(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】真空掃除機のための清掃ヘッド
(51)【国際特許分類】
A47L 9/04 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
A47L9/04 A
(21)【出願番号】P 2021522962
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(86)【国際出願番号】 GB2020052433
(87)【国際公開番号】W WO2021064420
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-04-26
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ユイ・ホウ・テオ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・コッフ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・コックス
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート・ジェン
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/213075(WO,A1)
【文献】特開2018-110855(JP,A)
【文献】実開昭50-029465(JP,U)
【文献】カナダ国特許出願公開第02658644(CA,A1)
【文献】特開2002-177170(JP,A)
【文献】特開平09-047396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0144605(US,A1)
【文献】特開平09-028637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0086769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除機のための清掃ヘッドであって、
吸引チャンバを画成する筐体であって、前記吸引チャンバが吸引入口を有する、筐体と、
第1回転方向で前記筐体に対して回転するように支持された前側撹拌器と、
前記第1回転方向とは反対の第2回転方向で前記筐体に対して回転するように支持された後側撹拌器と、
当該清掃ヘッドを支持するための複数の車輪であって、当該
複数の車輪それぞれが、前記吸引入口に垂直な第1軸回りに前記筐体に対して回転可能である、複数の車輪と、
を備え
、
前記複数の車輪が、カートリッジに回転可能に装着された少なくとも1対の車輪を備えることを特徴とする清掃ヘッド。
【請求項2】
前記少なくとも1対
の車輪が、前輪及び後輪を備えることを特徴とする請求項
1に記載の清掃ヘッド。
【請求項3】
前記カートリッ
ジが、前記吸引チャンバ
の端部に隣接して位置することを特徴とする請求項
1または
2に記載の清掃ヘッド。
【請求項4】
前記カートリッ
ジが、前記
前側撹拌器及び前記後側撹拌器に隣接して位置することを特徴とする請求項
1から
3のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項5】
前記カートリッ
ジが、前記前側撹拌器と前記後側撹拌器との間に位置することを特徴とする請求項
1から
4のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項6】
前記筐体の頂部に形成された吸引ポートの下方、前記吸引チャンバ内
、かつ前記前側撹拌器と前記後側撹拌器との間に位置する邪魔板
であって、前記吸引ポートに向けてテーパ状に延在する複数の傾斜面を有する邪魔板を
更に備えることを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項7】
前記吸引チャンバを横断して延在するバッフル板を更に備え、
前記邪魔板が、前記バッフル板と一体であることを特徴とする請求項6に記載の清掃ヘッド。
【請求項8】
前記
複数の車輪それぞれが、前記第1軸に垂直な第2軸回りに前記筐体に対して回転可能であることを特徴とする請求項1
から7のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項9】
前記
複数の車輪それぞれが、キャスタの形態にあることを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項10】
前記前側撹拌器及び前記後側撹拌器が、当該前側撹拌器及び当該後側撹拌器の長手方向軸が互いに平行となるように構成されていることを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項11】
前記筐体が、当該清掃ヘッドの前部において前記
前側撹拌器を露出させる前側開口部を画成することを特徴とする請求項1から
10のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項12】
前記筐体が、当該清掃ヘッドの後部において前記後側撹拌器を露出させる後側開口部を画成することを特徴とする請求項
