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▶ フォーディー ファーマ ピーエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】細菌株を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/741 20150101AFI20221003BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20221003BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20221003BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20221003BHJP
   C12Q 1/689 20180101ALN20221003BHJP
【FI】
A61K35/741 ZNA
A23L33/135
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/12
A61P13/02 105
A61P31/04
C12N1/20 E
C12Q1/689 Z
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019039442
(22)【出願日】2019-03-05
(62)【分割の表示】P 2018505032の分割
【原出願日】2017-07-13
(65)【公開番号】P2019108378
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】1612190.7
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1616018.6
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1616016.0
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1703548.6
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1703552.8
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 42486
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 42381
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM 14294
(73)【特許権者】
【識別番号】518031664
【氏名又は名称】フォーディー ファーマ ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】4D PHARMA PLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】クロウゼット ロウリーン
(72)【発明者】
【氏名】ハボウジット クロエ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナリエ-ドナディレ アニク
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】特許第6441536(JP,B2)
【文献】特許第6517429(JP,B2)
【文献】特許第6494859(JP,B2)
【文献】特表2004-501095(JP,A)
【文献】特表2016-509003(JP,A)
【文献】国際公開第02/007741(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/057671(WO,A1)
【文献】World J. Gastroenterol.,2016年02月,Vol. 22, No. 7,pp. 2219-2241
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/741
A23L 33/135
A61P 1/00
A61P 1/04
A61P 1/12
A61P 13/02
A61P 31/04
C12N 1/20
C12Q 1/689
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃腸管においてエンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)のレベルを低減する方法における使用のための、配列番号5と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有する細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項2】
胃腸管においてエンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)のレベルを低減する方法における使用のための、ブラウティア(Blautia)属由来の細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項3】
胃腸管においてエンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)のレベルを低減する方法における使用のための、配列番号5と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有するブラウティア(Blautia)属由来の細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項4】
エンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)がエシェリヒア・コリ(E.coli)である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
IBS、クローン病、潰瘍性結腸炎、機能性消化不良、下痢、胃腸炎、尿路感染症もしくは新生児髄膜炎の治療または予防における、胃腸管においてエンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)のレベルを低減する方法における使用のための、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
下痢、胃腸炎、尿路感染症もしくは新生児髄膜炎の治療または予防における使用のための、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
病原性エンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、配列番号5と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有する細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項8】
病原性エンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、ブラウティア(Blautia)属の細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項9】
病原性エンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、配列番号5と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有するブラウティア(Blautia)属の細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項10】
エシェリヒア・コリ(E.coli)感染症の治療における使用のための、配列番号5と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有する細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項11】
エシェリヒア・コリ(E.coli)感染症の治療における使用のための、ブラウティア(Blautia)属の細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項12】
エシェリヒア・コリ(E.coli)感染症の治療における使用のための、配列番号5と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有するブラウティア(Blautia)属の細菌株を含む組成物であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記組成物。
【請求項13】
細菌株がブラウティア・ステルコリス(Blautia stercoris)種またはブラウティア・ウェクスレラエ(Blautia wexlerae)種である、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
細菌株が、
(a)ブラウティア・ヒドロゲノトロフィカ(Blautia hydrogenotrophica)の細菌株の16S rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一の16S rRNA配列を有し、任意で、配列番号5と少なくとも97%、98%、99%、99.5%もしくは99.9%同一の16S rRNA配列を有する、または配列番号5の16S rRNA配列を有する;または
(b)ブラウティア・ステルコリス(Blautia stercoris)の細菌株の16S rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一の16S rRNA配列を有する;または
(c)ブラウティア・ウェクスレラエ(Blautia wexlerae)の細菌株の16S rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一の16S rRNA配列を有する;
請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
IBSと診断された対象の胃腸管においてエンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)のレベルを低減する方法における使用のための、ブラウティア・ステルコリス(Blautia stercoris)種、またはブラウティア・ウェクスレラエ(Blautia wexlerae)種の細菌株を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
(a)経口投与用である;及び/又は
(b)1又は2以上の薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含む;及び/又は
(c)細菌株が、凍結乾燥されている;及び/又は
(d)細菌株が、生存可能である;
請求項1~15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
ブラウティア(Blautia)属の単一株を含む;又は
ブラウティア(Blautia)細菌株を微生物共同体の一部として含む;
請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
組成物が食品である、請求項1~17のいずれかに記載の組成物
【請求項19】
組成物がワクチン組成物である、請求項1-17のいずれかに記載の組成物
【請求項20】
配列番号5と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有する細菌株を含む、胃腸管におけるエンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)のレベルの低減剤であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記低減剤。
【請求項21】
ブラウティア(Blautia)属由来の細菌株を含む、胃腸管におけるエンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)のレベルの低減剤であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記低減剤。
【請求項22】
配列番号5と少なくとも95%同一の16S rRNA配列を有するBlautia属由来の細菌を含む、胃腸管におけるエンテロバクテリアッセ(Enterobacteriaceae)のレベルの低減剤であって、前記細菌株が、H/COを酢酸塩に変換することができる、前記低減剤。
【請求項23】
細菌株がブラウティア・ヒドロゲノトロフィカ(Blautia hydrogenotrophica)である、請求項20~22のいずれかに記載の低減剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、哺乳動物の消化管から単離された細菌株を含む組成物、及び疾患の治療におけるかかる組成物の使用の分野にある。
【背景技術】
【0002】
ヒトの腸は、子宮内では無菌と考えられているが、出生直後に様々な母体及び環境微生物に曝される。その後、微生物の定着及び遷移の動的期間が生じ、これは、分娩様式、環境、食事及び宿主遺伝子型などの因子によって影響され、これらの因子の全てが、特に若年期において、腸内微生物叢の組成に影響を及ぼす。その後、微生物叢は安定して成人様になる[1]。ヒト腸内微生物叢は、2つの主要な細菌分類(門):Bacteroidetes及びFirmicutes;が存在度レベルにおいて多数派を占める1500を超える種々のファイロタイプを含有する[2-3]。ヒト腸の細菌定着から生じる成功裏の共生関係は、広範な代謝的、構造的、保護的及び他の有益な機能を生じさせてきた。定着した腸の代謝活性の向上は、さもなければ難消化性の食事成分が副生成物の放出と共に分解されて宿主に重要な栄養源及びさらなる健康効果をもたらすということを確実にする。同様に、腸内微生物叢の免疫学的重要性は、よく認識されており、共生細菌の導入後に機能的に再構成される損なわれた免疫系を有する無菌動物において実証されている[4-6]。
【0003】
微生物叢組成の劇的な変化は、胃腸障害、例えば、炎症性腸疾患(IBD)において記録されてきた。例えば、ClostridiumクラスターXIVa及びClostridiumクラスターXI(F.prausnitzii)細菌のレベルは、IBD患者において低減されているが、E.Coliの数は増加しており、腸内の共生生物と病原性共生生物とのバランスのシフトを示唆している[7-11]。
【0004】
ある特定の細菌株が動物の腸において有し得る潜在的なプラス効果の認識において、種々の株が、種々の疾患の治療における使用のために提案されてきた(例えば、[12-15]を参照されたい)。大部分のLactobacillus及びBifidobacterium株を含めた多くの株が、種々の腸障害を治療する際の使用のために提案されてきた(レビューには[16]を参照されたい)。また、Blautia属の株が、IBS患者において消化生態系の微生物バランスを調節する際の使用のために提案されてきた(WO01/85187)。しかし、種々の細菌株と種々の疾患との間の関係、ならびに、特定の細菌株の、腸に対する、全身レベルでの、及びいずれか特定のタイプの疾患に対しての正確な効果は、あまり特徴付けられていない。
【0005】
腸細菌を使用した新規の治療を開発することができるように特徴付けられる腸細菌の潜在的効果が必要とされている。
【0006】
US2010/0247489は、消化系障害を治療するための無機栄養素の使用を記載している。US‘789は、Enterobacteriaceaeを含めた多数の異なる細菌属も任意選択的に使用して結腸におけるガス形成を予防及び低減することを提案しており、そのため、この文献は、胃腸管においてEnterobacteriaceae種を増加させることが、ある特定の疾患を治療するのに使用され得ることを示唆している。US‘789は、Enterobacteriaceae種を低減させるいずれの方法も議論していない。
【0007】
WO2016/086206は、Enterbacteriaceace種を含めたClostridiales目の細菌が、腸内毒素症を治療または予防するのに使用され得ることを示唆している。WO’206には、胃腸管におけるEnterobacteriaceace種のレベルの低減が疾患を治療するのに使用され得ることは示唆されておらず、また、Enterbacteriaceace種のレベルの低減がどのようにして達成されるかに関しての示唆もされていない。
【0008】
WO2012/142605は、微生物の組み合わせによって多くの異なる疾患を治療することが可能であり得ることを提案している。WO’605は、用いられ得る多数の可能な細菌種を示唆しているが、WO’605には、どのようにして、提案されている細菌種のいずれが、提案されている疾患のいずれを治療するのに使用され得るかについて教示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】[12]WO2013/050792
【文献】[13]WO03/046580
【文献】[14]WO2013/008039
【文献】[15]WO2014/167338
【文献】WO01/85187
【文献】US2010/0247489
【文献】WO2016/086206
【文献】WO2012/142605
【非特許文献】
【0010】
【文献】[1]Spor et al.(2011) Nat Rev Microbiol.9(4):279-90.
【文献】[2]Eckburg et al.(2005) Science.10;308(5728):1635-8.
【文献】[3]Tap et al.(2009),Environ Microbiol,11(10):2574-84.
【文献】[4]Macpherson et al.(2001) Microbes Infect.3(12):1021-35
【文献】[5]Macpherson et al.(2002) Cell Mol Life Sci.59(12):2088-96.
【文献】[6]Mazmanian et al.(2005) Cell 15;122(1):107-18.
【文献】[7]Frank et al.(2007) PNAS 104(34):13780-5.
【文献】[8]Scanlan et al.(2006) J Clin Microbiol.44(11):3980-8.
【文献】[9]Kang et al.(2010) Inflamm Bowel Dis.16(12):2034-42.
【文献】[10]Machiels et al.(2013) Gut.63(8):1275-83.
【文献】[11]Lopetuso et al.(2013),Gut Pathogens,5:23
【文献】[16]Lee and Lee(2014) World J Gastroenterol.20(27):8886-8897.
