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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】石油樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/01 20060101AFI20220930BHJP
   C08F 240/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
C08F2/01
C08F240/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020568429
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 KR2019005768
(87)【国際公開番号】W WO2019240387
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0066718
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501014658
【氏名又は名称】ハンワ ソリューションズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】カン, ヒョンソク
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ピルジェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, キョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ヒジン
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特公平07-086132(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0126175(KR,A)
【文献】特開平08-208763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジシクロペンタジエン系石油樹脂の製造方法であって、
a)連続撹拌槽型反応器(CSTR)で単量体組成物を非触媒の条件下で1次熱重合して1次重合物を製造するステップと、
b)前記1次重合物を押し出し流れ反応器(PFR)で非触媒の条件下で2次熱重合するステップとを含む、ジシクロペンタジエン系石油樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記a)ステップでの反応温度(T)は210~270℃であり、
前記b)ステップでの反応温度(T)は180~300℃である、請求項1に記載の石油樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記b)ステップでの反応温度(T)は、a)ステップの反応温度(T)±30℃である、請求項2に記載の石油樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記a)ステップでの反応時間は10~180分であり、
前記b)ステップでの反応時間は10~360分である、請求項1に記載の石油樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記押し出し流れ反応器の内部体積は、前記連続撹拌槽型反応器の内部体積の1~3倍である、請求項1に記載の石油樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記押し出し流れ反応器は、前記連続撹拌槽型反応器に直列に連結される、請求項1に記載の石油樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記石油樹脂は、多分散指数(PDI)が2.5以下である、請求項1に記載の石油樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記b)ステップの後、水添反応工程をさらに行う、請求項1に記載の石油樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記石油樹脂は、数平均分子量が200~1,200g/molであり、重量平均分子量が250~4,000g/molであり、Z平均分子量(Mz)が300~5,000g/molである、請求項1に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒および開始剤なしに熱重合をすることで、多分散指数が低く、分子量分布が狭いことから均一な物性を有する石油樹脂の製造方法およびこれより製造された石油樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
石油樹脂は、代表的な粘着剤または接着剤として、接着テープやペイント、インク、ゴム、タイヤなどの製品に粘着性または接着性を持たせる物質として主に使用される。前記石油樹脂は、常温で液状または固体状であり、透明な半流動体の液体から淡黄色および透明無色の固体まで様々な形態であり得る。
【0003】
触媒の存在下で加熱して製造された石油樹脂は、前記触媒によって水添反応の際、各種の腐食の問題が生じ得、また、重合触媒の金属によって水添触媒の活性が低下し、水添反応がスムーズに行われないという欠点がある。さらに、低い収率で生産性が著しく低いという問題がある。
【0004】
