IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジテクノの特許一覧

<>
  • 特許-昇降運搬車 図1
  • 特許-昇降運搬車 図2
  • 特許-昇降運搬車 図3
  • 特許-昇降運搬車 図4
  • 特許-昇降運搬車 図5
  • 特許-昇降運搬車 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】昇降運搬車
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20221003BHJP
   B66F 9/18 20060101ALI20221003BHJP
   B62B 3/06 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B66F9/06 A
B66F9/18 A
B62B3/06 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021145515
(22)【出願日】2021-09-07
【審査請求日】2022-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302019669
【氏名又は名称】株式会社フジテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100161300
【弁理士】
【氏名又は名称】川角 栄二
(72)【発明者】
【氏名】石迫 浩一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健太郎
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-010493(JP,A)
【文献】実開昭64-007195(JP,U)
【文献】実公昭36-032629(JP,Y1)
【文献】特開平09-175795(JP,A)
【文献】米国特許第05464315(US,A)
【文献】実開平04-005490(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 1/00-19/02
B62B 3/04- 3/065
B65G 1/04- 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を持ち上げて移動させる昇降運搬車であって、
左右方向の両側から荷物を挟んで保持する挟持手段と、
前記挟持手段を昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段を支持する車台と、
前記車台に結合されており接地する車輪と、
前記車台に結合されており、人が把持して移動させるハンドルとを備え、
前記挟持手段が、前記荷物の側面を押さえつけて挟み込むよう互いに向かい合って配置された一対の挟持面と、前記挟持面同士の距離を調整する調整手段とを有し、
前記挟持面が、弾性体の平板の一の面に形成されており、
前記調整手段が、前記挟持面を左右方向に移動可能に支持する案内部を有し、
前記案内部が前記挟持面の上方に配置されており、
前記昇降手段が、前記案内部を支持する支持部に上向きの荷重を付与する一対のジャッキと、前記支持部の移動方向を上下方向に規制する規制部とを有し、
一対の前記ジャッキが、一対の前記挟持面より左右方向に沿ってそれぞれ外に配置されている
ことを特徴とする昇降運搬車。
【請求項2】
前記案内部が、左右方向に延びており前後に配置された二本のレールを有し、
一対の前記挟持面が、いずれも二本の前記レールに支持されており、
一対の前記ジャッキが、前後方向において二本の前記レール同士の中間にそれぞれ配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降運搬車。
【請求項3】
前記昇降手段が、前記ジャッキを油圧で駆動する足踏ポンプをさらに有し、
前記足踏ポンプが前記車台に結合されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の昇降運搬車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を持ち上げて移動させる昇降運搬車に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売店の倉庫やバックヤードでは、地面に直接置かれた段ボール箱等の荷物を移動させる場面が多い。そのような場合、人が腰をかがめて荷物を持ち上げ、台車に乗せ換えて移動するのが一般的である。しかし人が荷物を持ち上げる際には身体を痛めるリスクがある。
【0003】
