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特許7150213アゾール誘導体、アゾール誘導体の製造方法、ならびに農園芸用薬剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】アゾール誘導体、アゾール誘導体の製造方法、ならびに農園芸用薬剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 249/08 20060101AFI20220930BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20220930BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20220930BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220930BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20220930BHJP
   A01N 47/02 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
C07D249/08 514
C07D401/12 CSP
C07D403/12
A01P3/00
A01N43/653 C
A01N47/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022504475
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2021008690
(87)【国際公開番号】W WO2021177442
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020039353
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001100
【氏名又は名称】株式会社クレハ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】正野 大河
(72)【発明者】
【氏名】百足 勉
(72)【発明者】
【氏名】高下 朋之
(72)【発明者】
【氏名】三宅 泰司
(72)【発明者】
【氏名】平田 淳也
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-230771(JP,A)
【文献】国際公開第2019/093522(WO,A1)
【文献】特表2014-520832(JP,A)
【文献】特開昭54-027563(JP,A)
【文献】特開平11-080127(JP,A)
【文献】特表2012-501294(JP,A)
【文献】国際公開第2012/169516(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体、またはそのN-オキシドもしくは許容可能な塩。
【化1】
[式(I)中、
Aは、Nであり;
およびRは、それぞれ独立に水素、C-C-アルキル基、C-C-シクロアルキル基またはC-C-シクロアルキル-C-C-アルキル基であり;
とRとは、互いに結合して環を形成していてもよく;
Zは、フェニル基、またはO、NおよびSから選択されるヘテロ原子を1、2、3もしくは4つ含む5員または6員の芳香族複素環であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、C-C-アルキル基、C-C-ハロアルキル基、C-C-アルコキシ基またはC-C-ハロアルコキシ基であり;
はZの任意の置換位置にn個結合しており;
およびRの少なくとも一方が水素ではない場合、nは0、1、2、3、4または5であり、RおよびRの両方が水素である場合、nは1、2、3、4または5であり;
mは1または2である。]
【請求項2】
上記一般式(I)において、mが1である、請求項1に記載のアゾール誘導体、またはそのN-オキシドもしくは許容可能な塩。
【請求項3】
上記一般式(I)において、Zがフェニル基である、請求項1または2に記載のアゾール誘導体、またはそのN-オキシドもしくは許容可能な塩。
【請求項4】
請求項1に記載の上記アゾール誘導体を製造する方法であって、
下記一般式(II)で示される化合物を、1,2,4-トリアゾールまたはそのアルカリ金属塩と、硫黄イリドとの共存下で反応させることにより、上記アゾール誘導体を製造する、アゾール誘導体の製造方法。
【化2】
[式(II)中、R、R、R、Z、mおよびnは、それぞれ式(I)におけるR、R、R、Z、mおよびnと同一である。]
【請求項5】
請求項1~3の何れか1項に記載の上記アゾール誘導体を有効成分として含有する、農園芸用薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアゾール誘導体、およびアゾール誘導体の製造方法に関する。また、該アゾール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤および工業用材料保護剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人畜に対する毒性が低く取扱い安全性に優れ、かつ広範な植物病害に対して高い防除効果を示す農園芸用薬剤が求められている。高い防除効果を示す農園芸用薬剤として、アゾール系殺菌剤が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2013/007767
【文献】国際公開WO2019/093522
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人畜に対する毒性が低く取扱い安全性に優れ、かつ広範な植物病害に対して優れた防除効果及び植物病菌に対する高い抗菌性を示す植物病害防除剤が求められている。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記の要望に応える化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体が優れた活性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明に係るアゾール誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物、またはそのN-オキシドもしくは農薬学的に許容可能な塩である:
【化1】

[式(I)中、
Aは、NまたはCHであり;
およびRは、それぞれ独立に水素、C-C-アルキル基、C-C-シクロアルキル基またはC-C-シクロアルキル-C-C-アルキル基であり;
とRとは、互いに結合して環を形成していてもよく;
Zは、フェニル基、またはO、NおよびSから選択されるヘテロ原子を1、2、3もしくは4つ含む5員または6員の芳香族複素環であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、C-C-アルキル基、C-C-ハロアルキル基、C-C-アルコキシ基またはC-C-ハロアルコキシ基であり;
はZの任意の置換位置にn個結合しており;
nは0、1、2、3、4または5であり;
mは1または2である。]。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアゾール誘導体は、植物に病害を引き起こす多くの菌に対して優れた殺菌作用を有する。したがって、本発明に係るアゾール誘導体を有効成分として含む薬剤は、広範な植物病害に対して高い防除効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0010】
〔1.アゾール誘導体〕
本発明に係るアゾール誘導体は、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体(以下、アゾール誘導体(I)と称する)である。
【化2】

一般式(I)中、Aは、NまたはCHであり、好ましくはNである。
【0011】
およびRは、それぞれ独立に水素、C-C-アルキル基、C-C-シクロアルキル基またはC-C-シクロアルキル-C-C-アルキル基である。
【0012】
-C-アルキル基は、炭素原子数が1~6個である直鎖または分岐鎖状アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、1-メチルエチル基、1,1-ジメチルエチル基、プロピル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、ペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基および4-メチルペンチル基が挙げられる。
【0013】
-C-シクロアルキル基は、炭素原子数3~8個の環状のアルキルであり、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基が挙げられる。
【0014】
-C-シクロアルキル-C-C-アルキル基は、炭素原子数3~8個の環状のシクロアルキル基が直鎖または分岐鎖状の炭素数1~4個のアルキル基に結合していることを示す。例えば、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2-シクロプロピルエチル基、1-シクロプロピルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロプロピルプロピル基、2-シクロプロピルプロピル基および4-シクロプロピルブチル基が挙げられる。
【0015】
とRとは、互いに結合して、RおよびRが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよい。
【0016】
Zは、フェニル基、またはヘテロ原子を1、2、3もしくは4つ含む5員または6員の芳香族複素環である。ここでヘテロ原子は、O、NおよびSから選択される原子である。芳香族複素環が複数のヘテロ原子を含む場合、複数あるヘテロ原子は互いに同じ原子でもよく、異なる原子でもよい。Zは、好ましくは、フェニル基、またはNおよびSから選択されるヘテロ原子を1~3つ含む5員または6員の芳香族複素環であり、さらに好ましくは、フェニル基である。
【0017】
5員または6員の芳香族複素環基としては、例えば、フリル基、ピラゾリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基およびトリアジニル基が挙げられる。
【0018】
Zには、任意の位置でRがn個結合している。ここで、nは0、1、2、3、4または5である。Rは、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、C-C-アルキル基、C-C-ハロアルキル基、C-C-アルコキシ基またはC-C-ハロアルコキシ基である。nが2以上の場合は、Rは同一または異なっても良い。
【0019】
-C-アルキル基は、炭素原子数が1~4個である直鎖または分岐鎖状アルキル基であり、上述のC-C-アルキル基における炭素数が4以下の基が挙げられる。
【0020】
-C-ハロアルキル基は、上述のC-C-アルキル基の置換し得る位置に1または2以上のハロゲン原子が置換されている基である。置換されるハロゲン基が2以上の場合は、ハロゲン基は同一または異なってもよい。ハロゲン基としては塩素基、臭素基、ヨウ素基またはフッ素基が挙げられる。C-C-ハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基、2-クロロエチル基、2,3-ジクロロプロピル基、ブロモメチル基、クロロジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基および3,3,3-トリフルオロプロピル基が挙げられる。
【0021】
-C-アルコキシ基は、炭素原子数1~4個の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基およびtert-ブトキシ基が挙げられる。
【0022】
-C-ハロアルコキシ基は、上述のC-C-アルコキシ基の置換し得る位置に1または2以上のハロゲン基が置換されている基である。置換されるハロゲン基が2以上の場合は、ハロゲン基は同一または異なっても良い。
【0023】
の結合位置に制限はないが、好ましくは、一般式(I)のエーテル結合に対して2位、3位、または4位であり、さらに好ましくは、4位である。
【0024】
mは1または2である。すなわち、m=1の場合、アゾール誘導体(I)はインダン骨格を有し、m=2の場合、テトラリン骨格を有することになる。好ましくは、m=1である。
【0025】
アゾール誘導体(I)の好ましい一態様としては、RおよびRが、それぞれ独立に水素、C-C-アルキル基、C-C-シクロアルキル基、C-C-シクロアルキル-C-C-アルキル基であるか、またはRとRとが結合してシクロアルキル基となっているアゾール誘導体(I)が挙げられる。アゾール誘導体(I)のさらに好ましい一態様としては、さらにmが1であるアゾール誘導体(I)が挙げられる。アゾール誘導体(I)のさらに好ましい一態様としては、さらにZがフェニル基であるアゾール誘導体(I)が挙げられる。
【0026】
アゾール誘導体(I)のさらに好ましい一態様としては、RおよびRが、それぞれ独立に水素もしくはC-C-アルキル基であるか、またはRとRとが結合してシクロアルキル基となっているアゾール誘導体(I)が挙げられる。アゾール誘導体(I)のさらに好ましい一態様としては、RおよびRが、それぞれ独立に水素もしくはC-C-アルキル基であるか、またはRとRとが結合してシクロアルキル基となっており、mが1であるアゾール誘導体(I)が挙げられる。アゾール誘導体(I)のさらに好ましい一態様としては、RおよびRが、それぞれ独立に水素もしくはC-C-アルキル基であるか、またはRとRとが結合してシクロアルキル基となっており、mが1であり、Rがハロゲン、C-C-ハロアルキル基またはC-C-ハロアルコキシ基であるアゾール誘導体(I)が挙げられる。
【0027】
特に好ましいアゾール誘導体(I)の例として挙げられるアゾール誘導体を下記表1-1および表1-2に列挙した。下記表1-1および表1-2のA、R、Rおよびmは、それぞれ上記式(I)のA、R、Rおよびmに対応し、表1-1および表1-2のZ-(Rは、上記式(I)のZと(Rとで表される構造部分に対応する。
【表1-1】
【表1-2】
【0028】
なお、番号I-17に示す化合物では、R、RおよびRとRとが結合している炭素原子でもってシクロプロパン環を形成しているものである。
【0029】
アゾール誘導体(I)の農薬学的または工業的に許容可能な塩は、特に、そのカチオンおよびアニオンが、アゾール誘導体(I)の作用に悪影響を及ぼさない、これらのカチオンの塩またはこれらの酸の酸付加塩を包含する。好適なカチオンは特に、アルカリ金属(好ましくはナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(好ましくはカルシウム、マグネシウム及びバリウム)、遷移金属(好ましくはマンガン、銅、亜鉛および鉄)のイオンであり、また、所望の場合には1~4個のC-C-アルキル置換基および/または1個のフェニル置換基もしくはベンジル置換基を有していてよいアンモニウムイオン(好ましくはジイソプロピルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム)、さらにはホスホニウムイオン、スルホニウムイオン(好ましくはトリ(C-C-アルキル)スルホニウム)、およびスルホキソニウムイオン(好ましくはトリ(C-C-アルキル)スルホキソニウム)でもある。
【0030】
有用な酸付加塩のアニオンは、主に、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、リン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、重炭酸イオン、炭酸イオン、スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、安息香酸イオン、ならびにC-C-アルカン酸のアニオン、好ましくはギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオンおよび酪酸イオンである。これらは、アゾール誘導体(I)を、対応するアニオンの酸(好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸またはp-トルエンスルホン酸)と反応させることにより形成することができる。
【0031】
アゾール誘導体(I)の農薬学的または工業的に許容可能な塩のいくつかの例を下記表2に示す。下記表2のA、R、Rおよびmは、それぞれ上記式(I)のA、R、Rおよびmに対応し、表2のZ-(Rは、上記式(I)のZと(Rとで表される構造部分に対応する。
【表2】
【0032】
〔2.アゾール誘導体の製造方法〕
アゾール誘導体(I)は以下に示すいずれかの方法によって製造することができる。なお、以下に説明するアゾール誘導体の各製造方法では、説明の便宜上、上記一般式(I)のAがNである場合の態様について説明している。しかしながら、AがCHの態様についても以下の製造方法を参照して製造できることは容易に理解される。
【0033】
下記スキーム中のR、R、R、Z、mおよびnは、それぞれ上記一般式(I)のR、R、R、Z、mおよびnに対応する。また、式(x)(xは数字)で表される化合物を単に化合物(x)と記載する。なお、公知の反応機構を用いているステップの反応において、反応に供される試薬、塩基および溶媒等、ならびに温度等の各種条件は、技術常識に基づいて当業者が適宜設定し得る範囲のものである。
【0034】
(1)アゾール誘導体の製造方法1
およびRが水素以外の同一の基である場合、下記合成スキーム1に従って、公知の技術により得られる化合物からアゾール誘導体(I)を製造することができる。
【化3】
【0035】
(step1)化合物(1)のケトンα位をアルキル化することにより、化合物(2)を得る。アルキル化は、ヨウ化アルキル等のアルキル化試薬を用いた反応により行えばよい。一例としては、アルキル化試薬としてヨウ化アルキル、塩基として水素化ナトリウム、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、室温で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
(step2)化合物(2)のハロゲンXを、1以上のRで置換されているもしくは非置換のフェノールまたはヒドロキシ基を有する芳香族複素環と置換することにより、化合物(3)を得る。フェノールまたはヒドロキシ基を有する芳香族複素環との置換は、Xの種類により反応が異なり得る。例えば、XがFまたはClの場合には、SAr反応での置換が可能である。一例としては、XをFとし、塩基として炭酸カリウム、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、120℃で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、XがCl、BrまたはIの場合には、銅触媒を用いたUllmann縮合反応での置換が可能である。なお、Ullmann縮合反応は、高温(例えば195℃)での反応に限らず、配位子を用いて、比較的低温(例えば135℃)の加熱条件で反応させてもよい。一例としては、XをBrとし、銅触媒としてヨウ化銅(I)、塩基として炭酸セシウム、溶媒としてN-メチルピロリドンを用い、マイクロウェーブ反応装置により195℃で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。また別の例としては、銅触媒としてヨウ化銅(I)、配位子としてトリス(2,4-ペンタンジオナト)鉄(III)を加え、塩基として炭酸カリウム、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、オイルバスにより135℃加熱条件で反応させる方法が挙げられる。
【0037】