これを解決するために、触媒を使用せずに熱重合をしてこれを解決しようとしたが、通常の非触媒および非開始剤の状態で重合反応を行うことで、収率を向上させ、残留金属の問題を解決することができたものの、石油樹脂の分子量分布が均一でなく、物性が一定でないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような問題を解決するための本発明の目的は、収率に優れるだけでなく、狭い分子量分布で均一な物性を有する石油樹脂の製造方法を提供することであり、本発明者らは、これについて様々な研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
また、本発明の他の目的は、水添反応の後にも低分子量の有機物の放出などの表面汚染を防止できる非触媒熱重合石油樹脂の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために研究したところ、本発明による石油樹脂の製造方法は、a)連続撹拌槽型反応器(CSTR)で単量体組成物を非触媒の条件下で1次熱重合して1次重合物を製造するステップと、b)前記1次重合物を押し出し流れ反応器(PFR)で非触媒の条件下で2次熱重合するステップとを含む。
【0008】
本発明の一様態による前記a)ステップでの反応温度(T)は210~270℃であり、前記b)ステップでの反応温度(T)は180~300℃であってもよい。
【0009】
本発明の一様態による前記b)ステップでの反応温度(T)は、a)ステップの反応温度(T)±30℃であってもよい。
【0010】
本発明の一様態による前記a)ステップでの反応時間は10~180分であり、前記b)ステップでの反応時間は10~360分であってもよい。
【0011】
本発明の一様態による前記押し出し流れ反応器の内部体積は、前記連続撹拌槽型反応器の内部体積の1~3倍であってもよい。
【0012】
本発明の一様態による前記押し出し流れ反応器は、前記連続撹拌槽型反応器に直列に連結されてもよい。
【0013】
本発明の一様態による前記石油樹脂は、多分散指数(PDI)が2.5以下であってもよい。
【0014】
本発明の一様態による前記b)ステップの後、水添反応工程をさらに行ってもよい。
【0015】
本発明による石油樹脂は、上述の方法により製造されてもよい。
【0016】
本発明の一様態による前記石油樹脂は、数平均分子量が200~1,200g/molであり、重量平均分子量が250~4,000g/molであり、Z平均分子量(Mz)が300~5,000g/molであってもよい。
【0017】
本発明の一様態による前記石油樹脂は、多分散指数(PDI)が2.5以下であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明による石油樹脂の製造方法は、触媒や開始剤を使用せずに、連続撹拌槽型反応器(CSTR)で1段階の重合と、押し出し流れ反応器(PFR)で2段階にわたり非触媒および非開始剤の熱重合を行うことで、過剰な架橋反応を抑制し、連続重合の際、優れた分子量および狭い分子量分布を有する石油樹脂を提供できるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態により本発明による石油樹脂の製造方法についてより詳細に説明する。ただし、下記の実施形態は、本発明を詳細に説明するための参照であって、本発明はこれに制限されるものではなく、様々な形態に実現され得る。
【0020】
また、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本願で説明に使用される用語は、単に特定の実施形態を効果的に述べるためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
【0021】
前記目的を達成するための本発明は、均一な物性の実現が可能な非触媒および非開始剤の熱重合石油樹脂の製造方法およびこれより製造された石油樹脂に関する。
【0022】
本発明を具体的に説明すると、以下のとおりである。
【0023】
本発明による石油樹脂の製造方法は、a)連続撹拌槽型反応器(CSTR)で単量体組成物を非触媒の条件下で1次熱重合して1次重合物を製造するステップと、b)前記1次重合物を押し出し流れ反応器(PFR)で非触媒の条件下で2次熱重合するステップとを含む。
【0024】
具体的に説明すると、本発明による石油樹脂の製造方法は、2段階に分けて行われ、先ず、触媒および開始剤を含んでいない反応物を連続撹拌槽型反応器(Continuous Stirred Tank Reactor、CSTR)で1次熱重合する。次に、これより製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器に連結された押し出し流れ反応器(Plug Flow Reactor、PFR)に供給して2次熱重合し、石油樹脂を製造する。このように段階別の重合によって製造されることで、重合反応熱を容易に制御することができ、単量体の転化率または重合率が著しく向上し、分子量分布が狭いことで均一な物性を有する石油樹脂を生産することができる。
【0025】
既存の石油樹脂の製造方法のうち非触媒熱重合法は、通常、分子量分布が広くて、石油樹脂の一定な物性が提供されないという限界があったが、本発明は、上述のように、連続撹拌槽型反応器(Continuous Stirred Tank Reactor、CSTR)および押し出し流れ反応器(Plug Flow Reactor、PFR)で行われる工程を採択することで、狭い分子量分布を有するように調節することができ、均一な物性、および粘着剤として使用の際、長期使用による移行の増加に対する汚染防止などの著しい効果を奏することができる石油樹脂を提供することができる。
【0026】
本発明の一様態により、前記石油樹脂の製造方法は、前記連続撹拌槽型反応器に単量体および溶媒を含む単量体組成物を供給して撹拌しながら1次熱重合を行い、1次重合物を製造するステップを含み、この際、如何なる開始剤または触媒を使用することなく熱重合だけで重合する。
【0027】
本発明において、非触媒、非開始剤とは、人為的に触媒の役割をする金属触媒、カチオン触媒、アニオン触媒またはラジカル重合を人為的に誘導するペルオキシド開始剤、アゾ系開始剤またはレドックス触媒などをいずれも含んでいない概念である。
