(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】高圧圧縮および膨張による天然ガスの前処理および前冷却
(51)【国際特許分類】
F25J 1/00 20060101AFI20220930BHJP
F25J 3/02 20060101ALI20220930BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20220930BHJP
C10L 3/10 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F25J3/02 B
F25J3/06
C10L3/10
(21)【出願番号】P 2020568243
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019032013
(87)【国際公開番号】W WO2019236246
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517002476
【氏名又は名称】エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】リウ イジュン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール フリッツ ジュニア
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/105687(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/164893(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0011127(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0013379(US,A1)
【文献】特表2002-508054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00
F25J 3/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガスストリームから液化天然ガス(LNG)を作り出す方法であって、前記方法は、
前記天然ガスストリームから重質炭化水素を除去し、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させるステップと;
前記分離された天然ガスストリームを第1の熱交換器の中で部分的に凝縮させ、それによって、部分的に凝縮された天然ガスストリームを発生させるステップと;
前記部分的に凝縮された天然ガスストリームから液体を分離し、それによって、前処理された天然ガスストリームを発生させるステップと;
少なくとも
10,340 kPa(1,500psia
)の圧力まで、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機の中で、前記前処理された天然ガスストリームを圧縮し、圧縮された天然ガスストリームを形成するステップと;
前記圧縮された天然ガスストリームを冷却し、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成するステップと;
少なくとも1つの仕事生成天然ガスエキスパンダーの中で、
13,790 kPa(2,000psia
)よりも小さい圧力、かつ、前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させ、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成するステップと;
前記冷やされた天然ガスストリームを冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離するステップと;
前記天然ガスストリーム、前記分離された天然ガスストリーム、前記部分的に凝縮された天然ガスストリーム、および前記前処理された天然ガスストリームを含む、1つまたは複数のプロセスストリームとの熱交換を通して前記冷媒ストリームを温め、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させるステップと;
温められた前記冷媒ストリームおよび前記非冷媒ストリームを液化するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記冷媒ストリームは、前記分離された天然ガスストリームとの熱交換を通して温められる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重質炭化水素は、スクラブカラムの中で前記天然ガスストリームから分離され、
前記方法は、分離された前記液体をカラム還流ストリームとして前記スクラブカラムに方向付けるステップをさらに含み、
前記1つまたは複数のプロセスストリームは、前記カラム還流ストリームをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する前に、前記分離された天然ガスストリームとの熱交換を通して、前記第1の熱交換器の中で、前記前処理された天然ガスストリームを温めるステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
冷やされた前記前処理された天然ガスストリームを液化するステップは、1つまたは複数のシングル混合冷媒(SMR)液化トレインの中で実施され、
冷やされた前記前処理された天然ガスストリームは、温められた冷媒ストリームと非冷媒ストリームとを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
冷やされた前記前処理された天然ガスストリームを液化するステップは、1つまたは複数のエキスパンダーベースの液化モジュールの中で実施され、前記エキスパンダーベースの液化モジュールは、窒素ガスエキスパンダーベースの液化モジュールまたはフィードガスエキスパンダーベースの液化モジュールであ
り、冷やされた前記前処理された天然ガスストリームは、温められた冷媒ストリームと非冷媒ストリームとを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの圧縮機は、
20,680 kPa(3,000psia
)よりも大きい圧力まで、前記天然ガスストリームを圧縮し、前記仕事生成天然ガスエキスパンダーは、
13,790 kPa(2,000psia
)よりも小さい圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記圧縮された天然ガスストリームを冷却するステップは、環境と熱を交換する少なくとも1つの熱交換器の中で、前記圧縮された天然ガスストリームを冷却するステップを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
浮体式LNG構造体のトップサイドの上で、除去する前記ステップ、部分的に凝縮させる前記ステップ、分離する前記ステップ、圧縮する前記ステップ、冷却する前記ステップ、膨張させる前記ステップ、分離する前記ステップ、温める前記ステップ、組み合わせる前記ステップ、および液化する前記ステップを実施するステップをさらに含
む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
天然ガスの液化のための装置であって、前記装置は、
天然ガスストリームから重質炭化水素を除去し、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させるように構成されている第1の分離デバイスと;
前記分離された天然ガスストリームを部分的に凝縮させ、それによって、部分的に凝縮された天然ガスストリームを形成する第1の熱交換器と;
前記部分的に凝縮された天然ガスストリームから液体を分離し、それによって、液体ストリームおよび前処理された天然ガスストリームを発生させる第2の分離デバイスと;
10,340 kPa(1,500psia
)よりも大きい圧力まで、前記前処理された天然ガスストリームを圧縮し、それによって、圧縮された天然ガスストリームを形成するように構成されている、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機と;
前記圧縮された天然ガスストリームを冷却し、それによって、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成するように構成されている冷却エレメントと;
13,790 kPa(2,000psia
)よりも小さい圧力、かつ、前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させ、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成するように構成されている、少なくとも1つの仕事生成エキスパンダーと;
を含み、
前記冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離され、前記冷媒ストリームは、前記第1の熱交換器の中で、前記天然ガスストリーム、前記分離された天然ガスストリーム、前記部分的に凝縮された天然ガスストリーム、前記前処理された天然ガスストリーム、および前記液体ストリームのうちの1つまたは複数との熱交換を通して温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させ;
前記装置は、さらに、
温められた前記冷媒ストリームおよび前記非冷媒ストリームを液化するように構成されている少なくとも1つの液化トレイン
を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、「PRETREATMENT AND PRE-COOLING OF NATURAL GAS BY HIGH PRESSURE COMPRESSION AND EXPANSION」という標題の2018年6月7日に出願された米国仮特許出願第62/681,938号の優先権の利益を主張する。本出願は、「PRE-COOLING OF NATURAL GAS BY HIGH PRESSURE COMPRESSION AND EXPANSION」という標題の2016年11月10日に出願された米国特許出願第15/348,533号に関し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
本発明は、液化天然ガス(LNG)を形成するための天然ガスの液化に関し、より具体的には、資本設備の建設および/もしくはメンテナンス、ならびに/または、従来のLNGプラントの環境的影響が有害となる可能性がある遠隔エリアまたは敏感なエリアにおける、LNGの生産に関する。
【背景技術】
【0002】
LNG生産は、天然ガスの豊富な供給を伴う場所から、天然ガスに対する強力な需要を伴う距離の離れた場所へ、天然ガスを供給するための急速に成長している手段である。従来のLNG生産サイクルは、a)水、硫黄化合物、および二酸化炭素などのような、汚染物質を除去するための天然ガス資源の初期処理;b)自己冷蔵、外部冷蔵、希薄油などを含む、さまざまな可能な方法による、たとえば、プロパン、ブタン、ペンタンなどのようないくつかのより重い炭化水素ガスの分離;c)ほぼ大気圧力および約-160℃において液化天然ガスを形成するために、実質的に外部冷蔵による天然ガスの冷蔵;d)この目的のために設計されている船またはタンカーの中のLNG製品の市場への輸送;e)天然ガス消費者へ分配され得る加圧された天然ガスへの、再ガス化プラントにおけるLNGの再加圧および再ガス化を含む。従来のLNGサイクルのステップ(c)は、通常、かなりの炭素および他の排出物を排出する大型のガスタービンドライバーによって動力を与えられることが多い大型の冷蔵圧縮機の使用を必要とする。数十億米ドルの多額の資本投資および広範なインフラストラクチャーが、液化プラントの一部として必要とされる。従来のLNGサイクルのステップ(e)は、一般的に、クライオポンプを使用して必要な圧力までLNGを再加圧すること、および、次いで、中間流体を通して、しかし、最終的には海水と熱を交換することによって、または、LNGを加熱および蒸発させるために、天然ガスの一部分を燃焼させることによって、加圧された天然ガスへとLNGを再ガス化することとを含む。
【0003】
一般的に、LNG生産はよく知られているが、LNG生産者がLNG産業においてその指導的地位を維持することを求めるとき、技術改善は、依然として、LNG生産者に重要な機会を提供することが可能である。たとえば、浮体式LNG(FLNG)は、LNGを作り出すための比較的に新しい技術オプションである。その技術は、バージまたは船などのような浮体式構造体の上でのガス処理および液化設備の建設を伴う。FLNGは、オフショアストランデッドガスを収益化するための技術解決策であり、オフショアストランデッドガスにおいて、海岸へのガスパイプラインを建設することが経済的に実行可能でない。また、FLNGは、遠隔の、環境的に敏感な、および/または政治的に課題の多い領域に位置付けされているオンショアのおよび沿岸のガス田に関して、ますます考えられている。その技術は、それが生産現場において低減されたエコロジカルフットプリントを有するという点において、従来のオンショアLNGを上回る特定の利点を有している。また、その技術は、より速くおよびより低いコストでプロジェクトを引き渡すことが可能である。その理由は、LNG設備の大部分が、より低い賃金率および低減された実行リスクによって、造船所において建設されるからである。
【0004】