1から11のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項13】
前記
前側撹拌器及び前記後側撹拌器それぞれが、細長い本体を備えるブラシバーの形態にあることを特徴とする請求項1から
12のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項14】
前記細長い本体が、合成繊維からなるプラッシュで被覆されていることを特徴とする請求項
13に記載の清掃ヘッド。
【請求項15】
前記
前側撹拌器及び前記後側撹拌器を前記筐体に対して回転駆動させるための駆動組立体を備えることを特徴とする請求項1から
14のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項16】
前記駆動組立体が、同一角速度で前記筐体に対して回転するように前記
前側撹拌器及び前記後側撹拌器を駆動するように構成されていることを特徴とする請求項
15に記載の清掃ヘッド。
【請求項17】
真空掃除機のための清掃ヘッドであって、
吸引チャンバを画成する筐体であって、前記吸引チャンバが吸引入口を有する、
筐体と、
第1回転方向で前記筐体に対して回転するように支持された前側撹拌器と、
前記第1回転方向とは反対の第2回転方向で前記筐体に対して回転するように支持された後側撹拌器と、
当該清掃ヘッドを支持するために前記
前側撹拌器と前記後側撹拌器
との間に位置する複数の車輪と、
を備え
、
前記複数の車輪が、2対の車輪を備え、各対の車輪が、別々のカートリッジに回転可能に装着されていることを特徴とする清掃ヘッド。
【請求項18】
各対
の車輪が、前輪及び後輪を備えることを特徴とする請求項
17に記載の清掃ヘッド。
【請求項19】
前記筐体の頂部に形成された吸引ポートの下方、前記吸引チャンバ内、かつ前記前側撹拌器と前記後側撹拌器との間に位置する邪魔板であって、前記吸引ポートに向けてテーパ状に延在する複数の傾斜面を有する邪魔板を更に備えることを特徴とする請求項17または18に記載の清掃ヘッド。
【請求項20】
前記吸引チャンバを横断して延在するバッフル板を更に備え、
前記邪魔板が、前記バッフル板と一体であることを特徴とする請求項19に記載の清掃ヘッド。
【請求項21】
前記
複数の車輪それぞれが、前記吸引入口に垂直な第1軸回りに前記筐体に対して回転可能であることを特徴とする請求項
17から20のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項22】
前記
複数の車輪それぞれが、前記第1軸に垂直な第2軸回りに前記筐体に対して回転可能であることを特徴とする請求項
21に記載の清掃ヘッド。
【請求項23】
前記
複数の車輪それぞれが、キャスタの形態にあることを特徴とする請求項
17から
22のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項24】
前記前側撹拌器及び前記後側撹拌器が、当該前側撹拌器及び当該後側撹拌器の長手方向軸が互いに平行であるように配設されていることを特徴とする請求項
17から
23のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項25】
前記筐体が、当該清掃ヘッドの前部において前記
前側撹拌器を露出させる前側開口部を画成することを特徴とする請求項
17から
24のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項26】
前記筐体が、当該清掃ヘッドの後部において前記後側撹拌器を露出させる後側開口部を画成することを特徴とする請求項
17から
25のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項27】
前記
前側撹拌器及び前記後側撹拌器それぞれが、細長い本体を備えるブラシバーの形態にあることを特徴とする請求項
17から
26のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【請求項28】
前記細長い本体が、合成繊維のプラッシュで被覆されていることを特徴とする請求項
27に記載の清掃ヘッド。
【請求項29】
前記複数の車輪それぞれと対応し、前記筐体に対して、対応する車輪と共に回転する案内部材を更に備えることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の清掃ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機のための清掃ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
真空掃除機は、主として、塵埃分離器を主要する主本体と、主本体に接続されかつ吸引入口を有する清掃ヘッドと、含塵空気を吸引入口及び清掃ヘッドを通して主本体内へ引き込むためのモータ駆動式ファンユニットと、を備える。吸引入口は、清掃される床面を向くように下方に方向付けられている。含塵空気は、分離器へ搬送され、それにより、塵埃は、空気が大気へ排出される前に空気から分離され得る。分離器は、1以上のフィルタ、フィルタバッグ及びサイクロン装置のうちの1以上を有し得る。
【0003】
