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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】エアゾール式毛髪一時着色剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20221003BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20221003BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/25
A61K8/55
A61K8/81
A61K8/02
A61Q5/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018212639
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020079214
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】土井 南美
【審査官】寺▲崎▼ 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-231962(JP,A)
【文献】特開平03-261713(JP,A)
【文献】特開2016-138100(JP,A)
【文献】特開平11-171729(JP,A)
【文献】特開2003-081762(JP,A)
【文献】キラピカグリッター ヘアスプレー シルバー&パール 50g,Amazon.co.jp,2016年05月02日,https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%・・・
【文献】パルティ ターンカラースプレー ナチュラルブラック 80g,Amazon.co.jp,2015年03月02日,https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B5%E3%83%AD%E3%83%・・・
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料、(B)ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ジステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグルコシドまたはポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドから選ばれる1種以上、(C)アニオン性界面活性剤および(D)両性高分子樹脂化合物を含有するエアゾール原液と、(E)噴射剤とを含有し、前記(B)成分のエアゾール原液中での含有量が0.05~1.5質量%、前記(D)成分のエアゾール原液中での含有量が0.5~10質量%であることを特徴とするエアゾール式毛髪一時着色剤組成物。
【請求項2】
前記(A)顔料がパール顔料であることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール式毛髪一時着色剤組成物。
【請求項3】
前記(C)アニオン性界面活性剤のエアゾール原液中での含有量が0.01~2質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアゾール式毛髪一時着色剤組成物。
【請求項4】
エアゾール原液と(E)噴射剤の質量比が、エアゾール原液/噴射剤=50/50~80/20であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載のエアゾール式毛髪一時着色剤組成物。
【請求項5】
(A)顔料、(B)ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ジステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグルコシドまたはポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドから選ばれる1種以上、(C)アニオン性界面活性剤および(D)両性高分子樹脂化合物を含有するエアゾール原液と、(E)噴射剤とを含有し、前記(B)成分のエアゾール原液中での含有量が0.05~1.5質量%、前記(D)成分のエアゾール原液中での含有量が0.5~10質量%であることを特徴とし、前記(A)顔料がパール顔料である、毛髪に真珠光沢または金属光沢を付与するエアゾール式毛髪一時着色剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール式毛髪一時着色剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴射剤を利用したエアゾール式毛髪一時着色剤組成物は、顔料などの着色剤を毛髪にかんたんに付着したり、「ラメ」といった金属のような光沢や「パール」といった真珠のような微妙なニュアンスと深みのある光沢を毛髪に付与したりすることができ、洗髪により容易に洗い流せるという手軽さから、広く利用されている。
【0003】
従来、エアゾール式毛髪一時着色剤組成物は、毛髪への塗布をかんたんに行うことができるだけでなく、乾燥後の耐摩擦性や耐水性を良くするために、着色剤のほか、皮膜形成剤や高分子増粘剤を用いたものがある(例えば特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-81762号公報
