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特許7150484観測データ送信システム、観測データ送信装置及び観測データ送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】観測データ送信システム、観測データ送信装置及び観測データ送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
H04L12/46 100C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018105241
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019212987
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 晴喜
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097810(JP,A)
【文献】特開2017-010113(JP,A)
【文献】特開2014-192661(JP,A)
【文献】NECネッツエスアイ,―,危機管理型水位計に関するポータルサイト [オンライン],2018年02月26日,pp. 1-6,インターネット: <URL: http://www.river.or.jp/nec_1.pdf>,[検索日 2020年10月07日]
【文献】危機管理型水位計運用協議会,危機管理型・クラウド水位計 伝送仕様案,危機管理型水位計に関するポータルサイト [オンライン],2018年04月05日,pp. 1-24,インターネット: <URL: http://www.river.or.jp/riverwaterlevels/img/vol-1_1/besshi2.pdf>,[検索日 2020年10月07日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川に設置され、予め設定された観測時間に河川の水位を観測し、前記河川の水位が規定値を超過した場合に、前記河川の水位データを送信する水位計と、
配下の前記水位計から取得した前記水位データを中継する中継装置と、
前記中継装置から通信網を介して受信した水位データを、所定の送信先システムに対して送信する観測データ送信装置と、
を備え、
前記観測データ送信装置は、
前記水位データを蓄積する蓄積部と、
送信対象となっている水位データの内、予め設定された送信タイミングとなった時点までに、前記蓄積部に蓄積されている前記水位データをまとめて送信データを生成する送信データ生成部と、
前記送信データを、送信先のシステムに応じてプロトコル変換するプロトコル変換部と、
プロトコル変換後の前記送信データを前記所定の送信先システムに送信する送信部と、
を備える観測データ送信システム。
【請求項2】
前記送信部は、前記中継装置の配下にある前記水位計の水位データを、前記中継装置の単位で送信する、又は、複数の中継装置の配下にある前記水位計の水位データをまとめて送信する、
請求項1に記載の観測データ送信システム。
【請求項3】
前記送信部は、前記中継装置毎に定められた前記送信タイミングまでに受信できず、前記送信タイミング後に受信した水位計の水位データについては、次の送信タイミングにおいて、当該水位データを送信した水位計から、次の水位データが受信できていない場合に、次の送信タイミング後に送信する、
請求項1に記載の観測データ送信システム。
【請求項4】
前記所定の送信先システムは、国が管理する河川情報システムと、地方自治体が管理する河川情報管理システムである、
請求項1に記載の観測データ送信システム。
【請求項5】
河川に設置され、予め設定された観測時間に河川の水位を観測し、前記河川の水位が規定値を超過した場合に、前記河川の水位データを送信する水位計によって取得された前記水位データを中継する中継装置から前記水位データを受信する受信部と、
前記中継装置から受信された前記水位データを蓄積する蓄積部と、
送信対象となっている水位データの内、予め設定された送信タイミングとなった時点までに、前記蓄積部に蓄積されている前記水位データをまとめて送信データを生成する送信データ生成部と、
前記送信データを、送信先のシステムに応じてプロトコル変換するプロトコル変換部と、
プロトコル変換後の前記送信データを所定の送信先システムに送信する送信部と、
を備える観測データ送信装置。
【請求項6】
前記送信部は、前記中継装置の配下にある前記水位計の水位データを、前記中継装置の単位で送信する、又は、複数の中継装置の配下にある前記水位計の水位データをまとめて送信する、
請求項に記載の観測データ送信装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記中継装置毎に定められた前記送信タイミングまでに受信できず、前記送信タイミング後に受信した水位計の水位データについては、次の送信タイミングにおいて、当該水位データを送信した水位計から、次の水位データが受信できていない場合に、次の送信タイミング後に送信する、
