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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】流体移送用コネクタ及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/36 20060101AFI20221003BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221003BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
F16L37/36
H01L21/304 648K
B08B3/04 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018141407
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020016317
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591257111
【氏名又は名称】サーパス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘
(72)【発明者】
【氏名】平井 和樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 将道
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-148674(JP,A)
【文献】特開平10-009499(JP,A)
【文献】特開平06-109183(JP,A)
【文献】特開2002-005378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/36
H01L 21/304
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体流路が形成されたプラグ本体と前記第1流体流路を遮断する第1弁体とを有するプラグと、
前記プラグが接続されたときに前記第1流体流路に連通する第2流体流路が形成されたソケット本体と前記第2流体流路を遮断する第2弁体とを有するソケットと、
前記プラグ本体が前記ソケット本体に対して接続及び離脱する際に該プラグ本体と該ソケット本体との間の距離を調整する駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記駆動機構によって、前記プラグ本体と前記ソケット本体とが離間して対向する位置となる初期位置と、前記プラグ本体の前記第1流体流路と前記ソケット本体の前記第2流体流路とを連通させる接続位置と、前記初期位置と前記接続位置との間の中間位置と、に停止可能とし、前記プラグ本体と前記ソケット本体との接続動作時には、前記初期位置、前記中間位置及び前記接続位置の順にシーケンス制御を行い、
前記接続位置において、前記第1弁体と前記第2弁体とが突き当たり、互いを押圧することにより前記第1流体流路と前記第2流体流路とが連通した状態となる流体移送用コネクタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記プラグ本体と前記ソケット本体との接続解除動作時には、前記接続位置、前記中間位置及び前記初期位置の順にシーケンス制御を行う請求項1に記載の流体移送用コネクタ。
【請求項3】
前記ソケットは、前記プラグ本体を着脱可能に保持するプラグ本体保持部と、該プラグ本体保持部に対して前記プラグ本体をロックするロック機構と、を備え、
前記ロック機構は、前記プラグ本体を前記プラグ本体保持部に挿入する動作に応じてロック動作を行う請求項1又は2に記載の流体移送用コネクタ。
【請求項4】
前記プラグ本体保持部は、前記プラグ本体が差し込まれる差込口を備え、
前記差込口を閉じる蓋部が設けられている請求項3に記載の流体移送用コネクタ。
【請求項5】
前記プラグ本体の先端と前記ソケット本体の先端との間に洗浄流体を供給する洗浄流体供給手段を備え、
前記制御部は、前記中間位置にて、前記洗浄流体供給手段によって洗浄を行う請求項1から4のいずれかに記載の流体移送用コネクタ。
【請求項6】
第1流体流路が形成されたプラグ本体と前記第1流体流路を遮断する第1弁体とを有するプラグと、
前記プラグが接続されたときに前記第1流体流路に連通する第2流体流路が形成されたソケット本体と前記第2流体流路を遮断する第2弁体とを有するソケットと、
前記プラグ本体が前記ソケット本体に対して接続及び離脱する際に該プラグ本体と該ソケット本体との間の距離を調整する駆動機構と、
を備えた流体移送用コネクタの制御方法であって、
前記駆動機構によって、前記プラグ本体と前記ソケット本体とが離間して対向する初期位置と、前記プラグ本体の前記第1流体流路と前記ソケット本体の前記第2流体流路とを連通させる接続位置と、前記初期位置と前記接続位置との間の中間位置と、に停止可能であり、
前記接続位置において、前記第1弁体と前記第2弁体とが突き当たり、互いを押圧することにより前記第1流体流路と前記第2流体流路とが連通した状態となり、
前記プラグ本体と前記ソケット本体との接続動作時に、前記初期位置、前記中間位置及び前記接続位置の順にシーケンス制御を行う第1制御工程を備える流体移送用コネクタの制御方法。
【請求項7】
