(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ホモゲナイザ
(51)【国際特許分類】
B01F 23/41 20220101AFI20220930BHJP
B01F 25/442 20220101ALI20220930BHJP
【FI】
B01F23/41
B01F25/442
(21)【出願番号】P 2021086339
(22)【出願日】2021-05-21
(62)【分割の表示】P 2017187097の分割
【原出願日】2017-09-27
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000127237
【氏名又は名称】株式会社イズミフードマシナリ
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】黒河 英敏
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-196066(JP,U)
【文献】実開平03-007932(JP,U)
【文献】実開昭52-143775(JP,U)
【文献】米国特許第04952067(US,A)
【文献】特開2011-161325(JP,A)
【文献】特開2010-022981(JP,A)
【文献】特開昭61-149237(JP,A)
【文献】実開昭59-141767(JP,U)
【文献】米国特許第05498075(US,A)
【文献】西独国特許第10000014(DE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-35/95
B01J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクと、前記ディスクに対向して配置されるシートと、インパクトリングとを有するディスク機構を有し、前記ディスクと、前記シート及び前記インパクトリングの間に液体を通過させて前記液体を均質化、乳化、分散化、または微細化するホモゲナイザであって、
前記ディスク機構は、前記ディスクを前記シートに向けて押圧するスプリングと、前記ディスクおよび前記スプリングを保持するケーシング部材とを有し、
前記ケーシング部材は、前記ディスクが配置されるディスク収容部と、前記スプリングが配置されるスプリング収容部
と、ディスク収容部とスプリング収容部との間に延びて形成された空間である軸受部位とが形成された一体の部材であ
り、
前記ディスク収容部の径と、前記軸受部位の径とが、異なることを特徴とする、ホモゲナイザ。
【請求項2】
前記ディスク機構は、ディスク押え部材を有し、
前記ケーシング部材は、前記ディスク押え部材を保持し、
前記ディスク押え部材の端部が前記ディスクの側面と接触し、
前記ディスク押え部材と、前記ディスクとは別体であることを特徴とする、請求項1に記載のホモゲナイザ。
【請求項3】
前記ディスク押え部材は、軸部位を有し、前記軸部位には、シール機構を有する、請求項2に記載のホモゲナイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を均質化、乳化、分散化、または微細化するホモゲナイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体を均質化、乳化、分散化、または微細化するホモゲナイザが用いられている。特許文献1の装置(高圧型均質機)は、特許文献1の
図1に示されるように、次の構造を有する。シリンダブロック(1)に穿設された原液送給路(a)に接続して、その排出側にディスク嵌入孔(b)を穿設する。そこに装嵌されたシート(2)とディスクホルダ(3)とを、ディスクホルダ(3)の外部から押えボディー(4)を介してシリンダブロック(1)に気密に装着する。ディスクホルダ(3)に摺動自在に装嵌されたディスク(5)を、押えボディー(4)の内部に挿入された押圧金物(6)を介して、これに作用するばね(7)の弾性力により、シート(2)に押圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の装置では、ディスク(5)はディスクホルダ(3)に装嵌される。ばね(7)は、押えボディー(4)の内部に配置される。つまり、ディスクを収容するディスクホルダと、ばねを収容する押えボディーとは、別々の部材となっている。そうすると、ディスクホルダと押えボディーとの組み付け誤差により、ディスクの中心軸とばね(スプリング)の中心軸とが一致せず芯ズレの状態となる場合がある。