(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】接着・粘着層形成用組成物及び接着・粘着性重合体
(51)【国際特許分類】
C09J 4/02 20060101AFI20220930BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220930BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220930BHJP
C08F 220/36 20060101ALI20220930BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J201/00
C09J11/06
C08F220/36
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2022027066
(22)【出願日】2022-02-24
(62)【分割の表示】P 2021153254の分割
【原出願日】2021-09-21
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2020162326
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】飯島 良紘
(72)【発明者】
【氏名】石垣 仁寛
(72)【発明者】
【氏名】堀江 翔一
(72)【発明者】
【氏名】矢野 亮太
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-235948(JP,A)
【文献】特表2003-505561(JP,A)
【文献】特開2011-215580(JP,A)
【文献】特開2007-302860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
C08F 220/36
C08F 290/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される、HPLCにより測定される純度が35%以上である重合性化合物を含有
し、
前記重合性化合物の含有量が、固形分を基準として、0.5質量%以上である接着・粘着層形成用組成物。
(前記一般式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示し、R
1~R
4のうちの
2以上が水酸基である。R
5は-O
-を示し、R
6
は炭素数2以上
10以下のアルキレン基を示し、R
7は水素原子又はメチル基を示す)
【請求項2】
HPLCにより測定される前記重合性化合物の純度が60%以上である請求項
1に記載の接着・粘着層形成用組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)中、R
6が炭素数2~6のアルキレン基である請求項1
又は2に記載の接着・粘着層形成用組成物。
【請求項4】
重合開始剤をさらに含有する請求項1~
3のいずれか一項に記載の接着・粘着層形成用組成物。
【請求項5】
下記一般式(1)で表される、HPLCにより測定される純度が35%以上である重合性化合物に由来する構成単位を有
し、
前記構成単位の含有量が、接着・粘着性重合体の全体を基準として、0.5質量%以上である接着・粘着性重合体。
(前記一般式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示し、R
1~R
4のうちの
3以上が水酸基である。R
5は-O
-を示し、R
6
は炭素数2以上
4以下のアルキレン基を示し、R
7は水素原子又はメチル基を示す)
【請求項6】
HPLCにより測定される前記重合性化合物の純度が60%以上である請求項
5に記載の接着・粘着性重合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着・粘着層形成用組成物及び接着・粘着性重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イガイ等の海洋生物に含まれるドーパやドーパミン等のカテコール骨格を有する化合物やこれらの誘導体をモノマーとする、様々な機能を示す重合体が提案されている。例えば、ドーパミンアクリルアミド等のモノマーを含有する硬化性の樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。また、(メタ)アクリロイル基を有するカテコール類の誘導体、及びこのカテコール類の誘導体を防臭剤として含有する光硬化性コーティング組成物が提案されている(特許文献2)。
【0003】
なお、カテコール骨格以外にも、ピロガロール骨格を有する化合物の誘導体をモノマーとすることが提案されている。例えば、光重合性を有するピロガロール類の誘導体(没食子酸誘導体)を電子受容性化合物として用いることが提案されている(特許文献3)。また、液晶配向層に用いられる光活性ポリマー用のモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を有する没食子酸誘導体が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/221135号
【文献】特開2009-203408号公報
【文献】特開2000-272244号公報
