(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】クレンジング料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20221003BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221003BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20221003BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/37
A61K8/39
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2019021012
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】新間 優子
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-189398(JP,A)
【文献】特開平9-188605(JP,A)
【文献】特開2018-165259(JP,A)
【文献】特開平10-45563(JP,A)
【文献】Kose,Japan,Cleanse, ID#602863,Mintel GNPD [online],2006年10月,[検索日2022.03.15],URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(
D)を含有するクレンジング料。
(A)トリエチルヘキサノイン
(B)エチルヘキサン酸セチル
(C)
N-ココイル-L-アルギニンエチルエステル-DL-ピロリドンカルボン酸塩
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジング力及び均質性に優れ、かつ睫毛用化粧料と馴染ませても、パンダ目の原因となる不溶性コンプレックスを生成しないクレンジング料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレンジング料はどのようなメイクアップ化粧料に対しても優れたクレンジング力を求められている(特許文献1)。しかし、お湯で容易に落とす事が出来る機能性を有する一部の睫毛用化粧料を落とそうとした場合、クレンジング料との相性によっては目元に不溶性コンプレックスが生じ、パンダ目(目の周りが黒くなる)の原因となり、さらに目元の物理的な刺激にもつながるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、クレンジング力及び均質性に優れ、かつ睫毛用化粧料と馴染ませても、パンダ目の原因となる不溶性コンプレックスを生成しないクレンジング料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記成分(A)~(C)
(A)トリエチルヘキサノイン
(B)エチルヘキサン酸セチル
(C)N-長鎖アシル塩基性アミノ酸誘導体又はその酸付加塩
を含有するクレンジング料を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のクレンジング料は、クレンジング力及び均質性に優れ、かつ睫毛用化粧料と馴染ませても不溶性コンプレックスを生成しないという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
本発明で用いる成分(A)トリエチルヘキサノインは、2-エチルヘキサン酸とグリセリンのトリエステルである低粘性の液状油であり、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。市販のNOMCORT TIO(日清オイリオ株式会社製),TIO(日清オイリオ株式会社製),TIO(日清化学株式会社製),エキセパール TGO(花王株式会社製),CRODAMOL TOG(クローダジャパン株式会社製),トリファット S-308(日光ケミカルズ株式会社製),トリファット S-308N(日本サーファクタント工業株式会社製),NIKKOL SG-TRIFAT S-308(Nikko Chemicals (Singapore) Pte Ltd製),ヘキサラン(株式会社テクノーブル製)等を用いることもできる。
【0009】
本発明で用いる成分(B)エチルヘキサン酸セチルは、2-エチルヘキサン酸とセタノールを合成した液状のエステルであり、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。市販のCETIOL SN-1(Cognis Oleochemicals (M) Sdn Bhd製),NS-CIO(日本精化株式会社製),Telcole(川研ファインケミカル株式会社製),エキセパール HO(花王株式会社製),コーヨーCOC(公洋ファインケミカル株式会社製),サラコス 816(L)(日清オイリオグループ株式会社製),セチオール SN-1(Cognis Oleochemicals (M) Sdn Bhd製),ニッコール CIO-JP(日光サーファクタント工業株式会社製),ニッコール CIO(日光サーファクタント工業株式会社製),パーセリンオイル(シムライズ株式会社製)等を用いることもできる。
【0010】
成分(A)及び(B)を合計で、クレンジング料全量に対して10~90質量%、さらに10~80質量%配合することが好ましい。成分(A)1質量部に対し、成分(B)が0.1質量部以上、さらには0.35質量部以上10質量部未満とすることが好ましい。
【0011】
本発明で用いるN-長鎖アシル塩基性アミノ酸誘導体又はその酸付加塩としては、特に種類は問わないが、N-カプロイル-L-アルギニンメチルエステル塩酸塩,N-ラウロイル-L-アルギニンエチルエステル-DL-ピロリドンカルボン酸塩,N-パルミトイル-L-アルギニンエチルエステル塩酸塩,N-ココイル-L-アルギニンエチルエステル-DL-ピロリドンカルボン酸塩,N-カプロイル-L-リジンメチルエステル塩酸塩,N-ラウロイル-L-リジンエチルエステル-DL-ピロリドンカルボン酸塩,N-ミリストイル-L-リジンプロピルエステル塩酸塩,N-ステアロイル-L-ヒスチジンメチルエステル塩酸塩,N-オレオイル-L-ヒスチジンエチルエステル-DL-ピロリドンカルボン酸塩等が例示される。上記の中でも皮膚外用剤への配合実績より、N-ココイル-L-アルギニンエチルエステル-DL-ピロリドンカルボン酸塩が好ましく用いられる。
