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特許7150024下方押圧ブラダを有する空気圧式ジャッキ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】下方押圧ブラダを有する空気圧式ジャッキ
(51)【国際特許分類】
   B66F 3/35 20060101AFI20220930BHJP
   B66F 5/04 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
B66F3/35
B66F5/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020535016
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 US2018064274
(87)【国際公開番号】W WO2019139699
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】15/866,023
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520216150
【氏名又は名称】コッカロ,アルバート ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コッカロ,アルバート ヴイ.
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-069077(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0187107(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0136951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 3/35
B66F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャッキ本体と、
前記ジャッキ本体に枢動可能に連結された持ち上げアームと、
前記持ち上げアームの近位端に枢動可能に連結された下マウントと、
前記ジャッキ本体に取り付けられた上マウントと、
前記下マウントと前記上マウントとの間に配設されたブラダと、
前記ジャッキ本体に取り付けられた複数の車輪と、を備え、
前記複数の車輪が水平面上で停止しているとき、
前記上マウントが前記下マウントより高く位置付けられており、
前記ブラダを膨張させると、前記下マウントに下向きの圧力が加えられ、前記下マウントを下方に移動させ、
前記ブラダが少なくとも部分的に膨張している間に前記ブラダを収縮させると、前記下マウントへの前記下向きの圧力が取り除かれて、前記下マウントが上向きに移動することが可能になり、
前記下マウントの下方移動により、前記持ち上げアームの前記近位端が下がり、前記持ち上げアームの遠位端が上がり、
前記下マウントの上方移動により、前記持ち上げアームの前記近位端が上がり、前記持ち上げアームの前記遠位端が下がる、機器。
【請求項2】
前記ジャッキ本体が、
一対の下部側壁と、
前記複数の車輪が水平面上で停止しているとき、前記一対の下部側壁から上方に突出している一対の上部側壁と、を備える、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記一対の下部側壁の間に渡されている下板をさらに備える、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記ジャッキ本体が、前記ジャッキ本体に取り付けられた一対の内部側壁をさらに備え、
前記持ち上げアームが、前記一対の内部側壁の少なくとも1つに枢動可能に連結されている、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記持ち上げアームに略平行であり、一対の持ち上げアームを形成する第2の持ち上げアームをさらに備える、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記下マウントが、前記一対の持ち上げアームの間に少なくとも部分的に配設されている、請求項5に記載の機器。
【請求項7】
前記下マウントが、前記ブラダが取り付けられる下プラッタを画定する、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記上マウントが、前記ブラダが取り付けられる上板を画定する、請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記ブラダの膨張及び収縮を制御するように作動する弁をさらに備える、請求項1に記載の機器。