【文献】特表2003-505561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2で提案されたカテコール骨格を有するモノマーの原料となるドーパやドーパミン等の化合物は、比較的高価であるとともに入手が困難なものであった。さらに、これらの化合物を用いた場合であっても、形成される接着層や粘着層の特性(接着性、粘着性)は必ずしも十分であるとは言えず、さらなる改良の余地があった。
【0006】
また、特許文献3及び4には、没食子酸誘導体を用いて接着層や粘着層を形成するための組成物や重合体を得ることについて何ら開示されていない。さらに、カテコール類の誘導体や没食子酸誘導体を効率的に製造する有効な方法はこれまで知られていなかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、接着性や粘着性に優れた接着層等を各種の基材上に良好な密着性で形成しうる接着・粘着層形成用組成物及び接着・粘着性重合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下に示す接着・粘着層形成用組成物が提供される。
[1]下記一般式(1)で表される、HPLCにより測定される純度が35%以上である重合性化合物を含有する接着・粘着層形成用組成物。
【0009】
(前記一般式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示し、R
1~R
4のうちの1以上が水酸基である。R
5は-O-又は-NH-を示し、R
6はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示し、R
7は水素原子又はメチル基を示す)
【0010】
[2]前記一般式(1)中、R1~R4のうちの2以上が水酸基であり、R5が-O-であり、R6がエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上10以下のアルキレン基である前記[1]に記載の接着・粘着層形成用組成物。
[3]HPLCにより測定される前記重合性化合物の純度が60%以上である前記[1]又は[2]に記載の接着・粘着層形成用組成物。
[4]前記一般式(1)中、R6が炭素数2~6のアルキレン基である前記[1]~[3]のいずれかに記載の接着・粘着層形成用組成物。
[5]重合開始剤をさらに含有する前記[1]~[4]のいずれかに記載の接着・粘着層形成用組成物。
【0011】
また、本発明によれば、以下に示す接着・粘着性重合体が提供される。
[6]下記一般式(1)で表される、HPLCにより測定される純度が35%以上である重合性化合物に由来する構成単位を有する接着・粘着性重合体。
【0012】
(前記一般式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示し、R
1~R
4のうちの1以上が水酸基である。R
5は-O-又は-NH-を示し、R
6はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示し、R
7は水素原子又はメチル基を示す)
【0013】
[7]前記一般式(1)中、R1~R4のうちの2以上が水酸基であり、R5が-O-であり、R6がエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上10以下のアルキレン基である前記[6]に記載の接着・粘着性重合体。
[8]HPLCにより測定される前記重合性化合物の純度が60%以上である前記[6]又は[7]に記載の接着・粘着性重合体。
[9]前記一般式(1)中、R6が炭素数2~6のアルキレン基である前記[6]~[8]のいずれかに記載の接着・粘着性重合体。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接着性や粘着性に優れた接着層等を各種の基材上に良好な密着性で形成しうる接着・粘着層形成用組成物及び接着・粘着性重合体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<重合性化合物>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の重合性化合物の一実施形態は、下記一般式(1)で表される重合性を有する化合物であり、HPLCにより測定される純度が35%以上である。以下、本実施形態の重合性化合物に詳細について説明する。
【0016】
(前記一般式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示し、R
1~R
4のうちの1以上が水酸基である。R
5は-O-又は-NH-を示し、R
6はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示し、R
7は水素原子又はメチル基を示す)
【0017】