【文献】特開2003-26553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、毛髪上にエアゾール式毛髪一時着色剤組成物を塗布する際に、飛び散りによって衣服や周囲を汚してしまう問題があった。特に、「ラメ」や「パール」を付与するためのパール顔料は軽く、周囲に舞い散りやすい特徴があり、毛髪に塗布する際の衣服や周囲の汚れ、毛髪に着色した後の剥がれ落ちによる衣服や周囲の汚れが問題であった。また、毛髪上にエアゾール式毛髪一時着色剤組成物を塗布し、乾燥後の耐摩擦性や耐水性の向上を目的として、皮膜形成剤や高分子増粘剤を用いることから、毛髪にごわつきが生じやすく、指通りや手触りが悪くなることがあった。さらに、従来の一般的な技術として、被膜形成剤にアニオン性高分子樹脂化合物を用いることが知られているが、低温条件下において沈殿物を生じることがあり、いまだ改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記問題を解決するため鋭意検討した結果、(A)顔料、(B)アルキルグルコース誘導体、(C)アニオン性界面活性剤および(D)両性高分子樹脂化合物を含有するエアゾール原液と、(E)噴射剤とを含有することを特徴とするエアゾール式毛髪一時着色剤組成物を提供できることを見出した。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、顔料を毛髪上に塗布する際に衣服や周囲を汚すことがなく、塗布後の毛髪上の顔料が均一で、毛髪に塗布した後の剥がれ落ちによる衣服や周囲の汚れがなく、乾燥後の毛髪にごわつきがなくやわらかさを感じることができる良好な指通りや手触りを得ることができ、さらに低温条件下での安定性に優れたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、(A)顔料、(B)アルキルグルコース誘導体、(C)アニオン性界面活性剤および(D)両性高分子樹脂化合物を含有するエアゾール原液と、(E)噴射剤とを含有することを特徴とするエアゾール式毛髪一時着色剤組成物である。
【0009】
本発明によるエアゾール原液には(A)顔料を含有する。これにより、毛髪を着色する効果がある。
【0010】
前記(A)顔料はエアゾール原液に含有されていればよく、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1.5質量%がよい。前記(A)顔料の含有量が0.01質量%未満の場合、毛髪への着色がしっかり感じられない恐れがある。また、2質量%を超える場合、吐出の際に詰まり等の不具合が生じ、毛髪上に均一に塗布ができない恐れがある。
【0011】
本発明に用いる前記(A)顔料としては特に限定されないが、パール顔料、無機顔料、有機顔料、天然顔料等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。特に、金属のような光沢や、真珠のような微妙なニュアンスと深みのある光沢を毛髪に付与することができるパール顔料は軽く、周囲に舞い散りやすい特徴があり、毛髪に塗布する際の衣服や周囲の汚れ、毛髪に着色した後の剥がれ落ちによる衣服や周囲の汚れを生じやすいため、パール顔料を用いる金属のような光沢や、真珠のような微妙なニュアンスと深みのある光沢を毛髪に付与するエアゾール式毛髪一時着色剤組成物にとって本発明は特に有効である。
【0012】
前記パール顔料の具体例としては、真珠光沢や金属光沢を付与するものとして雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母、酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化鉄被覆ガラスフレーク、オキシ塩化ビスマス、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、エポキシ樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂被覆アルミニウム末等が挙げられる。これらパール顔料は1種または2種以上を含有することができる。
【0013】
前記無機顔料の具体例としては、群青、酸化クロム、ベンガラ、黄酸化鉄、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、黒酸化鉄、水酸化クロム、水酸化アルミニウム、紺青、硫酸バリウム、含水珪酸塩、無水珪酸、珪酸アルミニウム、雲母、炭酸マグネシウム、マンガンバイオレット、カーボンブラック、アルミニウム、銅、金等が挙げられる。これら無機顔料は1種または2種以上を含有することができる。
【0014】
前記有機顔料の具体例としては、赤色202,203,204,205,206,207,208,219,220,221,228,404,405の各号、だいだい色203,204,401の各号、黄色205,401の各号、青色404号,赤色104号アルミニウムレーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色203号アルミニウムレーキ、青色1号アルミニウムレーキ等が挙げられる。これら有機顔料は1種または2種以上を含有することができる。
【0015】
前記天然顔料の具体例としては、クレー等の鉱物顔料、マダーレーキやコチニールレーキ等の天然染料レーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられる。これら天然顔料は1種または2種以上を含有することができる。
【0016】
