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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】施設誘導システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
G01C21/26 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019018550
(22)【出願日】2019-02-05
(62)【分割の表示】P 2013038036の分割
【原出願日】2013-02-27
(65)【公開番号】P2019113557
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2019-03-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 孝明
(72)【発明者】
【氏名】渡部 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 寛治
(72)【発明者】
【氏名】原田 良一
(72)【発明者】
【氏名】星 悠太郎
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】木村 麻乃
【審判官】河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-174744(JP,A)
【文献】特開2003-067517(JP,A)
【文献】特開2011-081431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/26
G07B15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場及び店舗を含む施設内に設置されて利用者の情報通信端末と無線通信する複数の無線局と、
前記情報通信端末が無線局から受けた無線の電波強度を測定して前記無線局に送信する手段と、
前記複数の無線局と通信可能に接続された情報提供装置が、 前記無線局が受信した複数の無線の電波強度に基づいて前記施設内における情報通信端末の位置を検出する手段と、
前記情報提供装置が、 前記情報通信端末によって検出された利用者の行動に起因する情報に基づいて、歩行状態及び車両移動状態を含む利用者の行動を検知する手段と、
前記情報提供装置が、 施設内の管理対象領域にある情報通信端末にその位置及び利用者の行動に応じた誘導情報を提供する手段と、
を有する施設誘導システム。
【請求項2】
前記誘導情報を提供する手段は、前記利用者が車両に乗車している場合には車両用の誘導情報を提供し、前記利用者が歩行している場合には歩行用の誘導情報を提供する、
請求項1に記載の施設誘導システム。
【請求項3】
前記誘導情報を提供する手段は、前記利用者が目的地を指定して車両で施設に入場した場合、車両を降車してから前記目的地までの歩行用の誘導情報を提供し、その後、前記利用者が前記目的地から離脱した場合、前記目的地から駐車エリアまでの歩行用の誘導情報を提供する、
請求項1又は請求項2に記載の施設誘導システム。
【請求項4】
前記誘導情報を提供する手段は、前記利用者が車両で施設に入場した場合、前記車両を駐車可能な空車エリアまでの車両用の誘導情報を提供し、その後、前記利用者が前記車両に乗車した場合、前記車両を出場させる出場口までの車両用の誘導情報を提供する、
請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の施設誘導システム。
【請求項5】
前記誘導情報を提供する手段は、電子地図に進行方向を示す矢印を重畳させた誘導情報を提供する、
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の施設誘導システム。
【請求項6】
利用者の過去の行動履歴を記憶する手段を有し、
前記誘導情報を提供する手段は、前記利用者の過去の行動履歴に応じた誘導情報を提供する、
請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の施設誘導システム。
【請求項7】
前記行動を検知する手段は、前記情報通信端末に搭載された加速度センサによって得られた加速度の変化特性と前記利用者の行動を特定可能な加速度の変化特性からなる複数の参照モデルとを比較し、前記利用者の行動を検知する、
請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の施設誘導システム。
【請求項8】