通常ブラシバーの形態にある駆動式撹拌器は、清掃ヘッドの吸引チャンバ内に回転可能に装着され得る。ブラシバーは、主として、毛を担持する細長い筒状コアを備えており、毛は、コアから径方向外方へ延在する。吸引入口は、清掃ヘッドの基部に位置する底板によって画成された開口部、通常は細長い矩形状の開口部の形態にあり得る。ブラシバーは、吸引チャンバ内に装着され得、それにより、毛は、吸引入口を通して若干の範囲だけ突出する。
【0004】
ブラシバーは、真空掃除機を使用してカーペット状面を清掃するときに主として作動される。ブラシバーの回転は、真空掃除機の主本体から引き出された電源によって電力供給される電気モータによって、または、清掃ヘッドを通過するもしくは清掃ヘッド内に入る気流によって駆動されるタービンによって、駆動され得る。ブラシバーは、駆動ベルトを介してモータによって駆動され得、または、モータによって直接駆動され得、それにより、吸引チャンバ内で回転する。ブラシバーの回転により、毛は、カーペットの表面に沿って掃かれ、カーペットの繊維並びにカーペットの表面に位置するもしくはカーペットの繊維間にある埃もしくは他の塵の双方を撹拌し、その結果、十分な量のエネルギーを塵埃に付与する。毛が吸引入口の前縁から後縁に向けて移動するような方向にブラシバーが回転する間、回転している毛は、吸引入口を通して後方へかつ吸引チャンバ内へ埃を掃く。空気の吸引により、空気は、底板の下をそしてブラシバーの周囲を流動し、カーペットの表面から塵埃を上昇させ、その後、吸引入口から清掃ヘッドを通して分離器に向けて運ぶことを補助する。
【0005】
一対の逆回転するブラシバーを有する清掃ヘッドを設けることが知られている。例えば、特許文献1には、清掃ヘッドの前方に位置する前側ブラシバーと清掃ヘッドの後部に位置する後側ブラシバーとを有する清掃ヘッドが記載されている。ブラシバーは、反対の角度方向で回転し、それにより、前側ブラシバーの毛は、床面上を後方へ掃き、後側ブラシバーの毛は、床面上を前方へ掃く。吸引チャンバは、ブラシバー間に位置し、吸引ポートは、吸引チャンバの頂部において中央に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/127680号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
使用時において、このような清掃ヘッドを床面上で前方に移動させると、清掃ヘッドに向けて引き込まれた空気内に取り込まれている米またはチェリオ(Cheerios)(登録商標)のような大きな塵埃は、このような塵埃が床面と接触していることに起因して、ブラシバーの下を通過できず、そのため、前側ブラシバーの端部あたりから吸引チャンバに入る。そこから、大きな塵埃は、吸引チャンバに沿って前側撹拌器の両端部から吸引ポートに向けて通過する。掃除機ヘッドの移動を反対にすると、このような塵埃は、後側撹拌器の両端部あたりから吸引チャンバに入り、吸引チャンバに沿って後側撹拌器の両端部から吸引ポートに向けて通過する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様において、本発明は、真空掃除機のための清掃ヘッドを提供し、この清掃ヘッドは、
吸引チャンバを画成する筐体であって、吸引チャンバが吸引入口を有する、筐体と、
第1回転方向で筐体に対して回転するように支持された前側撹拌器と、
第1回転方向とは反対の第2回転方向で筐体に対して回転するように支持された後側撹拌器と、
清掃ヘッドを支持するための複数の車輪であって、車輪それぞれが、吸引入口に垂直な第1軸回りに筐体に対して回転可能である、複数の車輪と、
を備える。
【0009】
撹拌器それぞれは、ブラシバーを備え、このブラシバーは、ブラシバーの長手方向軸回りに回転する。前側撹拌器は、第1回転方向に回転し、それにより、塵埃を吸引チャンバに向けて後方に掃き、後側撹拌器は、第2方向に回転し、それにより、塵埃を吸引チャンバに向けて前方に掃く。撹拌器は、好ましくは、同一角速度で回転し、それにより、撹拌器によって発生する牽引力は、等しくかつ反対である。撹拌器は、好ましくは、筒形状である。撹拌器は、好ましくは、撹拌器の長手方向軸が平行でありかつ好ましくは清掃ヘッドが床面に位置付けられているときに水平であるように配設されている。筐体は、好ましくは、清掃ヘッドの前部において第1撹拌器を露出させる前側開口部と、清掃ヘッドの後部において第2撹拌器を露出させる後側開口部と、を画成する。複数の車輪は、清掃ヘッドを支持し、それにより、清掃ヘッドを表面上で移動させる方向における変化を許容する。車輪それぞれは、吸引入口に垂直な第1軸回りに筐体に対して回転するように構成されている。車輪それぞれは、第1軸に垂直な第2軸回りに筐体に対してさらに回転可能であり得る。
【0010】
使用時において、空気は、少なくとも1つの吸引入口を通して吸引チャンバ内に入り、吸引ポートを通して吸引チャンバから出る。吸引チャンバは、好ましくは、中央吸引ポート、すなわち、前側撹拌器と後側撹拌器との間の中間かつ吸引チャンバの側縁部間の中間に位置するポートを備える。清掃ヘッドは、吸引チャンバ内に、ひいては撹拌器間に位置する邪魔板を備える。邪魔板は、好ましくは、吸引ポートの下方に位置しており、好ましくは、それにより、邪魔板は、清掃ヘッドの使用中に吸引ポートの垂直下方に位置する。
【0011】