(step3)化合物(3)をCorey-Chaykovsky反応によりオキシラン化し、続けてアゾール化することにより、アゾール誘導体(I)を得る。オキシラン化とアゾール化とは別の反応として段階的に行ってもよいが、本実施形態ではワンポットで行っている。オキシラン化およびアゾール化の反応をワンポットで行うことにより、工程数を削減することができる。ワンポットで反応を行う場合、溶媒中、化合物(3)を、1,2,4-トリアゾールまたはそのアルカリ金属塩および硫黄イリドの共存下で反応させることにより目的のアゾール誘導体(I)が得られる。具体的には、化合物(3)と1,2,4-トリアゾールまたはそのアルカリ金属塩とを溶媒中で混合し、ここにイリド試薬および塩基を間欠的に添加することにより、反応系中で生じた中間体オキシランを順次アゾール化して、目的のアゾール誘導体(I)を得ることができる。
【0038】
溶媒としては、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミドおよびN,N-ジメチルホルムアミド等のアミド結合を持つ極性溶媒、当該極性溶媒とアルコールとの混合溶媒、またはジメチルスルホキシドを挙げることができる。また、混合溶媒におけるアルコールとしては、tert-ブタノールを挙げることができる。
【0039】
硫黄イリドとしては、ジメチルスルホニウムメチリド等のスルホニウムメチリド類およびジメチルスルホキソニウムメチリド等のスルホキソニウムメチリド類を挙げることができる。用いられるスルホニウムメチリド類またはスルホキソニウムメチリド類は、溶媒中、スルホニウム塩(例えば、トリメチルスルホニウムヨージドおよびトリメチルスルホニウムブロミド等)またはスルホキソニウム塩(例えばトリメチルスルホキソニウムヨージドおよびトリメチルスルホキソニウムブロミド(TMSOB)等)等のイリド試薬と、塩基とを反応させることにより生成させることができる。塩基としては、例えば、水素化ナトリウム等の金属水素化合物、またはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドおよびカリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド等を用いることができる。また、1,2,4-トリアゾールのアルカリ金属塩を使用してもよい。
【0040】
オキシラン化およびアゾール化の反応をワンポットで行う反応の一例としては、化合物(3)および1,2,4-トリアゾールナトリウム塩をN-メチルピロリドン中、80℃で混合し、ここにイリド試薬としてTMSOB、塩基としてナトリウムtert-ブトキシドをそれぞれ分割添加する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
一方、オキシラン化とアゾール化とを段階的に行う反応方法の一例としては、オキシラン化においては、イリド試薬としてトリメチルスルホニウムヨージド(TMSI)、塩基に水素化ナトリウム、溶媒にジメチルスルホキシドを用い、室温で反応させる方法が挙げられる。また、その後のアゾール化においては、1,2,4-トリアゾール、塩基としてジアザビシクロウンデセン(DBU)、および溶媒としてジメチルスルホキシドを用い、80℃で反応させる方法が挙げられる。
【0042】
(1’)アゾール誘導体の製造方法1’
XがCl、IまたはBrの場合、step2および3に代えて、下記合成スキーム1’に示すように化合物(2)に対してアゾールを導入して化合物(4)を得て、アゾール導入後にUllmann縮合反応によってエーテル骨格を合成することで、アゾール誘導体(I)を得ることができる。
【化4】
【0043】
(step2’)化合物(2)にアゾールを導入することにより、化合物(4)を得る。化合物(2)のアゾール化は、上述のstep3に同様の方法で行えばよい。一例としては、上述のstep3に記載のワンポットで反応させる方法が挙げられる。
【0044】
(step3’)1以上のRで置換されている、または非置換のフェノールまたはヒドロキシ基を有する芳香族複素環を用いて、化合物(4)からUllmann縮合反応でエーテル骨格を合成することで、アゾール誘導体(I)を得る。ここでのUllmann縮合反応においても、高温(例えば195℃)での反応に限らず、配位子を用いて、比較的低温(例えば135℃)の加熱条件で反応させてもよい。一例としては、銅触媒としてヨウ化銅(I)、配位子としてトリス(2,4-ペンタンジオナト)鉄(III)を加え、塩基として炭酸カリウム、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、オイルバスにより135℃で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0045】
(2)アゾール誘導体の製造方法2
またはRのいずれかがHである場合、下記合成スキーム2に従って、公知の技術により得られる化合物からアゾール誘導体(I)を製造することができる。下記合成スキーム2および2’ではR=Hとして例示する。また、RとRとが互いにアルキル基であって、互いに相違する場合、下記合成スキーム2により得られる化合物(8)からアゾール誘導体(I)を製造することができる。
【化5】
【0046】
(step1)Ullmann反応またはSAr反応により、化合物(1)のハロゲンXを、置換もしくは非置換のフェノールまたはヒドロキシ基を有する芳香族複素環と置換することで、化合物(1)から化合物(5)を得る。なお、化合物(1)のようにケトンα位に水素が存在する場合、塩基性高温条件下ではケトンα位を起点とした副反応が優先する可能性がある。従ってこのような場合には、比較的温和な条件であるSAr反応が好適である。一例としては、XをFとし、塩基として炭酸カリウム、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、120℃で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0047】
(step2)化合物(5)をβケトエステルの形で増炭することにより、化合物(6)を得る。これにより置換位置の一つを保護し、またメチレンが求核置換反応に対して活性化される。増炭の方法は、例えば、反応試薬兼溶媒としてROCOORで示される炭酸ジアルキル(Rはアルキル基であり、2つあるRは同一でも異なってもよい)を加熱還流により反応させる方法が挙げられる。なお、化合物(5)を直接アルキル化すると、二置換体も生じ得るために、一置換体を選択的に合成することが難しくなる。一例としては、反応試薬兼溶媒として炭酸ジメチル、塩基として水素化ナトリウムを用い、少量のメタノールを加えて加熱還流により反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0048】
(step3)化合物(6)の活性メチンをアルキル化することにより、化合物(7)を得る。アルキル化は、ヨウ化アルキル等のアルキル化試薬を用いた反応により行えばよい。一例として、アルキル化試薬としてヨウ化イソプロピル、塩基として水素化ナトリウム、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、80℃で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0049】
(step4)化合物(7)のエステルを加水分解脱炭酸することにより、化合物(8)を得る。一例として、塩基として30%水酸化ナトリウム水溶液、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、加熱還流により反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0050】
(step5)Wittig反応により、ケトンである化合物(8)からオレフィンである化合物(9)を得る。なお、RおよびRともにHである場合には、step2、3および4を省略し、化合物(5)を直接オレフィン化すればよい。リンイリドとなるイリド試薬としては、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド等が挙げられる。より具体的な一例として、イリド試薬としてメチルトリフェニルホスホニウムブロミド、塩基としてカリウムtert-ブトキシド、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、室温で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0051】
(step6)触媒量の四酸化オスミウムと再酸化剤との共存下で、化合物(9)を酸化することにより、vic-ジオールである化合物(10)を合成する。一例として、触媒量の四酸化オスミウムを用い、再酸化剤としてN-メチルモルホリンオキシド、溶媒として水とアセトンとの混合液を用い、室温で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、化合物(9)をオキシラン化することにより、アゾール誘導体(I)を得てもよい。
【0052】
(step7)化合物(10)の一級のヒドロキシ基に、脱離基としてスルホニル基を導入することにより、化合物(11)を得る。脱離基の導入には、RSOClで示される置換スルホニルクロリドが用いられる。ここで、Rは、水素原子が置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基、フェニル基またはナフチル基を表している。Rは好ましくは4-メチルフェニル基である。一例では、脱離基導入試薬としてp-トルエンスルホニルクロリド、塩基としてピリジン、溶媒としてクロロホルムを用い、0℃で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0053】
(step8)1,2,4-トリアゾールのアルカリ金属塩を用いて化合物(11)をアゾール化することにより、アゾール誘導体(I)を得る。一例として、アゾール化試薬として1,2,4-トリアゾールナトリウム塩、溶媒としてN-メチルピロリドンを用い、120℃で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0054】
とRとが互いにアルキル基であって、互いに相違する場合、化合物(8)のケトンα位をアルキル化し、Rと異なるRを導入すればよい。アルキル化は、ヨウ化アルキル等のアルキル化試薬を用いた反応により行えばよい。一例としては、アルキル化試薬としてヨウ化アルキル、塩基として水素化ナトリウム、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、室温で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。アルキル化の後にstep5からstep8を行うことにより、RとRとが互いにアルキル基であって、互いに相違するアゾール誘導体(I)を得ることができる。
【0055】
(2’)アゾール誘導体の製造方法2’
XがCl、IまたはBrの場合、step1に代えて、下記合成スキーム2’に示すように最後にUllmann縮合反応により化合物(24)のハロゲンXを、置換もしくは非置換のフェノールまたはヒドロキシ基を有する芳香族複素環と置換することで、アゾール誘導体(I)を得ることができる。(合成スキーム2’)
【化6】
【0056】
(3)アゾール誘導体の製造方法3
とRとが結合し、RおよびRが結合している炭素原子とともにシクロプロパン環を形成している場合、下記合成スキーム3に従って、公知の技術により得られる化合物からアゾール誘導体(I)を製造することができる。
【化7】
【0057】
(step1)化合物(1)のケトンα位にメチレンを導入することにより、化合物(12)を得る。メチレンの導入方法は、例えば、非特許文献:Org. Syn. Coll., vol.7 (1990) p332に記載の方法を参照して実施することができる。一例としては、パラホルムアルデヒドとN-メチルアニリニウムトリフルオロアセタートとをテトラヒドロフラン中加熱還流により反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0058】
(step2)化合物(12)のケトンα位のエキソメチレンにCorey-Chaycovsky反応で硫黄イリドを作用させることにより、シクロプロパン環を導入し、化合物(13)を得る。一般的にスルホキソニウムイリドを作用させるとMichael付加が起こるが、スルホニウムイリドを用いるとオキシラン化が起こるとされている。そのため、イリド試薬は、スルホキソニウム塩を用いることが好ましい。一例としては、イリド試薬としてトリメチルスルホキソニウムヨージドを用い、塩基として水素化ナトリウム、溶媒としてジメチルスルホキシドを用いて、室温で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0059】
(step3)化合物(13)のハロゲンXを置換もしくは非置換のフェノールまたはヒドロキシ基を有する芳香族複素環と置換することにより、化合物(14)を得る。具体的には、上述の合成スキーム1でのstep2における化合物(3)の合成手法と同じである。
【0060】
(step4)化合物(14)をCorey-Chaykovsky反応によりオキシラン化し、続けてアゾール化することにより、アゾール誘導体(I)を得る。具体的には、上述の合成スキーム1でのstep3におけるアゾール誘導体(I)の合成手法と同じである。
【0061】
(4)アゾール誘導体の製造方法4
Zが芳香族複素環である場合、下記合成スキーム4に従って、公知の技術により得られる化合物からアゾール誘導体(I)を製造することができる。
【化8】
【0062】
(step1)化合物(1)のケトンα位をアルキル化することにより、化合物(2)を得る。具体的には、上述の合成スキーム1でのstep1における化合物(2)の合成手法と同じである。
【0063】
(step2)化合物(2)と置換基Rを有するベンジルアルコールとのSAr反応により、化合物(15)を合成する。この場合、Xとしては、反応性の高いFが好適である。一例としては、XをFとし、塩基としてカリウムtert-ブトキシド、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、室温で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、Rは水素、ハロゲンおよびメトキシ基が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0064】
(step3)化合物(15)をCorey-Chaykovsky反応によりオキシラン化し、続けてアゾール化することにより、化合物(16)を合成する。具体的には、上述の合成スキーム1でのstep3におけるアゾール誘導体(I)の合成手法と同じである。
【0065】
(step4)パラジウム系触媒を用いて、水素雰囲気下で化合物(16)を接触還元することにより、化合物(17)を合成する。一例としては、水素雰囲気下、触媒としてパラジウム炭素、溶媒としてエタノールを用い、室温で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0066】
(step5)化合物(17)を求核剤として、ハロゲンを有する複素環と反応させることにより、アゾール誘導体(I)を合成する。好適にはSAr反応が用いられる。SAr反応を用いる場合には、複素環が有するハロゲンとしてはFまたはClが好ましく、Fがより好適である。一例としては、ハロゲンを有する複素環として少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換されたピリジン、塩基として炭酸セシウム、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、60℃で反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0067】
〔3.アゾール誘導体のN-オキシド体の製造方法〕
N-オキシド体は、アゾール誘導体(I)から従来の酸化方法に従って処理することで調製することができる。例えば、アゾール誘導体(I)を、メタクロロ過安息香酸等の有機過酸によって(参照:WO 03/64572またはJ.Med. Chem. 38(11)、1892~903、1995)処理することで調製することができる。あるいは、アゾール誘導体(I)を、無機の酸化剤である過酸化水素(参照:J. Heterocyc. Chem. 18(7)、1305~8、1981)またはオキソン(参照:J. Am. Chem. Soc. 123(25)、5962~5973、2001)によって処理することで調製することができる。この酸化は、純粋なモノN-オキシドまたは異なるN-オキシドの混合物をもたらすことができる。N-オキシドの混合物はクロマトグラフィーなどの従来の方法によって分離することができる。
【0068】
〔4.農園芸用薬剤〕
アゾール誘導体(I)は、イミダゾリル基または1,2,4-トリアゾリル基を有するので、無機酸および有機酸の酸付加塩、または金属錯体を形成する。したがって、酸付加塩および金属錯体の一部として、農園芸用薬剤等の有効成分として使用することができる。
【0069】
(1)植物病害防除効果
本実施形態における農園芸用薬剤は、広汎な植物病害に対する防除効果を呈する。
【0070】
