(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】スピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/28 20060101AFI20220930BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H04R1/28 310D
H04R1/02 101F
(21)【出願番号】P 2021079634
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0057465
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521199166
【氏名又は名称】イ ナムヘ
【氏名又は名称原語表記】LEE, NAM HAE
【住所又は居所原語表記】110-1802, Deungchon I-Park, 163, Deungchon-ro, Gangseo-gu, Seoul 07671 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ナムヘ
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-079268(JP,A)
【文献】特開2010-068116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/28
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状に設けられるエンクロージャと、
前記エンクロージャの少なくとも一つの面に取り付けられるスピーカユニットと、
前記エンクロージャの内部に設けられ、空間を仕切るパーティションとを含み、
前記パーティションは、前記エンクロージャの内部の空間を分割し、前記スピーカユニットから始まる空間は、トンネル構造の非対称形断面を有する空間として設けられ
、
前記スピーカユニットから始まる空間は、トンネル構造の非対称形断面を有する空間として次第に減少するように形成されることを特徴とする、スピーカ。
【請求項2】
前記パーティションは、前記エンクロージャの上面部から前記エンクロージャの下面部方向に延長形成される下向きパーティションと、前記エンクロージャの下面部から延びて前記上面部方向に設けられる上向きパーティションのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記パーティションは、エンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する断面と予め設定された角度を有するように配置され、平面図で見たとき、前記パーティションの一端部と他端部の位置は相違することを特徴とする、請求項2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記エンクロージャの上部から平面図で見たとき、前記パーティションの一端部の長さと回転角度は、前記パーティションの他端部の長さと回転角度とは相違することを特徴とする、請求項3に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記パーティションが複数設けられる場合、前記下向きパーティションと前記上向きパーティションは、前記エンクロージャの長さ方向と垂直な軸方向に交互に配置されることを特徴とする、請求項2に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記パーティションは、前記エンクロージャの上面部の一側と前記エンクロージャの下面部の他側を連結する仕切りパーティションとして設けられることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項7】
前記パーティションは、前記エンクロージャの一面で「¬」状あるいは「匚」状に折り曲げられるように設けられる折り曲げパーティションであることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項8】
前記折り曲げパーティションの各面は、エンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する断面と予め設定された角度を有するように配置されることを特徴とする、請求項
7に記載のスピーカ。
【請求項9】
前記「¬」状の折り曲げパーティションが前記エンクロージャの一面から延び、折り曲げ角が徐々に増加する前記折り曲げパーティションが互いに連結され、前記折り曲げパーティションは、前記エンクロージャの中心に向かって螺旋状に設けられることを特徴とする、請求項
7に記載のスピーカ。
【請求項10】
前記スピーカユニットは、パーティションの配置形態に応じて、前記エンクロージャの上面部、前記上面部と隣接した3つの面のうち少なくとも一つに配置されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項11】
前記スピーカユニットは、前記エンクロージャのいずれか一つの面の中心に配置されるか、前記いずれか一つの面の中心から端部に偏って配置されることを特徴とする、請求項