邪魔板は、好ましくはバッフル板に配設されており、より好ましくはバッフル板と一体であり、このバッフル板は、吸引チャンバを横断して延在する、好ましくは吸引チャンバを横断して長さ方向(撹拌器の長手方向軸に平行に延在する長さ方向)に延在する。バッフル板は、好ましくは、吸引チャンバの底部に位置し、好ましくは、それにより、バッフル板の下面は、撹拌器の最下部分とほぼ同一平面である。バッフル板は、好ましくは、撹拌器それぞれから間隔を開けている。このため、バッフル板は、好ましくは、前側撹拌器とバッフル板との間に位置する前側吸引入口と、後側撹拌器とバッフル板との間に位置する後側吸引入口と、を少なくとも部分的に画成する。前側及び後側吸引入口は、下方を向き、同一平面であり、好ましくは、同一形状及び同一サイズを有する。
【0012】
バッフル板は、好ましくは、清掃ヘッドに取り外し可能に接続されている。バッフル板は、好ましくは、好ましくは製造を容易にしかつ吸引ポート内で生じる阻害を迅速に保守することを容易にするためにユーザがアクセス可能なスナップ嵌合接続またはキャッチ機構によって、清掃ヘッドの筐体に直接接続されている。
【0013】
バッフル板は、前側撹拌器に隣接して位置する前縁部と、後側撹拌器に隣接して位置する後縁部と、を有する。清掃ヘッドを床面上で前方に移動させると、大きな塵埃は、清掃ヘッドの前方に向けて引き込まれた空気内に取り込まれ、吸引ポートに向けてバッフル板の前縁部に沿って案内される。清掃ヘッドを床面上で後方に移動させると、大きな塵埃は、清掃ヘッドに向けて引き込まれた空気内に取り込まれ、吸引ポートに向けてバッフル板の後縁部に沿って案内される。これにより、取り込まれた塵埃が吸引ポートに直接向けて移動することを促進させ、このため、清掃ヘッドの性能を改善する。バッフル板の前縁部及び後縁部は、好ましくは、吸引ポートに向けて内側にテーパ状となり、それにより、バッフル板の中央におけるバッフル板の(バッフル板の長さに垂直に測定した)幅は、バッフル板の2つの端部におけるバッフル板の幅よりも小さい。
【0014】
上述のように、バッフル板は、邪魔板を備え、この邪魔板は、使用中に、空気を吸引ポートに向けて案内する。邪魔板は、好ましくは、清掃ヘッドの使用中に吸引ポートの垂直下方に位置する。邪魔板は、好ましくは、吸引ポートに向けて延在し、好ましくは、吸引ポートに向けてテーパ状となり、それにより、気流を案内して吸引ポートに向けて90°方向変更させる。邪魔板は、湾曲し得る、または、錐状あり得る。好ましい形態において、邪魔板は、ほぼ角錐状であり、邪魔板の面それぞれは、各別の気流を吸引ポートに向けて案内するように構成されている。使用中において、空気は、撹拌器の端部から清掃ヘッドに入り、反対方向で吸引ポートに向けて移動する傾向がある。邪魔板がない場合、反対方向の気流が吸引チャンバ内で衝突して、気流速度が低い「デッドゾーン」及び吸引チャンバのすぐ下での大きな乱流を発生させ得る危険性がある。このようなデッドゾーン内において、デッドゾーン内で捕捉される塵埃を退避させるのには速度が不十分であり得、その結果、塵埃は、床面上で停滞し、床面上に塵埃の積み重ねを残す。邪魔板が存在することにより、空気を吸引チャンバ内に案内して吸引ポートに向けて上方へ方向転換させることによってこのようなデッドゾーンが形成されることを防止し、吸引チャンバ内において反対方向の気流を滑らかに併合し、取り込んだ塵埃を吸引ポートに向けて移動させることを促進する。
【0015】
清掃ヘッドは、使用中に塵埃を前側撹拌器の端部から吸引チャンバに向けて案内するために筐体に取り付けられた前側案内部材と、使用中に塵埃を後側撹拌器の端部から吸引チャンバに向けて案内するために筐体に取り付けられた後側案内部材と、を備える。しかしながら、このような案内部材は、清掃ヘッドの性能に影響を与えることなく省略され得る。
【0016】
案内部材を使用して米またはチェリオ(登録商標)のような塵埃を吸引チャンバに向けて案内することが撹拌器の端部から吸引チャンバに向けて内方に延在する経路を阻害する危険性を低減し得ることが分かっている。これら経路の阻害は、大きな塵埃を吸引チャンバの通過を防止し得、その結果、塵埃は、機器のスイッチを切ったときに床面に残ったままである。
【0017】
前側及び後側案内部材は、好ましくは、撹拌器間に位置する。前側案内部材それぞれは、好ましくは、前側撹拌器の各別の端部に隣接して位置する前側案内部材それぞれは、好ましくは、前側撹拌器のすぐ後ろに位置する。清掃ヘッドを床面上で前方に移動させると、前側案内部材それぞれは、好ましくは、少なくとも部分的に前側撹拌器と共に、各別の前側チャネルを画成し、取り込んだ塵埃は、この前側チャネルに沿って、前側吸引入口に向けて(ひいては吸引チャンバに向けて)案内される。
【0018】
同様に、後側案内部材それぞれは、好ましくは、後側撹拌器の各別の端部に隣接して位置している。後側案内部材それぞれは、好ましくは、後側撹拌器のすぐ前方に位置する。清掃ヘッドを床面上で後方方向で移動させると、後側案内部材それぞれは、好ましくは、少なくとも部分的に後側撹拌器と共に、各別の後側チャネルを画成し、取り込んだ塵埃は、この後側チャネルに沿って、後側吸引入口に向けて(ひいては吸引チャンバに向けて)案内される。
【0019】
