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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】ウイルス及び細菌の殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20221003BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20221003BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20221003BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20221003BHJP
   G01N 21/33 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
A61L9/20
G01N21/27 A
G01N21/33
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020180727
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022045862
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020151683
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514147491
【氏名又は名称】ineova株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 要泰
(74)【代理人】
【識別番号】100100169
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 剛
(72)【発明者】
【氏名】猪口 正幸
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0246329(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0101183(US,A1)
【文献】特開2011-098156(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199804(WO,A1)
【文献】特表2019-536492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌装置から発せられた紫外光をビーム状に整形しスキャンにより投影する紫外光投影システムを有するウイルス及び細菌の殺菌装置において
前記殺菌装置から発せられた紫外線ビームを反射する反射体と、
任意の場所に置かれた受光素子とを備え、
前記受光素子は、前記反射体からの反射光が照射除外対象へ到達したことを検出し、
前記紫外光投影システムは、前記反射体の位置情報を記憶し、前記受光素子が反射光の到達を検出したときの該反射体の位置では平均照射光量を抑制する機能を持ち、
予め決められた照射除外領域に応じて、光量を減少又はゼロにして殺菌処理を行う、ウイルス及び細菌の殺菌装置。
【請求項2】
光スイッチ素子もしくは紫外光発生素子が配列された紫外線発生デバイス上に再現された画像を、レンズを介して面照射として投影する紫外光投影システムを備え、
予め決められた照射除外領域に応じて、前記デバイス上の画像を構成するピクセル毎に光量を減少又はゼロにして殺菌処理を行う、ウイルス及び細菌の殺菌装置。
【請求項3】
請求項2に記載のウイルス及び細菌の殺菌装置において、
前記殺菌装置から発せられた紫外線ビームを反射する反射体と、
任意の場所に置かれた受光素子とを備え、
前記受光素子は、前記反射体からの反射光が照射除外対象へ到達したことを検出し、
任意の場所に置かれた受光素子から得られる信号により、前記反射体からの反射光が照射除外対象へビームが到達したことを検出し、
前記紫外光投影システムは、前記反射体の位置情報を記憶し、前記受光素子が反射光の到達を検出したときの該反射体の位置では平均照射光量を抑制する機能を持つ、ウイルス及び細菌の殺菌装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のウイルス及び細菌の殺菌装置において、
光軸上の反射によりリアルタイムに得られる反射像若しくは任意の場所に置かれた撮影装置からリアルタイムに得られる撮影像あるいはそれらの記録画像に対して、画像認識により照射除外領域を求める、殺菌装置。
【請求項5】
請求項4に記載のウイルス及び細菌の殺菌装置において、
光軸上の反射によりリアルタイムに得られる反射像若しくは任意の場所に置かれた撮影装置からリアルタイムに得られる撮影像あるいはそれらの記録画像に対して、画像認識により照射除外対象および照射対象の種類求め、照射除外対象および照射対象の種類に応じて照射光量を制御する、殺菌装置。
【請求項6】
