸収性物品1を構成する異なる層に用いられる材料及び寸法を変えてよい。吸収性物品は、当業者に公知のように、意図される吸収性物品に応じて、直立ギャザー、サイドパネル、締結システム等をさらに含んでもよい。