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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】地盤調査用計測装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/00 20060101AFI20221003BHJP
   G01N 3/40 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
E02D1/00
G01N3/40 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018066683
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178490
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二川 和貴
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-025428(JP,A)
【文献】特開2017-115457(JP,A)
【文献】特開2005-264505(JP,A)
【文献】実開平07-003955(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00
G01N 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地盤を調査する際に地盤にロッドを貫入させる貫入試験機に装着される地盤調査用計測装置であって、
前記ロッドに介在させる短尺ロッドと、
前記短尺ロッドに取り付けられるひずみ量検出器と、
前記短尺ロッドの所定の位置とそれに対応する鉛直方向に存在する基準点との間の変位を計測する変位計とを備え、
前記変位計は、前記短尺ロッドの外周面から張り出された反射板にレーザを照射させる前記基準点に設置された非接触変位計であって、
前記反射板は、前記短尺ロッドに対して環状に設けられることを特徴とする地盤調査用計測装置。
【請求項2】
前記ひずみ量検出器は、前記短尺ロッドの外周面に貼り付けられる複数のひずみゲージであることを特徴とする請求項1に記載の地盤調査用計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象地盤を調査する際に地盤にロッドを貫入させる貫入試験機に装着される地盤調査用計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な地盤調査は、小規模建築物の場合であればスウェーデン式サウンディング(SWS)試験などの原位置試験によって地盤の強度に関する地盤定数を得ている。そして、長期の荷重に対する地盤の支持性能の検討は、この地盤定数に基づいて行われる。
【0003】
一方、建物を支持する構造面での性能という観点からすると、これらの調査法は、それぞれ静的又は動的に地盤に貫入を行う破壊試験であるが、長期及び短期の支持性能との換算方法が多くの実験や実績から導き出されており、建築物の設計において多く採用されている。
【0004】
SWS試験は、錘をつけたロッドの貫入抵抗で地盤の硬軟を評価する調査法で、その地盤調査装置は近年自動化されており、錘の載荷や除荷、回転制御や計測までもが自動化された機器も普及している。
【0005】
他方において、SWS試験で判るのは貫入抵抗であって、その精度には課題も多く、特許文献1では、貫入試験機を利用してそれに振動を与えることによって精度の高い情報を得る方法を提案している。
【0006】
通常のSWS試験の計測単位は25cm単位であり、25cmの貫入と、そのときの回転数とが測定できればよい。そのため、おおまかな目安として、ロッドに目盛りをつけて目視で概略を把握する方法もある。また、途中で地盤に貫入できなくなる場合もあるので、例えば1cm単位で確認できる計測器を取り付けている事例もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-17112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている手法のように、SWS試験の貫入試験機をそのまま利用して起振機によりケーシングに振動を付与し、動的な貫入量と荷重を確認しようとした場合、留意しなければならない点がある。要するに、もともと装置に備わっている変位計や荷重計を利用した場合には、精度の問題を考慮する必要があるとともに、連結された機器にも振動が加わることになるため、機器の耐久性にも影響を与えかねない点である。
【0009】
他方、ロッドの先端に計測器をつけた貫入試験機による地盤調査法もあるが、その場合には精密機器が地盤に直接的に打撃されることになるため、故障の発生頻度が高くなるなど問題も多いとされる。
【0010】