前記プラグ本体と前記ソケット本体との接続解除動作時に、前記接続位置、前記中間位置及び前記初期位置の順にシーケンス制御を行う第2制御工程を備える請求項6に記載の流体移送用コネクタの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造装置に用いる薬液やガスを移送するための流体移送用コネクタ及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されているように、半導体製造装置に用いる流体(薬液やガス)を移送するために流体移送用コネクタが用いられる。流体移送用コネクタは、例えば、流体を一時的に貯蔵するバッファタンクが設けられた建屋側に固定設置されたソケットと、タンクローリから導かれたホースの先端に固定されたプラグとを備えている。ソケットに対してプラグを接続することによって、タンクローリからバッファタンクへと流体が移送される。
【0003】
上記文献に記載されているように、プラグをソケット側の差込口に差し込んで固定した後に、プラグの先端及びソケット本体の先端の洗浄を行う。その後、ソケット本体がプラグ側に進出することによってプラグ先端の弁体とソケット本体先端の弁体とを当接させると同時に各々の弁体を互いに退避させることによって流路を形成し、流体の移送を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5046958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献では、プラグをソケット側の差込口に固定した後に、ソケット本体がプラグ側に進出することによって流路を形成するようになっている。しかし、何らかの故障等によって、プラグをソケット側の差込口に固定するときに、ソケット側がプラグ側に既に進出していた場合には、上述した洗浄工程を経ることなく弁が開き流体の移送が始まってしまうおそれがある。これを回避するために、プラグを差し込む際にソケット本体の位置を確認することが考えられる。しかし、このような確認作業を作業者に課すことは、作業者の負担を増やしてしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、プラグをソケットに対して接続する際に作業者に負担を課すことなく容易に接続することができる流体移送用コネクタ及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る液体移送用コネクタは、第1流体流路が形成されたプラグ本体と前記第1流体流路を遮断する第1弁体とを有するプラグと、前記プラグが接続されたときに前記第1流体流路に連通する第2流体流路が形成されたソケット本体と前記第2流体流路を遮断する第2弁体とを有するソケットと、前記プラグ本体が前記ソケット本体に対して接続及び離脱する際に該プラグ本体と該ソケット本体との間の距離を調整する駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記駆動機構によって、前記プラグ本体と前記ソケット本体とが離間して対向する初期位置と、前記プラグ本体の前記第1流体流路と前記ソケット本体の前記第2流体流路とを連通させる接続位置と、前記初期位置と前記接続位置との間の中間位置と、に停止可能とし、前記プラグ本体と前記ソケット本体との接続動作時には、前記初期位置、前記中間位置及び前記接続位置の順にシーケンス制御を行い、前記接続位置において、前記第1弁体と前記第2弁体とが突き当たり、互いを押圧することにより前記第1流体流路と前記第2流体流路とが連通した状態となる
【0008】
流体移送用コネクタは、プラグ本体をソケット本体に対して接続することによって流体流路を連通させて流体を移送する。プラグ本体とソケット本体との相対位置は、駆動機構によって調整される。制御部は、駆動機構を制御することによって、初期位置と、プラグ本体とソケット本体の流体流路を連通する接続位置と、初期位置と接続位置との間の中間位置とに位置させることができる。このように、初期位置と接続位置との間の中間位置にてプラグ本体とソケット本体を停止させることとしたので、プラグをソケットに対して取り付ける際に、中間位置を経ずにプラグ本体とソケット本体が接続されることを可及的に回避することができる。これにより、プラグ本体をソケット本体に対して接続する際に、作業者にプラグ本体とソケット本体との位置関係を確認させる負担を課すことなく容易に接続することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る液体移送用コネクタによれば、前記制御部は、前記プラグ本体と前記ソケット本体との接続解除動作時には、前記接続位置、前記中間位置及び前記初期位置の順にシーケンス制御を行う。
【0010】
プラグ本体とソケット本体との接続動作時や接続解除動作時に、初期位置と、中間位置と、接続位置との間でシーケンス制御を行うこととした。これにより、コネクタ接続の自動化が行われ、作業者の負担を軽減することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る液体移送用コネクタによれば、前記ソケットは、前記プラグ本体を着脱可能に保持するプラグ本体保持部と、該プラグ本体保持部に対して前記プラグ本体をロックするロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記プラグ本体を前記プラグ本体保持部に挿入する動作に応じてロック動作を行う。
【0012】