請求項5に記載のウイルス及び細菌の殺菌装置において、
前記撮影像に対してスペクトル分析を行い、画像認識に加えて、対象とする領域のスペクトルの波長・強度のパターンを解析することにより、照射除外対象および照射対象の種類求め、照射除外対象および照射対象の種類に応じて照射光量を制御する、殺菌装置。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載のウイルス及び細菌の殺菌装置において、
光軸上に置かれた受光センサ若しくは任意の場所に置かれた撮影装置からリアルタイムに得られる画像もしくは記録画像に対し、画像およびスペクトルデータ、画像の特長データ、照射除外対象および照射除外領域の取得データ、並びにこれらの解析情報を適宜通信によりサーバへ送信し、サーバによりそれらの情報の記録、解析、認識を行い、殺菌装置の照射領域および照射強度の情報を設定する機能を備えた、殺菌装置。
【請求項8】
請求項7に記載のウイルス及び細菌の殺菌装置において、
体系的に照明あるいは監視を行う機能を備えた、殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス及び細菌(以下、本出願書類では「ウイルス等」という。)の殺菌装置に関する。更に具体的には、物の表面に付着するウイルス等の殺菌をする分野、空間に飛散するウイルス等を殺菌する分野、及び人や動物に付着するウイルス等を殺菌する分野で使用される殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウイルス等を殺菌する技術として、次のような方法が採用されている。
除菌剤、殺菌剤による殺菌処理が行われている。ウイルス等は、洗浄剤、強酸、強アルカリ、有機溶媒、高温、強い紫外線、電子線、放射線等により死滅する。しかし、人体への影響が懸念される領域では、洗浄剤、次亜塩素酸、過酢酸、アルコール等を直接接触させる、若しくは空間へ噴霧する、若しくは空間へ噴霧し付着させて回収することで殺菌が行われている。
【0003】
更に、紫外線による殺菌処理が行われている。紫外線は、比較的人体への影響が少ないため、紫外線を用いた殺菌が行われている。
【0004】
更に、オゾンやラジカル物質による殺菌処理が行われている。オゾンも、短時間であれば比較的人体への影響が少ないため、オゾンを用いた殺菌が行われている。
【0005】
更に、光触媒による殺菌処理が行われている。光触媒に光(主に紫外線)が照射されることにより、ラジカル物質を発生させ、殺菌が行われている。
【0006】
更に、レーザによる殺菌処理が行われている。例えば、特許文献1に示すようなレーザ光を照射することにより、殺菌が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-275541
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の除菌剤、殺菌剤による殺菌処理、例えば、次亜塩素酸、過酢酸、アルコール等の液体を使用した除菌処理では、空間に浮遊するウイルス等、様々な物に付着したウイルス等を殺菌するには、浸漬するか、大量に塗布若しくは散布を行う必要があり、人や動物が存在する空間では常時使用することができない。また、人や動物への影響が無い除菌剤を噴霧したとしても、物品が濡れる問題や除菌剤の補充などの問題がある。
【0009】
従来の紫外線又はオゾンを使用した殺菌処理では、空間に浮遊するウイルス等、様々な物に付着したウイルス等を殺菌することが可能である。しかし、紫外線又はオゾンは、或る範囲の波長、照射強度、濃度によっては人体への影響があるため、人や動物が存在する空間で常時使用することができない。
【0010】
従来の光触媒による殺菌処理では、予め室内の建材や家具および物の表面に光触媒を塗布する必要があり、あらゆる物(特に野菜や果物等の食材)の表面に塗布することは困難である。
【0011】
特許文献1に示すような従来のレーザを照射する殺菌処理では、害虫等の対象物を狙ってビームを照射する際に、人や動物へ照射する可能性を完全に排除することができない。
【0012】
そこで、本発明は、人や動物の居ない空間だけなく、人や動物のいる空間(室内・屋外の空間、車・電車・飛行機等の移動体内の空間)において常時稼働し、人や動物へ害を与えず、効果的に物品(果物、野菜、魚等の生鮮品も含む)に付着した菌やウイルスを殺菌することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るウイルス及び細菌の殺菌装置は、その一面において、紫外光をビーム状に整形しスキャンにより投影する紫外光投影システムを備え、予め決められた照射除外領域に応じて、光量を減少又はゼロにして殺菌処理を行っている。
【0014】
本発明に係るウイルス及び細菌の殺菌装置は、その一面において、光スイッチ素子や紫外光発生素子が配列された紫外線発生デバイス上に再現された画像をレンズを介して面照射として投影する紫外光投影システムを備え、予め決められた照射除外領域に応じて、デバイス上の画像のピクセルの光量を減少又はゼロにして殺菌処理を行っている。