そこで、本発明は、ロッドの中間に簡易なアタッチメントとして付けることで、多種多様な調査装置に対応するとともに、簡便かつ高精度で計測を行うことができる地盤調査用計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の地盤調査用計測装置は、対象地盤を調査する際に地盤にロッドを貫入させる貫入試験機に装着される地盤調査用計測装置であって、前記ロッドに介在させる短尺ロッドと、前記短尺ロッドに取り付けられるひずみ量検出器と、前記短尺ロッドの所定の位置とそれに対応する鉛直方向に存在する基準点との間の変位を計測する変位計とを備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記ひずみ量検出器は、前記短尺ロッドの外周面に貼り付けられる複数のひずみゲージによって構成することができる。また、前記変位計は、前記短尺ロッドの外周面から張り出された張出部に取り付けられて前記基準点を反射点としてレーザを照射させる非接触変位計とすることができる。
【0013】
また、前記変位計は、前記短尺ロッドの外周面から張り出された反射板にレーザを照射させる前記基準点に設置された非接触変位計とすることができる。ここで、前記反射板は、前記短尺ロッドに対して環状に設けられる構成とすることができる。
【0014】
一方、前記変位計は、前記短尺ロッドの外周面から張り出された張出部と前記基準点とをワイヤで接続させるポテンショメータ式の変位計であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
このように構成された本発明の地盤調査用計測装置は、地盤に貫入させるロッドに短尺ロッドを介在させる。そして、この短尺ロッドには、ひずみ量検出器が取り付けられるとともに、短尺ロッドの所定の位置を基準として変位を計測する変位計が設けられる。
【0016】
このように、ロッドの中間に簡易なアタッチメントとして付ける構成であれば、ロッドを使用する多種多様な調査装置に対応させることができる。また、振動や打撃の影響を受け難いロッドの途中に介在させるのであれば、簡便かつ高精度で計測を行うことができる。
【0017】
ここで、ひずみ量検出器を複数のひずみゲージによって構成する場合は、安価に組み込めるうえに、ロッドの鉛直性が保てず偏心が起きているような場合でも、偏心を相殺させた高精度の計測結果を得ることができる。
【0018】
また、変位計として非接触変位計を使用する場合は、振動や打撃の影響を受けやすい部分とは縁切りをさせた計測結果を容易に得ることができる。ここで、短尺ロッド側には、非接触変位計又は反射板のどちらでも取り付けることができる。環状の反射板を短尺ロッド側に設ける場合は、ロッドが貫入時に回転するようなときでも連続して計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態の地盤調査用計測装置が組み込まれた地盤調査装置の構成を示した説明図である。
図2】貫入試験機の構成を示した説明図である。
図3】本実施の形態の地盤調査用計測装置の構成を説明する斜視図である。
図4】地盤調査装置による調査状況を説明する図である。
図5】ケーシングを用いた地盤調査状況を説明する図である。
図6】実施例1の地盤調査用計測装置が組み込まれた地盤調査装置の構成を示した説明図である。
図7】実施例1の地盤調査用計測装置の構成を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1図3は、本実施の形態の地盤調査用計測装置である計測装置4、及びそれが組み込まれた地盤調査装置1の構成を説明するための図である。本実施の形態の地盤調査装置1は、住宅などの建物を建設する調査の対象地盤Gに対して、直接、適用される。すなわち、建物の建設現場における現地踏査、その建設現場に関する資料調査、対象地盤Gの1地点又は複数地点に対して、後述する試験などが実施される。
【0021】
例えば小規模建築物の場合、一般的に調査の対象地盤Gの1地点又は複数地点において、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)が行われる。スウェーデン式サウンディング試験とは、図1に示すように、地盤にスクリューポイント23をねじ込む際の貫入抵抗を測定する試験である。貫入試験機2は、ベースマシン21と、ロッド22と、ロッド22の先端に取り付けられるスクリューポイント23と、錘部25とによって主に構成される。
【0022】
ベースマシン21は、小規模建築物の地盤調査で実績があるスウェーデン式サウンディング試験機である。錘部25は、スウェーデン式サウンディング(SWS)試験の際に使用されるスクリューポイント23に段階的に荷重を載荷させるために使用される。SWS試験は、基本的に25cm単位で調査結果を評価することになる。ロッド22は、1mや50cmの単位ロッド221,・・・を連結して構成される。すなわち測定は、単位ロッド221,・・・を継ぎ足しながら進められる。