【0028】
本発明の一様態により、前記連続撹拌槽型反応器は、本発明が属する技術分野において通常使用されるものであれば特に制限されず、前記単量体組成物の連続した投入および混合とともに重合反応を行うことができる。前記のように連続撹拌槽型反応器で1次熱重合を行うことで、反応が行われる間に温度が均一に維持され、局所高温点(hot spot)の発生確率が低く、狭い分子量分布を有することができる。
【0029】
本発明の一様態により、前記a)ステップでの反応温度(T)は、210~270℃であってもよく、好ましくは220~270℃であってもよい。前記反応温度で行う場合、単量体の転化率または重合率に優れ、架橋反応などの副反応の発生を抑制することで低い多分散指数を有することができ、狭い分子量分布で均一な物性を実現することができる。
【0030】
本発明の一様態により、前記a)ステップでの反応圧力は、1~40barであってもよく、好ましくは5~35bar、より好ましくは10~30barであってもよい。前記反応圧力で行う場合、安全事故の危険が生じない線で単量体の反応性を高めることができる。
【0031】
本発明の一様態により、前記a)ステップでの反応時間は、10~180分であってもよく、好ましくは20~150分、より好ましくは30~100分であってもよい。前記反応時間で行う場合、原料の混合による副反応を抑制することができ、狭い分子量分布を提供することができる。
【0032】
本発明の一様態により、前記a)ステップでの単量体組成物の単量体の転化率が5~70%であってもよく、好ましくは10~60%、より好ましくは15~50%になるまで行うことができる。前記転化率に調節して1次熱重合を行う場合、2次熱重合の際、重合体の収率を著しく高めることができ、チャネリング(channelling)またはデッドゾーンなどの発生を防止し、重合反応効率を向上させることができる。
【0033】
本発明の一様態により、前記石油樹脂の製造方法は、前記1次熱重合の後、前記1次熱重合した1次重合物を押し出し流れ反応器に供給して撹拌なしに2次熱重合し、石油樹脂を製造するステップを含む。この際、前記押し出し流れ反応器は、1次熱重合を行った連続撹拌槽型反応器に連結されていてもよく、これより重合物の供給を受けて連続した重合を行うことができる。
【0034】
前記連続撹拌槽型反応器でのみ熱重合を行う場合、反応器の内部で未反応物および生成物を含む流体によるチャネリングなどが発生し、重合反応速度および効率が低減し、不均一な物性を有する重合体が製造され得る。
【0035】
また、前記押し出し流れ反応器でのみ熱重合を行う場合、高温高圧の反応条件下で重合が行われるしかなく、内部に撹拌装置がない反応器として反応器の体積当たり単量体の転化率が高いという利点があるが、撹拌が不十分で、局所高温点と副反応が発生し得る。
【0036】
本発明による単量体組成物は、前記押し出し流れ反応器に最初から投入して熱重合するものではなく、連続撹拌槽型反応器で1次熱重合を経て所定の水準に重合された反応生成物に対して2次に熱重合反応を行うものであり、重合反応熱の減少で局所高温点の発生が抑制され、狭い分子量分布を有することができ、均一な物性を有する石油樹脂を製造することができる。
【0037】
また、本発明の一様態により、既存の設備の連続撹拌槽型反応器のサイズを大きくしなくても、前記連続撹拌槽型反応器に前記押し出し流れ反応器を直列に連結することで、必要な生産量に応じて反応器の総体積を容易に調節することができ、これにより、より優れた経済的効果を図ることも可能である。また、本発明による前記のような構成の反応装置を使用することで、重合反応熱をより容易に制御することができ、狭い分子量分布および均一な物性を有する石油樹脂を製造することができる。
【0038】
本発明の一様態により、前記押し出し流れ反応器は、本発明が属する技術分野において通常使用されるものであれば特に制限されず、前記連続撹拌槽型反応器に直列に連結されていてもよく、1次熱重合した1次重合物の連続した投入とともに連続重合反応を行うことができる。
【0039】
本発明の一様態により、前記b)ステップでの反応温度(T)は、180~300℃であってもよく、好ましくは180~290℃、より好ましくは180~280℃であってもよい。より具体的には、前記b)ステップでの反応温度(T)は、a)ステップの反応温度(T)±30℃であってもよく、好ましくはa)ステップの反応温度(T)±20℃、より好ましくはa)ステップの反応温度(T)±10℃であってもよい。すなわち、T-30℃~T+30℃であってもよく、好ましくはT‐20℃~T+20℃、より好ましくはT‐10℃~T+10℃であってもよい。前記反応温度で行う場合、副反応を抑制することができ、生産性を高めることができる。
【0040】
また、前記のような反応温度のように、a)ステップとb)ステップとの温度差が10~30℃に調節されることで、未反応オリゴマーの生成を最小化することができ、軟化点が高くなり、分子量分布が狭い石油樹脂を製造することができる。
【0041】
本発明の一様態により、前記b)ステップでの反応圧力は、1~40barであってもよく、好ましくは5~35bar、より好ましくは10~30barであってもよい。前記反応圧力で行う場合、安全事故の危険が生じない線で気化した単量体によりデッドゾーン(dead zone)の発生を抑制することができる。
【0042】
本発明の一様態により、前記b)ステップでの反応時間は、10~360分であってもよく、好ましくは20~240分、より好ましくは30~140分であってもよい。より具体的には、前記b)ステップでの反応時間は、a)ステップの反応時間の1~4倍、好ましくは1~3倍、より好ましくは1~2倍であってもよい。前記反応時間で行う場合、副反応を抑制し、分子量分布が狭い石油樹脂を製造することができる。
【0043】