FLNGは、従来のオンショアLNGを上回るいくつかの利点を有するが、その技術の適用において、重大な技術的課題が残っている。たとえば、FLNG構造体は、オンショアLNGプラントにおいて利用可能となるものの4分の1よりも小さいことが多いエリアまたはスペースの中に、同じレベルのガス処理および液化を提供しなければならない。この理由のために、その容量を維持しながら、液化設備の設置面積を低減させ、それによって、全体的なプロジェクトコストを低減させる技術を開発する必要性が存在している。FLNGプロジェクトの上で使用するために、いくつかの液化技術が提案されてきた。先進の技術は、シングル混合冷媒(SMR)プロセス、デュアル混合冷媒(DMR)プロセス、およびエキスパンダーベースの(または、膨張)プロセスを含む。
DMRプロセスとは対照的に、SMRプロセスは、完全な液化プロセスに関連付けられるすべての機器および積み荷が、単一のFLNGモジュールの中にフィットすることを可能にするという利点を有している。SMR液化モジュールは、完全なSMRトレインとしてFLNG構造体のトップサイドの上に設置されている。この「LNG-in-a-Box」概念は、FLNGプロジェクト実行に関して好ましい。その理由は、それが、FLNG構造体が建設される場所とは異なる場所において、SMRトレインの試験および試運転を可能にするからである。また、それは、労働コストの低減を可能にすることができる。その理由は、それが、賃金率が従来の製作所における賃金率よりも高くなる傾向にある造船所における労働時間を低減させるからである。SMRプロセスは、他の混合冷媒プロセスと比較したときに、相対的に効率的で単純でコンパクトな冷媒プロセスであるという追加の利点を有している。そのうえ、SMR液化プロセスは、典型的に、エキスパンダーベースの液化プロセスよりも15%~20%効率的である。
【0005】
FLNGプロジェクトの中のLNG液化に関するSMRプロセスの選択肢は、その利点を有する。しかし、SMRプロセスに対するいくつかの不利益が存在している。たとえば、プロパンなどのような可燃性の冷媒の必要な使用および保管は、FLNGの上での損失防止問題を大幅に増加させる。また、SMRプロセスは、容量が制限されており、それは、所望のLNG生産に到達するために必要とされるトレインの数を増加させる。また、重質炭化水素を除去するために、および、冷媒補給のために必要な天然ガス液体を回収するために、スクラブカラムが使用されることが多い。
図1は、スクラブカラム104を備えた単純なSMRプロセスを一体化している典型的なLNG液化システム100を図示している。SMR冷媒ループ106は、1つまたは複数の熱交換器108a、108b、108cの中で、フィードガスストリーム102を冷却および液化する。具体的には、SMR冷媒ループ106は、フィードガスストリーム102がスクラブカラム104に送られる前に、フィードガスストリーム102を冷却する。重質炭化水素が、スクラブカラム104の底部ストリーム110から除去され、冷却された蒸気ストリーム112は、スクラブカラム104の上部から除去される。次いで、冷却された蒸気ストリーム112は、SMR冷媒ループ106との熱交換を通して、熱交換器108bの中で冷却され、部分的に凝縮される。冷却された蒸気ストリームは、分離ベッセル114に送られ、分離ベッセル114において、冷却された蒸気ストリームの凝縮された部分は、液体還流ストリーム116としてスクラブカラムに戻され、冷却された蒸気ストリームの蒸気部分118は、SMR冷媒ループ106との熱交換を通して、熱交換器108cの中で液化される。LNGストリーム120は、保管および/または輸送のために、LNG液化システム100を退出する。
【0006】
図1に示されて上記に説明されているものなどのような、一体化されたスクラブカラム設計は、通常、重質炭化水素除去に関して、最低コストのオプションである。しかし、この設計は、トレイン容量を低減させるという不利益を有している。その理由は、SMRトレインの冷蔵のいくらかが、カラム還流を作り出すために熱交換器108bの中で使用されるからである。また、それは、SMRトレインの機器数を増加させるという不利益を有しており、それは、単一のFLNGモジュールの中にSMRトレインを設置する能力を制限する可能性がある。そのうえ、1.5MTAよりも大きいFLNG用途に関して、複数のSMRトレインが必要とされ、それぞれのトレインは、それ自身の一体化されたスクラブカラムを有した状態になっている。これらの理由および他の理由のために、かなりの量のトップサイドスペースおよび重量が、SMRトレインのために必要とされる。トップサイドスペースおよび重量は、FLNGプロジェクトコストに関して重要な原動力であるので、SMR液化プロセスを改善し、トップサイドスペース、重量、および複雑性をさらに低減させ、それによって、プロジェクト経済性を改善する必要性が存在している。高生産FLNG用途に関して全体的な機器数も低減させながらトレイン容量を増加させることができる重質炭化水素除去プロセスを開発する追加的な必要性が存在しているままである。
【0007】
エキスパンダーベースのプロセスは、それをFLNGプロジェクトに非常に適したものにするいくつかの利点を有している。最も重要な利点は、その技術が、外部炭化水素冷媒に対する必要性なしに液化を提供するということである。プロパン貯蔵などのような液体炭化水素冷媒在庫を除去することは、FLNGプロジェクトに関する安全性への懸念を大幅に低減させる。混合冷媒プロセスと比較したエキスパンダーベースのプロセスの追加的な利点は、主冷媒が大部分は気相のままであるので、エキスパンダーベースのプロセスがオフショアの動きに敏感でないということである。しかし、2百万トン毎年(MTA)よりも大きいLNG生産を伴うFLNGプロジェクトにエキスパンダーベースのプロセスを適用することは、混合冷媒プロセスの使用よりも魅力的でないということが分かった。エキスパンダーベースのプロセストレインの容量は、典型的に1.5MTAよりも小さい。それとは対照的に、混合冷媒プロセストレイン(たとえば、公知のデュアル混合冷媒プロセスのものなど)は、5MTAよりも大きいトレイン容量を有することが可能である。エキスパンダーベースのプロセストレインのサイズは制限されている。その理由は、その冷媒が大部分はプロセス全体を通して蒸気状態のままであり、冷媒がその顕熱を通してエネルギーを吸収するからである。これらの理由のために、冷媒体積流量はプロセスの全体を通して大きくなっており、熱交換器および配管のサイズは、混合冷媒プロセスのものよりも比例して大きくなっている。そのうえ、コンパンダー(compander)馬力サイズの制限は、エキスパンダーベースのプロセストレインの容量が増加するにつれて、並列の回転機械を結果として生じさせる。エキスパンダーベースのプロセスを使用するFLNGプロジェクトの生産率は、複数のエキスパンダーベースのトレインが許容される場合には、2MTAよりも大きくされ得る。たとえば、6MTAのFLNGプロジェクトに関して、6つ以上の並列のエキスパンダーベースのプロセストレインが、必要とされる生産を実現するために十分である可能性がある。しかし、機器数、複雑性、およびコストは、すべて、複数のエキスパンダートレインとともに増加する。追加的に、混合冷媒プロセスは、1つまたは2つのトレインによって必要な生産率を取得することが可能であるが、エキスパンダーベースのプロセスに関して、複数のトレインが必要とされる場合には、混合冷媒プロセスと比較したエキスパンダーベースのプロセスの想定されるプロセスの単純性は疑問視され始める。また、一体化されたスクラブカラム設計は、エキスパンダーベースの液化プロセスに関して重質炭化水素を除去するために使用され得る。その使用の利点および不利益は、SMRプロセスのものと同様である。一体化されたスクラブカラム設計の使用は、フィードガスのクリコンデンバールを下回る値に液化圧力を制限する。この事実は、エキスパンダーベースのプロセスに関して特に不利益である。その理由は、混合冷媒プロセスよりも低い液化圧力によって、そのプロセス効率がより悪影響を受けるからである。これらの理由のために、エキスパンダーベースのプロセスの利点を伴う高いLNG生産容量のFLNG液化プロセスを開発する必要性が存在している。ベッセルの動きがガス処理に対して有する課題をより良好に取り扱うことができるFLNG技術解決策を開発するさらなる必要性が存在している。従来の技術に関連付けられる効率および生産の損失を排除することによって、エキスパンダーベースのプロセスにより適した重質炭化水素除去プロセスを開発するさらなる必要性が存在しているままである。
【0008】
米国特許第6,412,302号は、フィードガスエキスパンダーベースのプロセスを説明しており、そこでは、2つの独立したクローズド冷蔵ループが、フィードガスを冷却するために使用され、LNGを形成する。ある実施形態では、第1のクローズド冷蔵ループは、冷媒としてフィードガスまたはフィードガスの成分を使用している。窒素ガスが、第2のクローズド冷蔵ループのための冷媒として使用されている。この技術は、デュアルループ窒素エキスパンダーベースのプロセスよりも小さい機器およびトップサイドスペースを必要とする。たとえば、低圧圧縮機の中への冷媒の体積流量は、この技術に関して、デュアルループ窒素エキスパンダーベースのプロセスと比較して20%~50%小さくなっていることが可能である。しかし、その技術は、依然として、1.5MTAよりも小さい容量に制限される。
米国特許第8,616,012号は、フィードガスエキスパンダーベースのプロセスを説明しており、そこでは、フィードガスが、クローズド冷蔵ループの中の冷媒として使用されている。このクローズド冷蔵ループの中において、冷媒は、1,500psia(10,340kPa)以上の圧力まで、または、より好ましくは、2,500psia(17,240kPA)よりも大きい圧力まで圧縮される。次いで、冷媒は、極低温温度を実現するために冷却および膨張される。この冷却された冷媒は、温かい温度から極低温温度へフィードガスを冷却するために、熱交換器の中で使用されている。次いで、過冷却冷蔵ループが、フィードガスをさらに冷却するために用いられ、LNGを形成する。1つの実施形態では、過冷却冷蔵ループは、冷媒として使用されるフラッシュガスを伴うクローズドループである。このフィードガスエキスパンダーベースのプロセスは、1MTAよりも小さいトレイン容量範囲に限定されないという利点を有している。おおよそ6MTAのトレインサイズが考えられてきた。しかし、その技術は、2つの独立した冷蔵ループおよびフィードガスの圧縮に関するその要件に起因して、機器数の増加および複雑性の増加という不利益を有している。
【0009】
GB2,486,036は、フィードガスエキスパンダーベースのプロセスを説明しており、フィードガスエキスパンダーベースのプロセスは、前冷却エキスパンダーループおよび液化エキスパンダーループを含むオープンループ冷蔵サイクルであり、そこでは、膨張後の気相が、天然ガスを液化するために使用されている。この文献によれば、プロセスの中に液化エキスパンダーを含むことは、再循環ガス率および全体的な必要冷蔵パワーを大幅に低減させる。この技術は、1つだけのタイプの冷媒が単一の圧縮ストリングとともに使用されるので、他の技術よりも単純であるという利点を有している。しかし、その技術は、依然として、1.5MTAよりも小さい容量に制限され、それは、液化エキスパンダーの使用を必要とし、液化エキスパンダーは、LNG生産に関して標準的な機器ではない。また、その技術は、希薄天然ガスの液化に関する他の技術よりも効率的でないということが示されている。
米国特許第7,386,996号は、メインエキスパンダーベースの冷却回路に先行する前冷却冷蔵プロセスを備えたエキスパンダーベースのプロセスを説明している。前冷却冷蔵プロセスは、カスケード配置の二酸化炭素冷蔵回路を含む。二酸化炭素冷蔵回路は、3つの圧力レベル(ウォームエンド(warm-end)冷却を提供するための高圧レベル;中間温度冷却を提供するための中圧レベル;および、二酸化炭素冷蔵回路に関してコールドエンド(cold-end)冷却を提供するための低圧力レベル)において、メインエキスパンダーベースの冷却回路のフィードガスおよび冷媒ガスを冷却することが可能である。この技術は、前冷却ステップを欠くエキスパンダーベースのプロセスよりも効率的であり、より高い生産容量を有している。その技術は、前冷却冷蔵サイクルが炭化水素冷媒の代わりに冷媒として二酸化炭素を使用するので、FLNG用途に関して追加的な利点を有している。しかし、二酸化炭素冷蔵回路は、液化プロセスに複雑性が追加されるという代償を伴う。その理由は、追加的な冷媒およびかなりの量の追加の機器が導入されるからである。FLNG用途において、二酸化炭素冷蔵回路は、それ自身のモジュールの中にあることが可能であり、複数のエキスパンダーベースのプロセスのための前冷却を提供するようにサイズ決めされ得る。この配置は、前冷却モジュールとメインエキスパンダーベースのプロセスモジュールとの間でかなりの量のパイプ接続を必要とするという不利益を有している。上記に議論されている「LNG-in-a-Box」利点は、もはや実現されない。
【0010】