【0015】
更に、上記殺菌装置では、光軸上の反射によりリアルタイムに得られる反射像若しくは任意の場所に置かれた撮影装置からリアルタイムに得られる撮影像もしくは記録画像に対して、画像認識により照射除外領域を求めてもよい。
【0016】
更に、上記殺菌装置では、光軸上の反射によりリアルタイムに得られる反射像若しくは任意の場所に置かれた撮影装置からリアルタイムに得られる撮影像もしくは記録画像に対して、画像認識により照射除外対象および照射対象の種類求め、照射除外対象および照射対象の種類に応じて照射光量を制御してもよい。
【0017】
更に、上記殺菌装置では、前記撮影像に対してスペクトル分析を行い、画像認識に加えて、対象とする領域のスペクトルの波長・強度のパターンを解析することにより、照射除外対象および照射対象の種類求め、照射除外対象および照射対象の種類に応じて照射光量を制御してもよい。
【0018】
更に、上記殺菌装置では、光軸上に置かれた受光センサ若しくは任意の場所に置かれた撮影装置からリアルタイムに得られる画像もしくは記録画像に対し、画像およびスペクトルデータ、画像の特長データ、照射除外対象および照射除外領域の取得データ、並びにこれらの解析情報を適宜通信によりサーバへ送信し、サーバによりそれらの情報の記録、解析、認識を行い、殺菌装置の照射領域および照射強度の情報を設定する機能を備えていてもよい。
【0019】
更に、上記殺菌装置では、体系的に照明あるいは監視を行う機能を備えていてもよい。
【0020】
更に、上記殺菌装置では、任意の場所に置かれた受光素子から得られる信号により反射体から照射除外対象へビームが照射されたことを検出し、その反射体の位置情報を記憶し、照射時に記憶した位置では平均照射光量を抑制する機能を持っていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、人や動物の居ない空間だけなく、人や動物のいる空間において除菌剤等の補給なく電源のみで常時稼働し、人や動物へ害を与えず、効果的に物品に付着した菌やウイルスを殺菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態に係るウイルス等の殺菌装置10を示す図である。
図2図2は、第2実施形態に係るウイルス等の殺菌装置20を示す図である。
図3図3は、第3実施形態に係るウイルス等の殺菌装置30を示す図である。
図4図4は、第4実施形態に係るウイルス等の殺菌装置40を示す図である
図5図5は、第5実施形態に係るウイルス等の殺菌装置システム50を示す図である。
図6図6は、第6実施形態に係るウイルス等の殺菌装置60を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るウイルス等の殺菌装置の実施形態に関して、添付の図面を参照にしながら説明する。ここで、同じ要素の対して同じ参照符号を付し、重複した説明を省略する。
【0024】
[第1実施形態]
(構成)
図1は、第1実施形態に係るウイルス等の殺菌装置10を示す図である。図1に示す殺菌装置10は、紫外線発生器12からの紫外線を利用して、殺菌平面Aを殺菌処理する装置である。殺菌平面Aを殺菌処理する際、同時に殺菌空間Sも殺菌処理される。
【0025】
一般に細菌やウイルスの核酸(DNA:デオキシリボ核酸、RNA:リボ核酸)の光の吸収スペクトルは、260nm波長付近に吸収帯があり、300nm以下の紫外線は、殺菌効果を有することが知られている。ここで、殺菌平面Aとして、長方形abcdの平面を例にとって説明する。しかし、これに限定されない。任意所望の形状の平面を殺菌する場合には、斯かる平面を殺菌平面A内に位置決めすればよい。
【0026】
殺菌装置10は、紫外線を発光する紫外線発生器12と、この紫外線の方向を所定の方向(例えば、略平行光)に変えるレンズシステム14と、この紫外線から、スキャナ中心点Cから殺菌平面Aに向けた走査ビームを生成するXYスキャナ16と、紫外線発生器12及びXYスキャナ16の動作を夫々制御するスキャン制御装置18とを備えている。
【0027】
各構成要素に関して説明する。
紫外線発生器12は、例えば、紫外線LED、深紫外LED、紫外線レーザ、エキシマランプ、水銀灯等を利用できる。紫外線レーザの光源に関しては、気体レーザ及び固体レーザを用いることが出来る。気体レーザでは、波長248nmのKrFエキシマレーザ、波長244nmのアルゴンレーザの2倍高調波等を用い、固体レーザでは、YAGレーザ或いはYVOレーザの4倍高調波(波長266nm又は258nm)、YLFレーザ(263nm又は262nm)等を用いる。
【0028】
レンズシステム14は、1枚又は複数枚のレンズから構成される。本出願書類に記載の「レンズシステム」は、同様である。
【0029】
XYスキャナ16は、例えば、ガルバノメーターミラー、MEMSミラーデバイス等を利用できる。
【0030】
(動作及び効果)