請求項に記載の観測データ送信装置。
【請求項8】
前記所定の送信先システムは、国が管理する河川情報システムと、地方自治体が管理する河川情報管理システムである、
請求項に記載の観測データ送信装置。
【請求項9】
予め設定された観測時間に河川の水位を観測し、この河川の水位が規定値を超過した後に、前記河川の水位データを送信する水位計によって取得された前記水位データを中継する中継装置から前記水位データを受信する受信ステップと、
受信された前記水位データを蓄積部に蓄積する蓄積ステップと、
予め設定された送信タイミングとなった時点で、送信対象となっている前記蓄積部に蓄積されている前記水位データをまとめて送信データを生成する送信データ生成ステップと、
前記送信データを、送信先のシステムに応じてプロトコル変換するプロトコル変換ステップと、
プロトコル変換後の前記送信データを所定の送信先システムに送信する送信ステップと、
を有する観測データ送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、観測データ送信システム、観測データ送信装置及び観測データ送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水位計が設置されていない中小河川において河川氾濫による甚大な被害が発生したことを受け、従来の水位計よりコストを大幅に削減した水位計が開発されている。このような水位計は、危機管理型水位計と呼ばれ、水位計から直接LTE(Long Term Evolution)等の携帯通信網を介して、国土交通省主導クラウド上のデータベースサーバに対して観測データを送信する仕組みとなっている。特に、危機管理型水位計(自律型)は、観測データを10分毎に観測するが、規定の水位を超過した時のみデータベースサーバへ観測データを規定間隔で送信する仕様となっている。
【0003】
また、危機管理型水位計の構成では、水位計から直接、クラウド上のデータベースサーバに対して観測データを送信し、そのままインターネットへ一般公開する仕組みとなっている。現状、データの公開については、インターネットへの一般公開のみであり、データの直接的な活用については決まっていないため独自の機能構築ができない。現状、地方公共団体が運用する河川情報システムでは、独自にシステムを構築している場合があり、危機管理型水位計で得られた水位データを、既存の河川情報システムに取り込むことができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-43391号公報
【文献】特開2016-224710号公報
【文献】特開2017-84206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、標準仕様が異なるシステムに対して観測データを取り込むことができる観測データ送信システム、観測データ送信装置及び観測データ送信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の観測データ送信システムは、水位計と、中継装置と、観測データ送信装置とを持つ。水位計は、河川に設置され、予め設定された観測時間に河川の水位を観測し、前記河川の水位が規定値を超過した場合に、前記河川の水位データを送信する。中継装置は、配下の前記水位計から取得した前記水位データを中継する。観測データ送信装置は、前記中継装置から通信網を介して受信した水位データを、所定の送信先システムに対して送信する。観測データ送信装置は、蓄積部と、送信データ生成部と、プロトコル変換部と、送信部とを持つ。蓄積部は、前記水位データを蓄積する。送信データ生成部は、送信対象となっている水位データの内、予め設定された送信タイミングとなった時点までに、前記蓄積部に蓄積されている前記水位データをまとめて送信データを生成する。プロトコル変換部は、前記送信データを、送信先のシステムに応じてプロトコル変換する。送信部は、プロトコル変換後の前記送信データを前記所定の送信先システムに送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の観測データ提供システムのシステム構成を示す図。
図2】実施形態の観測データ送信装置の具体的な構成を示すブロック図。
図3】実施形態の動作パラメータデータベースの構成例を示す図。
図4】実施形態における観測データ提供システムで行われる開局時の設定処理の流れを示すシーケンス図。
図5】実施形態における観測データ提供システムで行われる水位データの送信処理の流れを示すシーケンス図。
図6】実施形態における観測データ提供システムで行われる水位データの送信処理の流れを示すタイミングチャート。
図7】変形例における観測データ提供システムで行われる開局時の設定処理の流れを示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の観測データ送信システム、観測データ送信装置及び観測データ送信方法を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の観測データ提供システム100のシステム構成を示す図である。観測データ提供システム100は、観測データ送信システム1、データベースサーバ2及び河川情報システム3で構成される。観測データ送信システム1とデータベースサーバ2とは、閉域ネットワーク4を介して通信可能に接続される。閉域ネットワーク4は、例えば専用線であってもよいし、VPN(Virtual Private Network)であってもよい。