適用病害の例として以下を挙げることができる。なお、各病害の後ろの括弧内は、当該病害を引き起こす主な病原菌を示している。ダイズさび病(Phakopsora pachyrhizi、Phakopsora meibomiae)、ダイズ褐紋病(Septoria glycines)、ダイズ紫斑病(Cercospora kikuchii)、ダイズ褐点病(Alternaria sp.)、ダイズ炭疽病(Colletotrichum truncatum)、ダイズのFrogeye leaf spot(Cercospora sojina)、ダイズのリゾクトニア根腐病(Rhizoctonia solani)、ダイズ葉腐病(Rhizoctonia solani)、ダイズ黒点病 (Diaporthe phaseolorum)、ダイズ茎疫病(Phytophthora sojae)、インゲンマメ炭疽病(Colletotrichum lindemuthianum)、ナタネのPhoma stem canker(Plenodomus lingam)、ナタネのstem canker(Plenodomus biglobosus)、ナタネのLight leaf spot(Pyrenopeziza brassicae)、ナタネ根瘤病Clubroot(Plasmodiophora brassicae)、ナタネのVerticillium wilt(Verticillium longisporum)、ナタネのBlackspot(Alternaria spp.)、イネいもち病(Pyricularia oryzae)、イネごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、イネ白葉枯病(Xanthomonas oryzae pv. oryzae)、イネ紋枯病(Rhizoctonia solani)、イネ小黒菌核病(Helminthosporium sigmoideum)、イネばか苗病(Gibberella fujikuroi)、イネ苗立枯病(Pythium aphanidermatum)、イネ立枯病(Gaeumannomyces graminis)、オオムギうどんこ病(Brumeria graminis f. sp. hordei)、オオムギ黒さび病(Puccinia graminis)、オオムギ黄さび病(Puccinia striiformis)、オオムギ斑葉病(Pyrenophora graminea)、オオムギ雲形病(Rhynchosporium secalis)、オオムギ裸黒穂病(Ustilago nuda)、オオムギ網斑病(Pyrenophora teres)、オオムギ赤かび病(Fusarium graminearum、Microdochium nivale)、コムギうどんこ病(Erysiphe graminis f. sp. tritici)、コムギ赤さび病(Puccinia recondita)、コムギ黄さび病(Puccinia striiformis)、コムギ眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、コムギ赤かび病(Fusarium graminearum、Microdochium nivale)、コムギふ枯病(Phaeosphaeria nodorum)、コムギ葉枯病(Zymoseptoria tritici)、コムギ紅色雪腐病(Microdochium nivale)、コムギ立枯病(Gaeumannomyces graminis)、コムギ黒点病(Epicoccum spp)、コムギ黄斑病(Pyrenophora tritici-repentis)、コムギ小粒菌核病(Typhula incarnata、Typhula ishikariensis)、シバダラースポット病(Sclerotinia homoeocarpa)、シバラージパッチ病(Rhizoctonia solani)、ブラウンパッチ病(Rhizoctonia solani)、シバ炭疽病(Colletotrichum graminicola)、シバのGray leaf Spot(Pyricularia grisea)、シバのネクロティックリングスポット病(Ophiosphaerella korrae)、シバのRed thread(Laetisaria fuciformis)、シバさび病(Puccinia zoysiae)、シバのサマーパッチ病(Magnaporthe poae)、シバのRoot decline of warm-season grasses(Gaeumannomyces graminis)、シバのブラウンリングパッチ(Waitea circinata)、シバフェアリーリング病(Agaricus spp.、Calvatia cyathiformis、Chlorophyllum molybdite、Clitocybe spp.、Lepiota app.、Lepista subnuda、Lycoperdon spp.、Marasmius oreades、Scleroderma spp.、Tricholoma spp.など)、シバ紅色雪腐病(Microdochium nivale)、シバ雪腐小粒菌核病(Typhula incarnate、Typhula ishikariensis)、シバカーブラリア葉枯病(Curvularia sp.)、シバ疑似葉腐病(Ceratobasidium sp.)、シバ立枯病(Gaeumannomyces sp., Phialophora sp.)、トウモロコシ黒穂病(Ustilago maydis)、トウモロコシ炭疽病(Colletotrichum graminicola)、トウモロコシ褐斑病(Kabatiella zeae)、トウモロコシ灰色斑点病(Cercospora zeae-maydis)、トウモロコシすす紋病(Setosphaeria turcica)、トウモロコシ北方斑点病(Cochliobolus carbonum)、トウモロコシ斑点病(Physoderma maydis)、トウモロコシさび病(Puccinia spp.)、トウモロコシごま葉枯病(Bipolaris maydis)、トウモロコシ黄色ごま葉枯病(Phyllosticta maydis)、トウモロコシ赤かび病(Gibberella zeae)、サトウキビさび病(Puccinia spp.)、ウリ類うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、ウリ類炭疸病(Colletotrichum lagenarium、Glomerella cingulata)、キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、キュウリ灰色疫病(Phytophthora capsici)、キュウリつる割病(Fusarium oxysporum f.sp.cucumerinum)、スイカつる割病(Fusarium oxysporum f.sp.niveum)、リンゴうどんこ病(Podosphaera leucotricha)、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)、リンゴモリニア病(Monilinia mali)、リンゴ斑点落葉病(Alternaria alternata)、リンゴ腐乱病(Valsa ceratosperma)、ナシ黒斑病(Alternaria kikuchiana)、ナシうどんこ病(Phyllactinia pyri)、ナシ赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、ナシ黒星病(Venturia nashicola)、イチゴうどんこ病(Podosphaera aphanis)、核果類果樹の灰星病(Monilinia fructicola)、カンキツ青かび病(Penicillium italicum)、ブドウうどんこ病(Uncinula necator)、ブドウべと病(Plasmopara viticola)、ブドウ晩腐病(Glomerella cingulata)、ブドウのさび病(Phakopsora euvitis)、バナナイエローシガトカ病(Mycosphaerella musicoka)、バナナブラックシガトカ病(Mycosphaerella fijiensis)、トマトうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、トマト輪紋病(Alternaria solani)、ナスうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、ジャカイモの夏疫病(Alternaria solani)、ジャカイモ炭疽病(Colletotrichum coccodes)、ジャカイモうどんこ病(Erysiphe cichoracearum、Leveillula taurica)、ジャカイモ疫病(Phytophthora infestans)、タバコうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、タバコ赤星病(Alternaria longipes)、テンサイ褐斑病(Cercospora beticola)、テンサイうどんこ病(Erysiphe betae)、テンサイ葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、テンサイ根腐病(Thanatephorus cucumeris)、テンサイ黒根病(Aphanomyces cochlioides)、ダイコン萎黄病(Fusarium oxysporum f.sp.raphani)、チャ炭疽病(Discula theae-sinensis)、チャもち病(Exobasidium vexans)、チャ褐色円星病(Pseudocercospora ocellata、Cercospora chaae)、チャ輪紋病(Pestalotiopsis longiseta、Pestalotiopsis theae)、チャ網もち病(Exobasidium reticulatum)、ワタ黒斑病Alternaria leaf spot(Alternaria spp.)、ワタ炭疽病(Glomerella spp.)、ワタ輪紋病(Ascochyta gossypii)、ワタさび病(Puccinia spp.、Phykopsora gossypii)、ワタのCercospora blight and leaf spot(Cercospora spp.)、ワタのDiplopia boll rot(Diplopia spp.)、ワタのHard lock(Fusarium spp.)、ワタのPhoma blight(Phoma spp.)、ワタのStemphyllium leaf spot(Stemphylium spp.)、ラッカセイ黒渋病(Cercosporidium personatum)、ラッカセイ褐斑病(Cercospora arachidicola)、ラッカセイ白絹病(Sclerotium rolfsii)、ラッカセイさび病(Puccinia arachidis)、種々の作物をおかす灰色かび病(Botrytis cinerea)、ピシウム属菌の病害(Pythium spp.)及び菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)など。また、Aspergillus属、Cochliobolus属、Corticium属、Diplodia属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Mucor属、Phoma属、Phomopsis属、Pyrenophora属、Pythium属、Rhizoctonia属、Rhizopus属、Thielaviopsis属、Tilletia属、Trichoderma属、及びUstilago属等によって引き起こされる各種植物の種子伝染性病害又は生育初期の病害。
【0071】
本実施形態に係る農園芸用薬剤は、殺菌剤用として用いることができる。また、本実施形態に係る農園芸用薬剤は、上述した病害のなかでも、コムギ葉枯病、コムギ赤さび病およびコムギうどんこ病の病害に対して特に優れた防除効果を呈する。そのため、農園芸用薬剤は、ムギ類防除用として好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
【0072】
本実施形態における農園芸用薬剤は、全ての植物に利用することができるが、適用植物の例として以下を挙げることができる;イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、トリチケール、トウモロコシ、モロコシ(ソルガム)、サトウキビ、シバ、ベントグラス、バミューダグラス、フェスクおよびライグラスなどのイネ科類、ダイズ、ラッカセイ、インゲンマメ、エンドウ、アズキおよびアルファルファなどのマメ科類、サツマイモなどのヒルガオ科類、トウガラシ、ピーマン、トマト、ナス、ジャガイモおよびタバコなどのナス科類、ソバなどのタデ科類、ヒマワリなどのキク科類、チョウセンニンジンなどのウコギ科類、ナタネ、ハクサイ、カブ、キャベツおよびダイコンなどのアブラナ科類、テンサイなどのアカザ科類、ワタなどのアオイ科類、コーヒーノキなどのアカネ科類、カカオなどのアオギリ科類、チャなどのツバキ科類、スイカ、メロン、キュウリおよびカボチャなどのウリ科類、タマネギ、ネギおよびニンニクなどのユリ科類、イチゴ、リンゴ、アーモンド、アンズ、ウメ、オウトウ、スモモ、モモおよびナシなどのバラ科類、ニンジンなどのセリ科類、サトイモなどのサトイモ科類、マンゴーなどのウルシ科類、パイナップルなどのパイナップル科類、パパイアなどのパパイア科類、カキなどのカキノキ科類、ブルーベリーなどのツツジ科類、ペカンなどのクルミ科類、バナナなどのバショウ科類、オリーブなどのモクセイ科類、ココヤシおよびナツメヤシなどのヤシ科類、みかん、オレンジ、グレープフルーツおよびレモンなどのミカン科類、ブドウなどのブドウ科類、草花(Flowers and ornamental plants)、果樹以外の樹ならびにその他の観賞用植物。また、野生植物、植物栽培品種、異種交配もしくは原形質融合などの従来の生物育種によって得られる植物および植物栽培品種、ならびに遺伝子操作によって得られる遺伝子組み換え植物および植物栽培品種を挙げることができる。遺伝子組み換え植物および植物栽培品種としては、例えば、除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、収量向上作物、保存性向上作物、および収量向上作物などを挙げることができる。各国で認可を受けた遺伝子組み換え植物栽培品種としては、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のデータベースに蓄積されているものを挙げることができる。具体的には、Roundup Ready、Liberty Link、IMI、SCS、Clearfield、Enlist、B.t.、BXN、Poast Compatible、AgriSure、Genuity、Optimum、Powercore、DroughtGard、YieldGard、Herculex、WideStrike、Twinlink、VipCot、GlyTol、Newleaf、KnockOut、BiteGard、BtXtra、StarLink、Nucotn、NatureGard、Protecta、SmartStax、Power Core、InVigorおよびBollgardなどの登録商標を含むものを挙げることができる。
【0073】
(2)製剤
農園芸用薬剤は、有効成分であるアゾール誘導体(I)を固体担体または液体担体(希釈剤)、界面活性剤およびその他の製剤補助剤等と混合して粉剤、水和剤、粒剤および乳剤等の種々の形態に製剤して使用する。これらの製剤には有効成分としてアゾール誘導体(I)を、0.1~95重量%、好ましくは0.5~90重量%、より好ましくは1~80重量%含まれるように製剤する。
【0074】
製剤補助剤として使用する固体担体、液体担体および界面活性剤を例示すれば、まず、固体担体としては、粉末担体および粒状担体などとして用いられ、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、酸性白土、活性白土、アッタパルジャイト、方解石、バーミキュライト、パーライト、軽石、珪砂などの鉱物;尿素などの合成有機物;炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、消石灰、重曹などの塩類;ホワイトカーボンなどの非晶質シリカや二酸化チタンなどの合成無機物;木質粉、トウモロコシ茎(穂軸)、クルミ殻(堅果外皮)、果実核、モミガラ、オガクズ、ふすま、大豆粉、粉末セルロース、デンプン、デキストリン、糖類などの植物性担体;架橋リグニン、カチオンゲル、加熱または多価金属塩でゲル化するゼラチン、寒天などの水溶性高分子ゲル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、および尿素-アルデビド樹脂などの種々の高分子担体;などを挙げることができる。
【0075】
液体担体としては、脂肪族溶剤(パラフィン類)、芳香族溶剤(キシレン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ソルベントナフサなど)、混合溶剤(灯油)、マシン油(精製高沸点脂肪族炭化水素)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなど)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、多価アルコール誘導体類(プロピレン系グリコールエーテルなど)、ケトン類(アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ-ブチロラクトンなど)、エステル類(脂肪酸メチルエステル(ヤシ油脂肪酸メチルエステル)、乳酸エチルヘキシル、炭酸プロピレン、二塩基酸メチルエステル(コハク酸ジメチルエステル、グルタミン酸ジメチルエステル、アジピン酸ジメチルエステル))、含窒素担体類(N-アルキルピロリドン類)、油脂類(ヤシ油、大豆油、菜種油など)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド、(N,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルデカンアミド、5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソ-吉草酸メチルエステル、N-アシルモルホリン系溶剤(CAS No.887947-29-7など))、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水などを挙げることができる。
【0076】
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル, ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンエーテル及びエステル型シリコン及びフッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグリコシドなどを挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルサルフェート、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェートなどのサルフェート類の塩、パラフィン(アルカン)スルホネート、α-オレフィンスルホネート、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルベンゼンスルホネート、モノ又はジアルキルナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、リグニンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステルなどのスルホネート類の塩、脂肪酸、N-メチル-脂肪酸サルコシネート、樹脂酸などの脂肪酸類の塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンモノ又はジアルキルフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)化フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルホスフェート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ホスファチジルコリンホスファチジルエタノールイミン(レシチン)、アルキルホスフェートなどホスフェール類の塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、メチルポリオキシエチレンアルキルアンモニウムクロライド、アルキルN-メチルピリジウムブロマイド、モノ又はジアルキルメチル化アンモニウムクロライド、アルキルペンタメチルプロピレンジアミンジクロライドなどのアンモニウム塩類及びアルキルジメチルベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド(オクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)などのベンザルコニウム塩類を挙げることができる。界面活性剤は、バイオサーファクタントを用いてもよい。バイオサーファクタントとしては、ラムノリピッド、サーファクチン、セロビオースリピッド、ソホロリピッド、マンノシルアルジトールリピッド、トレハロースリピッド、グルコースリピッド、オリゴ糖脂肪酸エステル、セラウエッチン、ライケンシン、アルスロファクチン、スピクルスポール酸、コリノミコール酸、アガリチン酸およびエマルザンなどを挙げることができる。
【0077】
その他の製剤用補助剤としては、pH調節剤としてのナトリウムおよびカリウムなどの無機塩類、フッ素系、シリコーン系の消泡剤、食塩などの水溶性の塩類、増粘剤として用いられるキサタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、デンプン誘導体、多糖類などの水溶性高分子、アルギン酸及びその塩、崩壊分散剤として用いられるステアリン酸金属塩、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、その他、防腐剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および薬害軽減剤などが挙げられる。
【0078】
製剤には、そのまま使用するものと水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用するものとがある。希釈して使用するときのアゾール誘導体(I)の濃度は0.001~1.0%の範囲が望ましい。
【0079】
また、アゾール誘導体(I)の使用量は、畑、田、果樹園及び温室等の農園芸地1haあたり、20~5000g、より好ましくは50~2000gである。これらの使用濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所および対象作物等によっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
