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特許7150302海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法
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  • 特許-海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法 図1
  • 特許-海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20221003BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20221003BHJP
【FI】
A23L17/60 102
A23L17/60 B
A23L35/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018090809
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2019195290
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504042557
【氏名又は名称】有限会社ユタカ食品
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】吉井 千恵
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-161244(JP,A)
【文献】特開2005-211039(JP,A)
【文献】特開昭59-187766(JP,A)
【文献】特開2003-038133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
A23L 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍されたボイル・塩蔵真昆布1500gを解凍し、この解凍されたボイル・塩蔵真昆布を、切断機を用い3mm×10mm幅に切断し、この切断されたボイル・塩蔵真昆布を、10分間、水で脱塩する前処理工程(1)と、
該前処理工程を経た真昆布を、5%の塩水に20分間浸漬する浸漬工程(2)と、
該浸漬工程で浸漬した素材を、遠心分離機にて、脱水する脱水工程(3)と、
該脱水工程で脱水した真昆布に、
(脱水真昆布約7000gに対して)
砂糖 1200g
L―グルタミン酸ソーダ 600g
酵母エキス 100g
コハク酸2Na 5g
からなる粉末調味料を加えて、調味する調味工程(4)と、
この粉末調味料を含浸した昆布を、3分後、80℃の温度で、熱風乾燥機にて3時間熱風乾燥し、水分8%~10%の4500gの調味乾燥昆布を得る調味乾燥工程(5)と、
この調味乾燥昆布を、表面温度140℃以上に加熱された焙煎機に入れ、160℃~180℃の温度で攪拌、焙焼する攪拌・焙焼工程(6)からなり、
これらの工程の組み合わせにより、約3分後、黒色であった昆布が、緑色から黄緑色になった際に焙焼を終了する
ことを特徴とする海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法。
【請求項2】
芽ひじき1000gを、水で40分間膨潤する前処理工程(1´)と、
該前処理工程で膨潤された芽ひじきを、8%の塩水に20分間浸漬する浸漬工程(2)と、
該浸漬工程で浸漬した芽ひじきを脱水する脱水工程(3)と、
該脱水工程で脱水したひじきに、
(脱水ひじき1400gに対して)
砂糖 140g
L―グルタミン酸ソーダ 30g
チキンエキス 20g
からなる粉末調味料を加えて、調味する調味工程(4´)と、
この粉末調味料を含浸したひじきを、80℃の温度で、3時間、熱風乾燥機にて熱風乾燥し、水分6%~8%の1400gの調味乾燥ひじきを得る調味乾燥工程(5)と、
この調味乾燥ひじきを、表面温度140℃以上に加熱された焙煎機に入れ、140℃~160℃の温度で攪拌、焙焼する攪拌・焙焼工程(6)と、
約3分後、焦げ臭が発生する直前、焙焼を終了する終了工程からなり、
これらの工程の組み合わせにより、焦げ臭が発生しなくてサクサクと変わってきて焦げ臭が発生する直前、焙焼を終了し、1200gの焙焼ひじきを得る
ことを特徴とする海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾燥・塩蔵海藻を用いたふりかけ用やお茶漬け用の食品素材を、サクサクとした食感に改善するため、乾燥・塩蔵海藻を瞬間膨化による方法を開発して本願出願人が既に特許を取得している。例えば、特許文献1のように。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5986939号公報
【0004】
しかし、近年、ふりかけ用やお茶漬け用の食品素材は、食欲をそそるサクサク感がより求められる傾向にあり、海藻を素材とするふりかけ用やお茶漬け用の食品素材の新たなサクサク感のある製法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこでこの発明は、海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材のサクサクとした食感を、さらにより改善する新たな手段による製造方法を開発することにあるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、ふりかけ用及びお茶漬け用の食材である海藻の食感を改良するに当たり、従来のポン菓子機を用い瞬間減圧により膨化させる方法に代えて、焙煎機を用いて、焙焼するものであり、さらに、焙焼(あぶり焼くこと)する前に、調味液に浸漬する工程をすべて済ませ、乾燥または調味乾燥した海藻を焙焼することによって、サクサクとした食感を得るよう構成するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明における一実施例の発明によると、真昆布に粉末調味料で味付けした後、焙煎機を用いて焙焼すると、約3分間後に、黒色であった昆布が緑色から黄緑色に変色し焦げ臭が発生せず、サクサクとした食感のある食材が得られた。