プラグ本体をプラグ本体保持部に対してロックするロック機構を備えている。ロック機構は、プラグ本体をプラグ本体保持部に挿入する動作に応じてロック動作を行う。これにより、コネクタ接続の際の作業者の負担を軽減することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る液体移送用コネクタによれば、前記プラグ本体保持部は、前記プラグ本体が差し込まれる差込口を備え、前記差込口を閉じる蓋部が設けられている。
【0014】
蓋部によって差込口を閉じることができるので、プラグが差し込まれていない場合には差込口を蓋部によって閉じることで汚染を防止することができる。
なお、制御部によって、蓋部の閉動作と開動作を自動的に行うようにしても良い。
【0015】
本発明の一態様に係る液体移送用コネクタによれば、前記プラグ本体の先端と前記ソケット本体の先端との間に洗浄流体を供給する洗浄流体供給手段を備え、前記制御部は、前記中間位置にて、前記洗浄流体供給手段によって洗浄を行う。
【0016】
初期位置と接続位置との間である中間位置にて洗浄を行うこととした。これにより、流体流路が連通する接続位置にて誤って洗浄が行われ、移送する流体を洗浄液体で汚染してしまうことを回避することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る液体移送用コネクタの制御方法は、第1流体流路が形成されたプラグ本体と前記第1流体流路を遮断する第1弁体とを有するプラグと、前記プラグが接続されたときに前記第1流体流路に連通する第2流体流路が形成されたソケット本体と前記第2流体流路を遮断する第2弁体とを有するソケットと、前記プラグ本体が前記ソケット本体に対して接続及び離脱する際に該プラグ本体と該ソケット本体との間の距離を調整する駆動機構と、を備えた流体移送用コネクタの制御方法であって、前記駆動機構によって、前記プラグ本体と前記ソケット本体とが離間して対向する初期位置と、前記プラグ本体の前記第1流体流路と前記ソケット本体の前記第2流体流路とを連通させる接続位置と、前記初期位置と前記接続位置との間の中間位置と、に停止であり、前記接続位置において、前記第1弁体と前記第2弁体とが突き当たり、互いを押圧することにより前記第1流体流路と前記第2流体流路とが連通した状態となり、前記プラグ本体と前記ソケット本体との接続動作時に、前記初期位置、前記中間位置及び前記接続位置の順にシーケンス制御を行う第1制御工程を備える
【発明の効果】
【0018】
初期位置と接続位置との間に中間位置を設け、プラグ本体とソケット本体が中間位置を経ることなく接続されることを可及的に回避することで、プラグをソケットに対して接続する際に作業者に負担を課すことなく容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る流体移送用コネクタを示した斜視図である。
図2】ソケットを示した縦断面図である。
図3A】シリンダの初期位置を示した縦断面図である。
図3B】シリンダの第1前進位置を示した縦断面図である。
図3C】シリンダの第2前進位置を示した縦断面図である。
図4】蓋部を閉じた状態のソケットを示した斜視図である。
図5A】スリーブがロックボールの移動を規制した状態を示した縦断面図である。
図5B】スリーブがロックボールの移動を解除した状態を示した縦断面図である。
図6】プラグのキープレートを回動させた状態を示した斜視図である。
図7】プラグを示した縦断面図である。
図8図6のプラグに設けたキーの位置を示した正面図である。
図9】プラグの先端をソケットの差込口に挿入した状態を示した斜視図である。
図10】プラグのキーとソケットのキー溝とを合致させた状態を示した斜視図である。
図11】プラグを第1前進位置まで変位させ、前洗浄工程を行っている状態を示した斜視図である。
図12図11の第1前進位置の状態を示した縦断面図である。
図13】プラグを第2前進位置まで変位させ、流体移送工程を行っている状態を示した斜視図である。
図14図13の第2前進位置の状態を示した縦断面図である。
図15】プラグを第1前進位置まで変位させ、後洗浄工程を行っている状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態にかかるプラグ3とソケット5が示されている。プラグ3及びソケット5は、流体移送用コネクタ1として用いられる。用いられる流体としては、例えば半導体製造装置に用いられる薬液やガスである。
【0021】
ソケット5は、建屋の壁部に固定されており、後端に配管6の一端が接続されている。配管6の他端は、建屋内に設置されたバッファタンク(図示せず)に接続されている。ソケット5は、前端(図1において左端)にプラグ3を受け入れる差込口8を備えている。差込口8は、円筒状の差込筒体(プラグ本体保持部)10の内部に形成されている。差込筒体10の先端には、一部が切り欠かれて形成された複数のキー溝11が設けられている。キー溝11は、差込筒体10の円周方向に所定の間隔をおいて複数設けられている。鉛直上方に位置するキー溝11は、メインキー溝11aとされており、他のキー溝11よりも円周方向の幅が大きい溝となっている。
【0022】
差込筒体10は、円周方向に離間して配置された複数のロックボール9(図5A等参照)を保持している。各ロックボール9は、プラグ3とソケット5とを固定する際に用いられる。
【0023】
