(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】複数のサーマルシンクを備えた超伝導デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220930BHJP
H01L 39/02 20060101ALI20220930BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H01L23/12 J
H01L39/02 W ZAA
H05K7/20 C
(21)【出願番号】P 2021532436
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019063041
(87)【国際公開番号】W WO2020131314
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-08
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハサウェイ,アーロン アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,グレゴリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】プシブィシュ,ジョン エックス.
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-349537(JP,A)
【文献】特開2012-033567(JP,A)
【文献】特開平10-032356(JP,A)
【文献】米国特許第05773875(US,A)
【文献】特開2009-295794(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101599484(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 39/02
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
第1のサーマルシンク層と、
第1の動作温度要件を有する第1のセットの回路に関連する第1の接地面と、
前記第1の接地面を前記第1のサーマルシンク層に結合する第1の熱伝導性ビアと、
第2のサーマルシンク層と、
前記第1の動作温度要件よりも高い第2の動作温度要件を有する第2のセットの回路に関連する第2の接地面と、
前記第2の接地面を前記第2のサーマルシンク層に結合する第2の熱伝導性ビアであって、前記第1のサーマルシンク層が、前記第1のセットの回路を前記第1の動作温度要件に維持するために第1の温度で冷却され、前記第2のサーマルシンク層が、前記第2のセットの回路を前記第2の動作温度要件に維持するために第2の温度で冷却される、第2の熱伝導性ビアと、
を備える、回路。
【請求項2】
前記第1のサーマルシンク層、前記第2のサーマルシンク層、前記第1の熱伝導性ビア、および前記第2の熱伝導性ビアが銅で形成されている、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記第1の接地面および前記第1のセットの回路が、第1の導電性材料で形成され、前記第2の接地面および前記第2のセットの回路が、前記第1の導電性材料とは異なる動作温度要件を有する第2の導電性材料で形成されている、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記第1の接地面がアルミニウムから形成されており、前記第2の接地面がニオブで形成されている、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記第1の接地面および前記第1のセットの回路が、基板上にある第1の誘電体層に存在し、前記第2の接地面および前記第2のセットの回路が、前記基板の上、かつ前記第1の誘電体層の上および下の一方にある第2の誘電体層に存在する、請求項3に記載の回路。
【請求項6】
前記第1の接地面および前記第1のセットの回路が、
前記基板の上にある第1の誘電体層に存在し、前記第2の接地面および前記第2のセットの回路が、
第1の誘電体層に存在し、前記第1の接地面および前記第1のセットの回路に隣接しかつ物理的に分離されてい
る、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記第1の接地面および前記第1のセットの回路が、基板の上にある第1の誘電体層に存在し、前記第2の接地面および前記第2のセットの回路が、