前記利用者が徒歩で施設に入場した後、目的地から離脱した場合、前記目的地から施設を出場するまでの所要時間を前記誘導情報に重畳表示させ、前記利用者が車両で施設に入場した後、徒歩で駐車場に入場した場合、駐車場の入口から駐車エリアまでの所要時間及び前記駐車エリアから施設を出場するまでの所要時間を前記誘導情報に重畳表示させる手段をさらに有する、
請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の施設誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内において施設利用者を誘導する施設誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーションシステムの一例として、特開2012-93318号公報(特許文献1)に記載されるように、GPS(Global Positioning System)を搭載した情報通信端末により、目的地までの誘導情報を提供するサービスが実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-93318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーションシステムでは、利用者の行動、例えば、徒歩による移動、車両による移動などに応じて、その行動に適合した誘導情報が提供されておらず、利用者の利便性があまりよくなかった。
【0005】
そこで、本発明は、施設内において施設利用者の行動に応じた誘導情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
施設誘導システムは、駐車場及び店舗を含む施設内に設置されて利用者の情報通信端末と無線通信する複数の無線局と、情報通信端末が無線局から受けた無線の電波強度を測定して無線局に送信する手段と、複数の無線局と通信可能に接続された情報提供装置が、無線局が受信した複数の無線局の電波強度に基づいて施設内における情報通信端末の位置を検出する手段と、情報提供装置が、情報通信端末によって検出された利用者の行動に起因する情報に基づいて、歩行状態及び車両移動状態を含む利用者の行動を検知する手段と、情報提供装置が、施設内の管理対象領域にある情報通信端末にその位置及び利用者の行動に応じた誘導情報を提供する手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施設内において施設利用者の行動に応じた誘導情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】施設誘導システムの一例を示す概略図である。
図2】施設誘導システムを構成する情報提供装置のブロック図である。
図3】情報提供装置における行動検知部のブロック図である。
図4】参照モデルにおける静止状態モデルの一例の説明図である。
図5】参照モデルにおける歩行移動モデルの一例の説明図である。
図6】参照モデルにおける車両移動モデルの一例の説明図である。
図7】参照モデルにおける乗車状態モデルの一例の説明図である。
図8】参照モデルにおける降車状態モデルの一例の説明図である。
図9】情報提供装置による誘導情報の提供処理の一例を示すフローチャートである。
図10】情報提供装置による誘導情報の提供処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
まず、本実施形態の概要を説明する。
本実施形態は、施設を利用する施設利用者の行動に応じた誘導情報を提供する施設誘導システムを実現する。施設誘導システムは、主に複数の人が利用可能な施設に適用され、施設利用者の所持する情報通信端末から得られる情報を用いて、施設内における施設利用者の行動に応じた誘導情報を提供する。
【0010】
具体的には、施設誘導システムは、施設利用者の所持する情報通信端末との間で無線通信が可能な無線局(いわゆるアクセスポイントを含む)を有しており、情報通信端末が無線局から受けた無線の電波強度情報に基づいて、情報通信端末の位置を検出すると共に、情報通信端末によって検出された施設利用者の行動に起因する情報に基づいて、施設利用者の行動を検知する。そして、施設誘導システムは、検知した情報通信端末の位置及び施設利用者の行動に基づいて、施設利用者の行動に応じた誘導情報を情報通信端末に送信する。ここで、誘導情報としては、例えば、電子地図を利用することができる。
【0011】
施設誘導システムは、屋内駐車場や鉄道施設を含む様々な施設に適用することができるが、以下では、屋内駐車場及びショッピングモールを有する総合的・複合的な施設(大型の商業施設)に適用した場合について説明する。
【0012】
図1は、施設誘導システムの一例を示す。
