(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】500MPaグレードの降伏強度を有する厚いゲージの熱間圧延されるH字型鋼及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20220930BHJP
B21B 1/088 20060101ALI20220930BHJP
B21B 45/00 20060101ALI20220930BHJP
C21D 8/00 20060101ALI20220930BHJP
C22C 38/12 20060101ALI20220930BHJP
C22C 38/50 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
C22C38/00 301A
B21B1/088 Z
B21B45/00 D
C21D8/00 B
C22C38/12
C22C38/50
(21)【出願番号】P 2020568800
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2018121101
(87)【国際公開番号】W WO2019242253
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】201810628873.5
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520449079
【氏名又は名称】山東鋼鉄股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG IRON AND STEEL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ヂァォ,ペェィリィン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヂォンシュエ
(72)【発明者】
【氏名】グゥオ,ウェイダァー
(72)【発明者】
【氏名】リィー,チァォ
(72)【発明者】
【氏名】ハァン,ウェンシィー
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヂィンリィン
(72)【発明者】
【氏名】グゥオ,シウフゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ヂァォ,チゥァンドォン
(72)【発明者】
【氏名】リィー,チゥァンヂェン
(72)【発明者】
【氏名】イァン,ドォン
【審査官】河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/080818(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/142060(WO,A1)
【文献】特開平04-279247(JP,A)
【文献】特開平04-083821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00-38/60
C21D 9/46
C23C 22/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
500MPaグレードの降伏強度を有する厚いゲージの熱間圧延されたH字型鋼であって、
その化学組成は、重量パーセントで、C:0.10%~0.20%、Si:0.15%~0.30%、Mn:0.8%~1.30%、Nb:0.02%~0.05%、V:0.10%~0.16%、Ni:0.40%~1.0%、P≦0.015%、S≦0.01%、Mo:0.15%~0.35%、Al≦0.05%、O≦0.004%、N:0.01%~0.02%であり、残りはFeと不可避的な不純物である、
ことを特徴とするH字型鋼。
【請求項2】
Ni+Mo≦1.0%であることを満たす、
ことを特徴とする請求項1に記載されたH字型鋼。
【請求項3】
20~40mmの厚さのフランジを有する、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載されたH字型鋼。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載のH字型鋼を製造する方法であって、