第1の誘電体層に存在し、前記第1の接地面および前記第1のセットの回路に隣接しかつ物理的に分離されてい
る、請求項3に記載の回路。
【請求項8】
前記第1の熱伝導性ビアが、前記第1の接地面を前記第1のサーマルシンク層にそれぞれ結合する複数の第1の熱伝導性ビアのうちの1つであり、前記第2の熱伝導性ビアが、前記第2の接地面を前記第2のサーマルシンク層にそれぞれ結合する複数の第2の熱伝導性ビアのうちの1つである、請求項1に記載の回路。
【請求項9】
モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)であって、
第1の動作温度要件を有する第1のセットの超伝導回路に関連する第1の導電性接地面と、
前記第1の動作温度要件よりも高い第2の動作温度要件を有する第2のセットの超伝導回路に関連する第2の導電性接地面と、
前記第1の導電性接地面および前記第2の導電性接地面の上または下の一方に配置された第1のサーマルシンク層と、
前記第1の導電性接地面および前記第2の導電性接地面の上または下の他方に配置された第2のサーマルシンク層と、
基板を介して前記第1の導電性接地面を前記第1のサーマルシンク層にそれぞれ結合する第1のセットの熱伝導性ビアと、
前記第2の導電性接地面を第2のサーマルシンク層にそれぞれ結合する第2のセットの熱伝導性ビアと、
を備える、回路。
【請求項10】
前記第1のサーマルシンク層、前記第2のサーマルシンク層、前記第1のセットの熱伝導性ビア、および前記第2のセットの熱伝導性ビアが銅で形成されている、請求項
9に記載の回路。
【請求項11】
前記第1の導電性接地面がアルミニウムから形成されており、前記第2の導電性接地面がニオブで形成されている、請求項
9に記載の回路。
【請求項12】
前記第1の導電性接地面および前記第1のセットの超伝導回路が、
前記基板の上にある第1の誘電体層に存在し、前記第2の導電性接地面および前記第2のセットの超伝導回路が、前記基板の上、かつ前記第1の誘電体層の上および下の一方にある第2の誘電体層に存在する、請求項
9に記載の回路。
【請求項13】
前記第1の導電性接地面および前記第1のセットの超伝導回路が、前記基板の上にある第1の誘電体層に存在し、前記第2の導電性接地面および前記第2のセットの超伝導回路が、前記第1の導電性接地面および前記第1のセットの超伝導回路に隣接しかつ物理的に分離されている第1の誘電体層に存在する、請求項
9に記載の回路。
【請求項14】
前記第1の導電性接地面および前記第2の導電性接地面ならびにそれぞれの第1のセットの超伝導回路および第2のセットの超伝導回路が、異なる誘電体層に存在する、請求項
9に記載の回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年12月20日に出願された米国特許出願第16/227965号の優先権を主張し、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
政府の権益
本発明は、政府契約番号30078128の下で行われた。したがって、米国政府は、この契約に明記された通りに本発明に対する権利を保有する。
【0003】
本発明は、一般に、集積回路、より具体的には、複数のサーマルシンクを備えた超伝導デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
極低温で動作するモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)チップには、超伝導回路から基板に向かって熱を除去することによって熱的に管理する必要がある超伝導回路がある。極低温条件下では、熱負荷、冷却リソース、温度、および回路の複雑さは互いに強く結びついている。MMIC上のデバイスの一部は、高温で動作できる他の構成要素よりも低温に維持する必要がある。これには、MMIC全体をより低い温度に保つ必要がある。1単位の電力を極低温から室温に持ち上げる方が、同じ電力をより高い温度から室温に持ち上げる場合よりも、はるかに非効率的である。極低温チップがますます複雑になるにつれて、より多くの数のおよびより多くのバリエーションのデバイスがMMICに投入されている。これらのデバイスはそれぞれ、異なる動作温度要件を有する可能性がある。
【0005】