一般式(1)中、R1~R4のうちの2以上が水酸基であることが好ましく、R1~R4のうちの3以上が水酸基であることがさらに好ましい。また、一般式(1)中、R5は-O-(エーテル結合)であることが好ましい。そして、一般式(1)中、R6は炭素数2~8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~6のアルキレン基であることがより好ましい。このような構造とすることで、接着性や粘着性により優れた接着層等を各種の基材上にさらに良好な密着性で形成しうる接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を提供可能な重合性化合物とすることができる。なお、一般式(1)中、R6で表されるアルキレン基の炭素数が2である場合、原料として用いるアルコール化合物の水溶性が高いため、得られる重合性化合物の精製がやや困難になり、純度や収率が低下することがある。このため、重合性化合物の合成のしやすさ、純度、及び収率等の観点からは、一般式(1)中のR6は、炭素数3~6のアルキレン基であることが好ましく、炭素数4~6のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数4のアルキレン基であることが特に好ましい。
【0018】
本実施形態の重合性化合物は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定される純度が35%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。このような高純度の重合性化合物とすることで、接着性や粘着性により優れた接着層等を形成可能な接着・粘着層形成用組成物等を調製することができる。
【0019】
本実施形態の重合性化合物の純度は、HPLCにより測定される。重合性化合物の純度は、HPLCにより測定される、波長294nmの光(紫外線(UV))の吸収強度の変化を記録したクロマトグラムの全ピーク面積に占める、一般式(1)で表される重合性化合物に対応する吸収ピークの面積の割合(百分率)で表される。クロマトグラムの全ピーク面積とは、HPLCで分離された各成分に由来する吸収ピークの面積の合計を意味する。但し、重合性化合物の希釈溶媒及び気泡に由来する吸収ピーク;希釈溶媒及び溶離液に含まれる不純物に由来する吸収ピーク;溶離液の組成のグラジエントによるバックグラウンドの変化に伴う吸収ピーク;面積比0.1%以下の吸収ピーク;並びに希釈溶媒のみを測定した際に得られるバックグラウンドピーク;については、クロマトグラムの全ピーク面積には含めない。HPLCの条件は、以下のようにすることができる。
分析機器:LC-30AD、SPD-M20A、及びLCMS-8050からなるLCMSシステム(島津製作所社製)
溶離液:アセトニトリル-3%酢酸水溶液(1:19→17:3(v/v)、40分間かけてグラジエント)
流速:0.2mL/min
カラム:L-column2 ODS.2μm(3.0×100mm)(化学物質評価研究機構社製)
カラム温度:40℃
試料:約100ppmTHF溶液2.0μL
検出波長:294nm
【0020】
<重合性化合物の製造方法>
次に、本発明の重合性化合物の製造方法について説明する。本発明の重合性化合物の製造方法の一実施形態は、上述の重合性化合物の製造方法であって、下記一般式(2)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸ハロゲン化物とを反応させて反応物を得る工程(以下、「工程(1)」とも記す)を有する。
【0021】
(前記一般式(2)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示し、R
1~R
4のうちの1以上が水酸基である。R
5は-O-又は-NH-を示し、R
6はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示す)
【0022】
一般式(2)中のR1~R6は、一般式(1)中のR1~R6と同義である。すなわち、一般式(1)中、R1~R4のうちの2以上が水酸基であることが好ましく、R1~R4のうちの3以上が水酸基であることがさらに好ましい。また、一般式(1)中、R5は-O-(エーテル結合)であることが好ましい。そして、一般式(1)中、R6は炭素数2~8のアルキレン基であることが好ましく、2~6のアルキレン基であることがより好ましく、3~6のアルキレン基であることがさらに好ましく、4~6のアルキレン基であることが特に好ましく、4のアルキレン基であることが最も好ましい。
【0023】
工程(1)では、下記反応式に示すように、一般式(2)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸ハロゲン化物とを反応させる。これにより、一般式(1)で表される重合性化合物を得ることができる。反応の際には、触媒を用いてもよい。触媒としては、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸無水物、硫酸、塩酸、及びリン酸等の酸触媒を用いることができる。なお、(メタ)(メタ)アクリル酸無水物を用いる場合には、触媒の存在下で(メタ)(メタ)アクリル酸無水物を反応させることが好ましい。下記反応式中のR7は、一般式(1)中のR7と同義であり、水素原子又はメチル基を示す。また、下記反応式中のXは、ハロゲン原子を示す。
【0024】
【0025】
(メタ)アクリル酸ハロゲン化物としては、(メタ)アクリル酸の塩化物、臭化物、及びヨウ化物等を用いることができる。また、基質(材料化合物)を適当な有機溶媒に溶解又は分散させた状態で反応させることが好ましい。有機溶媒としては、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジグリム、N-メチルピロリドン、及びN,N-ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。反応は、低温~加熱条件下で実施すればよく、0~120℃で実施することが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させる際の温度は、0~60℃とすることが好ましい。また、(メタ)アクリル酸無水物を反応させる際の温度は、80~120℃とすることが好ましい。
