(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】粉末状物質のガラス化のためのプロセスおよび装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/40 20220101AFI20220930BHJP
B09B 101/25 20220101ALN20220930BHJP
B09B 101/30 20220101ALN20220930BHJP
【FI】
B09B3/40 ZAB
B09B101:25
B09B101:30
(21)【出願番号】P 2020537878
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(86)【国際出願番号】 FR2018051868
(87)【国際公開番号】W WO2019058038
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-07-19
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520098420
【氏名又は名称】ユーロプラズマ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ブリュノー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ポール・ロベール-アルヌイユ
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-128882(JP,A)
【文献】特開2008-249220(JP,A)
【文献】米国特許第05765489(US,A)
【文献】米国特許第05301620(US,A)
【文献】特開平07-146074(JP,A)
【文献】特開平07-332861(JP,A)
【文献】特開平11-226544(JP,A)
【文献】特開2010-078242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B1/00-5/00
C03B1/00-20/00
F23G5/00-7/12
F23J1/00-1/08
F23J9/00
F27B1/00-3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状物質のガラス化のためのプロセスであって、前記粉末状物質は、第1のチャンバ(11)によって画定された溶融ゾーン内へ導入され、溶融浴(14)において少なくとも1つのプラズマトーチ(15)によって溶融して前記浴に供給され、前記溶融浴(14)は前記溶融ゾーンに配置され、前記溶融浴(14)の一部が、前記溶融ゾーンから少なくとも1つの鋳造ゾーンへ送られ、前記鋳造ゾーンのそれぞれが、前記第1のチャンバ(11)と流体連通している対応する第2のチャンバ(16)によって画定されており、溶融浴の前記一部は、それぞれの対応する鋳造ゾーンの過流量ゾーンにおいて抽出される、プロセスにおいて、次のステップ、すなわち
前記溶融ゾーンにおける前記粉末状物質の溶融によって生成されたガスおよび蒸気を抽出するステップであって、前記ガスおよび蒸気は、少なくとも1つの障壁石(17)によって前記第1のチャンバ(11)において阻止され、各障壁石(17)は、前記溶融ゾーンと対応する鋳造ゾーンとの間に配置され、各障壁石(17)は、少なくともその自由端が、前記溶融ゾーンから前記対応する鋳造ゾーンに向かって流れる前記溶融浴(14)の前記一部も決定するように配置される、ステップと、
それぞれの第2のチャンバ(16)において少なくとも前記抽出ステップ中に生成されたガスおよび蒸気を抽出するステップと、
が実行されることを特徴とする、粉末状物質のガラス化のためのプロセス。
【請求項2】
前記溶融浴(14)のレベル、前記溶融ゾーンにおける前記粉末状物質の溶融によって生成されたガスおよび蒸気の抽出、ならびにそれぞれの第2のチャンバ(16)におけるガスおよび蒸気の抽出は、前記溶融浴(14)から各鋳造ゾーンに向かう前記溶融物質の流れを促進するように調節されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
各過流量ゾーンは、抽出された前記溶融浴(14)の前記一部が通過するチャネルを画定している側壁を有する出口ポートを含み、前記第2の対応するチャンバ(16)の外側に延びる前記側壁の少なくとも一部が少なくとも1つのオリフィスを含み、前記ガスおよび蒸気の少なくとも一部が、前記オリフィスを通して捉えられ、このように捉えられた前記ガスおよび蒸気を外気で希釈することを特徴とする、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