施設誘導システム1は、所定の施設内に設置された複数の無線局2と、主に施設内に設定された管理対象領域M内の施設利用者に対して誘導情報を提供する情報提供装置3と、を有する。管理対象領域Mは、施設内の施設利用者に対して誘導情報を提供する領域であって、施設管理者によって適宜設定される。ここでは、施設の入出場口を含む所定領域を管理対象領域Mとする。もちろん、施設の全領域を管理対象領域Mとしてもよいし、同一の施設管理者によって管理される複数の施設を管理対象領域Mとしてもよい。
【0013】
複数の無線局2は、施設管理者によって設置され、それぞれに個別の管理番号が付与されている。具体的には、複数の無線局2は、管理対象領域Mの各地点が少なくとも1つの無線局2からの無線電波によってカバーされるように、配置される。好ましくは、複数の無線局2は、管理対象領域Mの各地点が2つ以上(さらに好ましくは、3つ以上)の無線局2からの無線電波によってカバーされるように、配置される。複数の無線局2は、基本的には、管理対象領域M内及び/又はその近傍に配置されるが、一部の無線局2が施設外に配置されてもよい。また、無線局2の個数や各無線局2の設置場所は、施設の形状、大きさ、構造などに応じて任意に設定可能である。例えば、施設が複数階で構成されて管理対象領域Mが各階の所定領域を含む場合には、各階に複数の無線局2が設置される。
【0014】
ここで、施設利用者の所持する情報通信端末10には、施設誘導システムを利用するにあたって、事前に所定のアプリケーションがインストールされているものとする。そして、この所定のアプリケーションの機能によって、情報通信端末10は、次のような処理を実行するようになっている。
【0015】
すなわち、情報通信端末10が複数の無線局2のうちの少なくとも1つの無線局2の通信範囲内(無線電波の到達範囲内)に入ると、情報通信端末10は無線局2からの通信要求に応答して無線局2との間に無線通信を確立する。そして、情報通信端末10は、少なくとも1つの無線局2との間に無線通信が確立されている間、換言すれば、情報通信端末10がすべての無線局2の通信範囲外に出るまでの間、各無線局2から受けた無線の電波強度を測定し、その測定結果(以下「受信電波強度情報」という)を自身の識別情報とともに連続的又は断続的に、無線通信が確立されている無線局2へと送信する。また、情報通信端末10は、少なくとも1つの無線局2との間に無線通信が確立されている間、施設利用者の行動に起因する情報(以下「行動情報」という)を検出して自身の識別情報とともに連続的又は断続的に無線局2へと送信する。なお、情報通信端末10は、無線局2から受信した誘導情報を表示可能に構成されている。
【0016】
情報通信端末10が無線局2から受けた無線の電波強度は、情報通信端末10に搭載されている受信強度測定回路などによって測定される。また、行動情報は、情報通信端末10を所持する施設利用者の身体の揺れ、姿勢の変化、進行方向などに応じて変化する情報を含み、施設利用者の所持する情報通信端末10に搭載されている加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気(方位)センサ、重力センサなどの各種センサによって検出される。
【0017】
図2は、情報提供装置3のブロック図である。
情報提供装置3は、無線局2との間で無線通信又は有線通信が可能な送受信部31と、情報通信端末10の位置を検出する位置検出部32(位置検出手段)と、施設利用者の行動を検知する行動検知部33(行動検知手段)と、施設利用者に対する誘導情報を生成する情報生成部34と、を有する。
【0018】
送受信部31は、無線局2を介して、施設利用者の所持する情報通信端末10から情報通信端末10の識別情報、受信電波強度情報及び行動情報を受信する。受信した識別情報及び受信電波強度情報は位置検出部32に出力され、受信した識別情報及び行動情報は行動検知部33に出力される。また、送受信部31は、情報生成部34の生成した誘導情報を、無線局2を介して、対応する情報通信端末10へと送信する。
【0019】
位置検出部32は、受信電波強度情報に基づいて、施設内(より具体的には管理対象領域M内)における情報通信端末10の位置を検出する。
【0020】
施設内に複数の無線局2を適切に設置することにより、複数の無線局2からの無線の電波強度は管理対象領域M内の各場所(各位置)で異なる情報、すなわち、各場所の固有情報となる。位置検出部32は、例えば、管理対象領域M内の各場所における各無線局2からの無線の電波強度を予め測定して作成された電波強度マップを有している。そして、位置検出部32は、電波強度マップを参照し、情報通信端末10から取得した受信電波強度情報に応じた、管理対象領域M内における情報通信端末10の位置を検出する。検出された情報通信端末10の位置は、情報通信端末10の識別情報と関連付けられて情報生成部34に出力される。なお、基本的には、検出された情報通信端末10の位置が、これを所持する施設利用者の位置とみなされる。
【0021】