差込筒体10の後方(図1において右方)には、ソケット本体13が設けられている。ソケット本体13は、水平方向に中心軸線を有する円筒形状とされており、内部に流路の開閉を行う弁体13a(図5A等参照)を備えている。ソケット本体13の前後には、前側固定板15と後側固定板16が固定されている。両固定板15,16は、鉛直方向に立設された矩形の板状体とされている。両固定板15,16の下方には、設置面に対して固定するための脚部17が設けられている。両固定板15,16の四隅を貫通するように4つの支持軸体18が水平方向に延在して設けられている。
【0024】
各支持軸体18の前端及び後端は、前側支持板20と後側支持板21に固定されている。両支持板20,21は、鉛直方向に立設された矩形の板状体とされている。前側支持板20は、前述した差込筒体10を支持している。
【0025】
各支持軸体18には、シリンダ(駆動機構)23が取り付けられている。各シリンダ23は、前側固定板15と後側固定板16との間に固定されている。各シリンダ23には、エア供給配管24が接続されており、エア供給配管24から供給された空気圧によって支持軸体18がシリンダ23に対して軸線方向に往復動するようになっている。これにより、ソケット本体13に対して、前側支持板20に支持された差込筒体10が接近離間するようになっている。
【0026】
上方の一方の第1支持軸体18aには、蓋部27が取り付けられている。具体的には、図2に示すように、第1支持軸体18aの中心軸線上に沿って貫通するように内部に蓋部駆動用軸体18a1が設けられている。図2は、ソケット本体13を取り外した状態のソケット5を示しており、第1支持軸体18aを鉛直面で切断した縦断面図とされている。
【0027】
シリンダ23は、前側固定板15から後側固定板16に向かって、第1筒部23a、第2筒部23b、第3筒部23c及び第4筒部23dを備えている。各筒部23a,23b,23c,23dは、互いに共通の軸線を有して直列にかつOリングを介して液密に接続されている。
【0028】
第2筒部23bと第3筒部23cの内周側には密閉空間Sが形成されている。この密閉空間S内に対して、エア供給配管24を介して空気が供給及び排出されるようになっている。密閉空間S内には、ピストン(駆動機構)25が配置されている。ピストン25は、第3筒部23cの内周および蓋部駆動用軸体18a1の外周に対して気密に嵌合されており、密閉空間S内を軸線方向に往復動する。
【0029】
ピストン25の前側(図2において左側)には、密閉空間Sを仕切る仕切リング(駆動機構)26が設けられている。仕切リング26は、第1支持軸体18aに対して固定されており、第2筒部23bの内周に対して気密に嵌合されている。これにより、仕切リング26は、密閉空間Sを、仕切リング26よりも前側(左側)の第1空間S1と、仕切リング26よりも後側(右側)の第2空間S2とに仕切るようになっている。なお、図2の状態においては、仕切リング26が最も前側(左側)に位置しており、第1空間S1の体積が略ゼロとなっている。ピストン25の後側(右側)には、第3空間S3が形成されている。このように、密閉空間Sは、仕切リング26及びピストン25によって、第1空間S1、第2空間S2及び第3空間S3に仕切られている。
【0030】
ピストン25は、前側の小径部25aと後側の大径部25bとを備えている。これにより、ピストン25の前側端面の面積は、後側端面の断面積よりも小さくされている。したがって、第2空間S2と第3空間S3に同等の圧力の空気が供給されると、後側端面に加わる力が前側端面に加わる力よりも大きくなるので、ピストン25は密閉空間S内を前側(左側)に変位することになる。
【0031】
エア供給配管24は、前側から後側に向かって、第1配管24a、第2配管24b、第3配管24c及び第4配管24dを備えている。第1配管24aは、第1空間S1に対してエアを供給しかつ排気する。第2配管24bは、第2空間S2のうち、ピストン25の小径部25aが往復動する小径とされた空間に対してエアを供給しかつ排気する。第3配管24cは、第2空間S2のうち、ピストン25の大径部25bが往復動する大径とされた空間に対してエアを供給しかつ排気する。第4配管24dは、第3空間S3に対してエアを供給しかつ排気する。各配管24a,24b,24c,24dに給排気するタイミングは、制御部によって制御される。
【0032】
上述したシリンダ23、ピストン25、仕切リング26等によって、プラグ本体3Aとソケット本体13との間の距離を調整する駆動機構が構成される。
【0033】
他の支持軸体である第2支持軸体18b、第3支持軸体18c及び第4支持軸体18dにも、第1支持軸体18aと同様のシリンダ23やピストン25、仕切リング26等が設けられている。また、4つの各シリンダ23に接続されるエア供給配管24の長さは、それぞれが同等の長さ及び径とされている。これにより、4つの各シリンダ23に設けたピストン25を正確に同期して駆動できるようになっている。
【0034】
図3A乃至図3Cには、エア供給配管24からの給排気によってシリンダ23を動作させた各状態が示されている。図3Aは、シリンダ23が最も後側支持板21に接近した状態すなわちプラグ本体3Aに対してソケット本体13が最も離れた状態である初期位置P0を示し、図3Bは、初期位置P0よりも前側支持板20に前進した中間位置となる第1前進位置P1を示し、図3Cは、最も前側支持板20に接近した状態すなわちプラグ本体3Aとソケット本体13とが接続される状態である第2前進位置P2を示す。
【0035】
図3A乃至図3Cに示されているように、シリンダ23には、前側(図において左側)から後側(図において右側)に向かって、第1位置センサ28a、第2位置センサ28b及び第3位置センサ28cが順に固定されている。各位置センサ28a,28b,28cは、投光素子(例えばLED)と受光素子とが対とされている。各位置センサ28a,28b,28cの出力は、制御部へと送信される。