【発明の概要】
【0011】
本発明者らは、Enterobacteriaceae、特にE.coliに関連する疾患を治療及び予防するための新規の治療を開発した。特に、本発明者らは、Blautia属由来の細菌株が胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルを低減させるのに有効であり得るということを確認した。実施例において記載されているように、Blautia hydrogenotrophicaを含む組成物の経口投与は、E.coliを含めた、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルを低減させ得、また、EnterobacteriaceaeまたはE.coliに関連する疾患を治療または予防し得る。そのため、第1実施形態において、本発明は、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルを低減させる方法における使用のための、Blautia属の細菌株を含む組成物を提供する。
【0012】
本発明の全ての態様の好ましい実施形態において、EnterobacteriaceaeはE.coliである。本発明の全ての態様の好ましい実施形態において、細菌株は、Blautia hydrogenotrophicaのものであり、好ましくは、受託番号DSM10507/14294で寄託されている細菌である。
【0013】
好ましい実施形態において、本発明は、E.coli感染症などのEnterobacteriaceae感染症に関連する疾患を治療または予防する方法における使用のための、Blautia属の細菌株を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、下痢、胃腸炎、尿路感染症または新生児髄膜炎を治療または予防する際の使用のためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、E.coli感染症などのEnterobacteriaceae感染症を治療または予防する際の使用のためのものである。
【0014】
さらに好ましい実施形態において、本発明の組成物は、IBS、クローン病、潰瘍性結腸炎、機能性消化不良、下痢、胃腸炎、尿路感染症または新生児髄膜炎の治療または予防において、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベル、好ましくはE.coliのレベルを低減する際の使用のためのものである。
【0015】
本発明者らは、下痢を治療及び予防するための新規の治療を開発した。特に、本発明者らは、Blautia属由来の細菌株が下痢を低減させるのに有効であり得るということを確認した。実施例において記載されているように、Blautia hydrogenotrophicaを含む組成物の経口投与は、過敏性腸症候群(IBS)を有する患者において下痢を低減し得る。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、組成物における細菌株は、Blautia hydrogenotrophicaのものである。近縁の株、例えば、Blautia hydrogenotrophicaの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する細菌株が使用されてもよい。好ましくは、細菌株は、配列番号5と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。最も好ましくは、組成物における細菌株は、受託番号DSM10507/14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株である。
【0017】
本発明のさらなる実施形態において、組成物における細菌株は、Blautia stercorisのものである。近縁の株、例えばBlautia stercorisの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する細菌株が使用されてもよい。好ましくは、細菌株は、配列番号1または3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。好ましくは、配列同一性は、配列番号3に対するものである。好ましくは、本発明において使用される細菌株は、配列番号3によって表される16s rRNA配列を有する。
【0018】
本発明のさらなる実施形態において、組成物における細菌株は、Blautia wexleraeのものである。近縁の株、例えば、Blautia wexleraeの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する細菌株が使用されてもよい。好ましくは、細菌株は、配列番号2または4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。好ましくは、配列同一性は、配列番号4に対するものである。好ましくは、本発明において使用される細菌株は、配列番号4によって表される16s rRNA配列を有する。
【0019】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、経口投与用である。本発明の株の経口投与は、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルを低減するのに有効であり得る。また、経口投与は、患者及び施術者にとって便利であり、腸への送達及び/または腸への部分もしくは全体定着を可能にする。
【0020】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、1または2以上の薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含む。
【0021】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、凍結乾燥されている細菌株を含む。凍結乾燥は、細菌の送達を可能にする安定な組成物を調製するのに有効かつ便利な技術であり、実施例において有効な組成物を提供することが示されている。
【0022】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記に記載されている組成物を含む食品を提供する。
【0023】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記に記載されている組成物を含むワクチン組成物を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルを低減し、これにより、Enterobacteriaceaeに関連する疾患を治療または予防する方法であって、Blautia属の細菌株を含む組成物を投与することを含む上記方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】BH集団のqPCRによる測定であり、BH凍結乾燥物が与えられたIBS HMIラットの14及び28日目のBHの増加を示している。
図2】異なる濃度の細菌種が与えられた健常なHIMラットの糞便サンプルにおけるB.hydrogenotrophicaのHIMラット-RT-PCR定量での投与研究。
図3】健常なHIMラットへの経口投与(10/日)後のB.hydrogenotrophicaの通過時間。
図4】14日間投与後(B.hydrogenotrophicaを1010/日/ラットで投与)の健常なHIMラット(RT-PCR定量)の糞便及び盲腸サンプルにおいて見られるB.hydrogenotrophicaレベルの比較。
図5】健常なヒト微生物叢関連ラットの糞便微生物叢組成物に対するB.hydrogenotrophica投与の効果。1010のB.hydrogenotrophica/日で14日間投与(2の健常なヒト糞便微生物叢(20HIMラット)-qPCR分析からの結果)。
図6】IBS-HIMラットにおける微生物集団に対するB.hydrogenotrophica投与の影響。
図7a】Blautix処置の間及び後の患者の微生物叢のBlautia hydrogenotrophicaのレベルの変化。
図7b】Blautix処置の間及び後の患者の微生物叢のEnterobacteriaのレベルの変化。
図8】Blautixで処置したIBS患者(図8a)及びプラセボで処置したIBS患者(図8b)に関する1日目、2日目、15日目及び16日目の水素呼気試験のCmaxの結果。図8cは、15及び16日目の平均と1及び2日目の平均との間で水素が低減したBlautix処置患者の割合をこれらの時点の間で水素が低減したプラセボ処置患者の割合に対して比較しているグラフである。
図9a】Blautix処置IBS患者に関する1日目及び15日目のデータをペアにした、未補正の水素及び補正された水素呼気試験。
図9b】Blautix処置群に関する1日目及び15日目の平均の未補正の水素呼気試験結果を比較するグラフ。
図9c】Blautix処置群に関する1日目及び15日目の平均の補正された水素呼気試験結果を比較するグラフ。
図10a】プラセボ処置IBS患者に関する1日目及び15日目のデータをペアにした、未補正の水素及び補正された水素呼気試験。
図10b】プラセボ群に関する1日目及び15日目の平均の未補正の水素呼気試験結果を比較するグラフ。
図10c】プラセボ群に関する1日目及び15日目の平均の補正された水素呼気試験結果を比較するグラフ。
図11】Bautix処置群(Verum)及びプラセボ群(図11a:未補正の水素;図11b:補正された水素)に関する1日目及び15日目の平均水素呼気試験結果を比較するグラフ。
図12】B.hydrogenotrophica(BlautiX)を含む組成物で28日間処置したまたは処置していないIBS-HMAラットの糞便サンプルにおけるB.hydrogenotrophica集団のqPCR評価。
図13】対照溶液と比較したB.hydrogenotrophica(BlautiX)投与後のIBS HMA-ラット糞便サンプルにおける細菌の計数。
図14】第一相臨床試験の投与期間(1~16日目)の間の患者の症状の変化。
図15】第一相臨床試験のウオッシュアウト期間の間の患者の症状の変化。
【発明を実施するための形態】
【0026】
細菌株
本発明の組成物は、Blautia属の細菌株を含む。実施例は、この属の細菌が、胃腸管におけるEnterobacteriaceae、特にE.coliのレベルを低減するのに有用であることを実証している。好ましい細菌株は、Blautia hydrogenotrophica、Blautia stercoris及びBlautia wexlerae種のものである。本発明で使用される他の好ましい細菌株は、Blautia producta、Blautia coccoides及びBlautia hanseniiである。最も好ましくは、Blautia hydrogenotrophica、特に、受託番号DSM10507/14294で寄託されている細菌である。
【0027】
本発明で使用されるBlautia株の例として、Blautia hydrogenotrophica、B.stercoris、B.faecis、B.coccoides、B.glucerasea、B.hansenii、B.luti、B.producta、B.schinkii及びB.wexleraeが挙げられる。Blautia種は、球形または楕円形のいずれであってもよいグラム反応陽性の非運動性細菌であり、全てが、グルコース発酵の主な最終産物として酢酸を産生する偏性嫌気性菌である[17]。Blautiaは、ヒト腸から単離されてよいが、B.productaは、敗血症サンプルから単離されたものである。
【0028】
Blautia hydrogenotrophica(Ruminococcus hydrogenotrophicusとしてこれまでに知られている)は、哺乳動物の腸から単離されており、偏性嫌気性であり、また、H/COを、ヒトの栄養及び健康に重要であり得る酢酸塩に代謝する。Blautia hydrogenotrophicaのタイプの株は、S5a33=DSM10507=JCM14656である。Blautia hydrogenotrophica株S5a36の16S rRNA遺伝子配列のGenBank受託番号は、X95624.1である(配列番号5として本明細書に開示されている)。この例示的なBlautia hydrogenotrophica株は、[17]及び[18]に記載されている。S5a33株及びS5a36株は、健常な対象の糞便サンプルから単離した株の2つのサブクローンに相当する。これらは、同一の形態、生理機能及び代謝を示し、同一の16S rRNA配列を有している。そのため、いくつかの実施形態において、本発明で使用されるBlautia hydrogenotrophicaは、配列番号5の16S rRNA配列を有する。
【0029】
受託番号DSM10507で、また、受託番号DSM14294でも寄託されているBlautia hydrogenotrophica細菌を実施例において試験した。該細菌は、本明細書において株BHとも称される。株BHを、1996年1月26日に受託番号DSM10507で「Ruminococcus hydrogenotrophicus」として、また、2001年5月14日には「S5a33」として受託番号DSM14294でもDeutsche Sammlung von Mikroorganismen[German Microorganism Collection](Mascheroder Weg 1b,38124 Braunschweig,Germany)に寄託した。寄託者は、INRA Laboratoire de Microbiologie CR de Clermont-Ferrand/Theix 63122 Saint Genes Champanelle,Franceである。寄託物の所有者は、譲渡により4D Pharma Plcに移った。
【0030】
Blautia stercoris株GAM6-1の16S rRNA遺伝子配列のGenBank受託番号はHM626177である(本明細書において配列番号1と開示されている)。例示的なBlautia stercoris株は、[19]に記載されている。Blautia wexleraeのタイプの株は、WAL14507=ATCC BAA-1564=DSM19850である[17]。Blautia wexlerae株WAL14507Tの16S rRNA遺伝子配列のGenBank受託番号はEF036467である(本明細書において配列番号2と開示されている)。この例示的なBlautia wexlerae株は、[17]に記載されている。
【0031】
好ましいBlautia stercoris株は、本明細書において株830とも称されている、受託番号NCIMB42381で寄託されている株である。830株の16S rRNA配列は、配列番号3において付与されている。株830を、「Blautia stercoris830」として2015年3月12日にGT Biologics Ltd.(Life Sciences Innovation Building,Aberdeen,AB25 2ZS,Scotland)によって国際寄託当局NCIMB,Ltd.(Ferguson Building,Aberdeen,AB21 9YA,Scotland)に寄託し、受託番号NCIMB42381が割り当てられた。GT Biologics Ltd.は、その後、その名称を4D Pharma Research Limitedに変更した。