【0026】
一般式(2)で表される化合物として、市販品を用いてもよく、合成品を用いてもよい。一般式(2)で表される化合物は、例えば下記反応式に示すように、ヒドロキシ安息香酸類と、グリコール類とを反応させて調製することができる。なお、下記反応式中のR1~R6は、一般式(1)中のR1~R6と同義である。また、触媒としては、上記の工程(1)で使用しうる触媒と同様の触媒を用いることができる。
【0027】
【0028】
工程(1)では、(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸ハロゲン化物は、一般式(2)中の芳香族水酸基(R1~R4)よりも、脂肪族水酸基に優先的に反応する。但し、(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸ハロゲン化物は一部の芳香族水酸基とも反応して副反応物が生成し、得られる重合性化合物に不純物として混在することになる。副反応物としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。本実施形態の重合性化合物中の、HPLCにより測定される下記一般式(3)で表される化合物の含有量は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
【0029】
(前記一般式(3)中、R
11~R
14は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は下記一般式(4)で表される基を示し、R
11~R
14のうちの1以上が下記一般式(4)で表される基である。R
5は-O-又は-NH-を示し、R
6はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2以上のアルキレン基を示し、R
7は水素原子又はメチル基を示す)
【0030】
(前記一般式(4)中、*はベンゼン環との結合位置を示し、R
7は水素原子又はメチル基を示す)
【0031】
工程(1)によって得られる重合性化合物には、未反応の原料化合物である一般式(2)で表される化合物が不純物として混在することがある。本実施形態の重合性化合物中の、HPLCにより測定される一般式(2)で表される化合物の含有量は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
【0032】
本実施形態の重合性化合物の製造方法は、上記の工程(1)で得た反応物を塩基性条件下で処理する工程(以下、「工程(2)」とも記す)をさらに有することが好ましい。工程(1)で得た反応物を塩基性条件下で処理することで、一般式(3)で表される化合物等の副反応物を分解、好ましくは加水分解し、得られる重合性化合物の純度を高めることができる。
【0033】
工程(2)では、例えば、工程(1)で得た反応物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液中で処理する。処理温度は、室温(25℃)~100℃とすることが好ましく、40~80℃とすることがさらに好ましい。工程(1)又は工程(2)の後は、常法にしたがって分離・精製等することで、目的とする重合性化合物を得ることができる。
【0034】
<接着・粘着層形成用組成物>
本発明の接着・粘着層形成用組成物の一実施形態は、前述の重合性化合物を含有するものである。本実施形態の接着・粘着層形成用組成物は、前述の重合性化合物を含有するため、接着性や粘着性に優れた接着層・粘着層を各種の基材上に形成することができる。また、本実施形態の接着・粘着層形成用組成物を用いることで、密着性に優れた接着層や粘着層を各種の基材上に形成することができる。
【0035】
接着・粘着層形成用組成物中の一般式(1)で表される重合性化合物の含有量は、目的に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。具体的には、重合性化合物の含有量は、接着・粘着層形成用組成物中の固形分を基準として、通常、0.1~90質量%、好ましくは0.3~50質量%、さらに好ましくは0.5~20質量%、特に好ましくは0.5~10質量%である。
【0036】
本実施形態の接着・粘着層形成用組成物には、上記の一般式(1)で表される重合性化合物以外の重合性モノマーや樹脂等を含有させてもよい。重合性モノマー及び樹脂としては、従来公知の各種重合性モノマーや樹脂を用いることができる。
【0037】
本実施形態の接着・粘着層形成用組成物は、重合開始剤をさらに含有することが好ましい。重合開始剤としては、光重合開始剤や熱重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド類;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、及びジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾイン、及びベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、及びヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;その他のハロゲン化ケトン、及びアシルフォスファナート等を挙げることができる。