前側及び後側案内部材は、好ましくは、硬質な床面またはカーペット状面のような表面上における清掃ヘッドの移動方向の変化に応じて筐体に対して回転するように構成されている。清掃ヘッドは、好ましくは、表面に係合するための複数の車輪を備え、清掃ヘッドは、この表面上でユーザによって操縦される。清掃ヘッドは、好ましくは、一対の前輪及び一対の後輪を備える。車輪は、好ましくは、撹拌器間に位置する。車輪それぞれは、好ましくは、キャスタの形態にあるが、車輪は、ボールまたは他の転動部材の形態にあり得る。車輪それぞれは、好ましくは、吸引入口に垂直な第1軸回りで筐体に対して回転するように構成され、それにより、清掃ヘッドが表面上を移動する方向の変化を可能とする。車輪それぞれは、好ましくは、約360°の角度で、第1軸回りに回転自在に構成されている。これにより、清掃ヘッドを床面上で例えばユーザが選択した方向で操縦することを可能とする。例えば、ユーザは、清掃ヘッドを前後に、左右に、及び/または、湾曲方向で、移動させ得る。車輪それぞれは、同様に、好ましくは、第1軸に垂直な第2軸回りで案内部材に対して回転するように構成されている。
【0020】
前側案内部材及び後側案内部材それぞれは、好ましくは、最も好ましくは第1軸回りに、各別の車輪と共に回転するように配設されている。これにより、案内部材が、取り込んだ塵埃を吸引チャンバに向けて最適に案内することを許容し得る。清掃ヘッドを前方に移動させると、前側案内部材は、前輪と共に回転し、塵埃を吸引チャンバに向けて案内するための前側チャネルを画成し、清掃ヘッドを後方に移動させると、後側案内部材は、後輪と共に回転し、塵埃を吸引チャンバに向けて案内するための後側チャネルを画成する。
【0021】
前側及び後側案内部材それぞれは、好ましくは、取り込んだ塵埃を吸引チャンバに向けて案内するための案内面を備える。案内面は、好ましくは、吸引入口に直交して、したがって車輪が案内部材に対して回転する第1軸に直交して配設されている。
【0022】
上述のように、車輪は、好ましくは、キャスタの形態にあり、このキャスタは、好ましくは、第1軸回りで筐体に対して回転可能な支持体に装着されている。キャスタ車輪は、支持体にスナップ嵌合された車軸に装着されており、車輪が第2軸回りで支持体に対して回転することを可能とする。キャスタ車輪のための支持体は、吸引チャンバに向けて塵埃を案内するための案内部材を便利に画成し得る一方、支持体の外面は、吸引チャンバに向けて塵埃を案内するための案内面を画成し得る(塵埃と案内面との間の衝突を通して)。案内面は、好ましくは、塵埃が案内面から跳ね返る際に塵埃が吸引チャンバに向けて移動するような塵埃の案内面への入射角度とされるように形付けられている。案内面は、好ましくは、凸形状を有する。例えば、案内面は、湾曲形状及び多角形状のうちの一方を有し得る。湾曲形状は、対象または非対称であり得る。多角形状は、正多角形状または非正多角形状であり得る。
【0023】
キャスタ車輪のための支持体を使用して吸引チャンバに向けて塵埃を案内するための案内部材を提供することの代替として、案内部材は、支持体回りに少なくとも部分的に延在し得る。案内部材は、支持体に装着され得る。あるいは、案内部材及び支持体は、筐体に対して回転可能な共通の基部または他の清掃ヘッド構成部材に装着され得る。これにより、案内部材をキャスタ車輪のための支持体とは異なる材料から形成することができる。例えば、支持体が例えばポリカーボネートのようなプラスチック材料などの比較的硬質な材料から形成され得る一方、案内部材は、例えばTPUのようなポリウレタンなどの比較的軟質な材料から形成され得る。案内部材を車輪のための支持体とは別個の構成部材として設けることにより、案内部材を形成する形状及び/または材料の選択を通して、衝突する塵埃が案内部材から離間するように移動する方向及び/または速度をより大きな度合いで制御でき得る。
【0024】
前側及び/または後側案内部材は、塵埃を吸引チャンバに向けて案内するために、他のタイプの清掃ヘッドで使用され得る。例えば、受動型清掃ヘッド、すなわち床面から塵埃を撹拌するための任意の動いている撹拌器を有していない清掃ヘッドは、吸引チャンバに向けて塵埃を案内するための車輪及び案内部材の配置を有し得る。車輪は、清掃ヘッドの吸引入口を画成する底板に装着され得る。例えば、一対の前輪は、清掃ヘッドの前縁部に隣接して位置し得、一対の後輪は、清掃ヘッドの後縁部に隣接して位置し得る。車輪それぞれは、清掃ヘッドの前角部に隣接して位置し得、車輪それぞれは、案内部材と関連付けられ、この案内部材は、筐体に対して車輪と共に回転して吸引入口に向けて塵埃を案内する。他の例として、清掃ヘッドは、前輪及び後輪を有し、清掃ヘッドの前方に向けて位置する単一の撹拌器またはブラシバーを備え得、そのため、前側及び後側案内部材は、撹拌器の後方に位置する。
【0025】
第2態様において、本発明は、真空掃除機のための清掃ヘッドを提供し、この清掃ヘッドは、
吸引チャンバを画成する筐体であって、吸引チャンバが吸引入口を有する、筐体と、
第1回転方向で筐体に対して回転するように支持された前側撹拌器と、
第1回転方向とは反対の第2回転方向で筐体に対して回転するように支持された後側撹拌器と、
清掃ヘッドを支持するために撹拌器間に位置する複数の車輪と、
を備える。
【0026】