【0032】
好ましいBlautia wexlerae株は、本明細書において株MRX008とも称されている、受託番号NCIMB42486で寄託されている株である。MRX008株の16S rRNA配列は、配列番号4において付与されている。株MRX008を、「Blaqutia/Ruminococcus MRx0008」として2015年11月16日に4D Pharma Research Ltd.(Life Sciences Innovation Building,Aberdeen,AB25 2ZS,Scotland)によって国際寄託当局NCIMB、Ltd.(Ferguson Building,Aberdeen,AB21 9YA,Scotland)に寄託し、受託番号NCIMB42486が割り当てられた。
【0033】
実施例において試験されている株と近縁の細菌株もまた、胃腸管におけるEnterobacteriaceae、特にE.coliのレベルを低減するのに有効であると期待される。ある特定の実施形態において、本発明において使用される細菌株は、Blautia hydrogenotrophicaの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。好ましくは、本発明において使用される細菌株は、配列番号5と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。
【0034】
ある特定の実施形態において、本発明において使用される細菌株は、Blautia stercorisの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。好ましくは、本発明において使用される細菌株は、配列番号1または配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。好ましくは、配列同一性は、配列番号3に対するものである。好ましくは、本発明において使用される細菌株は、配列番号3によって表される16s rRNA配列を有する。ある特定の実施形態において、本発明において使用される細菌株は、Blautia wexleraeの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。好ましくは、本発明において使用される細菌株は、配列番号2または配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一の16s rRNA配列を有する。好ましくは、配列同一性は、配列番号4に対するものである。好ましくは、本発明において使用される細菌株は、配列番号4によって表される16s rRNA配列を有する。
【0035】
受託番号DSM10507/14294で寄託されている細菌のバイオタイプである、または受託番号NCIMB42381及びNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプである細菌株もまた、胃腸管におけるEnterobacteriaceae、特にE.coliのレベルを低減するのに効果的であることが期待されている。バイオタイプは、同じまたは非常に類似する生理的及び生化学的特徴を有する近縁の株である。
【0036】
受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプであり、本発明での使用に好適である株は、受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌の他のヌクレオチド配列をシークエンスすることによって同定されてよい。例えば、実質的に全ゲノムがシークエンスされてよく、本発明で使用するバイオタイプ株は、その全ゲノムの少なくとも80%にわたって(例えば、少なくとも85%、90%、95%もしくは99%にわたって、またはその全ゲノムにわたって)少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有していてよい。例えば、いくつかの実施形態において、バイオタイプ株は、そのゲノムの少なくとも98%にわたって少なくとも98%の配列同一性、またはそのゲノムの99%にわたって少なくとも99%の配列同一性を有する。バイオタイプ株を同定するのに使用される他の好適な配列は、hsp60または反復配列、例えば、BOX、ERIC、(GTG)、もしくはREPまたは[20]を含んでいてよい。バイオタイプ株は、受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌の対応する配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有する配列を有していてよい。いくつかの実施形態において、バイオタイプ株は、DSM10507/14294として寄託されているBlautia hydrogenotrophica株の対応する配列と少なくとも97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有する配列を有しており、配列番号5と少なくとも99%同一の(例えば、少なくとも99.5%または少なくとも99.9%同一の)16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態において、バイオタイプ株は、DSM10507/14294として寄託されているBlautia hydrogenotrophica株の対応する配列と少なくとも97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有する配列を有し、配列番号5の16S rRNA配列を有する。
【0037】
代替的には、受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプでありかつ本発明での使用に好適である株は、受託番号DSM10507/14294の寄託物、受託番号NCIMB42381の寄託物、または受託番号NCIMB42486の寄託物、ならびに制限断片分析及び/またはPCR分析を使用することによって、例えば、蛍光増幅断片長多型分析(FAFLP)及び反復DNA要素(rep)-PCR指紋検査、またはタンパク質プロファイリング、または部分16Sもしくは23s rDNAシークエンシングを使用することによって同定されてよい。好ましい実施形態において、かかる技術は、他のBlautia hydrogenotrophica、Blautia stercorisまたはBlautia wexlerae株を同定するのに使用されてよい。
【0038】
ある特定の実施形態において、受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプでありかつ本発明での使用に好適である株は、増幅リボソームDNA制限分析(ARDRA)によって分析されるとき、例えば、Sau3AI制限酵素(例示的な方法及びガイダンスについては、例えば[21]を参照されたい)を使用するとき、受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌と同じパターンを付与する株である。代替的には、バイオタイプ株は、受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌と同じ炭水化物発酵パターンを有する株として同定される。
【0039】
本発明の組成物及び方法において有用である他のBlautia株、例えば、受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプは、実施例において記載されているアッセイを含め、いずれの適切な方法またはストラテジーを使用して同定されてもよい。例えば、本発明で使用される株は、細菌を培養してラットに投与し、膨張アッセイにおいて試験することによって同定されてよい。特に、受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌と同様の成長パターン、代謝型及び/または表面抗原を有する細菌株は、本発明において有用であり得る。有用な株は、DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486株に匹敵する微生物叢調節活性を有する。特に、バイオタイプ株は、実施例において示されている効果に匹敵する、Enterobacteriaceaeに対する効果を引き出し、これは、実施例において記載されている培養及び投与プロトコルを使用することによって同定されてよい。
【0040】
本発明の特に好ましい株は、受託番号DSM10507/14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株である。これは、実施例において試験されて、胃腸管におけるEnterobacteriaceae、特にE.coliのレベルを低減するのに効果的であることが示される例示的なBH株である。そのため、本発明は、特に、本明細書に記載されている疾患の治療に使用される、受託番号DSM10507/14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株またはその誘導体の細胞、例えば単離細胞を提供する。
【0041】
受託番号DSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている株の誘導体は、娘株(子孫)、またはオリジナルから培養された(サブクローニングされた)株であってよい。本発明の株の誘導体は、生物活性を取り除くことなく、例えば、遺伝子レベルで修飾されてよい。特に、本発明の誘導体株は、治療的に活性である。誘導体株は、オリジナルのDSM10507/14294、NCIMB42381またはNCIMB42486株と匹敵する微生物叢調節活性を有する。特に、誘導体株は、実施例において示されている効果と匹敵する、Enterobacteriaceaeに対しての効果を引き出し、これは、実施例において記載されている培養及び投与プロトコルを使用することによって同定されてよい。DSM10507/14294株の誘導体は、概して、DSM10507/14294株のバイオタイプである。NCIMB42381株の誘導体は、概して、NCIMB42381株のバイオタイプである。NCIMB42486株の誘導体は、概して、NCIMB42486株のバイオタイプである。
【0042】
受託番号DSM10507/14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株の細胞への言及は、受託番号DSM10507/14294で寄託されている株と同じ安全及び治療効能特性を有するいずれの細胞も包含し、かかる細胞は本発明によって包含される。受託番号NCIMB42381で寄託されているBlautia stercoris株の細胞への言及は、受託番号NCIMB42381で寄託されている株と同じ安全及び治療効能特性を有するいずれの細胞も包含し、かかる細胞は本発明によって包含される。受託番号NCIMB42486で寄託されているBlautia wexlerae株の細胞への言及は、受託番号NCIMB42486で寄託されている株と同じ安全及び治療効能特性を有するいずれの細胞も包含し、かかる細胞は本発明によって包含される。
【0043】
好ましい実施形態において、本発明の組成物における細菌株は生存可能であり、腸に部分的または全体的に定着することが可能である。
【0044】
治療的使用
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルを低減する際の使用のためのものである。胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルの増加は、多数の病的状態及び疾患関連しており、実施例は、本発明の組成物が、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルを低減するのに有効であり得ることを実証している。
【0045】
本発明の全ての態様の好ましい実施形態において、EnterobacteriaceaeはE.coliである。そのため、好ましくは、本発明の組成物は、胃腸管においてE.coliのレベルを低減する際の使用のためのものである。
【0046】
ある特定の実施形態において、Enterobacteriaceaeは、病原株、例えばE.coli O157:H7、O104:H4、O121、O26、O103、O111、O145、O104:H21、またはO104:H4である。
【0047】
代替の実施形態において、Enterobacteriaceaeは、共生または非病原株である。かかるEnterobacteriaceaeのレベルの増加は、IBS及びクローン病などの状態に寄与し得、実施例は、本発明の組成物が、IBSに関連するEnterobacteriaceaeに対する低減効果を与え得ることを実証している。
【0048】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、E.coli感染症などのEnterobacteriaceae感染症に関連する疾患を治療又は予防する際の使用のためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、下痢、胃腸炎、尿路感染症または新生児髄膜炎を治療または予防する際の使用のためのものである。かかる実施形態において、Enterobacteriaceaeは、病原株であってよい。
【0049】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、Enterobacteriaceae、例えばE.coliのレベルの増加に関連する疾患を治療または予防する際の使用のためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、下痢、胃腸炎、尿路感染症または新生児髄膜炎を治療または予防する際の使用のためのものである。かかる実施形態において、Enterobacteriaceaeは、共生または非病原株であってよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、疾患または状態の病因は、腸に影響する。いくつかの実施形態において、疾患または状態の病因は、腸に影響しない。いくつかの実施形態において、疾患または状態の病因は、腸において局所化されていない。いくつかの実施形態において、治療または予防は、腸以外の部位で生じる。いくつかの実施形態において、治療または予防は、腸において、また、腸以外の部位においても生じる。ある特定の実施形態において、疾患または状態は全身性である。