【請求項10】
前記ブラダが空気ばねを備える、請求項1に記載の機器。
【請求項11】
前記複数の車輪のうちの少なくとも1つがキャスタを備える、請求項1に記載の機器。
【請求項12】
前記持ち上げアームの前記遠位端に枢動可能に連結された取付ブロックをさらに備える、請求項1に記載の機器。
【請求項13】
前記持ち上げアームに略平行であり、一対の持ち上げアームを形成する第2の持ち上げアームをさらに備え、
前記取付ブロックが、前記一対の持ち上げアームの間に少なくとも部分的に配設されている、請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記取付ブロックに取り付けられたジャッキパッドをさらに備える、請求項12に記載の機器。
【請求項15】
前記ジャッキ本体及び前記取付ブロックに枢動可能に連結され、それらの間に渡されている前方安定化部材をさらに備える、請求項12に記載の機器。
【請求項16】
前記前方安定化部材が、前記ジャッキ本体上の前記持ち上げアームとは異なる位置で、前記ジャッキ本体に枢動可能に連結されており、
前記前方安定化部材が、前記取付ブロック上の前記持ち上げアームとは異なる位置で、前記取付ブロックに枢動可能に連結されている、請求項15に記載の機器。
【請求項17】
前記機器が、前記ブラダが膨張及び収縮する間、前記取付ブロックを前記ジャッキ本体に対して略一定の向きに維持するように適合されている、請求項12に記載の機器。
【請求項18】
前記ジャッキ本体及び前記下マウントに枢動可能に連結され、それらの間に渡されている後方安定化部材をさらに備える、請求項1に記載の機器。
【請求項19】
前記後方安定化部材が、前記ジャッキ本体上の前記持ち上げアームとは異なる位置で、前記ジャッキ本体に枢動可能に連結されており、
前記後方安定化部材が、前記下マウント上の前記持ち上げアームとは異なる位置で、前記下マウントに枢動可能に連結されている、請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記機器が、前記ブラダが膨張及び収縮する間、前記下マウントを前記ジャッキ本体に対して略一定の向きに維持するように適合されている、請求項1に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、静止物体に持ち上げ力を加えるための機器に関し、より詳細には、空気圧式ジャッキに関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧式ジャッキは、自動車修理施設で頻繁に見られる。多くのこのようなジャッキは、持ち上げ力を発生させるために、空気ばね(「エアリフトバッグ」、「空気ストラット」、及び「エアベロー」とも呼ばれる)を利用する。空気ばねは、補強されたブラダを備えることがある。圧縮空気によるブラダの膨張により、空気ばねを伸長させる。ジャッキパッドが車両に接触して、空気ばねが車両を持ち上げることを可能にする。空気ばねによる空気圧式ジャッキは、3トン以上の持ち上げ能力を有することがある。
【0003】
空気ばねは膨張すると、段階的に自身の持ち上げ力を失う傾向があり、そのことは、空気ばねをベースとしたジャッキの持ち上げ能力に逆に影響を与えることがある。同時に、多くの空気ばねをベースとしたジャッキは、地面に対して比較的低く位置する車両(すなわち、低プロファイル車両)の持ち上げに使用するのに十分なほど下げられないことに悩まされる。結果として、これらの欠点に対処し、同時に、十分な持ち上げ能力及び最大の持ち上げ高さをさらに提供する、代替的な空気ばねをベースとした空気圧式ジャッキを設計する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、膨張可能ブラダを利用して車両及び他の物体を持ち上げるように作用する空気圧式ジャッキの設計を提供することによって、上記の必要性に対処する。
【0005】
本発明の態様は、ジャッキ本体と、持ち上げアームと、下マウントと、上マウントと、ブラダと、複数の車輪とを備える機器を対象とする。持ち上げアームは、ジャッキ本体に枢動可能に連結されている。同時に、下マウントは持ち上げアームの近位端に枢動可能に連結され、一方、上マウントはジャッキ本体に取り付けられている。ブラダは下マウントと上マウントとの間に配設され、複数の車輪はジャッキ本体に取り付けられている。複数の車輪が水平面上で停止しているとき、上マウントは下マウントより高く位置付けられており、ブラダを膨張させると、下マウントに下向きの圧力が加えられ、下マウントを下方に移動させる。ブラダが少なくとも部分的に膨張している間にブラダを収縮させると、下マウントへの下向きの圧力が取り除かれて、下マウントが上向きに移動することが可能になる。下マウントの下方移動により、持ち上げアームの近位端は下がり、持ち上げアームの遠位端は上がる。下マウントの上方移動により、持ち上げアームの近位端は上がり、持ち上げアームの遠位端は下がる。
