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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】装置の置台
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20221003BHJP
   B60B 33/00 20060101ALI20221003BHJP
   B60T 3/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B25J19/00 Z
B60B33/00 Z
B60T3/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2016251462
(22)【出願日】2016-12-26
(65)【公開番号】P2018103302
(43)【公開日】2018-07-05
【審査請求日】2019-10-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高見 敦
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 大樹
(72)【発明者】
【氏名】山根 秀士
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】中里 翔平
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】実公平6-44214(JP,Y2)
【文献】特表平8-503438(JP,A)
【文献】特開平4-25383(JP,A)
【文献】特開2000-139597(JP,A)
【文献】特開平11-141608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
B60B 33/00
B60T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に置かれ、自在キャスタを含むキャスタ群を有する装置であるロボットが載置される置台であって、
主面を有する平板状のベースと、
前記ベース上であって、前記自在キャスタに対応する位置に設けられた、前記自在キャスタが載置される環状の溝と、
を備え、
前記ベースにおける前記環状の溝の内周及び外周を画定する部分が、それぞれ、前記ベースの主面及び前記環状の溝の底面に対して相対的に突出しており、且つ、前記環状の溝の底面の位置と前記ベースの主面の位置とが前記ベースの厚さ方向で一致し
前記自在キャスタが、鉛直軸を中心に前記装置本体に対して回動するように構成され、前記鉛直軸が前記環状の溝の中心を通る、装置の置台。
【請求項2】
前記溝は、平面視で円環状に形成された凹部である、請求項1に記載の装置の置台。
【請求項3】
前記キャスタ群は、前記自在キャスタと固定キャスタとを含む、請求項1又は2に記載の装置の置台。
【請求項4】
前記ベースの主面は、前記自在キャスタが前記環状の溝に載置された状態で、前記固定キャスタが直接載置されるスペースを含む、請求項3に記載の装置の置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自在キャスタを有する装置の置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、重量物等のワークを所定の位置に位置決めするには様々な方法がある。例えば特許文献1には、印刷版を所定の位置に位置決めする印刷版の位置決め装置が開示されている。この方法では、自在キャスタを有する印刷版積載台を装填部の走行用レールに移動挿入し、走行用レールに設けられた凹部と印刷版積載台の固定輪を係合させて、装填部の所定の位置へ印刷版積載台を位置決めするようになっている。
【0003】
近年では、産業用ロボットの動作を制御してロボットハンドにより重量物等のワークを把持し、所定の位置に運搬することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平09-090642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、走行用レールに対して意図しない方向(例えば横方向)に力が加わった場合、固定輪が脱輪しやすい。特に産業用ロボットを制御して、走行用レールの凹部と印刷版積載台の固定輪を係合させることを想定した場合、わずかな制御のずれが生じても、人間と比べて大きな力が働くため、このような問題は顕著である。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、自在キャスタを有する装置を安定して載置し、且つ、正確に位置決めを行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある形態に係る装置の置台は、自在キャスタを有する装置が載置される置台であって、ベースと、前記ベース上であって、前記自在キャスタに対応する位置に設けられた環状の溝と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、自在キャスタが環状の溝の内部に収容されるので、装置に対して意図しない方向に力が加わった場合、装置の自在キャスタがどの方向に向いていても、自在キャスタは環状の溝に沿って移動する。これにより、装置が安定して載置され、位置ずれが防止される。
