(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】非許可領域進入回避装置
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20221003BHJP
【FI】
G07B15/00 M
G07B15/00 510
(21)【出願番号】P 2021151658
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2021-09-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522156106
【氏名又は名称】エスワイエス・エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391007460
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社
(72)【発明者】
【氏名】熊崎 隆行
(72)【発明者】
【氏名】松本 剛明
(72)【発明者】
【氏名】小島 一春
(72)【発明者】
【氏名】原 創太
(72)【発明者】
【氏名】大串 一将
(72)【発明者】
【氏名】山下 伊智朗
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-334295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載して使用されるものであり、制御手段と、前記制御手段により制御される、入出ゲートを有する道路において道路管轄により入出を許可された道路領域である入出許可領域を示す業務用カードを挿入して使用するカードリーダと、前記業務用カードが挿入されているかどうかをチェックするカード挿入チェック手段と、車の現在位置を測定する位置測定手段と、車が向かう道路上の進行方向を決定する進行方向決定手段と、前記入出許可領域の境界と関連付けて、前記境界の位置データを格納する領域の境界位置データメモリと、前記進行方向決定手段で決まった前記進行方向に基づき前記境界位置データメモリから引き出した境界位置データと前記測定された前記車の現在位置のデータにより、前記車の現在位置が境界位置から所定の距離になったかを判断する現在位置と境界の位置関係判断手段と、報知条件分別手段と、報知データを格納する報知データメモリと、報知手段と、を備え、一体構成とするか、又は、
前記制御手段、前記カードリーダ、前記カード挿入チェック手段、前記位置測定手段、前記進行方向決定手段、前記報知手段を基本構成側に形成し、
前記境界位置データメモリと、前記報知データメモリと、前記境界位置データと、前記報知データと、前記位置関係判断手段と、前記報知条件分別手段の内、少なくとも1つを前記基本構成側とは別体構成の別体構成側に形成し、又は、前記車の外にある外部サーバ内に形成し、前記別体構成側、又は、前記外部サーバ内に形成した手段以外を前記基本構成側に形成し、前記別体構成側、又は、前記外部サーバと、前記基本構成側との間に通信手段を備え、
前記位置関係判断手段の判断結果により、前記報知条件分別手段が、対応する前記報知データを前記報知データメモリから選択して、前記報知手段により報知することで、前記車が前記業務用カードで許可された前記入出許可領域以外の領域に進入しないよう補助することを特徴とする非許可領域進入回避装置。
【請求項2】
前記入出許可領域の前記境界に近い前記入出ゲートにおいて、前記境界の外側にある限定した数の前記入出ゲートを余分に許可した重複許可ゲートのある場合に対応して、前記重複許可ゲートである場合と、前記余分の許可のない場合を想定して、前記境界位置データメモリに格納される前記境界位置データと前記入出ゲートの重複許可ゲートか否かのデータを関連付けて前記境界位置データメモリに格納したことを特徴とする請求項1記載の非許可領域進入回避装置。
【請求項3】
前記制御手段により制御される、前記入出許可領域毎に前記入出ゲートと関連付けた前記入出ゲートの位置データを格納した領域毎の入出ゲート位置データメモリと、前記領域毎の入出ゲート位置データメモリから、前記入出ゲート位置データを取得して、前記車の現在位置の最寄りの前記入出ゲートを選択し、前記車の現在位置との距離が所定の距離になったかを算出する最寄りの入出ゲート選択手段と、を備えたことで、前記車の現在位置が、前記入出ゲートがあり入出を許可された道路領域に入る前であって、前記許可された道路領域外にある場合において、
前記最寄りの前記入出ゲートから前記車の現在位置との距離が所定の距離になった場合に、前記報知条件分別手段が、対応する前記報知データを前記報知データメモリから選択して、前記報知手段により報知することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の非許可領域進入回避装置。