【0006】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点、並びに、他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面に関して、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の例示的な実施形態による空気圧式ジャッキの斜視図を示し、空気圧式ジャッキが自動車を持ち上げている。
図2図1の空気圧式ジャッキの別の斜視図を示し、空気圧式ジャッキが下げられている。
図3図1の空気圧式ジャッキの分解斜視図を示す。
図4】一対の内側壁の近くにおける、図1の空気圧式ジャッキの分解斜視図を示す。
図5】一対の内側壁の近くにおける、図1の空気圧式ジャッキの完全な状態の斜視図を示す。
図6】下マウントの近くにおける、図1の空気圧式ジャッキの斜視図を示す。
図7】取付ブロックの近くにおける、図1の空気圧式ジャッキの分解斜視図を示す。
図8図1の空気圧式ジャッキの立面図を示す。
図9】下げられた状態における、図1の空気圧式ジャッキの切欠立面図を示す。
図10】下げられた状態における、図1の空気圧式ジャッキの切欠立面図を示す。
図11】上げられた状態における、図1の空気圧式ジャッキの切欠立面図を示す。
図12】上げられた状態における、図1の空気圧式ジャッキの切欠立面図を示す。
図13】上げられた状態における、図1の空気圧式ジャッキの切欠立面図を示す。
図14】ばねが追加された、図1の空気圧式ジャッキの切欠立面図を示す。
図15】ばねが追加された、図1の空気圧式ジャッキの切欠立面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、例示的な実施形態に関して記載される。このため、これらの実施形態に対して多数の修正を行うことが可能であり、その結果はやはり本発明の範囲内になる。本明細書に記載される特定の実施形態は限定を意図するものではなく、また、限定と推論されるべきものでもない。
【0009】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「略平行」は20度以内の平行を意味する。何か他のものに対する「略一定の向き」とは、何か他のものに対して20度を超えて変化しない向きである。「スリーブ」は中空の円筒形状を有する。最後に、方向「上方」、「下方」、「より高い」、「より低い」、「上」、及び「下」は、機器が図面に示されているように参照される、すなわち、車輪が水平面上で停止しているときに機器がとる向きである。
【0010】
図1及び図2は、本発明の第1の例示的な実施形態による空気圧式ジャッキ100の斜視図を示す。図1では、空気圧式ジャッキ100は上げられた状態であり、自動車1000を持ち上げるために使用されており、一方、図2では、空気圧式ジャッキ100は下げられた状態である。空気圧式ジャッキ100は、ジャッキ本体110に枢動可能に連結された一対の持ち上げアーム105を含む。一対の持ち上げアーム105は、それらの近位端(すなわち、図1及び2における右の端部)でブラダ115と接続し、それらの遠位端(すなわち、図1及び2における左の端部)でジャッキパッド120と接続している。ジャッキ本体110に対するアームの枢動は、ユーザが利用可能な膨張制御弁125を通して命じられるブラダ115の膨張によって制御される。ブラダ115を膨張させることにより、一対の持ち上げアーム105の近位端に下向き圧力が作用し、これらの近位端が下がり、レバー状に、ジャッキパッド120を有する一対の持ち上げアーム105の遠位端が上がる。完全に膨張すると、ブラダ115は図1に示された状態になる。その後、ブラダ115を収縮させることにより、一対の持ち上げアーム105の近位端への下向き圧力が取り除かれて、近位端が上がることが可能になり、同時に、一対の持ち上げアーム105の遠位端及びジャッキパッド120が徐々に下がる。完全に収縮すると、ブラダ115は図2に示された状態になる。したがって、空気圧式ジャッキ100によって自動車1000を上げるには、空気圧式ジャッキ100を圧縮空気源に接続し、持ち上げる点で自動車1000の下にジャッキパッド120を置き、膨張制御弁125を作動させてブラダ115を膨張させるだけである。自動車1000を下げることには、ブラダ115から空気を放出させてブラダ115を収縮させ、ジャッキパッド120が下がることを可能にすることが含まれる。空気圧式ジャッキ100の車輪130により、空気圧式ジャッキ100は簡単に移動させることができる。
【0011】