殺菌装置10は、紫外線発生器12より発生された紫外光を、レンズシステム14により所定の方向(例えば、略平行光)へ向きを変えてXYスキャナ16へ入射し、XYスキャナは、出力光を殺菌平面Aの点線で示したP1-P2-P3-P4-P5-P6-P7…Pm-Pnとスキャン(走査)させ、殺菌平面A(abcd)全体を紫外線照射する。
【0031】
ここで、XYスキャナ16のスキャナ中心点Cから殺菌平面Aまでの距離をD、殺菌平面Aの奥行き長さa-d,b-cをL2とし、XYスキャナ16からの紫外線走査ビームの進行方向垂直の断面の円の直径をdとする。このとき、スキャン間隔をd以下(走査線数L2/d以上)とし、スキャナ中心点Cにおけるスキャン角度の範囲を∠aCb以上にすることにより、殺菌平面Aは隈なくスキャンされ紫外線殺菌処理される。
【0032】
同時に、図1の四角垂(平面abcdとスキャナ中心点Cで規定される四角錐)の殺菌空間Sも隈なくスキャンされ紫外線殺菌処理される。
【0033】
従来の殺菌平面Aの全体を一律の強度で照射する方式(例えば、水銀灯による照射)では、広い面積をウイルス等が死滅するような強度で照射するためには、大きな点灯出力が必要であった。しかし、今回採用したスキャン方式では、光源の出力が小さくても、スポットの照射領域を狭くすることにより照射密度を高めることができる。この結果、ウイルス等を死滅するに十分な強度の紫外線を照射することができる。
【0034】
紫外線を効率的且つ効果的に照射する方法としては、継続的に照射するよりも、所定の間隔をおいて間歇的に照射する方が良いとされている。今回採用したスキャン方式では、スキャン間隔を変えることにより任意の時間間隔で間歇的に紫外線照射することができる。
【0035】
殺菌対象物(本実施形態では「殺菌平面A」)に対する2時間以内に除菌する際の紫外線レーザ光の総照射エネルギー密度Dは、1 [mJ/cm2]以上であることが望ましい。このとき、1m2の面積の除菌に必要なレーザ光源の出力は、
1 [mJ/cm2] * 10,000 [cm2] / (3600*2) [Sec] = 1.39 [mW]
以上となり、例えば、10mWの深紫外LEDを使用すれば、2時間で7m2を除菌することが可能である。
【0036】
また、殺菌平面Aおよび殺菌空間Sにおいて、人、動物、その他の照射してはいけない対象(以下、本出願書類では「照射除外対象」という。)が存在する領域(以下、本出願書類では「照射除外領域」という。)を、予めスキャン制御装置へ記憶させておくことにより、照射除外対象を避けて除菌することが可能である。
【0037】
(変形例)
(1)紫外線照射のスキャンは、図1Aのような連続的且つ画一的なスキャンだけでなく、従来の方式では困難なランダムなスキャン、殺菌平面A内の領域毎に重点を置いたスキャン、スキャン密度も容易に変更できるため、所望の領域に必要な強度の照射を行うことができる。
【0038】
また、紫外線発生器の出力がON/OFFでなく、連続的に出力が可能であれば(例えば紫外線LEDや半導体紫外線レーザの光出力は順電流に比例する)、スキャン制御装置18により出力をリアルタイムに制御することができるため、より細かく領域に応じて強度を制御することが可能である。出力を可変する方法としては、直接光源の出力を制御する他に、光学経路に入れた絞りや音響光学素子(Acousto-optic modulators: AOM)等による制御方法もある。
【0039】
(2)レンズの焦点距離をデジタル的に変える事(例えば、超音波モータにより微小レンズを移動させる、ミラーアレイにより収束点を変える等)により、照射密度を変えることも可能である。
【0040】
(3)紫外光が照射されている領域を視認できるようにする目的や部屋の照明のため、紫外線発生器12に、紫外光に加えて別の波長を発生できる複合波長発生器(例えば、白色の光源)を付加してもよい。
【0041】
[第2実施形態]
(構成)
図2は、第2実施形態に係るウイルス等の殺菌装置20を示す図である。図2に示す殺菌装置20は、第1実施形態における殺菌装置10と比較すると、殺菌装置10のレンズシステム14からXYスキャナ16への経路中に、ビームスプリッタ25、第2のレンズシステム24、及び光検出器27が追加されている点で相違する。
【0042】
各構成要素に関して説明する。ビームスプリッタ25は、紫外線発生器12から出力された光と、照射点Pに照射されて反射された光を分けて、この反射光がレンズシステム24通して光検出器27へ入力されるようにするためのデバイスである。光検出器27には、例えば、フォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトマルチプライヤ、CCD等を利用することが出来る。
【0043】
(動作及び効果)
第1実施形態の殺菌装置10と同様に、レンズシステム14により概略平行ビームへ向きを変えてXYスキャナ16へ入射し、XYスキャナ16は、紫外線ビームを殺菌平面Aに向けてスキャン(走査)して、殺菌平面A(abcd)を紫外線照射する。このとき、照射点Pからの反射光又は殺菌空間Sに浮遊している粒子からの散乱光が光検出器27で検出され、反射光若しくは散乱光に応じた信号がスキャン制御装置28へ入力される。
【0044】