【0051】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、E.coli感染症などのEnterobacteriaceae感染症を治療または予防する際の使用のためのものである。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、胃腸管、特に盲腸の感染症を治療または予防する際の使用のためのものである。かかる実施形態において、Enterobacteriaceaeは、病原株であってよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、Enterobacteriaceaeのレベルは、対象における排せつ物において低減されている。いくつかの実施形態において、Enterobacteriaceaeのレベルは、対象からの排せつ物サンプルにおいて低減されている。いくつかの実施形態において、Enterobacteriaceaeのレベルは、対象の遠位腸において低減されている。いくつかの実施形態において、Enterobacteriaceaeのレベルは、盲腸において低減されている。いくつかの実施形態において、Enterobacteriaceaeのレベルは、結腸において低減されている。いくつかの実施形態において、Enterobacteriaceaeのレベルは、直腸において低減されている。いくつかの実施形態において、Enterobacteriaceaeのレベルは、小腸において低減されている。
【0053】
好ましい実施形態において、本発明は、病原性Enterobacteriaceaeによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、Blautia属の細菌株を含む組成物を提供する。
【0054】
好ましい実施形態において、本発明は、E.coli感染症の治療における使用のための、Blautia属の細菌株を含む組成物を提供する。
【0055】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、Enterobacteriaceaeのレベルの増加に関連する疾患、例えばIBS、クローン病、潰瘍性結腸炎、機能性消化不良、下痢、胃腸炎、尿路感染症または新生児髄膜炎の治療または予防における、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベル、好ましくはE.coliのレベルを低減する際の使用のためのものである。Enterobacteriaceae及び特にE.coliは、クローン病及び潰瘍性結腸炎の潜在的な誘因であることが知られており、または、これらを悪化させることが知られており[22-24]、そのため、本発明の組成物に関する実施例において示されている効果は、これらの状態の治療において有益であり得る。
【0056】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、胃腸管においてEnterobacteriaceaeのレベルを低減することによって、IBS、クローン病、潰瘍性結腸炎、機能性消化不良、下痢、胃腸炎、尿路感染症または新生児髄膜炎を治療または予防する際の使用のためのものである。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、受託番号DSM10507/14294で寄託されている細菌を含み、クローン病、潰瘍性結腸炎、機能性消化不良、または最も好ましくはIBSの治療における、胃腸管においてEnterobacteriaceaeのレベルを低減する際の使用のためのものである。さらに好ましい実施形態において、本発明の組成物は、受託番号DSM10507/14294で寄託されている細菌を含み、胃腸管においてEnterobacteriaceaeのレベルを低減することによって、クローン病、潰瘍性結腸炎、機能性消化不良、または最も好ましくはIBSを治療または予防する際の使用のためのものである。
【0058】
ある特定の実施形態において、組成物は、抗生物質、例えばフルオロキノロン、アジスロマイシン、シプロフロキサシンまたはリファキシミンと組み合わせて投与される。ある特定の実施形態において、組成物は、脱水治療、例えば水分補給用飲料と組み合わせて投与される。本発明の組成物は、抗生物質もしくは脱水治療と同時に、または抗生物質もしくは脱水治療と逐次的に投与されてよい。
【0059】
ある特定の実施形態において、組成物は、例えば、健常な対象、または健常な対象の集団と比較したときに、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルの増加を示すまたは示すことが予期される患者における使用のためのものである。
【0060】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、Enterobacteriaceaeによる胃腸管への定着を治療、予防または低減する方法における使用のためのものである。
【0061】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、健常な対象と比較して呼気において水素のレベルが増加している対象における胃腸管においてEnterobacteriaceaeのレベルを低減する方法における使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、胃腸管におけるEnterobacteriaceaeのレベルの増加を示しているまたは示すことが予期される対象の呼気における水素レベルを低減する際の使用のためのものである。対象は、好ましくは、IBS、クローン病、潰瘍性結腸炎、機能性消化不良、下痢、胃腸炎、尿路感染症もしくは新生児髄膜炎及び/または病原性Enterobacteriaceae、例えばE.coliによって引き起こされる感染症を有していると診断された対象である。実施例は、本発明の組成物による処置が、水素呼気試験において検出される水素のレベルを低減することを示している。したがって、水素レベルは、水素呼気試験を使用して好ましくは評価される。水素呼気試験は、当該分野において周知であり、そのため、当業者は、かかる試験をどのように行うかを知っている。いくつかの実施形態において、患者には、該試験において基質としてラクツロースが投与される。
【0062】
水素呼気試験はまた、Enterobacteriaceaeのレベルの低減、及び本発明の組成物を使用した治療または予防の有効性または推定有効性をモニタリングするための有用なツールでもある。例えば、本発明の組成物による治療の後に対象の呼気において検出される水素のレベルの低減は、該治療が、低減、治療または予防効果を有していることを示し得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法及び使用は、本発明の組成物による治療の間及び/または後に対象の呼気における水素レベルをモニタリングすること、ならびにこれにより低減、治療または予防の有効性または推定有効性を評価することをさらに含む。例えば、水素レベルは、例えば、所望により、治療前、治療の開始時、治療の間、治療の最後及び/または治療後を含めた、1または2以上の(例えば、1、2、3、4または4を超える)回数でモニタリングされてよい。いくつかの実施形態において、投与期間(組成物が対象に投与される間)の最後及び/または後の対象の呼気における水素のレベルは、投与期間の開始時及び/または前のレベルと比較され、レベルの低減は、低減、治療または予防の有効性または推定有効性を示している。例えば、投与期間が16日である実施形態において、1日目及び16日目に、または例えば1日目、2日目、15日目及び16日目に測定値を採取することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、複数の測定値を採取し、これらの測定値の平均を得る(例えば、1日目及び2日目の平均、ならびに15日目及び16日目の平均)。いくつかの実施形態において、水素レベルCmaxにおける少なくとも40ppmの低減は、低減、治療または予防が有効であるまたは恐らく有効であることを示している。いくつかの実施形態において、対象の呼気における水素レベルは、例えば、治療の最後または後にたった1回のみ測定され、該レベルが所望のレベルである、またはこれに近いという所見は、低減、治療または予防が恐らく有効であったことを示している。水素呼気試験は、標準的なアッセイであり、そのため、所定のレベルは当該分野において公知である。
【0063】
治療または予防とは、例えば、症状の重篤度の軽減、または患者にとって問題である増悪の頻度もしくは誘因の範囲の低減を称してよい。
【0064】
Enterobacteriaceaeのレベルは、標準的な技術、例えば実施例において使用されているqPCR技術を使用して、患者からの糞便において検出されてよい。
【0065】
投与の形態
好ましくは、本発明の組成物は、本発明の細菌株による腸への送達及び/または腸への部分もしくは全体定着を可能にするために胃腸管に投与されるべきである。概して、本発明の組成物は、経口で投与されるが、これらは、経直腸的に、鼻腔内に、または頬側もしくは舌下経路を介して投与されてよい。
【0066】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、フォームとして、スプレーまたはゲルとして投与されてよい。
【0067】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、坐薬、例えば肛門坐薬として、例えば、カカオ脂(ココアバター)、合成硬質脂肪(例えば、坐剤用基材、ウィテップゾール)、グリセロ-ゼラチン、ポリエチレングリコール、または石鹸グリセリン組成物の形態で投与されてよい。
【0068】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、チューブ、例えば、鼻腔栄養チューブ、経口胃チューブ、胃チューブ、経空腸チューブ(Jチューブ)、経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)、またはポート、例えば胃、空腸及び他の好適なアクセスポートへのアクセスを付与する胸壁ポートを介して胃腸管に投与される。
【0069】
本発明の組成物は、一度で投与されてよく、または治療レジメンの部分として逐次的に投与されてよい。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、連日投与されるべきである。実施例は、連日投与が、成功裏に定着及び臨床的利益を付与することを実証している。
【0070】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、例えば毎日、2日おきに、または週1回、長期にわたって、例えば少なくとも1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、6ヶ月間、または1年間定期的に投与される。実施例は、BH投与が、腸への永久定着を結果として生じない場合があり、そのため、長期にわたる定期的投与が、より大きな治療的利益を付与する場合があることも実証している。
【0071】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、7日間、14日間、16日間、21日間もしくは28日間、または7日、14日、16日、21日もしくは28日以下の間投与される。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、16日間投与される。
【0072】
本発明のある特定の実施形態において、本発明による治療は、患者の腸内微生物叢のアセスメントによって達成される。治療は、本発明の株の送達及び/またはそれによる部分的もしくは全体的定着が達成されず、その結果、効能が観察されないことになるとき、繰り返されてよく、あるいは、治療は、送達及び/または部分的もしくは全体的定着が成功裏でありかつ効能が観察されるときに中止されてよい。
【0073】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、妊娠した動物、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトに、その子宮内の胎児及び/または生まれた後の小児においてEnterobacteriaceaeのレベルの上昇が発症するのを予防するために投与されてよい。
【0074】
本発明の組成物は、Enterobacteriaceaeのレベルの上昇またはEnterobacteriaceaeのレベルの上昇に関連する疾患もしくは状態と診断された、あるいはEnterobacteriaceaeのレベルの上昇のリスクがあると同定された患者に投与されてよい。組成物は、健常な患者におけるEnterobacteriaceaeのレベルの上昇の発症を予防するための予防対策として投与されてもよい。
【0075】
本発明の組成物は、異常な腸内微生物叢を有すると同定されている患者に投与されてよい。例えば、患者は、Blautia、特にBlautia hydrogenotrophica、Blautia stercorisまたはBlautia wexleraeによる定着が低減されているか、または該定着がないかであり得る。
【0076】
本発明の組成物は、食品、例えば栄養補助食品として投与されてよい。
【0077】
概して、本発明の組成物は、ヒトの治療のためのものであるが、単胃哺乳動物、例えば、家禽、ブタ、ネコ、イヌ、ウマまたはウサギを含めた動物を治療するのに使用されてよい。本発明の組成物は、動物の成長及びパフォーマンスを向上させるのに有用である場合がある。動物に投与されるとき、経口胃管栄養法が使用されてよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、組成物が投与されるべき対象は、ヒト成人である。いくつかの実施形態において、組成物が投与されるべき対象は、ヒト乳児である。
【0079】
組成物
概して、本発明の組成物は、細菌を含む。本発明の好ましい実施形態において、組成物は、凍結乾燥形態で調合される。例えば、本発明の組成物は、本発明の細菌株を含む顆粒またはゼラチンカプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセルを含んでいてよい。
【0080】
好ましくは、本発明の組成物は、凍結乾燥されている細菌を含む。細菌の凍結乾燥は、確立された手順であり、関連のガイダンスは、例えば、参照文献[25-27]において入手可能である。実施例は、凍結乾燥物組成物が特に有効であることを実証している。
【0081】
代替的には、本発明の組成物は、生きている、活性な細菌培養物を含んでいてよい。実施例は、本発明の細菌の培養物が治療的に有効であることを実証している。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、不活性化されていない、例えば、熱不活性化されていない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、殺傷されていない、例えば、熱殺傷されていない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、弱毒化されていない、例えば、熱弱毒化されていない。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、殺傷されていない、不活性化されていない及び/または弱毒化されていない。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、生きている。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、生存可能である。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、腸に部分的または全体的に定着することが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は生存可能であり、腸に部分的または全体的に定着することが可能である。
