(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】仕切体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20221003BHJP
B65D 5/495 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B65D81/02
B65D5/495
(21)【出願番号】P 2020073738
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】502215476
【氏名又は名称】豊田段ボール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161229
【氏名又は名称】加藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 智康
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3151176(JP,U)
【文献】登録実用新案第3171196(JP,U)
【文献】特開2005-53549(JP,A)
【文献】実公昭39-028490(JP,Y1)
【文献】実公昭60-7308(JP,Y2)
【文献】中国特許第101450733(CN,B)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0121256(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/00-81/17
B65D 5/48-5/499
B65D 25/04
B65D 71/24-71/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に係合片が形成された第1の仕切板と、板面に前記係合片が挿通される係合用スリット孔が形成された第2の仕切板と、を互いに直角に交差連結して構成される仕切体であって、
前記係合片の上部には、第1係止部が形成されており、
前記第2の仕切板には、水平方向に折り目が形成され、上部全体が外側に折れ曲がるようになっており、
前記係合片を前記係合用スリット孔に挿通し、前記第2の仕切板の上部を折り曲げると、折り返されて下向きとなった前記第2の仕切板の上端と前記第1係止部とが互いに係止され、前記第1の仕切板が前記第2の仕切板に対し抜け止め状態となる仕切体。
【請求項2】
前記第1の仕切板及び前記第2の仕切板は、段ボール又はプラスチック段ボールである請求項1に記載の仕切体。
【請求項3】
前記係合用スリット孔は、前記係合片を挿通しやすいように、上方向及び上部の左右方向にクリアランスを持たせてある請求項1及び請求項2に記載の仕切体。
【請求項4】
前記第2の仕切板の上端には、前記第1係止部と互いに係止される位置に、第2係止部が形成されている請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の仕切体。
【請求項5】
前記係合用スリット孔は、上端が前記折り目を越えて延びている請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の仕切体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を梱包や収納する際に用いる仕切体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の仕切体として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。これによれば、組立て作業性に優れ、抜け止め保持力も強くすることができる。
【0003】
しかし、組立てに要する時間については、さらなる短縮が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、仕切体の組立てに要する時間を短縮することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る仕切体は、
先端部に係合片が形成された第1の仕切板と、板面に前記係合片が挿通される係合用スリット孔が形成された第2の仕切板と、を互いに直角に交差連結して構成される仕切体であって、
前記係合片の上部には、第1係止部が形成されており、
前記第2の仕切板には、水平方向に折り目が形成され、上部全体が外側に折れ曲がるようになっており、
前記係合片を前記係合用スリット孔に挿通し、前記第2の仕切板の上部を折り曲げると、折り返されて下向きとなった前記第2の仕切板の上端と前記第1係止部とが互いに係止され、前記第1の仕切板が前記第2の仕切板に対し抜け止め状態となることを要旨とする。
なお、ここでいう上下方向や外側というのは、本発明に係る仕切体が組み立てられた状態で、物品を入れる開口部が上を向いている状態を基準にするものとする。
【0007】
また、前記第1の仕切板及び前記第2の仕切板は、段ボール又はプラスチック段ボールとしてもよい。これにより、軽量で強度及び緩衝性に優れたものとなる。
【0008】
また、前記係合用スリット孔は、前記係合片を挿通しやすいように、上方向及び上部の幅方向にクリアランスを持たせてもよい。
【0009】
また、前記第2仕切板の上端には、前記第1係止部と互いに係止される位置に、第2係止部が形成されていてもよい。
【0010】
また、前記係合用スリット孔は、上端が前記折り目を越えて延びているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
従来の仕切体と比較して、組立てに要する時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態である仕切体を示した説明図である。
【
図3】第1の仕切板と係合片を示した説明図である。
【
図4】第2の仕切板と係合用スリット孔を示した説明図である。
【
図5】係合用スリット孔の変形例を示した説明図である。
【
図6】係合用スリット孔の変形例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の仕切体を具現化した実施形態について、図面を用いて説明するが、本発明の技術的範囲は、もちろんこれだけに限定されるものではない。なお、周知の技術に関しては、詳細な説明を省略する。また、本明細書中で特に断りなく仕切体について上方向又は下方向という場合、