【0012】
これらのN-長鎖アシル塩基性アミノ酸誘導体又はその酸付加塩の配合量は、クレンジング料全量に対して、0.0005~2質量%、特に0.001~2質量%とすることが好ましい。
【0013】
その他の任意成分として、本発明のクレンジング料には、クレンジング力及び使用感を向上させる観点から、界面活性剤を含有しても良い。特にノニオン界面活性剤を用いることが好ましく、中でもポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。例えば、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル(ラウリン酸ポリグリセリル-4),ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル(ラウリン酸ポリグリセリル-6),デカグリセリンモノラウリン酸エステル(ラウリン酸ポリグリセリル-10),デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(ミリスチン酸ポリグリセリル-10),ペンタグリセリンモノステアリン酸エステル(ステアリン酸ポリグリセリル-5),ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル(ステアリン酸ポリグリセリル-6),ヘキサグリセリンセスキステアリン酸エステル(セスキステアリン酸ポリグリセリル-6),デカグリセリンモノステアリン酸エステル(ステアリン酸ポリグリセリル-10),デカグリセリンジステアリン酸エステル(ジステアリン酸ポリグリセリル-10),デカグリセリントリステアリン酸エステル(トリステアリン酸ポリグリセリル-10),ヘキサグリセリンモノイソステアリン酸エステル(イソステアリン酸ポリグリセリル-6),デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル(イソステアリン酸ポリグリセリル-10),デカグリセリンジイソステアリン酸エステル(ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10),デカグリセリンモノカプリン酸エステル(カプリン酸ポリグリセリル-10),ペンタグリセリンモノオレイン酸エステル(オレイン酸ポリグリセリル-5),ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル(オレイン酸ポリグリセリル-6),デカグリセリンモノオレイン酸エステル(オレイン酸ポリグリセリル-10)等が好適に使用でき、これらより1種又は2種以上を選択して用いることができる。特に、ペンタグリセリンモノステアリン酸エステル(ステアリン酸ポリグリセリル-5),ペンタグリセリンモノオレイン酸エステル(オレイン酸ポリグリセリル-5)を用いることが好ましい。
【0014】
その他にも保湿剤としてグリセリン,ソルビトール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール,ペンチレングリコール,グルコース,キシリトール,マルチトール,ポリエチレングリコール,ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸,ピロリドンカルボン酸塩,ポリオキシエチレンメチルグルコシド,ポリオキシプロピレンメチルグルコシド,卵黄レシチン,大豆レシチン,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルセリン,ホスファチジルグリセロール,ホスファチジルイノシトール,スフィンゴリン脂質などが挙げられる。
【0015】
前記成分以外に、更に、通常のクレンジング料に用いられる成分、例えば、前記以外の油性成分,殺菌剤,抗炎症剤,防腐剤,キレート剤,増粘剤,塩類,パール化剤,スクラブ剤,香料,冷感剤,色素,紫外線吸収剤,酸化防止剤,植物エキス等を含有することができる。
【0016】
なお本発明において均質性とは、クレンジング料に分離や凝集等が認められず、均質な状態であることを意味する。
【0017】
本発明のクレンジング料の剤型としては特に問わないが、油系又は水中油乳化型とすることが好ましい。
【実施例】
【0018】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0019】
表1に示した組成の実施例並びに比較例を常法により調製し、「クレンジング力」、「均質性」、「不溶性コンプレックスの有無」について、評価を行った。
【0020】
[評価方法]
化粧料官能評価専門パネル2名により、下記処方にて調製したマスカラを内腕に2cm塗布し、30分乾燥させた。実施例及び比較例で示したクレンジング料をスポイト2滴分塗布し、20回なじませた後、ぬるま湯で洗浄した。この時のクレンジング力と不溶性コンプレックスの有無を評価した。クレンジング料の均質性については、目視で評価した。
【0021】
[評価基準]クレンジング力
◎:非常に良い
○:良い
△:少し悪い
×:悪い
【0022】
[評価基準]均質性
○:良い
×:悪い
【0023】
【0024】
表1に示したように、成分(A)~(C)を含有する実施例1~3においては、優れたクレンジング力と良好な均質性を有し、不溶性コンプレックスが析出しないクレンジング料が得られた。
【0025】
表1に示したように、成分(A)及び(C)又は成分(A)のみを含有する比較例1及び2のクレンジング料は良好な均質性を有するが、クレンジング力が優れず、不溶性コンプレックスの析出もみられた。
【0026】
表1に示したように、成分(A)及び(B)を含有する比較例3のクレンジング料は優れたクレンジング力を有し、不溶性コンプレックスの析出もみられなかったが、均質性が優れなかった。
【0027】
試験に供したマスカラ
(1)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5(質量%)
(2)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(3)グリセリン 10.0
(4)高重合度ポリエチレングリコール 3.0
(5)精製水 100合わせ
(6)黒酸化鉄 3.0
(7)トリエタノールアミン 3.0
(8)ステアリン酸 5.0
(9)ミツロウ 9.0
(10)パラフィンワックス 5.0
(11)(アクリレーツ/アクリル酸エチルへキシル)コポリマー 15.0