図3図7は、説明のための空気圧式ジャッキ100の追加の構造的詳細を提供する。図3は、装置全体の態様の分解斜視図を示すことにより始める。図3において、近位方向は図面に向かう方向であり、遠位方向は図面から出る方向である。
【0012】
ジャッキ本体110は一対の下部側壁135を含む。第1の下板140及び第2の下板145は、一対の下部側壁135の間に渡されており、一対の内部側壁150は、第1の下板140から上方に突出している。前輪130は、一対の下部側壁135を通過する共通の軸155に取り付けられており、一方、後輪130は、一対の下部側壁135からの突出部に取り付けられたキャスタの形態である。
【0013】
一対の上部側壁160は、一対の下部側壁135から上方に突出している。上部側壁の頂部に、ブラダ115のための上マウント170を含む制御部165が取り付けられている。ブラダ115の頂部は、上ボルト175によって上マウント170に取り付けられている。膨張制御弁125及び空気圧式ジャッキ100のためのハンドル180も、制御部165の一部である。
【0014】
さらに図3を参照すると、下マウント185は、一対の持ち上げアーム105の近位端に枢動可能に連結されており、一方、取付ブロック190及びジャッキパッド120は、一対の持ち上げアーム105の遠位端に枢動可能に連結されている。下マウント185は、ブラダ115の底部に取り付けられ、ブラダ115は下マウント185と上マウント170との間に配設される。後方安定化部材195は、一対の内部側壁150(延いては、ジャッキ本体110)と下マウント185との間に渡されており、前方安定化部材200は、一対の内部側壁150と取付ブロック190との間に渡されている。天板205は、一対の持ち上げアーム105の間に渡されている。
【0015】
ジャッキ本体110の一対の内部側壁150は、一対の持ち上げアーム105、後方安定化部材195、及び前方安定化部材200のための枢軸取付プラットフォームを提供する。図4及び図5は、空気圧式ジャッキ100のこの領域の詳細を示し、図4は分解斜視図を提供し、図5は提供している及び完全な状態の斜視図。
【0016】
一対の持ち上げアーム105は互いに略平行であり、一対の持ち上げアーム105のそれぞれ1つにそれぞれ貫入する一対の第1のスリーブ215と、一対の内部側壁150を貫通してその間にある第2のスリーブ220とを貫通する第1のピン210によって、内部側壁に枢動可能に連結されている。一対の第1のスリーブ215及び第2のスリーブ220は、本明細書に記載されるすべての「スリーブ」と同様に、上記の明確な定義による形状の、中空の円筒形である。一対の第1のスリーブ215内の第1の止めねじ225は、一対の持ち上げアーム105に対して第1のピン210を固定し、第1のグリースニップル230は、グリースを第2のスリーブ220と第1のピン210との間に入れることを可能にする。一対の持ち上げアーム105がジャッキ本体110に対して枢動すると、第1のピン210は第2のスリーブ220の中で回転する。このようにして、第1のピン210は、一対の持ち上げアーム105のための支点を形成する。補強バー235は、一対の持ち上げアーム105の間に渡されている。
【0017】
後方安定化部材195及び前方安定化部材200は、図4に詳細に示されるように、一対の内部側壁150によってジャッキ本体110に同様に枢動可能に取り付けられている。後方安定化部材195は、第3のスリーブ245と第4のスリーブ250との間に渡された後方バー240を備える。第3のスリーブ245は、一対の内部側壁150のそれぞれ1つをそれぞれ貫通する一対の第5のスリーブ260と、一対の第6のスリーブ265と、第3のスリーブ245とを貫通する第2のピン255を利用して、一対の内部側壁150に枢動可能に取り付けられている。一対の第5のスリーブ260内の第2の止めねじ(図4では反対側を向いており、したがって、見ることができない)は、第2のピン255の回転を弱める。
【0018】
同様に、前方安定化部材200は、第7のスリーブ280と第8のスリーブ285との間に渡された前方バー275を備える。前方安定化部材200は、一対の内部側壁150のそれぞれ1つをそれぞれ貫通する一対の第9のスリーブ295と、第7のスリーブ280とを貫通する第3のピン290を利用して、一対の内部側壁150に枢動可能に取り付けられている。ここで、一対の第9のスリーブ295内の第3の止めねじ300は、第3のピン290の回転を弱める。第2のグリースニップル305は、グリースを第7のスリーブ280と第3のピン290との間に入れることを可能にする。
【0019】