芯ズレが生じると、ばねからディスクに作用する力の方向がディスクの中心軸と一致せず偏ったものとなるから、ディスクが傾いた状態になる可能性がある。ディスクが傾いた状態で装置が運転されると、シートとディスクとの間隔が周方向で不均一な状態となり、本来の性能が発揮されず、液体の均質化、乳化、分散化、または微細化が十分に行われない可能性がある。また、ディスクとディスクホルダとの間の摺動による摩耗や、シートとディスクとの間隔の不均一によるディスクの偏摩耗が発生する可能性があり、装置の耐久性が低下する可能性がある。加えて、芯ズレが生じないようにディスクホルダと押えボディーとの組み付けを行うためには、慎重な作業を要するから、装置の組み立て工数が増加してしまう。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ディスクとスプリングとの間の芯ズレの発生を抑制し、耐久性・性能を向上させたホモゲナイザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成1〕
上記目的を達成するためのホモゲナイザの特徴構成は、
ディスクと、前記ディスクに対向して配置されるシートとを有するディスク機構を有し、前記ディスクと前記シートとの間に液体を通過させて前記液体を均質化、乳化、分散化、または微細化するホモゲナイザであって、
前記ディスク機構は、前記ディスクを前記シートに向けて押圧するスプリングと、前記ディスクおよび前記スプリングを保持するケーシング部材とを有し、
前記ケーシング部材は、前記ディスクが配置されるディスク収容部と、前記スプリングが配置されるスプリング収容部とが形成された一体の部材である点にある。
【0007】
上記の特徴構成によれば、ケーシング部材は、ディスクが配置されるディスク収容部と、スプリングが配置されるスプリング収容部とが形成された一体の部材であるから、ディスクの中心軸とスプリングの中心軸とが確実に一致(芯出し)される。これにより、ディスクの傾きによる性能低下や摩耗を抑制して、耐久性・性能を向上させたホモゲナイザを実現することができる。
【0008】
〔構成2〕
本発明に係るホモゲナイザの別の特徴構成は、
第1ディスク機構と、前記第1ディスク機構の下流側に配置される第2ディスク機構とを有し、前記第2ディスク機構のケーシング部材である第2ケーシング部材の長さが、前記第1ディスク機構のケーシング部材である第1ケーシング部材の長さよりも短い点にある。
【0009】
第1ディスク機構の下流側に第2ディスク機構を設ける場合には、第2ディスク機構でディスクに作用する力は第1ディスク機構に比べて小さくなるから、第2ディスク機構を小型化することが可能となる。従って、第2ケーシング部材の長さを第1ケーシング部材の長さよりも短く構成することができ、ホモゲナイザを小型化し、製造コストを低減することが可能となる。
【0010】
〔構成3〕
本発明に係るホモゲナイザの別の特徴構成は、
前記ケーシング部材は、前記ディスク収容部へ液体を流入させる液体流入口と、前記ディスク収容部から液体を流出させる液体流出路を有し、
前記液体流出路は、前記ディスク収容部の中心軸に対して傾斜しており、かつ、前記ディスク収容部の中心軸から遠ざかるにつれて前記スプリング収容部に近づく点にある。
【0011】
上記の特徴構成によれば、液体流出路の出口をスプリング収容部に比較的近い位置とすることができ、装置レイアウトの自由度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】ディスク機構のプランジャーポンプ機構への取付構造を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面に基づいて、本実施形態に係るホモゲナイザについて説明する。図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0014】
ホモゲナイザ1は、
図1に示すように、プランジャーポンプ機構2、第1ディスク機構10(ディスク機構の例)、第2ディスク機構20(ディスク機構の例)を備えて構成されている。ホモゲナイザ1は、以下の用途に用いられる。均質化:牛乳などの乳系の液は脂肪球がある程度小さい状態に乳化されているが、そこから更に脂肪球を小さくして均一化する。乳化:水と油とが分散状態にある(=分離状態ではない)際に、油滴等を小さくする。