【請求項4】
前記制御手段により制御される入出ゲート仕分け手段を備え、前記最寄りの入出ゲート選択手段と前記進行方向決定手段の結果を受けて、前記入出ゲートが、前記入出許可領域内か否か、又は/及び、前記入出許可領域内で前記境界にあるか否かにより、前記報知条件分別手段が、対応する前記報知データを前記報知データメモリから選択して、前記報知手段により報知することを特徴とする請求項3記載の非許可領域進入回避装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路等で業務用に用いられる所謂業務用プレート等のカードの使用の場合に、現在位置を検出し、領域境界との関係を判断し、使用者がカードに規定された許可された領域でない非許可領域に進入しないように報知を行う非許可領域進入回避装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行文献を引用する。特許文献1では、移動制約者本人以外がETCカードを使用して障碍者等に対する割引を受ける場合に、車両を固定しないで、個人認証の結果、本人であれば適用されるようにしたものであり、通常のETCカードの運用の範囲をでない。
特許文献2では、業務用プレートは特定の車両を対象として発行されているにも拘らず、業務用プレートを乗員が所持している車両であれば、料金を支払うことなく出口を通過することを許容しているので、対象車両以外の車両が業務用プレートを使用するという不正使用が行なわれてしまう恐れがあったことに対応したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-28763
【文献】特開10-334295
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図2に見るように高速道路等では、通行用の道路と道路に接続したインターチェンジIC等の入出ゲートが多数あり、図の領域1と領域2で示すように、道路管轄が異なっている状態がある。通常のETCカードで道路を通行する場合は、1つの入出ゲートから入って、領域を越えて別の入出ゲートから出ても、何ら問題がないのは常識である。この場合、領域境界の存在の認識も、それを越えた認識も、ない。又、境界の標識も無かったし、境界にゲートも無かった。もしあったら、却って一般の通行者には迷惑なものと言える。
ところが、所謂、業務用プレートと呼ばれる無料のカードは作業のための作業車の通行許可が目的であり、道路作業など道路に関係した者に与えられていて、これは特定の領域のみ通行が許可され、他の領域は許可されていない。このような場合、領域の境界の標識もゲートもない道路は、通常のETCカード通行者には便利であった裏返しとして、業務用プレートでの作業車の運転者は、うっかり領域の境界を越えて、領域外の入出ゲートを出るときに手続き問題が発生しており、このような課題に対応する先行文献は見当たらない。
本願の課題として、一般の通行者にとって見える必要がないが、道路作業など道路に関係する作業車の運転者が認識しなければならない道路領域の境界を比較の対象として、現在位置との関係を求めて運転者に報知し見える化を行うことが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、非許可領域進入回避装置であって、
車載して使用されるものであり、制御手段と、前記制御手段により制御される、入出ゲートを有する道路において道路管轄により入出を許可された道路領域である入出許可領域を示す業務用カードを挿入して使用するカードリーダと、前記業務用カードが挿入されているかどうかをチェックするカード挿入チェック手段と、車の現在位置を測定する位置測定手段と、車が向かう道路上の進行方向を決定する進行方向決定手段と、前記入出許可領域の境界と関連付けて、前記境界の位置データを格納する領域の境界位置データメモリと、前記進行方向決定手段で決まった前記進行方向に基づき前記境界位置データメモリから引き出した境界位置データと前記測定された前記車の現在位置のデータにより、前記車の現在位置が境界位置から所定の距離になったかを判断する現在位置と境界の位置関係判断手段と、報知条件分別手段と、報知データを格納する報知データメモリと、報知手段と、を備え、一体構成とするか、又は、
前記制御手段、前記カードリーダ、前記カード挿入チェック手段、前記位置測定手段、前記進行方向決定手段、前記報知手段を基本構成側に形成し、