【0009】
観測データ送信システム1は、各地域の中小河川に設置された自律型危機管理型水位計10から水位データを収集し、収集した水位データをデータベースサーバ2及び河川情報システム3に提供するシステムである。自律型危機管理型水位計10から送信される水位データには、水位データが取得された時刻の情報、自律型危機管理型水位計10を識別するための識別情報が含まれる。
【0010】
データベースサーバ2は、国土交通省等が備える河川情報を収集するためのシステムに設けられたデータベースサーバである。データベースサーバ2は、水位が設定値を超過した自律型危機管理型水位計10から送信された水位データを保持し、保持している水位データを、インターネットを介して情報提供するサーバである。
【0011】
河川情報システム3は、自治体が備えるシステムである。河川情報システム3は、観測データ送信システム1から送信される水位データ及びテレメータ観測装置5から送信される水位データを保持し、保持している水位データを情報提供するシステムである。
テレメータ観測装置5は、水位計6を備え、自律型危機管理型水位計10と異なる地点に設置された水位計6から水位データを収集する装置である。テレメータ観測装置は、例えば水位観測局である。
【0012】
次に、観測データ送信システム1の構成について説明する。
観測データ送信システム1は、1又は複数の自律型危機管理型水位計10、1又は複数の中継装置20及び観測データ送信装置30で構成される。自律型危機管理型水位計10と、中継装置20との間の通信には、免許が不要で独自の無線ネットワークを構築できる920MHz特定小電力無線を用いた無線通信規格(例えば、LoRa(登録商標)WAN(Wide Area Network)2、LoRaWAN)が用いられる。また、中継装置20と、観測データ送信装置30とは、携帯通信網40を介して通信可能に接続される。
【0013】
自律型危機管理型水位計10は、自装置が設置された中小河川の水位観測を行う装置である。自律型危機管理型水位計10は、危機管理型水位計における仕様のうち自律型の仕様で動作する水位計である。自律型とは、水位計が自律的に水位データを送信する仕様である。監視モードと観測モードの2つのモードを有する。監視モードは、水位観測を所定の時間(例えば、10分)毎に行うモードである。例えば、自律型危機管理型水位計10が監視モードで動作している場合、自律型危機管理型水位計10は水位観測を、例えば1秒毎に20回(20秒間)行う。そして、自律型危機管理型水位計10は、観測値から異常値、最大値及び最小値を排除し、残りの観測値の平均値を取ることによって観測水位を確定する。観測モードは、観測水位が、開局時にデータベースサーバ2から指定された水位を超過した場合に動作するモードであり、規定された観測周期(例えば、2分間隔)で水位データを送信するモードである。観測モード時の観測周期は、開局時にデータベースサーバ2から指定される。
【0014】
中継装置20は、自律型危機管理型水位計10と、観測データ送信装置30との間の通信を中継する中継装置である。例えば、中継装置20は、自律型危機管理型水位計10から送信された水位データを観測データ送信装置30に送信する。中継装置20には、1又は複数の自律型危機管理型水位計10が接続される。中継装置20は、例えば、ゲートウェイである。
【0015】
観測データ送信装置30は、中継装置20を介して受信した水位データをデータベースサーバ2及び河川情報システム3に送信する装置である。具体的には、観測データ送信装置30は、水位データを蓄積し、中継装置20毎に指定された送信タイミングで、送信タイミングとなった中継装置20に接続されている自律型危機管理型水位計10で観測された水位データをまとめてデータベースサーバ2及び河川情報システム3に送信する。
【0016】
図2は、観測データ送信装置30の具体的な構成を示すブロック図である。
観測データ送信装置30は、下位通信部31、上位通信部32、記憶部33及び制御部34を備える。
下位通信部31は、中継装置20との間で通信を行う機能部である。例えば、下位通信部31は、中継装置20から水位データを受信する。
上位通信部32は、データベースサーバ2及び河川情報システム3との間で通信を行う機能部である。例えば、上位通信部32は、下位通信部31によって受信された水位データをデータベースサーバ2及び河川情報システム3に送信する。
【0017】
記憶部33は、動作パラメータデータベース331及び観測データ332を記憶する。記憶部33は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。動作パラメータデータベース331は、自律型危機管理型水位計10の動作を規定する動作パラメータが中継装置20毎に登録されたデータベースである。
