(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23G 5/00 20060101AFI20221003BHJP
B09B 3/00 20220101ALI20221003BHJP
F23G 5/20 20060101ALI20221003BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20221003BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20221003BHJP
【FI】
F23G5/00 108B
B09B3/00 ZAB
F23G5/20 B
F23G5/44 F
B09B3/40
(21)【出願番号】P 2018158237
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】308030570
【氏名又は名称】株式会社エム・アイ・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】中村 康行
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特公昭60-026936(JP,B2)
【文献】特開2018-004113(JP,A)
【文献】特開2007-303737(JP,A)
【文献】特開2009-047318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0120337(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012016308(DE,A1)
【文献】特開昭49-064273(JP,A)
【文献】特開昭49-083263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00
B09B 3/40
B09B 3/00
F23G 5/20
F23G 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼材が供給される本体筒と、
前記本体筒の先端に接続される燃焼筒と、
前記燃焼筒の前方であって上方に向けて開口している上部開口部と、
前記本体筒および前記燃焼筒の少なくとも一部において、回転する回転羽根と、を備え、
前記燃焼筒で発生する火炎が、前記上部開口部から上方に向けて発生し、
前記燃焼筒は、水平面に対して搖動可能である、燃焼装置。
【請求項2】
前記上部開口部は、前記燃焼筒の前方側の一部もしくは全部において、上方のみに開口している、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記本体筒に燃焼材を供給する燃料供給部を更に備える、請求項1または2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記回転羽根は、前記燃焼材を撹拌する、請求項1から3のいずれか記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記回転羽は、回転軸となる軸部材と、前記軸部材から突出して回転する羽根部材とを有し、
前記軸部材および前記羽根部材の内部は中空部を有し、当該中空部は、前記本体筒および前記燃焼筒の少なくとも一部に、空気を供給する、請求項1から4のいずれか記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記火炎は、前記燃焼筒に対して略垂直方向に沿って発生する、請求項1から
5のいずれか記載の燃焼装置。
【請求項7】
前記上方に向かって発生する前記火炎は、発電装置の水蒸気発生を含む熱利用のための燃焼熱となる、請求項
1記載の燃焼装置。
【請求項8】
前記燃焼材は、木質チップ、竹質チップ、バイオエタノール燃料およびバイオディーゼル燃料の少なくとも一つを含む、請求項1から
7のいずれか記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方に炎を吹き出しやすくして、蒸気ガスをより効率的に発生させることのできる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃焼熱を必要とする場面が多く、これらの必要性のために燃焼装置が用いられる。燃焼装置は、種々の燃料を燃焼させて燃焼熱を発生する。この燃焼熱が、種々の目的を実現する。
【0003】