光検出器27が、単一光検出器の場合は1次元信号としてスキャン制御装置28へ送られ、二次元画像として復元される。光検出器27が、例えば、CCDのように2次元で検出できる場合は二次元信号としてスキャン制御装置28へ送られ、二次元画像として再現される。
【0045】
第2実施形態の殺菌装置20は、第1実施形態の殺菌装置10の利点・効果に加えて、次のような利点・効果を有している。スキャン制御装置28は、XYスキャナ16の走査を制御するXY信号(位置を規定する信号)に対応して、スキャン制御装置28内のメモリ(図示せず。)へ反射光・散乱光の信号を書き込むことにより、容易に二次元画像として反射画像を得ることができる。
【0046】
スキャン制御装置28は、得られた反射画像から画像認識を行い、人、動物、その他の照射してはいけない対象の認識を行い、照射除外領域を求める。照射除外領域では照射する出力の強度を下げる又はOFFにすることにより、照射除外対象に対して有害となる紫外線を照射しないようにする。特に、人体の目等に障害が残らないようにするため、目を検出したら出力を安全な出力強度の範囲に絞る。照射除外領域を設けて紫外線照射を弱く又はOFFにすることにより、照射除外領域以外の領域に対してはウイルス等を短時間に除菌できるような高密度の紫外線ビームを照射することが可能となる。
【0047】
また、照射除外対象には、衣料や周辺の構造物等も含まれる。照射除外対象の紫外線によるダメージの程度に分けて、夫々許容可能な強度レベルで照射することにより、効率よく殺菌が可能となる。
【0048】
更に、リアルタイムに処理することにより、移動している照射除外対象に追随して殺菌が可能となるため、人や動物が動くことにより影となっていた空間・床平面まで隈なく殺菌することが可能である。この機能は、ベルトコンベアで移動する生鮮品や物に対しても有効であり、ベルトコンベアや周囲の構造物を損傷せずに、また、不意に侵入した人に対しても照射しないようにして、対象物を殺菌することができる。
【0049】
(変形例)
(1)照射点Pからは、紫外線による反射光だけでなく、周辺の光による反射光も生じているため、光検出器27にスペクトル検出器を使用することにより、カラー画像や赤外画像等のスペクトルに基づく画像情報が得られ、画像認識による認識精度を高めることが出来る。その結果、一層精密に照射領域と強度を決定し、照射した強度をフィードバックすることにより、一層安全に短時間に殺菌を行うことができる。
【0050】
(2)紫外光に加えて別の波長を発生できる複合波長発生器(例えば、赤外光や白色の光源)を付加してもよい。複数の波長の光を照射することにより、照明の代替や照射領域の視認性をあげるだけでなく、一層多くのスペクトル情報が得られ、画像認識による認識精度を高めることが出来る。
【0051】
(3)光源にレーザを使用してもよい。レーザを使用することにより、レーザ分光法を応用し精度の高いスペクトル分析を行うことが可能である。高精度のスペクトル分析により、微生物の特長を検出することが可能であるため、対象に応じた殺菌が可能である。
【0052】
[第3実施形態]
(構成)
図3は、第3実施形態に係るウイルス等の殺菌装置30を示す図である。殺菌装置30は、実施形態1,2が点ビームで対象物を照射するのに対し、面単位で一括して照射する点で異なる。
【0053】
各構成要素に関して説明する。光スイッチ素子36は、例えば、液晶表示素子、ミラーアレイ素子等の光強度変調が可能な素子等を利用できる。受光素子37は、例えば、CCD、赤外受光アレイ素子等を利用できる。また、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトマルチプライヤも、光スイッチ素子36の表示を1ピクセル毎に点滅しスキャンすることにより、第1、第2実施形態と同様に使用することができる。
【0054】
(動作及び効果)
紫外線発生器12により発生された紫外光を、第1のレンズシステム34-1により略平行光に変えて光スイッチ素子36へ照射し、光スイッチ素子上に形成された画像を第2のレンズシステム34-2により殺菌平面Aへ投影する。光スイッチ素子36では、画像処理兼表示制御装置38により発生された投影画像信号33-1により、ピクセル毎に透過する光量が変調され、光スイッチ素子36上に二次元の任意の画像が再現される。
【0055】
また、殺菌平面A及び殺菌空間Sの画像は、受光素子37により受光画像信号33-2として画像処理兼表示制御装置38へ入力され、画像処理兼表示制御装置38により二次元画像として構築される。画像処理兼表示制御装置38は、構築された殺菌平面Aの画像に対して画像処理により画像認識を行い、照射除外領域を決定し、投影画像信号33-1が発生される。
照射除外領域では、照射する出力の強度を下げる又はOFFにすることにより、照射除外対象が、紫外線によるダメージを受けないようにすることができる。
【0056】
また、レンズシステム34-3と受光素子37の組を複数組使用することにより、物に隠れた部分の検出や照射対象物を3次元的に認識でき、照射除外対象の検出精度を向上させることができる。