10に記載のスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカに関し、より詳細には、スピーカエンクロージャが非対称断面の内部空間を有するように設けられ、音の品質を高めることができるスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スピーカは、電気的信号を空気力学的信号に変化させるスピーカユニットと、このスピーカユニットを収容するものとして、音のほとんどの品質を決定するエンクロージャ(enclosure)とを含む。
【0003】
かかるスピーカは、エンクロージャの形式によって、密閉型とダクト型とに大別することができる。密閉型は、エンクロージャの内部が完全に密閉された構造からなり、スピーカユニットの前面で発生する音波だけで音響を発生させる形式であるのに対し、ダクト型は、エンクロージャにその内部と連通するダクトを設けて、スピーカユニットのコーン(cone)の背面で発生する音波の位相を反転させてエンクロージャの外部に排出させることで、特に、低域音域に関する特性を向上させる形式である。
【0004】
このように、スピーカのエンクロージャは、単に、スピーカユニットを収容するケースとしての役割だけでなく、スピーカユニットで発生する音波を反射および減衰させる役割を果たすことから、スピーカにおいて、スピーカユニットに劣らず重要な構成要素である。
【0005】
従来、エンクロージャは、
図1aおよび
図1bのように、内部が対称形に形成され、スピーカユニットの背面から出る音が、エンクロージャの内壁で単純な形態で反射し、特定の周波数の反射波が異常に増加して、最終的に、スピーカから品質が低下した音が出る。そのため、スピーカユニットを開始点としてスピーカ内部の空間が効率的に配置される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第10‐1337553号(2013.12.06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような要求と必要性を解決するために導き出されたものであって、スピーカエンクロージャが、非対称断面の内部空間を有するように設けられ、特定の周波数の反射波が異常に増加することを抑制し、遠い距離まで音圧の反射を均一に分散させながら音の歪んだ反射を減少させる、スピーカを提供することをその技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の実施形態によるスピーカは、直方体状に設けられるエンクロージャと、前記エンクロージャの少なくとも一つの面に取り付けられるスピーカユニットと、前記エンクロージャの内部に設けられ、空間を仕切るパーティションとを含み、前記パーティションは、前記エンクロージャの内部の空間を分割し、前記スピーカユニットから始まる空間は、トンネル構造の非対称形断面を有する空間を有するように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、スピーカの内部空間の音波の進行方向への空間は、対称断面ではなく非対称構造を有することになり、この非対称構造は、音波の進行空間で伝播する音圧(音波)と反射する音圧(音波)に対する継続した分散効果を有するようにし、音圧(音波)の分散効果は、特定の周波数の過剰な共鳴をより抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1a】従来技術に係るスピーカエンクロージャの概念図である。
【
図1b】従来技術に係るスピーカエンクロージャの概念図である。
【
図2a】本発明に係るスピーカエンクロージャの概念図である。
【
図2b】本発明に係るスピーカエンクロージャの概念図である。
【
図3a】本発明に係るスピーカエンクロージャの内部で空間を仕切るパーティションを示す第1概略図である。
【
図3b】本発明に係るスピーカエンクロージャの内部で空間を仕切るパーティションを示す第1概略図である。
【
図3c】
図3aおよび
図3bのパーティションによって空間が仕切られることを示す概念図である。
【
図3d】
図3cの仕切られた空間を断面積で示す概念図である。
【
図4a】本発明に係るスピーカエンクロージャの内部で空間を仕切るパーティションを示す第2概略図である。
【
図4b】
図4aのパーティションによって空間が仕切られることを示す概念図である。
【
図4c】
図4bの仕切られた空間を断面積で示す概念図である。
【
図5a】本発明の第1実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図5b】
図5aのエンクロージャを示す平面図である。
【
図6a】本発明の第2実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図6b】
図6aのエンクロージャを示す平面図である。
【
図7a】本発明の第3実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図7b】
図7aのエンクロージャを示す平面図である。
【
図8a】本発明の第4実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図8b】
図8aのエンクロージャを示す平面図である。
【
図9a】本発明の第5実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図9b】
図9aのエンクロージャを示す平面図である。
【