溶融鉄の前処理、転炉製錬、鉄包吹アルゴン、LF精製、異形スラブ鋳造、連鋳スラブ緩冷坑で冷または熱送り、
熱間圧延、冷床密集緩冷の工程を順に行い、
前記
熱間圧延の工程において、
圧延される鋼材に対して、加熱炉の平均温度は1230~1270℃であり、鋳造時間は150~200minであり、精
密圧延の開始温度は1120~1180℃であり、精密圧延のスタンド間の水冷が全てオンとなり、最終の精
密圧延の温度は750~820℃である、
ことを特徴とするH字型鋼を製造する方法。
【請求項5】
前記精
密圧延の最後の2つのパスは、
圧縮率が5%~10%を採用する、
ことを特徴とする請求項
4に記載された製造方法。
【請求項6】
前記精密圧延された鋼材は、精密圧延機から排出された後、断熱カバー付きのローラーテーブルに入って保温し、その後、冷却床に入って徐冷する、
ことを特徴とする請求項
4に記載された製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金技術分野に属し,具体的には、500MPaグレードの降伏強度を有する厚いゲージの熱間圧延されるH字型鋼及びその製造方法に関する。
【0002】
(関連出願)
本願は、2018年6月19日に出願した中国特許出願第201810628873.5号に基づく優先権を主張し、この中国特許出願のすべての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
海洋地域での石油や天然ガスの探査には、ハイエンドの海洋工事機器が不可欠である。海洋環境機器は過酷な環境で使用され、高温・低温、高圧、高湿度、塩化物腐食、微生物腐食などに直面し、海風、波、潮の流れの影響を受けるだけでなく、台風、流氷、地震などの自然災害にも直面する。そのため、海洋工事機器を製造するための海洋工事用鋼は、より高い強度、低温耐性、強靭性、耐食性などの高い総合性能を備える必要がある。
【0004】
H字型鋼は、海洋石油工事に必要な構造材料として、現在公表されている特許は主に二つの種類があり、その一つの種類は主にマイクロアロイであり、正規化圧延を採用する。該種類の鋼は安定した性能と良好な溶接性を持つが、強度が低い。もう一方の種類では、マイクロアロイ組成の設計を減らし、その後の水冷を制御することによって、特定のバイナイト構造を得ることができる。このタイプの鋼製品の性能安定性は低く、部品ごとのバイナイトの含有量の違いが鋼の安定性を低下させる。そのため、高強度のH字型鋼を製造するには、二つの工程を組み合わせる必要があり、高強度であるだけでなく、安定性も良好となる。より厚いH字型の鋼製品を製造することはより困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、海洋工事のための500MPaグレードの降伏強度を有する厚いゲージの熱間圧延されるH字型鋼を提供することを目的とする。このH字型鋼は、良好な機械的特性を有し、海域が異なるオフショア石油プラットフォーム、外航輸送船などにおける超高強度および強靭性を備えた支持構造の製造に適する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術案は以下の通りである。
本発明の一態様に係る500MPaグレードの降伏強度を有する厚いゲージの熱間圧延されたH字型鋼は、重量パーセントで以下の化学組成を有する。その化学組成は、C:0.10%~0.20%、Si:0.15%~0.30%、Mn:0.8%~1.30%、Nb:0.02%~0.05%、V:0.10%~0.16%、Ni:0.40%~1.0%、P≦0.015%、S≦0.01%、Mo:0.15%~0.35%、Al≦0.05%、O≦0.004%、 N:0.01%~0.02%、残りはFeと不可避的な不純物である。
【0007】
それらの中で、好ましくは、Ni+Mo≦1.0%を満たす。
【0008】
さらに、本発明のもう一つの態様に係るの500MPaグレードの降伏強度を有する厚いゲージの熱間圧延されたH字型鋼は、重量パーセントで以下の化学組成を有する。その化学組成は、C:0.10%~0.20%、Si:0.15%~0.30%、Mn:0.8%~1.20%、Nb:0.02%~0.05%、V:0.10%~0.14%、Ni:0.40%~0.7%、P≦0.015%、S≦0.01%、Mo:0.20%~0.35%、Al≦0.05%、O≦0.004%、N:0.01%~0.02%、CrとTiのうちの1つ以上も含まれる。ここで、Cr≦0.5%、Ti≦0.05%、残りはFeと不可避的な不純物である。