【0080】
(3)他の有効成分
さらに本実施形態における農園芸用薬剤は、既知の他の有効成分と組み合わせ、農園芸用薬剤としての性能を高めて使用することもできる。既知の他の有効成分としては、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤および植物生長調節剤に含まれる既知の有効成分を挙げることができる。
【0081】
(3-1)殺菌剤用途の有効成分
殺菌剤用途に好適な有効な成分としては、例えば、ステロール生合成阻害化合物、ベンズイミダゾール系化合物、コハク酸脱水素酵素阻害化合物(SDHI系化合物)、ストロビルリン系化合物、フェニルアミド系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、アニリノピリミジン系化合物、多作用点化合物、抗生物質、カーバメート系化合物、キノリン系化合物、有機リン系化合物およびカルボキシアミド系化合物等が挙げられる。
【0082】
ステロール生合成阻害化合物としては、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、ジニコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、メトコナゾール、イプコナゾール、ミクロブタニル、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、エポキシコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール、フルシラゾール、オキスポコナゾール、メフェントリフルコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロベンジル)-2-(クロロメチル)-2-メチルシクロペンタン-1-オール、メチル 2-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-3-(4-クロロベンジル)-2-ヒドロキシ-1-メチルシクロペンタン-1-カルボキシレート、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、スピロキサミン、トリデモルフ、フェナリモル、ピリフェノックス、ピリソキサゾール、ヌアリモル、エタコナゾール、ピペラリン、ナフチフィン、フェンピラザミン、フェンヘキサミド、テルビナフィン、アルジモルフ、ドデモルフ、ピリブチカルブおよびトリホリン等が挙げられる。
【0083】
ベンズイミダゾール系化合物としては、カルベンダジム、ベノミル、チアベンダゾールおよびフベリダゾール等が挙げられる。
【0084】
コハク酸脱水素酵素阻害化合物(SDHI系化合物)としては、ビキサフェン、ベンゾビンジフルピル、ボスカリド、フルオピラム、フェンフラム、フルトラニル、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソフェタミド、イソピラザム、メプロニル、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、チフルザミド、フルインダピル、ピラジフルミド、ピジフルメトフェン、ベノダニル、カルボキシン、ピラプロポイン、インピルフルキサム、イソフルシプラム、インピルフルキサムおよびオキシカルボキシンが挙げられる。
【0085】
ストロビルリン系化合物としては、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロビン、フェナミストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、マンデストロビン、ピリベンカルブ、ピラオキシストロビン、ピラメトストロビン、フルフェノキシストロビン、エノキサストロビン、クモキシストロビン、トリクロピリカルブ、フェナミンストロビンおよびメチルテトラプロール等が挙げられる。
【0086】
フェニルアミド系化合物としては、ベナラキシル、ベナラキシルMまたはキララキシル、メタラキシル、メタラキシルMまたはメフェノキサム、フララキシル、およびオキサジキシル等が挙げられる。
【0087】
ジカルボキシイミド系化合物としては、プロシミドン、イプロジオンおよびビンクロゾリン等が挙げられる。
【0088】
アニリノピリミジン系化合物としては、シプロジニル、メパニピリムおよびピリメタニル等が挙げられる。
【0089】
多作用点化合物としては、マンゼブ、マンネブ、メチラム、プロピネブ、チラム(チウラム)、ジネブ、ジラム、アンバム、アニラジン、ジチアノン、フルアジナム、ジクロフルアニド、トリフルアニド、ドダイン、グアザチン、イミノクタジン(イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩)、銅、銅化合物(例えば塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、硫酸銅、有機銅(オキシン銅)、ノニルフェノールスルホン酸銅、DBEDC等)、炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、金属銀、フェンチン、硫黄、鉱物油、重曹、炭酸カリウム、ファーバム、キャプタン、カプタホール、フルオルイミド、キノメチオネート、メタスルホカルブ、ジピメチトロン、クロロタロニル(TPN)およびフォルペット等が挙げられる。
【0090】
抗生物質としては、カスガマイシン、ポリオキシン、ストレプトマイシン、バリダマイシンおよびオキシテトラサイクリン等が挙げられる。
【0091】
カーバメート系化合物としては、ベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブイソプロピル)、ジエトフェンカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、ヨードカルブ、プロチオカルブおよびトルプロカルブ等が挙げられる。
【0092】
キノリン系化合物としては、オキソリニック酸、ピロキロン、キノキシフェンおよびテブフロキン等が挙げられる。
【0093】
有機リン系化合物としては、ジノカップ、エジフェンフォス(EDDP)、ホセチル(ホセチル‐アルミニウム、ホセチルカリウム、ホセチルナトリウム)、イプロベンホス(IBP)、ピラゾホス、メプチルジノカップおよびトルクロホスメチル等が挙げられる。
【0094】
カルボキシアミド系化合物としては、カルプロパミド、エタボキサム、フェノキサニル、シルチオファム、チアジニルおよびイソチアニル等が挙げられる。
【0095】
また、その他の殺菌剤用途の化合物として、チオファネート、チオファネートメチル、ペンシクロン、アメトクトラジン、アミスルブロム、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、ジクロシメット、ジクロメジン、ファモキサドン、フェンアミドン、フェニトロパン、フルジオキソニル、フルオピコリド、フルスルファミド、フルチアニル、ハルピン、イソプロチオラン、マンジプロパミド、フェナマクリル、メトラフェノン、オキサチアピプロリン、フサライド、プロキナジド、バリフェナレート、ゾキサミド、ジクロベンチアゾクス、フェンピコキサミド、ピカルブトラゾクス、キノフメリン、ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ、フェリムゾン、アシベンゾラー(アシベンゾラル-S-メチル)、エトリジアゾール、ヒメキサゾール、プロベナゾール、トリシクラゾール、テクロフタラム、ヒドロキシイソキサゾール、ピリオフェノン、ジフルメトリム、トルフェンピラド、フェナザキン、アミノピリフェン、クロロインコナジド、ピリダクロメチル、イプフルフェノキン、フルオピモミド、フロリルピコキサミド、フルオキサピプロリン、ビナパクリル、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、オフレース、ブピリメート、ジメチリモール、エチリモール、オクチリノン、クロゾリネート、ジメタクロン、フェンピクロニル、ブラストサイジン、トリアゾキシド、ドジン、キノプロール、ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、キントゼン(PCNB)、テクナゼン(TCNB)、ナタマイシン(ピマリシン)、ラミナリン、フルベネテラム、リン酸、リン酸塩、シイタケ菌糸体抽出物、ゴセイカユプテ(ティーツリー)の抽出物、植物油(オイゲノール, ゲラニオール、チモール)、オオイタドリ抽出液、サッカロミセス セレビシエLAS117株の細胞壁および生物農薬(アグロバクテリウム・ラジオバクター、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナス・ロデシア、シュードモナス・クロロラフィスAFS009株、バチルス・ズブチリス、バチルス・シンプレクス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・ミコイデス、非病原性エルビニア・カロトボーラ、ラクトバチルス・プランタラム、バリオボラックス・パラドクス、スウェイングレア・グルティノーサ抽出物、トリコデルマ・アトロビリデI1237株、トリコデルマ・アトロビリデLU132株、トリコデルマ・アトロビリデSC1株、トリコデルマ アスペレラムT34株、グリオクラディウム・カテヌラタムまたはクロノスタキス・ロゼア、ストレプトマイセス・グリセオビリディスK61株、ストレプトマイセス・ライディカスWYEC108等)等が挙げられる。
【0096】
(3-2)殺虫剤用途の有効成分
殺虫剤用途に好適な有効な成分としては、例えば、有機リン系化合物、カーバメート系化合物、ピレスロイド系化合物、ネライストキシン化合物、ネオニコチノイド化合物、ベンゾイル尿素化合物、その他昆虫成長制御化合物、有機塩素化合物および天然物由来化合物等が挙げられる。
【0097】
有機リン系化合物としては、アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、アジンホス-エチル、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クマホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、エチオン、エトプロホス、EPN、ファムフール、フェナミホス、フェニトロチオン(MEP)、フェンチオン(MPP)、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イミシアホス、イソフェンホス、イソプロピル O-(メトキシアミノチオホソホリル)サリチレート、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトンメチル、パラチオン、パラチオン-メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロペタンホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、スルホテップ、キナルホス、テブピリムホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、バミドチオンおよびトリクロルホン(DEP)等が挙げられる。
【0098】
カーバメート系化合物としては、アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル(NAC)、カルボフラン、カルボスルファン、ホルメタネート、イソプロカルブ(MIPC)、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、チオファノックス、トリアザメート、トリメタカルブ、XMC、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ(BPMC)、フェノチオカルブ、フラチオカルブ、メトルカルブおよびキシリルカルブ等が挙げられる。
【0099】
ピレスロイド系化合物としては、アクリナトリン、アレスリン、シペルメトリン、ビフェントリン、ビオアレスリン、ビオアレスリンs-シクロペンチル異性体、ビオレスメトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、デルタメトリン、エンペントリン、ジメフルトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルブロシトリネート、フルシトリネート、フルメトリン、フルバリネート、ハルフェンプロックス、シハロトリン、メトフルトリン、モンフルオロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレスリンスもしくはピレスラム、レスメトリン、プロフルトリン、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、イミプロトリン、カデスリン、クロロプラレトリン、イプシロンメトフルトリン、イプシロンモンフルオロトリンおよびシフェノトリン等が挙げられる。
【0100】
ネライストキシン化合物としては、カルタップ、ベンスルタップ、チオシクラム、チオスルタップ-ナトリウム塩(ビスルタップ)およびモノスルタップ等が挙げられる。
【0101】
ネオニコチノイド化合物としては、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサムおよびニコチン等が挙げられる。
【0102】
ベンゾイル尿素化合物としては、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロンおよびトリフルムロン等が挙げられる。
【0103】
その他昆虫成長制御化合物としては、ブプロフェジン、クロマフェノジド、シロマジン、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、フェノキシカルブ、テブフェノジドおよびピリプロキシフェン等が挙げられる。
【0104】
有機塩素化合物としては、クロルデン、アルドリン、ディルドリン、エンドスルファン、メトキシクロル、リンダンおよびDDT等が挙げられる。
【0105】
天然物由来化合物としては、アバメクチン、バチルス・チューリンゲンシス菌由来の生芽胞及び産生結晶毒素、並びにそれらの混合物、バチルス・スファエリクス、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチン、ミルベメクチン、スピネトラム、スピノサド、マシン油、デンプン、還元澱粉糖化物、ナタネ油、オレイン酸ナトリウム、グリセリンまたはプロパンジオールを持った脂肪酸モノエステル、およびリン酸第二鉄等が挙げられる。
【0106】
また、その他の殺虫剤用途の化合物として、クロラントラニリプロール、テトラクロラントラニリプロール、クロルフェナピル、シアントラニリプロール、ジアフェンチウロン、エチプロール、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルエンスルホン、フルピラジフロン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、メタアルデヒド、ピメトロジン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、シラフルオフェン、スピロテトラマト、スルホキサフロール、トルフェンピラド、アフィドピロペン、ブロフラニリド、シクラニリプロール、ジクロロメゾチアズ、フロメトキン、フルアザインドリジン、フルヘキサホン、フルキサメタミド、ピリプロール、テトラニリプロール、トリフルメゾピリム、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、チクロピラゾフロー(tyclopyrazoflor)、フルピリミン、スピロピジオン、ベンズピリモキサン、シハロジアミド、イソシクロセラム、DNOC、スルフルラミド、ロテノン、ニコフルプロール、ジムプロピリダズ、臭化メチル、クロルピクリン、クリオライト、フッ化スルフリル、ホウ砂、ホウ酸、八ホウ酸ナトリウム、メタほう酸ナトリウム、吐酒石、ダゾメット、メタム、リン化アルミニウム、リン化カルシウム、ホスフィン、リン化亜鉛、シアン化カルシウム、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、シプロフラニリド、コドリンガ顆粒病ウイルス、コドリンガモドキ顆粒病ウイルス、ビロードマイケムシ核多角体病ウイルス、オオタバコガ核多角体病ウイルス、GS-オメガ/カッパHXTX-Hv1aペプチド、アザジラクチン、ジコホル、石灰硫黄合剤、マンゼブ、バークホルデリア属菌、ボルバキア・ピピエンティス(Zap)、アリタソウ抽出物、ニームオイル、ボーベリア バシアーナ、メタリジウム アニソプリエ、ペキロマイセス フモソロセウス、珪藻土等が挙げられる。
【0107】
(3-3)殺ダニ剤用途の有効成分
殺ダニ剤用途に好適な有効成分(殺ダニ活性成分)としては、例えばアセキノシル、ヒドラメチルノン、アミドフルメット、アミトラズ、アゾシクロチン、ビフェナゼート、ブロモプロピレート(フェニソブロモレート)、クロルフェンソン、キノメチオネート、ベンゾキシメート、クロフェンテジン、シエノピラフェン、シフルメトフェン、シヘキサチン、ジフロビダジン、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンピロキシメート、フルアクリピリム、ヘキシチアゾクス、プロパルギット(BPPS)、ピフルブミド、ピリダベン、ピリミジフェン、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、テブフェンピラド、テトラジホン、アシノナピル、シエトピラフェン、フルペンチオフェノックスおよび調合油等が挙げられる。
【0108】
(3-4)殺線虫剤用途の有効成分
殺線虫剤用途に最適な有効成分(殺線虫活性成分)としては、例えばD-D(1,3-ジクロロプロペン)、DCIP(ジクロロジイソプロピルエーテル)、メチルイソチオシアネート、カーバムナトリウム塩、カズサホス、ホスチアゼート、イミシアホス、酒石酸モランテル、塩酸レバミゾール、ネマデクチン、シクロブトリフルラムおよびチオキサザフェン等が挙げられる。
【0109】
(3-5)植物生長調節剤用途の有効成分
植物生長調整剤用途に最適な有効成分としては、例えばアミノエトキシビニルグリシン、クロルメコート、クロルプロファム、シクラニリド、ジケグラック、ダミノジット、エテホン、フルルプリミドール、フルメトラリン、ホルクロルフェニュロン、ジベレリン、マレイン酸ヒドラジド塩、メピコートクロリド、メチルシクロプロペン、ベンジルアミノプリン、パクロブトラゾール、プロヘキサジオン、チジアズロン、トリブチルホスホロトリチオエート、トリネキサパックエチルおよびウニコナゾール等が挙げられる。
【0110】
(4)植物病害防除方法
本実施形態における農園芸用薬剤は、例えば、畑、水田、芝生および果樹園などの農耕地または非農耕地において使用することができる。また、本実施形態における農園芸用薬剤は、茎葉散布といった茎葉処理に加えて、球根および塊茎などへの処理も含めた種子処理、潅注処理および水面処理などの非茎葉処理によっても施用できる。したがって、本実施形態における植物病害防除方法は、上述の農園芸用薬剤を用いて茎葉処理または非茎葉処理を行う手順を含む方法である。なお、非茎葉処理を行う場合には、茎葉処理を行う場合に比べて、労力を低減させることができる。
【0111】
種子処理による施用では、水和剤および粉剤などを種子と混合し攪拌することにより、あるいは希釈した水和剤などに種子を浸漬することにより、薬剤を種子に付着させる。また、種子コーティング処理も含まれる。種子処理の場合の有効成分の使用量は、種子100kgに対して例えば0.01~10000gであり、好ましくは0.1~1000gである。農園芸用薬剤で処理した種子については、通常の種子と同様に利用すればよい。
【0112】
潅注処理による施用は、苗の移植時などに植穴またはその周辺に粒剤などを処理したり、種子または植物体の周囲の土壌に粒剤および水和剤などを処理したりすることによって行う。潅注処理の場合の有効成分の使用量は、農園芸地1mあたり例えば0.01~10000gであり、好ましくは0.1~1000gである。
