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  • 特許-新車販売方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】新車販売方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221003BHJP
【FI】
G06Q30/02 450
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017133175
(22)【出願日】2017-07-06
(65)【公開番号】P2019016171
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】517149117
【氏名又は名称】株式会社SURFCAR
(74)【代理人】
【識別番号】100123489
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和幸
(72)【発明者】
【氏名】香西 隆徳
【審査官】安田 勇太
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-282768(JP,A)
【文献】特開2017-016224(JP,A)
【文献】特開2002-015174(JP,A)
【文献】国際公開第2004/097704(WO,A1)
【文献】特開2009-169701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新車販売システムであって、
該新車車種の3年後の中古車価格を人工知能を用いて予想する手段と、
該新車の販売価格から該3年後の中古車価格を減じた差額sを求める手段と、
sに利益xを加えた額に基づき3年間のローン額を設定する手段と、
sがマイナスとなる車種については、車体費用+諸経費+クラブ会費+金利の合計額の20%を3年間のローン額として設定する手段と、
購入希望者に提案する手段と、
を備える、新車販売システム。
【請求項2】
会員システムである、請求項1のシステム。
【請求項3】
寄付管理システムを含むことを特徴とする、請求項1または2のシステム。
【請求項4】
3年後に中古車をオークションで販売する、請求項1~3のいずれかのシステム。
【請求項5】
オークションが海外オークションも含む、請求項4のシステム。
【請求項6】
中古車の購入希望者を登録させ、売り手と買い手をマッチングさせる仕組みを含む、 請求項1~5のシステム。
【請求項7】
カーシェアリングシステムを含む、請求項1~6のシステム。
【請求項8】
システムにより行われる 新車販売方法であって、
該新車車種の3年後の中古車価格を人工知能を用いて予想する工程と、
該新車の販売価格から該3年後の中古車価格を減じた差額sを求める工程と、
sに利益xを加えた額に基づきローン額と期間を設定する工程と、
sがマイナスとなる車種については、車体費用+諸経費+クラブ会費+金利の合計額の20%を3年間のローン額として設定する工程と、
購入希望者に提案する工程と、
少なくとも3年毎に新車買い換えさせる工程と、
を備える、新車販売方法。
【請求項9】
会員を管理する工程を含む、請求項8の新車販売方法。
【請求項10】
寄付金を管理する工程を含む、請求項8または9の新車販売方法。
【請求項11】
n年後に中古車をオークションで販売する、請求項8~10のいずれかの新車販売方法 。
【請求項12】
オークションが海外オークションも含む、請求項11の新車販売方法。
【請求項13】
中古車の購入希望者を登録させ、売り手と買い手をマッチングさせる工程を含む、請求 項8~12のいずれかの方法。
【請求項14】
カーシェアリングを管理する工程を含む、請求項8~13のいずれかの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新車の販売方法および未来の中古車の買い取り価格の予想、売却方法、およびそれらのシステムに関する。より詳しくは、中古車買い取り条件込で新車を販売し、一定期間後中古車を買い戻して売却する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、若者の車離れが進み、29歳以下世帯の車両の所有率は50%を切り、カーシェアリングの影響等もあり、新車の販売台数が減少傾向にある。それに伴って、中古車も市場に出回る数が減少し、中古車不足が問題になっている。
【0003】
一方、日本経済全体が伸び悩み、また若い世代の収入が10年前と比較し減少しており新車を購入するのに十分な収入を得ていないという問題もある。すなわち、高額な頭金、月々やボーナス時の支払いができないために、車を買えないという問題もある。
【0004】
また、高級車を購入した場合に高額な頭金、初期費用とローンの支払いが重荷になり、新車に買い換える余裕がないという問題もあった。
【0005】