各過流量ゾーンは、抽出された前記溶融浴(14)の前記一部が通過する出口ポートを含み、前記抽出ステップ中に生成された前記ガスおよび蒸気の少なくとも一部が、前記出口ポートの近傍に配置された1つまたは複数のオリフィスを通って捉えられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
少なくとも1つのプラズマトーチ(15)について、前記第1のチャンバ(11)の内側に配置された前記プラズマトーチ(15)の少なくとも一部は、少なくとも前記一部を保護する保護ガススクリーンによって包囲され、ガス状流体を導入するための少なくとも1つの手段が、前記少なくとも一部の周りに前記ガススクリーンを導入および生成するために成形されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
各鋳造ゾーンの過流量ゾーンは、前記溶融浴(14)のレベルを画定している鋳造口を含み、各鋳造ゾーンについて、対応する前記鋳造口の高さは、対応する前記障壁石(17)の少なくとも自由端が動作中恒久的に浸漬され、前記溶融浴と前記対応する鋳造ゾーンとの間の封止を、これらのゾーンのそれぞれにおいて生産されたガスおよび蒸気のために維持するように前記溶融浴(14)のレベルを調節するように調整されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセスを実行するための粉末状物質のガラス化のための装置であって、前記装置は、前記粉末状物質の溶融ゾーンを画定している第1のチャンバ(11)であって、前記粉末状物質から溶融浴(14)を生成するための少なくとも1つのプラズマトーチ(15)を含む、第1のチャンバ(11)と、溶融物質のための鋳造ゾーンを画定している少なくとも1つの第2のチャンバ(16)と、を含み、前記第1および第2のチャンバは、前記溶融ゾーンからそれぞれの対応する鋳造ゾーンへの前記溶融浴(14)の一部の流れのために流体連通しており、各鋳造ゾーンは、前記溶融浴(14)の前記一部の抽出のための出口ポートを有する過流量ゾーンを含む、装置において、
障壁石(17)が、前記溶融ゾーンと各鋳造ゾーンとの間に配置され、少なくともその自由端が、前記溶融ゾーンから前記対応する鋳造ゾーンに向かって流れる前記溶融浴(14)の前記一部を画定するように配置され、前記障壁石(17)はこのように、前記溶融浴(14)と接触して、前記溶融ゾーンにおいて生産されたガスおよび蒸気ならびに未融解物質を阻止することが意図されており、前記第1のチャンバ(11)は、前記溶融ゾーンに存在するガスおよび蒸気を抽出するための手段を含み、
それぞれの第2のチャンバ(16)は、少なくとも前記溶融物質の抽出中に生産されたガスおよび蒸気を捉えるように構成されている、
ことを特徴とする、粉末状物質のガラス化のための装置。
【請求項8】
それぞれの第2のチャンバ(16)は、前記ガスおよび蒸気を抽出するための回路に接続された前記ガスおよび蒸気を抽出するための1つまたは複数のオリフィスを含み、前記オリフィスは、前記抽出ポートに近接して、または前記抽出ポートに配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
それぞれの第2のチャンバ(16)の前記出口ポートは、溶融浴の前記一部を抽出するためのチャネルを画定している側壁を含み、これは対応する前記第2のチャンバ(16)の外側に延び、前記一部の抽出中、希釈のためにこのように捉えられた上記ガスおよび蒸気と外気が混合されるよう、前記ガスおよび蒸気を抽出するための少なくとも1つのオリフィスを含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のチャンバ(11)の前記溶融ゾーンと流体連通している鋳造ゾーンをそれぞれ画定している少なくとも2つの第2のチャンバを含むことを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のチャンバ(11)は、円形、長方形、正方形または楕円形の断面を有することを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のチャンバ(11)の内側に配置された少なくとも1つのプラズマトーチ(15)の少なくとも一部で保護流体を注入するための少なくとも1つの手段を含み、前記注入手段は、前記第1のチャンバ(11)において流布している極端な状態から前記一部を保護するため、これを包囲するガス状スクリーンを作り出すように構成されていることを特徴とする、請求項7から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記保護ガスは空気または不活性ガスであることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状物質の連続的なガラス化のためのプロセス、およびこのプロセスを実行するための装置に関する。