図10a】本発明の第6実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図10b】本発明の第6実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図11a】本発明の第7実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図11b】本発明の第7実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図12a】本発明の第8実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図12b】本発明の第8実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図13】本発明の第9実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図14】本発明の第10実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図15a】本発明の第11実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【
図15b】本発明の第11実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に具現されてもよく、ここで説明する実施形態に限定されない。また、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体にわたり類似した部分に対しては類似した図面符号を付けた。
【0012】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」としたときに、これは、特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるスピーカについて詳細に説明する。
【0014】
本発明に係るスピーカは、六面体状に設けられるエンクロージャと、エンクロージャの少なくとも一つの面に取り付けられるスピーカユニットと、エンクロージャの内部に設けられ、空間を仕切るパーティションとを含む。パーティションは、エンクロージャの内部の空間を分割し、スピーカユニットから始まる空間は、トンネル構造の非対称形断面を有する空間として、連続して非対称断面構造を維持する。本発明に係るスピーカ内部の空間は、連続して非対称断面構造に設けられ、本発明の実施形態では、断面積が徐々に減少するものと例示しているが、これに限定されず、断面積が増加するように設けられてもよく、断面積が増加してから減少するように設けられてもよく、断面積が減少してから増加するように設けられてもよい。
【0015】
エンクロージャは、上下方向に長さが長い形状に設けられるものと例示しているが、左右方向に長さが長い形状や正六面体、直方体、エンクロージャの一面が傾いて配置されてもよい。エンクロージャが直方体状に設けられる場合、6つの面は、上面部、下面部、前面部、背面部、左側面部、右側面部と称する。
【0016】
スピーカユニットは、上面部、前面部、背面部、左側面部のいずれか一つの面に配置されてもよく、スピーカが取り付けられる室内空間の形態とスピーカが配置される空間の構造に応じて、様々なオプションで配置されてもよい。
【0017】
本発明に係るエンクロージャは、一般家庭用スピーカ、イベント用スピーカ、オーディオ用スピーカ、イヤホンあるいはヘッドホーンスピーカ、車両用スピーカ、他の電子装置と結合したスピーカに適用され得るが、例示されているスピーカの種類に制限されない。
【0018】
図2a~
図4cにより、本発明に係るスピーカの内部は、トンネル状に連続して非対称形に形成され、エンクロージャの側面とパーティション、パーティションとパーティションとの間の空間が非対称に形成されることを確認することができる。
【0019】
図2aおよび
図2bは本発明に係るスピーカエンクロージャの概念図であり、
図2aおよび
図2bを参照すると、本発明に係るスピーカエンクロージャは、エンクロージャの内部の断面積が次第に減少している構造としてすべての断面が非対称断面で設けられる。
【0020】
すなわち、スピーカユニットから断面積が減少する場合にも、すべての断面積が対称断面に形成される従来技術とは異なり、本発明に係るスピーカエンクロージャは、スピーカユニットから断面は非対称に設けられ、一例として、断面積が次第に減少し、且つ断面は非対称に設けられる。これにより、本発明に係るスピーカエンクロージャは、単純な上下反射のみを維持する従来技術に比べて、上下反射と左右反射を含む複雑な反射モデルを有することになり、スピーカユニットから特定の反射距離が設けられる特定の周波数の反射波が異常に増加することを抑制し、遠い距離まで音圧(音波)の反射を均一に分散させることになる。
【0021】
図3aおよび
図3bは本発明に係るスピーカエンクロージャの内部で空間を仕切るパーティションを示す第1概略図であり、
図3cは
図3aおよび
図3bのパーティションによって空間が仕切られることを示す概念図であり、
図3dは
図3cの仕切られた空間を断面積で示す概念図である。
【0022】
図3aを参照すると、エンクロージャの上面部11に第2スピーカユニット22が配置され、側部に他のスピーカユニットが配置されてもよい。スピーカユニットと隣接したエンクロージャの内部には、第1パーティションccがエンクロージャの長さ方向と予め設定された角度をもって上下方向に配置され、第1パーティションccと隣接して第2パーティションddが、エンクロージャの長さ方向と予め設定された角度をもって上下方向に配置される。
【0023】