例えば、廃棄物を燃焼処理するために、燃焼装置による燃焼熱が利用される。あるいは、土壌改質においても燃焼装置による燃焼熱が利用される。汚染されている土壌を加熱燻蒸することで、土壌改質が実現できるからである。
【0004】
これら以外にも、近年、小型で様々な場所で発電を行える燃焼熱発電がおこなわれるようになってきている。いわゆる電力会社の発電所ではなく、狭小な地域での必要性に応じて、小型の発電量を作り出す発電がおこなわれることがある。
【0005】
例えば、電力事情に問題の生じている住宅地域、工場、農地、牧畜地などの限られた地域において、電力送電が難しい地域において電力を必要とする場合である。このような場所においては、電力会社からの送電網を完成させることのコストが大きく、電力送電が困難である。あるいは、工場や農地などの広い場所においては、全てに電力送電を行き渡らせることは難しい。
【0006】
あるいは、ある時期だけ電力を必要とすることもありえる。このような地域では、作業内容などによって、ある時期だけ電力を必要とすることがある。
【0007】
このように、電力会社からの電力送電による電力供給が不足する地域が狭い場所で生じることがある。このような場所において、発電装置が使用されることがある。
【0008】
このような発電装置では、燃焼装置によって得られる燃焼熱でタービンを回転させて電力を発生させる。例えば、発電装置に水分を蓄えた容器があり、燃焼装置はこの容器を熱することで水蒸気(ガス)を発生させる。この水蒸気がタービンを回転させて電力を発生させる。
【0009】
このように、発電装置での発電においては、燃焼装置を使用する。燃焼装置の燃焼熱を効率よく使用することが、発電装置での発電効率を向上させる。
【0010】
このような燃焼装置についての技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2007-303737号公報
【文献】特開2017-161157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1は、熱分解炉装置10は燃焼室27と、燃焼室27を貫通して設けられた回転ドラム11と、回転ドラム11の入口側非加熱領域11a内に設けられた投入スクリュー22とを備えている。回転ドラム11の入口側非加熱領域11aに設けられた投入スクリュー22のスクリューケーシング23の上部に掻取板33が固定され、この掻取板33は半径方向外方へ回転しながら湾曲する形状を有している。この掻取板33により回転ドラム11内面に付着した付着物を取除く熱分解炉装置を、開示する。
【0013】
特許文献1は、廃棄物等の燃焼を行い、燃焼において揮発成分であるガスと燃焼残渣とに分離することを目的としている。
【0014】
しかしながら、特許文献1の技術は、燃焼室やドラム内部にクリンカが生じて残ってしまう。このクリンカが生じることで、熱分解炉装置は、その燃焼効率を上げることが難しい。クリンカが残ったり付着したりすると、クリンカによって燃焼が阻害されてしまい、燃焼効率が下がるからである。
【0015】
あるいは、内部にクリンカが残ったり付着したりすると、定期的にクリンカを除去する作業も必要となる。クリンカの除去作業は手間が掛かり作業期間においては、燃焼処理が実行できなくなってしまう。このために、時間軸上での燃焼効率が下がってしまう問題もある。
【0016】
また、クリンカが残ったり付着したりすることで、熱分解炉装置での燃焼能力が下がってしまう問題もある。このようなクリンカの発生は、燃焼装置での燃料が、バイオマスや木質燃料などであることで、より生じやすい。
【0017】
このようにクリンカが残ることでの燃焼効率の低下が生じると、燃焼装置による発電効率も下がってしまう問題がある。あるいは燃焼装置のメンテナンスが頻繁に必要となり、発電装置での発電を中断しなければならないなどの問題も生じる。
【0018】
特許文献2は、容器21の内部を通過した後の燃焼ガスEを還元剤として供給されると共に、空気Aを酸化剤として供給されることで電力を発生する燃料電池部40を備え、空気過剰率制御手段V1、V2、V3にて燃焼器10における混合気の空気過剰率を1未満に制御する形態で、燃料電池部40で電力を発生する発電燃焼運転を実行する制御装置Sを備える燃焼装置を開示する。
【0019】
特許文献2の燃焼装置は、燃焼熱をあてる対象物に対して、横向きから火炎をあてる構造である。
【0020】
特許文献2を始めとして、多くの燃焼装置は筒状の形状をしており、筒の先端の開口部から火炎を吹き出す構造を有する。このような構造であると、燃焼装置は、その先端開口部からの火炎を発電装置の要素である水分容器へあてることになる。