したがって、追加的な冷媒を必要とせず、それほどの量の追加の機器をLNG液化プロセスに導入しない、前冷却プロセスを開発する必要性が存在しているままである。液化モジュールと同じモジュールの中に設置され得る前冷却プロセスを開発する追加的な必要性が存在している。そのうえ、重質炭化水素除去プロセスと容易に一体化し、液化の上流に補助冷却を提供することができる前冷却プロセスを開発する追加的な必要性が存在している。SMRプロセスまたはエキスパンダーベースのプロセスと組み合わせられたそのような前冷却プロセスは、トップサイドスペースおよび重量がプロジェクト経済性に大幅に影響を与えるFLNG用途に関して、とりわけ適切であることとなる。エキスパンダーベースのプロセスの利点を備えており、加えて、設備設置面積を大幅に増加させることなく高いLNG生産容を有するLNG生産プロセスを開発する特定の必要性が存在しているままである。ベッセルの動きがガス処理に対して有する課題をより良好に取り扱うことができるLNG技術解決策を開発するさらなる必要性が存在している。そのような高容量のエキスパンダーベースの液化プロセスは、エキスパンダーベースの液化プロセスの固有の安全および単純性が非常に価値の高いFLNG用途に関して、とりわけ適切であることとなる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、天然ガスストリームから液化天然ガスを作り出す方法を提供する。重質炭化水素は、天然ガスストリームから除去され、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させる。分離された天然ガスストリームは、第1の熱交換器の中で部分的に凝縮され、それによって、部分的に凝縮された天然ガスストリームを発生させる。液体は、部分的に凝縮された天然ガスストリームから分離され、それによって、前処理された天然ガスストリームを発生させる。前処理された天然ガスストリームは、少なくとも1,500psiaの圧力まで、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機の中で圧縮され、圧縮された天然ガスストリームを形成し、それは冷却され、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成する。冷却された圧縮された天然ガスストリームは、2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、少なくとも1つの仕事生成(work-producing)天然ガスエキスパンダーの中で膨張され、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成する。冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離される。冷媒は、天然ガスストリーム、分離された天然ガスストリーム、部分的に凝縮された天然ガスストリーム、および前処理された天然ガスストリームを含む、1つまたは複数のプロセスストリームとの熱交換を通して温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させる。次いで、温められた冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームは液化される。
【0012】
また、本発明は、天然ガスの液化のための装置を提供する。第1の分離デバイスは、天然ガスストリームから重質炭化水素を除去し、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させるように構成されている。第1の熱交換器は、分離された天然ガスストリームを部分的に凝縮させる。第2の分離デバイスは、部分的に凝縮された天然ガスストリームから液体を分離し、それによって、液体ストリームおよび前処理された天然ガスストリームを発生させる。少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機は、1,500psiaよりも大きい圧力まで、前処理された天然ガスストリームを圧縮し、冷却エレメントは、圧縮された天然ガスストリームを冷却し、それによって、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成する。少なくとも1つの仕事生成エキスパンダーは、2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させ、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成する。冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離され、冷媒ストリームは、第1の熱交換器の中で、天然ガスストリーム、分離された天然ガスストリーム、部分的に凝縮された天然ガスストリーム、前処理された天然ガスストリーム、および液体ストリームのうちの1つまたは複数との熱交換を通して温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させる。少なくとも1つの液化トレインは、温められた冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームを液化する。
【0013】
また、本発明は、浮体式LNG構造体を提供する。第1の分離デバイスは、天然ガスストリームから重質炭化水素を除去し、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させる。第1の熱交換器は、分離された天然ガスストリームを部分的に凝縮させ、第2の分離デバイスは、部分的に凝縮された天然ガスストリームから液体を分離し、それによって、液体ストリームおよび前処理された天然ガスストリームを発生させる。少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機は、1,500psiaよりも大きい圧力まで、前処理された天然ガスストリームを圧縮し、圧縮された天然ガスストリームが冷却される。少なくとも1つの仕事生成エキスパンダーは、2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させ、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成する。冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離される。冷媒ストリームは、第1の熱交換器の中で、天然ガスストリーム、分離された天然ガスストリーム、部分的に凝縮された天然ガスストリーム、前処理された天然ガスストリーム、および液体ストリームのうちの1つまたは複数との熱交換を通して温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させる。少なくとも1つの液化トレインは、温められた冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームを液化する。
【0014】
本発明は、天然ガスストリームから液化天然ガスを作り出す方法をさらに提供する。天然ガスストリームは前処理され、次いで、少なくとも1,500psiaの圧力まで、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機の中で圧縮され、圧縮された天然ガスストリームを形成する。圧縮された天然ガスストリームは冷却され、次いで、2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、少なくとも1つの仕事生成天然ガスエキスパンダーの中で膨張され、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成する。冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離される。冷媒ストリームは、天然ガスストリームを前処理することに関連付けられる1つまたは複数のプロセスストリームとの熱交換を通して温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させる。次いで、温められた冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームは液化される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】公知の原理による、重質炭化水素除去のための一体化されたスクラブカラムを備えたSMRプロセスの概略ダイアグラムである。
【
図2】開示されている態様による、重質炭化水素除去を備えた高圧圧縮および膨張(HPCE)モジュールの概略ダイアグラムである。
【
図3】公知の原理による、シングル混合冷媒(SMR)液化モジュールの配置を示す概略ダイアグラムである。
【
図4】開示されている態様による、SMR液化モジュールの配置を示す概略ダイアグラムである。
【
図5】エキスパンダーベースの冷蔵プロセスに関する加熱および冷却曲線を示すグラフである。
【
図6】開示されている態様による、重質炭化水素除去を備えたHPCEモジュールの概略ダイアグラムである。
【
図7】開示されている態様による、重質炭化水素除去を備えたHPCEモジュールおよびフィードガスエキスパンダーベースの液化モジュールの概略ダイアグラムである。
【
図8】開示されている態様による、LNGを形成するために天然ガスを液化する方法のフローチャートである。
【
図9】開示されている態様による、LNGを形成するために天然ガスを液化する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、さまざまな特定の態様、実施形態、およびバージョンが、説明されることとなる(本明細書で採用される定義を含む)。そのような態様、実施形態、およびバージョンは単なる例示的なものに過ぎないということ、ならびに、本発明は他の方式でも実践され得るということを、当業者は認識することとなる。本「発明」への言及は、特許請求の範囲によって定義されている実施形態のうちの1つまたは複数(必ずしもすべてとは限らない)を指すことが可能である。見出しの使用は、単に便宜上の目的のためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定していない。明確化および簡潔化の目的のために、いくつかの図の中の同様の参照数字は、同様のアイテム、ステップ、または構造体を表しており、すべての図において詳細には説明されない場合がある。
【0017】
本明細書において詳細な説明および特許請求の範囲の中のすべての数値は、「約」または「おおよそ」によって修飾されており、当業者によって予期されることとなる実験的な誤差および変動を考慮に入れている。
本明細書で使用されているように、「圧縮機」という用語は、仕事の適用によってガスの圧力を増加させるマシンを意味している。「圧縮機」または「冷媒圧縮機」は、ガスストリームの圧力を増加させることができる任意のユニット、デバイス、または装置を含む。これは、単一の圧縮プロセスもしくはステップを有する圧縮機、または、多段圧縮もしくはステップを有する圧縮機、または、より具体的には、単一のケーシングもしくはシェルの中の多段圧縮機を含む。圧縮されるべき蒸発ストリームは、異なる圧力で圧縮機に提供され得る。冷却プロセスのいくつかの段またはステップは、並列に、直列に、またはその両方で、2つ以上の圧縮機を伴うことが可能である。本発明は、とりわけ、任意の冷媒回路において、1つもしくは複数の圧縮機のタイプまたは配置またはレイアウトによって限定されない。
【0018】
本明細書で使用されているように、「冷却」は、任意の適切な、所望の、または必要な量だけ、物質の温度および/または内部エネルギーを低下および/または降下させることを広く指す。冷却は、少なくとも約1℃、少なくとも約5℃、少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、少なくとも約25℃、少なくとも約35℃、少なくとも約50℃、少なくとも約75℃、少なくとも約85℃、少なくとも約95℃、または少なくとも約100℃の温度降下を含むことが可能である。冷却は、たとえば、蒸気発生、高温水加熱、冷却水、空気、冷媒、他のプロセスストリーム(一体化)、および、それらの組み合わせなど、任意の適切なヒートシンクを使用することが可能である。冷却の1つまたは複数の供給源は、所望の出口部温度に到達するために、組み合わせおよび/またはカスケードされ得る。冷却ステップは、任意の適切なデバイスおよび/または機器を備えた冷却ユニットを使用することが可能である。いくつかの実施形態によれば、冷却は、間接的な熱交換を含むことが可能であり、たとえば、1つまたは複数の熱交換器などを備える。代替例において、冷却は、蒸発(気化熱)冷却および/または直接的な熱交換、たとえば、プロセスストリームの中へ直接的にスプレーされる液体などを使用することが可能である。
【0019】
本明細書で使用されているように、「環境」という用語は、プロセスの付近の周囲の局所条件、たとえば、温度および圧力を指す。
本明細書で使用されているように、「膨張デバイス」という用語は、ラインの中の流体(たとえば、液体ストリーム、蒸気ストリーム、または、液体および蒸気の両方を含有する多相ストリーム)の圧力を低減させるのに適切な1つまたは複数のデバイスを指す。特定のタイプの膨張デバイスが具体的に述べられていない場合には、膨張デバイスは、(1)少なくとも部分的に等エンタルピー的な手段によるものであり得るか、または、(2)少なくとも部分的に等エントロピー的な手段によるものであり得るか、または、(3)等エントロピー的な手段および等エンタルピー的な手段の両方の組み合わせであることが可能である。天然ガスの等エンタルピー的な膨張に関して適切なデバイスは、当技術分野において知られており、一般的に、それに限定されないが、手動でまたは自動的に作動させられるスロットリングデバイス、たとえば、弁、制御弁、ジュール-トムソン(J-T)弁、またはベンチュリーデバイスなどを含む。天然ガスの等エントロピー的な膨張に関して適切なデバイスは、当技術分野において知られており、一般的に、そのような膨張から仕事を抽出または導出するエキスパンダーまたはターボエキスパンダーなどのような機器を含む。液体ストリームの等エントロピー的な膨張に関して適切なデバイスは、当技術分野において知られており、一般的に、そのような膨張から仕事を抽出または導出するエキスパンダー、油圧エキスパンダー、液体タービン、またはターボエキスパンダーなどのような機器を含む。等エントロピー的な手段および等エンタルピー的な手段の両方の組み合わせの例は、並列のジュール-トムソン弁およびターボエキスパンダーであることが可能であり、それは、いずれかを単独で使用するか、または、J-T弁およびターボエキスパンダーの両方を同時に使用する能力を提供する。等エンタルピー的なまたは等エントロピー的な膨張は、全液相、全蒸気相、または混合相の中で実行され得、また、蒸気ストリームまたは液体ストリームから多相ストリーム(蒸気および液相の両方を有するストリーム)へのまたはその初期の相とは異なる単相ストリームへの相変化を促進させるために実行され得る。本明細書における図面の説明において、任意の図面の中の2つ以上の膨張デバイスを参照することは、それぞれの膨張デバイスが同じタイプまたはサイズのものであるということを必ずしも意味しているとは限らない。