典型的な極低温MMICは、導電性材料と誘電体の交互の層で覆われたシリコン基板で構成されている。MMICには複数のデバイスタイプが存在し得る。例として、MMICには、3つの異なる動作温度で実行する必要がある3つの異なるデバイスタイプがあり得る。例えば、第1のデバイスは500ミリケルビン(mK)未満で動作する必要があり得、第2のデバイスは1ケルビン(K)未満で動作する必要があり得、第3のデバイスは4 K未満で動作する必要があり得る。単一の接地面では、メッシュ層全体がほぼ均一な温度になる。これは、熱をXおよびY方向に横方向に輸送(拡散)する導電性材料の能力によるものである。したがって、すべてのデバイスがこの接地面に接続されている場合、すべてを最も厳しい動作要件、例えば、500 mKに維持する必要がある。これは、第3のデバイスを4 Kに維持するだけで、代わりに0.5 K(8倍低い温度)に維持する必要があるため、MMICのこのセクターを管理するには8倍以上の冷却リソースが必要である。
【発明の概要】
【0006】
一例では、第1のサーマルシンク層、第1の動作温度要件を有する第1のセットの回路に関連する第1の接地面、および第1の接地面を第1のサーマルシンク層に結合する第1の熱伝導性ビアを備える集積回路が提供される。集積回路はまた、第2のサーマルシンク層、第1の動作温度要件よりも高い第2の動作温度要件を有する第2のセットの回路に関連する第2の接地面、および第2の接地面を第2のサーマルシンク層に結合する第2の熱伝導性ビアを備える。第1のサーマルシンク層は、第1のセットの回路を第1の動作温度要件に維持するために第1の温度で冷却され、第2のサーマルシンク層は、第2のセットの回路を第2の動作温度要件に維持するために第2の温度で冷却される。
【0007】
別の例では、第1の動作温度要件を有する第1のセットの超伝導回路に関連する第1の導電性接地面と、第1の動作温度要件よりも高い第2の動作温度要件を有する第2のセットの超伝導回路に関連する第2の導電性接地面と、第1および第2の導電性接地面の上または下の一方に配置された第1のサーマルシンク層と、第1および第2の導電性接地面の上または下の他方に配置された第2のサーマルシンク層と、を備える、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)が提供される。MMICはさらに、それぞれが基板を介して第1の導電性接地面を第1のサーマルシンク層に結合する第1のセットの熱伝導性ビアと、それぞれが第2の接地面を第2のサーマルシンク層に結合する第2のセットの熱伝導性ビアと、を備える。
【0008】
さらに別の例では、複数のサーマルシンク層を備える集積回路であって、各サーマルシンク層が他のサーマルシンク層と互いに熱的に隔離されており、複数の接地面の各々が、他とは異なる動作温度要件を各々有する回路のそれぞれのセットに関連付けられている、集積回路が提供される。複数の接地面の各々は、それぞれのサーマルビアによってそれぞれのサーマルシンク層に結合され、各サーマルシンク層は、それぞれの動作温度要件でその結合された接地面を維持するために、それぞれの温度で冷却される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図2の線A-Aに沿った集積回路の一部の断面図を示す。
【
図4】
図2の線B-Bに沿った集積回路の一部の断面図を示す。
【
図5】さらに別の集積回路例の一部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、異なる動作温度要件で動作する回路のセットのための別個の専用接地面を含む集積回路(例えば、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC))を説明する。それぞれの個別の接地面は、1つまたは複数の関連するサーマルビア(接点)によってそれぞれのサーマルシンク層に結合される。各サーマルシンク層は、冷却温度ゾーンで適切に所定の温度で冷却することができ、それぞれの別個の接地面からの適切なヒートシンクを可能にして、回路のそれぞれのセットをそれらの所望の動作温度要件に維持する。このようにして、動作要件を維持するために各サーマルシンク層を最低温度に保持する必要はなく、デバイス全体を冷却するために必要な電力が削減されるように、それぞれの動作温度要件のみを保持する必要がある。
【0011】
特定の例は、異なる動作温度要件を有する導電性接地面および関連する超伝導回路に関して示される。しかしながら、他の例は、導電性接地面および関連する超伝導回路ならびに非超伝導性接地面および関連する回路の混合物、または異なる動作温度要件を有する非超伝導性回路および関連する回路の混合物を含み得る。
【0012】