【0023】
貫入試験機2に起振機3を取り付けて振動や打撃を加えることで、スウェーデン式サウンディング試験よりも精度良く地盤の支持性能を評価することができるようになる。そして、地盤の支持性能を評価するためには、作用荷重と貫入量との正確な計測データが必要になる。
【0024】
すなわち、起振機3による打撃が行われる状況の中で、動的な貫入量と荷重を正確に計測する必要がある。この計測を、もともと貫入試験機2に備わっている変位計や荷重計を利用して行った場合、貫入試験機2は静的貫入の装置であるため、動的な計測が高精度で行える性能を備えているかという問題が生じる。さらには、起振機3によって振動が加えられる状況が続く中で、機器の耐久性が充分であるかの検証も必要になる。
【0025】
そこで、本実施の形態の地盤調査装置1には、地盤に動的に貫入して調査する調査法において用いることが可能な計測装置4が組み込まれることになる。この計測装置4は、図1及び図3に示すように、ロッド22に介在させる短尺ロッド41と、短尺ロッド41に取り付けられるひずみ量検出器としてのひずみゲージ42と、変位計とによって主に構成される。
【0026】
短尺ロッド41は、ロッド22と同程度の直径の円筒管によって形成されており、上端に上接続ネジ411を備えるとともに、下端に下接続ネジ412を備えている。すなわち、単位ロッド221,221間に介在させる短尺ロッド41には、上方の単位ロッド221の下端に接続させるための上接続ネジ411と、下方の単位ロッド221の上端に接続させるための下接続ネジ412とが設けられる。
【0027】
ひずみゲージ42は、図3に示すように、短尺ロッド41の外周面413に貼り付けられる。このひずみゲージ42の伸縮方向(計測方向)は、短尺ロッド41の軸方向と一致する。短尺ロッド41の外周面413には、複数のひずみゲージ42が貼り付けられる。例えば図1に示すように、周方向に180°ごとに一対のひずみゲージ42,42を貼り付けることができる。また、周方向に90°ごとに4つのひずみゲージ42,・・・を貼り付けることもできる。
【0028】
ひずみゲージ42は、計器として汎用的に使用され、非常に安価に入手することができる。また、短尺ロッド41の外周面413に貼り付けるだけで設置できるので、非常にコンパクトな構成にすることができる。
【0029】
そして、短尺ロッド41の材質(ヤング係数E)及び断面積Aは規定されているので、ひずみεとの関係式(ε=σ/E)から、短尺ロッド41に生じている軸方向の荷重Nは容易に求めることができる。ここで、σは軸方向の応力度(σ=N/A)である。ひずみεは、ひずみゲージ42によって計測される値で、全長Lに占める荷重N作用時の変位量ΔLの割合(ε=ΔL/L)に相当する。
【0030】
ひずみゲージ42は、短尺ロッド41の軸方向と荷重Nの作用方向とを一致させることができるのであれば、短尺ロッド41に対して1つを貼り付けるだけでもよい。しかしながら、貫入試験機2のロッド22の中間に介在させる短尺ロッド41に対して、起振機3によって付与する荷重Nを、毎回、軸方向と一致させるのは難しい。すなわち、打撃による貫入ではロッド22の鉛直性が必ずしも保てないため、荷重Nの作用方向が短尺ロッド41の断面内で偏心する可能性がある。そこで、複数のひずみゲージ42,・・・を対称に取り付けて、平均値を算出することで偏心を相殺させることができるようにする。
【0031】
変位計は、短尺ロッド41の所定の位置とそれに対応する鉛直方向に存在する基準点との間の変位が計測できるように設けられる。図1に示すように、本実施の形態では、短尺ロッド41の外周面413から張り出された張出部44と、貫入試験機2の台座部24の上面241(基準点)との間の相対的な変位を計測する。
【0032】
図3に示すように、短尺ロッド41の外周面413に直交するように張り出された張出部44の下面には、変位計として非接触変位計43が取り付けられる。この非接触変位計43は、レーザSの照射部と受光部とを備えたレーザ式の変位計である。そして、鉛直下方を向けた非接触変位計43の照射部から照射されたレーザSは、貫入試験機2の台座部24の上面241を反射点として反射されて受光部で検出される。
【0033】
計測装置4は、ひずみゲージ42から検出されるひずみ量εから荷重Nを算出する演算処理部を備えている。また、非接触変位計43から検出された検出信号から荷重N作用時の変位(貫入量)を算出することができる。そして、このようにして計測された荷重と貫入量から許容支持力度や推定沈下量が算出できるようになるので、地盤の支持性能を評価することが可能になる。
【0034】
次に、本実施の形態の地盤調査装置1を使用した地盤の調査方法について説明する。
計測装置4は、貫入試験機2の台座部24の上方に位置する単位ロッド221,221間に取り付けられる。図1は、対象地盤Gに1本目の単位ロッド221が埋設されて、その上方の2本目の単位ロッド221の上端に計測装置4が取り付けられた状態を示している。