【0036】
各位置センサ28a,28b,28cは、コの字形状の断面を有しており、このコの字形状に挟まれた間隙をセンサ用プレート31が通過するようになっている。センサ用プレート31は、後側支持板21に固定されたロッド36に対して固定されている。コの字形状に挟まれた間隙をセンサ用プレート31が通過する際に、位置センサ28a,28b,28cがセンサ用プレート31に形成された切欠31aを光学的に検出することによって、センサ用プレート31が固定された後側支持板21に対するシリンダ23の相対位置が検出されるようになっている。すなわち、位置センサ28a,28b,28cによって、プラグ3に対するソケット本体13の相対位置が検出されるようになっている。
【0037】
図3Aに示した初期位置P0では、第3空間S3に対してエア供給配管24の第4配管24d(図2参照)から空気が供給されて加圧されており、ピストン25が同図において左方に付勢されている。また、第2空間S2にも第2配管24b(図2参照)から空気が供給されて加圧されており、仕切リング26が同図において左方に付勢されている。ピストン25の大径部25bと小径部25aとの面積比によって、第2空間S2と第3空間S3に同じ圧力の空気が供給されていても、ピストン25は左方に付勢されたままである。
このとき、センサ用プレート31の切欠31aが、第1位置センサ28aに位置している。これにより、制御部は、初期位置P0であると判断する。
【0038】
図3Bに示した第1前進位置P1では、第2空間S2から第2配管24b(図2参照)を介して空気を排気するとともに第1空間S1に第1配管24a(図2参照)から空気が供給されて加圧されており、仕切リング26が右方に付勢される。また、第3空間S3は、第4配管24d(図2参照)から空気が供給されて加圧されている。これにより、仕切リング26とともに支持軸体18がシリンダ23に対して右方へ変位する。
このとき、センサ用プレート31の切欠31aが、第2位置センサ28bに位置している。これにより、制御部は、第1前進位置P1であると判断する。
【0039】
図3Cに示した第2前進位置P2では、第3空間S3から第4配管24d(図2参照)を介して空気を排気するとともに第1空間S1に第1配管24a(図2参照)を介して空気が供給されて加圧され、また第3配管24c(図2参照)から空気が供給されることによって、ピストン25及び仕切リング26が右方に付勢される。これにより、仕切リング26とともに支持軸体18がシリンダ23に対して更に右方へ変位する。
このとき、センサ用プレート31の切欠31aが、第3位置センサ28cに位置している。これにより、制御部は、第2前進位置P2であると判断する。
【0040】
図2に示したように、蓋部駆動用軸体18a1の先端に蓋部27が固定されている。蓋部駆動用軸体18a1は、第1支持軸体18aの後端に設けられた第1アクチュエータ29aによって、前後方向(軸線方向)における往復動作と、軸線回りの回動動作が行われるようになっている。第1アクチュエータ29aの動作は、図示しない制御部によって行われる。
【0041】
蓋部27は、流体移送用コネクタ1が未使用状態で、プラグ3がソケット5から取り外されているときに差込口8を塞ぐために用いられる。図4には、蓋部27を閉とした状態が示されている。蓋部27が差込口8を塞ぐことによって流体の汚染が防止されるだけでなく、非使用時に蓋部27で差込口8を塞ぐことで、蓋部27からソケット本体13内の弁体までの流路の汚染を防止することができる。
【0042】
図1に示すように、上方の他方の第2支持軸体18bと、第2支持軸体18bに対して差込筒体10を挟んで対角線上に位置する第3支持軸体18cとには、スリーブ駆動板19が取り付けられている。具体的には、第2支持軸体18bの中心軸線上に沿って貫通するように設けられたスリーブ駆動板用軸体18b1の先端と、第3支持軸体18cの中心軸線上に沿って貫通するように設けられたスリーブ駆動板用軸体18c1の先端とに、スリーブ駆動板19が固定されている。各スリーブ駆動板用軸体18b1,18c1は、各支持軸体18b,18cの後端に設けられた第2アクチュエータ29b及び第3アクチュエータ29cによって、前後方向(軸線方向)に往復動されるようになっている。アクチュエータ29b,29cの動作は、図示しない制御部によって行われる。
【0043】
スリーブ駆動板19は、中央に開口が形成された略菱形形状の板状体とされている。スリーブ駆動板19の開口には、円筒形状とされたスリーブ22の先端22aが挿入されている。スリーブ22は、図7の下半部に部分的に示すように、差込筒体10の外周を覆うように配置されており、差込筒体10に対して軸線方向に往復動する。スリーブ駆動板19は、ソケット5に対して固定されたプラグ3を外すときに、スリーブ22を変位させるように動作させられる。具体的には、図5Aに示すように、スリーブ22でロックボール9の半径方向外側の移動を規制した状態から、図5Bに示すように、スリーブ駆動板19を前側支持板20側(同図において右側)に引き寄せてスリーブ22を変位させることによってロックボール9の半径方向外側への移動を許容し、ロック解除を行う。ソケット5に対してプラグ3の固定するときは、プラグ3を差込筒体10に挿入する動作に応じて、ロックボール9を転動させて第1固定リング39の凹所39aに対して係合させることによって行われる。このとき、スリーブ駆動板19は動作しない。このように、ロックボール9やスリーブ22等によって、プラグ3を差込筒体10すなわちソケット5に対してロックするロック機構が構成される。