【0002】
本発明のプロセスおよび装置は本質的に、アスベストまたは水銀または鉛のような重金属、およびこれらの塩のような有毒物質を含む粉末状または小粒子サイズの物質をガラス化によって不活性化することを意図している。
【背景技術】
【0003】
粉末形態の物質の処理または生成により、周囲の雰囲気中へこれらの物質がいくらか分散することがあるということが知られている。
【0004】
この分散は、中毒のリスクの原因、または有毒な気体または液体のキャリアとなり得る。
【0005】
これらの粉末状物質の取り扱いおよび処理はしたがって、健康および環境の観点の両方からの大きな課題である。
【0006】
たとえば、家庭、産業または病院の廃棄物の焼却は、粉末状物質の原因として知られている。
【0007】
特に、家庭の廃棄物の焼却により、固体および気体の流出物、または焼却煙道ガスが生じる。
【0008】
固体の流出物は廃棄物の鉱物断片を形成し、特にいわゆる「アンダーボイラー」灰を含み、これは非常に有毒な粉末状物質である。実際、この灰は重金属およびその塩を含む。
【0009】
気体の流出物は、HClおよびHFのような酸性ガス、およびSO2およびCO2のような気体の酸無水物の存在のため、性質において多かれ少なかれ酸性である。これらの気体の流出物はまた、重金属およびその塩のような毒性化合物、およびフライアッシュと呼ばれる固体の残留物を含む。
【0010】
これらの気体の流出物または蒸気は、濾過してその酸性度を中和するように処理し、金属およびその塩を濃縮してフライアッシュを保持してから大気中へ放出しなければならない。
【0011】
ガラス化は今日、これらの物質または危険な焼却廃棄物の不活性化のための、その保管さらには回復への視点を備えた主要プロセスとみなされる。
【0012】
実際、シリカおよびアルミナを含むこれらの物質は、1300℃を上回る温度にさらされると、液化して溶融物を形成する。
【0013】
この溶融物は、冷却されると、結晶性物質または固体の非晶質ガラス、重金属のための実際の保持マトリクスを形成し、これらを次いで取り扱うことができる。
【0014】
たとえば、本出願人の名義の文献FR 2764877は、非移行型アークプラズマトーチを用いて、処理されるべき粉末状物質を溶融させる粉末状物質のガラス化のための装置を開示している。
【0015】
これは良い結果を生むが、このガラス化システムはいくつかの不都合を引き起こすことが分かっている。
【0016】
まず、粉末状物質のガラス化のためのこの装置は、粉末状物質を溶融させるためのゾーン、および溶融浴を鋳造するためのゾーンを含む炉を含み、これら2つのゾーンは障壁石によって分離されている。溶融ゾーンにおける粉末状物質の溶融から生じるガスおよび蒸気を抽出ファンがダクトを通して抽出する。
【0017】
このように粉末物質のガラス化中に生成されたガスおよび蒸気のわずかな部分しか処理のために抽出されないことが観察される。これらのガスおよび蒸気の大部分がこのように直近の環境内へ放出され、これらに直接さらされている生物に対して悪影響を及ぼす。
【0018】
さらに、溶融ゾーンと鋳造ゾーンとの間に加えられた不適切な圧力差の結果、対応する鋳造ゾーンへの溶融浴の流れが失われ、または「未融解」とも呼ばれる未溶融粉末状物質が通過する可能性さえある。
【0019】
また、障壁石上に、溶融浴から鋳造ゾーンまで流れる溶融物質とのその長期の接触のため、摩耗が観察される。
【0020】
この障壁石上の摩耗により、これが分離する2つのチャンバ間の水密性の損失が引き起こされる。したがって溶融ゾーンにおける粉末状物質の溶融からの蒸気およびガスが、溶融ゾーンから鋳造ゾーンへ通過して周囲の雰囲気中へ放出される可能性がある。
【0021】
加えて、このように摩耗した障壁石は鋳造ゾーンへの自由通過を可能にするおそれがあることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、粉末状物質の連続的なガラス化のためのプロセスであって、その設計およびその動作モードが簡素で、信頼できて安価であり、上述した欠点に応える、プロセスを提案することによって、先行技術の欠点を克服することを意図している。