【0009】
前記装置は、固定キャスタを更に有し、前記ベースは、前記固定キャスタが載置される平板状の部材を有してもよい。
【0010】
上記構成によれば、装置の固定キャスタを平板の主面上に載置することができる。装置の安定性が向上する。
【0011】
前記自在キャスタが載置される前記環状の溝の底部の位置と、前記固定キャスタが載置される前記平板の主面の位置が、前記平板の厚さ方向で一致してもよい。
【0012】
上記構成によれば、自在キャスタと固定キャスタの高さが一致するので、置台に載置された装置の安定性が向上する。尚、環状の溝の底部の位置と平板の主面の位置が一致するとは、完全一致に限定されず、僅かな傾きを許容するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上に説明した構成を有し、自在キャスタを有する装置を安定して載置し、且つ、正確に位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る置台の一例を示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3図3は、図1の置台の溝部を示した斜視図である。
図4図4は、置台に載置されるロボットの構成の一例を示した正面図である。
図5図5は、ロボットの台車の下面を示した平面図である。
図6図6は、置台に載置された自在キャスタ及び固定キャスタを示した側面図である。
図7図7は、図6の自在キャスタを示した斜視図である。
図8図8は、ロボット組立ラインでの最終検査の様子を示した説明図である。
図9図9は、その他の実施形態に係るロボットの台車の下面を示した平面図である。
図10図10は、その他の実施形態に係る置台に載置された自在キャスタを示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したものである。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る置台1の一例を示す平面図である。図2は、図1のII-II断面図である。図3は、図1の置台の溝部を示した斜視図である。
【0017】
置台1は、ベースプレート2と、ベースプレート2上に設けられた環状の溝3と、を備える。ベースプレート2は、平面視で矩形状の平板であり、所定の位置に設置される。
【0018】
溝3は、ベースプレート2の隣り合う二隅に設けられる。各溝3は平面視で略円環状に形成された凹部である。この凹部は、平面視で略円環状に設けられた凸部3aと、平面視で略円状に設けられた凸部3bとの間に形成される。溝3の底部の位置と、ベースプレート2の主面の位置は、ベースプレート2の厚さ方向で一致している(図2参照)。尚、溝3の底部の位置とベースプレート2の主面の位置が一致するとは、完全一致に限定されず、僅かな傾きを許容するものである。
【0019】
ベースプレート2は後述する装置の固定キャスタに対応する位置に設けられる。溝3は後述する装置の自在キャスタに対応する位置に設けられる。
【0020】
本実施形態の装置はロボット11である。図4は、ロボット11の構成の一例を示した正面図である。ロボット11は、台車12と、台車12に支持された一対のロボットアーム(以下、単に「アーム」と記載する場合がある)13、13と、を備えている。以下では、一対のアームを広げた方向を左右方向と称し、基軸の軸心に平行な方向を上下方向と称し、左右方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する。
【0021】
各アーム13は、台車12に対して移動可能に構成された水平多関節型ロボットアームであって、アーム部15とリスト部17とを備えている。なお、右のアーム13および左のアーム13は、実質的に同じ構造であってもよい。各アーム13の先端にはエンドエフェクタ(図示せず)が取り付けられる。また、右のアーム13および左のアーム13は、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができる。
【0022】
台車12は、制御装置(図示せず)等のロボット11の各種ユニットを収納する本体部20と、本体部20の下面に設けられ、ロボット11を所定の位置に移動させるための複数のキャスタ21と、所定の位置でロボット11の移動を規制して設置するための複数のアジャスタ22とを有する。複数のキャスタ21は置台1の上に載置される。複数のアジャスタ22は置台1の上には載置されず、床面40に設置される。
【0023】