本発明の一様態により、前記押し出し流れ反応器の内部体積は、前記連続撹拌槽型反応器の内部体積の1~3倍であってもよく、好ましくは1~2.5倍、より好ましくは1~2倍であってもよい。前記押し出し流れ反応器の内部体積が前記連続撹拌槽型反応器の内部体積に対して前記のようなサイズを有する場合、初期反応熱の制御が容易で、不純物の発生を抑制することができ、反応温度の制御で重合効率を高めるとともに均一な物性を実現することができる。
【0044】
本発明の一様態により、前記押し出し流れ反応器は、ケニックス社製のミキサ(kenics mixer)およびスルザー社製のミキサ(sulzer mixer)などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上のスタティックミキサ(Static mixer)が直列に連結されていてもよい。前記のようなミキサを含むことで、粘性が大きい溶液の流れによる反応器内の圧力降下を防止することができる。
【0045】
本発明の一様態により、前記連続撹拌槽型反応器(CSTR)と押し出し流れ反応器(PFR)の連結区間にフィルタをさらに含んでもよい。前記フィルタは、金属、高分子およびセラミックなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物質で製造されてもよく、気孔径が100nm~10μm、好ましくは100nm~1μmであってもよく、異物などを濾過させることができるフィルタであれば、特に制限されるものではない。
【0046】
本発明の一様態により、前記石油樹脂の製造方法は、溶媒分離工程を行ってもよい。前記のように溶媒分離工程を行うために、押し出し流れ反応器に溶媒分離器が連結されてもよく、効果的に溶媒を排出することでバルク状の石油樹脂を回収し、粒子化した石油樹脂を取得することができる。
【0047】
本発明の一様態により、前記石油樹脂の製造方法は、比較的短い反応時間にもかかわらず、非触媒および非開始剤の条件下で2段階にわたり熱重合することで、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上の高い収率を有することができ、狭い分子量分布を示すことができる。
【0048】
本発明の一様態により、前記単量体組成物は、単量体および溶媒を含むことができる。前記単量体組成物をa)ステップにおいて連続撹拌槽型反応器で撹拌しながら投入、混合と共に1次熱重合を行う。次いで、b)ステップにおいてa)ステップでの反応生成物に対して撹拌なしに2次熱重合を行って、ホモポリマーの生成などの副反応を抑制し、分子量分布が低い高品質の石油樹脂を取得することができる。
【0049】
本発明の一様態により、前記単量体は、C‐C20脂肪族オレフィン系単量体、C‐C20環状オレフィン系単量体およびC‐C20芳香族ビニル系単量体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。好ましくはC‐C10脂肪族オレフィン系単量体、C‐C15環状オレフィン系単量体およびC‐C10芳香族ビニル系単量体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。さらに好ましくはC‐C脂肪族オレフィン系単量体およびC10‐C15環状オレフィン系単量体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。
【0050】
具体例としては、前記C‐C20脂肪族オレフィン系単量体は、ピペリレン、イソプレン、エチレン、プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテン、1‐オクテン、1‐ノネン、1‐デセン、3‐メチル‐1‐ブテン、4‐メチル‐1‐ブテン、2‐メチル‐2‐ブテン、3‐メチル‐1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、3‐メチル‐1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ヘキセン、5‐メチル‐1‐ヘキセン、1,3‐ヘキサジエン、1,4‐ヘキサジエンおよび混合C5留分などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。前記C‐C20環状オレフィン系単量体は、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。前記C‐C20芳香族ビニル系単量体は、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、インデン(Indene)、メチルインデン、ビニルトルエンおよび混合C9留分などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。
【0051】
前記混合C5留分は、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン、1‐ペンテン、2‐メチル‐2‐ブテンおよびn‐ペンタンなどの混合物で構成されたものである。具体的には、混合C5留分は、イソプレン10~20重量%、ピペリレン10~20重量%、シクロペンタジエン0.5~1.5重量%、1‐ペンテン2~4重量%、2‐メチル‐2‐ブテン1~3重量%およびn‐ペンタン25~35重量%で構成されてもよい。より具体的には、全世界で使用されるC5留分のほとんどは、ピペリレンが主な単量体であるピペリレン濃縮留分であり得る。
【0052】
前記混合C9留分は、スチレン、ビニルトルエン、インデン(Indene)、α‐メチルスチレンおよびベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)などの混合物で構成されたものである。具体的には、混合C9留分は、スチレン10~20重量%、ビニルトルエン10~20重量%、インデン(Indene)10~20重量%、α‐メチルスチレン1~7重量%およびキシレン40~60重量%で構成されてもよい。
【0053】