前記境界位置データメモリと、前記報知データメモリと、前記境界位置データと、前記報知データと、前記位置関係判断手段と、前記報知条件分別手段の内、少なくとも1つを前記基本構成側とは別体構成の別体構成側に形成し、又は、前記車の外にある外部サーバ内に形成し、前記別体構成側、又は、前記外部サーバ内に形成した手段以外を前記基本構成側に形成し、前記別体構成側、又は、前記外部サーバと、前記基本構成側との間に通信手段を備え、
前記位置関係判断手段の判断結果により、前記報知条件分別手段が、対応する前記報知データを前記報知データメモリから選択して、前記報知手段により報知することで、前記車が前記業務用カードで許可された前記入出許可領域以外の領域に進入しないよう補助することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の非許可領域進入回避装置において、
前記入出許可領域の前記境界に近い前記入出ゲートにおいて、前記境界の外側にある限定した数の前記入出ゲートを余分に許可した重複許可ゲートのある場合に対応して、前記重複許可ゲートである場合と、前記余分の許可のない場合を想定して、前記境界位置データメモリに格納される前記境界位置データと前記入出ゲートの重複許可ゲートか否かのデータを関連付けて前記境界位置データメモリに格納したことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の非許可領域進入回避装置において、
前記制御手段により制御される、前記入出許可領域毎に前記入出ゲートと関連付けた前記入出ゲートの位置データを格納した領域毎の入出ゲート位置データメモリと、前記領域毎の入出ゲート位置データメモリから、前記入出ゲート位置データを取得して、前記車の現在位置の最寄りの前記入出ゲートを選択し、前記車の現在位置との距離が所定の距離になったかを算出する最寄りの入出ゲート選択手段と、を備えたことで、前記車の現在位置が、前記入出ゲートがあり入出を許可された道路領域に入る前であって、前記許可された道路領域外にある場合において、
前記最寄りの前記入出ゲートから前記車の現在位置との距離が所定の距離になった場合に、前記報知条件分別手段が、対応する前記報知データを前記報知データメモリから選択して、前記報知手段により報知することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の非許可領域進入回避装置において、
前記制御手段により制御される入出ゲート仕分け手段を備え、前記最寄りの入出ゲート選択手段と前記進行方向決定手段の結果を受けて、前記入出ゲートが、前記入出許可領域内か否か、又は/及び、前記入出許可領域内で前記境界にあるか否かにより、前記報知条件分別手段が、対応する前記報知データを前記報知データメモリから選択して、前記報知手段により報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の様に構成されているので、本発明による非許可領域進入回避装置では、業務用カード(業務用プレート)での通行車両が、うっかり領域の境界を越えて不都合を起こすことがないように報知することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる非許可領域進入回避装置の構成の一実施態様を示す図である。
【
図2】高速道路の異なる管轄の領域とその境界の例を示す図である。
【
図3】分岐のある高速道路において、異なる管轄の領域とその境界の例を示す図である。
【
図4】本発明にかかる非許可領域進入回避装置の動作フローの一実施態様を示す図である。
【
図5】本発明にかかる非許可領域進入回避装置の報知条件分別手段で分別する分別条件に対応した報知データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図4は、本発明にかかる非許可領域進入回避装置の動作フローの一実施態様を示す図である。先ず、動作フローから始め、その後に対応する構成を
図1で説明する。
非許可領域進入回避装置に使用される業務用カード(業務用プレートとも呼ばれている)は、ETCカードのように車載で使用され、通過する入出ゲートを認識して料金を支払うためのETCカードとの違いは、料金の支払いではなく、通行を許可された道路の領域を通行しているかを確認するための業務用カードである。
特に高速道路では、道路を管轄する管轄会社や部門により、作業車が通行許可(入れる)道路が決まっているため、高速道路のように繋がっていても、途中で、道路管轄による道路の領域が変わる。通行を許可された道路の領域以外は入場も通行もしてはいけないのである。
【0012】
このような中で、業務用カードを搭載する本願による非許可領域進入回避装置の動作フローを