分散化:繊維等を含む液において、繊維同士の凝集や絡み合いをほぐす。微細化:繊維等を含む液において、繊維を微細化する。ケチャップや果汁系飲料の一部は繊維を含んでおり、これらに用いられる場合がある。また、分散と微細化を兼ねた処理を行う場合がある。
【0015】
プランジャーポンプ機構2は、液体Zを吸入圧縮して、高圧状態として第1ディスク機構10に送り出す装置である。詳しくはプランジャーポンプ機構2は、吸入ブロック3、液体供給部4を有し、吸入ブロック3の入口3aから吸入した液体Zを圧縮して高圧状態とし、液体供給部4を通じて液体Zを第1ディスク機構10へ供給する。液体供給部4から供給された液体Zは、第1ディスク機構10および第2ディスク機構20にて均質化、乳化、分散化、または微細化の処理を受け、第2ディスク機構20の出口5から送り出される。
【0016】
図2に示すように、第1ディスク機構10は、第1ケーシング部材11の第1取付部位11gにて、取付具X(ボルト)によって、プランジャーポンプ機構2の液体供給部4の右側に取り付けられている。
図2および
図3に示すように、第2ディスク機構20は、第2ケーシング部材21の第2取付部位21jにて、取付具Xによって、第1ディスク機構10の上側に取り付けられている。
【0017】
<第1ディスク機構>
第1ディスク機構10は、
図4に示すように、第1ケーシング部材11、第1シート12、第1ディスク13、第1インパクトリング14、第1ディスク押え部材15、第1スプリング16、第1スプリング押え部材17、および第1ハンドル18を備えて構成されている。
【0018】
第1ケーシング部材11(ケーシング部材の例)は、第1ディスク機構10の構成部材を支持・収容する部材であって、左右方向に延びて配置される。第1ケーシング部材11は、第1ディスク収容部11a、第1スプリング収容部11c、第1軸受部位11d、第1液体流入口11e、第1液体流出路11f、および第1取付部位11gを有して構成されている。
【0019】
第1ディスク収容部11a(ディスク収容部の例)は、第1ケーシング部材11の左側面から右方向に延びて形成された円柱状の空間であって、中心軸11bは水平方向に延びる状態となっている。第1ディスク収容部11aの内部に、左側から順に第1シート12、第1インパクトリング14、および第1ディスク13が収容される。
【0020】
第1スプリング収容部11c(スプリング収容部の例)は、第1ケーシング部材11の右側面から左方向に延びて形成された円柱状の空間である。第1スプリング収容部11cの内部に、左側から順に、第1ディスク押え部材15、第1スプリング16、および第1スプリング押え部材17が収容される。
【0021】
第1軸受部位11dは、第1ディスク収容部11aと第1スプリング収容部11cとの間に左右方向に延びて形成された円柱状の空間である。第1軸受部位11dにおいて、第1ディスク押え部材15の第1軸部位15aが、左右方向に移動可能な状態で支持される。第1軸受部位11dの中心軸は、第1ディスク収容部11aの中心軸11bと一致する。
【0022】
第1液体流入口11eは、第1ディスク機構10へ液体Zが流入する開口である。
図4に示されるように、第1シート12の内部の空間が、第1液体流入口11eに相当する。
【0023】
第1液体流出路11fは、第1ディスク機構10から液体Zが流出する流路である。
図4に示されるように、第1ディスク収容部11aの上側に、第1ケーシング部材11の外側と連通する開口が設けられている。その開口が、第1液体流出路11fに相当する。
【0024】
第1取付部位11gは、
図2および
図3に示されるように、第1ケーシング部材11から前後方向へ張り出した直方体状の部位である。取付具Xにより、第1取付部位11gを介して、第1ディスク機構10が液体供給部4に取り付けられる。
【0025】
第1シート12(シートの例)は、円筒状の部材であって、その中心軸が第1ディスク収容部11aの中心軸11bと一致する姿勢にて、第1ディスク収容部11aに収容されている。本実施形態では、第1シート12の右側の面(第1ディスク13と対向する面)は、平坦に形成されている。
【0026】