【0113】
水面処理による施用は、水田の田面水に粒剤などを処理することによって行う。水面処理の場合の有効成分の使用量は、水田10aあたり例えば0.1~10000gであり、好ましくは1~1000gである。
【0114】
茎葉散布に用いる場合の有効成分の使用量は、畑、田、果樹園および温室などの農園芸地1haあたり例えば20~5000gであり、より好ましくは50~2000gである。
【0115】
なお、使用濃度および使用量は、剤形、使用時期、使用方法、使用場所および対象作物などによっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
【0116】
〔5.工業材料保護剤〕
(1)工業材料保護効果
アゾール誘導体(I)は、工業材料を侵す広汎な有害微生物から材料を保護する優れた効果を示すことから工業材料保護剤にも使用し得る。かかる微生物の例としては、以下に示す微生物を挙げることができる。
【0117】
紙・パルプ劣化微生物(スライム形成菌を含む)であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ジェオトリカム(Geotrichum sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、カドホーラ(Cadophora sp.)、セラトストメラ(Ceratostomella sp.)、クラドスボリウム(Cladosporium sp.)、コーティシウム(Corticium sp.)、レンティヌス(Lentinus sp.)、レンズィテス(Lenzites sp.)、フォーマ(Phoma sp.)、ポリスティクス(Polysticus sp.)、プルラリア(Pullularia sp.)、ステレウム(Stereum sp.)、トリコスポリウム(Trichosporium sp.)、アエロバクタ-(Aerobacter sp.)、バチルス(Bacillus sp.)、デスルホビブリオ(Desulfovibrio sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、フラボバクテリウム(Flavobacterium sp.)、ミクロコツカス(Micrococcus sp.)など、繊維劣化微生物であるアスペルギルスAspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、ミロテシウム(Myrothecium sp.)、カーブラリア(Curvularia sp.)、グリオマスティックス、(Gliomastix sp.)、メンノニエラ(Memnoniella sp.)、サルコポディウム(Sarcopodium sp.)、スタキボトリス(Stschybotrys sp.)、ステムフィリウム(Stemphylium sp.)、ジゴリンクス(Zygorhynchus sp.)、バチルス(bacillus sp.)、スタフィロコッカス(Staphylococcus sp.)など、木材変質菌であるオオウズラタゲ(Tyromyces palustris)、カワラタケ(Coriolus versicolor)、アスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、リゾプス(Rhizopus sp.)、オーレオバシディウム(Aureobasidium sp.)、グリオクラデイウム(Gliocladum sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)など、皮革劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillussp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、ムコール(Mucor sp.)、パエシロミセス(Paecilomycessp.)、ピロブス(Pilobus sp.)、プルラリア(Pullularia sp.)、トリコスポロン(Trichosporon sp.)、トリコテシウム(Tricothecium sp.)など、ゴム・プラスチック劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、リゾプス(Rhizopus sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、ミロテシウム(Myrothecium sp.)、ストレプトマイセス(Streptomyces sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、バチルス(Bacillus sp.)、ミクロコツカス(Micrococcus sp.)、セラチア(Serratia sp.)、マルガリノマイセス(Margarinomyces sp.)、モナスクス(Monascus sp.)など、塗料劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、オーレオバシディウム(Aureobasidium sp.)、グリオクラディウム(Gliocladium sp.)、ボトリオディプロディア(Botryodiplodia sp.)、マクロスポリウム(Macrosporium sp.)、モニリア(Monilia sp.)、フォーマ(Phoma sp.)、プルラリア((Pullularia sp.)、スポロトリカム(Sporotrichum sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、バシルス((bacillus sp.)、プロテウス(Proteus sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、セラチア(Serratia sp.)。
【0118】
(2)製剤
アゾール誘導体(I)を有効成分として含む工業用材料保護剤は、アゾール誘導体(I)以外にも種々の成分を含んでいてもよい。アゾール誘導体(I)を有効成分として含む工業用材料保護剤は、適当な液体担体に溶解あるいは分散させるか、または固体担体と混合して使用することができる。アゾール誘導体(I)を有効成分として含む工業用材料保護剤は、必要に応じて、更に乳化剤、分散剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤または安定剤等を含んでいてもよい。また、アゾール誘導体(I)を有効成分として含む工業用材料保護剤の剤型としては、水和剤、粉剤、粒剤、錠剤、ペースト剤、懸濁剤および噴霧材などを挙げることができる。アゾール誘導体(I)を有効成分として含む工業用材料保護剤は、他の殺菌剤、殺虫剤または劣化防止剤等を含んでいてもよい。
【0119】
液体担体としては、有効成分と反応しないものであれば特に限定されるものではない。液体担体としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、セロソルブ等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ガソリン、ケロシン、灯油、機械油、燃料油等)、酸アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等)ハロゲン化炭化水素類(例えば、クロロホルム、四塩化炭素等)、エステル類(例えば、酢酸エチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)およびジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
【0120】
また、固体担体としては、カオリンクレー、ベントナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石、尿素および硫酸アンモニウム等の微粉末または粒状物が使用できる。
【0121】
乳化剤、分散剤としては、石鹸類、アルキルスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、第4級アンモニウム塩、オキシアルキルアミン、脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイド系およびアンヒドロソルビトール系等の界面活性剤が使用できる。
【0122】
アゾール誘導体(I)を有効成分として製剤中に含有させる場合、その含有割合は、剤型および使用目的によっても異なるが、製剤の全量に対して、0.1~99.9%重量%とすればよい。なお、実際の使用時においては、その処理濃度は、通常0.005~5重量%、好ましくは0.01~1重量%となるように適宜、溶剤、希釈剤および増量剤などを加えて調整するのが好ましい。
【0123】
以上に説明したように、アゾール誘導体(I)は、植物病害を引き起こす多くの菌に対して優れた殺菌作用を示す。すなわち、アゾール誘導体(I)を有効成分として含む農園芸用病害防除剤は、人畜に対する毒性が低く取扱い安全性に優れ、かつ広範な植物病害に対して高い防除効果を示すことができる。
【0124】
〔まとめ〕
以上の通り、本発明に係るアゾール誘導体は、上述の一般式(I)で示されるアゾール誘導体、またはそのN-オキシドもしくは許容可能な塩である。
【0125】
[式(I)中、
Aは、NまたはCHであり;
およびRは、それぞれ独立に水素、C-C-アルキル基、C-C-シクロアルキル基またはC-C-シクロアルキル-C-C-アルキル基であり;
とRとは、互いに結合して環を形成していてもよく;
Zは、フェニル基、またはO、NおよびSから選択されるヘテロ原子を1、2、3もしくは4つ含む5員または6員の芳香族複素環であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、C-C-アルキル基、C-C-ハロアルキル基、C-C-アルコキシ基またはC-C-ハロアルコキシ基であり;
はZの任意の置換位置にn個結合しており;
nは0、1、2、3、4または5であり;
mは1または2である。]
また、本発明に係るアゾール誘導体では、上記一般式(I)において、RおよびRは、それぞれ独立に水素、C-C-アルキル基、C-C-シクロアルキル基またはC-C-シクロアルキル-C-C-アルキル基であり、RとRとは、互いに結合して環を形成していてもよい、ものであることが好ましい。
【0126】
また、本発明に係るアゾール誘導体では、上記一般式(I)において、mが1であることが好ましい。
【0127】
また、本発明に係るアゾール誘導体では、上記一般式(I)において、Zがフェニル基であることが好ましい。
【0128】
本発明に係るアゾール誘導体の製造方法は、上述のアゾール誘導体を製造する方法であって、下記一般式(II)で示される化合物を、1,2,4-トリアゾールもしくはイミダゾールまたはこれらのアルカリ金属塩と、硫黄イリドとの共存下で反応させることにより、上記アゾール誘導体を製造する、アゾール誘導体の製造方法である。
【化9】
[式(II)中、R、R、R、Z、mおよびnは、それぞれ式(I)におけるR、R、R、Z、mおよびnと同一である。]
また、本発明に係るアゾール誘導体を有効成分として含有する、農園芸用薬剤または工業用材料保護剤も本発明の範疇に含まれる。
【0129】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
【実施例
【0130】
〔化合物の合成〕
<合成例1.1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-7)の合成(合成スキーム1)>
5-フルオロ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成
55%水素化ナトリウム9.61gを量り取り、ノルマルヘキサンで洗浄した。続いてN,N-ジメチルホルムアミド300mLを加え、撹拌しながら氷水浴で冷却した。ここに5-フルオロインダノン15.02gを分割添加した。続いて、ヨードメタン31.27gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で2時間撹拌した。反応後、反応液を氷水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲリカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を黄色固体として14.21g得た。収率80.0%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.76 (dd, J = 8.1, 5.2Hz, 1H), 7.10-7.06 (m, 2H), 2.99 (s, 2H), 1.24 (s, 6H).。
【0131】
5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成1
前項で合成した5-フルオロ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン8.91gを量り取り、N,N-ジメチルホルムアミド90mL、4-クロロフェノール12.86g、および炭酸カリウム13.82gを加え、120℃で6時間加熱した。反応液を放冷し、氷水に注いだ。トルエンで抽出し、有機層を1N水酸化ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲリカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を黄色液体として13.82g得た。収率92.8%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.73 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.37 (d, J = 8.9Hz, 2H), 7.03 (d, J = 8.8Hz, 2H), 6.97 (dd, J = 8.4, 2.2Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 2.92 (s, 2H), 1.23 (s, 6H).。
【0132】
5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成2
5-ブロモ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン239.4mg、p-クロロフェノール194.0mg、N,N-ジメチルホルムアミド5ml、炭酸カリウム277.8mg、ヨウ化銅38.3mg、およびトリス(2,4-ペンタンジオナト)鉄(III)139.8mgを量り取り、135℃で9時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、水を加えてトルエンで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、粗体を178.9mg得た。これをシリカゲリカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を104.8mg得た。収率36.5%。
【0133】
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-7)の合成
前項で合成した5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン104.8mgを量り取り、N-メチルピロリドン1ml、およびトリアゾールナトリウム塩66.8mgを加え、80℃に加熱した。ここにトリメチルスルホキソニウムブロミド76.1mgと、ナトリウムtert-ブトキシド42.6mgをそれぞれ4分割して30分おきに加えた。最初の試薬添加から70分後に油浴温度を90℃、130分後に100℃に上げた。最初の試薬添加から3時間後に反応液を室温まで冷却し、水を加えてトルエンで抽出した。得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲリカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を白色固体として61.1mg得た。収率45.3%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.97 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.28 (dd, J = 9.0, 2.2Hz, 2H), 6.90 (d, J = 9.0Hz, 2H), 6.80 (s, 1H), 6.64 (d, J = 8.2Hz, 1H), 6.33 (d, J = 8.2Hz, 1H), 4.44 (d, J = 13.8Hz, 1H), 4.25 (d, J = 13.8Hz, 1H), 3.79 (s, 1H), 2.74 (s, 2H), 1.26 (s, 3H), 1.01 (s, 3H).。
【0134】
<合成例2.1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-7)の合成2(合成スキーム1’)>
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-ブロモ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オールの合成
5-ブロモ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン654.7mgを量り取り、N-メチルピロリドン8.3mL、およびトリアゾールナトリウム塩500.8mgを加え、80℃に加熱した。ここにトリメチルスルホキソニウムブロミド142.8mgと、ナトリウムtert-ブトキシド82.5mgをそれぞれ4分割して30分おきに加えた。最初の試薬添加から70分後に油浴温度を90℃、130分後に100℃に上げた。最初の試薬添加から3時間後に反応液を室温まで冷却し、水を加えてトルエンで抽出した。得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲリカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を褐色液体として462.2mg得た。収率53%。
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ: 7.98 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.14 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.21 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.42 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.19 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.94 (s, 1H), 2.80 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 2.74 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 1.27 (s, 3H), 0.99 (s, 3H).。
【0135】
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-7)の合成