図4において説明する。先行文献等の技術では、業務用カードをカードリーダ110Aに搭載し、入出ゲート側にある入出ゲート制御装置300により、通行許可道路を確認する動作のみであったが、本願の非許可領域進入回避装置では、主たる動作(動作フローのC)として、領域外(通行不許可)の道路に入る前に領域間の境界との位置関係を判断して、領域外に入らないように報知することができる。入出ゲートに入る前にも、業務用カードと道路に入った後の進行方向(上り方向/下り方向)の予定も確認し、チェックを行う動作(動作フローA)も主たる動作を補助するものとして好都合である。尚、入出ゲート制御装置300との通行許可道路の確認の動作(動作フローB)は、当然実施される動作である。尚、通常、入出ゲート制御装置300は、カード読み取りと通知の動作のために送受信手段を有している。
【0013】
図4において、本願の非許可領域進入回避装置は、以下の動作を行うことが出来る。
入出ゲートに入る以前の動作フローA(業務用カードで許可された道路に入る前、一般の道路走行での動作フロー)では、
電源が入っていれば、
a1)カード挿入状態検出(業務用カードがカードリーダ110Aに入っているかをカード挿入チェック手段110Bにて検出)を行う。入っていれば、
a2)現在位置の測定(位置測定手段にて)を行う。
a3)最寄りの入出ゲート選択と所定の距離範囲に入ったかの判定を行う。
この場合、領域毎の入出ゲート位置データメモリ210から最寄りの入出ゲート選択手段220が、現在位置から最も近い入出ゲートを選択し、現在位置からの距離を算出し所定の距離範囲に入るまで繰り返す。所定の距離範囲に入ったら、「最寄りの入出ゲートからxxkm内に入りました。進行方向を決定してください」等報知し、a4)の工程を促す。最も近い入出ゲートの選択は、領域毎の入出ゲート位置データの全ての位置データと現在位置の距離を算出して、距離が最小の入出ゲートを選ぶことも良いし(入出ゲートのデータが少ないので計算負荷は小さい)、他に、今回の前の時に出た入出ゲートに入ると分かっていれば、これを最寄りの入出ゲートと指定して決めてもよい。
次に、
a4)進行方向決定(進行方向決定手段130において)・入出ゲートの仕分け(入出ゲート仕分け手段230)・取り止めチェックを取り止めチェック手段240で行い、その結果に基づいて報知条件分別手段160を介して報知を行う。取り止めチェックの結果で取り止めと分かれば、終了となる。
ここで、取り止めチェックは、業務用カードを使用して入出ゲートに入ろうとした者が、業務用カードを抜く又は、取り止め入力のボタンを押したかどうかをチェックすることでもよい。尚、取り止めの行動は、本装置の稼動がなされなくなるので、入出ゲートから業務用カードで許可された道路に入ることを止めた場合に行う。
進行方向の決定は、例えば、道路の上り車線と下り車線、東京方面や名古屋方面の様な方面の選択ボタン等による選択、分岐がある場合は、分岐線を含めた道路からの選択ボタン等による選択、道路走行中の順次の位置の変遷からの現在位置において向かっている方向と道路図の対照計算から上り車線と下り車線通過の判別など、で行うことが出来る。
【0014】
入出ゲートの仕分けとその結果の報知は、進行方向決定の状況との関連で以下のようになる。
1)入出ゲートが業務用カードの許可の領域外の場合
領域外につき進入不可を報知し、領域内の入出ゲート又は道路を報知する。ここで、領域内の入出ゲートに移動する場合は、再度、動作フローAを初めから行うのが望ましい。
2)入出ゲートが業務用カードの許可の領域内であって、入出ゲートが境界にある場合
業務用カードの許可の領域外に向かう進行方向の場合は、不可であることを報知。
他の方向は、進入OKを報知。
図3に示すように、特に入出ゲートが分岐にあり、分岐の道路のみが領域外になって
いる場合は、分岐方向は進入不可であるが、分岐でない道路の上り方向、下り方向と
も進入はOKである。
不可であることを報知がされた場合には、業務用カード使用者は、進行方向の指定で
進行方向を変えるか、領域内になる別の業務用カードに変えるか、前出の取り止めの処理を行う。
3)入出ゲートが業務用カードの許可の領域内であって、入出ゲートが境界にない場合
すぐに領域外にでる恐れはないので、進行方向に関わらず進入OKを報知。
動作フローAの後、入出ゲートから道路に入る動作フローBになる。
【0015】
入出ゲート入場時の動作フローBでは、
入出ゲート制御装置300とカードリーダ110A間で通信を行い、入出ゲート制御装置300の存在する領域と業務用カードの許可の領域が合致しているか判断がなされ、その結果、合致していれば、ゲート開がなされ進入出来、道路内を通行し、動作フローCが始まる。入出ゲート制御装置300から必要なら入場許可信号を受信し、動作フローCに移る動機とする。
【0016】