一方で、荷物を持ち上げて手動で移動させる台車が知られている。その多くは、荷物を載置したパレットをフォークで持ち上げることで荷物を運ぶ構成となっているが、荷物を直接掴み持ち上げて運ぶものも知られている(特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1に記載の装置は、間隔を調整可能な二本のアームを有し、このアームに設けられている爪部材に荷物を載せることで荷物を持ち上げ、運べるように構成されている。この装置は、荷物に爪を掛けることが必要であるため、側面に孔の開いた段ボール箱や、側面に凹凸が設けられたコンテナ等を運ぶことは可能である。しかし、孔の開いていない段ボール箱や凹凸の無い荷物を運ぶことはできなかった。
【0005】
特許文献2に記載の装置は、一対のフォークで荷物を保持することができる構成となっている。しかしこのフォークは爪を有しており、荷物の側面に設けられたリブをこの爪に掛けて持ち上げる構成となっている。したがって、この装置を用いても、孔の開いていない段ボール箱や凹凸の無い荷物を運ぶことはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-175795号公報
【文献】特開2008-156039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題点を鑑みて、本発明は、地面に直接置かれた荷物を持ち上げて移動させることができる昇降運搬車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、荷物を持ち上げて移動させる昇降運搬車であって、左右方向の両側から荷物を挟んで保持する挟持手段と、前記挟持手段を昇降させる昇降手段と、前記昇降手段を支持する車台と、前記車台に結合されており接地する車輪と、前記車台に結合されており、人が把持して移動させるハンドルとを備え、前記挟持手段が、前記荷物の側面を押さえつけて挟み込むよう互いに向かい合って配置された一対の挟持面と、前記挟持面同士の距離を調整する調整手段とを有し、前記挟持面が、弾性体の平板の一の面に形成されており、前記調整手段が、前記挟持面を左右方向に移動可能に支持する案内部を有し、前記案内部が前記挟持面の上方に配置されており、前記昇降手段が、前記案内部を支持する支持部に上向きの荷重を付与する一対のジャッキと、前記支持部の移動方向を上下方向に規制する規制部とを有し、一対の前記ジャッキが、一対の前記挟持面より左右方向に沿ってそれぞれ外に配置されていることを特徴とする昇降運搬車である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、荷物の側面を押さえつけて挟み持ち上げることが可能であり、弾性力で挟持面を荷物の側面に押さえつけ、しっかりと保持することが可能であり、荷物を上から吊るした状態で、安定して保持することが可能であり、ジャッキを駆動することによって荷物を持ち上げることが可能であり、安定して荷物を昇降させることが可能な、人が把持して移動させることができる昇降運搬車を提供することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記案内部が、左右方向に延びており前後に配置された二本のレールを有し、一対の前記挟持面がいずれも二本の前記レールに支持されており、一対の前記ジャッキが、前後方向において二本の前記レール同士の中間にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降運搬車である。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記昇降手段が、前記ジャッキを油圧で駆動する足踏ポンプをさらに有し、前記足踏ポンプが前記車台に結合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の昇降運搬車である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、地面に直接置かれた荷物を持ち上げて移動させることができる昇降運搬車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車を示す正面斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車を示す正面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車を示す図であって、(a)は左側面図であり、(b)は図2におけるA-A矢視で挟持体のみを示す矢視図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車を用いて荷物を持ち上げる工程を説明する模式図であって、(a)は荷物の場所に昇降運搬車を配置した状態を示し、(b)は挟持面で荷物を挟んで保持した状態を示し、(c)は挟持手段を上昇させて荷物を持ち上げた状態を示す。