図1は、集積回路10の一部の一例の断面図を示す。集積回路10の一部は、基板14の上にある第1の誘電体層16、第1の誘電体層16の上にある第2の誘電体層18、および第2の誘電体層18の上にある第3の誘電体層20を含む。基板14は、シリコン、ガラスまたは他の基板材料で形成することができる。第1のサーマルシンク層12は、基板14の底部に存在し、第2のサーマルシンク層34は、集積回路10の上面に存在する。第1の誘電体層16は、基板と集積回路10のアクティブ回路との間にバッファ層を提供する。第1の導電性接地面22および第1のセットの超伝導回路24は、第2の誘電体層18に配置され、第2の導電性接地面28および第2のセットの回路30は、第3の誘電体層20に存在する。第1の導電性接地面22および第1のセットの超伝導回路24は、第1の動作温度要件を有し、第2の導電性接地面28および第2のセットの超伝導回路30は、第2の動作温度要件を有する。
【0013】
第1の動作温度要件は、第2の動作温度要件とは異なり、第2の動作温度要件よりも低く、これにより、第2の動作温度要件は、第1の動作温度要件よりも高くなる。動作温度要件という用語は、接地面の回路材料および回路のセットがそれらの特性を維持するための温度以下で動作する必要がある動作温度を指す。例えば、第1の導電性接地面および第1のセットの超伝導回路は、適切な動作のために動作温度を500ミリケルビン以下に維持する必要があるアルミニウムの利用を含み得、一方、第2の導電性接地面および第2のセットの回路は、適切な動作のために動作温度を4.2ケルビン以下に維持する必要があるニオブの利用を含み得る。つまり、動作温度要件が低い回路のセットは、動作温度要件が高い回路のセットよりも、消費電力1ワットあたりより多くの冷却リソースを必要とする。
【0014】
第1のサーマルビア26は、第1の導電性接地面22を第1のサーマルシンク層12に接続し、第2のサーマルビア32は、第2の導電性接地面28を第2のサーマルシンク層34に接続する。第1のサーマルシンク層12および第2のサーマルシンク層34は両方とも熱伝導性材料で形成されている。熱伝導性材料は、熱を容易に伝達するような比較的優れた熱伝導体である材料である。超伝導材料は、優れた導電性材料であるが、熱伝導性の低い材料である(超伝導ではない通常の金属と比較して)。したがって、第1のサーマルシンク層12も第2のサーマルシンク層34も、超導電性材料で形成されていない。さらに、第1のサーマルビア26および第2のサーマルビア32は、熱伝導性材料で形成することができる。これは、導電性接地層からそれぞれのサーマルシンク層に熱を伝導するのに比較的優れた材料である。第1のサーマルシンク層12は、第1の外部冷却ソースによって第1の冷却温度ゾーンで冷却されて、第1のサーマルシンク層12を第1の温度以下に保持することができ、第2のサーマルシンク層34は、第2の外部冷却ソースによって第2の冷却温度ゾーンで冷却されて、第2のサーマルシンク層34を第1の温度よりも高い第2の温度以下に保持することができる。第1の外部ソースと第2の外部ソースは、異なる冷却デバイス、または同じ冷却デバイスの異なるステージからのものにすることができる。一例では、第1のサーマルシンク層12、第2のサーマルシンク層34、第1のサーマルビア26および第2のサーマルビア32はすべて銅で形成されている。熱伝導性材料の代替例には、金、銀、タングステン、モリブデン、イリジウム、およびロジウムが含まれる。
【0015】
誘電体層18は、層28のフォノンと層22および24のフォノンとの間の結合を防ぐのに十分な厚さでなければならない。これらの層を切り離すための最小の厚さは、層24の回路におけるより低い動作温度での誘電体18の支配的なフォノン波長によって設定される。これらの層間の直接結合を防ぐために、誘電体層18は4フォノン波長よりも厚くする必要がある。例えば、二酸化ケイ素では、500mKでの支配的なフォノン波長は21ナノメートルであるため、二酸化ケイ素で作られた誘電体層18は、少なくとも84ナノメートルの厚さでなければならない。誘電体層18が厚い場合、金属と誘電体との間の熱境界抵抗は、金属層間の熱流を最小限に抑えるであろう。金属のフォノンは誘電体のフォノンとうまく適合しない。この音響境界抵抗は、層28から層18へ、および層18から層22および24への熱流に対する有効なバリアである。十分に厚い誘電体層18は、エバネッセント金属層フォノン波間の結合を排除し、フォノンが誘電体バリアを横切ってホッピングするのを防ぐ。
【0016】