【0038】
熱重合開始剤としては、アゾ化合物及び有機過酸化物等を用いることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、及び2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン酸)ジメチル等を挙げることができる。有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド系化合物、ジアルキルパーオキサイド系化合物、パーオキシエステル系化合物、ジアシルパーオキサイド系化合物、ケトンパーオキサイド系化合物、パーオキシケタール系化合物、及びパーオキシジカーボネート系化合物等を挙げることができる。
【0039】
本実施形態の接着・粘着層形成用組成物は、溶剤をさらに含有させることで、適度な塗工性(塗布性)を有する塗料とすることができる。溶剤としては、水や各種有機溶剤を用いることができる。
【0040】
本実施形態の接着・粘着層形成用組成物には、その他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、チキソ付与剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、熱可塑性樹脂、帯電防止剤、ワックス、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、及び消臭剤等を挙げることができる。
【0041】
本実施形態の接着・粘着層形成用組成物を基材上に塗布して形成した塗工層を硬化させることで、接着層や粘着層を形成することができる。接着・粘着層形成用組成物を基材上に塗布する方法としては、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ナイフコート、及びダイコート等を挙げることができる。
【0042】
塗工層(接着・粘着層形成用組成物)を硬化させる方法としては、光重合開始剤を用いた場合、可視光線、紫外線、及び電子線等の活性エネルギー線の照射装置を使用し、塗工層に活性エネルギー線を所定の光量で照射する方法を採用することができる。照射装置としては、キセノンランプ、キセノン-水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、及びフュージョンランプ等を挙げることができる。一方、熱重合開始剤を用いた場合には、例えば、高温炉等を使用し、好ましくは50~250℃に加熱する方法を採用することができる。
【0043】
<接着・粘着性重合体>
本発明の接着・粘着性重合体の一実施形態は、前述の一般式(1)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する。本実施形態の接着・粘着性重合体は、前述の一般式(1)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有するため、接着性や粘着性に優れた接着層・粘着層を各種の基材上に形成することができる。また、本実施形態の接着・粘着性重合体を用いることで、密着性に優れた接着層や粘着層を各種の基材上に形成することができる。
【0044】
接着・粘着性重合体中の一般式(1)で表される重合性化合物に由来する構成単位の含有量は、目的に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。具体的には、一般式(1)で表される重合性化合物に由来する構成単位の含有量は、接着・粘着性重合体の全体を基準として、通常、0.1~90質量%、好ましくは0.3~50質量%、さらに好ましくは0.5~20質量%、特に好ましくは0.5~10質量%である。
【0045】
本実施形態の接着・粘着性重合体は、前述の一般式(1)で表される重合性化合物に由来する構成単位以外の構成単位(その他の構成単位)を有していてもよい。その他の構成単位は、通常の接着・粘着性重合体を構成する従来公知の重合性モノマーや樹脂を用いて形成することができる。
【0046】
<各種製品>
本実施形態の接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を用いることで、粘着シート等の製品を形成することができる。粘着シートは、シート状の支持体と、この支持体の片面又は両面に設けられた接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体により形成された粘着剤層とを備える。支持体としては、樹脂フィルム、樹脂フィルムを含むラミネートフィルム、紙、織布、及び不織布等を挙げることができる。樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート等を挙げることができる。粘着剤層の表面上には、粘着剤層を保護するために剥離フィルムを積層しておいてもよい。
【0047】
また、接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体を用いることで、光学フィルム等として有用な各種の積層体を形成することができる。積層体は、第1の基材と第2の基材とが、前述の接着・粘着層形成用組成物や接着・粘着性重合体によって形成された接着層や粘着層を介して積層されたものである。第1の基材と第2の基材とは、同一の材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