図5は、台車12の下面を示した平面図である。図5に示すように、台車12の本体部20の下面は平面視で矩形状を有する。本体部20の下面には、前後左右の四カ所に略対称にキャスタ21が設置され、各キャスタ21に略同じ荷重が加わるようにしている。本実施形態では、二つのキャスタ21は台車12の後方側左右に各々取り付けられており、これらのキャスタ21は固定輪を有する固定キャスタ21bである。固定キャスタ21bは置台1のベースプレート2の上に載置される。また、二つのキャスタ21は台車12の前方側左右に各々取り付けられており、これらのキャスタ21は自在輪を有する自在キャスタ21aである。自在キャスタ21aは置台1の溝3の上に載置される。尚、アジャスタ22はロボット11の設置後の安定性を図るために、平面視で置台1の外側であって、本体部20の下面の前縁及び後縁の両端部の四カ所に設けられている。
【0024】
図6は、置台1に載置された自在キャスタ21aと固定キャスタ21bの一例を示した側面図である。図6に示すように、自在キャスタ21aは凸部3aと凸部3bとの間に形成された溝3(凹部)の内部に収容される。自在キャスタ21aは鉛直軸を中心に台車12の本体部20に対して回動するように構成されている。この鉛直軸は台車12の本体部20のキャスタ取付部20aの中心を通り、円環状の溝3の中心(3b)と一致している。一方、固定キャスタ21bはベースプレート2の主面上に載置される。
【0025】
また、溝3の底部の位置と、ベースプレート2の主面の位置は、置台1の高さ方向で一致している。これにより、自在キャスタ21aと固定キャスタ21bの高さが一致するので、置台1に載置された台車12の安定性が向上する。
【0026】
図7は、図6の自在キャスタ21aを示した斜視図である。図7に示すように、自在キャスタ21aが環状の溝3の内部に収容される。台車12に対して意図しない方向に力が加わった場合、自在キャスタ21aがどの方向に向いていても、自在キャスタ21aは溝3の内部を溝3に沿って移動する。これにより、ロボット11を安定して載置され、位置ずれが防止される。
【0027】
ロボット11を生産するための組立ラインでは、組立工程が終了した後には、製品の組立最終検査が行われる。図8は、ロボット組立ラインでの最終検査の様子を示した説明図である。図8に示すように、搬送ロボット100は、ロボット本体101と、ロボット本体101に連結されたロボットアーム102と、ロボットアーム102の先端に取り付けられ、ロボット11の台車12を保持可能に構成されたロボットハンド103と、を備える。検査ロボット110は、先端にカメラ110aを備える。
【0028】
搬送ロボット100は、組立工程が終了したロボット11を所定の位置(置台1の上)に載置する。搬送ロボット100によってロボット11が置台1に載置された後は、ロボットハンド103の保持動作が解除される。その後、搬送ロボット100はロボットアーム102を制御して、ロボットハンド103を置台1に載置されたロボット11から遠ざける(図8の矢印方向)。ロボット11からロボットハンド103を遠ざける際に、わずかな制御のずれが生じて、ロボットハンド103がロボット11に接触した場合、ロボットアーム102には人間と比べて大きな力が働くため、ロボット11の位置ずれが生じやすい。本実施形態によれば、台車12の自在キャスタ21aが環状の溝3に沿って移動するので、置台1の上に載置されたロボット11が位置ずれすることはない。
【0029】
その後、検査ロボット110は、カメラ110aにより所定の位置に載置されたロボット11を写真撮影する。作業者は、検査ロボット110により撮影された写真を、目視で検査する。検査結果はエビデンスとして保管される。
【0030】
(その他の実施の形態)
尚、本実施形態では、ロボット11の台車12には自在キャスタ21aと固定キャスタ21bを設けていたが、自在キャスタ21aのみ設けてもよい。図9は、その他の実施形態に係る台車12Aの下面を示した平面図である。図9に示すように、台車12Aの本体部20の下面は平面視で矩形状を有する。本体部20の下面には、前後左右の四カ所に略対称にキャスタ21が設置され、各キャスタ21に略同じ荷重が加わるようにしている。本実施形態では、これら四つのキャスタ21は全て自在輪を有する自在キャスタ21aである。置台1Aには、自在キャスタ21aに対応して四つの溝3が設けられる。図10は、置台1Aに載置された自在キャスタ21aを示した側面図である。図10に示すように、ここでも自在キャスタ21aは凸部3aと凸部3bとの間に形成された溝3(凹部)の内部に収容される。
【0031】
尚、本実施形態では、置台1に載置される装置はロボット11であったが、自在キャスタを有する装置であれば、これに限られない。自在キャスタを溝に載置することで、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0032】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、自在キャスタを有する装置の置台に有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 置台
11 ロボット(装置)
12 台車
13 アーム
15 アーム部
17 リスト部
21 キャスタ
21a 自在キャスタ
21b 固定キャスタ
22 アジャスタ
100 搬送ロボット
101 本体
102 アーム
103 ハンド
110 検査ロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10