【0018】
図3は、動作パラメータデータベース331の構成例を示す図である。
図3に示す動作パラメータデータベース331は、中継装置20に接続される自律型危機管理型水位計10に設定するための動作パラメータが中継装置20毎に登録されたレコードを複数有する。レコードは、中継装置ID及び設定用動作パラメータの各値を有する。中継装置IDの値は、中継装置20の識別情報を表す。例えば、中継装置IDは、中継装置20のMACアドレスである。設定用動作パラメータの値は、自律型危機管理型水位計10の動作を規定するパラメータである。図3では、動作パラメータとして、観測開始水位、観測周期、水位変換スケール、観測時間及び観測間隔の各値が示されている。
【0019】
観測開始水位の値は、自律型危機管理型水位計10の動作モードを監視モードから観測モードに切り替える基準となる水位を表す。観測周期の値は、自律型危機管理型水位計10が観測モードで動作している場合に水位観測を行う周期を表す。水位変換スケールの値は、水位データの変換スケールを表す。観測時間の値は、データベースサーバ2から自律型危機管理型水位計10の開局時に指示される送信遅延時間を踏まえて、自律型危機管理型水位計10が水位観測を行うことができる時間を表す。観測間隔の値は、任意に設定可能な水位観測の間隔を表す。送信遅延時間の値は、自律型危機管理型水位計10と中継装置20との間の通信による遅延時間を表す。
【0020】
図2に戻って説明を続ける。
観測データ332は、下位通信部31によって受信された水位データである。観測データ332は、中継装置20の識別情報に対応付けられる。
制御部34は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部34は、プログラムを実行することによって、通信制御部341、動作パラメータ保存部342、送信タイミング制御部343、送信データ生成部344及びプロトコル変換部345として機能する。
【0021】
通信制御部341は、下位通信部31及び上位通信部32による通信を制御する機能部である。
動作パラメータ保存部342は、開局時にデータベースサーバ2から得られる動作パラメータを用いて、中継装置20毎の設定用動作パラメータを取得し、取得した設定用動作パラメータを動作パラメータデータベース331に保存する機能部である。
【0022】
送信タイミング制御部343は、水位データの送信タイミングを制御する機能部である。
送信データ生成部344は、送信対象となる水位データを含む送信データを生成する機能部である。具体的には、送信データ生成部344は、送信タイミングとなった中継装置20に接続されている自律型危機管理型水位計10から得られた水位データを含む送信データを生成する。
プロトコル変換部345は、送信データのプロトコルを送信先に応じてプロトコル変換する機能部である。
【0023】
図4は、実施形態における観測データ提供システム100で行われる開局時の設定処理の流れを示すシーケンス図である。図4では、自律型危機管理型水位計10が2台(自律型危機管理型水位計10-1及び10-2)であり、自律型危機管理型水位計10-1及び10-2が同じ中継装置20に接続している場合を例に説明する。
ステップS101において、自律型危機管理型水位計10-1は、開局通知を中継装置20に送信する。
ステップS102において、中継装置20は、自律型危機管理型水位計10-1から送信された開局通知を受信し、受信した開局通知を観測データ送信装置30に中継する。
【0024】
観測データ送信装置30の下位通信部31は、中継装置20から開局通知を受信する。
ステップS103において、通信制御部341は、中継装置20から開局通知を受信すると、動作パラメータデータベース331を参照し、開局通知を送信した中継装置20の識別情報に対応付けられた設定用動作パラメータの有無を判定する。ステップS103の時点では、開局通知を送信した中継装置20の識別情報に対応付けられた設定用動作パラメータが動作パラメータデータベース331に保存されていないため、通信制御部341は、設定用動作パラメータが無いと判定する。
【0025】
ステップS104において、設定用動作パラメータが無い場合、通信制御部341は、上位通信部32を制御して、受信した開局通知をデータベースサーバ2に送信する。
ステップS105において、データベースサーバ2は、観測データ送信装置30から送信された開局通知を受信し、受信した開局通知に対する応答として動作パラメータを観測データ送信装置30に送信する。データベースサーバ2から観測データ送信装置30に送信される動作パラメータには、観測開始水位、観測周期、水位変換スケール及び送信遅延時間の値が含まれる。
【0026】
観測データ送信装置30の上位通信部32は、データベースサーバ2から送信された動作パラメータを受信する。ステップS106において、動作パラメータ保存部342は、受信された動作パラメータに応じた値を動作パラメータデータベース331に保存する。具体的には、動作パラメータ保存部342は、観測開始水位、観測周期及び水位変換スケール、独自の観測間隔と、動作パラメータに含まれる送信遅延時間を踏まえた観測時間の各値を動作パラメータとして、開局通知の送信元である中継装置20の識別情報に対応付けて動作パラメータデータベース331に保存する。