本発明によるエアゾール原液には(B)アルキルグルコース誘導体を含有する。(B)アルキルグルコース誘導体は(D)両性高分子樹脂化合物と併用することにより、乾燥後の毛髪表面上に非常に感触が良好で剥がれ落ちにくい被膜を形成する。これにより、毛髪に着色した後の剥がれ落ちによって衣服や周囲に汚れが生じることを防ぐ効果があり、さらに、毛髪上にエアゾール式毛髪一時着色剤組成物を塗布し、乾燥した後の毛髪にごわつきがなくやわらかさを感じることができる良好な指通りや手触りを得ることができる。従来の一般的な技術として、毛髪にごわつきがなくやわらかさを感じることができる良好な指通りや手触りを得るためにミネラルオイルやシリコンオイルなどの油性成分を用いることが知られているが、(B)アルキルグルコース誘導体を(D)両性高分子樹脂化合物と併用し用いることにより、従来の一般的な技術では成しえないほどの良好な、毛髪にごわつきがなくやわらかさを感じることができる良好な指通りや手触りが得られ、また、毛髪に着色した後の剥がれ落ちによって衣服や周囲に汚れが生じることを防ぐ効果を得ることができる。
【0017】
前記(B)アルキルグルコース誘導体はエアゾール原液に含有されていればよく、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1.5質量%がよい。前記(B)アルキルグルコース誘導体の含有量が0.01質量%未満の場合、毛髪の指通りや手触りのよさ、やわらかさを十分に感じられない恐れがある。また、2質量%を超える場合、べたつきを感じる恐れがある。
【0018】
本発明に用いる前記(B)アルキルグルコース誘導体としては特に限定されないが、よりよい毛髪の指通りや手触りのよさ、やわらかさの効果を出す観点から、ポリアルキレンオキシドアルキルグルコース誘導体が好ましく、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ステアリン酸ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ジステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ジステアリン酸ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
【0019】
本発明によるエアゾール原液には(C)アニオン性界面活性剤を含有する。これにより、分散性がよくなり安定的な噴射ができることから、周囲や衣服を汚すことなく毛髪上に顔料を塗布することができる。
【0020】
前記(C)アニオン性界面活性剤はエアゾール原液に含有されていればよく、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1.5質量%がよい。前記(C)アニオン性界面活性剤の含有量が0.01質量%未満の場合、分散性がよくならず、着色剤がきれいに噴射できない恐れがある。また、2質量%を超える場合、組成物全体の粘度が上昇する恐れがあることから、吐出の際に不具合が生じる恐れがある。
【0021】
本発明に用いる前記(C)アニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、安定的な噴射を行う観点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸またはその塩が好ましい。
【0022】
本発明によるエアゾール原液には(D)両性高分子樹脂化合物を含有する。前述のとおり、(D)両性高分子樹脂化合物は(B)アルキルグルコース誘導体と併用することにより、乾燥後の毛髪表面上に非常に感触が良好で剥がれ落ちにくい被膜を形成する。これにより、毛髪に着色した後の剥がれ落ちによって衣服や周囲に汚れが生じることを防ぐ効果がある。さらに、(D)両性高分子樹脂化合物はエアゾール式毛髪一時着色剤組成物の低温条件下での安定性をよくする効果がある。
【0023】
前記(D)両性高分子樹脂化合物はエアゾール原液に含有されていればよく、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~8質量%がよい。前記(D)両性高分子樹脂化合物の含有量が0.1質量%未満の場合、毛髪への着色剤の付着力が弱くなり、乾燥後の顔料の剥がれ落ちにより衣服や周囲を汚してしまう恐れがある。また、10質量%を超える場合、エアゾール式毛髪一時着色剤組成物の低温条件下での安定性が悪くなる恐れがある。
【0024】
本発明に用いる前記(D)両性高分子樹脂化合物としては特に限定されないが、低温条件下での安定性の観点から、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタインとアルキル鎖がC1~18から選ばれるメタクリル酸アルキルとの共重合体が好ましく、その中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
【0025】
本発明によるエアゾール式毛髪一時着色剤組成物には(E)噴射剤を含有する。前記(A)~(D)成分を含有するエアゾール原液と前記(E)噴射剤の質量比は、エアゾール原液/噴射剤=50/50~80/20が好ましく、より好ましくは60/40~70/30の範囲である。前記(E)噴射剤の質量比が20未満の場合、吐出がしっかりできず、毛髪上に顔料を均一に塗布できない恐れがある。また、前記(E)噴射剤の質量比が50を超える場合、噴射の勢いが強くなり着色剤が飛び散ることにより衣服や周囲を汚してしまう恐れがある。
【0026】
本発明に用いる前記(E)噴射剤としては特に限定されないが、液化石油ガス、ジメチルエーテル、圧縮ガス等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、噴射性やエアゾール原液との溶解性の観点から、液化石油ガスが好ましい。