【0044】
図1に示すように、第2支持軸体18bの下方かつ第3支持軸体18cの側方には、第4支持軸体18dが設けられている。第4支持軸体18dの内部からスリーブ22の内側にかけて、センサ線18d1が設けられている。センサ線18d1の先端には投光素子(例えばLED)と受光素子とが対とされたセンサ(図示せず)が設けられている。このセンサによって差込筒体10内にプラグ3が適正位置まで挿入されたか否かが検出される。センサの出力は、センサ線18d1を介して図示しない制御部へと伝送される。
【0045】
制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0046】
図1に示すように、プラグ3は、略円筒形状とされており、内部に流体が流通する流路を備えている。プラグ3の基端部(図1において左方)には、ホース4の一端が固定されている。ホース4の他端は、タンクローリ(図示せず)に固定されている。ホース4の内径は、25mm以上、好ましくは50mm以上とされている。
【0047】
プラグ3の後方位置には、キープレート(リング体)30が取り付けられている。キープレート30は、無端状のリング形状とされている。キープレート30の円周方向における複数ヶ所には、先端側(図1において右側)に突出するキー32が設けられている。複数あるキー32の内の1つは、他のキー32よりも円周方向における幅が大きいメインキー32aとされている。キープレート30は、プラグ本体3Aに対して軸線回りに相対的に回転可能となっている。これにより、図6に示すように、作業者は手動によってキープレート30を回動させてメインキー32aを所望の位置である鉛直上方位置に移動させることができる。
【0048】
図7には、プラグ3の縦断面図が示されている。なお、図7の下半部には、ソケット5側のロックボール9、差込筒体10、スリーブ22及びスリーブ駆動板19が示されている。
【0049】
プラグ本体3Aは、先端側(図7において右側)から、先端筒部33、中間筒部34及び基端筒部35を備えている。これら筒部33,34,35は、共通のプラグ中心軸線L1を有して接続され、内部に流体が流れる流路が形成される。
【0050】
先端筒部33内には、弁体33aが収納されている。弁体33aは、先端筒部33の先端側に向かってバネ33bによって付勢されている。これにより、弁体33aは、先端筒部33の先端開口を閉じている。弁体33aの先端側の中央には、プラグ中心軸線L1上に沿って先端側に突出する突出部33cが設けられている。突出部33cは、プラグ3とソケット5とが接続された際に、対向するソケット5側の弁体の突出部(図示せず)に突き当たるようになっている。ソケット5側の弁体の突出部とプラグ3の突出部33cとが突き当たり、バネ33bによる付勢力に打ち勝つことで、弁体33aが基端部側に退避し、プラグ3内の流路が開とされる。
【0051】
先端筒部33の基端側(左側)と中間筒部34の先端側とが付き合わされた状態でインローにて接続されている。先端筒部33と中間筒部34との間には、Oリング37が設けられており、液密又は気密に接続されている。
【0052】
先端筒部33の基端側の外周を覆うように第1固定リング39が設けられている。第1固定リング39の外周には、凹所39aが円周方向にわたって設けられている。プラグ3をソケット5側に対して接続した際に、差込筒体10に保持されたロックボール9がスリーブ22によって半径方向内側へ移動して凹所39aに入り込むようになっている。ロックボール9が凹所39a内に嵌合することで、プラグ3がソケット5に対して固定されるようになっている。第1固定リング39の内周側には、段付きとされた肩部39bが形成されており、この肩部39bに対して先端筒部33の基端部に設けた大径部が係合するようになっている。第1固定リング39の基端側の内周には雌ネジ部39cが形成されている。
【0053】
中間筒部34の外周の略全体を覆うように第2固定リング41が設けられている。第2固定リング41の内周側には、段付きとされた肩部41bが形成されており、この肩部41bに対して中間筒部34の先端側に設けた大径部が係合するようになっている。第2固定リング41の先端側の外周には雄ネジ部41cが形成されている。第2固定リング41の雄ネジ部41cと第1固定リング39の雌ネジ部39cとを螺合することによって、先端筒部33と中間筒部34とが互いに固定される。
【0054】
第2固定リング41の雄ネジ部41cには基端部側から止めナット43が螺結されている。止めナット43は、第1固定リング39の基端側の端部に突き当たった位置にて固定されている。止めナット43は、キープレート30の内周側に収納されている。止めナット43の基端部は、キープレート30の基端部よりも先端側に位置している。これにより、止めナット43は、キープレート30の内部に収納されており、キープレート30の基端部側から突出していない。
【0055】
止めナット43の先端側の外周は、基端側よりも小径とされている。これにより、止めナット43と第1固定リング39の基端側の端部との間に溝が形成され、この溝内にキープレート30の先端側の内周側に突出した小径部30aが挿入されている。小径部30aのプラグ中心軸線L1方向の寸法は、挿入される溝よりも小さくされている。このようにキープレート30の小径部30aを溝内に遊嵌することで、キープレート30が回転方向に自由に移動することができる一方で、プラグ中心軸線L1方向の位置が規制されている。