行動検知部33は、行動情報に基づいて施設内(より具体的には管理対象領域M内)における施設利用者の行動を検知する。ここでは、情報通信端末10に搭載されている加速度センサの検出情報(加速度情報)を行動情報として用いる場合について説明する。但し、これに限るものではなく、情報通信端末10に搭載されている他のセンサの検出情報(センサ情報)又は情報通信端末10に搭載されている複数のセンサの検出情報を行動情報として用いてもよい。また、センサの検出情報そのものではなく、センサの検出情報を情報通信端末10側で加工・処理(演算処理)した二次情報を行動情報として用いてもよい。この場合、情報通信端末10は、所定のアプリケーションの機能によって加工・処理(演算処理)を行う。
【0022】
行動検知部33は、図3に示すように、参照データベース331と、特徴抽出部332と、比較判定部333と、を含む。
【0023】
参照データベース331には、施設に応じて作成された参照モデルが格納されている。ここでは、施設利用者が静止している状態を示す静止状態モデル、施設利用者が歩行中であることを示す歩行移動モデル、施設利用者が車両で移動中であることを示す車両移動モデル、施設利用者が車両に乗車したことを示す乗車状態モデル、施設利用者が車両から降車したことを示す降車状態モデルを、参照モデルとする場合について説明する。
【0024】
静止状態モデルは、例えば、静止状態にある人が所持する情報通信端末又は加速度センサによって検出された加速度情報に共通する特徴を抽出することによって予め作成される。歩行移動モデルは、例えば、歩行中の人が所持する情報通信端末又は加速度センサによって検出された加速度情報に共通する特徴を抽出することによって予め作成される。車両移動モデルは、例えば、車両で移動中(乗車中)の人が所持する情報通信端末又は加速度センサによって検出された加速度情報に共通する特徴を抽出することによって予め作成される。乗車状態モデルは、例えば、車両に乗車する人が所持する情報通信端末又は加速度センサによって検出された加速度情報に共通する特徴を抽出することによって予め作成される。降車状態モデルは、例えば、車両から降車する人が所持する情報通信端末又は加速度センサによって検出された加速度情報に共通する特徴を抽出することによって予め作成される。
【0025】
車両移動モデルを作成する際の車両は、施設において施設利用者が使用する又は使用可能な車両をいい、施設が駐車場であれば、通常の乗用車が該当し、施設が総合的・複合的な施設であれば、施設の有する移動手段(電車・バス等)が該当する。また、総合的・複合的な施設が複数種類の移動手段を有する場合には、車両移動モデルは、各移動手段についてそれぞれ作成される。
【0026】
各参照モデルは、例えば、それぞれの状態に対応する複数の加速度情報からノイズ等を除去すると共に情報通信端末の向きなどに依存しない成分を抽出した上で、統計的手法を用いて抽出することができる。なお、図4は静止状態モデルの一例を示し、図5は歩行移動モデルの一例を示し、図6は車両移動モデルの一例を示し、図7は乗車状態モデルの一例を示し、図8は降車状態モデルの一例を示している。
【0027】
特徴抽出部322は、参照モデルの抽出に用いた方法と同様の方法によって、情報通信端末10から取得した加速度情報の特徴を抽出する。
【0028】
比較判定部333は、特徴抽出部332によって抽出された情報通信端末10の加速度情報の特徴と、参照データベース331に格納されている各参照モデルとを比較し、情報通信端末10を所持する施設利用者の行動、すなわち、施設利用者が静止状態であるか、歩行による移動状態であるか、車両による移動状態であるか、車両への乗車状態であるか、車両からの降車状態であるかを判定(識別)する。
【0029】
行動検知部33は、以上のようにして、施設利用者の行動を検知し、検知した施設利用者の行動を情報通信端末10の識別情報と関連付けて情報生成部34に出力する。
【0030】
情報生成部34は、位置検出部32によって検出された情報通信端末10の位置と行動検知部33によって検知された施設利用者の行動とに基づいて、施設利用者の行動に応じた誘導情報を生成し、生成した誘導情報を情報通信端末10の識別情報と関連付けて送受信部31に出力する。送受信部31に出力された誘導情報は、無線局2を介して、対応する情報通信端末10に送信され、これにより、施設利用者に対して行動に応じた誘導情報が提供される。したがって、送受信部31及び情報生成部34は、誘導情報提供手段としても機能する。
【0031】
次に、情報提供装置3による誘導情報の提供について、図9及び図10に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図9及び図10に示すフローチャートは、施設利用者が誘導情報の利用開始を指示した後、その利用終了を指示するまでの間、所定時間ごとに繰り返し実行される。また、施設利用者からの誘導情報の利用開始指示には、施設の目的地として、少なくとも1つの店舗などの目的地情報を含むことができる。利用開始指示に目的地情報が含まれない場合には、特定の目的地がないことを示している。