第1パーティションccは、エンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する面と平行に配置されず、予め設定された角度を有するように配置され、平面図で見たとき、第1パーティションccの上端部は、第1パーティションccの下端部と互いに異なる位置に配置される。平面図で見たとき、第1パーティションccの上端部は、第1パーティションccの下端部より中心から右側に離れる方向に配置される。
【0024】
また、第2パーティションddもエンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する面と平行に配置されず、予め設定された角度を有するように配置され、平面図で見たとき、第2パーティションddの上端部と下端部は互いに異なる位置に配置される。平面図で見たとき、第2パーティションddの上端部は、第2パーティションddの下端部より中心に近くなる方向に配置される。
【0025】
図3bを参照すると、第1パーティションccと第2パーティションddの側端部は、エンクロージャの前面と背面に接するように配置され、第1パーティションccは、エンクロージャの上面部からエンクロージャの下面部方向に延長形成される下向きパーティションであり、第2パーティションddは、エンクロージャの下面部から延びて上面部方向に設けられる上向きパーティションである。
【0026】
第1パーティションccの下端部と第2パーティションddの上端部は、先端に向かって幅が狭くなるように配置され、第1パーティションccの下端部と第2パーティションddの上端部には、音圧が直接通過する三角形状のスロットが設けられる。
【0027】
図3cにより、第2スピーカユニット22からエンクロージャの下面への下方向、第1パーティションccと第2パーティションddとの間を介して上方向、および上面部から第2パーティションddとエンクロージャの右側側面の間を介してエンクロージャの下面まで進む音圧(音波)の進行方向を確認することができる。
【0028】
この際、A~Oは、エンクロージャの予め設定された間隔ごとに表現される仮想の内部断面を示し、Aは、エンクロージャの上面のうち左側端部と、第1パーティションccの上端部との間の断面を示し、Oは、エンクロージャの下面で第2パーティションddの下端部と下面の右側端部との間の断面を示す。
【0029】
図3cにより、スピーカユニットから第2パーティションddの下端部まで音圧が通過する空間の断面積は徐々に減少し、すべての区間に連続して非対称形に形成されることを確認することができる。
【0030】
図3dはエンクロージャの上面部の面積が1750と想定したときに、A部分は1277.50、B部分は1157.10、C部分は1036.88、D部分は916.56、E部分は796.25と、次第にその面積が小さくなることを定量的に示しており、第1パーティションccと第2パーティションddがエンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する面と平行に配置されず、予め設定された角度を有するように配置されることを示している。また、第1パーティションccと第2パーティションddは、上端部と下端部が、平面図で見たときに相違するため、各断面での端部傾斜も相違することを確認することができる。
【0031】
図4aは本発明に係るスピーカエンクロージャの内部で空間を仕切るパーティションを示す第2概略図であり、
図4bは
図4aのパーティションによって空間が仕切られることを示す概念図であり、
図4cは
図4bの仕切られた空間を断面積で示す概念図である。
【0032】
図4a~
図4cは本発明の一実施形態によるスピーカエンクロージャ(
図3a~
図3d)よりパーティションがさらに一つ追加されたものであり、パーティションがさらに一つ追加されることに伴い、音圧(音波)の移動通路はさらに一つ追加される。
【0033】
第3パーティションggは、音圧の進行方向による断面の減少のために、上端部は相対的に右側に配置され、下端部は相対的に左側に配置され、第4パーティションhhは垂直に配置され得、第5パーティションiiは、音圧の進行方向による断面の減少のために、下端部は相対的に左側に配置され、上端部は相対的に右側に配置される。
【0034】
第3パーティションggと第5パーティションiiの下端部は、エンクロージャの下面部に当接するように配置され得るが、下面部と予め設定された間隔で離隔されてもよく、第4パーティションhhの上端部もエンクロージャの上面に当接するように配置され得るが、上面部と予め設定された間隔で離隔されてもよい。
【0035】
図4bと
図4cを参照すると、スピーカユニットから第5パーティションiiの上端部まで音圧(音波)が通過する空間の断面積は徐々に減少し、非対称形に形成されることを確認することができる。
【0036】
図5a~
図15bは本発明の実施形態によるエンクロージャの内部での様々なパーティションの配置を示す図である。
【0037】
図5aは本発明の第1実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図5bは
図5aのエンクロージャを示す平面図である。
【0038】
図5aを参照すると、本発明の第1実施形態によるエンクロージャは、一つのパーティションaaをその内部に備え、パーティションaaの配置に応じてエンクロージャの上面部に少なくとも一つ以上のスピーカユニットが配置されてもよく、本実施形態では、3個のスピーカユニットが配置される。
【0039】