本発明の一様態により、前記単量体は、C‐C20環状オレフィン系単量体を必ず含んでもよい。好ましくはジシクロペンタジエンとC‐C脂肪族オレフィン系単量体およびC‐C10芳香族ビニル系単量体を含んでもよい。さらに好ましくは、ジシクロペンタジエンとC‐C脂肪族オレフィン系単量体を含んでもよい。前記のような単量体で構成される場合、低い軟化点をはじめ、向上した品質を有するとともに、分子量および分子量分布が低く、優れた接着力を実現することができ、接着剤または粘着剤として提供され得る。
【0054】
本発明の一様態により、前記単量体組成物は、溶媒に溶解された状態で使用可能であり、前記溶媒は、本発明が属する技術分野において通常使用されるものを使用することができる。具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合溶媒であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0055】
本発明の一様態により、前記単量体組成物は、酸化防止剤および重合禁止剤などの本発明が属する技術分野において通常使用される添加剤をさらに含んでもよい。
【0056】
本発明の一様態による石油樹脂は、ジシクロペンタジエンとジシクロペンタジエン以外の共単量体をともに非触媒熱重合して取得してもよく、下記式1を満たすことができる。
【0057】
[式1]
0.1<PDI‐1.45×n<1.3
【0058】
前記式1中、PDIは、石油樹脂の多分散指数であり、nは、前記単量体組成物のうちジシクロペンタジエン以外の共単量体の重量比(ジシクロペンタジエン以外の共単量体の重量/全単量体組成物の重量)である。
【0059】
前記式1中、PDI‐1.45×nをzとしたとき、0.1<z<1.3、または0.3<z<1.3、または0.5<z<1.3、または0.5<z<1.25、または0.8<z<1.25、または1.0<z<1.25を満たすことができる。前記式1を満たす場合、分子量分布が狭く、均一な物性を実現することができる。
【0060】
本発明の一様態により、本発明による非触媒熱重合石油樹脂の製造方法で製造された石油樹脂は、多分散指数(PDI)が2.5以下であってもよい。具体的には1.0~2.5であってもよく、好ましくは1.2~2.4であってもよく、より好ましくは1.4~2.2であってもよく、さらに好ましくは1.4~1.8であってもよい。前記のように本発明による石油樹脂の製造方法で2段階にわたり非触媒および非開始剤の条件下で熱重合を行う場合、分子量分布を著しく狭めることができる。
【0061】
本発明の一様態により、前記石油樹脂は、数平均分子量(Mn)が200~1,200g/molであり、重量平均分子量(Mw)が250~4,000g/mol、Z平均分子量(Mz)が300~5,000g/molであってもよい。好ましくは、数平均分子量が250~1、000g/molであり、重量平均分子量が300~3,000g/mol、Z平均分子量が350~4,000g/molであってもよい。より好ましくは、数平均分子量が200~800g/molであり、重量平均分子量が300~3,000g/mol、Z平均分子量が400~4,000g/molであってもよい。
【0062】
かかる特性により、前記石油樹脂は、他の高分子と混合されて優れた接着力を実現するホットメルト粘着剤または接着剤として提供することができる。特に、前記石油樹脂は、様々な物性の高分子に粘着付与樹脂として機能することができ、様々な技術分野に使用することが期待される。
【0063】
本発明の一様態により、前記b)ステップの後、水添反応工程をさらに行ってもよい。前記水添反応は、本発明が属する技術分野において公知の方法によって行われ得る。前記水添反応は、不飽和状態である二重結合に水素が添加されて単結合を形成する反応であり、石油樹脂に水添反応により二重結合がいずれも無くなった水添石油樹脂として製造することができる。具体例としては、前記非触媒熱重合である2段階の重合により取得された石油樹脂を水添触媒がパッキングされた連続水添反応器に投入し、水添反応を行うことができる。
【0064】
本発明の一様態により、前記水添反応は、50~150barの圧力下で150~300℃で行うことができるが、これに制限されるものではない。前記のような圧力および温度で行う場合、分子構造の破壊を防止することができる。
【0065】
本発明の一様態により、前記水添触媒は、特に制限されるものではないが、公知の水添触媒であれば、如何なるものも使用可能である。具体例としては、Ni、Fe、Cu、Co、Mo、Pd、Rh、Pt、Nb、Au、RdおよびラネーNiなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。
【0066】
本発明の一様態により、前記水添触媒は、反応性の向上のために、石油樹脂の単量体1モルに対して、0.001~0.5、好ましくは0.05~0.2モル比で含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0067】
本発明の一様態により、前記のように水添反応を経た石油樹脂は、ホットメルト接着剤または減圧型接着剤などとして使用されるか、天然ゴムまたは合成ゴムなどのように様々な樹脂に配合されて接着剤として使用され得る。また、インク、ペイント、ロードマーキング用ペイントなどに粘着または接着付与樹脂として添加され得る。
【0068】
前記水添反応を経た石油樹脂は、接着剤として使用されるために、石油樹脂にスチレン‐イソプレン共重合体、スチレン‐イソプレン‐スチレン共重合体、スチレン‐ブタジエン共重合体、スチレン‐ブタジエン‐スチレン共重合体などのスチレン系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートおよびプロピレン‐エチレン共重合体などのポリオレフィン系重合体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合共重合体;およびパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの合成ワックスまたは動物性天然ワックス、植物性天然ワックス、芳香族系オイル、ナフテン系オイルおよびパラフィン系オイルなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物をさらに含んで接着剤組成物として提供され得る。