【0083】
いくつかの実施形態において、組成物は、生きている細菌株と殺傷されている細菌株との混合物を含む。
【0084】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、腸への細菌株の送達を可能にするようにカプセル化されている。カプセル化は、目標箇所に送達するまで、例えばpHの変化によって引き起こされる場合がある化学的または物理的刺激、例えば圧力、酵素活性または物理的崩壊による破断を通しての劣化から組成物を保護する。いずれの適切なカプセル化方法が使用されてもよい。例示的なカプセル化技術として、多孔質マトリクス内への取り込み、固体担体表面への付着または吸着、凝集によるまたは架橋剤を用いた自己会合、及び微多孔膜またはマイクロカプセルの後の機械的拘束が挙げられる。本発明の組成物を調製するのに有用であり得るカプセル化についてのガイダンスは、例えば、参照文献[28-29]において入手可能である。
【0085】
組成物は、経口で投与されてよく、錠剤、カプセルまたは粉末の形態であってよい。カプセル化された製品が好ましい、なぜなら、Blautiaが嫌気性生物であるからである。他の成分(例えばビタミンCなど)が、生体内での送達及び/または部分的もしくは全体的定着ならびに生存を改善するように脱酸素剤及びプレバイオティック基質として含まれていてよい。代替的には、本発明のプロバイオティック組成物は、食品もしくは栄養製品、例えばミルクもしくはホエイベースの発酵乳製品として、または医薬製品として経口で投与されてよい。
【0086】
組成物は、プロバイオティックとして調合されてよい。
【0087】
本発明の組成物は、治療有効量の本発明の細菌株を含む。治療有効量の細菌株は、患者への有益な効果を発揮するのに十分である。治療有効量の細菌株は、患者の腸への送達及び/または部分的もしくは全体的定着を結果として生じさせるのに十分であり得る。
【0088】
例えばヒト成人への細菌の好適な1日量は、約1×10~約1×1011個のコロニー形成単位(CFU);例えば、約1×10~約1×1010CFU;別の例において、約1×10~約1×1010CFU;別の例において、約1×10~約1×1011CFU;別の例において、約1×10~約1×1010CFU;別の例において、約1×10~約1×1011CFUであってよい。
【0089】
ある特定の実施形態において、細菌の用量は、少なくとも10細胞/日、例えば少なくとも1010、少なくとも1011、または少なくとも1012細胞/日である。
【0090】
ある特定の実施形態において、組成物は、組成物の重量に対して約1×10~約1×1011CFU/g;例えば約1×10~約1×1010CFU/gの量で細菌株を含有する。用量は、例えば、1g、3g、5g及び10gであってよい。
【0091】
典型的には、プロバイオティック、例えば本発明の組成物は、少なくとも1の好適なプレバイオティック化合物と任意選択的に組み合わされる。プレバイオティック化合物は、通常、上部消化管において分解または吸収されない、非消化性炭水化物、例えば、オリゴ-もしくは多糖、または糖アルコールである。公知のプレバイオティクスとして、市販品、例えば、インスリン及びトランスガラクト-オリゴ糖が挙げられる。
【0092】
ある特定の実施形態において、本発明のプロバイオティック組成物は、組成物の合計重量に対して約1~約30重量%(例えば、5~20重量%)の量でプレバイオティック化合物を含む。炭水化物は:フラクト-オリゴ糖(またはFOS)、短鎖フラクト-オリゴ糖、インスリン、イソマルト-オリゴ糖、ペクチン、キシロ-オリゴ糖(またはXOS)、キトサン-オリゴ糖(またはCOS)、β-グルカン、アラビアガム変性及び耐性デンプン、ポリデキストロース、D-タガトース、アカシアファイバ、イナゴマメ、オート麦、ならびにシトラスファイバ;からなる群から選択されてよい。一態様において、プレバイオティクスは短鎖フラクト-オリゴ糖(簡潔のために、以下本明細書においてFOSs-c.cと示す)であり;該FOSs-c.c.は、テンサイ糖の転換によって一般に得られ、3のグルコース分子が結合しているサッカロース分子を含んでいる消化性炭水化物ではない。
【0093】
本発明の組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含んでいてよい。かかる好適な賦形剤の例は、参照文献[30]において見出され得る。治療的使用のための許容可能な担体または希釈剤は、薬剤分野において周知されており、例えば参照文献[31]において記載されている。好適な担体の例として、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。好適な希釈剤の例として、エタノール、グリセロール及び水が挙げられる。医薬担体、賦形剤または希釈剤の選択は、意図する投与経路及び標準の薬務に関して選択され得る。医薬組成物は、上記担体、賦形剤または希釈剤として、またはこれに加えて、いずれの好適な結合剤(複数可)、潤滑剤(複数可)、懸濁剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、可溶化剤(複数可)を含んでいてもよい。好適な結合剤の例として、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコース、無水ラクトース、自由流動ラクトース、β-ラクトース、コーンシロップ、天然及び合成ガム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースならびにポリエチレングリコールが挙げられる。好適な潤滑剤の例として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。防腐剤、安定剤、染料、及びさらなる香味剤が医薬組成物において付与されていてよい。防腐剤の例として、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、システイン、及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられ、例えば、いくつかの実施形態において、防腐剤は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルから選択される。酸化防止剤及び懸濁剤が使用されてもよい。好適な担体のさらなる例は、サッカロースである。防腐剤のさらなる例は、システインである。
【0094】
本発明の組成物は、食品として調合されてよい。例えば、食品は、例えば栄養補助食品において、本発明の治療効果に加えて、栄養的利益を付与してよい。同様に、食品は、本発明の組成物の風味を向上するように、または組成物を、医薬組成物よりもむしろ、一般食料とより類似することによって、消費するのにより魅力的であるようにするように調合されてよい。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、ミルクベースの製品として調合される。用語「ミルクベースの製品」は、変動する脂肪分を有する、いずれの液体または半固体のミルク-またはホエイベースの製品も意味する。ミルクベースの製品は、例えば、ウシのミルク、ヤギのミルク、ヒツジのミルク、スキムミルク、ホールミルク、いずれの処理もしていない粉ミルク及びホエイからの還元ミルク、または加工品、例えばヨーグルト、凝固したミルク、カード、酸乳、酸全乳、バターミルク及び他の酸乳製品であり得る。別の重要な群として、ミルク飲料、例えばホエイ飲料、発酵乳、コンデンスミルク、乳幼児ミルク;フレーバーミルク、アイスクリーム;ミルク含有食品、例えば、スイーツが挙げられる。
【0095】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、Blautia属の1または2以上の細菌株を含み、いずれの他の属からの細菌も含有せず、または、ほんの僅少なもしくは生物学的に関連のない量の別の属からの細菌を含む。
【0096】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、単一の細菌株または種を含有し、いずれの他の細菌株または種も含有しない。かかる組成物は、ほんの僅少なまたは生物学的に関連のない量の他の細菌株または種を含んでいてよい。かかる組成物は、他の種の生物を実質的に含まない培養物であってよい。いくつかの実施形態において、かかる組成物は、他の種の生物を実質的に含まない凍結乾燥物であってよい。
【0097】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、Blautia属の1または2以上の細菌株、例えば、Blautia hydrogenotrophicaを含み、かついずれの他の細菌属も含有せず、またはほんの僅少なもしくは生物学的に関連のない量の別の属からの細菌を含む。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、単一のBlautia種、例えば、Blautia hydrogenotrophicaを含み、かついずれの他の細菌種も含有せず、またはほんの僅少なもしくは生物学的に関連のない量の別の種からの細菌を含む。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、Blautia、例えば、Blautia hydrogenotrophicaの単一株を含み、かついずれの他の細菌株もしくは種も含有せず、またはほんの僅少なまたは生物学的に関連のない量の別の株または種からの細菌を含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1を超える細菌株または種を含む。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同種内からの1を超える株(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40または45を超える株)を含み、任意選択的に、いずれの他の種からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同種内からの50未満の株(例えば、45、40、35、30、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4または3未満の株)を含み、任意選択的に、いずれの他の種からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同種内からの1~40、1~30、1~20、1~19、1~18、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~50、2~40、2~30、2~20、2~15、2~10、2~5、6~30、6~15、16~25、または31~50株を含み、任意選択的に、いずれの他の種からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同属内からの1を超える種(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20、23、25、30、35または40を超える種)を含み、任意選択的に、いずれの他の属からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同属内からの50未満の種(例えば、50、45、40、35、30、25、20、15、12、10、8、7、6、5、4または3未満の種)を含み、任意選択的に、いずれの他の属からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同属内からの1~50、1~40、1~30、1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~50、2~40、2~30、2~20、2~15、2~10、2~5、6~30、6~15、16~25、または31~50種を含み、任意選択的に、いずれの他の属からの細菌も含有しない。本発明は、上記のいずれの組み合わせも含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、組成物は、微生物共同体を含む。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、微生物共同体の一部としてBlautia細菌株を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Blautia細菌株は、腸において生体内で共生的に生きることができる、他の属からの1または2以上の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10、15または20の)他の細菌株と組み合わせて存在する。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、異なる属からの細菌株と組み合わせたBlautia hydrogenotrophicaの細菌株を含む。いくつかの実施形態において、微生物共同体は、単一の生物、例えば、ヒトの糞便サンプルから得られた2以上の細菌株を含む。いくつかの実施形態において、微生物共同体は、本来は一緒には見られない。例えば、いくつかの実施形態において、微生物共同体は、少なくとも2の異なる生物の糞便サンプルから得られた細菌株を含む。いくつかの実施形態において、該2の異なる生物は、同種、例えば、2の異なるヒトからのものである。いくつかの実施形態において、該2の異なる生物は、ヒト乳児及びヒト成人である。いくつかの実施形態において、該2の異なる生物は、ヒト及び非ヒト哺乳動物である。
【0100】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、受託番号DSM10507/14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株と同じ安全及び治療効能特性を有するが、受託番号DSM10507/14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株ではない、またはBlautia hydrogenotrophicaでもなくBlautiaでもない細菌株をさらに含む。
【0101】
本発明の組成物が1を超える細菌株、種または属を含むいくつかの実施形態において、個々の細菌株、種または属は、別々、同時または逐次投与用であってよい。例えば、組成物は、1を超える細菌株、種もしくは属の全てを含んでいてよく、または細菌株、種もしくは属は、別々に貯蔵されてよく、また、別々に、同時にもしくは逐次的に投与されてよい。いくつかの実施形態において、1を超える細菌株、種または属は、別々に貯蔵されているが、使用前に一緒に混合される。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明において使用される細菌株は、ヒト成人の糞便から得られる。本発明の組成物が1を超える細菌株を含むいくつかの実施形態において、細菌株の全てがヒト成人の糞便から得られ、または、他の細菌株が存在するとき、ほんの僅少な量で存在する。細菌は、ヒト成人の糞便から得られ本発明の組成物において使用された後に培養されてよい。