【0024】
特に、本発明の目的は、ガラス化プロセス中に生成されたガスおよび蒸気の周囲の雰囲気中への放出を防止し、したがってこのガラス化処理の健康および環境上の影響を制御するため、すべてのこれらのガスおよび蒸気を捉えるためのこのようなガラス化プロセスである。
【0025】
本発明の他の目的は、経時的なメンテナンス作業の間隔を空けるため、粉末状物質のガラス化から生じるガスおよび蒸気のための抽出回路の劣化を大きく低減するためのこのようなプロセスである。
【0026】
本発明の他の目的は、生産中、溶融および鋳造ゾーン間の封止を維持するこのようなプロセスである。
【0027】
本発明はさらに、毒性化合物、特に重金属およびその塩を含む粉末状物質をガラス化によって不活性化することを意図した、このプロセスを実行するための装置を提供することを目的とする。
【0028】
本発明のプロセスおよび装置により、特に、粉末状物質の溶融プロセス、および不活性廃棄物の保管、またはさらにはたとえば、建築材料としてのその回復に適用されるすべての基準を満たす、非晶質ガラスの、または結晶化物質の獲得の効率的な制御が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この目的のため、本発明は、粉末状物質のガラス化のためのプロセスに関し、この粉末状物質は、第1のチャンバによって画定された溶融ゾーン内へ導入され、溶融浴において少なくとも1つのプラズマトーチによって溶融して上記浴に供給され、上記溶融浴は上記溶融ゾーンに配置され、上記溶融浴の一部が、上記溶融ゾーンから少なくとも1つの鋳造ゾーンへ送られ、上記鋳造ゾーンのそれぞれが、上記第1のチャンバと流体連通している対応する第2のチャンバによって画定されており、このプロセスにおいて溶融浴の上記一部は、それぞれの対応する鋳造ゾーンの過流量ゾーンにおいて抽出される。本発明によれば、次のステップ、すなわち
上記溶融ゾーンにおける粉末状物質の溶融によって生成されたガスおよび蒸気を抽出するステップであって、上記ガスおよび蒸気は、少なくとも1つの障壁石によって上記第1のチャンバにおいて阻止され、各障壁石は、上記溶融ゾーンと対応する鋳造ゾーンとの間に配置され、各障壁石は、少なくともその自由端が、溶融ゾーンから上記対応する鋳造ゾーンへ流れる溶融浴の上記一部も決定するように配置される、ステップと、
それぞれの第2のチャンバにおいて少なくとも上記抽出ステップ中に生成されたガスおよび蒸気を抽出するステップと、
が実行される。
【0030】
この粉末状物質は、少なくとも1つの入口ポートを通って、第1のチャンバによって限定された溶融ゾーン内へ導入される。
【0031】
各障壁石は、第1のまたは主要チャンバにおける溶融浴から第2のチャンバにおける鋳造ゾーンへ流れる溶融物質の量を決定または制限し、好ましくはこの障壁石は第2のチャンバの入口に配置されている。
【0032】
ガラス化装置の動作中、この障壁石の少なくとも端部は溶融浴の溶融物質に浸かって封止を提供し、溶融ゾーンにおける粉末状物質の溶融によって生成されたガスおよび蒸気が鋳造ゾーンに伝播することを防止する。この障壁石のこの少なくとも浸かった端部は、未溶融、または未融解物質が鋳造ゾーンに入ることも防止する。
【0033】
有利には、各鋳造ゾーンの過流量ゾーンは、対応する鋳造ゾーンの一端に配置されている。例示としてのみ、この過流量ゾーンは、出口ポートに向かって傾斜したランプを有し、溶融物質はこれに沿って流れる。
【0034】
有利には、本発明のプロセスのおかげで、ガラス化装置において生産されるすべてのガスおよび蒸気はこのように、処理のために捉えられて排出される。特に抽出段階中の、ガラス化装置を包囲する雰囲気中への蒸気および/または毒ガスのあらゆる分散がこのように回避され、これにより、その蒸気を捉えるための装置の追加が必要となる。
【0035】
本発明のプロセスの一態様によれば、溶融浴のレベル、上記溶融ゾーンにおける粉末状物質の溶融によって生成されたガスおよび蒸気の抽出、ならびにそれぞれの第2のチャンバにおけるガスおよび蒸気の抽出は、溶融浴から各鋳造ゾーンへの溶融物質の流れを促進するように調節される。
【0036】
このような実施形態は、溶融ゾーンを対応する鋳造ゾーンから分離している上記少なくとも1つの障壁石の少なくとも端部の溶融物質における浸漬によって有利に可能となっており、これら2つのゾーン間の封止はこのように保証されている。
【0037】
ゾーンのそれぞれにおける圧力はしたがって独立して制御され、これにより浴レベルおよび抽出された溶融物質の流れを調節することが可能になる。