【0069】
本発明の一様態により、前記のように製造された水添石油樹脂は、接着剤組成物で製造しても、低分子量の有機物が表面に放出され、時間の経過に伴う接着表面の汚染や周辺の汚染の発生を防止することができる。
【0070】
本発明の一様態により、前記接着剤組成物は、硬化の後、軟化点が50~150℃、好ましくは100~150℃、より好ましくは105~140℃であってもよい。前記のような軟化点を有する場合、接着性を向上させることができる。
【0071】
本発明の一様態により、前記接着剤組成物は、硬化の後、180゜剥離強度が1.0kgf/25mm以上であってもよい。好ましくは1.05kgf/25mm以上であってもよい。具体的には1.0~2.0kgf/25mmであってもよく、好ましくは1.0~2.0kgf/25mmであってもよい。また、タック力(tack force)が1.5kgf以上であってもよく、好ましくは1.6kgf以上であってもよい。具体的には1.5~3.0kgfであってもよく、好ましくは1.6~3.0kgfであってもよい。
【0072】
前記のような物性を有する場合、優れたループタックおよび剥離特性を有する接着剤を提供することができる。
【0073】
以下、実施例を参照して、本発明を詳細に説明する。しかし、これらは、本発明をより詳細に説明するためのものであって、本発明の権利範囲は下記の実施例によって限定されるものではない。
【0074】
また、明細書で特に断らない添加物の単位は、重量%であってもよい。
【0075】
[物性測定方法]
1.分子量
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)(Infinity1260)によってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)および数平均分子量(Mn)を測定した。測定するジシクロペンタジエン系樹脂は、0.05重量%の濃度になるようにテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)に溶解し、GPCに10μlを注入した。GPCの移動相は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)を使用し、1mL/分の流速で流入し、分析は、35℃で行った。カラムは、ガードカラム(Guard column) 1個とPL gel 5μm 50A、PL gel 5μm 100A、oligopore 300A 3個を直列に連結した。検出器としては屈折率検出器(RID)を用いて35℃で測定した。
【0076】
2.軟化点
環球式軟化点試験法(Ring and ball softening method)(ASTM E 28)を用いて測定した。環状の型に樹脂を溶解して投入し、グリセリンで満たされたビーカに載せた後、樹脂で満たされた環にボールを乗せて温度を1分当たり2.5℃ずつ上げて樹脂が溶解してボールが落ちる時の温度(軟化点)を測定した。
【0077】
[実施例1]
ジシクロペンタジエン750g、ピペリレン750gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.416Lである連続撹拌槽型反応器(CSTR)に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で42分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0078】
前記のように製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器と連結された内部体積が0.590Lである押し出し流れ反応器(PFR)に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で63分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0079】
[実施例2]
ジシクロペンタジエン1050g、ピペリレン450gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.416Lである連続撹拌槽型反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で36分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0080】
前記のように製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器と連結された内部体積が0.590Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で54分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0081】
[実施例3]
ジシクロペンタジエン450g、ピペリレン1050gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.416Lである連続撹拌槽型反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で42分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0082】