【0021】
このように横から火炎をあてることは、水分容器の加熱が弱くなり、発電装置にとって十分な水蒸気を発生させることができない。結果として、発電効率を上げられない問題がある。筒を上向きにすると、筒内部での燃焼効率が悪くなり、これを防止するために燃焼熱を上げると、クリンカの発生の問題になってしまう。すなわち、特許文献1と同じ問題が生じる。
【0022】
このように、従来技術では、発電装置に必要となる水蒸気発生を、効率よく行えない問題があった。あるいは、クリンカ発生などによる発電効率の低下をもたらす問題があった。
【0023】
本発明は、上記課題に鑑み、発電装置に使用できて発電効率を高める燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の燃焼装置は、 燃焼材が供給される本体筒と、
前記本体筒の先端に接続される燃焼筒と、
前記燃焼筒の前方であって上方に向けて開口している上部開口部と、
前記本体筒および前記燃焼筒の少なくとも一部において、回転する回転羽根と、を備え、
前記燃焼筒で発生する火炎が、前記上部開口部から上方に向けて発生し、
前記燃焼筒は、水平面に対して搖動可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の燃焼装置は、火炎を上方に上げることができる。この結果、発電装置の基礎となる水分容器を底面から熱することができ、水蒸気発生の効率を高めることができる。これらによって、燃焼装置を使った発電装置の発電効率を高めることができる。
【0026】
また、燃焼装置の前方の一部が開放されていることで、燃焼温度を上げすぎずに済む。この結果、燃焼装置内部でのクリンカの発生を抑えることもできる。この結果、燃焼装置のメンテナンスによる発電装置の中断などを低減できる。
【0027】
また、上方が開放されていることで火炎を上向きにできることで、燃焼装置の本体部については、水平方向に設置できる。このため、燃焼装置への燃料供給や燃焼動作に困難性が生じず、燃焼装置による燃焼が確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態における燃焼装置の側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態における燃焼装置の正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態における燃焼装置の正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態における燃焼装置の側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態における燃焼装置と発電装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の発明に係る燃焼装置は、燃焼材が供給される本体筒と、
本体筒の先端に接続される燃焼筒と、
燃焼筒の前方であって上方に向けて開口している上部開口部と、
本体筒および燃焼筒の少なくとも一部において、回転する回転羽根と、を備え、
燃焼筒で発生する火炎が、上部開口部から上方に向けて発生する。
【0030】
この構成により、上方に設置される発電装置や乾燥装置などに対して、効率的に燃焼熱を付与することができる。
【0031】
本発明の第2の発明に係る燃焼装置では、第1の発明に加えて、上部開口部は、燃焼筒の前方側の一部もしくは全部において、上方のみに開口している。
【0032】
この構成により、燃焼筒からの火炎は、上方に向かって噴き出す。
【0033】
本発明の第3の発明に係る燃焼装置では、第1または第2の発明に加えて、本体筒に燃焼材を供給する燃料供給部を更に備える。
【0034】
この構成により、本体筒およびこれに連通する燃焼筒の内部空間に、燃焼材を自動的あるいは連続的に供給できる。燃焼を継続することができる。
【0035】
本発明の第4の発明に係る燃焼装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、回転羽根は、燃焼材を撹拌する。
【0036】
この構成により、燃焼効率を向上させることができる。燃焼効率の向上により、上方に噴き出す火炎の燃焼熱を上げることができる。
【0037】
本発明の第5の発明に係る燃焼装置では、第1から第4の発明に加えて、回転羽は、回転軸となる軸部材と、軸部材から突出して回転する羽根部材とを有し、