第1~第3スピーカユニット21、22、23は、それぞれ、エンクロージャの前面部、上面部、左側面部に配置され、第1スピーカユニット21は、パーティションaaによって仕切られる左側空間に配置されるようにエンクロージャの上面部に隣接して配置され、第2スピーカユニット22もパーティションaaによって仕切られる左側空間に配置されるようにエンクロージャの上面部の中心もしくは上面部の左側に偏って配置され得る。
【0040】
パーティションaaは、エンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する面(断面)と平行に配置されず、予め設定された角度を有するように配置される。
【0041】
図5bを参照すると、平面図で見たとき、パーティションaaの上端部aauと下端部aabは、互いに異なる位置に配置される。すなわち、平面図で見たとき、パーティションaaの下端部aabは、パーティションaaの上端部aauよりエンクロージャの上面部11の中心に近くなる方向に配置される。
【0042】
また、エンクロージャの上部から平面図で見たとき、パーティションaaの上端部aauの長さと回転角度は、前記パーティションの下端部aabの長さと回転角度とは相違する。
【0043】
パーティションaaの上端部aauと側部は、エンクロージャの内部面と接触するように配置され、パーティションaaの下端部aabは、先端に向かって徐々に幅が狭くなるように配置される。これにより、パーティションaaの下端部aabでは、パーティションaaの左側と右側を連通する三角形状のスロットが形成される。
【0044】
本発明の第1実施形態によるエンクロージャの内部のパーティションの配置に応じて、エンクロージャの内部には2段の音波が進む通路が設けられる。エンクロージャの上面部からエンクロージャの下面部までエンクロージャの左側面とエンクロージャの前面部と背面部の一部とパーティションaaによって設けられる第1通路が形成され、エンクロージャの下面部からエンクロージャの上面部までエンクロージャの右側面とエンクロージャの前面部と背面部の一部およびパーティションaaによって設けられる第2通路が形成される。
【0045】
第1通路および第2通路は、両方とも、音波が進む方向に向かってその断面積が小さくなり、各通路は非対称に形成される。
【0046】
図6aは本発明の第2実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図6bは
図6aのエンクロージャを示す平面図である。
【0047】
本発明の第2実施形態によるエンクロージャは、本発明の第1実施形態によるエンクロージャとの構成が対応し、相違する構成を中心に説明する。
【0048】
本発明の第2実施形態によるエンクロージャには、一つのパーティションbbが設けられ、パーティションbbは、エンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する面(断面)と平行に配置されず、予め設定された角度を有するように配置される。
【0049】
図6bを参照すると、平面図で見たとき、パーティションbbの上端部bbuと下端部bbbは、互いに異なる位置に配置される。すなわち、平面図で見たとき、パーティションbbの下端部bbbは、エンクロージャの上面部11の対角線方向に配置され、パーティションaaの上端部bbuは、上面部11の角に偏って配置される。
【0050】
パーティションbbの下端部bbbは、エンクロージャの下面部と接触しないように配置されるが、下端部bbbの一部がエンクロージャの下面部と接触するように配置されてもよい。
【0051】
本発明の第2実施形態によるエンクロージャの内部のパーティションの配置に応じて、エンクロージャの内部には2段の音波が進む通路が設けられる。音波が進む通路は、パーティションbbの左側によって設けられる第1通路と、パーティションbbの右側によって設けられる第2通路とを含む。
【0052】
第1通路および第2通路は、両方とも、音波が進む方向に向かってその断面積が小さくなり、各通路は、非対称に形成される。
【0053】
図7aは本発明の第3実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図7bは
図7aのエンクロージャを示す平面図である。
【0054】
図7aを参照すると、本発明の第3実施形態によるエンクロージャは、二つのパーティションcc、ddをその内部に備え、パーティションcc、ddの配置に応じて、エンクロージャの上面部に少なくとも一つ以上のスピーカユニットが配置されてもよく、本実施形態では、3個のスピーカユニットが配置される。
【0055】
パーティションcc、ddは、エンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する面(断面)と平行に配置されず、予め設定された角度を有するように配置される。
【0056】
図7bを参照すると、平面図で見たとき、パーティションccの上端部ccuと下端部ccbは、互いに異なる位置に配置される。すなわち、平面図で見たとき、パーティションccの下端部ccbは、パーティションccの上端部ccuよりエンクロージャの上面部11の中心と隣接して配置される。また、平面図で見たとき、パーティションddの上端部dduと下端部ddbは、互いに異なる位置に配置される。すなわち、平面図で見たとき、パーティションddの下端部ddbは、パーティションddの上端部dduよりエンクロージャの右側面と隣接して配置される。
【0057】
また、エンクロージャの上部から平面図で見たとき、パーティションccの上端部ccuの長さと回転角度は、パーティションccの下端部ccbの長さと回転角度とは相異しており、パーティションddの上端部dduの長さと回転角度は、パーティションddの下端部ddbの長さと回転角度とは相違する。