【0057】
(変形例)
(1) 光スイッチ素子36として、二次元ではなく、一次元(線状)に配置された素子を使用することもできる。この場合は、線状に発生された像を、第一実施形態や第二実施形態の二次元のXYスキャナ16に代えて、一次元スキャナを使用することにより二次元像として殺菌平面Aへ投影する。
【0058】
(2) 前記、光スイッチ素子36の表示を1ピクセル毎に点滅しスキャンする場合、照射点からは、紫外線による反射光だけでなく、周辺の光による反射光も生じているため、受光素子37に代えてあるいは併用して、高感度の赤外検出器やスペクトル検出器を使用することにより、1ピクセル毎に、高精度の温度やスペクトルも同時に入手することが出来る。この結果、画像認識による認識精度を高めることが出来る。
【0059】
(3) 紫外線発生器12に、複合波長発生器を付加してもよい。第2実施形態同様に、照明の代替、照射領域の視認性向上、スペクトル分析精度の向上が望める。
【0060】
[第4実施形態]
(構成)
図4は、第4実施形態に係るウイルス等の殺菌装置40を示す図である。殺菌装置40は、二次元の紫外線を殺菌平面A及び殺菌空間Sへ投影照射する紫外線発光素子アレイ46と、殺菌平面A及び殺菌空間Sの画像を受けて、受光画像信号43-2を生成する受光素子47と、この受光画像信号から投影画像信号43-1を生成して紫外線発光素子アレイ46に送る画像処理兼表示制御装置48とを備え、紫外線発光素子アレイ46が二次元の投影画像信号43-1に基づき紫外線照射を行っている。
【0061】
各構成要素に関して説明する。紫外線発光電子アレイ46は、例えば、紫外LED素子や紫外発光半導体レーザ素子を二次元的に配置したデバイスを利用できる。受光素子47は、例えば、CCD、赤外受光アレイ素子等を利用できる。また、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトマルチプライヤも、紫外線発光電子アレイ46の表示を1ピクセル毎に点滅しスキャンすることにより、第1、第2実施形態と同様に使用することができる。
【0062】
(動作及び効果)
二次元配列された紫外線発光電子アレイ46により、紫外線発光素子アレイ上に表示された像を、第1のレンズシステム44-1により殺菌平面Aへ投影する。紫外線発光素子アレイ46では、画像処理兼表示制御装置48により発生された投影画像信号43-1により、ピクセル毎に発生する紫外光の光量が変調されるため、紫外線発光素子アレイ46上に任意の画像が再現される。
【0063】
一方、殺菌平面A及び殺菌空間Sの画像は、レンズシステム44-2で受光素子47に投影され、受光素子47により殺菌平面Aの二次元画像である受光画像信号43-2として構築される。受光画像信号43-2を受けた画像処理兼表示制御処理装置48は、画像認識を行い、照射除外領域を求め、その領域では照射する出力の強度を下げる又はOFFにすることにより、照射除外対象に対して、紫外線によるダメージを与えないように照射することができる。
【0064】
(変形例)
(1) 前記、紫外線発光電子アレイ46の表示を1ピクセル毎に点滅しスキャンする場合、照射点からは、紫外線による反射光だけでなく、周辺の光による反射光も生じているため、受光素子47に代えてあるいは併用して、高感度の赤外検出器やスペクトル検出器を使用することにより、1ピクセル毎に、高精度の温度やスペクトルも同時に入手することが出来るため、画像認識による認識精度を高めることが出来る。
【0065】
(2) 紫外線発光電子アレイ46に並置して、複合波長発生器を付加してもよい。第2実施形態同様に、照明の代替、照射領域の視認性向上、スペクトル分析精度の向上が望める。
【0066】
[第5実施形態]
(構成)
図5は、第5実施形態に係るウイルス等の殺菌装置システム50を示す図である。殺菌装置システム50は、第1実施形態~第4実施形態の個別の殺菌装置10,20,30,40,50のいずれかを、部屋毎に適宜配したシステムである。なお、ここでは、説明の便宜上、殺菌装置10を例にとって説明する。
【0067】
例えば、図5のRoom Aでは、部屋の床面及び物品52を隈なく殺菌するために天井の2箇所に殺菌装置10が設置されている。Room Bでは、物品52の上面と下面を殺菌するため、天井と床面の2箇所に殺菌装置10が設置されている。夫々の殺菌装置10は、通信網54を経由してコンピュータサーバ56に接続されている。通信網54は、電線又はワイヤレスでよく、ワイヤレスは設置が容易という点で利点がある。
【0068】
図中、点線斜線でハッチングした放射状の領域が紫外線照射領域である。人がこの領域へ立ち入った場合は、第2実施形態~第4実施形態で説明したように画像認識により照射除外領域が求められ、その領域を回避して紫外線が照射される。
【0069】
ここで、Room A,Bの個数は任意に設定でき、Room内の殺菌装置10の位置や配置、個数も任意に設定できる。また、Roomは人の居る空間でもよいし、或る装置内の空間でも良い。殺菌装置10は、設置位置を設定しておくことが望ましいが、設置位置の設定を容易にするためGPS(Global Positioning System)やジャイロ等による位置情報システムを使用してもよい。