軸部材および羽根部材の内部は中空部を有し、当該中空部は、本体筒および燃焼筒の少なくとも一部に、空気を供給する。
【0038】
この構成により、燃焼筒での燃焼効率を向上させることができる。
【0039】
本発明の第6の発明に係る燃焼装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、燃焼筒は、水平面に対して搖動可能である。
【0040】
この構成により、燃焼材の撹拌や燃焼における空気の供給がより促進される。
【0041】
本発明の第7の発明に係る燃焼装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、火炎は、燃焼筒に対して略垂直方向に沿って発生する。
【0042】
この構成により、上方に設置される発電装置や乾燥装置などに、効率的に熱を付与することができる。
【0043】
本発明の第8の発明に係る燃焼装置では、第7の発明に加えて、上方に向かって発生する火炎は、発電装置の水蒸気発生を含む熱利用のための燃焼熱となる。
【0044】
この構成により、発電装置の発電に必要となる燃焼熱を付与できる。
【0045】
本発明の第9の発明に係る燃焼装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、燃焼材は、木質チップ、竹質チップ、バイオエタノール燃料およびバイオディーゼル燃料の少なくとも一つを含む。
【0046】
この構成により、環境負荷に優しい燃焼を実現できる。
【0047】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0048】
(実施の形態1)
【0049】
(全体概要)
本発明の実施の形態における燃焼装置の全体概要について、
図1、
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態における燃焼装置の側面図である。
図2は、本発明の実施の形態における燃焼装置の正面図である。いずれも、燃焼装置1を、模式的に示したものであり、その構成と特徴が分かるように簡略に表したものである。
【0050】
燃焼装置1は、本体筒2と、燃焼筒3と、上部開口部31と、回転羽根4を備える。
【0051】
本体筒2は、燃焼材10が供給される。本体筒2は、燃焼材10の供給を受けて発火して燃焼を開始する部分である。また、本体筒2は、燃焼装置1の根元の構造体となり、燃焼装置1全体の構造を形成する。本体筒2は、筒状である。円筒、角筒、多角形筒、楕円形筒など、種々の形状を有していればよい。
【0052】
燃焼筒3は、本体筒2の先端に接続される。燃焼筒3は、燃焼材10の燃焼を行い、燃焼の火炎を生じさせる部分である。本体筒2に供給される燃焼材10に発火され、この発火によって生じる燃焼材10の燃焼を行わせる。この燃焼によって、燃焼筒3では、火炎が発生する。火炎による熱を外部に向けて出すことができる。
【0053】
上部開口部31は、燃焼筒3の前方であって上方に向けて開口している。
図2においては、燃焼装置1を上方から見た状態を示しているが、上方において、上部開口部31が開口している。燃焼筒3で発生する火炎20は、この上部開口部31から上方に向けて発生する。
図1においては、火炎20が、上部開口部31から上方に向けて発生している状態が示されている。
【0054】
回転羽根4は、本体筒2および燃焼筒3の少なくとも一部に備わる。これらの内部に備わる。
図1、
図2では、本体筒2の内部の一部から燃焼筒3の内部の一部にかけて、回転羽根4が備わっている。この回転羽根4は、回転する。回転によって、燃焼材10を、これらの筒内部で撹拌して、燃焼効率を上げることができる。また、燃焼材10と空気との混合を促進して、燃焼を促進させることもできる。この促進された燃焼によって、高い燃焼効率で生じる火炎20が、上部開口部31から上方に向けて発生する。
【0055】
上部開口部31が、燃焼筒3に設けられていることで、通常は燃焼筒3の先端から吐き出される火炎が、上方に向けて吐き出される。燃焼装置1の火炎20の熱を利用する様々な装置やシステムにおいては、下方から噴出される火炎20の熱を利用することが好適な場合がある。例えば、発電装置などでは、下方から上がってくるこの火炎20の熱を利用することが好適である。
【0056】
従来技術の燃焼装置では、燃焼筒3には上部開口部31が備わっていない。このため、燃焼筒3での燃焼で生じる火炎および火炎からの燃焼熱は、前方から噴出されるに過ぎない。燃焼筒3を上向きに傾ければ、斜め上には火炎や燃焼熱を吹き出すことができるが、上方ということは難しい。燃焼筒3を完全に上向きにすれば、燃焼筒3や本体筒2内部で、燃焼材10が底に溜まってしまい、燃焼が困難となる問題もある。