【0058】
パーティションccは、エンクロージャの上部面から前記エンクロージャの下面部方向に延長形成される下向きパーティションであり、パーティションddは、エンクロージャの下面部から延びて前記上面部方向に設けられる上向きパーティションである。下向きパーティションと上向きパーティションは、交互に配置される。
【0059】
本発明の第3実施形態によるエンクロージャの内部のパーティションの配置に応じて、エンクロージャの内部には3段の音波が進む通路が設けられる。エンクロージャの上面部からエンクロージャの下面部までエンクロージャの左側面とエンクロージャの前面部と背面部の一部とパーティションccによって設けられる第1通路が形成され、エンクロージャの下面部からエンクロージャの上面部までパーティションddとエンクロージャの前面部と背面部の一部およびパーティションccによって設けられる第2通路が形成され、エンクロージャの上部からエンクロージャの下面部までエンクロージャの右側面とエンクロージャの前面と背面部の一部とパーティションddによって第3通路が設けられる。
【0060】
第1~第3通路は、いずれも音波が進む方向に向かってその断面積が小さくなり、各通路は非対称に形成される。
【0061】
図8aは本発明の第4実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図8bは
図8aのエンクロージャを示す平面図である。
【0062】
本発明の第4実施形態によるエンクロージャは、本発明の第3実施形態によるエンクロージャとは構成が対応し、相違する構成を中心に説明する。
【0063】
本発明の第4実施形態によるエンクロージャには、二つのパーティションee、ffが設けられ、パーティションee、ffは、エンクロージャの前面部と背面部を横切る平面にエンクロージャを切断した時に発生する面(断面)と平行に配置されず、予め設定された角度を有するように配置される。
【0064】
図8bを参照すると、平面図で見たとき、パーティションeeの上端部eeuと下端部eebは、互いに異なる位置に配置される。すなわち、平面図で見たとき、パーティションeeの下端部eebは、エンクロージャの上面部11の対角線方向に配置され、パーティションaaの上端部eeuは、上面部11の角に偏って配置される。
【0065】
パーティションffは、上向きパーティションとして、下面部15から上面部11と隣接した部分まで延長配置され、パーティションffは、背面部と右側面部に接し、下端部ffbに向かって背面部と右側面部が接する部分に偏って配置される。
【0066】
図9aは本発明の第5実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図9bは
図9aのエンクロージャを示す平面図である。
【0067】
本発明の第5実施形態によるエンクロージャは、本発明の第3実施形態によるエンクロージャに比べて、パーティションがさらに一つ追加されて3つのパーティションに仕切られ、下向きパーティション、上向きパーティション、下向きパーティションが交互に配置される。
【0068】
本発明の第5実施形態によるエンクロージャは、上述の
図4a~4cと対応するエンクロージャであり、パーティションの配置に応じて、エンクロージャの内部には4段の音波が進む通路が設けられる。すなわち、左側面部12、パーティションgg、パーティションhh、パーティションii、右側面部16の間に4つのトンネル状通路が設けられる。
【0069】
第1通路および第4通路は、いずれも、音波が進む方向に向かってその断面積が小さくなり、各通路は非対称に形成される。
【0070】
スピーカユニット21、22、23は、第1通路の上部に配置され、
図9bを参照すると、上端部の長さと回転角度が下端部の長さと回転角度とは相違するパーティションggとパーティションiiとの間に設けられたパーティションhhは、上端部と下端部の回転角度が一致するように(エンクロージャの長さ方向軸に対して回転せずに)配置され得るが、これに限定されず、非対称断面を形成するために、予め設定された回転角度で回転して配置されてもよい。
【0071】
図10aおよび
図10bは本発明の第6実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図10cは
図10aおよび
図10bのエンクロージャを示す平面図である。
【0072】
本発明の第6実施形態によるエンクロージャは、4つの通路を有するという点で、本発明の第5実施形態によるエンクロージャとほとんどの構成が対応し、パーティションjj、kk、llのうち一部のパーティションjjの他端部が対角線に配置されるという点が相違する。
【0073】
本発明の第6実施形態によるエンクロージャに設けられる第1通路および第4通路は、いずれも、音波が進む方向に向かってその断面積が小さくなり、各通路は非対称に形成される。
【0074】
図11aおよび
図11bは本発明の第7実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図11cは
図11aおよび
図11bのエンクロージャを示す平面図である。
【0075】
本発明の第7実施形態によるパーティションは、エンクロージャの上面部11の一側とエンクロージャの下面部15の他側を連結する仕切りパーティションmmとして設けられる。
【0076】
仕切りパーティションmmの一側と他側にそれぞれ一つ以上のスピーカユニットが設けられ得る。仕切りパーティションmmの一側に位置したスピーカユニット21bを基準として音波の移動通路が2つ設けられてもよく、仕切りパーティションmmの他側に位置したスピーカユニット21uを基準として音波の移動通路が2つ設けられてもよい。