【0008】
さらに、この発明における他の実施例の発明によると、芽ひじきを、焙煎機を用いて焙焼すると、約3分間後に、食感がサクサクと変化し焦げ臭が発生する直前に焙焼を終了すれば、サクサクとした食感のある食材が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施例を示すフロー図である。
図2】この発明の他の実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においては適宜変更可能である。
【実施例
【0011】
次に、この発明の構成を図面に基づいて説明すると、海藻を素材とした前処理工程(1)と、前処理工程を経た素材に、適量%の塩水に数分間浸漬する浸漬工程(2)と、浸漬した素材を脱水する脱水工程(3)と、脱水工程を経た後、粉末調味料で調味する調味工程(4)と、該調味工程を経た素材を、水分適量%の調味乾燥素材を得る調味乾燥工程(5)と、該乾燥工程を経た素材を、表面温度が一定温度以上に加熱された焙煎機に入れ、適量温度内で攪拌・焙焼する攪拌・焙焼工程(6)との組み合わせからなり、該攪拌・焙焼工程の所定時間後に終了するか、あるいは、視覚および/または嗅覚により判断し、攪拌・焙焼を終了することを特徴とする海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法から構成される。
【0012】
次に、この発明の一の実施例を詳述すると、北海道南西部に存在する噴火湾(内浦湾とも呼ばれている。)産の冷凍されたボイル・塩蔵真昆布1500gを解凍し、この解凍されたボイル・塩蔵真昆布を、切断機を用い3mm×10mm幅に切断し、この切断されたボイル・塩蔵真昆布を、10分間、水で脱塩する前処理工程(1)と、この前処理された真昆布を、5%の塩水に20分間浸漬する浸漬工程(2)と、浸漬した素材を、遠心分離機にて、脱水する脱水工程(3)と、該脱水工程で脱水した真昆布に、(脱水昆布約7000gに対して)
砂糖 1200g
Lグルタミン酸ソーダ 600g
酵母エキス 100g
コハク酸2Na 5g
からなる粉末調味料を加える調味工程(4)と、この真昆布に含浸させる含浸工程と、この粉末調味料を含浸した昆布を、3分後、80℃の温度で、熱風乾燥機にて3時間熱風乾燥し、水分8%~10%の4500gの調味乾燥昆布を得る調味乾燥工程(5)と、この調味乾燥昆布を、表面温度140℃以上に加熱された焙煎機に入れ、160℃~180℃の間で攪拌、焙焼する攪拌・焙焼工程(6)との組み合わせからなり、約3分後、黒色であった昆布が、緑色から黄緑色に変色し、焦げ臭が発生する前に終了する終了工程との組み合わせから構成される海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法から構成されるものである。これにより、焦げ臭がなくてサクサクとした食感を得た4000gの焙焼昆布を得ることができた。
【0013】
さらに、この発明の他の実施例を説明すると、瀬戸内海産である芽ひじき1000gを、水で40分間膨潤する前処理工程(1´)と、この膨潤された芽ひじきを、8%の塩水に20分間浸漬する浸漬工程(2)と、この浸漬した芽ひじきを脱水する脱水工程(3)と、該脱水工程を経たひじきに、(脱水ひじき1400gに対して)
砂糖 140g
L―グルタミン酸ソーダ 30g
チキンエキス 20g
からなる粉末調味料を加えて、調味する調味工程(4´)と、この粉末調味料で調味したひじきを、80℃の温度で、熱風乾燥機にて3時間熱風乾燥し、水分6%~8%の1400gの調味乾燥ひじきを得る調味乾燥工程(5)と、この調味乾燥したひじきを、表面温度140℃以上に加熱された焙煎機に入れ、140℃~160℃の間で攪拌、焙焼する攪拌・焙焼工程(6)との組み合わせからなり、約3分後、焦げ臭が発生する直前、焙焼を終了する海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法から構成されるものである。これらの工程の組み合わせにより、焦げ臭が発生しなくてサクサクと変わってきて焦げ臭が発生する直前、焙焼を終了し、1200gの焙焼ひじきを得ることができた。
【0014】
このように、従来、豆をいるために使用する焙煎機を用いて海藻を焙焼することにより海藻の物性を変え、しかも、焙煎機で焙焼する前に浸漬工程を済ませており、短時間にサクサクとした食感に焙焼することができるものである。
【0015】
なお、前記一の実施例と前記他の実施例の各前処理工程(1),(1´)は、冷凍されたボイル・真昆布と、芽ひじきである海藻の素材により多少異なるものであり、さらに、前記調味工程(4),(4´)においても、素材により各調味料は異なるものである。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明の海藻を用いたふりかけ用及びお茶漬け用食品素材の食感を改善する製造方法の技術を確立し、実施することにより産業上利用可能性がある。
【符号の説明】
【0017】
1 前処理工程
2 浸漬工程
3 脱水工程
4 調味工程
5 調味乾燥工程
6 攪拌・焙焼工程

図1
図2