【0027】
本発明に用いる前記(E)噴射剤は、初期内圧が20℃で0.2~0.6MPaの範囲がよい。液化石油ガスは組成を変えることにより任意の初期内圧に調整でき、また液化石油ガスとジメチルエーテル等の種類を組み合わせることでも調整が可能である。
【0028】
本発明によるエアゾール式毛髪一時着色剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記成分の他に通常化粧品に用いられる成分を配合することができる。例えば、高級アルコール、高級脂肪酸等の油剤、低級アルコール、保湿剤、高分子化合物、抗酸化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、防腐剤、抗菌剤、香料、動植物油、ビタミン類、植物抽出液、無機塩等を用いることができ、これらは目的に応じて1種または2種以上を含有することができる。
【実施例
【0029】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0030】
本明細書に示す評価試験において、エアゾール原液に含まれる成分および、その含有量、エアゾール原液と噴射剤の質量比を種々変更しながら実施した各種の実験結果を以下に示す。ここで、エアゾール式毛髪一時着色剤組成物の各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0031】
本明細書に示す発明において、「塗布時の周囲の汚れ」、「塗布後の毛髪上の顔料の均一性」、「乾燥後の顔料の剥がれ落ち」、「乾燥後の毛髪の指通り、手触り」および「低温条件下での安定性」について評価した。
【0032】
本明細書に示す発明において、「塗布時の周囲の汚れ」、「塗布後の毛髪上の顔料の均一性」、「乾燥後の顔料の剥がれ落ち」および「乾燥後の毛髪の指通り、手触り」の試験では、得られたエアゾール原液をアルミ缶(武内プレス工業株式会社製、外径:35mm、肩下寸法:120mm、内面コート:TPL-419)に充填し、ガラス玉(11φ)を2個入れ、エアゾールバルブ、エアゾールボタンを装填し、噴射剤を充填し、エアゾール式毛髪一時着色剤組成物として50gとなるよう調整したものを評価した。
【0033】
本明細書に示す発明において、「塗布時の周囲の汚れ」、「塗布後の毛髪上の顔料の均一性」および「乾燥後の毛髪の指通り、手触り」の試験では、得られたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物を25℃条件下において毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)に対し15cmの位置からそれぞれ5秒間噴射した後、十分乾燥させ、噴霧の状態を専門のパネラーによる目視にて確認するとともに、毛髪の手触り感を確認して比較評価した。
【0034】
本明細書に示す発明において、「乾燥後の顔料の剥がれ落ち」の試験では、得られたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物を25℃条件下において毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)に対し15cmの位置からそれぞれ5秒間噴射した後、24時間乾燥させ、乾燥させた毛髪試験用ドールを地上1cmの位置から5回落下し振動を加えた後、顔料の剥がれ落ちを専門のパネラーによる目視にて確認した。
【0035】
本明細書に示す発明において、「低温条件下での安定性」の試験では、得られたエアゾール原液をガラス製耐圧瓶に充填し、バルブを取り付け、噴射剤を充填し、10回振とうした後、5℃で1ヶ月間放置した後の状態を確認した。
【0036】
「塗布時の周囲の汚れ」の評価基準
◎:周囲に全く飛び散りが生じていない
〇:周囲にほぼ飛び散りが生じていない
△:周囲にやや飛び散りが生じている
×:周囲に非常に飛び散りが生じている
【0037】
「塗布後の毛髪上の顔料の均一性」の評価基準
◎:毛髪上に顔料が均一に塗布できている
〇:毛髪上に顔料がほぼ均一に塗布できている
△:毛髪上に顔料があまり均一に塗布できていない
×:毛髪上に顔料が均一に塗布できず色ムラを生じている
【0038】
「乾燥後の顔料の剥がれ落ち」の評価基準
◎:毛髪上から顔料が全く剥がれ落ちず、周囲の汚れが全くない
〇:毛髪上から顔料がほぼ剥がれ落ちず、周囲の汚れがほぼない
△:毛髪上から顔料がやや剥がれ落ち、周囲の汚れがややある
×:毛髪上から顔料が非常に剥がれ落ち、周囲の汚れが非常にある
【0039】
「乾燥後の毛髪の指通り、手触り」の評価基準
◎:毛髪のごわつきがなく、やわらかさがとても良い
〇:毛髪のごわつきがなく、やわらかさが良い
△:毛髪のごわつきがあり、やわらかさが悪い
×:毛髪のごわつきがあり、やわらかさがとても悪い
【0040】
「低温条件下での安定性」の評価基準
◎:低温条件下において内容物にまったく変化がなく異常が見られない
〇:低温条件下において内容物に極わずかなかすみが生じるが問題ない程度
△:低温条件下において内容物にやや沈殿が生じる異常が見られる
×:低温条件下において内容物に明らかに沈殿が生じる異常が見られる
【0041】
第1評価試験
第1評価試験では、(A)顔料の種類および含有量を様々に代えたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表1にエアゾール式毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例1~7において、前記(A)顔料の種類および含有量を様々に代えたとしても良好な結果が得られた。また、実施例1~6から、前記(A)顔料の含有量は好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1.5質量%がよいことが分かる。