【0048】
基材(第1の基材及び第2の基材)の材質としては、ガラス、ハイドロキシアパタイト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウムスズ(ITO)等の無機材料;アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、これらの合金等の金属材料;ポリプロプレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、繊維強化プラスチック(FRP)、モリブデン-アルミニウム-モリブデン積層構造(MAM)等の有機材料;を挙げることができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0050】
<重合性化合物の製造>
(実施例1)
下記式(2-1)で表される化合物73部を1,4-ジオキサン300部に懸濁させた後、メタクリル酸無水物56部及びパラトルエンスルホン酸水和物3部を添加し、100℃で4時間加熱した。冷却後、分液、ろ過、及び減圧乾燥して、下記式(1-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物1 85部(収率:91%)を得た。HPLCにより測定した重合性化合物1の純度(HPLC純度)は79%であった。得られた重合性化合物1(式(1-1)で表される化合物)の1H-NMRの測定結果(ケミカルシフト)を以下に示す。また、HPLCによる純度の測定条件を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6,400MHz):δ=1.75(4H,m),1.88(3H,s),4.16(2H,t,J=5.6Hz),4.20(2H,t,J=5.4Hz),5.67(1H,m),6.03(1H,m),6.95(2H,s),9.17(3H,s,br)
【0051】
[HPLCによる純度の測定条件]
分析機器:LC-30AD、SPD-M20A、及びLCMS-8050からなるLCMSシステム(島津製作所社製)
溶離液:アセトニトリル-3%酢酸水溶液(1:19→17:3(v/v)、40分間かけてグラジエント)
流速:0.2mL/min
カラム:L-column2 ODS.2μm(3.0×100mm)(化学物質評価研究機構社製)
カラム温度:40℃
試料:約100ppmTHF溶液2.0μL
検出波長:294nm
【0052】
【0053】
(実施例2)
式(2-1)で表される化合物12部をN―メチルピロリドン36部に溶解させ、メタクリル酸塩化物8部を加えて、室温(25℃)で2.5時間反応させた。分液、ろ過、減圧乾燥して、式(1-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物2 15部(収率:99%)を得た。得られた重合性化合物2のHPLC純度は82%であった。
【0054】
(実施例3)
前記式(2-1)で表される化合物73部を1,4-ジオキサン300部に懸濁させた後、メタクリル酸無水物56部及びパラトルエンスルホン酸水和物3部を添加し、100℃で4時間加熱した。次いで、水酸化ナトリウム19部及び水300部を添加し、60℃で8時間加熱した。冷却後、分液、ろ過、及び減圧乾燥して、前記式(1-1)で表される化合物を主成分とする重合性化合物3 82部(収率:88%)を得た。得られた重合性化合物3のHPLC純度は98%であった。
【0055】
(実施例4)
下記式(2-2)で表される化合物81部を1,4-ジオキサン300部に懸濁させた後、メタクリル酸無水物56部及びパラトルエンスルホン酸水和物3部を添加し、100℃で4時間加熱した。次いで、水酸化ナトリウム19部及び水300部を添加し、60℃で8時間加熱した。冷却後、分液、ろ過、及び減圧乾燥して、下記式(1-2)で表される化合物を主成分とする重合性化合物4 89部(収率:88%)を得た。得られた重合性化合物4のHPLC純度は83%であった。得られた重合性化合物4(式(1-2)で表される化合物)の1H-NMRの測定結果(ケミカルシフト)を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6,400MHz):δ=1.35-1.44(4H,m),1.60-1.71(4H,m),1.88(3H,s),4.10(2H,t,J=6.6Hz),4.16(2H,t,J=6.3Hz),5.66(1H,m),6.01(1H,m),6.95(2H,s),8.94(3H,s,br)
【0056】
【0057】
(実施例5)
下記式(2-3)で表される化合物68部を1,4-ジオキサン300部に懸濁させた後、メタクリル酸無水物56部及びパラトルエンスルホン酸水和物3部を添加し、100℃で4時間加熱した。次いで、水酸化ナトリウム19部及び水300部を添加し、60℃で8時間加熱した。冷却後、分液、ろ過、及び減圧乾燥して、下記式(1-3)で表される化合物を主成分とする重合性化合物5 84部(収率:95%)を得た。得られた重合性化合物5のHPLC純度は83%であった。得られた重合性化合物5(式(1-3)で表される化合物)の1H-NMRの測定結果(ケミカルシフト)を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6,400MHz):δ=1.75(4H,m),1.88(3H,s),4.16(2H,t,J=5.9Hz),4.22(2H,t,J=5.9Hz),5.67(1H,m),6.03(1H,m),6.81(1H,d,J=8.3Hz),7.31(1H,dd,J=2.0,8.3Hz),7.36(1H,d,J=2.0Hz),9.58(3H,s,br)