【0038】
溶融ゾーンを画定している第1のチャンバと対応する鋳造ゾーンを画定している第2のチャンバとの間に、少なくとも圧力平衡が求められる。
【0039】
上記少なくとも1つの第2のチャンバに向かう吸込み効果を生むため、溶融浴を含む第1のチャンバにおいて確立された負圧より大きな上記少なくとも1つの第2のチャンバにおける負圧を生成することも可能である。
【0040】
たとえば、この調節は、排出ファンを制御することによって実行される。
【0041】
本発明のプロセスの他の一態様によれば、各過流量ゾーンは、抽出された溶融浴の上記一部が通過するチャネルを画定している側壁を有する出口ポートを含み、上記第2の対応するチャンバの外側に延びる上記側壁の少なくとも一部が少なくとも1つのオリフィスを含み、上記ガスおよび蒸気の少なくとも一部が、上記オリフィスを通して捉えられ、このように捉えられた上記ガスおよび蒸気を外気で希釈する。
【0042】
実際、捉えられたガスおよび蒸気は酸性であり、これらを回収して排出する回収装置の金属パイプの急速な劣化につながることが観察される。
【0043】
このとき抽出回路の堅固さを維持するメンテナンス作業が必要になり、これにはガラス化システムをシャットダウンすることが要求される。
【0044】
この結果、運転コストが大きくなる。
【0045】
この外部空気の抽出により、このように捉えられたガスおよび蒸気を希釈することが有利に可能になり、これにより下流に配置されたガスおよび蒸気抽出回路の要素が保護される。
【0046】
このような実施形態はまた、出口ポートを通って流れるガラス化された舌状物、または溶融物質を冷却することを回避してその抽出を確実にしようと努める。
【0047】
あるいは、または加えて、各過流量ゾーンは、抽出された溶融浴の上記一部が通過する出口ポートを含み、上記抽出ステップ中に生成された上記ガスおよび蒸気の少なくとも一部が、上記出口ポートの近傍に配置された1つまたは複数のオリフィスを通って捉えられる。
【0048】
これらのポートはしたがって、出口ポートに近接して、第2の対応するチャンバの本体上に配置されている。
【0049】
本発明のプロセスの他の一態様によれば、少なくとも1つのプラズマトーチについて、上記第1のチャンバの内側に配置された、上記プラズマトーチの少なくとも一部は、少なくとも上記一部を保護する保護ガススクリーンによって包囲され、ガス状流体を導入するための少なくとも1つの手段が、上記少なくとも一部の周りの上記ガススクリーンの導入および生成のために成形されている。
【0050】
さらに本発明のプロセスの他の一態様によれば、各鋳造ゾーンの過流量ゾーンには、溶融浴のレベルを画定している鋳造口が設けられ、各鋳造ゾーンについて、対応する鋳造口の高さは、装置が動作、または生産中であるとき、上記対応する障壁石の少なくとも自由端が恒久的に浸漬され、溶融および対応する鋳造ゾーンとの間の封止を、これらのゾーンのそれぞれにおいて生産されたガスおよび蒸気のために維持するように溶融浴のレベルを調節するように調整される。
【0051】
本発明はまた、上述したような粉末状物質のガラス化のプロセスを実行するための装置に関し、この装置は、上記粉末状物質の溶融ゾーンを画定している第1のチャンバであって、上記粉末状物質から溶融浴を生成するための少なくとも1つのプラズマトーチを含む、第1のチャンバと、溶融物質のための鋳造ゾーンを画定している少なくとも1つの第2のチャンバと、を含み、上記第1および第2のチャンバは、上記溶融ゾーンからそれぞれの対応する鋳造ゾーンへの溶融浴の一部の流れのために流体連通しており、各鋳造ゾーンは、溶融浴の上記一部の抽出のための出口ポートを有する過流量ゾーンを含む。
【0052】
本発明によれば、
障壁石が、溶融ゾーンと各鋳造ゾーンとの間に配置され、少なくともその自由端が、溶融ゾーンから上記対応する鋳造ゾーンへ流れる溶融浴の上記一部を画定するように配置され、上記障壁石はこのように、上記溶融物と接触して、上記溶融ゾーンにおいて生産されたガスおよび蒸気ならびに未融解物質を阻止することが意図されており、上記第1のチャンバは、上記溶融ゾーンに存在するガスおよび蒸気を抽出するための手段を含み、
それぞれの第2のチャンバは、少なくとも上記溶融物質の抽出中に生産されたガスおよび蒸気を捉えるように構成されている。
【0053】
有利には、前記少なくとも1つのプラズマトーチは非移行型アークプラズマトーチである。
【0054】
このガラス化システムのさまざまな特定の実施形態において、それぞれが、それ自体の特定の利点を有し、多くの可能な技術的組み合わせを備える。