したがって、第1の導電性接地面22および第1のセットの超伝導回路24の温度は、異なる冷却ソースによって異なる冷却温度ゾーンで異なる温度に保持された異なるサーマルシンク層を使用することによって、第2の導電性接地面28および第2のセットの超伝導回路30よりも低い温度に維持することができる。第1のサーマルシンク層12は、第1の動作温度要件以下になり得る温度に冷却されて、第1の導電性接地面22および第1のセットの超伝導回路24を第1の動作温度要件に維持することができ、第2のサーマルシンク層12は、第2の動作温度要件以下になり得る温度に冷却されて、第2の導電性接地面28および第2のセットの超伝導回路30を第2の動作温度要件に維持することができる。
【0017】
図1は、単一の第1のサーマルビア26および単一の第2のサーマルビア32を示しているが、第1の導電性接地面22および第1のセットの超伝導回路24の温度を第1の動作温度要件以下に、また第2の導電性接地面28および第2のセットの超伝導回路30を第2の動作温度要件以下に維持するために、より多くの数の第1のサーマルビアおよび第2のサーマルビアがあり得る。
【0018】
図2は、別の例示的な集積回路40の一部の断面図を示す。集積回路40の一部は、基板44の上にある第1の誘電体層46、第1の誘電体層46の上にある第2の誘電体層48、および第2の誘電体層48の上にある第3の誘電体層50を含む。基板44は、シリコン、ガラスまたは他の基板材料で形成することができる。第1のサーマルシンク層42は、基板44の底部に存在し、第2のサーマルシンク層64は、集積回路40の上面に存在する。第1の誘電体層46は、基板44と集積回路40のアクティブ回路との間にバッファ層を提供する。第1の導電性接地面52および第1のセットの超伝導回路54は、第2の誘電体層48に配置され、第2の導電性接地面56および第2のセットの回路58は、第1の導電性接地面52および第1のセットの超伝導回路54と隣接する関係で第2の誘電体層48に配置される。第1の導電性接地面52および第1のセットの超伝導回路54は、第1の動作温度要件を有し、第2の導電性接地面56および第2のセットの超伝導回路58は、第2の動作温度要件を有する。
【0019】
この例では、第1の動作温度要件は、第2の動作温度要件とは異なり、第2の動作温度要件よりも低く、その結果、第2の動作温度要件は、
図1の例と同様に第1の動作温度要件よりも高い。第1の導電性接地面52および第1のセットの超伝導回路54は、適切な動作のために動作温度を500ミリケルビン以下に維持する必要があるアルミニウムの利用を含み得、一方、第2の超伝導接地面56および第2のセットの超電導回路58は、適切な動作のために動作温度を4ケルビン以下に維持する必要があるニオブの利用を含み得る。
【0020】
第1のセットのサーマルビア62は、第1の導電性接地面52を第1のサーマルシンク層42に接続し、第2のセットのサーマルビア60は、第2の導電性接地面56を第2のサーマルシンク層64に接続する。第1のサーマルシンク層42および第2のサーマルシンク層64は、熱伝導性材料で形成されている。さらに、第1のセットのサーマルビア62および第2のセットのサーマルビア60は、熱伝導性材料で形成することができる。一例では、第1のサーマルシンク層42、第2のサーマルシンク層64、第1のセットのサーマルビア62、および第2のセットのサーマルビア60はすべて銅で形成されている。
【0021】
第1のサーマルシンク層42は、第1の外部冷却ソースによって第1の冷却温度ゾーンで冷却されて、第1のサーマルシンク層42を第1の温度以下に保持することができ、第2のサーマルシンク層64は、第2の外部冷却ソースによって第2の冷却温度ゾーンで冷却されて、第2のサーマルシンク層64を第1の温度よりも高い第2の温度以下に保持することができる。また、第1の外部ソースおよび第2の外部ソースは、異なる冷却デバイス、または同じ冷却デバイスの異なるステージからのものであり得る。
【0022】
図3は、線A-Aに沿った集積回路40の一部の断面図を示す。
図4は、線B-Bに沿った集積回路40の一部の断面図を示す。
図3~4に示されるように、第1のセットのサーマルビア62に関連する熱伝導性材料の断面は、第2のセットのサーマルビア60に関連する熱伝導性材料の断面と同じである。しかしながら、所望の設計および冷却要件に基づいて、第1および第2のセットのサーマルビアのいずれかまたは両方のサーマルビアの数およびサイズを変更して、所望の冷却要件を可能な限り効率的に達成することができる。
【0023】
図1~4の例は、2つの異なる温度冷却ゾーンにさらされた2つの異なるサーマルシンク層を利用して、集積回路全体を最低温度要件にさらすことなく、2つの異なる動作温度要件を有する回路および接地面をそれぞれの所望の温度以下に維持し、したがって、集積回路内のすべての回路の適切な動作を維持するために必要なエネルギーを節約する、集積回路を示す。しかしながら、他の例には、実際の制限に基づいて3つ以上の異なる動作温度要件を有する回路の適切な動作を維持するために、3つ以上の冷却温度ゾーンおよび関連するサーマルシンク層を含めることができる。