下マウント185の近くにおける、空気圧式ジャッキ100の詳細が図6の斜視図に示されている。下マウント185は、一対の第1の下方突出側壁315を有する下プラッタ310を画定する。下プラッタ310は、下ボルト320(図3参照)を使用して、ブラダ115の底部に簡単に取り付けられるように形づくられ、上マウント170と下マウント185との間にブラダ115を配置する。同時に、下マウント185は、一対の持ち上げアーム105の間に少なくとも部分的に配設されている。一対の持ち上げアーム105の近位端及び後方安定化部材195はどちらも、下マウント185に枢動可能に連結されている。一対の持ち上げアーム105は、一対の持ち上げアーム105の対応する孔の外側に位置付けられた一対の第10のスリーブ330を貫通する第4のピン325と、一対の第1の下方突出側壁315を貫通してその間にある第11のスリーブ335とによって、下マウント185に枢動可能に連結している。第4の止めねじ340は、一対の持ち上げアーム105に対して第4のピン325を固定する。後方安定化部材195は同様に、一対の第1の下方突出側壁315の対応する孔の外側の一対の第12のスリーブ350と、後方安定化部材195の第4のスリーブ250とを貫通する第5のピン345を利用して、下マウント185に枢動可能に連結されている。第5の止めねじ355は、一対の第1の下方突出側壁315に対して第5のピン345を固定する。
【0020】
最後に、図7は、取付ブロック190及びジャッキパッド120の近くにおける、説明のための空気圧式ジャッキ100のその領域の分解図を示す。取付ブロック190は、一対の第2の下方突出側壁365を有するプラットフォーム360を表す。取付ブロック190は、一対の持ち上げアーム105の平滑な穿孔375と、取付ブロック190の対応する横方向ねじ付き受孔380とを貫通する2つの横ボルト370によって一対の持ち上げアーム105の遠位端に枢動可能に取り付けられている。それによって、取付ブロック190は、一対の持ち上げアーム105の間に部分的に配設されている。同時に、前方安定化部材200は、一対の第2の下方突出側壁365の対応する孔の外側に位置付けられた一対の第13のスリーブ390と、前方安定化部材200の第8のスリーブ285とを貫通する第6のピン385によって、取付ブロック190に枢動可能に取り付けられている。ジャッキパッド120は、ジャッキパッド120の開口400を貫通し、プラットフォーム360の垂直ねじ付き受孔405を通る垂直ボルト395によって、取付ブロック190のプラットフォーム360の頂部に取り付けられている。垂直ボルト395は、必要に応じてジャッキパッド120を交換するために、簡単に取り外して、取り換えることができる。
【0021】
本発明の新しい態様を本明細書の教示から理解すると、本発明の実施形態の大部分は、従来の形成及び製作技術を利用して製造することができる。一対の持ち上げアーム105、ジャッキ本体110、ジャッキパッド120、制御部165、上マウント170、下マウント185、取付ブロック190、並びに前方安定化部材200及び後方安定化部材195などの要素は、好ましくは(必ずしもそうではないが)、たとえば、鋼、アルミニウム、又は黄銅などの1つ又は複数の金属から形成される。これらの要素は、機械加工、打抜き加工、鍛造、鋳物、切断(手動及び/又は計算機数値制御(CNC)下)、曲げ加工、並びに溶接などの従来の金属製作技術を利用して形成されてもよい。これらの金属加工技術及び他の技術は、その製作技術分野において通常の技量を有する者は精通しているであろう。さらに、金属加工技術は、ここで参照することにより本明細書に組み込まれるR.A. Walsh et al., McGraw-Hill 2006 Machining and Metalworking Handbook, McGraw-Hill, 2006を含むがこれに限定されない、すぐに利用できる参考文献に記載されている。初期形成後、部品はまた、耐久性を高めるために、任意選択的に、粉体塗装又は表面被覆(たとえば、亜鉛又はクロム)でメッキされてもよい。
【0022】
本発明の実施形態を形成するために必要とされる他の要素は、民間のベンダから供給されてもよい。適したブラダは、単なる1つの例として、CONTITECH(登録商標)North America(Montvale, NJ, USA)から供給されてもよい。適した膨張制御弁(たとえば、リフト及びホイスト式弁)並びにそれらの関連する構成要素(たとえば、圧力逃がし安全弁)は、単なる別の例として、Storm Manufacturing Group, Inc.(KINGSTON(登録商標)Valveとしても知られている)(Torrance, CA, USA)から供給されてもよい。
【0023】