前記のように製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器と連結された内部体積が0.590Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で63分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0083】
[実施例4]
前記実施例1で押し出し流れ反応器での反応温度を260℃にした以外は同様に実施した。
【0084】
[実施例5]
前記実施例1で連続撹拌槽型反応器での反応温度を270℃にした以外は同様に実施した。
【0085】
[実施例6]
前記実施例1で連続撹拌槽型反応器および押し出し流れ反応器での反応温度をそれぞれ270℃にした以外は同様に実施した。
【0086】
[実施例7]
前記実施例2で押し出し流れ反応器での反応温度を260℃にした以外は同様に実施した。
【0087】
[実施例8]
ジシクロペンタジエン750g、ピペリレン400g、スチレン350gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.416Lである連続撹拌槽型反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で40分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0088】
前記のように製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器と連結された内部体積が0.590Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で60分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0089】
[実施例9]
ジシクロペンタジエン750g、1‐ヘキセン750gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.416Lである連続撹拌槽型反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で40分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0090】
前記のように製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器と連結された内部体積が0.590Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で60分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0091】
前記のように製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器と連結された内部体積が0.590Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で60分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0092】
[比較例1]
ジシクロペンタジエン750g、ピペリレン750gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.295Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で52分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0093】
前記のように製造された1次重合物を前記押し出し流れ反応器と連結された同じ内部体積が0.295Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で53分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0094】
[比較例2]
ジシクロペンタジエン1050g、ピペリレン450gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.295Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で45分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0095】
前記のように製造された1次重合物を前記押し出し流れ反応器と連結された同じ内部体積が0.295Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で45分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0096】
[比較例3]
ジシクロペンタジエン1050g、ピペリレン450gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.295Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で40分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0097】
前記のように製造された1次重合物を前記押し出し流れ反応器と連結された同じ内部体積が0.295Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で45分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0098】
[比較例4]
ジシクロペンタジエン450g、ピペリレン1050gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.295Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で40分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0099】