【0020】
「ガス」という用語は、本明細書では「蒸気」と相互交換に使用されており、液体状態または固体状態から区別されるような気体状態の物質または物質の混合物として定義されている。同様に、「液体」という用語は、気体状態または固体状態から区別されるような液体状態の物質または物質の混合物を意味している。
【0021】
「熱交換器」は、1つの媒体から別の媒体へ(たとえば、少なくとも2つの個別の流体の間でなど)熱エネルギーまたは冷熱エネルギーを伝達することができる任意のデバイスを広く意味している。熱交換器は、「直接的な熱交換器」および「間接的な熱交換器」を含む。したがって、熱交換器は、たとえば、並流または向流の熱交換器、間接的な熱交換器(たとえば、スパイラル巻回型の熱交換器またはプレートフィン熱交換器、たとえば、ろう付けされたアルミニウムプレートフィンタイプなど)、直接接触熱交換器、シェルアンドチューブ型熱交換器、スパイラル、ヘアピン、コア、コアアンドケトル、プリント回路型、ダブルパイプ、または、任意の他のタイプの公知の熱交換器など、任意の適切な設計のものであることが可能である。また、「熱交換器」は、それを通る1つまたは複数のストリームの通過を可能にするように適合されており、冷媒の1つまたは複数のラインと1つまたは複数のフィードストリームとの間での直接的なまたは間接的な熱交換に影響を与えるように適合されている、任意のカラム、タワー、ユニット、または他の構成体を指すことが可能である。
【0022】
本明細書で使用されているように、「重質炭化水素」という用語は、5つ以上の炭素原子を有する炭化水素を指す。主な例は、ペンタン、ヘキサンおよびヘプタンを含む。他の例は、ベンゼン、芳香族、またはダイヤモンドイドを含む。
本明細書で使用されているように、「間接的な熱交換」という用語は、流体の互いとの任意の物理的な接触または混ぜ合わせなしに、2つの流体を熱交換関係に持って来ることを意味している。コア-イン-ケトル熱交換器およびろう付けされたアルミニウムプレートフィン熱交換器は、間接的な熱交換を促進させる機器の例である。
本明細書で使用されているように、「天然ガス」という用語は、原油井(関連のガス)から取得されるかまたは地下のガス含有層(非関連のガス)から取得される多成分ガスを指す。天然ガスの組成および圧力は、大幅に変化する可能性がある。典型的な天然ガスストリームは、重要な成分としてメタン(C1)を含有する。また、天然ガスストリームは、エタン(C2)、より高い分子量の炭化水素、および1つまたは複数の酸ガスを含有することが可能である。また、天然ガスは、水、窒素、硫化鉄、ワックス、および原油などのような、少量の汚染物質を含有することが可能である。
【0023】
本明細書で使用されているように、「分離デバイス」または「セパレーター」という用語は、少なくとも2つの構成エレメントを有する流体を受け入れるように構成されており、上部部分から外へガス状ストリームを作り出し、ベッセルの底部から外へ液体(または、底部)ストリームを作り出すように構成されている、任意のベッセルを指す。分離デバイス/セパレーターは、内部接触強化構造体(たとえば、パッキングエレメント、ストリッパー、堰プレート(weir plate)、煙突など)を含むことが可能であり、1つの、2つの、もしくはそれ以上のセクション(たとえば、ストリッピングセクションおよびリボイラーセクション)を含むことが可能であり、ならびに/または、追加的な入口部および出口部を含むことが可能である。例示的な分離デバイス/セパレーターは、バルク分留装置、ストリッピングカラム、相分離器、スクラブカラム、およびその他を含む。
本明細書で使用されているように、「スクラブカラム」という用語は、天然ガスストリームから重質炭化水素を除去するために使用される分離デバイスを指す。
【0024】
特定の実施形態および特徴は、1セットの数値的な上限および1セットの数値的な下限を使用して説明されてきた。別段の指示がない限り、任意の下限から任意の上限への範囲が企図されているということが認識されるべきである。すべての数値は、「約」または「おおよそ」示されている値であり、当業者によって予期されることとなる実験的な誤差および変動を考慮に入れる。
本出願の中で引用されているすべての特許、テスト手順、および他の文献は、そのような開示が本出願と矛盾しない範囲において、参照により完全に組み込まれており、そのような組み込みが許容されるすべての法域に関して、参照により完全に組み込まれている。
【0025】
本明細書で開示されている態様は、天然ガスを液化する前に高圧圧縮および高圧膨張プロセスを追加することによって、LNGの生産のための液化プロセスに対して天然ガスを前処理および前冷却するためのプロセスを説明している。圧縮されたおよび膨張されたガスの一部分は、フィードガスを前処理することに関連付けられる1つまたは複数のプロセスストリームを冷却するために使用される。より具体的には、本発明は、重質炭化水素が天然ガスストリームから除去され、前処理された天然ガスストリームを形成するプロセスを説明している。前処理された天然ガスは、1,500psia(10,340kPA)よりも大きい圧力まで、または、より好ましくは、3,000psia(20,680kPA)よりも大きい圧力まで圧縮される。高温の圧縮されたガスは、環境と熱を交換することによって冷却され、圧縮された前処理されたガスを形成する。圧縮された前処理されたガスは、3,000psia(20,680kPA)よりも小さい圧力まで、または、より好ましくは、2,000psia(13,790kPA)よりも小さい圧力まで、ほぼ等エントロピー的に膨張され、第1の冷やされた前処理されたガスを形成し、ここで、第1の冷やされた前処理されたガスの圧力は、圧縮された前処理されたガスの圧力よりも小さくなっている。第1の冷やされた前処理されたガスは、少なくとも1つの冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離される。少なくとも1つの冷媒ストリームは、少なくとも1つの熱交換器に方向付けられ、少なくとも1つの熱交換器において、それは、プロセスストリームを冷却するように作用し、温められた冷媒ストリームを形成するように作用する。温められた冷媒ストリームは、非冷媒ストリームと混合され、第2の冷やされた前処理されたガスを形成する。第2の冷やされた前処理されたガスは、1つまたは複数のSMR液化トレインに方向付けられ得、または、第2の冷やされた前処理されたガスは、1つまたは複数のエキスパンダーベースの液化トレインに方向付けられ得、1つまたは複数のエキスパンダーベースの液化トレインにおいて、ガスはさらに冷却され、LNGを形成する。
【0026】
図2は、天然ガスストリーム201を前処理および前冷却するための前処理装置200の説明図であり、高圧圧縮および膨張(HPCE)プロセスモジュール212がそれに続く。天然ガスストリーム201は、スクラブカラム202などのような分離デバイスの中へ流れ込むことが可能であり、分離デバイスにおいて、天然ガスストリーム201は、カラムオーバーヘッドストリーム203およびカラム底部ストリーム204へと分離される。カラムオーバーヘッドストリーム203は、第1の熱交換器205(「コールドボックス」として知られる)を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器205において、カラムオーバーヘッドストリーム203は、部分的に凝縮され、2相ストリーム206を形成する。2相ストリーム206は、セパレーター207などのような別の分離デバイスの中へ流れ込み、冷温の前処理されたガスストリーム208および液体ストリーム209を形成することが可能である。冷温の前処理されたガスストリーム208は、第1の熱交換器205を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器205において、冷温の前処理されたガスストリーム208は、カラムオーバーヘッドストリーム203と間接的に熱を交換することによって温められ、それによって、前処理された天然ガスストリーム210を形成する。液体ストリーム209は、ポンプ211の中で加圧され、次いで、カラム還流ストリームとしてスクラブカラム202に方向付けられ得る。
【0027】
HPCEプロセスモジュール212は、第1の圧縮機213を含むことが可能であり、第1の圧縮機213は、前処理された天然ガスストリーム210を圧縮し、中間圧力ガスストリーム214を形成する。中間圧力ガスストリーム214は、第2の熱交換器215を通って流れることが可能であり、第2の熱交換器215において、中間圧力ガスストリーム214は、環境と間接的に熱を交換することによって冷却され、冷却された中間圧力ガスストリーム216を形成する。第2の熱交換器215は、空冷式の熱交換器または水冷式の熱交換器であることが可能である。次いで、冷却された中間圧力ガスストリーム216は、第2の圧縮機217の中で圧縮され、高圧ガスストリーム218を形成することが可能である。高圧ガスストリーム218の圧力は、1,500psia(10,340kPA)よりも大きくなっていることが可能であり、または、より好ましくは、3,000psia(20,680kPA)よりも大きくなっていることが可能である。高圧ガスストリーム218は、第3の熱交換器219を通って流れることが可能であり、第3の熱交換器219において、高圧ガスストリーム218は、環境と間接的に熱を交換することによって冷却され、冷却された高圧ガスストリーム220を形成する。第3の熱交換器219は、空冷式の熱交換器または水冷式の熱交換器であることが可能である。次いで、冷却された高圧ガスストリーム220は、エキスパンダー221の中で膨張され、第1の冷やされた前処理されたガスストリーム222を形成することが可能である。第1の冷やされた前処理されたガスストリーム222の圧力は、3,000psia(20,680kPA)よりも小さくなっていることが可能であり、または、より好ましくは、2,000psia(13,790kPA)よりも小さくなっていることが可能であり、第1の冷やされた前処理されたガスストリーム222の圧力は、冷却された高圧ガスストリーム220の圧力よりも小さくなっている。好適な態様では、第2の圧縮機217は、点線223によって示されているように、エキスパンダー221によって作り出されるシャフト動力のみによって駆動され得る。第1の冷やされた前処理されたガスストリーム222は、冷媒ストリーム224および非冷媒ストリーム225へと分離され得る。冷媒ストリーム224は、第1の熱交換器205を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器205において、冷媒ストリーム224は、カラムオーバーヘッドストリーム203と間接的に熱を交換することによって部分的に温められ、それによって、温められた冷媒ストリーム226を形成する。温められた冷媒ストリーム226は、非冷媒ストリーム225と混合し、第2の冷やされた前処理されたガスストリーム227を形成することが可能である。次いで、第2の冷やされた前処理されたガスストリーム227は、たとえば、第4の熱交換器229の中のSMR冷媒ループ228との間接的な熱交換を通して、SMR液化トレイン240の中で液化され得る。次いで、結果として生じたLNGストリーム230は、必要に応じて保管および/または輸送され得る。
【0028】
冷媒ストリーム224は、前処理装置200に関連付けられるプロセスストリームのいずれかを冷却または冷やすために使用され得るということが留意されるべきである。たとえば、カラムオーバーヘッドストリーム203、2相ストリーム206、冷温の前処理されたガスストリーム208、液体ストリーム209、および前処理された天然ガスストリーム210のうちの1つまたは複数が、冷媒ストリーム224と熱を交換するように構成され得る。そのうえ、前処理装置200に関連付けられていない他のプロセスストリームは、冷媒ストリーム224との熱交換を通して冷却され得る。冷媒ストリーム224は、さまざまなプロセスストリームを冷却するために使用される2つ以上のサブストリームへとスプリットされ得る。
【0029】
一態様では、SMR液化プロセスは、SMR液化プロセスの上流にHPCEプロセスを追加することによって強化され得る。より具体的には、この態様では、前処理された天然ガスは、1,500psia(10,340kPA)よりも大きい圧力まで、または、より好ましくは、3,000psia(20,680kPA)よりも大きい圧力まで圧縮され得る。次いで、高温の圧縮されたガスは、環境と熱を交換することによって冷却され、圧縮された前処理されたガスを形成する。次いで、圧縮された前処理されたガスは、3,000psia(20,680kPA)よりも小さい圧力まで、または、より好ましくは、2,000psia(13,790kPA)よりも小さい圧力まで、ほぼ等エントロピー的に膨張され、第1の冷やされた前処理されたガスを形成し、ここで、第1の冷やされた前処理されたガスの圧力は、圧縮された前処理されたガスの圧力よりも小さくなっている。第1の冷やされた前処理されたガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離される。冷媒ストリームは、カラムオーバーヘッドストリームと熱を交換することによって温められ、カラムオーバーヘッドストリームを部分的に凝縮させることを助けるようになっており、温められた冷媒ストリームを作り出すようになっている。温められた冷媒ストリームは、非冷媒ストリームと混合され、第2の冷やされた前処理されたガスを作り出す。次いで、第2の冷やされた前処理されたガスは、並列に配置されている複数のSMR液化トレインに方向付けられ得、複数のSMR液化トレインにおいて、冷やされた前処理されたガスは、その中でさらに冷却され、LNGを形成する。