この第1のチャンバは、粉末状物質を上記チャンバ内へ注入するための少なくとも1つの装置を含む。
【0055】
好ましくは、各注入装置は、このように導入された粉末状物質が、上記第1のチャンバから下方へ向けられる成分、および上記鋳造ゾーンの方へ向けられる水平成分を有することを保証するように構成されている。
【0056】
有利には、各導入装置は、溶融浴に関して対応する鋳造ゾーンに対向して上記第1のチャンバ上に配置されている。
各鋳造ゾーンの過流量ゾーンは、溶融浴のレベルを画定している鋳造口を含み、上記鋳造口の少なくとも高さは、上記障壁石の少なくとも自由端を浸けて対応する鋳造ゾーンおよび溶融ゾーンの封止を確実にするよう、その位置を調整して、溶融浴のレベルを変更するため、可変である。
それぞれの第2のチャンバは、上記ガスおよび蒸気を抽出するための回路に接続されたガスおよび蒸気を抽出するための1つまたは複数のオリフィスを含み、上記オリフィスは、上記抽出ポートに近接して、または抽出ポートに配置されている。
【0057】
このような実施形態は、抽出ポートにおける熱を維持するという利点を有し、したがって抽出されるべき物質の流動性を促進する。
【0058】
この抽出回路は相互接続パイプを有利に含み、その内側は真空下に置かれ、ガスおよび蒸気の抽出およびこれらのガスおよび蒸気処理ユニットへの輸送を確実にしている。
【0059】
例として、ガラス化装置からの溶融物質の抽出中に生産されるガスおよび蒸気の回収のため、出口ポートに近接して、またはその近傍に、対応する第2のチャンバの下方部分に、少なくとも1つの第1の抽出オリフィスを配置することができる。
それぞれの第2のチャンバの出口ポートは、溶融浴の上記一部を抽出するためのチャネルを画定している側壁を含み、これは上記対応する第2のチャンバの外側に延び、上記一部の抽出中、希釈のためにこのように回収された上記ガスおよび蒸気と外気が混合されるよう、上記ガスおよび蒸気を抽出するための少なくとも1つのオリフィスを含む。
【0060】
このような実施形態により、このように捉えられたガスおよび蒸気が抽出回路に輸送される前に希釈されるよう、上記出口ポートの自由端を通して空気を吸い込むことが可能になる。このように、この抽出回路のパイプのような要素が有利に保護される。
【0061】
有利には、これらの抽出オリフィスの少なくとも1つは、上記過流量ゾーンより低く、または下方に配置されている。
【0062】
例示としてのみ、この過流量手段は、上記出口ポートに向かって坂が傾斜しているランプによって延長された鋳造口を含む。この出口ポートは、たとえば、中空管の形状を有することができる。
上記ポートは、たとえば、出口ポートを画定している上記側壁の周辺上に均等に分散している。
それぞれの第2のチャンバは、対応するチャンバにおいて生産されるガスおよび蒸気を吸うための少なくとも1つのファンを含む少なくとも1つの抽出回路に接続され、上記ガラス化装置は、上記溶融ゾーンから上記鋳造ゾーンへの溶融浴の一部の流れを促進するため、上記ファンを制御して、上記溶融ゾーンにおける溶融浴のレベルを調節するための制御手段を含む。
この装置は、上記第1のチャンバの溶融ゾーンと流体連通している鋳造ゾーンをそれぞれ画定している少なくとも2つの第2のチャンバを含む。
この装置は、少なくとも1つの出口ポートの下流に配置された上記溶融物質を引き出すための少なくとも1つの装置を含む。
上記第1のチャンバは、円形、長方形、正方形または楕円形状の垂直断面を有する。
この装置は、上記第1のチャンバの内側に配置された、少なくとも1つのプラズマトーチの少なくとも一部で保護流体を注入するための少なくとも1つの手段を含み、上記注入手段は、上記第1のチャンバにおいて流布している極端な状態から上記一部を保護するため、これを包囲するガス状スクリーンを作り出すように構成されている。
【0063】
好ましくは、この保護ガスは、空気または不活性ガスのような任意の他のガスである。
【0064】
例として、後者の場合、これは窒素(N2)であり得る。
【0065】
添付の図面に関して非限定的な説明として提供された、続く説明から、本発明の他の利点、目的および特定の特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本発明の第1の特定の実施形態によるガラス化装置の概略断面図である。
【
図2】
図1におけるガラス化装置の過流量ゾーンの部分上面断面図である。
【
図3】本発明の第2の特定の実施形態によるガラス化装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
まず、図面は一定の縮尺でないことが留意されるべきである。