領域通過中(業務用カードで許可された道路領域に入って通過中)の動作フローCでは、
道路通行中に、所定の時間間隔で、
c1)現在位置を測定(位置測定手段120により)する。
c2)現在位置(又は対応するkp値)と領域の境界位置(又は対応するkp値)の位置関係(主に距離、好ましくは、境界に対してどちら側にいるかの関係も)を判断する。
判断は、現在位置と境界の位置関係判断手段150において行う。
ここでは、進行方向決定手段130による進行方向をもとに、領域の境界を認識し(上り方向なら上り方向にある境界を認識)、領域の境界位置データメモリ140から、対象の領域の境界位置データ(又は対応するkp値)を求め、これを、現在位置と境界の位置関係判断手段150において、現在位置との判断に用いる。その結果を考慮して、
c3)報知条件分別を行う(報知条件分別手段160において)。分別の結果により対応する報知出力を報知データメモリ170を参照して、
c4)報知する(報知手段180により)。
例えば、境界から2km以内に入ると、「境界まで2kmになりました。次の入出ゲートから出てください」等の報知となる。
尚、入出許可領域内の入出ゲートを入出許可とする場合以外に、
入出許可領域の境界に近い入出ゲートにおいて、境界の外側にある(一方からは管轄外になる)限定した数の入出ゲートを余分に許可することも、道路管轄者間の取り決めで可能であり、本願記述では、重複許可ゲートと記述する。限定した数は、1個でもよい。
報知条件分別手段160での条件分別で対応しておけば、領域外に入ってもよい。このような場合は、「領域外に入りましたが、次の入出ゲート(重複許可ゲート)から出てください」と報知できる。領域外に入っても限定した数のゲート分の余裕が出来る。又、うっかり、重複許可ゲートより奥の領域の領域外に入った場合は、「許可された領域外ですので、業務用カードを抜いてください」、「許可された領域外ですので、係員の指示に従ってください」等と報知できる。
c2)の判断の結果による分別条件に対応した報知データの例を、動作フローA、動作フローBの場合も含めて
図5に示す。
c5)入出ゲートから出たかの判断を行う。これには、入出ゲート制御装置300との交信出力を参照するか、位置測定手段120による位置が道路から所定の距離以上離れたことで検出出来る。入出ゲートから出ないで道路上にあれば、c1に戻り繰りかえす。
入出ゲートから出たと判断した場合は、
c6)「動作を終了します。業務用カードを抜いてください。」等の終了報知を行う。
c7)所定時間後に業務用カードの挿入状態チェックを行う(カードリーダ110Aにて)。
抜け状態では終了。抜けてない場合は、動作フローAへ戻り、取り止め終了がない限り、繰り返しが出来る。
【0017】
次に、動作フローに対応する構成の例を説明する。
図1は、本発明にかかる非許可領域進入回避装置の構成の一実施態様を示す図である。
本願の主旨である動作フローCに対する構成を先に説明する。
非許可領域進入回避装置は、車載して使用されるものであり、制御手段100と、制御手段100により制御される、業務用カードを挿入して使用するカードリーダ110Aと、業務用カードが挿入されているかどうかをチェックするカード挿入チェック手段110Bと、GPSや慣性航法による車の現在位置を測定する位置測定手段120と、上り線又は下り線等、車が向かう進行方向を決定する進行方向決定手段130と、道路管轄の進入許可領域の境界と関連付けて、その位置データを格納する領域の境界位置データメモリ140と、
進行方向決定手段130で決まった進行方向に基づき境界位置データメモリ140から引き出した境界位置データと測定された車の現在位置のデータにより、現在位置が境界位置から所定の距離になったかを判断する現在位置と境界の位置関係判断手段150と、報知条件分別手段160と、報知データを格納する報知データメモリ170と、報知手段180と、を備え、
位置関係判断手段150の判断結果により、報知条件分別手段160が、対応する報知データを報知データメモリ170から選択して、報知手段180により報知することで、業務用カードで許可された領域以外の領域に進入しないように補助するものである。尚、この動作は、
図4の動作フローC、
図5の報知条件分別手段で分別する分別条件に対応した報知データの例の動作フローC関連記述で詳述した通りである。尚、境界位置データと測定された車の現在位置のデータは、各々、道路に設定されたキロポストと呼ばれる値(kp値)に変換され、kp値の差異として計算してもよい。その場合には、位置とkp対応データメモリ190を用いて変換できる。