第1ディスク13(ディスクの例)は、円柱状の部材であって、その中心軸が第1ディスク収容部11aの中心軸11bと一致する姿勢にて、第1ディスク収容部11aに収容されている。詳しくは、第1ディスク13は、上側、下側、前側、および後側が平面状に面取りされている。第1ディスク収容部11aは、第1ディスク13aの外周面の形状に合わせて、上側、下側、前側、および後側が平面状に形成されている。第1ディスク収容部11aは、その内径が、第1ディスク13より僅かに大きくなるよう形成されている。本実施形態では、第1ディスク13の左側の面(第1シート12と対向する面)は、平坦に形成されている。
【0027】
第1インパクトリング14は、円筒状の部材であって、その中心軸が第1ディスク収容部11aの中心軸11bと一致する姿勢にて、第1ディスク収容部11aに収容されている。第1インパクトリング14は、第1シート12および第1ディスク13の外側に配置される。第1シート12と第1ディスク13との間の隙間を通った液体Zが、第1インパクトリング14の内面に衝突する。
【0028】
第1シート12の外周面のうち第1インパクトリング14と対向する部位と、第1インパクトリング14の内面とは、僅かな隙間が空けられた状態となっている。第1シート12の右側の面は、第1ディスク13の左側の面と対向した状態となる。液体供給部4の液体供給路4aを通って液体Zが第1ディスク機構10へ流入すると、第1ディスク13が右方向へ移動して、第1シート12と第1ディスク13との間に隙間が生じる。その隙間の大きさは、後述する第1ハンドル18により調節される。液体Zは、第1シート12と第1ディスク13との間の隙間、第1シート12と第1インパクトリング14との間の隙間、および第1ディスク13と第1インパクトリング14との間の隙間を通り、第1液体流出路11fを通って第1ディスク機構10から流出する。これら隙間を液体Zが通る際、および液体Zが第1インパクトリング14の内面衝突する際に、液体Zの均質化、乳化、分散化、または微細化が行われる。
【0029】
ここで第1シート12と第1ディスク13との間の隙間を通った液体Zは、高い流速で第1インパクトリング14の内面に衝突する。ここで第1インパクトリング14が設けられない構成の場合、液体Zが第1ケーシング部材11の内面に直接衝突し、衝突箇所の摩耗が進行する場合がある。本実施形態では、第1インパクトリング14を第1ディスク機構10に設けることにより、取り替えが困難な第1ケーシング部材11の摩耗を抑制して、装置の耐久性が高められている。なお後述の通り、本実施形態では第2ディスク機構20にはインパクトリングは設けられない。これは第2ディスク機構20では液体Zの圧力・流速が第1ディスク機構10よりも小さく、第2ケーシング部材21の摩耗の可能性が低いためである。
【0030】
第1ディスク押え部材15は、円柱状の部材であって、その中心軸が第1ディスク収容部11aの中心軸11bと一致する姿勢にて、第1スプリング収容部11cに収容されている。第1ディスク押え部材15は、左方向へ突出する第1軸部位15aを有する。第1軸部位15aは、第1軸受部位11dに挿入されている。第1ディスク押え部材15は、第1ディスク収容部11aの中心軸11bに沿って左右方向に移動可能である。詳しくは、第1ディスク押え部材15の外径は、第1ディスク押え部材15が第1スプリング収容部11cの内部で左右方向に摺動が可能なように、第1スプリング収容部11cの内径より僅かに小さく形成されている。第1ディスク押え部材15は、その右側面にて第1スプリング16と接触し、第1軸部位15aの左方向の端部が第1ディスク13の右側面と接触している。
【0031】
第1スプリング16は、円筒状のコイルバネであって、その中心軸が第1ディスク収容部11aの中心軸11bと一致する姿勢にて、中心軸11bに沿う方向に伸縮可能な状態で、第1スプリング収容部11cに収容されている。第1スプリング16の左側面は、第1ディスク押え部材15の右側面と接触している。第1スプリング16の右側面は、第1スプリング押え部材17の左側面と接触している。
【0032】
第1スプリング押え部材17は、円柱状の部材であって、その中心軸が第1ディスク収容部11aの中心軸11bと一致する姿勢にて、中心軸11bに沿う方向に移動可能な状態で、第1スプリング収容部11cに収容されている。第1スプリング押え部材17の左側面は、第1スプリング16の右側面と接触している。第1スプリング押え部材17の右側面は、第1ハンドル18と接触している。
【0033】
第1ハンドル18は、円柱状の部材であって、直径方向に突出する棒状の部位を有する。第1ハンドル18は、ねじ機構によって第1ケーシング部材11と結合されており、第1ディスク収容部11aの中心軸11bの回りに回転されると、中心軸11bに沿った方向に移動する。第1ハンドル18は、その左側面に凹んだ部位を有し、その内側にて第1スプリング16の右側面と接触している。