【0009】
その中で、好ましくは、Ni+Mo≦1.0%、Nb+V+Ti≦0.18%を満たす。
【0010】
本発明において、上記の構成要素を利用し、プロファイルビレットの正規化圧延を採用し、製造されたH字型鋼のフランジの厚さは20~40mmに達する。
【0011】
また、本発明の高強度熱間圧延されたH断面鋼の化学元素の設計原理は以下の通りである。
【0012】
炭素:炭素は、500MPaの高強度H字型鋼で微細なフレークパールライトと粒状バイナイトを確実に形成し、強度を達成するための重要な要素である。適量のバイナイトとパールライトの複合構造を得るために、厚さが大きいH字型鋼に対しては、強度を上げる必要があるため、炭素の含有量を低くしすぎないようにし、0.10%~0.20%とする。
【0013】
シリコン:Siは、脱酸素元素であり、強度の向上に寄与できるので、Siの含有量の下限を0.15%以上に設定する。一方、Siを含むFe2SiO4が表面に大量に生成されて表面品質に影響を与えないように、Siの含有量の上限は0.30%以下とする。また、好ましくは0.2%以下であり、より好ましくは0.25%以下である。
【0014】
マンガン:Mnは、オーステナイト構造を安定させ、鋼の焼入れ性を高めることができる。パールライトの変態を遅らせる一方で、フェライトの変態も遅らせ、バイナイトゾーンが右にシフトするため、鋼の工程条件に対する感度が大きくなる。強度と亀裂感度を確保するために、Mnの含有量を0.80%以上、より好ましくは0.90%以上とする。Mn元素は鋼において高い偏析傾向を有するため、過剰な添加は靭性や可塑性などの機械的性質を損なう。したがって、総合的に考慮すると、鋼におけるMnの含有量は0.8%~1.30%とする。
【0015】
リン:P≦0.015%である。
硫黄:S≦0.01%である。
【0016】
鋼における不可避的なPおよびS元素として、固化偏析により、溶接割れや靭性の低下を引き起す。製造工程によってもたらされる介在物は、鋼の低温靭性に深刻な影響を与えるため、それらの含有量を最小限に抑える必要がある。生産慣行および機器容量に合わせて、Pの含有量は、好ましくは0.015%以下とする、より好ましくは、その上限が0.012%以下とする。また、硫黄はMnSの介在物を形成しやすく、割れの起点となり作業性を低下させるため、Sの含有量は、好ましくは0.01%以下に、より好ましくは0.005%以下に抑える。PとSの下限は特に制限されていないが、機器の容量とコスト管理に依存し、どちらも0%を超えていればよい。
【0017】
アルミニウム:Alは、鋼の製造において強力な脱酸元素として使用される。鋼における酸素の含有量を可能な限り低くするために、介在物の発生確率を下げる。脱酸後の過剰なアルミニウムも鋼における窒素元素とAlN沈殿物を形成し、鋼の強度を高め、熱処理における加熱工程において、鋼のオーステナイト粒子サイズを調整することができる。したがって、本発明において、アルミニウムの含有量は0.05%以内とする。
【0018】
チタン:チタンは、強力なカーバイド形成元素である。鋼に少量のTiを加えると、鋼におけるNを固定するのに役立ち、形成されたTiNは、スラブを加熱する時にオーステナイト結晶粒を過度に成長させず、それによって原始オーステナイト結晶粒を微細化する目的を持つ。また、チタンは鋼において、それぞれ炭素と硫黄とともにTiC、TiS、Ti4C2S2などの化合物を生成し、それらは介在物と第二相粒子の形で存在する。これらのチタンの炭窒化物沈殿物は、溶接中の熱影響ゾーンでの粒子成長を防ぐこともでき、完成した鋼板の溶接性能を向上させることもできる。したがって、本発明において、0.05%以下のチタンを添加する。
【0019】
ニオブ:Nbは、オーステナイトの非再結晶温度を大幅に上昇させ、圧延の制御と協力して微細化結晶粒の役割を果たす。鋼材の強度を改善し、鋼の靭性を著しく向上させることができ、特に低温靭性効果が顕著である。ごく微量のNbは、マトリックス構造の粒子を著しく微細化し、強度を高めることができる。本発明において、Nbの含有量は、0.02%~0.045%とする。