【0058】
【0059】
(実施例6)
メタクリル酸塩化物8部に代えて、アクリル酸塩化物7部を用いたこと以外は、前述の実施例2と同様にして、下記式(1-4)で表される化合物を主成分とする重合性化合物6 14部(収率:92%)を得た。得られた重合性化合物6のHPLC純度は97%であった。得られた重合性化合物6(式(1-4)で表される化合物)の1H-NMRの測定結果(ケミカルシフト)を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6,400MHz):δ=1.75(4H,m),4.19(4H,m),5.55(3H,s,br),5.94(1H,dd,J=10.2,1.8Hz),6.18(1H,dd,J=17.4,10.2Hz),6.34(1H,dd,J=17.4,1.8Hz),6.96(2H,s)
【0060】
【0061】
(比較例1及び2)
下記式(A)及び(B)で表される市販の化合物を、それぞれ重合性化合物13及び14(比較例1及び2)とした。
【0062】
【0063】
(実施例7及び8、比較例3)
実施例3で得た重合性化合物3(HPLC純度:98%)に、中間体である式(2-1)で表される化合物を適当量添加して希釈し、HPLC純度が60%、40%、及び30%である重合性化合物7、8、及び15を得た。
【0064】
(実施例9)
下記式(2-4)で表される化合物21部を1,4-ジオキサン500部に懸濁させた後、メタクリル酸無水物40部及びパラトルエンスルホン酸水和物1部を添加し、100℃で16時間加熱した。次いで、水酸化ナトリウム18部及び水334部を添加し、60℃で3時間加熱した。減圧乾燥、分液、及びろ過した後、再度減圧乾燥して、下記式(1-5)で表される化合物を主成分とする重合性化合物9 17部(収率:62%)を得た。得られた重合性化合物9のHPLC純度は64%であった。
【0065】
【0066】
(実施例10)
実施例9で得た重合性化合物9(HPLC純度:64%)12部を、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、減圧乾燥して、前記式(1-5)で表される化合物を主成分とする重合性化合物10 5部を得た。得られた重合性化合物10のHPLC純度は92%であった。得られた重合性化合物10(式(1-5)で表される化合物)の1H-NMRの測定結果(ケミカルシフト)を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6,400MHz):δ=1.88(3H,s),4.38-4.44(2H,m),5.70(1H,m),6.04(1H,m),6.95(2H,s),9.24(3H,s,br)
【0067】
(実施例11)
下記式(2-5)で表される化合物74部を1,4-ジオキサン90部に懸濁させた後、メタクリル酸無水物48部及びパラトルエンスルホン酸水和物2部を添加し、95℃で5時間加熱した。次いで、水酸化ナトリウム15部及び水135部を添加し、75℃で2時間加熱した。分液、ろ過、及び減圧乾燥して、下記式(1-6)で表される化合物を主成分とする重合性化合物11 33部(収率:40%)を得た。得られた重合性化合物11のHPLC純度は83%であった。得られた重合性化合物11(式(1-6)で表される化合物)の1H-NMRの測定結果(ケミカルシフト)を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6,400MHz):δ=1.28(12H,m),1.62(4H,m),1.88(3H,m),4.08(2H,t,J=6.8Hz),4.15(2H,t,J=6.8Hz),5.66(1H,m),6.01(1H,m),6.95(2H,s)
【0068】
【0069】
(実施例12)
下記式(2-6)で表される化合物73部を1,4-ジオキサン120部に懸濁させた後、メタクリル酸無水物69部及びパラトルエンスルホン酸水和物3部を添加し、95℃で4時間加熱した。次いで、水酸化ナトリウム15部及び水135部を添加し、75℃で2時間加熱した。減圧乾燥した後、液相クロマトグラフィーにより精製し、再度減圧乾燥して、下記式(1-7)で表される化合物を主成分とする重合性化合物12 50部(収率:53%)を得た。得られた重合性化合物12のHPLC純度は95%であった。得られた重合性化合物12(式(1-7)で表される化合物)の1H-NMRの測定結果(ケミカルシフト)を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6,400MHz):δ=1.78(4H,m),1.88(3H,s),4.16(2H,t,J=6.0Hz),4.31(2H,t,J=6.0Hz),5.67(1H,m),6.03(1H,m),6.35(1H,d,J=8.8Hz),7.14(1H,d,J=8.8Hz),10.05(3H,m,br)
【0070】
【0071】
得られた重合性化合物をまとめて表1-1及び1-2に示す。
【0072】
【0073】
【0074】
<接着・粘着層形成用組成物の製造(1)>
(実施例13)