図1を正面視した状態においての上下方向を指すものとする。
【0014】
(実施形態)
まず、実施形態である仕切体1の構成について、
図1~
図4を参照して説明する。
図1は本実施形態の仕切体1を示した説明図である。
図2は仕切体1の分解斜視図である。
図3(a)は第1の仕切板を、
図3(b)は係合片を示した説明図である。
図4(a)は第2の仕切板を、
図4(b)は係合用スリット孔を示した説明図である。
【0015】
図2に示すように、仕切体1は、複数(本実施形態では六つ)の第1の仕切板10、二つの第2の仕切板20で構成される。第1の仕切板10及び第2の仕切板20は、帯板状部材であり、材質はプラスチック段ボールと称される樹脂製の段ボール構造板である。
【0016】
すなわち、仕切体1は、第1の仕切板10と、第2の仕切板20とを互いに直角に交差連結して構成される。また、本実施形態では、第1の仕切板10及び第2の仕切板20の材質をプラスチック段ボールとしたが、段ボールでもよく、可撓性の薄板でもよい。
【0017】
図3(a)に示すように、第1の仕切板10の両先端部には凸状の係合片11、11が延設形成されている。また、
図3(b)に示すように、係合片11の上部には、第1係止部12が形成されている。第1係止部12は、第2の仕切板20の厚みの2倍の長さの浅い凹み部分を有している。
【0018】
また、
図3(b)に示すように、係合片11の下部には、第2の仕切板20の厚みと同じ長さの係合凹部13が形成されている。これにより、仕切体1を組立てたときに、後述の係合スリット孔22の底辺に係合凹部13が嵌り、第1の仕切板10が第2の仕切板20から抜けにくくなっている。
【0019】
第1の仕切板10には、仕切体1を格子状にするために、帯板状部材を嵌めこめるように上方又は下方から切れ込みを設けてもよい。
【0020】
図4(a)に示すように、第2の仕切板20には、水平方向に折り目21が形成され、上部全体が外側に折れ曲がるようになっている。これにより、
図1に示すように第2の仕切板20の上部全体を折り返すことができるようになっている。
【0021】
本実施形態では、折り目21は、半切り加工となっている。半切り加工とは、プラスチック段ボールの表ライナー又は裏ライナーの一方及び中芯は切断されるが、裏ライナー又は表ライナーの他方は切断されていない加工方法である。
第2の仕切板20は、プラスチック段ボールの目方向が上下方向となっており、折り目21は、外側(折れ曲がる側)のライナーを残して、内側のライナー及び中芯が切断された半切り加工となっている。
【0022】
このように、プラスチック段ボールの目方向と直角に半切り加工することにより、第2の仕切板20の上端と第1係止部12とが互いに、より高精度(効果的)に係止される。
【0023】
なお、本実施形態では、第2の仕切板20の材質をプラスチック段ボールとし、折り目21を半切り加工としたが、たとえば、第2の仕切板20の材質を段ボールとしてもよく、折り目21をライナーカット加工や罫線加工としてもよい。また、その他の構成としてもよい。
ライナーカット加工とは、プラスチック段ボールの表ライナー又は裏ライナーの一方は切断されるが、裏ライナー又は表ライナーの他方及び中芯は切断されていない加工方法である。
罫線加工とは、段ボール板が綺麗に折り曲がるように、折れ線の位置に段を潰す加工方法である。
【0024】
また、第2の仕切板20の板面には、係合片11が挿通される複数(本実施形態では六つ)の係合用スリット孔22が形成されている。係合用スリット孔22は、縦長のスリット形状である。
係合用スリット孔22は、係合片11が挿通可能であればよいものであるが、本実施形態では、係合片11を挿通しやすいように、上方向及び上部の左右方向にクリアランスが設けられている。
【0025】
本実施形態では、係合用スリット孔22をこのような形状としたが、
図5に示す係合用スリット孔122のように上方向のクリアランスをより大きくしてもよい。また、
図6に示す係合用スリット孔222のように、上端が折り目21を越えて延びているようにしてもよい。このような構成とすると、係合片11を横方向から挿通させるだけでなく、上部全体を約90度折り曲げた状態で、上から挿入することができる。
【0026】
また、第2の仕切板20の上端には、係合用スリット孔22の真上に当たる位置に、第2係止部23が形成されている。第2係止部23は、上方向に拡がった等脚台形形状をしている。第2係止部22の底辺の長さは、第1の仕切板10の厚みと同じとなっている。
【0027】
これにより、係合片11を係合用スリット孔22に挿通し、第2の仕切板20の上部を折り曲げると、第2の仕切板20の上端に形成された第2係止部23と係合片11の上部に形成された第1係止部12とが互いに係止され、第1の仕切板10が第2の仕切板20に対し抜け止め状態となる。また、第2係止部23があることで、係止片11の上部の左右方向(係合用スリット孔22の幅方向)へのぐらつきを抑えることができる。
なお、本実施形態では、このような構成としたが、
図5に示す、第2の仕切板120のように、第2係止部23を設けないようにしてもよい。この場合、第2の仕切板20の上端と第1係止部12とが互いに係止されることとなる。
【0028】
本仕切体1の構成によれば、組立て時間を大幅に短縮することができる。特に第1の仕切板10の数が多いときに効果を発揮する。また、第1の仕切板10を第2の仕切板20から抜けないようにする抜け止め保持力が強い。
また、保形性に優れ、仕切体1の一番外側の対角が近づく方向に偏平に押しつぶすように折り畳んでも、第1の仕切板10と第2の仕切板20とが外れない。
また、組立てのみならず、分解も容易である。
【0029】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
たとえば、第1の仕切板と第2の仕切板の特徴を併せ持つ仕切板を、配置する場所によって、第1の仕切板として使用したり、第2の仕切板として使用したりすることもできる。
【符号の説明】
【0030】
1 仕切体(第1の実施形態)
10 第1の仕切板 11 係合片
12 第1係止部 13 係合凹部
20 第2の仕切板 21 折り目
22 係合用スリット孔 23 第2係止部
120 第2の仕切板の変形例
121 係合用スリット孔の変形例
220 第2の仕切板の変形例
221 係合用スリット孔の変形例