【0035】
計測装置4の短尺ロッド41の上端に接続された3本目の単位ロッド221は、上端が起振機3に接続される。この起振機3を稼働させると、ロッド22の先端のスクリューポイント23が対象地盤Gに打ち込まれることになる。
【0036】
起振機3によって最上部の単位ロッド221の上端が打撃されると、その荷重はロッド22を伝達して先端のスクリューポイント23が対象地盤Gからの強い抵抗を受けることになる。要するに、ロッド22の上端と下端は強い衝撃力を受ける。
【0037】
これに対して、ベースマシン21の中間部に位置する計測装置4の短尺ロッド41には、ロッド22を伝わった安定した力が作用するだけである。また、非接触変位計43によって計測される台座部24の上面241との相対変位も、起振機3の打撃による影響が少ない状態の計測結果となる。そこで、このような動的な荷重と変位(貫入量)の計測結果から、地盤の支持性能の評価指標として許容支持力度及び推定沈下量を算出する。
【0038】
図4は、計測装置4によって計測を行いながら起振機3による振動の付与が続けられた状態を示している。起振機3によって打撃が行われると、スクリューポイント23が対象地盤Gの深部に向けて推進していき、それに伴って計測装置4も降下することになる。
【0039】
そして、計測装置4の短尺ロッド41が台座部24に近接した段階で、一旦、短尺ロッド41を取り外し、代わりに継ぎ足された単位ロッド221の上端に、再び短尺ロッド41の下端(下接続ネジ412)を接続することになる。このような短尺ロッド41の付け替え作業を繰り返しながら、所望する深度までスクリューポイント23を推進させる。
【0040】
図5は、ロッド22の先端にケーシング5が取り付けられた地盤調査装置10の構成を示している。このケーシング5は、上方に配置される起振機3にロッド22を介して接続されており、起振機3によってケーシング5に任意の周波数の上下方向の振動を付与することができる。
【0041】
さらに、ケーシング5の先端には、水位センサ51が取り付けられる。また、ケーシング5の内空には、水圧検出器52が取り付けられる。地表面G1に設置された地盤調査装置10を用いた地盤調査では、貫入試験機2に取り付けられたケーシング5は、測定単位に従って鉛直方向に段階的に貫入されていき、液状化判定を行う地層にケーシング5が到達したときに、起振機3によって振動が付与されることになる。
【0042】
ここで、貫入試験機2による地盤調査の前に、対象地盤Gに対してSWS試験が行われていた場合は、その試験孔を利用することができる。その際には、試験孔よりも少し大き目の直径のケーシング5が、試験孔に貫入されることになる。
【0043】
地盤調査は、対象地盤Gの上部層G2、中間層G3及び下部層G4のそれぞれに対して行われる。液状化の判定であれば、ケーシング5の先端に取り付けられた水位センサ51や水圧検出器52が水を検知しているか否かの確認がされる。
【0044】
起振機3による打撃がケーシング5に伝達されると、地盤の抵抗を受けたケーシング5の応力がロッド22に伝達されて、計測装置4のひずみゲージ42の出力値から作用荷重Nを検出させることができる。また、計測装置4の非接触変位計43の出力値から、荷重N作用時の変位(ケーシング5の貫入量)を測定することができる。このような動的な荷重と変位(貫入量)の高精度の計測結果から、地盤の支持性能の評価指標となる許容支持力度及び推定沈下量を算出することができる。
【0045】
次に、本実施の形態の計測装置4の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の計測装置4は、地盤に貫入させるロッド22に短尺ロッド41を介在させる。そして、この短尺ロッド41には、ひずみ量検出器となるひずみゲージ42が取り付けられるとともに、短尺ロッド41の所定の位置を基準として変位を計測する非接触変位計43が設けられる。
【0046】
このように、ロッド22の中間に簡易なアタッチメントとして短尺ロッド41を取り付ける構成であれば、ロッド22を使用する多種多様な調査装置に対応させることができる。また、振動や打撃の影響を受け難いロッド22の途中に介在させるのであれば、簡便かつ高精度で荷重や変位の計測を行うことができる。
【0047】
ここで、ひずみ量検出器を複数のひずみゲージ42,・・・によって構成する場合は、安価に組み込めるうえに、ロッド22の鉛直性が保てず偏心が起きているような場合でも、複数箇所の検出値を平均などして偏心を相殺させることで、高精度の計測結果にすることができる。
【0048】
また、変位計として非接触変位計43を使用する場合は、振動や打撃の影響を受けやすい部分とは縁切りをさせた計測結果を得ることができる。非接触変位計43であれば、取り付け箇所の制約も受け難く、簡単に取り付けることができる。
【実施例1】
【0049】
以下、前記した実施の形態とは別の形態の実施例1について、図6,7を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