【0030】
天然ガスの前処理を備えたHPCEプロセスと複数のSMR液化トレインの中での液化との組み合わせは、天然ガスが重質炭化水素除去(最終的な前処理ステップ)および液化の両方のためにSMR液化トレインに直接的に送られる従来のSMRプロセスを上回るいくつかの利点を有している。たとえば、HPCEプロセスを使用した天然ガスの前冷却は、SMR液化トレインの中の所与の馬力に関して、SMR液化トレインの中のLNG生産率の増加を可能にする。
図3および
図4は、開示されている態様がどのようにそのようなLNG生産増加を提供するかということを実証している。
図3は、公知の原理による、FLNGユニット300などのようなLNG生産設備の上の液化モジュールまたはトレイン(たとえば、SMR液化トレインなど)の配置の説明図である。極低温処理に適切な天然ガスを作製するためにサワーガスおよび水を除去するように前処理された天然ガスストリーム302は、並列に配置されている5つの同一のまたはほぼ同一のSMR液化トレイン304、306、308、310、312の間で分配され得る。例として、それぞれのSMR液化トレインは、ガスタービンまたは電気モーター(図示せず)のいずれかから、おおよそ50メガワット(MW)の圧縮パワーを受け取り、それぞれのSMR液化トレインの圧縮機を駆動することが可能である。それぞれのSMR液化モジュールは、一体化されたスクラブカラムを含み、天然ガスストリームから重質炭化水素を除去し、また、冷媒補給を提供するために十分な量の天然ガス液体を回収する。それぞれのSMR液化モジュールは、おおよそ1.5百万トン毎年(MTA)のLNGを生産することが可能であり、合計ストリームに関して、FLNGユニット300全体に対しておおよそ7.5MTAの生産になる。
【0031】
それとは対照的に、
図4は、開示されている態様による、FLNGユニット400などのようなLNG液化設備を概略的に示している。FLNGユニット400は、並列に配置されている4つのSMR液化トレイン406、408、410、412を含む。
図3に示されているSMR液化トレインとは異なり、SMR液化トレイン406、408、410、412のいずれもスクラブカラムを含まない。その代わりに、天然ガスストリーム402(それは、極低温処理に適切な天然ガスを作製するためにサワーガスおよび水を除去するように前処理されている)は、HPCEモジュール404に方向付けられ、冷やされた前処理されたガスストリーム405を作り出すことが可能である。以前に説明されているように、HPCEモジュールは、その中の重質炭化水素除去プロセス(スクラブカラムまたは同様のセパレーターを含む)と一体化され、天然ガスストリーム402の液化の間に固体を形成する可能性のある任意の炭化水素を除去する。HPCEモジュール404は、たとえば、ガスタービンまたは電気モーター(図示せず)のいずれかから、おおよそ55MWの圧縮パワーを受け取り、HPCEモジュール404の中の1つまたは複数の圧縮機を駆動することが可能である。冷やされた前処理されたガスストリーム405は、SMR液化モジュール406、408、410、412との間で分配され得る。それぞれのSMR液化モジュールは、ガスタービンまたは電気モーター(図示せず)のいずれかから、おおよそ50MWの圧縮パワーを受け取り、それぞれのSMR液化モジュールの圧縮機を駆動することが可能である。それぞれのSMR液化モジュールは、LNGのおおよそ1.9MTAを生産することが可能であり、FLNGユニット400に関して、おおよそ7.6MTAのLNGの合計生産になる。FLNGユニット400が、単一のスクラブカラムおよびコールドボックスと一体化された開示されているHPCEプロセスモジュール(集合的に、HPCEプロセスモジュール404と称される)を使用する場合には、単一のスクラブカラムだけが、天然ガスストリーム402から重質炭化水素を除去するために必要とされる。1つのSMR液化トレインと開示されているHPCEモジュール404とを交換することは有利である。その理由は、HPCEモジュールが、交換されるSMR液化トレインよりも小さくなり、軽量になり、大幅に低いコストを伴うことが予期されるからである。交換されるSMR液化トレインと同様に、HPCEモジュール404は、圧縮パワーを提供するために同等のサイズガスタービンを有することが可能であり、また、それは、同等の量の空気または水冷却器を有することとなる。しかし、交換されるSMR液化トレインとは異なり、HPCEモジュール404は、高価な主極低温熱交換器を有していない。SMRモジュールの中の冷媒フローに関連付けられるベッセルおよびパイプは、交換されるHPCE液化トレインの中で排除されている。そのうえ、HPCEモジュール404の中の高価な極低温パイプの量が、大幅に低減される。
【0032】
開示されているHPCEモジュールは、単一のスクラブカラムを含み、単一のスクラブカラムは、天然ガスから重質炭化水素を除去するために使用されており、天然ガスは、次いで、すべての液化トレインへ給送される。この設計は、重質炭化水素除去が含まれていない設計と比較して、10%~15%だけ、HPCEモジュールの必要なパワーを増加させる。しかし、それぞれのSMR液化トレインの中に一体化する代わりに、HPCEモジュールの中に重質炭化水素除去を一体化することは、それぞれのSMR液化トレインの重量を低減させ、機器数およびFLNGシステムの全体的なトップサイド重量の合計低減を結果として生じさせることが可能である。別の利点は、液化圧力がフィードガスのクリコンデンバールよりも大きくなっていることが可能であり、それは、液化効率の向上を結果として生じさせるということである。そのうえ、提案されている設計は、一体化されたスクラブカラム設計よりも、フィードガス変化に対して柔軟である。
【0033】
開示されているHPCEモジュールの別の利点は、必要とされる冷媒の保管が低減されるということである。その理由は、SMR液化トレインの数が1つだけ低減されたからである。また、ガスのウォーム温度(warm temperature)冷却の大部分が、HPCEモジュールの中で起こるので、混合冷媒のより重い炭化水素成分が低減され得る。たとえば、混合冷媒のプロパン成分は、SMR液化プロセスの効率の大幅な低減なしに排除され得る。
別の利点は、開示されているHPCEモジュールから冷やされた前処理されたガスを受け取るSMR液化プロセスに関して、SMR液化プロセスの蒸発冷媒の体積流量が、温かい前処理されたガスを受け取る従来のSMR液化プロセスのものよりも25%小さくなることが可能であるということである。より低い冷媒の体積フローは、主極低温熱交換器のサイズ、および、低圧混合冷媒圧縮機のサイズを低減させることが可能である。より低い冷媒の体積流量は、従来のSMR液化プロセスのものと比較して、より高いその蒸発圧力に起因する。
【0034】
公知のプロパン前冷却された混合冷蔵プロセスおよびデュアル混合冷蔵(DMR)プロセスは、前冷却冷蔵回路と組み合わせられたSMR液化プロセスのバージョンとして見られ得るが、そのようなプロセスと本開示の態様との間でかなりの相違が存在している。たとえば、公知のプロセスは、カスケーディングプロパン冷蔵回路またはウォームエンド混合冷媒を使用し、ガスを前冷却する。両方のこれらの公知のプロセスは、SMR液化プロセスよりも5%~15%高い効率を提供するという利点を有している。そのうえ、これらの公知のプロセスを使用する単一の液化トレインの容量は、単一のSMR液化トレインのものよりも大幅に大きくなっていることが可能である。しかし、これらの技術の前冷却冷蔵回路は、液化プロセスに複雑性が追加されるという代償を伴う。その理由は、追加的な冷媒およびかなりの量の追加の機器が導入されるからである。たとえば、より高い複雑性および重量というDMR液化プロセスの不利益は、DMR液化プロセスとFLNG用途のためのSMR液化プロセスとの間で決定するときに、より高い効率および容量というその利点を上回ることが可能である。公知のプロセスは、SMR液化プロセスの上流に前冷却プロセスを追加することを、単一の液化トレインに関してより高い熱効率およびより高いLNG生産容量に対する必要性によって主に駆動されるものとして考えてきた。SMR液化プロセスと組み合わせられた開示されているHPCEプロセスは、以前には実現されなかった。その理由は、それが冷媒ベースの前冷却プロセスが提供するよりも高い熱効率を提供しないからである。上記に説明されているように、SMR液化を備えたHPCEプロセスの熱効率は、スタンドアロンのSMR液化プロセスとおおよそ同じである。開示されている態様は、熱効率を増加させる(それは、過去には、オンショアLNG用途に関して、前冷却プロセスの追加の最大の原動力であった)というよりもむしろ液化プロセスの重量および複雑性を低減させることを目標とする前冷却プロセスのその説明に少なくとも部分的に基づいて、新規であると考えられる。追加的なポイントとして、一体化されたスクラブカラム設計は、従来から、液化への天然ガスの重質炭化水素除去に関して、最低コストのオプションとして見られている。しかし、本明細書で開示されているように、重質炭化水素除去とHPCEプロセスとの一体化は、複数の液化トレインが好適な設計方法論であるときに合計の機器数および重量を潜在的に低減させるという、以前には認識されていなかった利点を提供する。より新しいFLNGの用途および遠隔のオンショア用途に関して、液化プロセスの設置面積、重量、および複雑性は、プロジェクトコストのより大きい原動力であることが可能である。したがって、開示されている態様は、特に価値が高い。
【0035】
一態様では、エキスパンダーベースの液化プロセスは、エキスパンダーベースのプロセスの上流にHPCEプロセスを追加することによって強化され得る。より具体的には、この態様では、前処理された天然ガスストリームは、1,500psia(10,340kPA)よりも大きい圧力まで、または、より好ましくは、3,000psia(20,680kPA)よりも大きい圧力まで圧縮され得る。次いで、高温の圧縮されたガスは、環境と熱を交換することによって冷却され、圧縮された前処理されたガスを形成することが可能である。圧縮された前処理されたガスは、3,000psia(20,680kPA)よりも小さい圧力まで、または、より好ましくは、2,000psia(13,790kPA)よりも小さい圧力まで、ほぼ等エントロピー的に膨張され、第1の冷やされた前処理されたガスを形成することが可能であり、ここで、第1の冷やされた前処理されたガスの圧力は、圧縮された前処理されたガスの圧力よりも小さくなっている。第1の冷やされた前処理されたガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離される。冷媒ストリームは、カラムオーバーヘッドストリームと熱を交換することによって温められ、カラムオーバーヘッドストリームを部分的に凝縮させることを助けるようになっており、温められた冷媒ストリームを作り出すようになっている。温められた冷媒ストリームは、非冷媒ストリームと混合され、第2の冷やされた前処理されたガスを作り出す。第2の冷やされた前処理されたガスは、エキスパンダーベースのプロセスに方向付けられ、エキスパンダーベースのプロセスにおいて、ガスはさらに冷却され、LNGを形成する。好適な態様では、第2の冷やされた前処理されたガスは、フィードガスエキスパンダーベースのプロセスに方向付けられ得る。
【0036】
図5は、エキスパンダーベースの液化プロセスに関する典型的な温度冷却曲線500を示している。より高い方の温度曲線502は、天然ガスストリームに関する温度曲線である。より低い方の下側温度曲線504は、冷温の冷却ストリームおよび温かい冷却ストリームの複合温度曲線である。天然ガスは、そのクリコンデンバールを上回る圧力で液化され、天然ガス冷却曲線(502に示されている)と冷温のおよび温かい冷却ストリームの複合温度曲線(504に示されている)との厳密なマッチングを可能にし、熱効率を最大化する。図示されているように、冷却曲線は、3つの温度ピンチポイント506、508、および510によってマークされている。それぞれのピンチポイントは、冷却ストリームの組み合わせの熱容量が天然ガスストリームのものよりも小さくなっている熱交換器の中の場所である。ストリーム同士の間の熱容量のこの不均衡は、効果的な熱伝達率を提供する最小に許容可能な温度差までの、冷却ストリームとの間の温度差の低減を結果として生じさせる。最低温度ピンチポイント506は、2つの冷却ストリームのうちのより冷温の方(典型的に、冷温の冷却ストリーム)が熱交換器に進入する場所で起こる。中間温度ピンチポイント508は、第2の冷却ストリーム(典型的に、温かい冷却ストリーム)が熱交換器に進入する場所で起こる。ウォーム温度ピンチポイント510は、冷温のおよび温かい冷却ストリームが熱交換器から退出する場所で起こる。ウォーム温度ピンチポイント510は、より温かい冷却ストリームに関する高い質量流量に対する必要性を引き起こし、それは、その後に、エキスパンダーベースのプロセスのパワー需要を増加させる。
【0037】