かかる問題を解決する方法として、新車価格からn年後の中古車価格を差し引いた差分額を計算してリースする方法がある(特許文献1)。しかしながら、この方法では、車の所有者はリース会社となり、新車販売額がリース会社の契約状況に左右されるという問題があった。また、リースは初期購入時の諸経費や複数年の税金やメンテナンス費用にも金利がかかるという最大の欠点がある。また、リースを受ける需用者も新車販売会社だけでなく、リース会社にもマージンを支払う必要があり、必ずしも新車を安く購入できるとは限らなかった。さらに、ユーザーの中には、車をリースではなく、自己の所有物として持ちたいという要望もあった。
【0006】
そこで、収入が多くない需要者が、直接安価に新車を購入できるシステムが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-169701
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
新車購入時の購入者のローン負担を小さくして、新車販売台数を増やす新車販売システムおよび方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書によれば以下の発明が提供される。
(1)新車販売システムであって、
該新車車種のn年後の中古車価格を予想する手段と、
該新車の販売価格から該n年後の中古車価格を減じた差額sを求める手段と、
sに利益xを加えた額に基づきローン額と期間を設定する手段と、
購入希望者に提案する手段と
を備えた、新車販売システム。
(2)会員システムである、(1)のシステム。
(3)寄付管理システムを含むことを特徴とする、(1)または(2)のシステム。
(4)少なくとも3年毎に新車を買い換えるシステムである、(1)~(3)のいずれかのシステム。
(5)n年後に中古車をオークションで販売する、(1)~(4)のいずれかのシステム。
(6)オークションが海外オークションも含む、(5)のシステム。
(7)中古車の購入希望者を登録させ、売り手と買い手をマッチングさせる仕組みを含む、(1)~(6)のシステム。
(8)カーシェアリングシステムを含む、(1)~(7)のシステム。
(9)新車販売方法であって、
該新車車種のn年後の中古車価格を予想する工程と、
該新車の販売価格から該n年後の中古車価格を減じた差額sを求める工程と、
sに利益xを加えた額に基づきローン額と期間を設定する工程と、
購入希望者に提案する工程と
を備えた、新車販売方法。
(10)会員を管理する工程を含む、(9)の新車販売方法。
(11)寄付金を管理する工程を含む、(9)または(10)の新車販売方法。
(12)少なくとも3年毎に新車を買い換える工程を含む、(9)~(11)のいずれかの新車販売方法。
(13)n年後に中古車をオークションで販売する、(9)~(12)のいずれかの新車販売方法。
(14)オークションが海外オークションも含む、(13)の新車販売方法。
(15)中古車の購入希望者を登録させ、売り手と買い手をマッチングさせる工程を含む、(9)~(14)の方法。
(16)カーシェアリングを管理する工程を含む、(9)~(15)のいずれかの方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新車を低額のローンで販売することができ、新車の販売台数および中古車供給数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の全体像を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、新車を販売するシステムおよび/または方法である。すなわち、過去の中古車価格データベースを備え、新車と同型の車種のn年後、好ましくは3年以内の中古車価格を予想する手段を備える。中古車価格データベースは、日本国内及び/又は全世界を網羅するデータベースが好ましいが、日本国内のみ、もしくは、特定の外国のデータベース、または、それらの組合せであってもよい。データ保存期間は、好ましくは3年間以上、より好ましくは5年間以上、さらに好ましくは7年間以上、最も好ましくは10年間以上であるが、特に制限されない。要は、新車のn年後の中古車価格が予想できるデータベースであればよい。また、該中古車価格データベースは、本発明のシステムからアクセス可能な外部のデータベースであってもよく、または、データベースをローカルに構築して本発明のシステムに組み込んでもよい。
【0013】
n年後の中古車価格予測手段は該中古車価格データベースの価格推移から単純に平均を計算したり、フーリエ変換等を用いて外挿して求めることもできるが、人工知能を使ってn年後の中古車価格を予想するシステムであってもよい。人工知能を使ってn年後の中古車価格を予想する場合には、ディープラーニングを用いることが好ましい。ディープラーニングとしては、例えば、Google社が提供するテンソルフロープログラムを用いて、それまでの中古車価格の推移を学習させて、予測すればよい。あるいは、IBMワトソンに対応プログラムが開発されればそれを用いてもよい。また、日本だけでなく、海外の中古車価格をも予想するシステムであってもよい。