複数の車輪は、清掃ヘッドを支持し、それにより、清掃ヘッドを表面上で移動させる方向における変化を許容する。車輪それぞれは、吸引入口に垂直な第1軸回りに筐体に対して回転するように構成されている。車輪それぞれは、第1軸に垂直な第2軸回りに筐体に対してさらに回転可能であり得る。車輪は、筐体に対して回転するために清掃ヘッドの筐体に直接装着され得る。あるいは、車輪は、筐体に接続された1以上のカートリッジに回転可能に装着され得る。例えば、清掃ヘッドは、吸引入口の一側に位置する第1カートリッジと、吸引入口の他側に位置する第2カートリッジと、を備える。カートリッジそれぞれは、前輪のうちの対応する1つと後輪のうちの対応する1つとを備え得る。
【0027】
清掃ヘッドが前側撹拌器及び後側撹拌器双方を備える形態において、カートリッジそれぞれは、好ましくは、前側案内部材及び後側案内部材それぞれの対応する1つを備える。カートリッジそれぞれは、好ましくは、前側撹拌器と後側撹拌器との間に位置し、好ましくは、吸引チャンバの側部に各別に位置する。カートリッジそれぞれは、好ましくは、複数の開口部を備え、これら開口部それぞれは、撹拌器のうちの1つに各別に隣接して位置し、取り込まれた塵埃は、この開口部を通して、チャネルのうちの対応する1つに入り、塵埃は、このチャネルに沿って吸引チャンバに向けて案内される。
【0028】
掃除機が単一の撹拌器を備える場合、カートリッジそれぞれは、同様に、好ましくは、一対の車輪と、一対の案内部材と、を備え、この一対の案内部材は、それぞれがカートリッジに対して車輪のうちの対応する1つと共に回転可能である。カートリッジそれぞれは、好ましくは、撹拌器の後方に位置しており、好ましくは、吸引チャンバの各別の側部に配設されている。
【0029】
カートリッジそれぞれは、好ましくは、そのカートリッジの車輪の第1軸が吸引入口に直交する所定平面に位置するように配設されている。清掃ヘッドが吸引入口に平行な方向に延在する軸回りに回転する撹拌器を備える場合、この平面は、好ましくは、撹拌器の回転軸に直交する。
【0030】
本発明の第1態様に関連して上述した特徴は、本発明の第2態様に均等に適用可能であり、その逆も同様である。用語「水平」、「垂直」、「前方」及び「後方」は、本発明に関連して使用されており、通常使用時に清掃ヘッドの構成部材の相対的な方向付けまたは位置を言う。
【0031】
本発明の好ましい特徴は、添付の図面を参照して例としてのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図6】清掃ヘッドを示す底面図であって、清掃ヘッドのキャスタが清掃ヘッドの筐体に対して第1方向付けにある、底面図である。
【
図7】
図6の線A-Aに沿う清掃ヘッドの一部を示す断面図である。
【
図8】
図6の線B-Bに沿う清掃ヘッドの一部を示す断面図である。
【
図9】
図6の線C-Cに沿う清掃ヘッドの一部を示す断面図である。
【
図10】(a)清掃ヘッドの筐体を示す前面図、及び、(b)筐体を示す底面図である。
【
図11】(a)
図10(b)の線D-Dに沿う筐体を示す断面図、及び、(b)
図10(b)の線E-Eに沿う筐体を示す断面図である。
【
図12】(a)筐体のバッフル板を示す頂面図、(b)バッフル板を示す側面図、及び、(c)バッフル板を示す底面図である。
【
図13】清掃ヘッドのキャスタカートリッジを示す上方からの斜視図である。
【
図14】キャスタカートリッジを示す下方からの斜視図である。
【
図15】清掃ヘッドの別の底面図であって、清掃ヘッドのキャスタが筐体に対して第2方向付けにある、底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1から
図15は、真空掃除機のための一例にかかる清掃ヘッド10を示す。清掃ヘッド10は、筐体12と、それぞれが筐体に対して回転するために筐体12に装着された前側撹拌器14及び後側撹拌器16と、筐体12に接続された首体18と、を備える。
【0034】
撹拌器14、16それぞれは、細長い本体20を備えるブラシバーの形態にあり、この細長い本体には、表面を撹拌するための毛、叩きストリップまたは他の手段22が取り付けられている。本実施形態において、細長い本体20は、合成繊維からなるプラッシュ(plush)24で被覆されている。筐体12は、前側撹拌器の前面を露出させるようにかつ後側撹拌器16の後面を露出させるように形付けられており、それにより、撹拌器14、16は、清掃ヘッド10の比較的柔らかい前側及び後側バンパを形成し得る。
【0035】
撹拌器14、16は、回転軸X1、X2回りで反対方向に回転するように駆動されており、これら回転軸は、互いに平行であり、それぞれが各別の撹拌器14、16の長手方向軸と同軸である。清掃ヘッドを床面または清掃される他の表面上に置くと、回転軸は、水平である。撹拌器14、16の回転角度方向は、塵埃が床面から撹拌器14、16間に位置する吸引チャンバ26内へ掃かれるように選択されている。その結果、
図7において、前側撹拌器14は、軸X1回りで時計回り方向で筐体12に対して回転し、後側撹拌器16は、軸X2回りで反時計回り方向で筐体12に対して回転する。
【0036】
清掃ヘッド10は、筐体12に対する撹拌器14、16の回転を駆動するための駆動組立体を備える。駆動組立体は、撹拌器を同じ角速度で筐体12に対して回転するように構成されている。駆動組立体の特有の詳細は、本発明に付随するものではないが、全体として、駆動組立体は、電気モータと、モータによって発生されたトルクを撹拌器14、16それぞれに伝達させるための伝達器と、を備える。モータは、筐体12内に装着され得る。あるいは、モータは、撹拌器14、16のうちの一方に装着され得る。電力は、真空掃除機からモータに供給される。