【0057】
上述したように、燃焼熱を利用する発電装置や乾燥装置などでは、下方から火炎20による燃焼熱を受けることが最も熱効率が高い。このような観点から、燃焼装置1での火炎20は上方に吹き出すことが最も好ましい。この点で、実施の形態における燃焼装置1は、上部開口部31が設けられていることで、火炎20が上方に確実に噴き上がる。この構造により、発電装置や乾燥装置など、下方から高い燃焼熱を受けることが好ましい装置にとって、最適な燃焼熱の付与ができる。
【0058】
回転羽根4は、本体筒2および燃焼筒3の内部の少なくとも一部に備わる。
図1、
図2のように、回転軸である軸部材41を有しており、この軸部材41の回転によって羽根部材42が回転する。回転羽根4の回転によって、燃焼材10が本体筒2および燃焼筒3の内部において撹拌される。この撹拌によって、燃焼効率が高まる。
【0059】
また、本体筒2および燃焼筒3内部が撹拌されることで、燃焼効率が上がる。特に、燃焼の撹拌により、生じる火炎20の噴き上がりが効率化され、火炎20の噴き上がりによる燃焼熱の上方への付与効率も上がる。
【0060】
更に、回転羽根4の撹拌により、本体筒2や燃焼筒3内部での残渣などの発生や付着を低減できるメリットもある。
【0061】
次に、各部の詳細やバリエーションについて説明する。
【0062】
(上部開口部)
上部開口部31は、燃焼筒3の前方側の一部もしくは全部において、上方のみに開口している。
図2では、この状態が示されている。上方のみに開口していることで、燃焼によって発生する火炎20は、そのほとんどが上方に噴出すようになる。この噴出によって、下からの燃焼熱を受けることが好ましい装置や機器などに、適切な熱の付与を行うことができる。
【0063】
図2のように、燃焼筒3の先端まで上部開口部31が開口してもよいし、
図3のように、燃焼筒3の途中まで上部開口部31が開口していてもよい。
図3は、本発明の実施の形態における燃焼装置の正面図である。上部開口部31が、燃焼筒3においてその位置を前後に異なっていることは、火炎20の噴き出しなどの形態を変化させることに繋がる。燃焼熱を付与する装置や機器の種類に応じた火炎20の噴き出し方を変化させることができる。
【0064】
また、これらの場合でも、上方のみへの噴き出しとなるので、火炎20が下から上に向けて燃焼熱を効率的に付与できる。
【0065】
上部開口部31は、開閉式やスライド式で、開口する範囲や面積を変化させることができることも好適である。
【0066】
(本体筒)
本体筒2は、燃焼材10の供給を受けて発火と燃焼のスタートとなる部位である。また、燃焼装置1の全体の構造を作る部位である。
【0067】
本体筒2は、燃焼材10を収容して燃焼を開始する構成を有する。このため、円筒、角筒などの筒状であり、内部空間を有していることが好ましい。また、回転羽根4の回転による撹拌を受ける構成を有していることが好ましい。
【0068】
また、本体筒2は、その先端に備える燃焼筒3とは独立して回転可能であってもよい。回転可能であることで、回転羽根4による撹拌の効率を上げることができるからである。
【0069】
また、
図4に示されるように、本体筒2に燃焼材10を供給する燃料供給部5を更に備えることも好適である。
図4は、本発明の実施の形態における燃焼装置の側面図である。
【0070】
燃料供給部5は、本体筒2に接続している。この接続によって、燃料供給部5は、本体筒2に燃焼材10を供給する。この燃焼材10の供給により、本体筒2は、燃焼材10を燃焼させることができる。また、燃料供給部5が、連続的に供給されることで、燃焼装置1での燃焼が連続的となり、燃焼熱を生じさせる機能が、連続的となる。
【0071】
燃料供給部5は、機械的な動作によって自動で燃焼材10を供給してもよいし、手動で供給してもよい。
【0072】
(燃焼筒)
燃焼筒3は、本体筒2の先端に接続する。本体筒2の先端に接続し、その内部空間は連通している。内部空間同士が繋がっていることで、燃焼材10による全体での燃焼を可能とする。
【0073】
燃焼筒3は、燃焼材10を燃焼して火炎20を生じさせる。この火炎20が、上部開口部31から上方に噴き出す。噴き出しが、上方に向けて燃焼熱を照射する。
【0074】
火炎20は、燃焼筒3が水平である場合には、燃焼筒3に対して略垂直方向に沿って発生する。
図2に示される通りである。略垂直に噴き上がることで、例えば、燃焼装置1の上に発電装置や乾燥装置などを設置して、これらに下から燃焼熱を付与することができる。