図5】本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車の調整手段の変形例を説明するために挟持手段のみを示す斜視図である。
図6】本発明の第二施形態に係る昇降運搬車を示す背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を適用した昇降運搬車の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
〔第一実施形態〕
本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車について、図1~3に基づき説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車を示す正面斜視図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車を示す正面図である。図3は、本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車を示す図であって、(a)は左側面図であり、(b)は図2におけるA-A矢視で挟持体のみを示す矢視図である。
【0022】
本実施形態に係る昇降運搬車1は、主要な構成要素として、図1に示す左右方向(一の方向)の両側から荷物を挟んで保持する挟持手段10、挟持手段10を昇降させる昇降手段30を有し、昇降手段30は車台41に結合されている。車台41には接地する車輪42,・・・,42、人が把持して移動させるためのハンドル43が結合されており、これによって、昇降運搬車1を地面の上で移動さることができる。
【0023】
挟持手段10は、荷物の側面を押さえつけて挟み込むよう互いに向かい合って配置された一対の挟持面11,11を有している。挟持面11は、弾性体である金属の平板12の一の面に設けられており、摩擦が大きくなるようゴム製のマットが貼付されている。一対の平板12,12は、挟持面11,11同士が互いに向かい合うよう、調整手段20に吊るされて保持されている。
【0024】
調整手段20は、図1における左右方向(一の方向)に延び、前後に配置された二本の円筒状のレール21,21を有しており、レール21はその左右両端が端部24,24で支えられている。それぞれのレール21には、その径方向外側に二つのブッシュ22,22が嵌められている。ブッシュ22は、その孔をレール21が貫通しており、レール21に沿って滑らかに移動可能である。図2及び図3(b)に示すように、ブッシュ22にはクランプレバー22aが設けられており、クランプレバー22aを締めると、ブッシュ22の孔が縮径して、レール21に固定される。
【0025】
図1に示すように、レール21を跨って前後に配置された一対のブッシュ22,22を前後方向に延びる連結部23が連結しており、連結部23には平板12が結合されている。これにより、前後一対のブッシュ22,22、連結部23及び平板12が、一体の挟持体13として左右方向に移動可能となっている。レール21に沿って挟持体13は二つあり、これらが有する一対の挟持面11,11で荷物を挟むことが可能となっている。レール21及びブッシュ22は、挟持面11を左右方向に移動可能に支持する案内部として働く。レール21の両端を支える端部24は、案内部を支持する支持部として働く。挟持体13の全体は図3(b)に示される。
【0026】
次に、挟持手段10を上下に昇降させる昇降手段30について説明する。図1,2に示すように、昇降手段30は、レール21を支持している端部24に上向きの荷重を付与するジャッキ31と、端部24の移動方向を上下方向に規制する規制部としての外側パイプ33及び内側パイプ34を有する。ジャッキ31、外側パイプ33及び内側パイプ34は、一組ずつ左右に設けられている。筒状の外側パイプ33はその下端が車台41に固定されている。内側パイプ34は外側パイプ33の内側にがたつきなく挿入され、滑らかに上下に移動可能となっており、その上端は端部24に固定されている。外側パイプ33の内部には、上下に伸縮するジャッキ31が配置され、その上下端がそれぞれ内側パイプ34及び外側パイプ33に結合されている。ジャッキ31が伸長する際に、端部24には上向きの荷重が作用する。本実施形態では、ジャッキ31、外側パイプ33及び内側パイプ34は一組ずつ、一対の挟持面11,11の左右方向(一の方向)外に配置され、端部24を支持するよう構成されている。また図3(a)に示すように、ジャッキ31、外側パイプ33及び内側パイプ34は、前後方向においてレール21同士の中間に配置されている。すなわち、側面視でジャッキ31の位置と挟持手段10の重心位置とは概ね一致する。そのため、外側パイプ33及び内側パイプ34に過大な曲げモーメントを作用させることなく、挟持手段10を安定して昇降させることが可能である。
【0027】