【0032】
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様。)では、情報提供装置3が、情報通信端末10を所持する施設利用者が、車両で入場口を通過したか否かを判定する。すなわち、情報提供装置3は、施設利用者の行動が車両による移動状態であり、かつ、情報通信端末10の位置が車両用入場口の外側から内側に移動した場合に、施設利用者が車両で入場口を通過したと判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が車両で入場口を通過したと判定すれば処理をステップ2へと進める一方(Yes)、施設利用者が車両で入場口を通過していないと判定すれば処理をステップ7へと進める(No)。
【0033】
ステップ2では、情報提供装置3が、車両で入場口を通過した施設利用者に対して、空車エリアまでの経路案内を開始する。すなわち、情報提供装置3は、例えば、駐車エリアに設置されたループコイル、カメラなどにより空車エリアを特定し、現在位置から所定規則に則って決定した空車エリアまでの誘導経路として、画像などにより構成される誘導情報を施設利用者の情報通信端末10に送信する。ここで、施設利用者に提供する誘導情報は、施設利用者の行動が車両による移動状態であるため、車両移動に適したものとすることができる。また、施設利用者が目的地を指定している場合には、複数の空車エリアのうち、目的地に近い駐車エリアまでの誘導情報を提供するようにしてもよい。
【0034】
ステップ3では、情報提供装置3が、情報通信端末10の位置から空車エリアまでの誘導経路を更新し、その誘導情報を施設利用者の情報通信端末10に送信する。なお、右折又は左折など進行方向が変化する場合には、誘導情報に矢印を重畳表示させることで、空車エリアまでの誘導経路を把握し易くしてもよい。
【0035】
ステップ4では、情報提供装置3が、情報通信端末10の位置に基づいて、施設利用者の車両が空車エリア又はその周辺に到着したか否かを判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者の車両が空車エリア又はその周辺に到着したと判定すれば処理をステップ5へと進める一方(Yes)、施設利用者の車両が空車エリア又はその周辺に到着しないと判定すれば処理をステップ3へと戻す(No)。
【0036】
ステップ5では、情報提供装置3が、施設利用者の行動に基づいて、施設利用者が車両から降車したか否かを判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が車両から降車したと判定すれば処理をステップ6へと進める一方(Yes)、施設利用者が車両から降車していない(乗車中)と判定すれば待機する(No)。
【0037】
ステップ6では、情報提供装置3が、施設利用者の情報通信端末10に対して誘導情報の表示を終了させる指示を送信し、空車エリアまでの経路案内を終了する。このとき、情報提供装置3は、施設利用者が車両を駐車させた駐車エリアを記憶しておく。
【0038】
ステップ7では、情報提供装置3が、情報通信端末10を所持する施設利用者が、徒歩で入場口を通過したか否かを判定する。すなわち、情報提供装置3は、施設利用者の行動が歩行による移動状態であり、かつ、情報通信端末10の位置が歩行者用入場口の外側から内側に移動した場合に、施設利用者が徒歩で入場口を通過したと判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が徒歩で入場口を通過したと判定すれば処理をステップ8へと進める一方(Yes)、施設利用者が徒歩で入場口を通過しないと判定すれば処理を終了させる(No)。
【0039】
ステップ8では、情報提供装置3が、徒歩で入場口を通過した施設利用者又は車両から降車した施設利用者に対して、施設利用者が指定した目的地までの経路案内を開始する。すなわち、情報提供装置3は、現在位置から目的地までの誘導経路として、画像などにより構成される誘導情報を施設利用者の情報通信端末10に送信する。ここで、施設利用者に提供する誘導情報は、施設利用者の行動が歩行による移動状態であるため、歩行移動に適したものとすることができる。なお、施設利用者が目的地を指定していない場合には、施設利用者が所持する情報通信端末10の周辺位置に関する情報を提供するようにしてもよい。
【0040】