尚、動作フローCにおいて、前述した「入出許可領域の境界に近い入出ゲートにおいて、境界の外側にある(一方からは管轄外になる)限定した数の入出ゲートを余分に許可する重複許可ゲートの概念に対しては、領域の境界の各々の入出ゲートが、重複許可ゲートである場合と、そうでない場合を想定して、境界位置データメモリ140に格納される境界位置データとその入出ゲートの重複許可ゲートか否かのデータを関連付けて境界位置データメモリ140に格納することが好ましい。
尚、境界位置データメモリ140(格納された境界位置データを含む)、報知データメモリ170(格納された報知データを含む)、位置関係判断手段150、報知条件分別手段160、位置-kp対応データメモリ(位置-kp対応データを含む)、の各々は、車載の為にその他の構成手段と一体構成も可能であるが、基本構成となるその他の構成手段と別体構成に形成されることもでき、通信手段を持つことでこれを利用することも可能であり一体構成にこだわらない。同様に、道路領域(又は作業車)を管理する基地局等の外部サーバ(車の外にある)に備えることで、基地局等の外部サーバから通信手段により境界位置データ、報知データを得て、位置関係判断手段150、報知条件分別手段160での処理を行い報知することもできる。更に、位置関係判断手段150、報知条件分別手段160をも基地局等の外部サーバに備えて、現在位置のデータを通信により基地局等の外部サーバに送付して、基地局等の外部サーバ側で位置関係判断手段150、報知条件分別手段160の処理を行わせ、通信によりその処理結果を取得して、報知することもでき、本願の構成概念の範囲である。
【0018】
更に本願の装置では、動作フローAに対応可能なように、制御手段100により制御される、領域毎に入出ゲートと関連付けたその位置データを格納した領域毎の入出ゲート位置データメモリ210と、領域毎の入出ゲート位置データメモリ210から、入出ゲート位置データを取得して、現在位置の最寄りの入出ゲートを選択し、現在位置との距離が所定の距離になったかを算出する最寄りの入出ゲート選択手段220と、を備えると好都合であり、その結果、報知条件分別手段160が、報知データを報知データメモリ170から選択して、報知手段180により報知することができる。
更に、制御手段100により制御される、入出ゲート仕分け手段230と取り止めチェック手段240を備えると、最寄りの入出ゲート選択手段220の結果を受けて、
図5の、入出ゲート仕分け手段230では、分別番号d3、d4、d5、d6、取り止めチェック手段240では、d2の報知対応が行える。
【0019】
尚、当然ながら、入出ゲート制御装置300との通行許可道路の確認の動作(動作フローB)は、必要なので、入出ゲート制御装置300とカードリーダ110A間で通信のための送受信手段310も備えることが好ましい。そうすれば、通信により、入場許可信号を受信して、その結果により報知条件分別手段160を介して、対応する報知をすることが可能である。尚、入場許可信号により、入場可否検出手段320を介して、動作フローCを開始することも出来る。即ち、入場可の信号を受けたので、開いた入出ゲートから道路に進入した後は、動作フローCが開始されてよいからである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように本発明にかかる非許可領域進入回避装置では、進入許可のない道路領域の境界と現在位置の関係により、見えざる境界を越えて許可領域外に進入することがないように報知を行うので、産業上利用して極めて好都合である。
【0021】
100 制御手段
110A カードリーダ
110B カード挿入チェック手段
120 位置測定手段
130 進行方向決定手段
140 領域の境界位置データメモリ
150 現在位置と境界の位置関係判断手段
160 報知条件分別手段
170 報知データメモリ
180 報知手段
190 位置-kp対応データメモリ
210 領域毎の入出ゲート位置データメモリ
220 最寄の入出ゲート選択手段
230 入出ゲート仕分け手段
240 取り止めチェック手段
300 入出ゲート制御装置
310 送受信手段
320 入場可否検出手段
【要約】
【課題】
本発明の課題は、業務用カード(業務用プレート)を車載で使用する道路進入者が、うっかり使用許可領域の境界を越えて不許可領域に進入しないように、不許可領域に入る前に報知し、不都合を回避する非許可領域進入回避装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の非許可領域進入回避装置では、車の現在位置を測定する位置測定手段と、車の道路上の進行方向を決定する進行方向決定手段と、道路管轄の進入許可領域の境界と関連付けて境界の位置データを格納する領域の境界位置データメモリと、進行方向に基づき境界位置データメモリから引き出した境界位置データと車の現在位置のデータにより、所定の報知を行う。
【選択図】
図1