図3から
図5に示すように、首体18は、掃除機に位置する電気接点に係合するための一対の電気端子28を備えており、電力を掃除機からモータに供給する。電気ケーブル30(
図9に示す)は、端子28とモータとの間に延在する。伝達装置は、モータから撹拌器14、16のうちの駆動されている一方までトルクを伝達させるための歯車列と、駆動された撹拌器から他方の撹拌器までトルクを伝達させるためのベルト・プーリシステムと、を備える。
【0037】
単一のモータを使用して撹拌器14、16双方を駆動するのではなく、駆動組立体は、2つの電気モータを備え得、電気モータそれぞれは、各別の撹拌器14、16を駆動する。あるいは、1以上の電気モータを使用するのではなく、駆動組立体は、撹拌器14、16を駆動するのに必要なトルクを発生させるための空気タービンを備え得る。
【0038】
首体18は、筐体12の頂部に回動式に接続されている。首体18は、撹拌器14、16の回転軸X1、X2と平行な回動軸P1回りに筐体12に対して回動する。首体18は、撹拌器14、16間の中間にある位置で筐体12に回動式に取り付けられている。その結果、首体18の回動軸P1は、撹拌器14、16の回転軸X1、X2から等距離にある。首体18は、筐体12に回動式に接続された下側首セクション32と、回動軸P1に直交する回動軸P2回りで回動移動するために下側首セクション32に回動式に接続された上側首セクション34と、を備える。首体18は、首体18の自由端部に位置する出口38から筐体12の頂部に形成された吸引ポート40まで延在する導管36を備えており、この吸引ポートを通して、空気は、吸引チャンバ26から導管36内に入る。吸引ポート40は、中心に位置している、すなわち、吸引ポートは、撹拌器14、16間の中間にかつ吸引チャンバ26の側部間の中間に位置している。首体18の自由端部は、真空掃除機(図示略)のワンドに取り付け可能である。ワンドは、床面上で清掃ヘッド10を操縦するために、及び、電気端子28を介してモータに電力を送達させるために、使用される。
【0039】
清掃ヘッド10は、吸引チャンバ26内に位置するバッフル板42を備える。バッフル板42は、吸引チャンバ26の底部に位置しており、好ましくは、それにより、バッフル板42の底面は、撹拌器14、16の最下端とほぼ同一平面にある。バッフル板42は、好ましくはスナップ嵌合接続を用いて、筐体12に接続されており、このスナップ嵌合接続は、バッフル板42を清掃ヘッド10の保守のために筐体12から再配置可能に取り外すことを可能とする。バッフル板42は、好ましくは、吸引チャンバ26の一側から他側まで、吸引チャンバ26を横断して長さ方向に延在する。バッフル板42は、前側撹拌器14と共に吸引チャンバ26の前側吸引入口46を画成する前縁部44と、後側撹拌器16と共に吸引チャンバ26の後側吸引入口50を画成する後縁部48と、を有する。以下で詳述するように、バッフル板42は、空気を吸引チャンバ26の吸引ポート40に向けて案内するための邪魔板52を備える。邪魔板52は、バッフル板42の中央に位置しており、それにより、邪魔板52は、吸引ポート40の垂直下方に位置付けられており、好ましくは、バッフル板42と一体的である。邪魔板52は、吸引ポート40に向けて上方に、好ましくはテーパ状に延在する。本実施形態において、邪魔板52は、ほぼ錐形状であり、複数の等寸法面54を備え、これら等寸法面それぞれは、吸引チャンバ26を通過する空気のうち対応する部分を吸引ポート40に向けて案内する。
【0040】
清掃ヘッド10は、清掃ヘッド10を床面上で支持するための複数の車輪をさらに備える。車輪は、前側撹拌器14と後側撹拌器16との間に位置する。本実施形態において、清掃ヘッド10は、一対の前輪56及び一対の後輪58を備える。前輪56は、前側吸引開口部46の両側に位置し、前輪それぞれは、前側撹拌器14の対応する端部に隣接して位置する。後輪58は、前輪56のすぐ後方に、かつ、後側吸引開口部50の両側に位置する。後輪58それぞれは、後側撹拌器16の各別の端部に隣接して位置する。
【0041】
特に
図13及び
図14を参照すると、本実施形態において、車輪56、58は、キャスタの形態にある。前輪56それぞれは、前側支持体60に装着されており、後輪58それぞれは、後側支持体62に装着されている。支持体60、62それぞれは、筐体12に接続されており、それにより、支持体、ひいては車輪56、58それぞれは、撹拌器14、16の回転軸X1、X2に直交しそれにより前側及び後側吸引入口46、50に直交する第1回転軸W1回りに筐体12に対して回転可能である。車輪56、58それぞれは、支持体60、62にスナップ嵌合された車軸64によって各別の支持体60、62に接続されている。これにより、車輪56、58それぞれは、第1回転軸W1に直交する第2回転軸W2回りに支持体60、62に対して回転することが可能となる。車輪56、58が第1及び第2回転軸W1、W2回りに移動自在であることにより、清掃ヘッド10は、任意の選択した方向で、例えば前後に、左右に、または、湾曲経路に沿って、操縦されることが可能となる。