UV硬化型ウレタンアクリレート(UV-3700B)(商品名「紫光UV-3700B」、三菱ケミカル社製)50部、重合開始剤(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO))5部、アクリルモノマー(アクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFA))49部、及び重合性化合物1 1部を混合して、接着・粘着層形成用組成物(塗料)を得た。
【0075】
(実施例14~24、比較例4~6、参考例1)
表2に示す配合としたこと以外は、前述の実施例13と同様にして、接着・粘着層形成用組成物(塗料)を得た。
【0076】
【0077】
<接着・粘着層形成用組成物の評価(1)>
(OCR評価(接着力の評価))
製造した塗料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの易接着面に塗工して塗工層を形成した。PETフィルム、アルミニウム板、及びガラスを形成した塗工層上にそれぞれ載置してラミネートした。UV照射して塗工層を硬化させた後、切断加工して短冊状の試験片を得、3日間放置後に剥離強度を測定した。参考例1の塗料を用いて得た試験片の剥離強度を「100(%)」とし、各試験片の接着力を相対的に評価した。評価基準を以下に示す。また、評価結果を表3に示す。
◎:150%以上
○:100%以上150%未満
△:50%以上100%未満
×:50%未満
【0078】
(OCA評価(粘着力の評価))
製造した塗料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの易接着面に塗工して塗工層を形成した。シリコーン処理済PETフィルムを形成した塗工層上に載置してラミネートした後、UV照射して塗工層を硬化させた。1日後にシリコーン処理済PETフィルムを剥離して除去した後、露出した硬化層(粘着層)上にPETフィルム、アルミニウム板、及びガラスをそれぞれ載置して圧着した。切断加工して短冊状の試験片を得、1日間放置後に剥離強度を測定した。参考例1の塗料を用いて得た試験片の剥離強度を「100(%)」とし、各試験片の粘着力を相対的に評価した。評価基準を以下に示す。また、評価結果を表3に示す。
◎:150%以上
○:100%以上150%未満
△:50%以上100%未満
×:50%未満
【0079】
【0080】
<接着・粘着層形成用組成物の製造(2)>
(実施例25)
UV硬化型ウレタンアクリレート(UT-5181)(商品名「紫光UT-5181」、三菱ケミカル社製)125部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)50部、重合性化合物3 5部、重合開始剤(TPO)5部、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)35部を混合して、接着・粘着層形成用組成物(塗料)を得た。
【0081】
(実施例26及び27、比較例7)
表4に示す配合としたこと以外は、前述の実施例25と同様にして、接着・粘着層形成用組成物(塗料)を得た。
【0082】
【0083】
<接着・粘着層形成用組成物の評価(2)>
(密着性の評価)
製造した塗料を、バーコーター♯7を用いて基材(アルミニウム板及びガラス)上にそれぞれ塗布した後、105℃で1分間乾燥させて塗膜を形成した。次いで、80W高圧水銀灯を使用し、5m/min×3パスの条件でUV照射して塗膜を硬化させて試験片を得た。得られた試験片を室温で24時間静置した後、JIS K5600-5-6:1999「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠した密着性試験を実施した。具体的には、カッターナイフを使用して硬化させた塗膜を2×2mmの碁盤目状にクロスカット(25マス)した後、24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、2分間押圧して圧着した。次いで、セロハンテープを基材に対し45°の角度で剥離する剥離試験を5回試行し、以下に示す評価基準にしたがって密着性を評価した。結果を表5に示す。なお、表5中、例えば「試行回数『5』」及び「分類『0』」の場合は、同一箇所で剥離試験を「5」回試行したときに、分類が「0」であったことを意味する。また、例えば「試行回数『1』」及び「分類『5』」の場合は、「1」回目の剥離試験で分類が「5」であったことを意味する。
「分類0」:どの格子の目も剥がれない。
「分類1」:カットの交差点における塗膜に小さな剥がれがあるが、5%未満である。
「分類2」:塗膜がカットの線に沿って、交差点において剥がれており、5%以上15%未満である。
「分類3」:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的に剥がれており、15%以上35%未満である。
「分類4」:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的に大きく剥がれており、35%以上65%未満である。
「分類5」:「分類4」以上である。
【0084】
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の重合性化合物は、接着性や粘着性に優れた接着層等を各種の基材上に良好な密着性で形成しうる接着・粘着層形成用組成物を調製するための材料として有用である。