【0103】
いくつかの実施形態において、1または2以上のBlautia細菌株は、本発明の組成物において唯一の治療的活性剤(複数可)である。いくつかの実施形態において、組成物における細菌株(複数可)は、本発明の組成物において唯一の治療的活性剤(複数可)である。
【0104】
本発明による使用のための組成物は、販売承認を必要としてもしなくてもよい。
【0105】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記細菌株が凍結乾燥されている、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、上記細菌株が噴霧乾燥されている、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が、凍結乾燥または噴霧乾燥されており、また、生きている、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が、凍結乾燥または噴霧乾燥されており、また、生存可能である、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が、凍結乾燥または噴霧乾燥されており、また、腸に部分的または全体的に定着することが可能である、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が、凍結乾燥または噴霧乾燥されており、また、生存可能でありかつ腸に部分的または全体的に定着することが可能である、上記医薬組成物を提供する。
【0106】
いくつかの場合において、凍結乾燥または噴霧乾燥されている細菌株は、投与前に再構成される。いくつかの場合において、再構成は、本明細書に記載されている希釈剤の使用による。
【0107】
本発明の組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤または担体を含んでいてよい。
【0108】
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と;薬学的に許容可能な賦形剤、担体または希釈剤とを含む医薬組成物であって;細菌株が、必要とする対象に投与されるとき、Enterobacteriaceaeのレベルを低減する及び/またはEnterobacteriaceaeのレベルの上昇に関連する障害を治療するのに十分な量であり;該障害が、Enterobacteriaceaeのレベルの上昇に関連している、例えばクローン病、潰瘍性結腸炎、機能性消化不良、またはより好ましくは、IBS、もしくは下痢、胃腸炎、尿路感染症もしくは新生児髄膜炎である、上記医薬組成物を提供する。
【0109】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記医薬組成物であって、細菌株の量が、組成物の重量に対してグラム当たり約1×10~約1×1011個のコロニー形成単位である、上記医薬組成物を提供する。
【0110】
ある特定の実施形態において、本発明は、1g、3g、5gまたは10gの用量で投与される、上記医薬組成物を提供する。
【0111】
ある特定の実施形態において、本発明は、経口、直腸、皮下、鼻、頬側、及び舌下からなる群から選択される方法によって投与される、上記医薬組成物を提供する。
【0112】
ある特定の実施形態において、本発明は、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール及びソルビトールからなる群から選択される担体を含む上記医薬組成物を提供する。
【0113】
ある特定の実施形態において、本発明は、エタノール、グリセロール及び水からなる群から選択される希釈剤を含む上記医薬組成物を提供する。
【0114】
ある特定の実施形態において、本発明は、デンプン、ゼラチン、グルコース、無水ラクトース、自由流動ラクトース、β-ラクトース、コーンシロップ、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウムからなる群から選択される賦形剤を含む、上記医薬組成物を提供する。
【0115】
ある特定の実施形態において、本発明は、防腐剤、酸化防止剤及び安定剤の少なくとも1つをさらに含む、上記医薬組成物を提供する。
【0116】
ある特定の実施形態において、本発明は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルからなる群から選択される防腐剤を含む、上記医薬組成物を提供する。
【0117】
ある特定の実施形態において、本発明の医薬組成物であって、いずれの鉱物も含まず、または、より詳細には、33を超える原子番号を有するいずれの金属も含まず、例えば、セレン、モリブデン、タングステン、セレン化合物、モリブデン化合物及びタングステン化合物からなる群からのいずれの鉱物も含まない、上記組成物を提供する。
【0118】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記細菌株が凍結乾燥されている、上記医薬組成物を提供する。
【0119】
ある特定の実施形態において、本発明は、組成物が約4℃または約25℃で密閉容器に貯蔵されて容器が50%の相対湿度を有する雰囲気に置かれているとき、コロニー形成単位で測定される細菌株の少なくとも80%が、少なくとも約1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年または3年の期間の後に残存している、上記医薬組成物を提供する。
【0120】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本明細書に記載されている組成物を含む密閉容器において付与される。いくつかの実施形態において、密閉容器は、サチェまたはボトルである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本明細書に記載されている組成物を含むシリンジにおいて付与される。
【0121】
本発明の組成物は、いくつかの実施形態において、医薬製剤として付与されてよい。例えば、組成物は、錠剤またはカプセルとして提供されてよい。いくつかの実施形態において、カプセルは、ゼラチンカプセル(「gel-cap」)である。
【0122】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、経口投与される。経口投与は、嚥下を含んでいてよく、その結果、化合物が、胃腸管に入ることになり、かつ/または頬側、舌側、もしくは舌下投与によって化合物が口から直接血流に入ることになる。
【0123】
経口投与に好適な医薬製剤として、固体プラグ、固体微粒子状物、半固体及び液体(多相及び分散系を含む)、例えば錠剤;多-またはナノ-粒子状物を含有する軟質または硬質カプセル、液体(例えば、水溶液)、エマルジョンまたは粉末;ロゼンジ(液体が充填されたものを含む);咀嚼剤;ゲル;急速分散剤形;フィルム;膣坐剤;スプレー;ならびに頬側/粘膜接着パッチが挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、腸溶性製剤、すなわち、経口投与による腸への本発明の組成物の送達に好適である胃耐性製剤(例えば、胃のpHに耐性)である。腸溶性製剤は、組成物の細菌または別の成分が酸感受性である、例えば、胃条件下で分解しやすいとき、特に有用であり得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、腸溶性製剤は、腸溶性コーティングを含む。いくつかの実施形態において、該製剤は、腸溶性コーティングされた剤形である。例えば、該製剤は、腸溶性コーティングされた錠剤または腸溶性コーティングされたカプセルなどであってよい。腸溶性コーティングは、経口送達のための従来の腸溶性コーティング、例えば、錠剤、カプセルなどのための従来のコーティングであってよい。該製剤は、フィルムコーティング、例えば、腸溶性ポリマー、例えば酸不溶性ポリマーの薄膜層を含んでいてよい。
【0126】
いくつかの実施形態において、腸溶性製剤は、本質的に腸溶性であり、例えば、腸溶性コーティングを必要とすることない胃耐性である。そのため、いくつかの実施形態において、該製剤は、腸溶性コーティングを含まない腸溶性製剤である。いくつかの実施形態において、該製剤は、熱ゲル化材料から作製されたカプセルである。いくつかの実施形態において、熱ゲル化材料は、セルロース系材料、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。いくつかの実施形態において、カプセルは、いずれのフィルム形成ポリマーも含有しないシェルを含む。いくつかの実施形態において、カプセルは、シェルを含み、該シェルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、いずれのフィルム形成ポリマーも含まない(例えば、[32]を参照されたい)。いくつかの実施形態において、該製剤は、本質的に腸溶性のカプセル(例えば、Capsugel製Vcaps(登録商標))である。
【0127】
いくつかの実施形態において、該製剤は、軟質カプセルである。軟質カプセルは、カプセルシェルに存在する軟化剤、例えば、グリセロール、ソルビトール、マルチトール及びポリエチレングリコールなどの添加のおかげで、ある特定の弾性及び柔軟性を有し得るカプセルである。軟質カプセルは、例えば、ゼラチンまたはデンプンベースで製造され得る。ゼラチンベースの軟質カプセルは、種々の供給者から市販されている。例えば経口または経直腸などの投与方法に応じて、軟質カプセルは、種々の形状を有することができ、例えば、円形、楕円形、長方形または魚雷型であり得る。軟質カプセルは、従来のプロセス、例えば、Schererプロセス、Accogelプロセスまたは液滴もしくは発泡プロセスなどによって製造され得る。
【0128】
培養方法
本発明における使用のための細菌株は、例えば、参照文献[33-35]に詳述されている標準の微生物学的技術を使用して培養され得る。
【0129】
培養に使用される固体または液体培地は、例えば、YCFA寒天またはYCFA培地であってよい。YCFA培地として(100ml当たりの近似値):Casitone(1.0g)、酵母エキス(0.25g)、NaHCO(0.4g)、システイン(0.1g)、KHPO(0.045g)、KHPO(0.045g)、NaCl(0.09g)、(NHSO(0.09g)、MgSO・7HO(0.009g)、CaCl(0.009g)、レザズリン(0.1mg)、ヘミン(1mg)、ビオチン(1μg)、コバラミン(1μg)、p-アミノ安息香酸(3μg)、葉酸(5μg)、及びピリドキサミン(15μg)を挙げることができる。
【0130】
総則
本発明の実施は、別途示さない限り、当業者の範囲内の、化学、生化学、分子生物、免疫学及び薬理学の従来の方法を用いる。かかる技術は、文献において完全に説明されている。例えば、参照文献[36-43]などを参照されたい。
【0131】
用語「comprising(含む)」は、「including(含む)」及び「consisting(からなる)」を包含し、例えば、組成物がXを「comprising(含む)」は、Xから排他的になってもよく、またはさらなる何か、例えば、X+Yを含んでいてもよい。
【0132】
数値xに関係する用語「約」は、任意選択的であり、例えば、x±10%を意味する。
【0133】
語「実質的に」は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてよい。必要に応じて、語「実質的に」は、本発明の定義から省略されてよい。
【0134】
2つのヌクレオチド配列間の百分率の配列同一性への言及は、整列しているとき、ヌクレオチドの百分率が、2つの配列を比較したときに同じであることを意味する。このアラインメント及びパーセント相同性または配列同一性は、当該分野において公知のソフトウエアプログラム、例えば、参照文献[44]のセクション7.7.18に記載されているものを使用して決定され得る。好ましいアラインメントは、12のギャップオープンペナルティ及び2のギャップエクステンションペナルティ、62のBLOSUMマトリクスによるアフィンギャップ検索を使用してSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。Smith-Waterman相同性検索アルゴリズムは、参照文献[45]に開示されている。
【0135】
特に記述されていない限り、多数のステップを含むプロセスまたは方法は、方法の開始及び終了時にさらなるステップを含んでいてよく、またはさらなる介在するステップを含んでいてよい。また、ステップは、適切な場合、代替の順序で、組み合わされ、省略され、または実施されてよい。
【0136】
本発明の種々の実施形態は本明細書に記載されている。各実施形態において特定されている特徴は、他の特定されている特徴と組み合わされて、さらなる実施形態を付与してよいことが認識される。特に、好適な、典型的なまたは好ましいとして本明細書において強調されている実施形態は、互いに組み合わされてよい(これらが互いに排他的であるときを除く)。
【実施例
【0137】
本発明を実施するための形態
実施例1-IBSの腸の微生物叢を持つラットへの細菌接種の投与
概要
ラットに、ヒトIBS対象からの糞便微生物叢を接種した。次いで、ラットに、本発明による細菌株を含む組成物を投与し、Blautia hydrogenotrophicaによる定着を分析した。
【0138】

Blautia hydrogenotrophica(BH)株DSM10507/14294。
【0139】
組成物及び投与
BHまたは凍結乾燥物-経口胃管栄養法によって投与
対照溶液を経口胃管栄養法によって投与
【0140】
ラット
IBS対象からのヒト腸微生物叢を接種した。
【0141】
研究デザイン
14日目-ラットにIBS対象からのヒト腸微生物叢を接種した
0~28日目-BHもしくは凍結乾燥物、または対照溶液を連日投薬
0、14及び28日目-糞便サンプル中のBH集団のqPCR
【0142】
結果
図1は、対照溶液(IBS)またはBH凍結乾燥物(IBS+BH)を投与したラットからの糞便サンプル中のBH集団のqPCR分析の結果を表す。BH集団の増加は、ラットにBH凍結乾燥物が与えられた14及び28日目に見られ、成功裏の定着が確認された。
【0143】
結論
Blautia hydrogenotrophicaを含む組成物の投与は、成功裏の定着をもたらした。
【0144】
実施例2-健常なラット対する細菌凍結乾燥物の投与及びEnterobacteriaceaeに対する効果
健常なHIMラットに対するBlautia hydrogenotrophica(BH)株DSM10507/14294の凍結乾燥物の投与の効果を研究した。結果を図2~5に報告する。実験に関するさらなる詳細は図の説明において上記に付与している。図2は、ラットにおけるBHの適切な用量が10細胞/日以上であることを示している。図3は、これらの実験においてBHがラット消化管に永久には定着しなかったことを示している。図4は、BHが盲腸において主に見られることを示している。顕著には、図5は、BHの投与がqPCRによって検出されているようにラット糞便におけるEnterobacteriaceaeの統計的に有意な低減を示している。