【0042】
支持体60、62を筐体12に直接装着し得る一方、本実施形態において、清掃ヘッド10は、一対のカートリッジ66、68を備えており、これらカートリッジは、ボルト70を用いて筐体12に接続されており、それぞれが前輪56のうちの対応する一方と後輪58のうちの対応する一方とを備える。これら車輪56、58のための支持体60、62それぞれは、カートリッジに対して回転するためにカートリッジ66、68に装着されている。同様に
図6を参照すると、以下で詳述するように、カートリッジ66、68それぞれは、両端壁部72を備えており、これら端壁部それぞれは、各別の開口部74、76を備える。支持体60、62は、カートリッジ66、68に装着されており、それにより、前側支持体60それぞれは、各別の前側開口部74に隣接して位置付けられ、後側支持体62それぞれは、各別の後側開口部76に隣接して位置付けられる。
【0043】
使用時において、外部環境からの空気は、真空掃除機内に位置する吸引発生器の動作の下で吸引チャンバ26に向けて引き込まれる。清掃ヘッド10が床面に位置付けられると、米またはチェリオ(登録商標)のような大きな塵埃は、このような塵埃が床面と接触していることに起因して、回転する撹拌器の下を通過できない。その替わりに、この比較的大きな塵埃は、撹拌器14、16の端部から内方へ吸引ポート40に向けて流れる気流(以下、「側部気流」と称する)内に取り込まれることを介して、吸引チャンバ26内に入る。
【0044】
清掃ヘッド10を床面上に位置する一山の比較的大きな塵埃に向けて前方へ移動させると、一般的にこのような塵埃は、側部気流内に取り込まれ、これら側部気流は、前側吸引入口46を通して吸引チャンバ26に入る。第1側部気流は、前側撹拌器14の一端部から、カートリッジ66の前側開口部74を通り、前側吸引入口46を介して吸引チャンバ26内に入る。第2側部気流は、前側撹拌器14の第1端部から、カートリッジ66の前側開口部74を通り、前側吸引入口46を介して吸引チャンバ26内に入る。2つの側部気流は、同様に、後側撹拌器16の端部あたりから吸引チャンバ26に入るが、清掃ヘッドが前方に移動していると、これらさらなる側部気流は、比較的大きな塵埃を含有しない傾向がある。
【0045】
支持体60、62それぞれは、各別の含塵側部気流内に取り込まれている塵埃を吸引チャンバ26に向けて案内するための案内部材を形成する。支持体60、62の外面それぞれは、各別の案内面78、80を画成するように形付けられている。案内面78、80は、全体として凸形状であり、塵埃が案内面78、80に衝突すると塵埃が吸引チャンバ26に向けて跳ね返るように形付けられている。
【0046】
まず
図6を参照すると、清掃ヘッド10が床面上を前方に(矢印A1方向で)移動しているとき、床面と車輪56、58との間で発生する摩擦力は、車輪56、58、ひいてはこれら車輪の支持体60、62を
図6に示す方向付けで回転させる。前側支持体60の案内面78は、これら案内面が前側撹拌器14及びカートリッジ66、68と共に前側開口部74から吸引チャンバ26まで延在する比較的狭いチャネル82を画成するように方向付けられる。含塵側部気流は、チャネル82に入り、前側支持体60の案内面78は、塵埃を前側吸引入口46に向けて案内する。チャネル82の幅は、気流がチャネル82に沿って移動する際に、気流を加速させる傾向を有し、これにより、同様に、塵埃を吸引チャンバ26内に入れることを促進する機能を有する。
【0047】
清掃ヘッドの移動方向を反転させてそれにより清掃ヘッドを残存している塵埃に向けて後方へ(
図15に示す矢印A2の方向に)移動させているとき、後側撹拌器16の端部あたりから吸引チャンバ26に入る2つの側部気流は、より多くの塵埃を含有している。床面と車輪56、58との間に発生する摩擦力は、車輪56、58、ひいてはこれら車輪の支持体60、62を
図15に示す方向付けで180°回転させる。後側支持体62の案内面80は、これら案内面が後側撹拌器16及びカートリッジ66、68と共に後側開口部76から吸引チャンバ26まで延在する比較的狭いチャネル84を画成するように、方向付けされている。含塵側部気流がチャネル84に入ると、後側支持体62の案内面80は、塵埃を後側吸引入口50に向けて案内する。
【0048】
吸引チャンバ26内において、バッフル板42の前縁部44は、チャネル82を介して吸引チャンバ26に入った2つの側部気流内に取り込まれている塵埃を吸引ポート40に向け案内する一方、バッフル板42の後縁部48は、チャネル84を介して吸引チャンバ26に入った2つの側部気流内に取り込まれている塵埃を吸引ポート40に向けて案内する。吸引チャンバ26の中心に向けて、4つの側部気流それぞれは、邪魔板52の各別の面54によって吸引ポート40に向けて上方へ案内され、取り込まれている塵埃を首体18の導管36に向けて搬送する。側部気流は、邪魔板52の下流側で併合し、導管36を通過し、塵埃を空気から分離する真空掃除機内に入る。
【符号の説明】
【0049】
10 清掃ヘッド、12 筐体、14 前側撹拌器、16 後側撹拌器、20 細長い本体、24 プラッシュ、26 吸引チャンバ、46 前側吸引開口部,前側吸引入口、50 後側吸引開口部,後側吸引入口、52 邪魔板、56 前輪、58 後輪、66,68 カートリッジ、74 前側開口部、76 後側開口部