図に示されたブラダ115は、三重のコイル状空気ばねであり、一対の重ねられたタイヤに似た3つの相互に接続されたチャンバを含む。ブラダ115は、たとえば、コードで補強されたゴムの複数の層を備えてもよい。3つのチャンバの間の2つの縫い目は、場合によっては「ガードルフープ」と呼ばれる、リングによって囲まれる。しかし、図に示された特定のブラダ115は、三重のコイル状タイプであるが、この設計の選択は、単に説明のためのものである。より一般的には、任意の形態の膨張可能なブラダ又はベローが、例示的なブラダ115の所定の位置で利用されてもよく、その結果はやはり本発明の範囲内になる。たとえば、三重のコイル状空気ばねを利用する代わりに、単一のコイル状空気ばね又は二重のコイル状空気ばねが利用される可能性がある。さらに、本発明の1つ又は複数の代替的な実施形態において、ローリングローブ空気ばね又はスリーブバッグ空気ばねが実装される可能性もある。
【0024】
前に示したように、ブラダ115の膨張及び収縮は、膨張制御弁125を介して手動で制御される。膨張制御弁125は、空気圧リフト及びホイストに使用されるタイプのものであってもよい。より詳細には、膨張制御弁125は好ましくは「2状態」タイプであり、圧縮ガスをブラダ115に導くこと及び圧縮ガスをブラダ115から出すことを可能にし、並びに、所定の状態のままであるようにブラダ115を切り離すことを可能にする。本実施形態において、膨張制御弁125は、ロッカーの一方側又は他方側を押すことによって、ユーザが膨張と収縮との間で選択することができるロッカーを含む。使用中、圧縮空気などの圧縮ガスは、入口ポートを介して膨張制御弁125に導入される。圧縮ガスに適した圧力は、たとえば、約105ポンド/平方インチ(psi)であってもよい。収縮中に放出されるガスは、排気ポートを通して排出される。ブラダ115を過度に加圧することを回避するために、圧力逃がし安全弁が膨張制御弁125に取り付けられてもよい。
【0025】
前に示したように、一対の持ち上げアーム105は、取付ブロック190及びジャッキパッド120を持ち上げるとき、空気圧式ジャッキ100のレバーアームとして働く。空気圧式ジャッキ100の車輪130が水平面上で停止しているとき、上マウント170は下マウント185より高く位置付けられており、ブラダ115を下マウント185より上に置く。それによって、ブラダ115を膨張させると、下マウント185に下向きの圧力が加えられ、下マウント185を下方に移動させる。その後、ブラダ115が少なくとも部分的に膨張している間にブラダ115を収縮させると、下マウント185への下向きの圧力が取り除かれて、下マウント185が上向きに移動することが可能になる。下マウント185の下方移動により、一対の持ち上げアーム105の近位端は下がり、一対の持ち上げアーム105の遠位端及び取付ブロック190は上がる。下マウント185の上方移動により、一対の持ち上げアーム105の近位端は上がり、一対の持ち上げアーム105の遠位端及び取付ブロック190は下がる。
【0026】
ブラダ115が膨張及び収縮する間、後方安定化部材195及び前方安定化部材200は、下マウント185及び取付ブロック190を、ジャッキ本体110に対して略一定の向きに維持する。後方安定化部材195は、ジャッキ本体110及び下マウント185に枢動可能に連結されて、それらの間に渡されているが、一対の持ち上げアーム105とは異なる位置で、ジャッキ本体110及び下マウント185に連結されている。ブラダ115が膨張及び収縮する間、この相対的な幾何学的形状は維持され、下マウント185の向きを、略水平又はわずかに上向きの姿勢に維持する。同様の配置は、前方安定化部材200についての所定の位置にもある。前方安定化部材200は、ジャッキ本体110及び取付ブロック190に枢動可能に連結されて、それらの間に渡されているが、一対の持ち上げアーム105とは異なる位置で、ジャッキ本体110及び取付ブロック190に連結されている。ここでも、ブラダ115が膨張及び収縮する間、この相対的な幾何学的形状は維持され、取付ブロック190の向きを、略水平の姿勢に維持する。
【0027】
上記の向きを維持する機能は、図8図13を参照してよりよく理解することができる。図8は、空気圧式ジャッキ100の立面図を示し、図9図13は、さまざまな下げられた状態及び上げられた状態における、空気圧式ジャッキ100の部分切欠立面図を示す。下マウント185及び取付ブロック190の向きを維持する際の、一対の持ち上げアーム105並びに後方安定化部材195及び前方安定化部材200の連携は、これらの図面から明らかである。
【0028】