ジャッキ31の駆動方法は任意に選択できるが、本実施形態では、ジャッキ31は油圧により駆動され、その油圧源は、図2及び図3(a)に示す足踏ポンプ32とされている。足踏ポンプ32は二つのジャッキ31と二本のホース(図示省略)で繋がれることで油圧が伝わるよう構成されている。図3(a)に示すように、足踏ポンプ32はペダル32aを有し、ペダル32aを浅く踏むとジャッキ31が伸長してゆき、ペダル32aを深く踏み込むとジャッキ31が縮むよう構成されている。すなわち、ペダル32aを繰り返し浅く踏むと端部24は上昇し、それに従って挟持手段10全体も上昇する。ペダル32aを深く踏み込むと端部24は下降し、それに従って挟持手段10全体も下降する。
【0028】
次に、本実施形態に係る昇降運搬車1を用いて荷物を持ち上げる工程について、図4に基づき説明する。図4は、本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車を用いて荷物を持ち上げる工程を説明する模式図であって、(a)は荷物の場所に昇降運搬車を配置した状態を示し、(b)は挟持面で荷物を挟んで保持した状態を示し、(c)は挟持手段を上昇させて荷物を持ち上げた状態を示す。
【0029】
まず、昇降運搬車1を適宜移動させて、十分に間隔が開いた挟持面11同士の間に、地面に直接置かれた荷物Wを位置させる(図4(a))。ここで荷物Wは直方体であり、典型的には孔のない段ボール箱に物品が収容されたものである。荷物Wの側面と挟持面11とが平行となるよう昇降運搬車1の位置を調整する。この時、挟持面11の下端は、地面よりやや上に位置している。
【0030】
次に挟持体13,13をレール21に沿って移動させ、挟持面11で荷物Wの側面を押さえつけて挟み込む。そしてブッシュ22のクランプレバー22aを締めて、挟持体13の位置を固定する(図4(b))。この状態では、平板12が有する弾性により、一の方向の両側の挟持面11から荷物Wに向けて荷重が加わっており、そのため挟持面11と荷物Wの側面との間には、一の方向と垂直方向に摩擦力が生じる。
【0031】
次に足踏ポンプ32のペダル32aを浅く繰り返し踏む。すると端部24,24が上昇する。このとき、挟持面11と荷物Wとの側面との間の摩擦力により、荷物Wも一緒に上昇する(図4(c))。このとき荷物Wは、挟持面11、挟持体13を介して、レール21により上から吊るされているため、安定した姿勢で保持される。この状態で昇降運搬車1を移動させることで、荷物Wを移動させることができる。なお、荷物Wを移動させられればよいため、あまり高い位置まで荷物Wを持ち上げる必要はない。
【0032】
荷物Wの移動先に到着した後、荷物Wを地面に降ろす。その際は、足踏ポンプ32のペダル32aを深く踏み込むと、端部24が下降し、それと一緒に荷物Wも下降する。そして荷物Wが地面に接地したところで下降が止まる。そのとき図4(b)に示した状態となる。次に荷物Wの挟持を解除する。ブッシュ22のクランプレバー22aを緩めると、挟持体13の固定が解除されレール21に沿って移動可能となる。挟持面11を荷物Wから離すと、図4(a)に示した状態となる。以上の工程により、本実施形態に係る昇降運搬車1を使用して、地面に直接置かれた荷物を持ち上げて運ぶことができる。
【0033】
なお、上述の説明では運ばれる荷物Wは直方体であったが、挟持面11で挟み込み摩擦力で持ち上げるので、荷物の形状は問われない。また本実施形態に係る昇降運搬車1の挟持面11,11同士は、図4に示すように平行に配置されているが、これに代えて正面視で逆ハの字やハの字に配置することも可能である。また、挟持面11を平面ではなく曲面として構成することも可能である。また、側面に凹凸が存在する荷物を持ち上げる際に、凹凸に掛ける爪を挟持面11に設けることも可能である。また、平板12により弾性力を付与する構成に代えて、弾性力を付与する手段(コイルばね等)を別途使用して荷物Wの側面を押さえつけることも可能である。
【0034】
また、本実施形態に係る昇降運搬車1では、調整手段20の下に挟持面11を配置して(すなわちレール21で挟持体13を吊るして)荷物Wを上から吊るすよう構成されていたが、この位置関係に代えて、調整手段20を後方に配置し挟持面11を前方に配置する、すなわち挟持面11が後方から前方に突き出るよう構成することも可能である。
【0035】
また、本実施形態に係る昇降運搬車1では、一つの足踏ポンプ32で左右二本のジャッキ31を駆動するよう構成されているが、ジャッキ31同士を同期させて昇降させる任意の機構を追加することも可能である。例えば、左右の外側パイプ33及び内側パイプ34それぞれにラックアンドピニオンを設けて、左右のピニオン同士をシャフトで連結すれば、左右の内側パイプ34の移動量を一致させることができる。
【0036】
〔第一実施形態の変形例〕