ステップ9では、情報提供装置3が、情報通信端末10の位置から目的地までの誘導経路を更新し、その誘導情報を施設利用者の情報通信端末10に送信する。なお、右折又は左折など進行方向が変化する場合には、誘導情報に矢印を重畳表示させることで、目的地までの誘導経路を把握し易くしてもよい。
【0041】
ステップ10では、情報提供装置3が、情報通信端末10の位置に基づいて、施設利用者が目的地又はその周辺に到着したか否かを判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が目的地又はその周辺に到着したと判定すれば処理をステップ11へと進める一方(Yes)、施設利用者が目的地又はその周辺に到着しないと判定すれば処理をステップ9へと戻す(No)。
【0042】
ステップ11では、情報提供装置3が、施設利用者の情報通信端末10に対して誘導情報の表示を終了させる指示を送信し、目的地までの経路案内を終了する。
【0043】
ステップ12では、情報提供装置3が、情報通信端末10を所持する施設利用者が、徒歩で駐車場に入場したか否かを判定する。すなわち、情報提供装置3は、施設利用者の行動が歩行による移動状態であり、かつ、情報通信端末10の位置が駐車場の歩行者用入場口の外側から内側に移動した場合に、施設利用者が徒歩で駐車場に入場したと判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が徒歩で駐車場に入場したと判定すれば処理をステップ13へと進める一方(Yes)、施設利用者が徒歩で駐車場に入場していないと判定すれば処理をステップ19へと進める(No)。
【0044】
ステップ13では、情報提供装置3が、ステップ6で記憶した駐車エリアを読み出し、徒歩で駐車場に入場した施設利用者に対して、車両を駐車した駐車エリアまでの経路案内を開始する。すなわち、情報提供装置3は、現在位置から駐車エリアまでの誘導経路として、画像などにより構成される誘導情報を施設利用者の情報通信端末10に送信する。ここで、施設利用者に提供する誘導情報は、施設利用者の行動が歩行による移動状態であるため、歩行移動に適したものとすることができる。
【0045】
ステップ14では、情報提供装置3が、情報通信端末10の位置から駐車エリアまでの誘導経路を更新し、その誘導情報を施設利用者の情報通信端末10に送信する。なお、右折又は左折など進行方向が変化する場合には、誘導情報に矢印を重畳表示させることで、駐車エリアまでの誘導経路を把握し易くしてもよい。
【0046】
ステップ15では、情報提供装置3が、誘導情報に基づいて現在位置から駐車エリアまでの所要時間を算出し、この所要時間を施設利用者の情報通信端末10に重畳表示させるための情報を送信する。
【0047】
ステップ16では、情報提供装置3が、情報通信端末10の位置に基づいて、施設利用者が駐車エリア又はその周辺に到着したか否かを判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が駐車エリア又はその周辺に到着したと判定すれば処理をステップ17へと進める一方(Yes)、施設利用者が駐車エリア又はその周辺に到着しないと判定すれば処理をステップ14へと戻す(No)。
【0048】
ステップ17では、情報提供装置3が、施設利用者の行動に基づいて、施設利用者が車両に乗車したか否かを判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が車両に乗車したと判定すれば処理をステップ18へと進める一方(Yes)、施設利用者が車両に乗車していないと判定すれば待機する(No)。
【0049】
ステップ18では、情報提供装置3が、施設利用者の情報通信端末10に対して誘導情報の表示を終了させる指示を送信し、駐車エリアまでの経路案内を終了する。
【0050】
ステップ19では、情報提供装置3が、情報通信端末10を所持する施設利用者が、目的地から離脱したか否かを判定する。すなわち、情報提供装置3は、施設利用者の行動が歩行による移動状態であり、かつ、情報通信端末10の位置が目的地から離れた場合に、施設利用者が目的地から離脱したと判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が目的地から離脱したと判定すれば処理をステップ20へと進める一方(Yes)、施設利用者が目的地から離脱していないと判定すれば処理を終了させる(No)。
【0051】
ステップ20では、情報提供装置3が、目的地から離脱した施設利用者又は車両に乗車した施設利用者に対して、現在位置から出場口までの経路案内を開始する。すなわち、情報提供装置3は、目的地から離脱した施設利用者に対して、現在位置から駐車エリアに近い駐車場入場口までの誘導経路、車両に乗車した施設利用者に対して、現在位置から車両用出場口までの誘導経路として、画像などにより構成される誘導情報を施設利用者の情報通信端末10に送信する。ここで、施設利用者に提供する誘導情報は、目的地から離脱した施設利用者の場合、その行動が歩行による移動状態であるため、歩行移動に適したものとすることができる。また、施設利用者に提供する誘導情報は、車両に乗車した施設利用者の場合、その行動が車両による移動状態であるため、車両移動に適したものとすることができる。