【0077】
仕切りパーティションmmの一側には、上向きパーティションとしてパーティションnnが設けられてもよく、仕切りパーティションmmの他側には、下向きパーティションとしてパーティションooが設けられてもよい。
【0078】
各移動通路は、音波の進行方向に断面積が徐々に減少し、非対称に設けられる。
【0079】
図12aおよび
図12bは本発明の第8実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図12cは
図12aおよび
図12bのエンクロージャを示す平面図である。
【0080】
本発明の第8実施形態によるエンクロージャは、本発明の第7実施形態によるエンクロージャとはほとんどの構成が対応し、仕切りパーティションmmの一側と他側にそれぞれ一つのパーティションがさらに追加され、仕切りパーティションmmの一側と他側にそれぞれ3つの音波の移動通路が設けられる。各移動通路は、音波の進行方向に断面積が徐々に減少し、非対称に設けられる。
【0081】
パーティションのうち一部のパーティションqq、ssの端部は、エンクロージャの角に接するように配置され得る。
【0082】
図13は本発明の第9実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図14は本発明の第10実施形態によるエンクロージャを示す概略図であり、
図15aおよび
図15bは本発明の第11実施形態によるエンクロージャを示す概略図である。
【0083】
図13を参照すると、本発明の第9実施形態によるエンクロージャのパーティションは、エンクロージャの一面で「¬」状あるいは「匚」状に折り曲げられるように設けられる折り曲げパーティションである。
【0084】
折り曲げパーティションtt、uuは、エンクロージャの左側面部から延び、この際、「¬」状あるいは「匚」状に折り曲げられるように設けられる。
【0085】
折り曲げパーティションttと隣接して左側面部と背面部にスピーカユニット23、21が配置され、スピーカユニット21、23から始まった音波の電波が進む方向に徐々に断面積が減少し、各通路は非対称に形成される。
【0086】
スピーカユニット21、22からの音波は、折り曲げパーティションttの下部を貫通して折り曲げパーティションttと折り曲げパーティションuuによって設けられる空間を通過し、折り曲げパーティションuuの上端部に設けられたスロットを通過して折り曲げパーティションuuと上面部11、折り曲げパーティションuuと右側面部、折り曲げパーティションuuと下面部15によって形成される空間を順に通過する。
【0087】
図14を参照すると、折り曲げパーティションwwと一般パーティションvvによってエンクロージャの内部空間が仕切られることを確認することができる。
【0088】
スピーカユニット21からの音波は、「匚」状の折り曲げパーティションwwによって設けられる空間を通過し、折り曲げパーティションwwと右側面部、折り曲げパーティションwwと下面部、折り曲げパーティションwwとパーティションvv、パーティションvvと左側面部によって形成される空間を順に通過する。
【0089】
スピーカユニット21から始まった音波の電波が進む方向に徐々に断面積が減少し、各通路は非対称に形成される。
【0090】
図15aおよび
図15bを参照すると、パーティションxxは、「¬」状の折り曲げパーティションがエンクロージャの一面から延び、折り曲げ角が徐々に増加する折り曲げパーティションが互いに連結される。これにより、折り曲げパーティションxxは、エンクロージャの中心に向かって螺旋状に設けられる。
【0091】
図15bを参照すると、スピーカユニット21は、前面部13中心に配置され、前面部は、正方形状に設けられ得る。スピーカユニット21から始まった音波は、徐々に断面積が減少し、非対称に形成されるトンネル状通路を通過する。
【0092】
本発明によると、スピーカの内部空間の音波の進行方向への空間は、対称断面ではなく非対称構造を有することになり、この非対称構造は、音波の進行空間で伝播する音圧(音波)と反射する音圧(音波)に対する継続した分散効果を有するようにし、音圧(音波)の分散効果は、特定の周波数の過剰な共鳴をより抑制する。
【0093】
上述の本発明の説明は、例示のためのものであって、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形が可能であることを理解することができる。そのため、以上で記述した実施形態は、すべての面において、例示的であって、限定的ではないものと理解すべきである。例えば、単一型に説明している各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に、分散したものと説明している構成要素も結合した形態で実施されてもよい。
【0094】
本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりも後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲およびその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0095】
11 上面部
12 左側面部
13 前面部
14 背面部
15 下面部
16 右側面部
21 第1スピーカユニット
22 第2スピーカユニット
23 第3スピーカユニット