【0070】
(動作及び効果)
殺菌装置10の夫々に照射除外対象を求め、紫外線を対象物に照射することが可能である。照射除外領域以外の照射領域は、殺菌装置毎に任意に設定されるため、複数の殺菌装置10が設置された場合、照射領域が重なったり照射できない領域が生じることがある。図5の場合、夫々の殺菌装置10で得られた対象物の画像が殺菌装置のID、位置情報と共にサーバへ送られ、サーバ56で夫々の画像から殺菌領域全体の画像を構築することが可能である。従って、得られた全体の画像から照射領域の重なりや欠落を検出することが可能である。
【0071】
サーバ56では、照射領域の重なりが検出された場合は、該当する殺菌装置10の照射領域を調整し、照射領域の制限情報を夫々の殺菌装置10へ送ることにより、照射領域の重なりを無くすことができる。照射領域の欠落は、殺菌装置10を設置する際の情報として利用することができる。例えば、照射領域の欠落領域をモニタ等(ケーブルでサーバと接続された表示器の他に、ワイヤレスのPDAやスマートフォン等)へ図示することにより、容易に殺菌装置10の配置位置を決定することが可能である。また、光源に複合波長発生器により可視光を発生させれば、照射している状態を目視で確認することもできる。
【0072】
また、サーバ56では、光検出器の視野内の画像全てを得ることができるため、すべての殺菌装置10から得られた画像を合成することにより、広い視野を得ることができるため、それらをモニタ(図示せず。)へ表示し状態を監視することが可能である。モニタに表示されたデータは記録したり、AIを用いて物や人等を監視したりする用途にも使用可能である。更に、サーバ56で画像認識処理を行うことにより、個々の殺菌装置内の認識機能では画像が欠けたり移動したりして認識ができないような場合も、広い視野に基づく認識が可能であるため、認識精度を向上させることが可能である。
【0073】
ベルトコンベア等の搬送機上を移動する物品を殺菌するような場合は、移動経路に沿って設置された複数の殺菌装置10に対して、得られた画像をサーバ56で処理し、照射除外対象領域と共に照射対象および照射対象領域を認識する事により、照射除外領域毎または照射対象領域毎に殺菌照射時間もしくは照射出力を制御することにより、物品全体を最適な強度で殺菌することができる。
【0074】
更に、サーバは、全ての殺菌装置の照射領域や照射時間の制御だけでなく、複合波長発生器等の光源を制御することができるため、照明の効率化や、認識した対象物に対して適切な波長による照射と分析、画像撮影、認識、追跡なども可能である。
【0075】
[第6実施形態]
(構成)
図6は、第6実施形態に係るウイルス等の殺菌装置60を示す図である。殺菌装置60は、第2実施形態~第4実施形態において、殺菌装置10のO点から発せられるビームが、任意の位置にある反射体58のP点(反射点)により反射し、照射除外対象(例えば、人体,動物等)62のQ点へ到達するビーム強度を下げる又はOFFにする殺菌装置である。図6では、第2実施形態~第4実施形態の殺菌装置に対し、1個以上の任意の数の受光装置67-1,67-2,…が付加されている。但し、この受光装置67は、第3実施形態、第4実施形態で使用している受光装置37、47で兼ねることもできる。太い実線O-P-Qは、殺菌装置10のO点から照射されるビームが、反射体58の点Pで反射して照射除外対象62のQ点を照射しているビームを表す。一点鎖線Q-Rは、このビームがQ点で反射して、受光素子67-1のR点へ到達しているビームを表す。
【0076】
(動作及び効果)
図6の太い実線のように、殺菌装置10のO点から発せられたビームが反射体のP点で反射して照射除外対象62のQ点へ到達するものとする。照射除外対象62のQ点にビームが当たった場合、ビームは人や動物では完全に吸収されないため、Q点で反射した光の一部が、一点鎖線で示すように受光素子67-1のR点へ到達する。即ち、受光素子67を、Q点からのビームを検出できる適切な位置に配置し、受光輝度の閾値を適切に決定して閾値を超えた点を検出することにより、照射ビームが反射体のP点で反射して照射除外対象のQ点に入射したことを検出することが可能である。
【0077】
ここで、殺菌装置10では、ビームを反射しているP点の位置(X,Y)が既知であるため、P点に反射体があることを記録することができる。このため、次回以降のスキャンでは、そのP点に対するビームの輝度を出力の強度を下げる又はOFFにすることができる。なお、P点から照射除外対象のQ点への照射検出において、P点からの直接的な反射でなく、P点から他の点を経由した乱反射によりQ点へ到達した紫外光に対しても、閾値を適切に設定することにより検出することができる。
【0078】
この機能を利用することにより、次のような処理を行うことが可能である。
(1) 照射除外対象62に直接照射しても安全な強度でビームをスキャンし、反射体58のP点の位置情報を記録する。