【0034】
以上の通り構成された第1ディスク機構10は、概略次の様に動作する。プランジャーポンプ機構2が運転され、液体供給部4の液体供給路4aを通って液体Zが第1ディスク機構10へ流入すると、液体Zに押されて第1ディスク13が右方向へ移動して、第1シート12と第1ディスク13との間に隙間が生じる。ここでホモゲナイザ1の操作者が第1ハンドル18を回して左方向へ移動させると、第1スプリング押え部材17、第1スプリング16、第1ディスク押え部材15、および第1ディスク13が左方向へ押し込まれる。第1ディスク13は、プランジャーポンプ機構2からの液体Zを送り出す力と、第1スプリング16からの力とが釣り合う位置に移動する。液体Zの圧力が適切な値となるよう第1ハンドル18の位置が調節され、第1ディスク13と第1シート12との間隔が適切な大きさとなり、液体Zの均質化、乳化、分散化、または微細化が行われる。
【0035】
本実施形態では、第1ケーシング部材11が、第1ディスク収容部11aと第1スプリング収容部11cとが形成された一体の部材であることによって、第1ディスク収容部11aの中心軸11bに、第1ディスク13の中心軸、第1ディスク押え部材15の中心軸、第1スプリング16の中心軸、および第1スプリング押え部材17の中心軸を一致させることが容易となり、確実に芯出しが行われる。
【0036】
<第2ディスク機構>
第2ディスク機構20は、概ね第1ディスク機構10と同様の構成を有する。第2ディスク機構20は、第1ディスク機構10の第1液体流出路11fに接続される。すなわち第2ディスク機構20は、第1ディスク機構10の下流側に配置される。本実施形態では第2ディスク機構20は、第1ディスク機構10の上側に配置される。
【0037】
第2ディスク機構20は、
図4に示すように、第2ケーシング部材21、第2シート22、第2ディスク23、第2ディスク押え部材25、第2スプリング26、第2スプリング押え部材27、および第2ハンドル28を備えて構成されている。
【0038】
第2ケーシング部材21(ケーシング部材の例)は、第2ディスク機構20の構成部材を支持・収容する部材であって、上下方向に延びて配置される。第2ケーシング部材21は、第2ディスク収容部21a、第2スプリング収容部21c、第2軸受部位21d、第2液体流入口21e、第2液体流出路21f、および第2取付部位21jを有して構成されている。
【0039】
第2ディスク収容部21a(ディスク収容部の例)は、第2ケーシング部材21の下側面から上方向に延びて形成された円柱状の空間であって、中心軸21bは鉛直方向に延びる状態となっている。第2ディスク収容部21aの内部に、下側から順に第2シート22、および第2ディスク23が収容される。
【0040】
第2スプリング収容部21c(スプリング収容部の例)は、第2ケーシング部材21の上側面から下方向に延びて形成された円柱状の空間である。第2スプリング収容部21cの内部に、下側から順に、第2ディスク押え部材25、第2スプリング26、および第2スプリング押え部材27が収容される。
【0041】
第2軸受部位21dは、第2ディスク収容部21aと第2スプリング収容部21cとの間に上下方向に延びて形成された円柱状の空間である。第2軸受部位21dにおいて、第2ディスク押え部材25の第2軸部位25aが、上下方向に移動可能な状態で支持される。第2軸受部位21dの中心軸は、第2ディスク収容部21aの中心軸21bと一致する。
【0042】
第2液体流入口21e(液体流入口の例)は、第2ディスク機構20へ液体Zが流入する開口である。
図4に示されるように、第2シート22の内部の空間が、第2液体流入口21eに相当する。
【0043】
第2液体流出路21f(液体流出路の例)は、第2ディスク機構20から液体Zが流出する流路である。
図4に示されるように、第2ディスク収容部21aの右側に、第2ケーシング部材21の外側と連通する流路が設けられている。その開口が、第2液体流出路21fに相当する。第2液体流出路21fは、左下方向から右上方向へ向けて、斜めに延びて形成されている。すなわち第2液体流出路21fは、第2ディスク収容部21aの中心軸21bに対して傾斜しており、かつ、第2ディスク収容部21aの中心軸21bから遠ざかるにつれて第2スプリング収容部21cに近づく形態に、形成されている。異なる表現で説明すると、第2液体流出路21fの出口21hは、入口21gに比べて上側、つまり中心軸21bに平行な方向に関して第2スプリング収容部21cに近い位置に、形成されている。