また、上述の挟持手段10は、一対の挟持体13をそれぞれ独立して動かすことで荷物を挟むよう構成されていたが、これに代えて、一対の挟持体13が連動して動くよう構成することもできる。具体的な構成を図5に基づき説明する。図5は、本発明の第一実施形態に係る昇降運搬車の調整手段の変形例を説明するために挟持手段のみを示す斜視図である。
【0037】
図5に示す調整手段120は、図1に示した調整手段20に対し、プーリ25,25、無端ベルト26及びブラケット27,27をさらに有している。プーリ25は、端部24から上に突出するよう回転可能に設けられており、二つのプーリ25,25を巻き回すよう無端ベルト26がたるみなく設けられている。そして無端ベルト26の前方の走行部26aが左側の挟持体13aと、後方の走行部26bが右側の挟持体13bと、それぞれブラケット27を介して結合されている。
【0038】
この構成により、挟持体13aと挟持体13bとは連動して動くことになる。すなわち、無端ベルト26を介して、挟持体13aと挟持体13bとは連動して反対方向に動く。したがって、挟持体13a及び挟持体13bのいずれか一方を動かすことで、挟持面11同士を近づけたり離したりすることができる。挟持体13aと挟持体13bが、必ず左右対称に位置するよう構成することもできる。
【0039】
また挟持体13aと挟持体13bとを左右対称に連動させる機構はこれに限られず、例えばラックアンドピニオンを採用して、挟持体13aと挟持体13bがピニオンの回転数に応じて反対方向に同じ距離移動するよう構成したり、左右ねじを設けた一本のボールねじに挟持体13aと挟持体13bを嵌めて、ボールねじを回転させることで挟持体13aと挟持体13bが反対方向に同じ距離移動するよう構成したりすることもできる。
【0040】
〔第二実施形態〕
次に本発明の第二実施形態に係る昇降運搬車について、図6に基づき説明する。図6は、本発明の第二施形態に係る昇降運搬車を示す背面斜視図である。
【0041】
第一実施形態と本実施形態との相違点は主に、昇降手段の構成である。すなわち、第一実施形態では図1に示すように一対のジャッキ31,31で挟持手段10を昇降するよう構成されていたが、本実施形態での昇降手段130は、図6に示すように一本のジャッキで挟持手段10を昇降する構成となっている。
【0042】
本実施形態に係る昇降運搬車2は、図6に示すように、調整手段20の端部24,24同士を繋ぐ横架部28を有し、横架部28の中央付近において、ジャッキ31により上向き荷重が付与される。横架部28の移動方向を上下方向に規制する規制部として、外側パイプ35及び内側パイプ36が設けられている。角筒状の外側パイプ35はその下端が車台41に固定されている。内側パイプ36は外側パイプ35の内側にがたつきなく挿入され、滑らかに上下に移動可能となっており、その上端は横架部28に固定されている。外側パイプ35の内部には、上下に伸縮するジャッキ31が配置され、その上下端がそれぞれ内側パイプ36及び外側パイプ35に結合されている。ジャッキ31が伸長する際に、横架部28には上向きの荷重が作用する。
【0043】
ジャッキ31は、第一実施形態と同様に、図6に示す足踏ポンプ32によって駆動される。足踏ポンプ32はジャッキ31とホース(図示省略)で繋がれることで油圧が伝わるよう構成されている。ジャッキ31の駆動方法は第一実施形態と同様である。また、本実施形態に係る昇降運搬車2を用いて荷物を持ち上げて移動する工程も第一実施形態と同様である。本実施形態では、一本のジャッキで挟持手段10を昇降させることが可能な形態となっている。本実施形態で、横架部28の移動方向を上下方向に規制する規制部となる外側パイプ35及び内側パイプ36を、複数設けることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1,2 昇降運搬車
10 挟持手段
11 挟持面
12 平板
13,13a,13b 挟持体
20,120 調整手段
21 レール(案内部)
22 ブッシュ(案内部)
22a クランプレバー
23 連結部
24 端部(支持部)
25 プーリ
26 無端ベルト
26a,26b 走行部
27 ブラケット
28 横架部(支持部)
30,130 昇降手段
31 ジャッキ
32 足踏ポンプ
32a ペダル
33,35 外側パイプ(規制部)
34,36 内側パイプ(規制部)
41 車台
42 車輪
43 ハンドル
W 荷物
【要約】
【課題】 地面に直接置かれた荷物を持ち上げて移動させることができる昇降運搬車を提供することを目的とする。
【解決手段】 荷物を持ち上げて移動させる昇降運搬車1であって、水平な一の方向の両側から荷物を挟んで保持する挟持手段10と、挟持手段10を昇降させる昇降手段30とを備え、挟持手段10が、荷物の側面を押さえつけて挟み込むよう互いに向かい合って配置された一対の挟持面11,11と、挟持面11同士の距離を調整する調整手段20とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6