【0056】
各キー32は、それぞれ、キープレート30に対してボルト45によって固定されている。ボルト45は、基端側から先端側に向かってキープレート30及びキー32に差し込まれている。なお、キー32の固定方法は、ボルト45による固定に限定されるものではなく、例えば、キープレート30とキー32とを一体的に形成しても良い。
【0057】
中間筒部34の基端側と基端筒部35の先端側とが付き合わされた状態でインローにて接続されている。中間筒部34と基端筒部35との間には、Oリング47が設けられており、液密又は気密に接続されている。
【0058】
第2固定リング41の基端側のフランジ41aが基端側フランジ49に対してボルト50によって固定されている。基端側フランジ49は、基端筒部35の基端部の外周に係合された状態で固定されている。ボルト50は、基端側フランジ49に対して螺結されている。これにより、基端筒部35は、中間筒部34及び先端筒部33に対して固定される。
【0059】
基端側フランジ49の基端側の面には、複数の固定ボルト52が固定されている。各固定ボルト52は、ホース4を固定するためのホース用フランジ53を貫通し、先端にナット51が螺結される。これにより、ホース用フランジ53と基端側フランジ49とが固定されることで、プラグ3に対してホース4が固定される。
【0060】
図8には、複数のキー32の円周方向における角度位置が示されている。同図では、3つのキー32が示されている。鉛直上方すなわち12時に位置にはメインキー32aがキープレート30に対して固定されている。なお、図5では、回転自在とされたキープレート30の円周方向の位置を、メインキー32aが12時の位置となるように位置させたときの状態である。
【0061】
第1サブキー32bは、9時と12時との中間位置にキープレート30に対して固定されている。第2サブキー32cは、6時の位置にキープレート30に対して固定されている。メインキー32aの円周方向の幅は、第1サブキー32bや第2サブキー32cよりも大きくされており、約2倍の寸法となっている。第1サブキー32bと第2サブキー32cの円周方向の幅は、同等とされている。なお、第1サブキー32bと第2サブキー32cの幅方向の寸法を異ならせても良い。
【0062】
次に、上述したプラグ3をソケット5に接続・解除する動作について説明する。
<接続前準備工程>
先ず、図1に示したように、ソケット5に対向した位置にプラグ3を位置される。そして、図6に示したように、キープレート30を作業者の手動によって回動させて、作業者が上方から視認しやすい位置、すなわちメインキー32aが鉛直上方に位置するように位置決めする。
【0063】
<挿入工程>
キープレート30を位置決めした後に、図9に示すように、プラグ3の先端をソケット5の差込口8に挿入する。そのままプラグ3をソケット5に対して軸線方向に挿入していくと、図10に示すように、ソケット5の差込筒体10に設けたキー溝11にキー32が合致して嵌合される。キー32とキー溝11が合致して嵌合すると、ソケット5に対応したプラグ3であることが確認され誤接続が防止される。もし、キー32に対してキー溝11が合致していない場合には、プラグ3をソケット5に対して接続位置まで押し込むことができないので、作業者はプラグ3とソケット5とが対応していないことが分かる。
【0064】
<ロック工程>
キー32とキー溝11が合致して差込筒体10に対してプラグ3が適正に挿入されると、プラグ3を差込筒体10に対して軸線方向に押し込む動作に応じて、図7の下半部に示すように、差込筒体10に保持された各ロックボール9がプラグ3の第1固定リング39に設けた凹所39a内に挿入され、プラグ3とソケット5との固定が行われる。このとき、図5Aに示すように、ロックボール9の半径方向外側への移動はスリーブ22によって規制されている。
【0065】
<前洗浄工程>
図11に示すように、図10の状態からプラグ3をソケット本体13側に引き寄せて第1前進位置(中間位置)P1まで変位させる。具体的には、図3Bに示したように、制御部の指示により、エア供給配管24から各シリンダ23に供給した空気を用いて各支持軸体18を軸線方向に動作させることによって自動的に行う。この第1前進位置P1の縦断面図が図12に示されている。
そして、図11に矢印A1及びA2で示すように、プラグ3の先端とソケット5との間の空間を純水によって洗浄し、その後、窒素等の不活性ガスで乾燥を行う。この前洗浄工程では、プラグ3の弁体33a(図7参照)及びソケット5の弁体13aは閉位置となっており、それぞれの流路を遮断している。
【0066】
<流体移送工程>
次に、図13に示すように、図11の第1前進位置P1から更にプラグ3をソケット本体13側に引き寄せて第2前進位置(接続位置)P2まで変位させる。具体的には、図3Cに示したように、制御部の指示により、エア供給配管24から各シリンダ23に供給した空気を用いて各支持軸体18を軸線方向に動作させることによって自動的に行う。この第2前進位置P2の縦断面図が図14に示されている。
このように、プラグ3は、図10に示した初期位置P0に対して、図11の第1前進位置P1および図13の第2前進位置P2の2段階に分けて前進させられるようになっている。
【0067】
第2前進位置P2までプラグ3が位置すると、プラグ3の弁体33aの突出部33c(図7参照)とソケット5の弁体13aの突出部とが突き当たり、互いを押圧して開位置まで変位させることによってそれぞれの流路を解放する。これにより、矢印A3及びA4で示すように、流体移送用コネクタ1を介してタンクローリから建屋内のバッファタンクへと流体を移送する。