【0145】
実施例3-IBSのラットモデルにおける細菌凍結乾燥物の投与
IBSのラットモデルに対するBlautia hydrogenotrophica(BH)株DSM10507/14294の凍結乾燥物の投与の効果をさらに調査した。無菌ラットにC-IBS(便秘あり)またはU-IBS(非亜型)患者からの糞便サンプルを接種した。結果は図6に報告されており、実験に関するさらなる詳細は図の説明において上記に付与している。図6において、BH凍結乾燥物の投与が主にE.coliであるEnterobacteriaceaeの統計的に有意な低減を引き起こすことが確認されている。予期されるように、BHの増加もまた観察される。
【0146】
実施例4-患者の微生物叢のBlautia hydrogenotrophicaの比較
Blautia hydrogenotrophica(受託番号DSM10507/14294でも寄託されている株「Blautix」)を、過敏性腸症候群(IBS)を有するヒト患者に投与する第一相臨床試験を行った。患者にBlautixを投与期間(1~16日目)に投与し、ウオッシュアウト期間が19~23日目であった。Blautixは、安全かつ耐容性良好の両方であることが分かった。患者の微生物叢のBlautia hydrogenotrophica(Blautix)を研究の1日目、16日目、及び最後(EOS)に測定した。結果は以下の通りである:
表1:

【0147】
分析は、患者の排せつ物サンプルにおけるBlautia hydrogenotropicaレベルの傾向を示す(図7aを参照されたい)。Blautixを与えられた参加者では、投与期間後(16日目)の排せつ物サンプルにおいて細菌のレベルが増加した。このことは、腸へのBlautixの成功裏の送達を実証している。これらのレベルは、ウオッシュアウト期間後(研究の最後;EOS)に正常に戻る。このように、Blautixは、投薬を一旦中止したら、腸に永久には定着しない。観察は両方とも前臨床モデルと一致している。
【0148】
実施例5-患者の微生物叢のEnterobacteriaの比較
患者の微生物叢のEnterobacteriaもまた、第一相臨床試験の際、1日目、16日目及び研究の最後に測定した。結果は以下の通りである:

【0149】
分析は、患者の排せつ物サンプルにおけるEnterobacteriaレベルの傾向を示す(図7bを参照されたい)。Blautixで処置したIBS患者は、Enterobacteriaが低減した。これは、前臨床モデルからの観察と一致している。
【0150】
実施例6-水素呼気試験結果
呼気の水素レベルは、Blautix活性のバイオマーカーである-MoAは、酢酸を産生する内因性Hの代謝を含む。ヒト対象にラクツロースを投与し、水素(H)レベル(Cmax)を4つの時点:1日目、2日目、15日目及び16日目;でサンプリングした。水素の未補正の結果を、水素の補正された結果に変換した。
【0151】
いくらかの患者を分析から除外した。対象を水素呼気試験分析に含まない3つの理由があった:1)これらは、4つのサンプリング日のうち1つにおいてCMAXの水素呼気試験結果が<20であり、そのため、該試験に対応していないと判断した;2)これらは、メタン産生体であった(呼気試験において水素よりもメタンをより産生するとされた)、このことは、水素応答に影響する;かつ/または3)水素呼気試験において異常値があった(232ppm)。対象3.12(Blautix)、3.24(Blautix)、4.07(Blautix)を非応答体として除外した。対象3.03(Blautix)及び3.08(プラセボ)をメタン産生体として除外した(上記で除外されると言及されている4.07もまた、メタン産生体であった)。対象4.09(プラセボ)を異常値に起因して除外した。
【0152】
投与期間の最後(15/16日目)からの補正された水素の分析の結果をベースライン(1/2日目)からの結果と比較した。Blautixが与えられた12患者のうち10患者(83%)において、この期間にわたって水素レベルが低減した(図8a及び8c)。対照的に、プラセボが与えられた6患者のうち3患者(50%)において、水素レベルが低減した(図8b及び8c)。
【0153】
図9は、Blautix(Verum)処置群に関する未補正及び補正された水素結果を、該結果の統計的分析と一緒に示す。未補正及び補正されたHの両方に関する平均値は、1日目と15日目との間で異なることが見出された。処置の13.5日後、Cmax呼気試験においてHの統計的に有意な(p<0.05)現象が、ラクツロース刺激の後に検出された。対照的に、プラセボ群では、平均は、1日目及び15日目で等しいことが見出された(p>0.05)(図10)。このように、未補正の水素結果及び補正された水素結果の両方について、処置群(VERUM群とも称される)での平均は、1日目と15日目との間で減少するが、プラセボ群での平均は、1日目と15日目との間で等しい(図11)。
【0154】
実施例7-安定性試験
本明細書に記載されている少なくとも1つの細菌株を含有する本明細書に記載されている組成物を、25℃または4℃の密閉容器に貯蔵し、該容器を30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%または95%の相対湿度を有する雰囲気に置く。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年または3年後、標準のプロトコルによって決定されるコロニー形成単位で測定したとき、細菌株の少なくとも50%、60%、70%、80%または90%が残存する。
【0155】
実施例8-B.hydrogenotrophicaがヒト細菌叢関連ラット(HMAラット)モデルにおいて微生物叢を変更する能力
概要
16匹の無菌ラット群(対照群における8匹のラットと処置群における8匹のラットとを含む)にヒトIBS対象からの糞便微生物叢を接種した(IBS-HMAラット)。3つの連続実験を3の異なるIBS患者からの糞便サンプルを使用して実施した。2つの他のラット群(n=10)に、健常な対象(n=2対象;2つの健常なHMAラット群)の糞便サンプルを対照として接種した。こうして、24のIBS-微生物叢関連ラット(対照)、Blautixで処置した24のIBS微生物叢関連ラット、及び20の健常な微生物叢関連ラットとした。IBS-HMAラットの半分に、本発明によるB.hydrogenotrophicaの細菌株を含む組成物を28日間投与しながら、他の半分の動物には対照溶液を与えた。投与後28日目に、IBS患者において影響されることが以前に見出されている、糞便微生物叢からの微生物のレベルを分析した。
【0156】

Blautia hydrogenotrophica(BH)株DSM10507/14294。
【0157】
組成物及び投与
BH凍結乾燥物を1010細菌/mlの濃度で無菌鉱液に懸濁した。2mlのこの懸濁液を経口胃管栄養法によって28日間、IBS-HMAラットごとに連日投与した。
【0158】
対照溶液は、IBS-HMAラットの対照群に経口胃管栄養法によって連日投与した(2ml/ラット)無菌鉱液であった。
【0159】
ラット
無菌雄Fisherラット(10週齢)にIBS対象(IBS-HMAラット)からのヒト糞便微生物叢を接種した。16匹のラットに同じヒト糞便接種材料を接種した。3つの連続実験を3つの異なるIBS対象からの糞便サンプルによって実施した。10匹のラットのうちの2つの他の群に2の健常な対象(正常な感度の対照群)からの糞便サンプルを接種した。
【0160】
研究デザイン
14日目-ヒト糞便微生物叢を無菌ラットに接種。
0~28日目-経口胃管栄養法によりBH凍結乾燥物(アッセイ群)または対照溶液(対照群)を連日投薬
0、14及び28日目-微生物の分析用の糞便サンプルの収集:BH集団及び他の片利共生微生物群の評価のためのqPCR、ならびに選択培地及び偏性嫌気性方法を使用した微生物の機能群の計数。
【0161】
結果
図12は、対照溶液またはBH凍結乾燥物が与えられたIBS-HMAラットからの糞便サンプルのB.hydrogenotrophica集団のqPCR分析の結果を表す。BH凍結乾燥物が与えられたラットにおいて投与期間の最後(28日目)にBH集団の有意な増加が観察され、結腸におけるBHの成功裏の送達を確認した。
【0162】
図13は、IBS患者において影響されることが以前に見出されている、糞便微生物叢におけるある特定の微生物群に対するB.hydrogenotrophicaの投与の効果について報告する。Enterobacteriaceae種のレベルは、B.hydrogenotrophica投与後に低減した。
【0163】
結論
Blautia hydrogenotrophicaの投与は、Enterobacteriaceaeの低減を結果として生じさせた。
【0164】
実施例9-第一相臨床試験の際の患者の症状の変化
Blautia hydrogenotrophica(受託番号DSM10507及び受託番号DSM14294でも寄託されている株「Blautix」)を、過敏性腸症候群(IBS)を有するヒト患者に投与する第一相臨床試験を行った。患者にBlautixを投与期間(1~16日目)に投与し、ウオッシュアウト期間が19~23日目であった。Blautixは、安全かつ耐容性良好の両方であることが分かった。4つの症状をモニタリングし、そのうちの1つが下痢であった。研究において、患者がこれらの症状の改善を経験したか、変化が無かったか、または悪化したかを記録した。Blautixが投与された患者からの結果を、プラセボが投与された患者を使用して得たものと比較した。症状を3つの時点:研究の1日目、15/16日目、及び最後;でモニタニングした。結果を図14及び15に示す。
【0165】
16日目の患者の報告されている症状を、1日目からのベースラインと比較したとき、Blautixが与えられた17のIBS患者の82%において症状の改善が報告された(図14)。その1つが下痢である症状の改善は、下痢を治療または予防するためのBlautixの使用をサポートする。
【0166】
プラセボが与えられた患者の50%において症状の改善が報告された(図14)。高いプラセボ応答率は、IBS臨床研究において、確立された現象である。プラセボよりもかなり小さい改善を基準にしてIBSを治療するXifaxanが最近承認された(http://www.accessdata.fda.gov/spl/data/5ab6fceb-4d22-4480-81fc-8bc28c16770d/5ab6fceb-4d22-4480-81fc-8bc28c16770d.xmlを参照されたい)。
【0167】
投薬完了時(16日目)に存在する症状と比較した研究完了時(19~23日目)の症状の悪化は、本明細書に提示されている教示を基準にして予期される。この症状の悪化は、第一相臨床試験において見られ:IBS患者の41%においてBlautix投薬の中止後に症状の悪化が報告された(図15)。Blautix投薬の中止後の、その1つが下痢である症状の悪化もまた、そのため、下痢を治療または予防する際のBlautixの使用をサポートする。
【0168】
配列
配列番号1(Blautia stercoris株GAM6-1 16SリボソームRNA遺伝子、部分配列-HM626177)
1 tgcaagtcga gcgaagcgct tacgacagaa ccttcggggg aagatgtaag ggactgagcg
61 gcggacgggt gagtaacgcg tgggtaacct gcctcataca gggggataac agttggaaac
121 ggctgctaat accgcataag cgcacggtat cgcatgatac agtgtgaaaa actccggtgg
181 tatgagatgg acccgcgtct gattagctag ttggaggggt aacggcccac caaggcgacg
241 atcagtagcc ggcctgagag ggtgaacggc cacattggga ctgagacacg gcccagactc
301 ctacgggagg cagcagtggg gaatattgca caatggggga aaccctgatg cagcgacgcc
361 gcgtgaagga agaagtatct cggtatgtaa acttctatca gcagggaaga aaatgacggt
421 acctgactaa gaagccccgg ctaactacgt gccagcagcc gcggtaatac gtagggggca
481 agcgttatcc ggatttactg ggtgtaaagg gagcgtagac ggaagagcaa gtctgatgtg
541 aaaggctggg gcttaacccc aggactgcat tggaaactgt ttttcttgag tgccggagag
601 gtaagcggaa ttcctagtgt agcggtgaaa tgcgtagata ttaggaggaa caccagtggc
661 gaaggcggct tactggacgg taactgacgt tgaggctcga aagcgtgggg agcaaacagg
721 attagatacc ctggtagtcc acgccgtaaa cgatgaatac taggtgttgg ggagcaaagc
781 tcttcggtgc cgcagcaaac gcaataagta ttccacctgg ggagtacgtt cgcaagaatg
841 aaactcaaag gaattgacgg ggacccgcac aagcggtgga gcatgtggtt taattcgaag
901 caacgcgaag aaccttacca agtcttgaca tcgatctgac cggttcgtaa tggaaccttt
961 ccttcgggac agagaagaca ggtggtgcat ggttgtcgtc agctcgtgtc gtgagatgtt
1021 gggttaagtc ccgcaacgag cgcaacccct atcctcagta gccagcaggt gaagctgggc
1081 actctgtgga gactgccagg gataacctgg aggaaggcgg ggacgacgtc aaatcatcat
1141 gccccttatg atttgggcta cacacgtgct acaatggcgt aaacaaaggg aagcgagccc
1201 gcgaggggga gcaaatccca aaaataacgt cccagttcgg actgcagtct gcaactcgac
1261 tgcacgaagc tggaatcgct agtaatcgcg aatcagaatg tcgcggtgaa tacgttcccg
1321 ggtcttgtac acaccgcccg tcacaccatg ggagtcagta acgcccgaag tc
【0169】
配列番号2(Blautia wexlerae株WAL14507 16SリボソームRNA遺伝子、部分配列-EF036467)
1 caagtcgaac gggaattant ttattgaaac ttcggtcgat ttaatttaat tctagtggcg
61 gacgggtgag taacgcgtgg gtaacctgcc ttatacaggg ggataacagt cagaaatggc
121 tgctaatacc gcataagcgc acagagctgc atggctcagt gtgaaaaact ccggtggtat