【0014】
n年後の中古車販売価格が予想できれば、新車の販売価格からn年後の中古車の価格を引いた差額sが算出できる。sまたは、sに利益xを加えた額に対して、ローンを組めば、車種によっては非常に安いローンで販売できる車種があり得る。販売者の利益xは0以上が好ましいが、マイナスにして実質的に値引きしてもよい。
【0015】
新車の販売価格は定価にすることが好ましい。定価にすることで、販売促進費やローンバック等の販促費が上乗せされた価格で販売でき、中古車販売時に予想外の価格になったとしても、それらで吸収できる可能性があるからである。
【0016】
例えば、フェラーリ等では、新車販売価格よりも中古車の方が高くなる場合があるので、sはマイナスとなり得る。また、外国においても、日本での新車販売価格よりも、該外国の中古車の方が高い値段で売れる場合がある。このような車種については、適宜販売者の自由意思で必要な利益xを考慮して販売価格(ローン額)を決定することができる。例えば、車体費用+諸経費+クラブ会費+金利の合計額(ローン残債額)の20%を3年間かけて支払うようにローン額を設定してもよい。販売者は、申込み者に対して、sがマイナスとなる車種のみ、または、sがマイナスとなる車種を優先的に紹介してもよい。または、sの小さい順に紹介することで、販売車の利益をより大きくすることも可能である。
【0017】
本発明の新車販売システムは、会員制システムであることが好ましい。すなわち、会員に入会すれば、3年毎に新しい車を安価なローンで買い換えることができ、車好きな人にとっては常に最新の車種に乗れることから満足度の高いシステムである。
【0018】
本発明の新車販売システムにおいては、会員が寄付金を自動で支払うシステムを含んでいてもよい。これは、高級車を購入する層は寄附に熱心である人が多いためである。例えば、発展途上国の子供を支援する寄付金を本発明のシステムから自動で送金でき、それに対して、寄附された子供からの手紙が来るシステムなどが考えられる。
【0019】
本発明の新車販売システムにおいては、中古車の供給も目的としていることから、3年毎に新しい新車に買い替えるのが好ましい。3年を超える中古車の場合は、中古車価格が低下し、ローンの支払額がより高額になるためでもある。3年以内に、新しい新車に乗り換える場合は、購入者は残債を一括で支払うことにしてもよく、システム管理者が残債も中古車価格に含めて購入してもよい。
【0020】
n年後に、システム管理者は販売した新車の中古車を買い戻し、オークションなどで販売する。日本のオークションとしては、例えば、USSオークションサイト等が利用できる。また、オークションは日本に限らず、海外オークションであってもよい。あるいは、新車販売事業者が、自らオークションシステムを構築してもよい。その場合は、本発明のシステムに組み込むことができる。これにより、市場に中古車を供給するという目的が達成できる。
【0021】
本発明の新車販売システムは、カーシェアリングシステムを含んでいてもよい。その場合は、共同購入、共同所有になり、支払管理が煩雑になるが、共同所有の管理システムをシステムに組み込むことにより、カーシェアリングへの本発明の適用も可能である。
【0022】
本発明によれば、収入が低い人でも頭金無しで高級外車の購入を容易にする。そのため、高級外車の購入者が増え、3年以内に乗り換えるシステムであるため、3年以内に高級外車の中古車が市場に出回り、中古車市場も活性化できる。
さらに、本発明は会員制であるため、システム管理者には継続して安定した収入が得られる。
【0023】
会員は、海外のチャイルドサポートなどの寄付事業に寄付するシステムであるため、チャイルドサポートのためにも会員を継続するモチベーションが湧き、仕事へのモチベーションにもつながり、貢献のニーズも満足できる。
以下、実施例により、本発明を説明するが、それらは1実施態様の例示に過ぎず、実施例により本願発明は何ら制限されるものではない。
【実施例
【0024】
図1は、本発明のシステム1の全体構成のブロック図である。本発明においては、データベース10、希望車種入力部20、n年後の価格予想部30、ローン条件設定部40、ローン条件提案部50、会員管理部60、ローン管理部70、寄付金管理部80、中古車買い取り部90、中古車販売部100を備えている。
【0025】
ユーザーは、ユーザー端末120からインターネットを介して本発明のシステム1に接続し、希望車種(型番、色、オプションなど)を入力することができる。ユーザー端末120としては、例えば、パソコン、スマートフォン、携帯電話などが挙げられるが、これらに限られず、本発明のシステムに希望車種を入力できるものであれば特に制限されない。また、ディーラーなどの販売者がユーザーにヒアリングして販売者の端末からユーザーの希望車種を入力してもよい。ユーザーがディーラーの端末から希望車種を入力してもよい。
【0026】