前項で合成した1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-ブロモ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール365.2mgをN,N-ジメチルホルムアミド5.7mLに溶解し、炭酸カリウム365.1mg、4-クロロフェノール218.9mg、ヨウ化銅43.4mg、およびトリス(2,4-ペンタンジオナト)鉄(III)161.0mgを加えた後、135℃で9時間撹拌した。得られた溶液に水を加え、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去して得られた粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を51.7mg得た。収率12.3%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 7.97 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.28 (dd, J = 9.0, 2.2Hz, 2H), 6.90 (d, J = 9.0Hz, 2H), 6.80 (s, 1H), 6.64 (d, J = 8.2Hz, 1H), 6.33 (d, J = 8.2Hz, 1H), 4.44 (d, J = 13.8Hz, 1H), 4.25 (d, J = 13.8Hz, 1H), 3.79 (s, 1H), 2.74 (s, 2H), 1.26 (s, 3H), 1.01 (s, 3H).。
【0136】
<合成例3.1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-27)の合成(合成スキーム2)>
5-(4-クロロフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成
5-フルオロインダノン301mg、4-クロロフェノール515mgをN,N-ジメチルホルムアミド3.6mLに溶解し、炭酸カリウム553mgを加えた。120℃で4時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却し、水を加えた。トルエンで抽出し、得られた有機層を水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を褐色油状物として314mg得た。収率60.5%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.73 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.37 (d, J = 9.0Hz, 2H), 7.03 (d, J = 9.0Hz, 2H), 6.97 (dd, J = 8.4, 2.2Hz, 1H), 6.93 (s, 1H), 3.09-3.06 (m, 2H), 2.71-2.68 (m, 2H).。
【0137】
5-(4-クロロフェノキシ)-1-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデンの合成
5-(4-クロロフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン1.294g、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド3.572g、および脱水テトラヒドロフラン20mLを量り取り、室温で撹拌しながら、カリウムtert-ブトキシド1.122gと脱水テトラヒドロフラン10mLとの混合液を2時間かけて滴下した。滴下後、1時間撹拌し、反応液を三分の一程度まで濃縮した。ここにヘキサンを加えると析出が生じたのでセライトろ過により取り除き、ろ液を水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物1.025gを無色透明油状物として得た。収率79.9%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.45 (dd, J = 7.0, 2.2Hz, 1H), 7.30-7.24 (m, 2H), 6.99-6.90 (m, 2H), 6.86-6.83 (m, 2H), 5.36 (t, J = 2.4Hz, 1H), 5.99 (t, J = 2.1Hz, 1H), 2.96-2.90 (m, 2H), 2.86-2.80 (m, 2H).。
【0138】
5-(4-クロロフェノキシ)-1-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オールの合成
50%N-メチルモルホリンN-オキシド水溶液1.133gを量り取り、水1.0mLを加えた。四酸化オスミウムを少量加え、前項で合成した5-(4-クロロフェノキシ)-1-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデン1.025g、およびアセトン0.8mLを加えた。室温で9時間、激しく撹拌し、反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルを加え、不溶物をセライトろ過により取り除いた。ろ液から酢酸エチルで抽出し、水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物0.850gを灰色固体として得た。収率73.2%。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 7.42 (d, J = 9.0Hz, 2H), 7.31-7.29 (m, 1H), 6.99 (d, J = 9.0Hz, 2H), 6.87-6.84 (m, 2H), 4.99 (s, 1H), 4.68 (t, J = 5.8Hz, 1H), 3.45 (d, J = 5.8Hz, 2H), 2.89-2.81 (m, 1H), 2.75-2.67 (m, 1H), 2.35-2.28 (m, 1H), 1. 93-1.83 (m, 1H).。
【0139】
4-メチルベンゼンスルホン酸(5-(4-クロロフェノキシ)-1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)メチルの合成
前項で合成した5-(4-クロロフェノキシ)-1-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール0.850g、およびクロロホルム2.9mLを量り取り、氷水冷却下、ピリジン0.447g、およびp-トルエンスルホニルクロリド0.838gを加え、氷水浴下、5時間撹拌した。反応後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物0.686gを無色透明油状物として得た。収率52.7%。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 7.74 (d, J = 8.3Hz, 2H), 7.46-7.42 (m, 4H), 7.20 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.02-6.99 (m, 2H), 6.84-6.81 (m, 2H), 5.56 (br, 1H), 4.06-3.97 (m, 2H), 2.87-2.80 (m, 1H), 2.69-2.61 (m, 1H), 2.42 (s, 3H), 2.18-2.12 (m, 1H), 1.98-1.90 (m, 1H).。
【0140】
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-27)の合成
前項で合成した4-メチルベンゼンスルホン酸(5-(4-クロロフェノキシ)-1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)メチル0.686g、N-メチルピロリドン1.5mLおよびトリアゾールナトリウム塩0.280gを加え、60℃で1時間撹拌した。反応後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物0.081mgを黄色油状物として得た。収率15.4%。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 8.04 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.29 (dd, J = 6.8, 2.2Hz, 2H), 6.92 (dd, J = 6.7, 2.2Hz, 2H), 6.98-6.80 (m, 3H), 4.38-4.35 (m, 2H), 3.72 (s, 1H), 3.01-2.96 (m, 1H), 2.85-2.77 (m, 1H), 2.38-2.32 (m, 1H), 2.17-2.09 (m, 1H). 。
【0141】
<合成例4.5-(4-クロロフェノキシ)-2-イソプロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成(合成スキーム2)>
5-(4-クロロフェノキシ)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸メチルの合成
55%水素化ナトリウム134mgを量り取り、ヘキサンで洗浄した。ここに炭酸ジメチル1.0ml、脱水メタノール10μLを加え、80℃に加熱した。加熱後、前項で合成した5-(4-クロロフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン313.7mgと炭酸ジメチル3.0mLとの混合液を加えた。その後100℃で1.5時間加熱還流し、放冷後、反応液を氷水に注いだ。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、トルエンで抽出し、得られた有機層を水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を褐色油状物として228mg得た。収率59.4%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.74 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.40-7.37 (m, 2H), 7.05-7.03 (m, 2H), 7.01-6.98 (m, 1H), 6.93 (s, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.74 (dd, J = 8.3, 4.0Hz, 1H), 3.49 (dd, J = 17.4, 3.8Hz, 1H), 3.28 (dd, J = 17.4, 8.2Hz, 1H).。
【0142】
5-(4-クロロフェノキシ)-2-イソプロピル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸メチルの合成
55%水素化ナトリウム35.6mgを量り取り、ヘキサンで洗浄した。ここにN,N-ジメチルホルムアミド1.0mLを加えて氷水浴で冷却し、前項で合成した5-(4-クロロフェノキシ)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸メチル228.3mgとN,N-ジメチルホルムアミド1.2mLとの混合液を加えた。続いてヨウ化イソプロピル134.8mgを加え、80℃で1.5時間加熱した。反応液を室温まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を黄色油状物として93.7mg得た。収率36.2%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.70 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.9Hz, 2H), 7.05 (d, J = 8.9Hz, 2H), 6.97-6.93 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.64 (d, J = 17.7Hz, 1H), 2.99 (d, J = 17.7Hz, 1H), 2.92-2.85 (m, 1H), 0.96 (d, J = 6.8Hz, 3H), 0.74 (d, J = 6.8Hz, 3H).。
【0143】
5-(4-クロロフェノキシ)-2-イソプロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成
前項で合成した5-(4-クロロフェノキシ)-2-イソプロピル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸メチル90.1mgにテトラヒドロフラン1.1mL、30重量%水酸化ナトリウム水溶液1.1mLを加え、4.5時間加熱還流した。反応液を放冷後、希塩酸で中和し、トルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を白色固体として50.0mg得た。収率66.2%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.70 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.37 (d, J = 8.9Hz, 2H), 7.03 (d, J = 9.0Hz, 2H), 6.96-6.92 (m, 2H), 3.06 (dd, J = 17.6, 8.1Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 17.6, 4.0Hz, 1H), 2.69-2.65 (m, 1H), 2.44~2.36 (m, 1H), 1.04 (d, J = 6.9Hz, 3H), 0.79 (d, J = 6.8Hz, 3H).。
【0144】
<合成例5.1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-32、I-33)の合成(合成スキーム2’)>
5-ブロモ-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸メチルの合成
55%水素化ナトリウム4.813g、炭酸ジメチル250mL、脱水メタノール1mLを量り取り、50℃に加温しながら5-ブロモ-1-インダノン21.11gと炭酸ジメチル150mLの混合溶液を滴下した。滴下後30分撹拌し、反応液を氷水に注いだ。飽和塩化アンモニウム水溶液200mLを加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を淡黄色固体として19.17g得た。収率71.2%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.70 (d, J = 0.9Hz, 1H), 7.64 (d, J = 8.1Hz, 1H), 7.56-7.53 (m, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.74 (dd, J = 8.3, 4.0Hz, 1H), 3.56 (dd, J = 17.4, 4.0Hz, 1H), 3.36 (dd, J = 17.4, 8.3Hz, 1H).。
【0145】
5-ブロモ-2-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸メチルの合成
前項で合成した5-ブロモ-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸メチル18.90g、炭酸カリウム19.44gおよびN,N-ジメチルホルムアミド70mLを量り取り室温で撹拌し、ヨウ化メチル19.94gを滴下した。滴下後1時間撹拌し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を黄色固体として18.96g得た。収率95.4%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.66-7.64 (m, 2H), 7.56 (d, J = 8.2Hz, 1H), 3.70 (d, J = 17.3Hz, 1H), 3.69 (s, 3H), 2.98 (d, J = 17.4Hz, 1H), 1.52 (s, 3H). 。
【0146】
5-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成
前項で合成した5-ブロモ-2-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸メチル18.41gおよびテトラヒドロフラン260mLを量り取り、30重量%水酸化ナトリウム水溶液260gを加え、強撹拌しながら2時間加熱還流した。反応液を室温に冷却後、希塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を黄色固体として4.810g得た。収率32.9%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.63 (s, 1H), 7.61 (d, J = 8.2Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.1Hz, 1H), 3.42-3.35 (m, 1H), 2.74-2.70 (m, 2H), 1.31 (d, J = 7.3Hz, 3H). 。
【0147】
5-ブロモ-2-メチル-1-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデンの合成
前項で合成した5-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン4.810g、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド15.27gおよび脱水テトラヒドロフラン85mLを量り取り、室温で撹拌しながらカリウムtert-ブトキシド4.783gと脱水テトラヒドロフラン43mLとの混合液を0.5時間かけて滴下した。滴下後1時間撹拌し、反応液を四分の一程度まで濃縮した。ここにヘキサンを加えると析出が生じたのでセライトろ過により取り除き、ろ液を水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物4.528gを無色透明油状物として得た。収率94.9%
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.37 (s, 1H), 7.34-7.31 (m, 2H), 5.45 (d, J = 2.6Hz, 1H), 5.00 (d, J = 2.2Hz, 1H), 3.16 (dd, J = 16.2, 8.5Hz, 1H), 3.05-3.02 (m, 1H), 2.55 (dd, J = 16.2, 5.1Hz, 1H), 1.24 (d, J = 7.0Hz, 3H). 。
【0148】
5-ブロモ-1-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オールの合成
50%N-メチルモルホリンN-オキシド水溶液5.715gを量り取り、水5.2mLを加えた。四酸化オスミウムを20.2mg加え、前項で合成した5-ブロモ-2-メチル-1-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデン4.528g、およびアセトン4.1mLを加えた。室温で6時間、激しく撹拌し、反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルを加え、不溶物をセライトろ過により取り除いた。ろ液から酢酸エチルで抽出し、水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物4.768gを橙色油状物として得た。収率91.4%。
ジアステレオマー1
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 7.37-7.22 (m, 3H), 5.02 (s, 1H), 4.39 (t, J = 5.3Hz, 1H), 3.46-3.41 (m, 2H), 2.94-2.85 (m, 1H), 2.56-2.46 (m, 1H), 2.32-2.29 (m, 1H), 1.12 (d, J = 7.0Hz, 3H).