【0052】
ステップ21では、情報提供装置3が、情報通信端末10の位置から出場口までの誘導経路を更新し、その誘導情報を施設利用者の情報通信端末10に送信する。なお、右折又は左折など進行方向が変化する場合には、誘導情報に矢印を重畳表示させることで、出場口までの誘導経路を把握し易くしてもよい。
【0053】
ステップ22では、情報提供装置3が、誘導情報に基づいて現在位置から出場口までの所要時間を算出し、この所要時間を施設利用者の情報通信端末10に重畳表示させるための情報を送信する。
【0054】
ステップ23では、情報提供装置3が、情報通信端末10の位置に基づいて、施設利用者が出場口又はその周辺に到着したか否かを判定する。そして、情報提供装置3は、施設利用者が出場口又はその周辺に到着したと判定すれば処理をステップ24へと進める一方(Yes)、施設利用者が出場口又はその周辺に到着しないと判定すれば処理をステップ21へと戻す(No)。
【0055】
ステップ24では、情報提供装置3が、施設利用者の情報通信端末10に対して誘導情報の表示を終了させる指示を送信し、出場口までの経路案内を終了する。
【0056】
かかる施設誘導システム1によれば、施設利用者が車両で車両用入場口を通過すると、所定規則に則って決定された空車エリア又は目的地に近い空車エリアまでの経路案内が開始される。このとき、施設利用者に対して車両移動に適した誘導情報が提供されるため、利便性を向上させることができる。そして、施設利用者が駐車エリア又はその周辺に到着し、車両から降車すると空車エリアへの経路案内が終了する。このため、施設利用者が車両で駐車場に入場した場合、空車エリアを探す必要がなく、車両を駐車させるための時間及び労力を低減することができる。
【0057】
また、施設利用者が徒歩で歩行用入場口を通過すると、目的地が指定されている場合、目的地までの経路案内が開始される。このとき、施設利用者に対して歩行移動に適した誘導情報が提供されるため、利便性を向上させることができる。そして、施設利用者が目的地又はその周辺に到着すると、目的地への経路案内が終了する。なお、目的地が指定されていない場合には、現在位置の周辺の情報が提供されるため、施設利用者は施設の概要を容易に把握することができる。
【0058】
施設利用者が施設から出場すべく、徒歩で駐車場に入場すると、車両を駐車させた駐車エリアまでの経路案内が開始される。このとき、施設利用者に対して歩行移動に適した誘導情報が提供されるため、利便性を向上させることができる。そして、施設利用者が駐車エリア又はその周囲に到着して車両に乗車すると、駐車エリアまでの経路案内が終了する。このため、例えば、広大な駐車場を有する商業施設であっても、施設利用者が車両を駐車した駐車エリアまで容易に到達することができる。また、駐車エリアまでの誘導情報には所要時間が重畳表示されるため、施設利用者は駐車エリアに到達するまでにどの位の時間を要するかを容易に把握することができる。
【0059】
施設利用者が目的地から離脱すると、駐車場に車両を駐車させた場合、目的地から駐車場の歩行用入場口までの経路案内が開始される。また、施設利用者が車両に乗車した場合、駐車エリアから駐車場の車両用出場口までの経路案内が開始される。このとき、施設利用者に対して、行動に応じた誘導情報、すなわち、駐車場の歩行用入場口までの経路案内であれば歩行移動に適した誘導情報が、駐車場の車両用出場口までの経路案内であれば車両移動に適した誘導情報が提供されるため、その利便性を向上させることができる。そして、施設利用者が出場口又はその周囲に到着すると、出場口までの経路案内が終了する。
【0060】
よって、本実施形態に係る施設誘導システム1によれば、施設内において施設利用者の行動に応じた誘導情報を提供することができる。
【0061】
なお、情報提供装置3は、施設利用者の過去の行動履歴を記憶する履歴記憶手段を有し、施設利用者の過去の行動履歴に応じた誘導情報を提供するようにしてもよい。このようにすれば、施設利用者の施設利用状況に応じた誘導情報を提供することができる。
【0062】
以上、本発明を実施するための実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 施設誘導システム
2 無線局
3 情報提供装置
10 情報通信端末
31 送受信部
32 位置検出部
33 行動検知部
34 情報生成部
M 管理対象領域
図1
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