データベース10は、国内および/または海外の中古車価格データベースである。少なくともn年分以上のデータを蓄積していることが好ましい。該データベースは本発明のシステム内に作成してもよく、外部データベースに接続して取り込む形にしてもよい。ユーザーが希望車種を入力すると、希望車種入力部20に記録され、n年後の価格予測部30がデータベース10のデータを元にn年後の価格予測部30が、n年後の中古車の価格を予測する。
【0027】
n年後の価格予測部30は、単に過去のn年後の中古車価格のデータから価格を予測してもよく、過去の価格推移から、n年後の価格を予測してもよい。価格予測の方法としては、例えば、価格推移の近似直線や近似曲線を用いるか、さらに曲線をフーリエ変換してグラフ化して予測することもでき、人工知能を用いて予測することもできる。人工知能はディープラーニングを用いることが好ましく、例えば、IBMワトソンやGoogleのテンソルフローを用いたディープラーニングなどを用いることができるが、これらに限られない。
【0028】
人工知能を用いる場合、ユーザー希望車種から、その希望車種を希望したユーザーが購入した類似車種を提案してもよい。また、ユーザーの年齢、性別、年収、趣味、嗜好などのデータを入力させ、それに基づいて、ユーザーに合った車種を推薦するようにしてもよい。これらは、ビッグデータを用いてディープラーニングさせることでより精度よくユーザーに適した提案ができるようにしてもよい。
【0029】
価格予測部30は、ユーザーの希望車種そのもの(型式、色、オプションなど)のみでなく、それに近い型式、他の色なども含めてn年後の中古車価格を予測し、それらに対応する新車価格データも含めてローン設定部に渡す。
【0030】
ローン設定部40は、新車販売価格―n年後の中古車価格=sを算出し、n年間のローンを設定する。sに利益xを加えた額に対してローンを設定してもよい。nは0より大きい数であれば、特に制限されないが、本発明においては、3以下が好ましい。3年を超えると車検が必要となり、中古車価格も安くなるためユーザーの負担が増えるためである。nを3年以内とすることで、ローン額を低額にすることができる。なお、nは整数が好ましいが、実際には、2.5年など途中で解約するケースも起こりえるので小数点を含む数字であってもよい。
【0031】
ローン設定部40は、別会社のローン会社のサーバーと連携してローン会社のローン設定システムを利用してもよい。
【0032】
ローン提案部50は、ユーザーが希望する車種および、それに関連する別の型番、色の車種も含めてユーザーに提案する。この場合、ローン額がより安くなる型番、色の車種のみを紹介してもよく、ローン額は高くなるが、アップグレードになる車種も含めて提案してもよい。ローン額が高くなる場合は、希望車種のローン額からの支払額上昇率が50%以下、より好ましくは、40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下であるがこれらに限られない。また、必要に応じて車に担保を設定してもよい。
【0033】
ユーザーは、ユーザー端末120を操作して、ローン額の毎月の支払い額の上限を入力することができ、それに応じてサーバーは候補となる車種とローン条件を計算して提案することもできる。
【0034】
本発明のシステムにおいては、ローン期間は3年以内に設定することで、安定的に中古車を市場に供給するとともに、よりよい状態の中古車をそれに見合った価格で販売することができる。
【0035】
本発明においては、会員制システムを採用するのが好ましい。会員は、会員管理部60により管理される。会員管理部は会員のデータベースを持ち(図示せず)、ローン(会費)の支払い状況、寄付金の状況、車の定期点検、修理、保険金支払い情報等を収集する。毎月の会員費もローンに含まれる。これらの情報は、ローン管理部70、寄付金管理部80と連動することで収集できる。
【0036】
会員費の一部は寄付金に充当され、寄付金管理部80により、管理される。寄付金は主に発展途上国の子供の支援などに寄付されるが、これに限られず、本システムの管理者と会員が合意した寄付先であれば、特に制限なく、寄付をすることができる。
【0037】
本発明のシステムは、中古車買取部90を有する。すなわち、新車をユーザーに販売後、通常は3年後にシステム管理者は中古車を事故や故障の有無、傷の有無と程度、走行距離などをチェックした上で査定し、査定額で購入する。
【0038】
システム管理者が購入した中古車は中古車販売部100により、オークションにかけられる。オークションは自社システムに登録したディーラーに公開するシステムであってもよく、外部オークションシステムを利用して販売するシステムであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、自動車の新車販売事業、中古車販売事業、金融事業などに利用できる。
【符号の説明】
【0040】
10 データベース
20 希望車種入力部
30 n年後の価格予測部
40 ローン条件設定部
50 ローン条件提案部
60 会員管理部
70 ローン管理部
80 寄付金管理部
90 中古車買取部
100 中古車販売部
110 インターネット
120 ユーザー端末
図1