【0020】
バナジウム:Vは、鋼の強力な炭窒化物形成元素である。特にVN合金を添加すると、圧延後期にVを含む炭窒化物が大量に生成され、沈殿物の強化効果を果たす。同時に、VNはマトリックス組織の核形成粒子として使用でき、組織の微細化に役立つ。強度を向上させる必要性を考慮して、その含有量は0.10%以上とする。ただし、Vが多すぎると、第2のフェーズが粗くなり、タフネスが低下することとなる。 Vの含有量は0.10%~0.16%とする。
【0021】
ニッケル:Niは、鋼の強度と低温強靭性を向上させるための非常に効果的な元素である。H字型鋼の厚さが増すにつれて、構造の均一性が非常に顕著になる。Niは、オーステナイト領域を拡大して焼入れ性を向上させることができる一方で、パールライトラメラを精製してパールライトを精製することができ、細粒強化の役割を果たすことができる。一方、ニッケルの添加は耐食性にも一定の役割を果たし、鋼の寿命を延ばす。したがって、Niの含有量は0.40%~1.0%の範囲とする。
【0022】
モリブデン:Moは、焼入れ性を向上させるために鋼に固溶する元素であり、強度を向上させる役割を果たす。Moの含有量の下限は0.2%以上とする。鋼に0.35%以上のMoが含まれていても、Moカーバイド(Mo2C)が定量的に析出し、固液Moによる焼入れ性向上効果も飽和するため、Moの含有量の上限は0.35%以下とする。コストなどを考慮すると、Moの含有量の上限が好ましくは0.35%以下とし、より好ましくは0.30%以下とする。
【0023】
窒素:V元素の使用に協力するために、VN合金の添加は沈殿物強化効果と強度を向上させるため、Nの含有量の増加を引き起こす。Nの含有量が高すぎると、スラブ品質不良を誘発しやすいため、本発明において、窒素の含有量は0.01%~0.02%とする。
【0024】
酸素:鋼の靭性および可塑性を低下させる強力な酸化元素を含む酸化物の大きな粒子の含有を回避するために、本発明において、酸素の含有量は0.004%以下とする。
【0025】
クロム:Crは、鋼の強度、硬度、耐摩耗性を向上させることができる。鋼にクロムを添加すると、鋼の焼入れ性を大幅に向上させることができ、Mo元素とともに、粒状のバイナイト構造の形成に有益である。Crの含有量が多すぎたり低すぎたりすると、鋼の焼入れ性や破壊の遅延に悪影響を及ぼし、欠陥を引き起こしやすくなる。鋼におけるCrは0.5%以下に抑え、必要なバイナイトの量に応じて適切に添加される。
【0026】
本発明において、Ni+Mo≦1.0%を満たすため、鋼の焼入れ性を均一にし、マトリックス構造は安定した制御ができる。また、Nb+V+Ti≦0.18%を満たすため、鋼における第2相構造が適切なレベルに制御される。高すぎる含有量はNと結合しやすくて窒化物が多く生成され、沈殿物が多いと鋼の靭性が低下しやすくなる。したがって、このタイプの鋼の上限として、Nb+V+Ti≦0.18%に設定することは合理的である。
【0027】
前記H字型鋼は、降伏強度≧500MPaであり、引張強度≧650MPaであり、伸び率≧20%であり、-40℃での衝撃エネルギー≧100Jである。
【0028】
また、本発明は、500MPaグレードの降伏強度を有する上記のH字型鋼を製造する方法を提供し、溶融鉄の前処理→転炉製錬→鉄包吹アルゴン→LF精製→異形スラブ鋳造→連鋳スラブ緩冷坑で冷または熱送り→型鋼線圧延→冷床密集緩冷を行う工程を含む。
その中で、連続鋳造の工程において、合金の量が多いことを考慮して、表面の欠陥を生じることを減らすために、保持ピットに入って徐冷する必要がある。さらに、連続鋳造ビレットは、オンラインで加熱して加熱炉にロードすることもでき、冷却速度が大きく、冷却が早すぎることによる欠陥が生じることを避ける。
【0029】
圧延の工程において、加熱炉の平均温度は1230~1270℃であり、鋳造時間は150~200minであり、精密圧延の開始温度は1120~1180℃であり、精密圧延のスタンド間の水冷が全てオンとなり、最終の精密圧延の温度は750~820℃である。最終の精密圧延の温度の制御を確実にするために、精密圧延の最後の2つのパスは極めて低い圧縮比を採用し、好ましくは圧縮率が5%~10%とする。精密圧延が終了した後、均一な温度降下を確保するために断熱カバー付きのローラーテーブルに入れて保温し、その後、冷却床に入れて徐冷する。