【0044】
第2取付部位21jは、
図2および
図3に示されるように、第2ケーシング部材21から前後方向へ張り出した直方体状の部位である。取付具Xにより、第2取付部位21jを介して、第2ディスク機構20が第1ディスク機構10に取り付けられる。
【0045】
第2シート22(シートの例)は、円筒状の部材であって、その中心軸が第2ディスク収容部21aの中心軸21bと一致する姿勢にて、第2ディスク収容部21aに収容されている。本実施形態では、第2シート22の上側の面(第2ディスク23と対向する面)は、平坦に形成されている。
【0046】
第2ディスク23(ディスクの例)は、円柱状の部材であって、その中心軸が第2ディスク収容部21aの中心軸21bと一致する姿勢にて、第2ディスク収容部21aに収容されている。詳しくは、第2ディスク23は、右側、左側、前側、および後側が平面状に面取りされている。第2ディスク収容部22aは、第2ディスク23aの外周面の形状に合わせて、右側、左側、前側、および後側が平面状に形成されている。第2ディスク収容部22aは、その内径が、第2ディスク23より僅かに大きくなるよう形成されている。本実施形態では、第2ディスク23の下側の面(第2シート22と対向する面)は、平坦に形成されている。
【0047】
第2シート22の上側の面は、第2ディスク23の下側の面と対向した状態となる。液体供給部4の液体供給路4aを通って液体Zが第2ディスク機構20へ流入すると、第2ディスク23が上方向へ移動して、第2シート22と第2ディスク23との間に隙間が生じる。その隙間の大きさは、後述する第2ハンドル28により調節される。液体Zは、第2シート22と第2ディスク23との間の隙間を通り、第2液体流出路21fを通って第2ディスク機構20の出口5から流出する。これら隙間を液体Zが通る際に、液体Zの均質化、乳化、分散化、または微細化が行われる。
【0048】
第2ディスク押え部材25は、円柱状の部材であって、その中心軸が第2ディスク収容部21aの中心軸21bと一致する姿勢にて、第2スプリング収容部21cに収容されている。第2ディスク押え部材25は、下方向へ突出する第2軸部位25aを有する。第2部位25aは、第2軸受部位21dに挿入されている。第2ディスク押え部材25は、第2ディスク収容部21aの中心軸21bに沿って上下方向に移動可能である。詳しくは、第2ディスク押え部材25の外径は、第2ディスク押え部材25が第2スプリング収容部22cの内部で上下方向に摺動が可能なように、第2スプリング収容部22cの内径より僅かに小さく形成されている。第2ディスク押え部材25は、その上側面にて第2スプリング26と接触し、第2軸部位25aの下方向の端部が第2ディスク23の上側面と接触している。
【0049】
第2スプリング26は、円筒状のコイルバネであって、その中心軸が第2ディスク収容部21aの中心軸21bと一致する姿勢にて、中心軸21bに沿う方向に伸縮可能な状態で、第2スプリング収容部21cに収容されている。第2スプリング26の下側面は、第2ディスク押え部材25の上側面と接触している。第2スプリング26の上側面は、第2スプリング押え部材27の下側面と接触している。
【0050】
第2スプリング押え部材27は、円柱状の部材であって、その中心軸が第2ディスク収容部21aの中心軸21bと一致する姿勢にて、中心軸21bに沿う方向に移動可能な状態で、第2スプリング収容部21cに収容されている。第2スプリング押え部材27の下側面は、第2スプリング26の上側面と接触している。第2スプリング押え部材27の上側面は、第2ハンドル28と接触している。
【0051】
第2ハンドル28は、円柱状の部材であって、直径方向に突出する棒状の部位を有する。第2ハンドル28は、ねじ機構によって第2ケーシング部材21と結合されており、第2ディスク収容部21aの中心軸21bの回りに回転されると、中心軸21bに沿った方向に移動する。第2ハンドル28は、その下側面に凹んだ部位を有し、その内側にて第2スプリング26の上側面と接触している。
【0052】
第2ディスク機構20の出口5には、ホモゲナイザ1から流体Zを送出する送出管30が接続される。
図2に示されるように、送出管30は、90度上方向へ曲がった管である。
【0053】