【0050】
本実施例1では、地盤調査用計測装置である計測装置4A、及びそれが組み込まれた地盤調査装置1Aについて説明する。この計測装置4Aは、ロッド22に介在させる短尺ロッド41と、短尺ロッド41に取り付けられるひずみ量検出器としてのひずみゲージ42と、変位計とによって主に構成される。
【0051】
実施例1の変位計は、短尺ロッド41の所定の位置とそれに対応する鉛直方向に存在する基準点との間の変位が計測できるように設けられる。図6に示すように、本実施例1では、短尺ロッド41の外周面413から張り出された張出部44と、貫入試験機2の台座部24の上面241(基準点)との間の相対的な変位を計測する。
【0052】
ここで、実施例1の構成が前記実施の形態と異なるのは、図7に示すように、短尺ロッド41の外周面413に直交するように張り出された張出部44の下面に反射板45が取り付けられる点である。そして、貫入試験機2の台座部24の上面241に、変位計として非接触変位計43Aが取り付けられる。
【0053】
非接触変位計43Aは、レーザSの照射部と受光部を備えたレーザ式の変位計であり、鉛直上方を向けた非接触変位計43Aの照射部から照射されたレーザSは、短尺ロッド41に設けられた反射板45を反射点として反射されて受光部で検出される。
【0054】
短尺ロッド41側に反射板45を設けた場合、反射板45の大きさや重さによっては、ロッド22を介して伝達される起振機3の振動が増幅されて、顕著な振動が生じることがある。このような場合も、起振機3の周波数よりも反射板45の振動周期は長周期になることから、演算処理部において長周期側の成分を取り除く処理をすることで、計測精度を確保することができる。
【0055】
また、反射板45は、張出部44に取り付けられる長方形板状に限定されるものではない。例えば、短尺ロッド41の外周面413に沿って環状に反射板を設けることもできる。このように環状の反射板にすることで、ロッド22が回転しても、非接触変位計43Aの鉛直上方には必ず反射点が存在することになり、計測の欠損を防ぐことができる。
【0056】
このように構成された本実施例1の計測装置4Aは、短尺ロッド41側に反射板45が取り付けられる。すなわち、短尺ロッド41側の構成を軽量化することが可能で、単位ロッド221へ取り付ける際などの取り扱いが容易になる。
【0057】
また、環状の反射板を短尺ロッド41側に設ける場合は、ロッド22が貫入時に回転するようなときでも連続して計測を行うことができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【0058】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0059】
例えば、前記実施の形態では、非接触変位計43から下向きにレーザSを照射させて台座部24の上面241で反射させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、張出部に上向きにレーザSが照射するように非接触変位計43を取り付け、その鉛直上方にある貫入試験機2の枠体などの下面を反射点とすることもできる。
一方、前記実施例1の反射板45を短尺ロッド41に取り付ける構成においても、非接触変位計43Aを反射板45の鉛直上方にある貫入試験機2の枠体などの下面に取り付ける構成とすることができる。
【0060】
また、前記実施の形態及び実施例1では、短尺ロッド41の上下の端部に上接続ネジ411と下接続ネジ412を設けて隣接する単位ロッド221に接続させる構成について説明したが、これに限定されるものではなく、ピン止めやナット状の継手材などで接続する構成とすることもできる。
【0061】
さらに、前記実施の形態及び実施例1では、変位計として非接触変位計43,43Aを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ワイヤを用いたポテンショメータ式の変位計であってもよい。
【0062】
また、前記実施の形態及び実施例1では、スウェーデン式サウンディング試験機をベースマシン21とする貫入試験機2を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ボーリング試験装置よりも簡易な構成の移動式の小型掘削機であって、クローラタイプのバイブロドリル掘削機などをベースマシンとして貫入試験機を構成することもできる。
【符号の説明】
【0063】
2 :貫入試験機
22 :ロッド
241 :上面(基準点)
4,4A :(地盤調査用)計測装置
41 :短尺ロッド
413 :外周面
42 :ひずみゲージ(ひずみ量検出器)
43,43A :非接触変位計(変位計)
44 :張出部
45 :反射板
G :対象地盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7