ジアステレオマー2
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 7.37-7.22 (m, 3H), 4.68-4.65 (m, 2H), 3.57 (dd, J = 11.0, 5.7Hz, 1H), 3.46-3.41 (m, 1H), 2.94-2.85 (m, 1H), 2.56-2.46 (m, 1H), 2.44-2.38 (m, 1H), 0.96 (d, J = 6.9Hz, 3H). 。
【0149】
4-メチルベンゼンスルホン酸(5-ブロモ-1-ヒドロキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)メチルの合成
前項で合成した5-ブロモ-1-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール4.768g、およびクロロホルム19mLを量り取り、氷水冷却下、ピリジン2.937g、およびp-トルエンスルホニルクロリド5.300gを加え、氷水浴下、5.5時間撹拌した。反応後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物7.549gを緑色透明油状物として得た。収率99.0%。
ジアステレオマー1
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.61 (d, J = 8.3Hz, 2H), 7.35-7.25 (m, 4H), 7.08 (d, J = 8.1Hz, 1H), 4.14 (d, J = 10.0Hz, 1H), 4.05 (d, J = 10.0Hz, 1H), 3.05-2.93 (m, 1H), 2.50-2.41 (m, 5H), 1.15 (d, J = 6.7Hz, 3H).
ジアステレオマー2
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.76 (d, J = 8.3Hz, 2H), 7.35-7.25 (m, 4H), 7.12 (d, J = 8.1Hz, 1H), 4.15-4.10 (m, 2H), 3.05-2.93 (m, 1H), 2.61 (dd, J = 16.2, 6.1Hz, 1H), 2.50-2.41 (m, 4H), 1.06 (d, J = 7.0Hz, 3H). 。
【0150】
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オールの合成
前項で合成した4-メチルベンゼンスルホン酸(5-ブロモ-1-ヒドロキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)メチル7.549g、N-メチルピロリドン18mLおよびトリアゾールナトリウム塩3.346gを加え、60℃で1.5時間撹拌した。反応後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物3.539mgを白色固体として得た。収率62.6%。
ジアステレオマー1
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 8.01 (s, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.38-7.35 (m, 1H), 7.13 (d, J = 6.8Hz, 1H), 6.14 (d, J = 8.0Hz, 1H), 4.40 (d, J = 13.6Hz, 1H), 4.27 (s, 1H), 4.08 (d, J = 13.8Hz, 1H), 3.10-3.03 (m, 1H), 2.64-2.51 (m, 2H), 1.29 (d, J = 6.9Hz, 3H).
ジアステレオマー2
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 8.06 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.38-7.35 (m, 1H), 7.32 (d, J = 8.0Hz, 1H), 6.81 (d, J = 8.1Hz, 1H), 4.40 (d, J = 13.6Hz, 1H), 4.34 (d, J = 14.0Hz, 1H), 3.49 (s, 1H), 3.10-3.03 (m, 1H), 2.64-2.51 (m, 1H), 2.47-2.44 (m, 1H), 0.91 (d, J = 7.0Hz, 3H). 。
【0151】
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-32、I-33)の合成
前項で合成した1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール306.2mgをN,N-ジメチルホルムアミド1.5mLに溶解し、炭酸セシウム653.0mg、4-クロロフェノール372mgおよびヨウ化銅20mgを量り取り、マイクロウェーブ合成装置を用いて195℃で2時間撹拌した。得られた溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒留去して得られた粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を121.4mg得た。収率34.9%。続いて、分取カラムでジアステレオマーを分取した。
ジアステレオマー1:(化合物番号I-32)
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ: 8.01 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.27 (dd, J = 6.5, 2.4 Hz, 2H), 6.89 (dd, J = 6.9, 2.1 Hz, 2H), 6.80 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.64 (dd, J = 8.3, 2.8 Hz, 1H), 6.25 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.42 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 4.13-4.11 (m, 2H), 3.08-3.04 (m, 1H), 2.64-2.61 (m, 1H), 2.51 (dd, J = 15.8, 10.3 Hz, 1H), 1.29 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
ジアステレオマー2:(化合物番号I-33)
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ: 8.10 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.29 (dd, J = 6.2, 2.1 Hz, 2H), 6.95-6.92 (m, 3H), 6.83-6.82 (m, 2H), 4.47 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 4.37 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 3.29 (s, 1H), 3.03-2.99 (m, 1H), 2.61-2.58 (m, 1H), 2.47-2.44 (m, 1H), 0.90 (d, J = 6.9 Hz, 3H). 。
【0152】
<合成例6.1’-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5’-(4-クロロフェノキシ)-1’,3’-ジヒドロスピロ[シクロプロパン-1,2’-インデン]-1’-オール(化合物番号I-17)の合成(合成スキーム3)>
5-フルオロ-2-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成
パラホルムアルデヒド1.350g、N-メチルアニリウムトリフルオロアセタート3.317gを量り取り、5-フルオロインダノン1.503gとテトラヒドロフラン10mLとの混合液を加えた。3時間加熱還流を行い、室温まで冷却後、ジエチルエーテル20mlを加えて撹拌しデカンテーションした。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の2倍希釈液で洗浄し、さらに水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。30℃で溶媒を留去し、標記の化合物を濃緑色固体として1.313g得た。収率80.9%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.89 (dd, J = 8.4, 5.4Hz, 1H), 7.18-7.10 (m, 2H), 6.37-6.36 (m, 1H), 5.66-5.65 (m, 1H), 3.76 (s, 2H). 。
【0153】
5’-フルオロスピロ[シクロプロパン-1,2’-インデン]-1’(3’H)-オンの合成
55%水素化ナトリウム0.364gを量り取り、ヘキサンで洗浄した。ジメチルスルホキシド10mLを加え、トリメチルスルホキソニウムヨージド1.839gを二分割して加えた。室温で15分撹拌し、前項で合成した5-フルオロ-2-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン1.232gとジメチルスルホキシド10mlとの混合溶液を加え、ジメチルスルホキシド2.8mlで洗い込んだ。室温で1時間撹拌し、反応液を氷水に注いで飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。トルエンで抽出し、得られた有機層を水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を白色結晶として0.523g得た。収率39.0%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.78 (dd, J = 8.5, 5.4Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.6Hz, 1H), 7.10 (td, J = 8.9, 2.3Hz, 1H), 3.22 (s, 2H), 1.47-1.44 (m, 2H), 1.17-1.15 (m, 2H).。
【0154】
5’-(4-クロロフェノキシ)スピロ[シクロプロパン-1,2’-インデン]-1’(3’H)-オンの合成
前項で合成した5’-フルオロスピロ[シクロプロパン-1,2’-インデン]-1’(3’H)-オン353mg、N,N-ジメチルホルムアミド3.6mL、4-クロロフェノール514mg、および炭酸カリウム554mgを量り取り、120℃で6時間加熱撹拌した。反応後、反応液を室温まで冷却し、水を加えた。トルエンで抽出し、得られた有機層を1M NaOH水溶液および水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を無色透明油状物として499mg得た。収率87.4%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.75 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.39-7.35 (m, 2H), 7.05-6.99 (m, 3H), 6.97 (s, 1H), 3.15 (s, 2H), 1.45-1.42 (m, 2H), 1.14-1.11 (m, 2H).。
【0155】
1’-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5’-(4-クロロフェノキシ)-1’,3’-ジヒドロスピロ[シクロプロパン-1,2’-インデン]-1’-オール(化合物番号I-17)の合成
前項で合成した5’-(4-クロロフェノキシ)スピロ[シクロプロパン-1,2’-インデン]-1’(3’H)-オン497mgをN-メチルピロリドン5.2mLに溶解し、トリアゾールナトリウム塩319mgを加え、80℃に加熱した。ここにトリメチルスルホキソニウムブロミド363mgとナトリウムtert-ブトキシド202mgとをそれぞれ4分割して30分おきに加えた。最初の試薬添加から70分後に油浴温度を90℃、130分後に100℃に上げた。最初の試薬添加から3時間後に反応液を室温まで冷却し、水を加えてトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を白色固体として59.1mg得た。収率9.2%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 7.95 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.29 (d, J = 8.7Hz, 2H), 6.92 (d, J = 8.8Hz, 2H), 6.79 (s, 1H), 6.73 (d, J = 8.3Hz, 1H), 6.50 (d, J = 8.3Hz, 1H), 4.32 (d, J = 14.0Hz, 1H), 4.28 (d, J = 14.2Hz, 1H), 3.39 (s, 1H), 3.12 (d, J = 16.3Hz, 1H), 2.55 (d, J = 16.4Hz, 1H), 1.11-1.06 (m, 1H), 0.82-0.77 (m, 1H), 0.73-0.67 (m, 1H), 0.43-0.38 (m, 1H).。
【0156】
<合成例7.1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-2,2-ジメチル-5-((5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-18)の合成(合成スキーム4)>
5-(ベンジルオキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの合成
5-フルオロ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン1.782g、ベンジルアルコール1.191g、およびN,N-ジメチルホルムアミド30mLを量り取り、氷浴冷却下、カリウムtert-ブトキシド1.235gを加えた。室温で1時間撹拌し、水を加えた。トルエンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で一回ずつ洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物を2.450gを得た。収率92.0%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.70 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.45-7.36 (m, 5H), 6.99 (dd,
J = 8.5, 2.3Hz, 1H), 6.94 (s, 1H), 5.14 (s, 2H), 2.94 (s, 2H), 1.22 (s, 6H).。
【0157】
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(ベンジルオキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オールの合成
55%水素化ナトリウム0.483gを量り取り、ヘキサンで洗浄した。続いて脱水ジメチルスルホキシド14.4mL、およびトリメチルスルホニウムヨージド2.441gを加え、25℃で30分撹拌した。前項で合成した5-(ベンジルオキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン2.450gと脱水ジメチルスルホキシド2.0mLとの混合液を加え、脱水ジメチルスルホキシド2.0mLで洗い込んだ。25℃で4時間撹拌し、続いて1,2,4-トリアゾール1.278g、ジアザビシクロウンデセン2.809gを加え、80℃で3時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物0.746gを白色固体として得た。収率23.2%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 8.00 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.46-7.35 (m, 5H), 7.23 (d, J = 8.3Hz, 1H), 6.94-6.90 (m, 2H), 5.09 (s, 2H), 4.37 (dd, J = 12.2, 9.0Hz, 1H), 4.29 (dd, J = 12.2, 5.1Hz, 1H), 3.67-3.64 (m, 1H), 2.83 (d, J = 16.1Hz, 1H), 2.71 (d, J = 16.1Hz, 1H), 1.29 (s, 3H), 0.75 (s, 3H).。