以上の通り構成された第2ディスク機構20は、概略次の様に動作する。プランジャーポンプ機構2が運転され、第2液体流入口21eを通って液体Zが第2ディスク機構20へ流入すると、液体Zに押されて第2ディスク23が上方向へ移動して、第2シート22と第2ディスク23との間に隙間が生じる。ここでホモゲナイザ1の操作者が第2ハンドル28を回して下方向へ移動させると、第2スプリング押え部材27、第2スプリング26、第2ディスク押え部材25、および第2ディスク23が下方向へ押し込まれる。第2ディスク23は、プランジャーポンプ機構2(および第1ディスク機構10)からの液体Zを送り出す力と、第2スプリング26からの力とが釣り合う位置に移動する。液体Zの圧力が適切な値となるよう第2ハンドル28の位置が調節され、第2ディスク23と第2シート22との間隔が適切な大きさとなり、液体Zの均質化、乳化、分散化、または微細化が行われる。
【0054】
本実施形態では、第2ケーシング部材21が、第2ディスク収容部21aと第2スプリング収容部21cとが形成された一体の部材であることによって、第2ディスク収容部21aの中心軸21bに、第2ディスク23の中心軸、第2ディスク押え部材25の中心軸、第2スプリング26の中心軸、および第2スプリング押え部材27の中心軸を一致させることが容易となり、確実に芯出しが行われる。
【0055】
本実施形態では、第2ディスク機構20における液体Zの圧力が、第1ディスク機構10における液体Zの圧力に比べて小さい状態で、ホモゲナイザ1が運転される。そうすると、第2ディスク機構20に要求される耐圧性能は、第1ディスク機構10に要求される耐圧性能に比べて低くなる。本実施形態では、
図4に示されるように、第2ディスク機構20の第2ケーシング部材21の長さL2が、第1ディスク機構10の第1ケーシング部材11の長さL1よりも短い。また第2ディスク機構20の第2スプリング26の長さ(自然長)およびバネ定数は、第1ディスク機構10の第1スプリング16の長さ(自然長)およびバネ定数よりも小さい。
【0056】
<他の実施形態>
<1>上述の実施形態では、第1ディスク13と第1シート12の対向面は、何れも平坦に形成された。第2ディスク23および第2シート22も同様である。ディスクとシートとの対向面は様々な形状が可能である。例えば、両者が1段ないし複数段の凹凸を有してもよいし、一方を傾斜面とした形状(シャープ形状)も可能である。
【0057】
<2>上述の実施形態では、ホモゲナイザ1が第1ディスク機構10と第2ディスク機構20の2つのディスク機構を有して構成された。ホモゲナイザ1が1つのディスク機構を有する形態も可能である。
【0058】
<3>上述の実施形態では、第1ディスク機構10が左右方向に沿って配置された。そして第2ディスク機構20が、第1ディスク機構10の配置方向に直交する上下方向に沿って配置された。第1ディスク機構10および第2ディスク機構20の配置の方向についてはこれに限らず、任意の方向での配置が可能である。また第1ディスク機構10の配置方向と第2ディスク機構20の配置方向についても、直交に限らず、平行など任意の関係での配置が可能である。
【0059】
なお上述の実施形態(他の実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 :ホモゲナイザ
2 :プランジャーポンプ機構
3a :入口
3 :吸入ブロック
4 :液体供給部
4a :液体供給路
5 :出口
10 :第1ディスク機構
11 :第1ケーシング部材
11a :第1ディスク収容部
11b :中心軸
11c :第1スプリング収容部
11d :第1軸受部位
11e :第1液体流入口
11f :第1液体流出路
11g :第1取付部位
12 :第1シート
13 :第1ディスク
14 :第1インパクトリング
15 :第1ディスク押え部材
15a :第1軸部位
16 :第1スプリング
17 :第1スプリング押え部材
18 :第1ハンドル
20 :第2ディスク機構
21 :第2ケーシング部材
21a :第2ディスク収容部
21b :中心軸
21c :第2スプリング収容部
21d :第2軸受部位
21e :第2液体流入口
21f :第2液体流出路
21g :入口
21h :出口
21j :第2取付部位
22 :第2シート
23 :第2ディスク
25 :第2ディスク押え部材
25a :第2軸部位
26 :第2スプリング
27 :第2スプリング押え部材
28 :第2ハンドル
30 :送出管
X :取付具
Z :液体