【0024】
図5は、集積回路70のさらに別の例の一部の断面図を示す。集積回路70の一部は、基板78の上にある第1の誘電体層80、第1の誘電体層80の上にある第2の誘電体層82、および第2の誘電体層82の上にある第3の誘電体層84を含む。基板78は、シリコン、ガラスまたは他の基板材料で形成することができる。第1のサーマルシンク層72は、基板78の底部の第1の側に存在し、第2のサーマルシンク層76は、例えば、絶縁領域であり得る分離領域74によって互いに分離された基板78の底部の第2の側に存在する。第1の導電性接地面86および第1のセットの回路88は、第1の誘電体層80に配置され、第2の導電性接地面90および第2のセットの回路92は、第1の導電性接地面86および第1のセットの回路88に隣接する関係で第1の誘電体層80に存在する。第1の導電性接地面86および第1のセットの回路88は、第1の動作温度要件を有し、第2の導電性接地面90および第2のセットの回路92は、第2の動作温度要件を有する。
【0025】
第3のサーマルシンク層110は、集積回路70の上面の第1の側に存在し、第4のサーマルシンク層114は、例えば、絶縁領域であり得る分離領域112によって互いに分離された集積回路70の上面の第2の側に存在する。第3の導電性接地面98および第3のセットの回路100は、第2の誘電体層82に配置され、第4の導電性接地面102および第4のセットの回路104は、第3の導電性接地面98および第3のセットの回路100に隣接する関係で第2の誘電体層82に存在する。第3の導電性接地面98および第3のセットの回路100は、第3の動作温度要件を有し、第4の導電性接地面102および第4のセットの回路104は、第4の動作温度要件を有する。
【0026】
第1のサーマルビア94は、第1の導電性接地面86を第1のサーマルシンク層72に接続し、第2のサーマルビア96は、第2の導電性接地面90を第2のサーマルシンク層76に接続する。さらに、第3のサーマルビア106は、第3の導電性接地面98を第3のサーマルシンク層110に接続し、第4のサーマルビア108は、第4の導電性接地面102を第4のサーマルシンク層114に接続する。各サーマルシンク層は、熱伝導性材料で形成されている。第1のサーマルシンク層72は、第1の外部冷却ソースによって第1の冷却温度ゾーンで冷却されて、第1のサーマルシンク層72を第1の温度以下に保持することができ、第2のサーマルシンク層76は、第2の外部冷却ソースによって第2の冷却温度ゾーンで冷却されて、第2のサーマルシンク層76を第1の温度よりも高い第2の温度以下に保持することができる。
【0027】
さらに、第3のサーマルシンク層110は、第3の外部冷却ソースによって第3の冷却温度ゾーンで冷却されて、第3のサーマルシンク層110を第3の温度以下に保持することができ、第4のサーマルシンク層114は、第4の外部冷却ソースによって第4の冷却温度ゾーンで冷却されて、第4のサーマルシンク層114を第4の温度以下に保持することができる。各サーマルシンク層は、他のサーマルシンク層から熱的に隔離されている。第1の温度、第2の温度、第3の温度および第4の温度はそれぞれ互いに異なる。第1の外部ソース、第2の外部ソース、第3の外部ソースおよび第4の外部ソースは、それぞれ異なる冷却デバイス、または同じ冷却デバイスの異なるステージからのものであり得る。さらに、第1のセットの回路、第2のセットの回路、第3のセットの回路、および第4のセットの回路のそれぞれは、集積回路が1つまたは複数の異なる温度要件で動作する従来の回路と、1つまたは複数の異なる温度要件で動作する超伝導回路の両方を含むことができるように、超伝導回路または非超伝導回路の1つであり得る。
【0028】
上で説明したのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法論の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者であれば、本発明の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることが分かるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に入るそのようなすべての変更、修正、および変形を包含することが意図されている。