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  • 特許-絶縁皮膜破壊型古電線接地ローラ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】絶縁皮膜破壊型古電線接地ローラ
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20220930BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H02G1/02
H02G7/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021119584
(22)【出願日】2021-07-20
(62)【分割の表示】P 2017199869の分割
【原出願日】2017-09-27
(65)【公開番号】P2021182860
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】505312730
【氏名又は名称】株式会社電力機材サービス
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 好美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲二
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-030507(JP,U)
【文献】実開昭61-035509(JP,U)
【文献】特開2001-069626(JP,A)
【文献】特開平08-084417(JP,A)
【文献】特開平06-165336(JP,A)
【文献】実開平06-052317(JP,U)
【文献】特開2001-095119(JP,A)
【文献】特開平03-135315(JP,A)
【文献】特開2014-200166(JP,A)
【文献】特開2007-166845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線表面に絶縁性の皮膜が生成された電線が連続移動している状態で、1か所以上の多点で電線表面に接触子を圧接し電線表面の絶縁性被膜を破壊して安定的に電流を取り出し導線へ排出する電流端子器具であって、
電線表面に圧接して電線表面の絶縁被膜を破壊する接触子が複数接続されたチェン形状で、中央が直線で両端が半円形の概長円形の軌道上を周回する構造であって、その直線部では接触子を電線に押し付けながら移動できる構造とすることを特徴とする電流端子器具。
【請求項2】
さらに、前記半円形の個所では前記直線部に至る曲率の変化で接触子が電線表面の絶縁皮膜を擦り破壊させるために電線を湾曲させる押付け力を発生させる構造とすることを特徴とする請求項1に記載の電流端子器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
架空送電線の電線撤去工事における巻取り中の電線の接地器具に関する。
【背景技術】
【0002】
架空送電線の工事において、近くの架空送電線から誘導を受ける場合は、電線が移動しない時は固定接地用具を、巻き取りや繰り出しで電線が移動する時は接地金車を用いて電線を接地し、誘導電圧・電流を確実にアースして作業員の安全を確保する。これらの接地金車等は、これまでに種々開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-050239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでの接地金車等は、電線表面が劣化していない新線を対象に開発されたため、電線を傷つけない事や、電気抵抗が十分低くて作業員が接触しても安全であること等が目的となっていた。
【0005】
近年、電線の劣化に伴う張替工事が増加しているが、鋼心アルミより線が劣化すると電線表面に絶縁性被膜が生成して電線から接地金車への通電を阻害することから、これまでの接地金車等では安定して大電流を流せる必要十分な接地が付けられない事態になっていた。このため、工事現場においては、接地金車を複数個設置する等の工夫により対応していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、絶縁性被膜を破壊してアルミ地金と接触子を接触させることにより、移動する電線と接触子との接触を確実にしつつ、安定的に通電し、かつ、電気抵抗も低減させる手段を提供する。
【0007】
電線表面に絶縁性の皮膜が生成された電線が連続移動している状態で、1か所以上の多点で電線表面に接触子を圧接し電線表面の絶縁性被膜を破壊して安定的に電流を取り出し導線へ排出することを特徴とする電流端子器具を提供している。導線を打ち込み式接地極、又は、鉄塔脚等の接地端子に接続すれば接地回路として成立する。
【0008】
電線表面に圧接して電線表面の絶縁被膜を破壊する接触子が複数接続されたローラチェン形状で、中央が直線で両端が半円形の概長円形の軌道上を周回する構造であって、その直線部では接触子と押付けローラの押付け力で電線を把持しながら移動できる構造とし、半円形部では直線部に至る曲率の変化で接触子が電線表面の絶縁皮膜を擦り破壊させるために電線を湾曲させる押付け力を発生させる押付けローラを備えた構造とすることを特徴とする電流端子器具を提供している。
【0009】
電流端子器具は、先行技術文献に示した接地板付きクローラ金車に電線との接触子と電流回路を備えても、電線とクローラ金車との接触圧力が弱い場合は絶縁皮膜の破壊が不十分な状態になる事が判明しているので、必要な接触圧力を発生させ、更に、擦りによる絶縁破壊で接触を万全にするものである。
【0010】
また、複数の接触子が接触した状態を保たせるのは、アースすべき誘導電流が100アンペアを超える場合があることを確認しているから考慮した結果である。
【発明の効果】
【0011】
絶縁被膜による通電阻害がなくなり、電線が移動しても接地電流が断続的になる事もなく安定状態が保たれ、電線との接触抵抗の低減により電線への作業者の接触電位が低下して、作業者の安全性が向上する。
【0012】
本発明によれば、原動力が不要な古電線用接地器具が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の模式図である。
【符号の説明】
【0014】
1 電線
10 接触子
11 ローラチェン
12 押付けローラ(把持用)
13 押付けローラ(擦り破壊用)
20 接地導線
21 接地極(例)
図1