181 aagatggacc cgcgttggat tagcttgttg gtggggtaac ggcccaccaa ggcgacgatc
241 catagccggc ctgagagggt gaacggccac attgggactg agacacggcc cagactccta
301 cgggaggcag cagtggggaa tattgcacaa tgggggaaac cctgatgcag cgacgccgcg
361 tgaaggaaga agtatctcgg tatgtaaact tctatcagca gggaagatag tgacggtacc
421 tgactaagaa gccccggcta actacgtgcc agcagccgcg gtaatacgta gggggcaagc
481 gttatccgga tttactgggt gtaaagggag cgtagacggt gtggcaagtc tgatgtgaaa
541 ggcatgggct caacctgtgg actgcattgg aaactgtcat acttgagtgc cggaggggta
601 agcggaattc ctagtgtagc ggtgaaatgc gtagatatta ggaggaacac cagtggcgaa
661 ggcggcttac tggacggtaa ctgacgttga ggctcgaaag cgtggggagc aaacaggatt
721 agataccctg gtagtccacg ccgtaaacga tgaataacta ggtgtcgggt ggcaaagcca
781 ttcggtgccg tcgcaaacgc agtaagtatt ccacctgggg agtacgttcg caagaatgaa
841 actcaaagga attgacgggg acccgcacaa gcggtggagc atgtggttta attcgaagca
901 acgcgaagaa ccttaccaag tcttgacatc cgcctgaccg atccttaacc ggatctttcc
961 ttcgggacag gcgagacagg tggtgcatgg ttgtcgtcag ctcgtgtcgt gagatgttgg
1021 gttaagtccc gcaacgagcg caacccctat cctcagtagc cagcatttaa ggtgggcact
1081 ctggggagac tgccagggat aacctggagg aaggcgggga tgacgtcaaa tcatcatgcc
1141 ccttatgatt tgggctacac acgtgctaca atggcgtaaa caaagggaag cgagattgtg
1201 agatggagca aatcccaaaa ataacgtccc agttcggact gtagtctgca acccgactac
1261 acgaagctgg aatcgctagt aatcgcggat cagaatgccg cggtgaatac gttcccgggt
1321 cttgtacaca ccgcccgtca caccatggga gtcagtaacg cccgaagtca gtgacctaac
1381 tgcaaagaag gagctgccga aggcgggacc gatgactggg gtgaagtcgt aacaaggt
【0170】
配列番号3(Blautia stercoris株830に関するコンセンサス16S rRNA配列)
TTTKGTCTGGCTCAGGATGAACGCTGGCGGCGTGCTTAACACATGCAAGTCGAGCGAAGCGCTTACGACAGAACCTTCGGGGGAAGATGTAAGGGACTGAGCGGCGGACGGGTGAGTAACGCGTGGGTAACCTGCCTCATACAGGGGGATAACAGTTGGAAACGGCTGCTAATACCGCATAAGCGCACAGTATCGCATGATACAGTGTGAAAAACTCCGGTGGTATGAGATGGACCCGCGTCTGATTAGCTAGTTGGAGGGGTAACGGCCCACCAAGGCGACGATCAGTAGCCGGCCTGAGAGGGTGAACGGCCACATTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGGGAAACCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAAGGAAGAAGTATCTCGGTATGTAAACTTCTATCAGCAGGGAAGAAAATGACGGTACCTGACTAAGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCAAGCGTTATCCGGATTTACTGGGTGTAAAGGGAGCGTAGACGGAAGAGCAAGTCTGATGTGAAAGGCTGGGGCTTAACCCCAGGACTGCATTGGAAACTGTTTTTCTTGAGTGCCGGAGAGGTAAGCGGAATTCCTAGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTAGGAGGAACACCAGTGGCGAAGGCGGCTTACTGGACGGTAACTGACGTTGAGGCTCGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAATACTAGGTGTTGGGGAGCAAAGCTCTTCGGTGCCGCAGCAAACGCAATAAGTATTCCACCTGGGGAGTACGTTCGCAAGAATGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGACCCGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTATTCGAAGCAACGCGAAGAACCTTAC
CAAGTCTTGACATCGATCTGACCGGTTCGTAATGGAACCTTTCCTTCGGGACAGAGAAGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCCTATCGTCAGTAGCCAGCAGGTAAAGCTGGGCACTCTGAGGAGACTGCCAGGGATAACCTGGAGGAAGGCGGGGACGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGATTTGGGCTACACACGTGCTACAATGGCGTAAACAAAGGGAAGCGAGCCCGCGAGGGGGAGCAAATCCCAAAAATAACGTCCCAGTTCGGACTGCAGTCTGCAACTCGACTGCACGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGCGAATCAGAATGTCGCGGTGAATACGTTCCCGGGTCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGGGAGTCAGTAACGCCCGAAGTCAGTGACCCAACCTTAGGGAGGGAGCTGCCGAAGGCGGGATTGATAACTGGGGTGAAGTCTAGGGGGT
【0171】
配列番号4(Blautia wexlerae株MRX008に関するコンセンサス16S rRNA配列)
TTCATTGAGACTTCGGTGGATTTAGATTCTATTTCTAGTGGCGGACGGGTGAGTAACGCGTGGGTAACCTGCCTTATACAGGGGGATAACAGTCAGAAATGGCTGCTAATACCGCATAAGCGCACAGAGCTGCATGGCTCAGTGTGAAAAACTCCGGTGGTATAAGATGGACCCGCGTTGGATTAGCTTGTTGGTGGGGTAACGGCCCACCAAGGCGACGATCCATAGCCGGCCTGAGAGGGTGAACGGCCACATTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGGGAAACCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAAGGAAGAAGTATCTCGGTATGTAAACTTCTATCAGCAGGGAAGATAGTGACGGTACCTGACTAAGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCAAGCGTTATCCGGATTTACTGGGTGTAAAGGGAGCGTAGACGGTGTGGCAAGTCTGATGTGAAAGGCATGGGCTCAACCTGTGGACTGCATTGGAAACTGTCATACTTGAGTGCCGGAGGGGTAAGCGGAATTCCTAGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTAGGAGGAACACCAGTGGCGAAGGCGGCTTACTGGACGGTAACTGACGTTGAGGCTCGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAATACTAGGTGTCNGGGGAGCATGGCTCTTCGGTGCCGTCGCAAACGCAGTAAGTATTCCACCTGGGGAGTACGTTCGCAAGAATGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGACCCGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGAAGCAACGCGAAGAACCTTACCAAGTCTTGACATCCGCCTGACCGATCCTTAACCGGATCTTTCCTTCGGGACAGGCGAGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCCTATCCTCAGTAGCCAGCATTTAAGGTGGGCACTCTGGGGAGACTGCCAGGGATAACCTGGAGGAAGGCGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGATTTGGGCTACACACGTGCTACAATGGCGTAAACAAAGGGAAGCGAGATCGTGAGATGGAGCAAATCCCAAAAATAACGTCCCAGTTCGGACTGTAGTCTGCAACCCGACTACACGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGCGGATCAGAATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGTCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGGGAGTCAGTAACGCCCGAAGTCAGTGACCTAACTGCAAAGAAGGAGCTGCCGAA
【0172】
配列番号5(Blautia hydrogenotrophica株S5a36 16SリボソームRNA遺伝子、部分配列-X95624.1)
1 gatgaacgct ggcggcgtgc ttaacacatg caagtcgaac gaagcgatag agaacggaga
61 tttcggttga agttttctat tgactgagtg gcggacgggt gagtaacgcg tgggtaacct
121 gccctataca gggggataac agttagaaat gactgctaat accgcataag cgcacagctt
181 cgcatgaagc ggtgtgaaaa actgaggtgg tataggatgg acccgcgttg gattagctag
241 ttggtgaggt aacggcccac caaggcgacg atccatagcc ggcctgagag ggtgaacggc
301 cacattggga ctgagacacg gcccaaactc ctacgggagg cagcagtggg gaatattgca
361 caatggggga aaccctgatg cagcgacgcc gcgtgaagga agaagtatct cggtatgtaa
421 acttctatca gcagggaaga aagtgacggt acctgactaa gaagccccgg ctaattacgt
481 gccagcagcc gcggtaatac gtaaggggca agcgttatcc ggatttactg ggtgtaaagg
541 gagcgtagac ggtttggcaa gtctgatgtg aaaggcatgg gctcaacctg tggactgcat
601 tggaaactgt cagacttgag tgccggagag gcaagcggaa ttcctagtgt agcggtgaaa
661 tgcgtagata ttaggaggaa caccagtggc gaaggcggcc tgctggacgg taactgacgt
721 tgaggctcga aagcgtgggg agcaaacagg attagatacc ctggtagtcc acgctgtaaa
781 cgatgaatac taggtgtcgg gtggcaaagc cattcggtgc cgcagcaaac gcaataagta
841 ttcccacctg gggagtacgt tcgcaagaat gaaactcaaa ggaattgacg gggacccgca
901 caagcggtgg agcatgtggt ttaattcgaa gcaacgcgaa gaaccttacc aaatcttgac
961 atccctctga ccgggaagta atgttccctt ttcttcggaa cagaggagac aggtggtgca
1021 tggttgtcgt cagctcgtgt cgtgagatgt tgggttaagt cccgcaacga gcgcaaccct
1081 tattcttagt agccagcagg tagagctggg cactctaggg agactgccag ggataacctg
1141 gaggaaggtg gggatgacgt caaatcatca tgccccttat gatttgggct acacacgtgc
1201 tacaatggcg taaacaaagg gaagcgaagg ggtgacctgg agcaaatctc aaaaataacg
1261 tctcagttcg gattgtagtc tgcaactcga ctacatgaag ctggaatcgc tagtaatcgc
1321 gaatcagaat gtcgcggtga atacgttccc gggtcttgta cacaccgccc gtcacaccat
1381 gggagtcagt aacgcccgaa gtcagtgacc caaccnaaag gagggagctg ccgaaggtgg
1441 gactgataac tggggtga
【0173】
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図8a
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【配列表】
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