【0075】
発電装置や乾燥装置は、燃焼熱により、その機能を発揮できる。この燃焼熱が、下方から付与されることで、十分な熱を受けることができる。十分な熱を受けることで、発電装置の発電効率や乾燥装置の乾燥効率などが高まる。
【0076】
燃焼筒3は、水平面に対して搖動可能であることも好適である。搖動可能であることで、燃焼筒3での燃焼材10の撹拌が更に効率的になり、燃焼効率が高まる。あるいは、火炎20の噴き上がりレベルが向上する。噴き上がりレベルが向上すれば、火炎20の燃焼熱を付与することのレベルが向上する。
【0077】
あるいは、水平面に対して、上向きや下向きなどの角度をつけることが可能である。角度をつけることで、上方に噴き上がる火炎20の向きや角度に調整を持たせることが可能となるからである。
【0078】
(回転羽根)
回転羽根4は、燃焼材10を撹拌する。本体筒2と燃焼筒3とが接続して生じる連通した内部空間において回転する。この回転によって、燃焼材を撹拌する。
【0079】
上述したように、回転羽根4は、回転軸となる軸部材41と、軸部材41から突出して回転する羽根部材42とを有する。軸部材41が回転することで、羽根部材42が回転する。
【0080】
この羽根部材42が、燃焼材10を撹拌したり、燃焼で生じる火炎20を撹拌したりできる。これらの撹拌によって燃焼効率が高まる。燃焼効率が高まることで、火炎20による燃焼熱の付与がよりレベルアップする。
【0081】
また、軸部材41および羽根部材42の少なくとも一部の内部は、中空部を有することも好適である。この中空部は、本体筒2および燃焼筒3の少なくとも一部の内部空間に、空気を供給できる。この空気の供給によって、本体筒2や燃焼筒3の内部空間における燃焼が更に促進される。
【0082】
本体筒2および燃焼筒3の連通する内部空間は、先端や上部開口部31以外が閉じられている。この状態であると空気(酸素)の供給が不足することもある。これに対して、回転羽根4から空気が供給されると、この不足を補うことができる。回転羽根4の内部に中空部があり、回転羽根4の外部に空気ポンプなどを備えることで、中空部に空気が送り込まれる。この送り込まれた空気が、中空部から内部空間へ供給される。
【0083】
また、本体筒2および燃焼筒3の内壁から空気が供給されることも好適である。この場合には、本体筒2および燃焼筒3の内部に空間が存在し、この空間から空気が噴き出す構造を有していることが好適である。
【0084】
また、羽根部材42が、凹みを有していることも好適である。凹みを有していることで、羽根部材42は、その回転時に燃焼材10を掬い上げることができ、燃焼材10の撹拌をより効率よく行えるからである。また、燃焼材10や燃焼領域に空気を入れることもでき、燃焼効率を向上させる。
【0085】
(燃焼熱の利用)
上部開口部31から上方に向けて発生する火炎20は、発電装置や乾燥装置で必要となる燃焼熱として利用される。例えば、発電装置の水蒸気発生を行わせるための燃焼熱として利用される。
【0086】
図5は、本発明の実施の形態における燃焼装置と発電装置の模式図である。燃焼装置1の上に、発電装置50が設置されている状態が示されている。
図5では、発電装置50を要素として示しており、その構成などは、実際に使用される発電装置に応じて様々であればよい。
【0087】
発電装置50は、そのタービンを回転させるために水蒸気を必要とすることが多い。火炎20は、発電装置50の下から燃焼熱を付与することができる。下方からの火炎20であるので、発電装置50への燃焼熱付与の効率が高まる。発電装置50は、水蒸気発生を、この燃焼熱を利用して行いタービンを回転させる。この結果、電力を生成できる。
【0088】
(燃焼材)
燃焼材10は、木質チップ、竹質チップ、バイオエタノール燃料およびバイオディーゼル燃料の少なくとも一つを含む。これらの燃料は入手が容易であると共に、環境負荷も低いからである。
【0089】
以上のように、実施の形態における燃焼装置1は、火炎20を上方に向けて吹き上げることができるので、燃焼熱を効率的に付与できる。結果として、燃焼熱を利用する発電装置や乾燥装置などの機能効率を向上させることができる。
【0090】
以上、実施の形態1~2で説明された燃焼装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0091】
1 燃焼装置
2 本体筒
3 燃焼筒
4 回転羽根
41 軸部材
42 羽根部材
5 燃料供給部
10 燃焼材
20 火炎
50 発電装置