【0068】
図1および
図2は、本発明の特定の一実施形態による粉末状物質のガラス化のための装置10を概略的に表す。
【0069】
この装置10は、円筒形状の主要溶融チャンバまたは炉11を含み、これに連続的に上流で注入装置12によって粉末状物質の流れが供給される。溶融チャンバ11の側壁に位置する穴に設けられた円形断面の開口によって形成された入口ポート13により、このチャンバ11内へ充填物を注入することが可能になる。この注入装置12は、溶融チャンバ11において流布している圧力および温度条件によって課された圧力および温度で制御された流れを配送するその能力のために選択される。例として、これは冷却されたねじである。プランジャによって、または圧力下での空気圧輸送によって注入手段を選択することも可能であろう。
【0070】
処理されるべき粉末状物質の充填は、それが水平注入成分、および溶融チャンバ11の底部の方に向けられる鉛直注入成分を有するような方法で溶融チャンバ11内へ注入される。この充填物はしたがって重力によってるつぼに含まれる溶融浴14内へ落下する。
【0071】
処理されるべきこの充填物の溶融浴14との衝撃ゾーンは混合ゾーンである。後者はしたがって、処理されるべき粉末状物質の充填物が、非移行型アークプラズマトーチ15から液体溶融浴14内へのエネルギー入力による溶融によってすでに液体状態になっている充填物と混合される混合ゾーンである。
【0072】
非移行型アークプラズマトーチ15は、溶融チャンバ11の丸天井における開口に取り付けられている。これは、これが発するプラズマ矢が直接溶融浴14内へ送られるような方法で溶融チャンバ11に取り付けられている。このプラズマ矢は、溶融浴14に対してある角度で、およびこれを撹拌する角度で有利に指向させることもできる。
【0073】
非移行型アークプラズマトーチ15は好ましくは、大気からの圧縮および処理という手段を用いて、プラズマガスとして加圧および処理された空気で動作する。たとえば大気に関して酸素および窒素のパーセンテージを変えることによって、他のプラズマガスを用いることも可能である。
【0074】
有利には、主要チャンバ11の内側に配置された非移行型アークプラズマトーチ15の端部は、空気または任意の他のガスのフィルムのようなガス状フィルムによって包囲され、これは、主要チャンバ11における攻撃的環境からプラズマトーチ15の端部を保護するシールドを形成する。このガス状フィルムは、溶融チャンバ11に配置された、たとえば室温でガスを導入するための装置(図示せず)によって生成される。
【0075】
測定および制御手段(図示せず)により、溶融チャンバ11における圧力および温度を圧力および温度プローブによって、浴温度を光高温計によって記録すること、および処理されるべき粉末状物質の充填物の溶融を内視鏡(図示せず)によって監視することが可能になる。これらの測定を用いて、たとえば、処理ユニット、たとえばこの目的のためにプログラムされたマイクロプロセッサの制御下で、溶融プロセス、特に、処理されるべき粉末状物質の充填物の溶融に必要かつ十分なプラズマ電力を制御および最適化するという目的のため、プラズマトーチ15の電力および/または処理されるべきこの充填物の溶融浴内への導入の割合を決定する。
【0076】
溶融チャンバ11の側壁、るつぼおよび丸天井はすべて、たとえばクロム/コランダムに基づく耐高温の耐火性材料で内側を覆われている。同じものが第2のチャンバ16の内壁に適用される。
【0077】
もちろん、ガラス化装置10の処理能力を上げるため、粉末状物質の充填を伴う少なくとも2つの注入装置12および溶融浴を加熱するための少なくとも2つの非移行型アークプラズマトーチ15で溶融チャンバ11を装備することも可能であろう。るつぼの寸法はこのとき、より大きな容量の溶融浴14を収容するために増大させることになるであろう。例として、溶融チャンバ11も形状を細長く、または楕円形にすることができるであろう。溶融浴14を形成している溶融物質の満足できる排出を確実にするため、このガラス化装置は少なくとも2つの別個の鋳造ゾーンを含むことができ、それぞれ好ましくは対応する注入装置12に対向して溶融チャンバ11に接続されている。
【0078】
この装置はまた、溶融物質のための鋳造ゾーンを画定している第2のチャンバ16を含む。この鋳造ゾーンは、ここで主要チャンバ11と第2のチャンバ16との間に配置された障壁石17の端部によって上部が限定されている開口を通して溶融ゾーンと流体連通している。溶融浴14から来る溶融物質の一部がこのようにこの開口を通って鋳造ゾーンに向かって流れることができる。
【0079】