導入部に示されたように、空気ばねなどのブラダは、膨張したとき、その持ち上げ力を失う傾向がある。持ち上げ力は膨張の最初が最も大きく、空気ばねのストロークの最後の近くで最も小さい。たとえば、持ち上げ力は75%以上減少することがある。有利なことには、空気圧式ジャッキ100、より一般的には、本発明の実施形態は、ブラダ115での持ち上げ力のこの減少をいくぶん補うことができる。一対の持ち上げアーム105の湾曲した性質及びそれらの支点の位置決めのため、下マウント185から支点(すなわち、第1のピン210の位置)までの水平距離と取付ブロック190から支点までの水平距離との比は、ブラダ115が膨張すると、大きくなる傾向がある。これは実質的に、抵抗アームの長さで割った作用アームの長さである。この比が大きくなると、取付ブロック190で上向き力に変換されるブラダ115からの下向き力の量も大きくなる。よって、ブラダ115がそのストロークで持ち上げ力を自然に失うとき、取付ブロック190の持ち上げ力の対応する損失は同じだけ大きくはない。膨張するブラダ115の当然の結果としての持ち上げ力の減少は、ブラダ115の完全な膨張を必要としないことによっても、ある程度、軽減させることができる。
【0029】
本発明の上記の実施形態が単に説明のためのものであると意図されることは、再び強調されなければならない。他の実施形態は、記載された機能を実施するために、異なる種類及び配置の要素を使用することができる。単なる1つの例として、1つの物体の別の物体への(固定的な又は枢動可能な)連結は、本明細書に明示的に記載されたものとは異なる方法で実行することができ、同時に、同じ又は同様の全体的な機能がさらに得られる。代替的な実施形態は、本発明の態様を実施するために、単なるいくつかの例として、ねじ、ボルト、ロッド、接着剤、ブラケット、ピン、フック、溶接、ヒンジ、化学結合などの取付手段を利用してもよい。添付の特許請求の範囲内のこれらの多数の代替的な実施形態は、当業者にとって明らかであろう。
【0030】
たとえば、本発明の範囲内にある1つ又は複数の実施形態において、一対の持ち上げアームのための支点は、上記の特定の説明のための構成から変更されてもよい。支点の位置決めは、持ち上げ能力と最大持ち上げ高さとの間のトレードオフを必要とする傾向がある。たとえば、ブラダに対する機械的拡大率を大きくする場合、最大持ち上げ高さは犠牲になる傾向がある。説明のための空気圧式ジャッキ100の特定の構成が、持ち上げ力と持ち上げ高さとの間の良好な妥協を提供することが分かったが、同様に、その特定の構成は限定ではなく、本発明の態様による代替的な実施形態は異なるように構成されてもよい。
【0031】
他の実施形態では、さらに、空気圧式ジャッキ100の方法での一対の持ち上げアームの代わりに、単一の持ち上げアームが、本発明の範囲内にある空気圧式ジャッキのために提供されてもよい。この単一の持ち上げアームは、外側に向けて位置付けられた安定化アームとともに、代替の空気圧式ジャッキの中心に沿って延びてもよい。機能は、上記のものと同様のままである。
【0032】
実際の具体化において、取付ブロック上に十分な重量がない、空気圧式ジャッキ100に類似した空気圧式ジャッキのプロトタイプは、そのブラダが収縮したときに、安定して完全に下がることがないことが見出された。したがって、本発明の態様による代替的な実施形態は、完全に下げられた状態の達成を支援するために、1つ又は複数のばねも利用してもよい。図14及び15は、ばね410及び関連するブラケット415の追加を除いて、空気圧式ジャッキ100と同一である空気圧式ジャッキ100’の部分切欠立面図を示す。空気圧式ジャッキ100’が空気圧式ジャッキ100と同一の場合、同様の参照番号が利用される。図14では、空気圧式ジャッキ100’はそのストロークの頂部に近く、一方、図15では、空気圧式ジャッキ100’は略完全に下げられている。ばね410は、ジャッキ本体110と一対の持ち上げアーム105に取り付けられた天板205との間に渡り、そうすることで、空気圧式ジャッキ100’をその下げられた状態の方へ偏らせる(すなわち、付勢する)。それによって、ジャッキパッド120上にほとんど又は全く外部加重がないとき、ばね410は空気圧式ジャッキ100’が完全に下がることを支援する。
【0033】
本明細書に開示されるすべての特徴は、特に記載されない限り、同一、同等、又は同様の目的を提供する代替的な特徴に置き換えられてもよい。つまり、特に記載されない限り、開示されているそれぞれの特徴は、一般的な一連の同等又は同様の特徴の単なる一例である。
【0034】
指定された機能を実行する「ための手段(means for)」又は指定された機能を実行する「ためのステップ(step for)」を明示的に述べない請求項中の任意の要素は、AIA 35 U.S.C.§112(f)で指定されるような「ための手段(means for)」又は「ためのステップ(step for)」の条項として解釈されるべきではない。特に、本明細書の特許請求の範囲における「のステップ(steps of)」の使用は、AIA 35 U.S.C.§112(f)の規定を行使するようには意図されていない。
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