前記のように製造された1次重合物を前記押し出し流れ反応器と連結された同じ内部体積が0.295Lである押し出し流れ反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で45分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0100】
[比較例5]
ジシクロペンタジエン750g、ピペリレン750gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.416Lである連続撹拌槽型反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で48分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0101】
前記のように製造された1次重合物を前記押し出し流れ反応器と連結された同じ内部体積が0.295Lである連続撹拌槽型反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で72分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0102】
[比較例6]
ジシクロペンタジエン750g、ピペリレン750gをキシレン溶媒1500gに混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.416Lである連続撹拌槽型反応器に連続して供給し、温度260℃および圧力25barの条件下で45分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0103】
前記のように製造された1次重合物を前記押し出し流れ反応器と連結された同じ内部体積が0.295Lである連続撹拌槽型反応器に連続して供給し、温度270℃および圧力25barの条件下で45分間重合した。重合が完了した生成物を200℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂を回収した。
【0104】
前記実施例および比較例の反応条件を、下記表1にまとめて示した。
【0105】
【表1】
【0106】
[実験例]
前記実施例および比較例で製造されたジシクロペンタジエン系樹脂の分子量(Mn、Mw、Mz)、多分散指数(PDI、Mw/Mn)を測定し、表2に示した。
【0107】
【表2】
【0108】
前記表2に示されているように、本発明の実施例による石油樹脂は、同じ共単量体の重量比を有する比較例に比べ、著しく高い収率と狭い分子量分布を有することを確認することができた。
【0109】
さらに、比較例1~6の場合、1次および2次重合の反応器の構成を同様にすることで、分子量分布が広く、収率も低いことを確認することができた。これにより、1次および2次重合の際、反応器の構成を異ならせて構成し、第1段階にて連続撹拌槽型反応器で撹拌重合し、2次重合にて押し出し流れ反応器で重合することで、石油樹脂の優れた収率と狭い分子量分布を実現できることを確認することができた。
【0110】
さらに、本発明の実施例による製造方法で製造された石油樹脂は、非触媒の条件で熱重合することで、狭い分子量分布を有することができ、均一な物性を実現することができることを確認することができた。
【0111】
[実施例10]
前記実施例1でのジシクロペンタジエン系樹脂の総重量に対して、パラジウム触媒0.5重量%、水素量4NL/minを使用し、温度260℃、圧力100barの条件下で2回水添反応を行った。
【0112】
[比較例7]
前記比較例1のジシクロペンタジエン系樹脂に対して、実施例8と同じ方法で水添反応を行った。
【0113】
[比較例8]
前記比較例5のジシクロペンタジエン系樹脂に対して、実施例8と同じ方法で水添反応を行った。
【0114】
前記実施例10、比較例7および8で製造されたジシクロペンタジエン系水添樹脂の接着力を評価するために、スチレン‐ブタジエン‐スチレン共重合体25重量部、ジシクロペンタジエン系水添樹脂57重量部、パラフィンオイル可塑剤18重量部および酸化防止剤0.5重量部を加え、接着剤組成物を製造した。
【0115】
前記のように製造された接着剤組成物を片面コロナ処理された100μmのPETフィルムに自動塗工機で36μmの湿潤厚さで塗布した。塗布されたフィルムを100℃で30分間乾燥して溶媒を除去し、LLOYD社製のFT‐1万能材料試験機を使用して180゜の剥離強度(Peel strength)を測定し、ループタックテスト(loop tack test)を行い、表3に示した。
【0116】
【表3】
【0117】
前記表3に示されているように、前記実施例10のジシクロペンタジエン系水添樹脂は、比較例で製造された水添樹脂に比べ、著しく向上した剥離強度およびタック力を有することで、優れた接着力を有することを確認することができた。
【0118】
また、前記実施例10のジシクロペンタジエン系水添樹脂は、長期使用による移行の増加にも接着表面の汚染や周辺装置の汚染が発生せず、長期的に優れた接着力および維持力を発現することを確認した。
【0119】
以上で説明した本発明は、例示的なものに過ぎず、本発明が属した技術分野の通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形および均等な他の実施例が可能であるという点をよく知ることができる。したがって、本発明は、前記の詳細な説明で言及する形態にのみ限定されるものではないことをよく理解することができる。したがって、本発明の真正な技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【0120】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等または等価的な変形があるすべてのものなどは、本発明の思想の範疇に属すると言える。