障壁石17は、この開口の限界におけるチャンバの周囲壁に加わっているその自由端が溶融物質に浸かるように配置されている。液体溶融浴14と接触しているこの障壁石17はこのように、溶融ゾーンにおける粉末状物質の溶融によって生成されたガスおよび蒸気を阻止する。
【0080】
これらの蒸気およびガスはこのように、溶融チャンバ11の内部容積に閉じ込められたままになり、溶融チャンバ11の丸天井に配置された排出送管18によって抽出され、これは蒸気抽出および処理回路に接続されている。これらの蒸気およびガスは特に、溶融チャンバ11の高温の溶融ゾーンにおいて、通常1300℃と1600℃との間で起こる熱化学反応から生じる、粉末状物質の充填物の蒸発した部分を含む。
【0081】
第2のチャンバ16は、この第2のチャンバの側壁に取り付けられたバーナ19を含み、これは、溶融物質の温度を維持して、これが溶融ゾーンを通って出口ポートへ流れることを可能にする。もちろん、これはより一般的には、非移行型アークトーチのような、溶融物質を加熱して、上記溶融ゾーン内へ流れる溶融浴の上記一部の溶融物質の温度をその融点より上に維持する任意の手段であり得る。
【0082】
第2のチャンバ16はまた、鋳造ゾーンにおいて生成されたガスおよび蒸気を抽出するためのいくつかの開口20を有し、これはガスおよび蒸気抽出回路に接続されている。
【0083】
これらの抽出オリフィス20は、溶融物質の抽出段階中に生成されたガスおよび蒸気を捉えるよう、この溶融物質の抽出のための出口ポートを含む過流量ゾーンに配置されている。この過流量ゾーンは、鋳造ゾーンの障壁石17が配置されている方とは反対の端部に配置されている。
【0084】
過流量ゾーンは、鋳造口21を含む過流量手段を含み、鋳造口はその位置を調整するために好ましくは可動であり、その高さは、必要であれば、調整することができ、溶融物質の過流量のレベルおよびしたがって上記鋳造ゾーンにおける溶融浴のレベルを制御することが可能になっている。この鋳造口21は、好ましくは上記鋳造口21とともに可動であり、溶融浴14から来る溶融物質のための出口ポート23に向かって過流量溶融物質をもたらす、傾斜ランプ22によって延長されている。
【0085】
図2に示すように、溶融物質のためのこの出口ポート23は、第2のチャンバ16の本体の外部で、鋳造オリフィスによってこの第2のチャンバに接続され、溶融物質の抽出のための内部チャネル24を画定している中空導管を含み、溶融物質は重力によって傾斜ランプ22から鋳造オリフィスを通って落下する。
【0086】
抽出オリフィス20はここで、外気がガスおよび蒸気と同時に吸い込まれるように出口ポート23の中空ダクトの側壁上に分散されている。
【0087】
これらのガスおよび蒸気はこのように、ガスおよび蒸気抽出回路25のパイプ上のそれらの堆積および腐食作用が大きく低減されるように機械的に希釈される。この抽出回路25は有利には、出口ポート23を包囲する筐体を画定して、生成されたすべてのガスおよび蒸気を捉える。
【0088】
このように抽出された溶融物質は続いて大気中で冷却され、無毒なガラス化物質へと変わる。抽出オリフィス20は、上記溶融ゾーン内へ流れる溶融物質を冷却しないように第2のチャンバの外側かつ下に配置されていることに留意されたい。
【0089】
溶融物質は、冷却された回転圧延機26によって引っ張ることができる。この圧延機26を用いて、鋳造ゾーンから過流量手段からの過流量溶融物質を第2のチャンバ16の外側へ引き出す。圧延機26の通過により、固化したガラス化されたガラスが非晶質であることが保証される。
【0090】
図3は、本発明の第2の実施形態によるガラス化装置30の概略断面図である。
【0091】
図1および
図2におけるものと同じ参照記号の
図3における要素は同じ対象を表し、以下に再び説明しない。
【0092】
図3に示すガラス化装置30は、少なくとも1つの抽出オリフィス31を有するという点で、
図1および
図2に示すものと異なり、これは、出口ポート23ではなく、鋳造ゾーンを画定している第2のチャンバの側壁に配置されている。これはしかしながら、この出口ポート23に近接して配置され、ガラス化物質の抽出中に生成されたガスおよび蒸気の抽出を確実にしている。
【符号の説明】
【0093】
10 ガラス化装置
11 溶融チャンバ
12 注入装置
13 入口ポート
14 溶融浴
15 プラズマトーチ
16 第2のチャンバ
17 障壁石
18 排出送管
19 バーナ
20 抽出オリフィス
21 鋳造口
22 傾斜ランプ
23 出口ポート
24 内部チャネル
25 抽出回路
26 圧延機
30 ガラス化装置
31 抽出オリフィス