ウォーム温度ピンチポイント510を排除するための1つの提案されている方法は、プロパン冷却システムまたは二酸化炭素冷却システムなどのような外部冷蔵システムによって、フィードガスを前冷却することである。たとえば、米国特許第7,386,996号は、カスケード配置の二酸化炭素冷蔵回路を含む前冷却冷蔵プロセスを使用することによって、ウォーム温度ピンチポイントを排除する。この外部前冷却冷蔵システムは、液化プロセスの複雑性を大幅に増加させるという不利益を有している。その理由は、すべてのその関連の機器を備えた追加的な冷媒システムが導入されるからである。本明細書で開示されている態様は、1,500psia(10,340kPA)よりも大きい圧力までフィードガスを圧縮し、圧縮されたフィードガスストリームを冷却し、2,000psia(20,690kPA)よりも小さい圧力まで、圧縮されたガスストリームを膨張させることによって、フィードガスストリームの前冷却によって、ウォーム温度ピンチポイント510の影響を低減させ、ここで、フィードガスストリームの膨張された圧力は、フィードガスストリームの圧縮された圧力よりも小さくなっている。フィードガスストリームを冷却するこのプロセスは、エキスパンダーベースのプロセス冷却ストリームの必要な質量流量の大幅な低減を結果として生じさせる。また、それは、機器数を大幅に増加させることなく、および、外部冷媒を追加することなく、エキスパンダーベースのプロセスの熱力学的効率を改善する。また、このプロセスは、重質炭化水素除去と一体化され得、液化プロセスの上流で重質炭化水素を除去するようになっている。ここでは、ガスは、固体を形成することとなる重質炭化水素を含まないので、前処理されたガスは、液化効率を改善するために、そのクリコンデンバールを上回る圧力で液化され得る。
【0038】
好適な態様では、エキスパンダーベースのプロセスは、フィードガスエキスパンダーベースのプロセスであることが可能である。このフィードガスエキスパンダープロセスは、第1のエキスパンダーベースのクローズド冷蔵ループおよび第2のエキスパンダーベースのクローズド冷蔵ループを含む。第1のエキスパンダーベースの冷蔵ループは、フィードガスストリームからのメタンによって主にチャージされ得る。第1のエキスパンダーベースの冷蔵ループは、フィードガスストリームを液化する。第2のエキスパンダーベースの冷蔵ループは、冷媒として窒素をチャージされ得る。第2のエキスパンダーベースの冷蔵ループは、LNGストリームを過冷却する。具体的には、作り出された天然ガスストリームは、(存在する場合には)不純物(たとえば、水およびサワーガスなど)を除去するように処理され、極低温処理に適切な天然ガスを作製することが可能である。処理された天然ガスストリームは、スクラブカラムに方向付けられ得、スクラブカラムにおいて、処理された天然ガスストリームは、カラムオーバーヘッドストリームおよびカラム底部ストリームへと分離される。カラムオーバーヘッドストリームは、冷温の前処理されたガスストリームおよび冷媒ストリームと間接的に熱を交換することによって、第1の熱交換器の中で部分的に凝縮され、それによって、2相ストリームを形成することが可能である。2相ストリームは、セパレーターに方向付けられ得、セパレーターにおいて、2相ストリームは、冷温の前処理されたガスストリームおよび液体ストリームへと分離される。冷温の前処理されたガスストリームは、カラムオーバーヘッドストリームと熱を交換することによって、第1の熱交換器の中で温められ、前処理された天然ガスストリームを形成することが可能である。液体ストリームは、ポンプの中で加圧され、次いで、スクラブカラムに方向付けられ、スクラブカラムへの還流を提供することが可能である。前処理された天然ガスストリームは、本明細書で開示されているようにHPCEプロセスに方向付けられ得、HPCEプロセスにおいて、それは、1,500psia(10,340kPA)よりも大きい圧力まで、または、より好ましくは、3,000psia(20,680kPA)よりも大きい圧力まで圧縮される。次いで、高温の圧縮されたガスストリームは、環境と熱を交換することによって冷却され、圧縮された処理された天然ガスストリームを形成することが可能である。圧縮された処理された天然ガスストリームは、3,000psia(20,680kPA)よりも小さい圧力まで、または、より好ましくは、2,000psia(12,790kPA)よりも小さい圧力まで、ほぼ等エントロピー的に膨張され、第1の冷やされた処理された天然ガスストリームを形成することが可能であり、ここで、第1の冷やされた処理された天然ガスストリームの圧力は、圧縮された処理された天然ガスストリームの圧力よりも小さくなっている。第1の冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離され得る。冷媒ストリームは、カラムオーバーヘッドストリームと熱を交換することによって、第1の熱交換器の中で部分的に温められ、温められた冷媒ストリームを形成することが可能である。温められた冷媒ストリームは、非冷媒ストリームと混合し、第2の冷やされた天然ガスストリームを形成することが可能である。第2の冷やされた処理された天然ガスは、フィードガスエキスパンダープロセスに方向付けられ得、フィードガスエキスパンダープロセスにおいて、第1のエキスパンダーベースの冷蔵ループは、第2の冷やされた処理された天然ガスを液化するように作用し、加圧されたLNGストリームを形成する。次いで、第2のエキスパンダー冷蔵ループは、加圧されたLNGストリームを過冷却するように作用する。次いで、過冷却された加圧されたLNGストリームは、LNGストリームを形成するために、より低い圧力まで膨張され得る。
【0039】
天然ガスの前処理を備えたHPCEプロセスとエキスパンダーベースのプロセスの中での前処理されたガスの液化との組み合わせは、従来のエキスパンダーベースのプロセスを上回るいくつかの利点を有している。それを伴うHPCEプロセスを含むことは、用いられるエキスパンダーベースのプロセスのタイプに依存して、エキスパンダーベースのプロセスの効率を5%~25%だけ向上させることが可能である。本明細書で説明されているフィードガスエキスパンダープロセスは、外部冷媒を使用せず、動作しやすく、機器数が低減されるという利点を依然として提供しながら、SMRプロセスのものと同様液化効率を有することが可能である。そのうえ、冷媒流量および再循環圧縮機のサイズは、HPCEプロセスと組み合わせられたエキスパンダーベースのプロセスに関して、より大幅に低くなることが予期される。これらの理由のために、開示されている態様による単一の液化トレインの生産容量は、同様にサイズ決めされている従来のエキスパンダーベースの液化プロセスの生産容量を30%~50%超で上回っていることが可能である。HPCEプロセスとエキスパンダーベースの液化プロセスの上流の重質炭化水素除去との組み合わせは、そのクリコンデンバールを上回る圧力においてガスを液化し、液化効率を改善するオプションを提供するという追加的な利益を有している。エキスパンダーベースの液化プロセスは、とりわけ、液化圧力に敏感である。したがって、本明細書で説明されているHPCEプロセスは、エキスパンダーベースの液化プロセスの液化効率および生産容量も増加させながら、重質炭化水素を除去するのに非常に適している。
【0040】
図6は、本開示の別の態様による一体化されたスクラブカラムを備えたHPCEモジュール600の態様の説明図である。天然ガスストリーム601は、極低温処理に適切な天然ガスを作製するためにサワーガスおよび水を除去するように前処理されており、天然ガスストリーム601は、スクラブカラム602などのような分離デバイスの中へ給送され、分離デバイスにおいて、天然ガスストリーム601は、カラムオーバーヘッドストリーム603およびカラム底部ストリーム604へと分離される。カラムオーバーヘッドストリーム603は、第1の熱交換器605を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器605において、カラムオーバーヘッドストリーム603は部分的に凝縮され、2相ストリーム606を形成する。2相ストリーム606は、セパレーター607などのような別の分離デバイスに方向付けられ、冷温の前処理されたガスストリーム608および液体ストリーム609を形成することが可能である。冷温の前処理されたガスストリーム608は、第1の熱交換器605を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器605において、冷温の前処理されたガスストリーム608は、カラムオーバーヘッドストリーム603との間接的な熱交換によって温められ、それから前処理された天然ガスストリーム610を形成する。液体ストリームは、ポンプ611の中で加圧され、次いで、カラム還流ストリームとしてスクラブカラム602に方向付けられ得る。前処理された天然ガスストリーム610は、第1の圧縮機612に方向付けられ、その中で圧縮され、第1の中間圧力ガスストリーム613を形成する。第1の中間圧力ガスストリーム613は、第2の熱交換器614を通って流れることが可能であり、第2の熱交換器614において第1の中間圧力ガスストリーム613は、環境との間接的な熱交換によって冷却され、冷却された第1の中間圧力ガスストリーム615を形成する。第2の熱交換器614は、空冷式の熱交換器または水冷式の熱交換器であることが可能である。次いで、冷却された第1の中間圧力ガスストリーム615は、第2の圧縮機616の中で圧縮され、第2の中間圧力ガスストリーム617を形成することが可能である。第2の中間圧力ガスストリーム617は、第3の熱交換器618を通って流れることが可能であり、第3の熱交換器618において、第2の中間圧力ガスストリーム617は、環境との間接的な熱交換によって冷却され、冷却された第2の中間圧力ガスストリーム619を形成する。第3の熱交換器618は、空冷式の熱交換器または水冷式の熱交換器であることが可能である。次いで、冷却された第2の中間圧力ガスストリーム619は、第3の圧縮機620の中で圧縮され、高圧ガスストリーム621を形成することが可能である。高圧ガスストリーム621の圧力は、1,500psia(10,340kPA)よりも大きくなっていることが可能であり、または、より好ましくは、3,000psia(20,680kPA)よりも大きくなっていることが可能である。高圧ガスストリーム621は、第4の熱交換器622を通って流れることが可能であり、第4の熱交換器622において、高圧ガスストリーム621は、環境と間接的に熱を交換することによって冷却され、冷却された高圧ガスストリーム623を形成する。第4の熱交換器622は、空冷式の熱交換器または水冷式の熱交換器であることが可能である。次いで、冷却された高圧ガスストリーム623は、エキスパンダー624の中で膨張され、第1の冷やされた前処理されたガスストリーム625を形成することが可能である。第1の冷やされた前処理されたガスストリーム625の圧力は、3,000psia(20,680kPA)よりも小さくなっていることが可能であり、または、より好ましくは、2,000psia(13,790kPA)よりも小さくなっていることが可能であり、第1の冷やされた前処理されたガスストリーム625の圧力は、冷却された高圧ガスストリーム623の圧力よりも小さくなっていることが可能である。一態様では、第3の圧縮機620は、線624aによって図示されているように、エキスパンダー624によって作り出されるシャフト動力のみによって駆動され得る。第1の冷やされた前処理されたガスストリーム625は、冷媒ストリーム626および非冷媒ストリーム627へと分離され得る。冷媒ストリーム626は、第1の熱交換器605を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器605において、冷媒ストリーム626は、カラムオーバーヘッドストリーム603と間接的に熱を交換することによって部分的に温められ、それから温められた冷媒ストリーム628を形成することが可能である。温められた冷媒ストリーム628は、非冷媒ストリーム627と混合し、第2の冷やされた前処理されたガスストリーム629を形成することが可能であり、それは、次いで、以前に説明されているように、SMR液化プロセスによって液化され得る。前処理装置200と同様に、冷媒ストリーム626は、HPCEモジュール600に関連付けられるかまたは関連付けられない任意のプロセスストリームを冷却するために使用され得る。
【0041】