(2) 2回目のスキャンからは、記録されている反射体58のP点に対するビームの輝度を下げる又はOFFにする。それ以外の領域では、ビームの輝度を任意に上げて(例えば数倍から数十倍に上げて)照射する。
(3) (1)と(2)を繰り返す。
【0079】
以上の処理により、殺菌空間内に任意の個数、任意の位置に反射体が存在しても、照射除外対象を照射する強度を安全な強度もしくはゼロにして照射し、照射除外領域以外の領域を輝度の高いビームで照射することが可能となる。これにより、殺菌平面Aおよび殺菌空間S内の殺菌時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0080】
(変形例1)
前記(1)のビームには、紫外線に代えて可視光線や赤外線を採用することもできる。紫外線を使用しなければ、紫外線による暴露の心配がなくなる。また、可視光線の場合は、紫外線が当たっている場所(目視不可)を可視光により目視できるだけでなく、受光素子には、紫外線受光素子でなく一般的な可視光の受光素子を使用することができる。
【0081】
(変形例2)
受光素子67として、レンズシステム44-2(図4参照)と二次元的に配置された受光素子を使用して、殺菌平面A(a-b-c-d)を二次元の受光素子67上に結像することにより殺菌平面Aの画像データを取得することができる。殺菌平面Aの画像データを画像処理し、照射した点の位置と輝度変化を求めることにより、照射領域と照射除外領域を区別することができる。殺菌装置10により照射している殺菌平面Aと、得られた照射領域を比較することにより、累積照射量の計算や照射異常の検出および故障検出を行うことができる。
【0082】
(変形例3)
前記(2)で、ビームの輝度を下げる又はOFFにする以外に、照射する時間や頻度を変えて平均照射光量を抑制してもよい。
【0083】
(変形例4)
前記(1)の処理における反射体のP点の検出において、受光輝度の閾値の設定の際、閾値の精度を向上させるため、受光素子67により得られた信号に対し閾値設定処理をリアルタイムもしくは定期的に行ってもよい。閾値設定処理には、信号処理や画像処理およびAI等の技術を用いることができる。
【0084】
[本実施形態の利点・効果]
(1) 従来の人や動物の居ない空間だけでなく、人や動物が利用している状態にあって、殆どの空間(居住空間、オフィス、イベント会場、宿泊所、遊戯施設、飲食店、工場等)で、空間や物(着衣している衣料を含む)に対して効果的(高出力)で連続的な殺菌が可能となる。このため、空間に浮遊したり物へ付着している細菌やウイルス、および、人や動物により散布・付着された細菌やウイルスをリアルタイムに殺菌することが可能となり、細菌やウイルスが人や動物へ感染する機会を大幅に減らすことができる。
【0085】
(2) 対象とする空間や物だけでなく、空間や物を利用する人や動物に付着する菌やウイルスに対しても、対象物の認識結果に基づき照射強度を被照射物に害がないようにリアルタイムに制御することにより連続的な殺菌が可能となる。
【0086】
(3) ウイルス等が発生・付着・浮遊しているあらゆる空間に対し、適切に配置することにより、連続的に、人や動物が使用する空間や触る物、衣料、生鮮食品含む食料品等のあらゆる物を殺菌でき、しかも電力しか消費しないため、従来の殺菌対策に比較してきめ細かに徹底して殺菌することが可能となる。また、このような殺菌における労力や資源を大幅に軽減できる。
【0087】
(4) 物流システム、荷役システム、洗浄システムなどにおいて、ベルトコンベア等により移動する搬送物に対しても、紫外線照射において蔭ができないように殺菌装置を配置し、照射時間を制御することにより、安全に、連続的に搬送物に付着した菌やウイルスを殺菌することができる。
【0088】
(5) 複数のサーバを接続することにより、広範囲に(例えばビル全体、商業施設全体、工場全体、町全体など)殺菌が可能であり、また紫外光に加えて可視光や赤外光も照射でき、モニタ機能も付属させる事ができるため、広範囲かつ体系的に殺菌および照明や防犯が可能となる。
【0089】
[関連出願の相互参照]
本出願は、特願2020-151683を先の出願とする国内優先権主張出願である。先の出願と比較すると、本願は、当初明細書及び図面において、第6実施形態及び請求項8に記載した技術的事項を追加している。
【符号の説明】
【0090】
10,20,30,40:殺菌装置、 12:紫外線発生器、 14:レンズシステム、 16:スキャナ、 18:スキャン制御装置、 24,34-1,34-2,34-3,44-1,44-2:レンズシステム、 25:ビームスプリッタ、 27:光検出器、 28:スキャン制御装置、 33-1:投影画像信号、 33-2:受光画像信号、 37:受光素子、 38:画像処理兼表示制御装置、 47:受光素子、 48:画像処理兼表示制御処理装置、 50:殺菌装置システム、 52:物品、 54:通信網、 56:サーバ、 58:反射体、 62:照射除外対象
A:殺菌平面、 C:スキャナ中心点、 D:殺菌平面Aまでの距離、 p:照射点、P:反射点、 S:殺菌空間、
図1
図2
図3
図4
図5
図6