【0068】
<後洗浄工程>
流体の移送が終了すると、図15に示すように、図11と同様の第1前進位置P1まで後退させる。そして、図15に矢印A1及びA2で示すように、プラグ3の先端とソケット5との間の空間を純水によって洗浄し、その後、窒素等の不活性ガスで乾燥を行う。この後洗浄工程では、プラグ3の弁体33a(図7参照)及びソケット5の弁体13aは閉位置となっており、それぞれの流路を遮断している。
【0069】
<取り外し工程>
図15に示した後洗浄工程が終了すると、図10に示した初期位置P0までプラグ3を後退させ、制御部の指示により、スリーブ駆動板19を動作させてスリーブ22をプラグ3の先端方向(図10において右方向)に移動させてロックボール9によるロックを解除した後に(図5B参照)、プラグ3をソケット5から取り外す。
【0070】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
流体移送用コネクタ1は、プラグ本体3Aをソケット本体13に対して接続することによって流体流路を連通させて流体を移送する。プラグ本体3Aとソケット本体13との相対位置は、空気圧によって動作するピストン25及び仕切リング26をシリンダ23内に備えた駆動機構によって調整される。制御部は、シリンダ23に対して吸排気する空気を制御することによって、初期位置P0と、プラグ本体3Aとソケット本体13の流体流路を連通する第2前進位置P2と、初期位置P0と第2前進位置P2との間の第1前進位置P1とに位置させることができる。このように、初期位置P0と接続位置となる第2前進位置P2との間の第1前進位置P1にてプラグ本体3Aとソケット本体13を停止させることとしたので、プラグ3をソケット5に対して取り付ける際に、第1前進位置P1を経ずにプラグ本体3Aとソケット本体13が接続されることを可及的に回避することができる。これにより、プラグ本体3Aをソケット本体13に対して接続する際に、作業者にプラグ本体3Aとソケット本体13との位置関係を確認させる負担を課すことなく容易に接続することができる。
【0071】
プラグ本体3Aとソケット本体13との接続動作時や接続解除動作時に、初期位置P0と、第1前進位置P1と、第2前進位置P2との間でシーケンス制御を行うこととした。これにより、コネクタ接続の自動化が行われ、作業者の負担を軽減することができる。
【0072】
プラグ本体3Aを差込筒体10に対してロックするロック機構として、ロックボール9及びスリーブ22を備えている。このロック機構は、プラグ本体3Aを差込筒体10に挿入する動作に応じてロック動作を行う。これにより、コネクタ接続の際の作業者の負担を軽減することができる。
【0073】
蓋部27によって差込口8を閉じることができるので、プラグ3が差し込まれていない場合には差込口8を蓋部27によって閉じることで汚染を防止することができる。
【0074】
初期位置P0と第2前進位置P2との間である第1前進位置P1にて洗浄を行うこととした。これにより、流体流路が連通する接続位置である第2前進位置P2にて誤って洗浄が行われ、移送する流体を洗浄液体で汚染してしまうことを回避することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、移送する流体として液体を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガスにも適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 流体移送用コネクタ
3 プラグ
3A プラグ本体
4 ホース
5 ソケット
6 配管
8 差込口
9 ロックボール
10 差込筒体(プラグ本体保持部)
11 キー溝
11a メインキー溝
13 ソケット本体
13a 弁体
15 前側固定板
16 後側固定板
17 脚部
18 支持軸体
18a 第1支持軸体
18a1 蓋部駆動用軸体
18b 第2支持軸体
18b1 スリーブ駆動板用軸体
18c 第3支持軸体
18c1 スリーブ駆動板用軸体
18d 第4支持軸体
18d1 センサ線
19 スリーブ駆動板
20 前側支持板
21 後側支持板
22 スリーブ
22a 先端
23 シリンダ(駆動機構)
23a 第1筒部
23b 第2筒部
23c 第3筒部
23d 第4筒部
24 エア供給配管
24a 第1配管
24b 第2配管
24c 第3配管
24d 第4配管
25 ピストン(駆動機構)
25a 小径部
25b 大径部
26 仕切リング(駆動機構)
27 蓋部
29a 第1アクチュエータ
29b 第2アクチュエータ
29c 第3アクチュエータ
30 キープレート(リング体)
30a 小径部
31 センサ用プレート
31a 切欠
32 キー
32a メインキー
33 先端筒部
33a 弁体
33b バネ
33c 突出部
34 中間筒部
35 基端筒部
37 Oリング
39 第1固定リング
39a 凹所
39b 肩部
39c 雌ネジ部
41 第2固定リング
41a フランジ
41b 肩部
41c 雄ネジ部
43 止めナット
45 ボルト
47 Oリング
49 基端側フランジ
50 ボルト
51 ナット
52 固定ボルト
53 ホース用フランジ
L1 プラグ中心軸線
P0 初期位置
P1 第1前進位置(中間位置)
P2 第2前進位置(接続位置)
S 密閉空間
S1 第1空間
S2 第2空間
S3 第3空間
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15