図7は、開示されている態様による、一体化されたスクラブカラムを備えており、フィードガスエキスパンダーベースのLNG液化プロセスと組み合わせられた、HPCEモジュール700の説明図である。天然ガスストリーム701は、極低温処理に適切な天然ガスを作製するためにサワーガスおよび水を除去するように前処理されており、天然ガスストリーム701は、スクラブカラム702などのような分離デバイスの中へ給送され、分離デバイスにおいて、処理された天然ガスストリーム701は、カラムオーバーヘッドストリーム703およびカラム底部ストリーム704へと分離される。カラムオーバーヘッドストリーム703は、第1の熱交換器705を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器705において、カラムオーバーヘッドストリーム703は部分的に凝縮され、2相ストリーム706を形成する。2相ストリーム706は、セパレーター707などのような別の分離デバイスに方向付けられ、冷温の前処理されたガスストリーム708および液体ストリーム709を形成することが可能である。冷温の前処理されたガスストリーム708は、第1の熱交換器705を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器705において、冷温の前処理されたガスストリーム708は、カラムオーバーヘッドストリーム703との間接的な熱交換によって温められ、それから前処理された天然ガスストリーム710を形成する。液体ストリーム709は、ポンプ711の中で加圧され、次いで、カラム還流としてスクラブカラム702に方向付けられ得る。前処理された天然ガスストリーム710は、第1の圧縮機713に方向付けられ、その中で圧縮され、中間圧力ガスストリーム714を形成する。中間圧力ガスストリーム714は、第2の熱交換器715を通って流れることが可能であり、第2の熱交換器715において、中間圧力ガスストリーム714は、環境との間接的な熱交換によって冷却され、冷却された中間圧力ガスストリーム716を形成する。第2の熱交換器715は、空冷式の熱交換器または水冷式の熱交換器であることが可能である。次いで、冷却された中間圧力ガスストリーム716は、第2の圧縮機717の中で圧縮され、高圧ガスストリーム718を形成することが可能である。高圧ガスストリーム718の圧力は、1,500psia(10,340kPA)よりも大きくなっていることが可能であり、または、より好ましくは、3,000psia(20,680kPA)よりも大きくなっていることが可能である。高圧ガスストリーム718は、第3の熱交換器719を通って流れることが可能であり、第3の熱交換器719において、高圧ガスストリーム718は、環境との間接的な熱交換によって冷却され、冷却された高圧ガスストリーム720を形成する。第3の熱交換器719は、空冷式の熱交換器または水冷式の熱交換器であることが可能である。次いで、冷却された高圧ガスストリーム720は、エキスパンダー721の中で膨張され、第1の冷やされた前処理されたガスストリーム722を形成することが可能である。第1の冷やされた前処理されたガスストリーム722の圧力は、3,000psia(20,680kPA)よりも小さくなっており、または、より好ましくは、2,000psia(13,790kPA)よりも小さくなっており、ここで、第1の冷やされた前処理されたガスストリーム722の圧力は、冷却された高圧ガスストリーム720の圧力よりも小さくなっている。一態様では、第2の圧縮機717は、点線723によって表されているように、エキスパンダー721によって作り出されるシャフト動力のみによって駆動され得る。第1の冷やされた前処理されたガスストリーム722は、冷媒ストリーム724および非冷媒ストリーム725へと分離され得る。冷媒ストリーム724は、第1の熱交換器705を通って流れることが可能であり、第1の熱交換器705において、冷媒ストリーム724は、カラムオーバーヘッドストリーム703との間接的な熱交換によって部分的に温められ、それから温められた冷媒ストリーム726を形成する。温められた冷媒ストリーム726は、非冷媒ストリーム725と混合し、第2の冷やされた前処理されたガスストリーム727を形成することが可能である。前処理装置200およびHPCEモジュール600と同様に、冷媒ストリーム724は、HPCEモジュール700に関連付けられるかまたは関連付けられない任意のプロセスストリームを冷却するために使用され得る。
【0042】
図7に図示されているように、第2の冷やされた前処理されたガスストリーム727は、フィードガスエキスパンダーベースのLNG液化プロセス730に方向付けられる。フィードガスエキスパンダーベースのプロセス730は、1次冷却ループ732を含み、1次冷却ループ732は、フィードガスストリームからのコンポーネントによってチャージされ得るエキスパンダーベースのクローズド冷蔵ループである。また、液化システムは、過冷却ループ734を含み、過冷却ループ734は、また、好ましくは、過冷却冷媒としての窒素によってチャージされる、エキスパンダーベースのクローズド冷蔵ループである。1次冷却ループ732の中において、膨張された冷却された冷媒ストリーム736は、第1の熱交換器ゾーン738に方向付けられ、第1の熱交換器ゾーン738において、それは、第2の冷やされた前処理されたガスストリーム727と熱を交換し、第1の温かい冷媒ストリーム740を形成する。第1の温かい冷媒740は、第2の熱交換器ゾーン742に方向付けられ、第2の熱交換器ゾーン742において、それは、圧縮された冷却された冷媒ストリーム744と熱を交換し、圧縮された冷却された冷媒ストリーム744を追加的に冷却し、第2の温かい冷媒ストリーム746および圧縮された追加的に冷却された冷媒ストリーム748を形成する。第2の熱交換器ゾーン742は、1つまたは複数の熱交換器を含むことが可能であり、ここで、1つまたは複数の熱交換器は、プリント回路型の熱交換器タイプ、シェルアンドチューブ型の熱交換器タイプ、または、それらの組み合わせのものであることが可能である。第2の熱交換器ゾーン742の中の熱交換器タイプは、1,500psiaよりも大きい設計圧力、または、より好ましくは、2,000psiaよりも大きい設計圧力、または、より好ましくは、3,000psiaよりも大きい設計圧力を有することが可能である。
【0043】
第2の温かい冷媒ストリーム746は、1,500psiaよりも大きい圧力まで、または、より好ましくは、おおよそ3,000psiaの圧力まで、1つまたは複数の圧縮ユニット750、752の中で圧縮され、それによって、圧縮された冷媒ストリーム754を形成する。次いで、圧縮された冷媒ストリーム754は、冷却器756の中で周囲の冷却媒体(空気または水)に対して冷却され、圧縮された冷却された冷媒ストリーム744を作り出す。圧縮された追加的に冷却された冷媒ストリーム748は、エキスパンダー758の中でほぼ等エントロピー的に膨張され、膨張された冷却された冷媒ストリーム736を作り出す。エキスパンダー758は、ガスエキスパンダーなどのような仕事膨張デバイスであることが可能であり、仕事膨張デバイスは、圧縮のために抽出および使用され得る仕事を作り出す。
第1の熱交換器ゾーン738は、複数の熱交換器デバイスを含むことが可能であり、
図7に示されている態様では、第1の熱交換器ゾーンは、主熱交換器760および過冷却熱交換器762を含む。これらの熱交換器は、ろう付けされたアルミニウム熱交換器タイプ、プレートフィン熱交換器タイプ、スパイラル巻回型の熱交換器タイプ、または、それらの組み合わせのものであることが可能である。
【0044】
過冷却ループ734の中において、膨張された過冷却冷媒ストリーム764(好ましくは、窒素を含む)は、エキスパンダー766から吐出され、過冷却熱交換器762および主熱交換器760を通して引き出される。次いで、膨張された過冷却冷媒ストリーム764は、圧縮ユニット768に送られ、圧縮ユニット768において、それは、より高い圧力まで再圧縮され、温められる。圧縮ユニット768を退出した後に、結果として生じる再圧縮された過冷却冷媒ストリーム770は、冷却器772の中で冷却される。冷却後に、再圧縮された過冷却冷媒ストリーム770は、主熱交換器760を通過させられ、主熱交換器760において、それは、膨張された冷却された冷媒ストリーム736および膨張された過冷却冷媒ストリーム764との間接的な熱交換によって、さらに冷却される。第1の熱交換器エリア738を退出した後に、再圧縮されたおよび冷却された過冷却冷媒ストリームは、エキスパンダー766を通して膨張され、膨張された過冷却冷媒ストリーム764を提供し、それは、本明細書で説明されているように、第1の熱交換器ゾーンを通して再循環される。このように、第2の冷やされた前処理されたガスストリーム727は、第1の熱交換器ゾーン738の中でさらに冷却され、液化され、および過冷却され、過冷却されたガスストリーム774を作り出す。過冷却されたガスストリーム774は、より低い圧力まで膨張され、LNGストリーム(図示せず)を作り出すことが可能である。
【0045】
図8は、開示されている態様による、LNGを作り出す方法800を図示している。ブロック802において、重質炭化水素が、天然ガスストリームから除去され、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させる。ブロック804において、分離された天然ガスストリームは、第1の熱交換器の中で部分的に凝縮され、それによって、部分的に凝縮された天然ガスストリームを発生させる。ブロック806において、液体は、部分的に凝縮された天然ガスストリームから分離され、それによって、前処理された天然ガスストリームを発生させる。ブロック808において、前処理された天然ガスストリームは、少なくとも1,500psiaの圧力まで、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機の中で圧縮され、圧縮された天然ガスストリームを形成する。ブロック810において、圧縮された天然ガスストリームは冷却され、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成する。ブロック812において、冷却された天然ガスストリームは、2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで膨張され、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成する。ブロック814において、冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離される。ブロック816において、冷媒ストリームが、天然ガスストリーム、分離された天然ガスストリーム、部分的に凝縮された天然ガスストリーム、および前処理された天然ガスストリームを含む、1つまたは複数のプロセスストリームとの熱交換を通して温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させる。ブロック818において、温められた冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームが液化される。
【0046】
図9は、開示されている態様による、LNGを作り出す方法900を図示している。ブロック902において、天然ガスストリームは前処理され、前処理された天然ガスストリームを発生させる。ブロック904において、前処理された天然ガスストリームは、少なくとも1,500psiaの圧力まで、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機の中で圧縮される。ブロック906において、圧縮された天然ガスストリームは冷却される。ブロック908において、冷却された圧縮された天然ガスストリームは、2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、少なくとも1つの仕事生成天然ガスエキスパンダーの中で膨張され、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成する。ブロック910において、冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離される。ブロック912において、冷媒ストリームは、天然ガスストリームを前処理することに関連付けられる1つまたは複数のプロセスストリームとの熱交換を通して、熱交換器の中で温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させる。ブロック914において、温められた冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームは液化される。
【0047】
先述のものは、本開示の態様に関するものであるが、本開示の他の態様およびさらなる態様が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下に続く特許請求の範囲によって決定される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕天然ガスストリームから液化天然ガス(LNG)を作り出す方法であって、前記方法は、
前記天然ガスストリームから重質炭化水素を除去し、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させるステップと;
前記分離された天然ガスストリームを第1の熱交換器の中で部分的に凝縮させ、それによって、部分的に凝縮された天然ガスストリームを発生させるステップと;
前記部分的に凝縮された天然ガスストリームから液体を分離し、それによって、前処理された天然ガスストリームを発生させるステップと;
少なくとも1,500psiaの圧力まで、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機の中で、前記前処理された天然ガスストリームを圧縮し、圧縮された天然ガスストリームを形成するステップと;
前記圧縮された天然ガスストリームを冷却し、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成するステップと;
少なくとも1つの仕事生成天然ガスエキスパンダーの中で、2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させ、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成するステップと;
前記冷やされた天然ガスストリームを冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離するステップと;
前記天然ガスストリーム、前記分離された天然ガスストリーム、前記部分的に凝縮された天然ガスストリーム、および前記前処理された天然ガスストリームを含む、1つまたは複数のプロセスストリームとの熱交換を通して前記冷媒ストリームを温め、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させるステップと;
温められた前記冷媒ストリームおよび前記非冷媒ストリームを液化するステップと
を含む、方法。
〔2〕前記冷媒ストリームは、前記分離された天然ガスストリームとの熱交換を通して温められる、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記重質炭化水素は、スクラブカラムの中で前記天然ガスストリームから分離され、
前記方法は、分離された前記液体をカラム還流ストリームとして前記スクラブカラムに方向付けるステップをさらに含み、