【0158】
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル) -2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1,5-ジオール
前項で合成した1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(ベンジルオキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール488.8mgをエタノール2.8mLに懸濁し、10%パラジウム炭素(約55%水湿潤品)129.8mgを加え、風船で水素を導入した。室温で8時間撹拌し、不溶物をセライトろ過により取り除いた。ろ液を濃縮し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物331.9mgを白色固体として得た。収率91.5%。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 9.43 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.17 (d, J = 8.1Hz, 1H), 6.64 (m, 2H), 4.87 (t, J = 5.0Hz, 1H), 4.30 (dd, J = 11.0, 4.8Hz, 1H), 3.81 (dd, J = 11.0, 5.2Hz, 1H), 2.75 (d, J = 15.6Hz, 1H), 2.69 (d, J = 15.6Hz, 1H), 1.19 (s, 3H), 0.38 (s, 3H).。
【0159】
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-2,2-ジメチル-5-((5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(化合物番号I-18)の合成
前項で合成した1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル) -2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1,5-ジオール130.1mg、2-フルオロ-5-トリフルオロメチルピリジン124.2mg、炭酸セシウム249.9mg、および脱水N,N-ジメチルホルムアミド1.0mLを量り取り、60℃で4時間加熱撹拌した。反応後、反応液を室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を珪藻土カラムに通した。溶媒を留去し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記の化合物124.1mgを無色透明油状物として得た。収率61.1%。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 8.47 (s, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.6Hz, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.40 (d, J = 8.3Hz, 1H), 7.14-7.07 (m, 3H), 4.47 (m, 1H), 4.28 (d, J = 12.1Hz, 1H), 3.48 (s, 1H), 2.89 (d, J = 16.2Hz, 1H), 2.80 (d, J = 16.2Hz, 1H), 1.33 (s, 3H), 0.75 (s, 3H).。
【0160】
<合成例8.その他の化合物の合成>
上述の合成例1~7における使用化合物及び条件等を適宜変更し、化合物番号I-1~I-6、I-8~I~16およびI-19~I-38で示される化合物を合成した。
【0161】
〔塩の合成〕
<合成例9.1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール 塩酸塩(化合物番号I-S1)の合成>
1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロフェノキシ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール150mgをジオキサン2mLおよびクロロホルム3mLの混合溶媒に溶解し、4M塩化水素ジオキサン溶液0.2mLを加えて室温で2時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジオキサンで洗浄して、標記の化合物93mgを白色固体として得た。収率56%。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 8.39 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.42 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.97 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.84 (s, 1H), 6.67-6.66 (m, 1H), 6.52-6.50 (m, 1H), 4.44-4.35 (m, 2H), 2.70-2.68 (m, 2H), 1.18 (s, 3H), 0.82 (s, 3H).。
【0162】
<合成例10.その他の化合物の合成>
上述の合成例9における使用化合物、溶媒及び条件等を適宜変更し、化合物番号I-S2~S4で示される化合物を合成した。
【0163】
<イオンクロマトグラフィーによる測定>
(試料の調製方法)
上記で調製した固体試料10.02mgを試験管に秤量し、アセトニトリル1mLを加え超音波で20分間抽出し、これを10mLに定容した。0.45μmのメンブランフィルターを1mLの試料溶液で共洗いし、その後濾過した試料液をイオンクロマトグラフィー(TOSOH IC2010)で測定した。
【0164】
(アニオン含有量の算出)
試料液中の各アニオン濃度より、固体試料中の各アニオン含有量(質量%)をそれぞれ算出した。たとえば、化合物I-S1をイオンクロマトグラフィーで測定した結果、試料液中のClイオン濃度は94.00μg/mLであったため、固体試料中のClイオン量は9.40質量%と算出された。
【0165】
アニオン含有量の理論値と、各アニオン含有量の測定値とを比較することで、アゾール誘導体と各アニオンとのモル比を推定した。なお、アニオン含有量の理論値は、アゾール誘導体と各アニオンとの推定されるモル比から算出される。化合物I-S1のアゾール誘導体と塩素イオンのモル比が1:1の場合、化合物番号I-S1の塩素イオン含有量の理論値は8.7質量%となる。化合物I-S1のイオンクロマトグラフィーの結果は9.40質量%であり、化合物I-S1のアゾール誘導体と塩素イオンのモル比は概ね1:1であることがわかる。同様に化合物番号I-S2(硫酸塩)と化合物番号I-S3(硝酸塩)が各アニオンをモル比1:1で含む場合のアニオン含有量の理論値は、それぞれ20.8質量%、14.4質量%となり、それぞれのアニオンの測定値と概ね一致する。
【0166】
各合成化合物のNMR測定データを表3-1~表3-4、および表4に示す。また、化合物番号I-S1~I-S3で示される塩については、NMR測定データに加えて、当該塩における、アニオン含有量(質量%)について、イオンクロマトグラフィーで定量した結果を示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表4】
【0167】
<製剤例>
合成した本特許記載の任意のアゾール誘導体を用いて以下のように水和物および乳剤を製剤した。
製剤例1(水和剤)
アゾール誘導体 20.0部
ラウリル硫酸ナトリウム 2部
アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩 5部
ステアリン酸亜鉛 0.2部
ホワイトカーボン 3部
クレー 69.8部
を粉砕混合して水和剤とした。
製剤例2(乳剤)
アゾール誘導体 2.0部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル・アルキルベンゼンスルホン酸
金属塩・アルキルベンゼン混合物 15.0部
5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソペンタン酸メチル 12.5部
N,N-ジメチルオクタンアミド・N,N-ジメチルデカンアミド混合物 37.3部
ソルベントナフサ 33.2部
を均一に混合溶解して乳剤とした。
【0168】
<試験例1:植物病原菌に対する抗菌活性試験>
シャーレ試験により、本発明に係る化合物の各種植物病原性糸状菌に対する抗菌性を試験した。
【0169】
オートクレーブ滅菌後、60℃前後まで冷却したPDA培地(ポテト-デキストロース-アガー培地)に、所定の薬剤濃度になるように本発明化合物をジメチルスルホキシドに溶解し、PDA培地に1%(V/V)添加した。PDA培地中の薬剤濃度が均一になるようによく混合し、シャーレに培地を流し込み、本発明化合物を含む平板培地を作製した。
【0170】
一方、予めPDA培地上で培養した各種植物病原菌の菌叢を、直径4mmのコルクボーラーで打ち抜き、上記の薬剤含有平板培地に植菌した。表5に従い所定の期間、温度で培養後、薬剤処理平板上の菌叢直径を測定した。薬剤を含まない無処理平板上の菌叢直径と比較して、下記式により菌糸伸長抑制率(%)を算出した。
【0171】
R=100(dc-dt)/dc
(式中、R=菌糸伸長抑制率(%)、dc=無処理平板上の菌叢直径、dt=薬剤処理平板上の菌叢直径をそれぞれ示す。)
得られた結果を、表6に示す基準にしたがって5段階評価した。抗菌活性指数が大きいほど、抗菌性に優れていることを示す。
【表5】
【表6】
【0172】
試験例A:Zymoseptoria tritici
前述の方法によりZymoseptoria triticiを用いて抗菌試験を行った。被験物質100mg/Lにおいて化合物I-1、I-3~I-13、I-15~I-29、I-31~I-35、I-37、およびI-38はいずれも抗菌指数5を示した。
【0173】
試験例B:Fusarium graminearum
前述の方法によりFusarium graminearumを用いて抗菌試験を行った。被験物質100mg/Lにおいて化合物I-1、I-3~I-13、I-15~I-17、I-24~I-28、I-31~I-35、I-37、およびI-38はいずれも抗菌指数5を示した。
【0174】
試験例C:Rhynchosporium secalis
前述の方法によりRhynchosporium secalisを用いて抗菌試験を行った。被験物質100mg/Lにおいて化合物I-1、I-3~I-13、I-15~I-17、I-24~I-29、I-31~I-35、I-37、およびI-38はいずれも抗菌指数5を示した。
【0175】
<試験例2:キュウリ灰色かび病防除効果試験>
本発明化合物をアセトンに溶解し、100g/haの濃度になるように、水に0.5%(V/V)添加し、角型プラスチックポット(6.5cm×6.5cm)を用いて栽培した子葉期のキュウリ(品種: 半白節成)に、1,000L/haの割合で散布した。散布葉を風乾した後、灰色かび病菌の胞子液をしみこませたペーパーディスク(直径8mm)を乗せ、20℃高湿度条件下に保った。接種後、4日目にキュウリ灰色かび病の病斑面積比を調査して、防除価を下記式により算出した。
防除価(%)=(1-散布区の平均罹病度/無散布区の平均罹病度)×100
【0176】
また羅病度は下記の表7に基づき判断した。
【表7】
【0177】
上記の試験において、化合物I-4、I-6~I-8、I-10~I-12、I-27、I-28、I-32、I-33、I-35、I-37、およびI-S1~I-S4はいずれも防除価80%以上を示した。
【0178】
<試験例3:キュウリべと病防除効果試験>
本発明化合物をアセトンに溶解し、100g/haの濃度になるように、水に0.5%(V/V)添加し、角型プラスチックポット(6.5cm×6.5cm)を用いて栽培した子葉期のキュウリ(品種:半白節成)に、1,000L/haの割合で散布した。葉部を風乾した後、キュウリべと病菌の胞子懸濁液(1×10個/mlに調整)を噴霧接種し、20℃、高湿度条件下に保持した。菌接種後、7日目にキュウリべと病の病斑面積比を調査して、試験例2と同様にして防除価を算出した。
【0179】
上記の試験において、化合物I-17、およびI-30は防除価80%以上を示した。
【0180】
<試験例4:コムギうどんこ病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6.5cm×6.5cm)を用いてコムギ(品種:農林61号)を1~2葉期まで栽培した。アセトンに溶解し、100g/haの濃度になるように、水に0.5%(V/V)添加し、1,000L/haの割合でコムギに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、コムギうどんこ病罹病苗からコムギうどんこ病菌の胞子を振りかけて接種した。その後は温室内で管理した。接種後7~14日目に、コムギうどんこ病の病斑面積比を調査して、試験例2と同様にして防除価を算出した。
【0181】
上記の試験において、化合物I-4、I-7、I-10、I-15、I-17、I-24、I-27~I-29、I-32、I-33、およびI-35~I-37はいずれも防除価80%以上を示した。
【0182】
<試験例5:コムギ赤さび病の防除効果試験>
角型プラスチックポット(6.5cm×6.5cm)を用いてコムギ(品種:農林61号)を1~2葉期まで栽培した。本発明化合物をアセトンに溶解し、100g/haの濃度になるように水に0.5%(V/V)添加し、1,000L/haの割合でコムギに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、コムギ赤さび病菌の胞子(200個/視野に調整、60ppmとなるようにグラミンSを添加)を噴霧接種し、20℃高湿度条件下に24時間保った。その後は温室内で管理した。接種後10~14日目に、コムギ赤さび病の病斑面積比を調査して、試験例2と同様にして防除価を算出した。
【0183】
上記の試験において、化合物I-7、I-10、I-12、I-15~I-17、I-24、I-27、I-32、I-33、I-35~I-38、およびI-S1~I-S4はいずれも防除価80%以上を示した。
【0184】
<試験例6:コムギ葉枯病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6.5cm×6.5cm)を用いてコムギ(品種:農林61号)を1~2葉期まで栽培した。本発明化合物をアセトンに溶解し、100g/haの濃度になるように水に0.5%(V/V)添加し、1,000L/haの割合でコムギに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、コムギ葉枯病菌の胞子(1×10個/mLに調整、60ppmとなるようにグラミンSを添加)を噴霧接種し、20℃高湿度条件下に72時間保った。その後は人工気象室内で管理した。接種後27~33日目に、コムギ葉枯れ病の病斑面積比を調査して、試験例2と同様にして防除価を算出した。
【0185】
上記の試験において、化合物I-1、I-5、I-7、I-10~I-12、I-15~I-17、I-24、I-25、I-27~I-29、I-31~I-33、I-35、I-36、およびI-S1~I-S4はいずれも防除価80%以上を示した。
【0186】
<試験例7:ダイズさび病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6.5cm×6.5cm)を用いてダイズ(品種:エンレイ)を第1、第2複葉展開期まで栽培した。本発明化合物をアセトンに溶解し、100g/haの濃度になるように水に0.5%(V/V)添加し、1,000L/haの割合でダイズに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、ダイズさび病菌の胞子(1×10個/mLに調整、60ppmとなるようにグラミンSを添加)を噴霧接種し、25℃高湿度条件下に24時間保った。その後は温室内で管理した。接種後15~20日目に、ダイズさび病の病斑面積比を調査して、防除価を下記式により算出した。
防除価(%)=(1-散布区の平均罹病度/無散布区の平均罹病度)×100
【0187】
また羅病度は下記の表8に基づき判断した。
【表8】
【0188】
上記の試験において、化合物I-4~I-7、I-9~I-13、I-15~I-17、I-24、I-25、I-28、I-31~I-33、I-35~I-38、およびI-S1~I-S4はいずれも防除価80%以上を示した。
【産業上の利用可能性】
【0189】
本発明に係るアゾール誘導体は、農園芸用の殺菌剤、および工業用材料保護剤の有効成分として好適に利用することができる。