【0030】
本発明において、圧延生産に異形のビレットを使用し、圧縮が比較的小さいため、最終の圧延温度を確保することにより組織制御を実現しなければならない。ローリングリズムを下げることにより、最終的なローリング温度は相転移点の要件に達する。最後に、必要な構造と機械的特性が得られる。ゆっくりと冷却するために冷却床に入れると、後の第2相の分散と沈殿が促進される。
【0031】
本発明は、断面鋼パスローリングと組み合わせた低炭素マイクロアロイ工程設計を通じて、海洋工事用の大、中型の高強度靭性のH字型鋼製品の工業生産を実現する。
本発明で言及されていない工程はすべて、既存の技術を採用することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の技術的な態様の利点は、以下の通りである。
1.異形スラブで圧延された大型の厚いゲージのH字型鋼の特徴と合わせて、正規化圧延に適した中程度のCと高いNi、高いVを含む複合マイクロ合金化組成物の設計を採用し、熱間圧延のH字型鋼圧延機で安定制御された500MPa以上の高強靭性の海洋工事用の熱間圧延のH字型鋼を得る。
2.H字型鋼の最終的な構造は、精製されたパールライト+初析フェライトを主とし、少量のバイナイトが含まれているため、制御が容易である。
3.微細構造の微細化、相変態強化、沈殿強化により、H字型鋼の高い強度・大きい厚さの条件における100J以上の-40℃での低温衝撃強さを実現できる良好な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施例2で製造された熱間圧延されたH字型鋼のOM構造図である。
【
図2】本発明の実施例2で製造された熱間圧延されたH字型鋼のSEM構造図である。
【
図3】本発明の実施例2で製造された熱間圧延されたH字型鋼の第2相TEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の例の連続鋳造スラブは、以下の工程に従って製造される。設定された化学組成範囲(表1)に従って、化学組成である、C、Si、Mn、S、P、およびFeがコンバーターの精錬および精製の原料として使用され、転炉製錬、精錬、連鋳、スラブが直接加熱または均熱する。実施例1~5の製造手順は次のとおりである。
【0035】
この鋼は、溶融鉄の前処理→転炉精錬→レードルアルゴンブロー→LF精製→異型ビレット鋳造→プロファイル鋼線圧延→冷却床徐冷を順に行う。その中で、プロファイル鋼線圧延は、粗圧延と精密圧延の二つの圧延を含む。本発明に記載されていない工程は、いずれも従来の技術を用いることができる。熱間圧延の工程は主に温度制御に基づいており、元の工程の上に2つのパスを追加し、圧縮率が極めて低いため、H字型鋼の最終的な圧延温度をより適切に制御できる。最終的な圧延温度はフランジの外側で検出され、圧延された材料は圧延後に冷却床で自然に冷却される。得られたH字型鋼の最終的な構造は、微細なフレークパーライトを主として、少量の粒状のバイナイト構造が含まれている。実施例1~5の化学成分および具体的な工程を以下の表1に示し、具体的な組織を
図1~3に示す。
【0036】
【0037】
実施例1~3の熱間圧延工程の条件を表2に示す。実行するのは、標準BS EN ISO 377-1997「機械的特性のための試験片のサンプリング位置と準備」であり、降伏強度、引張強度、延伸率の試験方法は、標準ISO 6892-1-2009「金属材料の室温引張試験方法」を参照し、衝撃エネルギー試験法は、標準ISO 148-1「金属材料のシャルピー振り子衝撃試験」を参照し、結果は表3に示される。
【0038】
【0039】
【0040】
表3から分かるように、本発明の実施例1~5は、500MPaグレードの降伏強度を維持し、その-40℃での衝撃エネルギーが比較的高いことである。海洋工事部材の極めて低い環境下での使用条件を満足させることができ、海洋石油プラットホーム、海洋遠洋輸送船舶などの比較的高い低温靭性の要求を有する支持構造部品の製作に適用することができる。
【0041】
もちろん、本発明は様々な実施形態を有することができる。本発明の主旨及びその本質から逸脱することなく、当業者が本発明の開示に基づいて種々の対応する変更及び変形を行うことができるが、これらの変更及び変形は、本発明の特許請求の範囲の保護範囲に属するべきである。