前記1つまたは複数のプロセスストリームは、前記カラム還流ストリームをさらに含む、前記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する前に、前記分離された天然ガスストリームとの熱交換を通して、前記第1の熱交換器の中で、前記前処理された天然ガスストリームを温めるステップをさらに含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の方法。
〔5〕冷やされた前記前処理された天然ガスストリームを液化するステップは、1つまたは複数のシングル混合冷媒(SMR)液化トレインの中で実施される、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の方法。
〔6〕冷やされた前記前処理された天然ガスストリームを液化するステップは、少なくとも3つの並列のSMR液化トレインの中で実施される、前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕冷やされた前記前処理された天然ガスストリームを液化するステップは、1つまたは複数のエキスパンダーベースの液化モジュールの中で実施され、前記エキスパンダーベースの液化モジュールは、窒素ガスエキスパンダーベースの液化モジュールまたはフィードガスエキスパンダーベースの液化モジュールである、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔8〕前記少なくとも2つの圧縮機は、3,000psiaよりも大きい圧力まで、前記天然ガスストリームを圧縮し、前記仕事生成天然ガスエキスパンダーは、2,000psiaよりも小さい圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させる、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の方法。
〔9〕前記仕事生成天然ガスエキスパンダーは、少なくとも1つの圧縮機に機械的に連結されている、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔10〕前記圧縮された天然ガスストリームを冷却するステップは、環境と熱を交換する少なくとも1つの熱交換器の中で、前記圧縮された天然ガスストリームを冷却するステップを含む、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔11〕前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機のうちの1つは、前記天然ガスエキスパンダーによって駆動される、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の方法。
〔12〕前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機は、3つの直列に配置されている圧縮機を含み、前記3つの直列に配置されている圧縮機のうちの1つは、前記仕事生成天然ガスエキスパンダーによって駆動される、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の方法。
〔13〕浮体式LNG構造体のトップサイドの上で、除去する前記ステップ、部分的に凝縮させる前記ステップ、分離する前記ステップ、圧縮する前記ステップ、冷却する前記ステップ、膨張させる前記ステップ、分離する前記ステップ、温める前記ステップ、組み合わせる前記ステップ、および液化する前記ステップを実施するステップをさらに含む、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕除去する前記ステップ、部分的に凝縮させる前記ステップ、分離する前記ステップ、圧縮する前記ステップ、冷却する前記ステップ、膨張させる前記ステップ、分離する前記ステップ、温める前記ステップ、および組み合わせる前記ステップは、前記浮体式LNG構造体の前記トップサイドの上の単一のモジュールの中で実施される、前記〔13〕に記載の方法。
〔15〕天然ガスの液化のための装置であって、前記装置は、
天然ガスストリームから重質炭化水素を除去し、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させるように構成されている第1の分離デバイスと;
前記分離された天然ガスストリームを部分的に凝縮させ、それによって、部分的に凝縮された天然ガスストリームを形成する第1の熱交換器と;
前記部分的に凝縮された天然ガスストリームから液体を分離し、それによって、液体ストリームおよび前処理された天然ガスストリームを発生させる第2の分離デバイスと;
1,500psiaよりも大きい圧力まで、前記前処理された天然ガスストリームを圧縮し、それによって、圧縮された天然ガスストリームを形成するように構成されている、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機と;
前記圧縮された天然ガスストリームを冷却し、それによって、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成するように構成されている冷却エレメントと;
2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させ、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成するように構成されている、少なくとも1つの仕事生成エキスパンダーと;
を含み、
前記冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離され、前記冷媒ストリームは、前記第1の熱交換器の中で、前記天然ガスストリーム、前記分離された天然ガスストリーム、前記部分的に凝縮された天然ガスストリーム、前記前処理された天然ガスストリーム、および前記液体ストリームのうちの1つまたは複数との熱交換を通して温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させ、
前記装置は、さらに、
温められた前記冷媒ストリームおよび前記非冷媒ストリームを液化するように構成されている少なくとも1つの液化トレイン
を含む、装置。
〔16〕前記第1の分離デバイスは、スクラブカラムであり、前記液体ストリームは、カラム還流ストリームとして前記スクラブカラムに方向付けられる、前記〔15〕に記載の装置。
〔17〕前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する前に、前記前処理された天然ガスストリームは、前記第1の熱交換器に方向付けられ、その中の前記分離された天然ガスストリームとの熱交換を通して温められる、前記〔15〕または〔16〕に記載の装置。
〔18〕前記少なくとも1つの液化トレインは、少なくとも1つのシングル混合冷媒(SMR)液化モジュールまたは少なくとも1つのエキスパンダーベースの液化モジュールを含む、前記〔15〕~〔17〕のいずれか1項に記載の装置。
〔19〕前記少なくとも1つの液化トレインは、少なくとも1つのエキスパンダーベースの液化モジュールを含み、前記少なくとも1つのエキスパンダーベースの液化モジュールは、窒素ガスエキスパンダーベースの液化モジュールおよびフィードガスエキスパンダーベースの液化モジュールのうちの1つである、前記〔18〕に記載の装置。
〔20〕前記少なくとも2つの圧縮機は、3,000psiaよりも大きい圧力まで、前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する、前記〔15〕~〔19〕のいずれか1項に記載の装置。
〔21〕前記天然ガスエキスパンダーは、2,000psiaよりも小さい圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させるように構成されている、仕事生成エキスパンダーである、前記〔15〕~〔20〕のいずれか1項に記載の装置。
〔22〕前記天然ガスエキスパンダーは、少なくとも1つの圧縮機に機械的に連結されている、前記〔15〕~〔21〕のいずれか1項に記載の装置。
〔23〕前記冷却エレメントは、環境と熱を交換することによって、前記圧縮された天然ガスストリームを冷却するように構成されている熱交換器を含む、前記〔15〕~〔22〕のいずれか1項に記載の装置。
〔24〕前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機のうちの1つは、前記天然ガスエキスパンダーによって駆動される、前記〔15〕~〔23〕のいずれか1項に記載の装置。
〔25〕前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機は、3つの直列に配置されている圧縮機を含み、前記3つの直列に配置されている圧縮機のうちの1つは、前記天然ガスエキスパンダーによって駆動される、前記〔15〕~〔24〕のいずれか1項に記載の装置。
〔26〕前記第1および第2の分離デバイス、前記第1の熱交換器、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機、前記冷却エレメント、前記少なくとも1つの仕事生成エキスパンダー、ならびに前記液化トレインは、浮体式LNG構造体の上に配設されている、前記〔15〕~〔25〕のいずれか1項に記載の装置。
〔27〕前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機、前記冷却エレメント、前記第1の熱交換器、前記第1および第2の分離デバイス、ならびに、前記少なくとも1つの仕事生成エキスパンダーは、前記浮体式LNG構造体のトップサイドの上の単一のモジュールの中に配設されている、前記〔26〕に記載の装置。
〔28〕浮体式LNG構造体であって、前記浮体式LNG構造体は、
天然ガスストリームから重質炭化水素を除去し、それによって、分離された天然ガスストリームを発生させるように構成されている第1の分離デバイスと;
前記分離された天然ガスストリームを部分的に凝縮させ、それによって、部分的に凝縮された天然ガスストリームを形成する第1の熱交換器と;
前記部分的に凝縮された天然ガスストリームから液体を分離し、それによって、液体ストリームおよび前処理された天然ガスストリームを発生させる第2の分離デバイスと;
1,500psiaよりも大きい圧力まで、前記前処理された天然ガスストリームを圧縮し、それによって、圧縮された天然ガスストリームを形成するように構成されている、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機と;
前記圧縮された天然ガスストリームを冷却し、それによって、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成するように構成されている冷却エレメントと;
2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前記天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させ、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成するように構成されている、少なくとも1つの仕事生成エキスパンダーと;
を含み、
前記冷やされた天然ガスストリームは、冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離され、前記冷媒ストリームは、前記第1の熱交換器の中で、前記天然ガスストリーム、前記分離された天然ガスストリーム、前記部分的に凝縮された天然ガスストリーム、前記前処理された天然ガスストリーム、および前記液体ストリームのうちの1つまたは複数との熱交換を通して温められ、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させ、
前記浮体式LNG構造体は、さらに、
温められた前記冷媒ストリームおよび前記非冷媒ストリームを液化するように構成されている少なくとも1つの液化トレイン
を含む、浮体式LNG構造体。
〔29〕天然ガスストリームから液化天然ガスを作り出す方法であって、前記方法は、
前記天然ガスストリームを前処理し、前処理された天然ガスストリームを発生させるステップと;
少なくとも1,500psiaの圧力まで、少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機の中で、前記前処理された天然ガスストリームを圧縮し、圧縮された天然ガスストリームを形成するステップと;
前記圧縮された天然ガスストリームを冷却し、冷却された圧縮された天然ガスストリームを形成するステップと;
少なくとも1つの仕事生成天然ガスエキスパンダーの中で、2,000psiaよりも小さい圧力まで、および、前記少なくとも2つの直列に配置されている圧縮機が前記前処理された天然ガスストリームを圧縮する圧力以下の圧力まで、前記冷却された圧縮された天然ガスストリームを膨張させ、それによって、冷やされた天然ガスストリームを形成するステップと;
前記冷やされた天然ガスストリームを冷媒ストリームおよび非冷媒ストリームへと分離するステップと;
熱交換器の中で、前記天然ガスストリームを前処理することに関連付けられる1つまたは複数のプロセスストリームとの熱交換を通して前記冷媒ストリームを温め、それによって、温められた冷媒ストリームを発生させるステップと;
温められた前記冷媒ストリームおよび前記非冷媒ストリームを液化するステップと
を含む、方法。
〔30〕前記天然ガスストリームを前処理するステップは、
前記天然ガスストリームから重質炭化水素を除去するステップと;
前記天然ガスストリームを部分的に凝縮させるステップと;
前記部分的に凝縮された天然ガスストリームから液体を分離するステップと;
前記天然ガスストリームを冷却するステップと
のうちの少なくとも1つを含む、前記〔29〕に記載の方法。