【0044】
第2評価試験
第2評価試験では、(B)アルキルグルコース誘導体の種類および含有量を様々に代えたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表2にエアゾール式毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
実施例8~16において、前記(B)アルキルグルコース誘導体の種類および含有量を様々に代えたとしても良好な結果が得られた。また、実施例8~14から、前記(B)アルキルグルコース誘導体の含有量は好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1.5質量%がよいことが分かる。
【0047】
比較例1において、前記(B)アルキルグルコース誘導体を含有しない場合、良好な結果は得られなかった。
【0048】
比較例2~3において、前記(B)アルキルグルコース誘導体の代わりに従来技術であるミネラルオイルやシリコンオイルを含有する場合、良好な結果は得られなかった。
【0049】
第3評価試験
第3評価試験では、(C)アニオン性界面活性剤の種類および含有量を様々に代えたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表3にエアゾール式毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0050】
【表3】
【0051】
実施例17~25において、前記(C)アニオン性界面活性剤の種類および含有量を様々に代えたとしても良好な結果が得られた。また、実施例17~23から、前記(C)アニオン性界面活性剤の含有量は好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1.5質量%がよいことが分かる。
【0052】
比較例4において、前記(C)アニオン性界面活性剤を含有しない場合、良好な結果は得られなかった。
【0053】
第4評価試験
第4評価試験では、(D)両性高分子樹脂化合物の含有量を様々に代えたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表4にエアゾール式毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0054】
【表4】
【0055】
実施例26~31において、前記(D)両性高分子樹脂化合物の含有量を様々に代えたとしても良好な結果が得られた。また、前記(D)両性高分子樹脂化合物の含有量は好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~8質量%がよいことが分かる。
【0056】
比較例5において、前記(D)両性高分子樹脂化合物を含有しない場合、良好な結果は得られなかった。
【0057】
比較例6において、前記(D)両性高分子樹脂化合物の代わりに従来技術であるアニオン性高分子樹脂化合物を含有する場合、良好な結果は得られなかった。
【0058】
第5評価試験
第5評価試験では、エアゾール原液と(E)噴射剤の質量比を様々に代えたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表5にエアゾール式毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0059】
【表5】
【0060】
実施例32~35において、エアゾール原液と前記(E)噴射剤の質量比を様々に代えたとしても良好な結果が得られた。また、前記(A)~(D)成分を含有するエアゾール原液と前記(E)噴射剤である噴射剤の質量比は、好ましくはエアゾール原液/噴射剤=50/50~80/20、より好ましくは60/40~70/30の範囲であることが分かる。
【0061】
以下に処方例を挙げる。
【0062】
(実施例36)
<エアゾール原液>
成分 含有量(質量%)
(A)雲母チタン 0.250
(B)ポリオキシプロピレン(20)メチルグルコシド 0.100
(C)ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム 0.200
(D)N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム
-α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸
アルキル共重合体 3.135
香料 0.050
エタノール 96.265
合計 100.000
エアゾール原液/(E)液化石油ガス(0.30MPa)=65/35
【0063】
実施例36の結果から、本発明のエアゾール式毛髪一時着色剤組成物について各種試験を行っても、「塗布時の周囲の汚れ」、「塗布後の毛髪上の顔料の均一性」、「乾燥後の顔料の剥がれ落ち」、「乾燥後の毛髪の指通り、手触り」および「低温条件下での安定性」について良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、顔料を毛髪上に塗布する際に衣服や周囲を汚すことがなく、塗布後の毛髪上の顔料が均一で、毛髪に塗布した後の剥がれ落ちによる衣服や周囲の汚れがなく、乾燥後の毛髪にごわつきがなくやわらかさを感じることができる良好な指通りや手触りを得ることができ、さらに低温条件下での安定性に優れたエアゾール式毛髪一時着色剤組成物を提供することができる。