【0027】
ステップS107において、動作パラメータ保存部342は、中継装置20に対して動作パラメータを送信する。観測データ送信装置30から中継装置20に送信される動作パラメータには、観測開始水位、観測周期(観測開始水位を超えた場合の観測周期)、水位変換スケール、観測時間及び観測間隔の値が含まれる。このように、動作パラメータ保存部342は、自律型危機管理型水位計10が河川の水位を観測する観測時間を自律型危機管理型水位計10に対して新たに設定する動作パラメータ設定部としても機能する。
【0028】
ステップS108において、中継装置20は、観測データ送信装置30から送信された設定用動作パラメータを受信し、受信した設定用動作パラメータを自律型危機管理型水位計10-1に送信する。
ステップS109において、自律型危機管理型水位計10-1は、中継装置20から設定用動作パラメータを受信すると、開局がなされたと判定し、自装置の動作モードを監視モードに設定する。また、自律型危機管理型水位計10-1は、設定用動作パラメータを保持する。ステップS110において、自律型危機管理型水位計10-1は、所定の周期(例えば、10分周期)で水位観測を行う。
【0029】
自律型危機管理型水位計10-2が新たに設置されたとする。ステップS111において、自律型危機管理型水位計10-2は、開局通知を中継装置20に送信する。
ステップS112において、中継装置20は、自律型危機管理型水位計10-2から送信された開局通知を受信し、受信した開局通知を観測データ送信装置30に中継する。観測データ送信装置30の下位通信部31は、中継装置20から開局通知を受信する。
【0030】
ステップS113において、通信制御部341は、中継装置20から開局通知を受信すると、動作パラメータデータベース331を参照し、開局通知を送信した中継装置20の識別情報に対応付けられた設定用動作パラメータの有無を判定する。ステップS113の時点では、開局通知を送信した中継装置20の識別情報に対応付けられた設定用動作パラメータが動作パラメータデータベース331に保存されているため、通信制御部341は、設定用動作パラメータが有ると判定する。
【0031】
通信制御部341は、開局通知を送信した中継装置20の識別情報に対応付けられた設定用動作パラメータを動作パラメータデータベース331から取得する。ステップS114において、通信制御部341は、下位通信部31を制御して、取得した設定用動作パラメータを中継装置20に送信する。
【0032】
ステップS115において、中継装置20は、観測データ送信装置30から送信された設定用動作パラメータを受信し、受信した設定用動作パラメータを自律型危機管理型水位計10-2に送信する。
ステップS116において、自律型危機管理型水位計10-2は、中継装置20から設定用動作パラメータを受信すると、開局がなされたと判定し、自装置の動作モードを監視モードに設定する。また、自律型危機管理型水位計10-2は、設定用動作パラメータを保持する。ステップS117において、自律型危機管理型水位計10-2は、所定の周期(例えば、10分周期)で水位観測を行う。
【0033】
図5は、実施形態における観測データ提供システム100で行われる水位データの送信処理の流れを示すシーケンス図である。図5では、自律型危機管理型水位計10が2台(自律型危機管理型水位計10-1及び10-2)であり、自律型危機管理型水位計10-1及び10-2が同じ中継装置20に接続している場合を例に説明する。
ステップS201において、自律型危機管理型水位計10-1は、所定の周期(例えば、10分周期)で水位観測を行う。
ステップS202において、自律型危機管理型水位計10-2は、所定の周期(例えば、10分周期)で水位観測を行う。
【0034】
自律型危機管理型水位計10-1は、水位観測後の水位データの平均値と、設定用動作パラメータに含まれていた観測開始水位の値とを比較する。水位データの平均値が、観測開始水位の値を超過した場合、自律型危機管理型水位計10-1は水位が超過していると判定する。一方、水位データの平均値が、観測開始水位の値を超えていない場合、自律型危機管理型水位計10-1は水位が超過していないと判定する。
【0035】
ステップS203において、自律型危機管理型水位計10-1は水位が超過していると判定したとする。
ステップS204において、自律型危機管理型水位計10-1は、自装置の動作モードを監視モードから観測モードに変更して動作する。
【0036】
ステップS205において、自律型危機管理型水位計10-1は、観測モードで動作する場合、設定用動作パラメータに含まれていた観測時間及び観測間隔で水位データを取得し、取得した水位データを中継装置20に送信する。
【0037】
ステップS206において、中継装置20は、水位データを自律型危機管理型水位計10-1から受信し、受信した水位データを観測データ送信装置30に送信する。
観測データ送信装置30の下位通信部31は、中継装置20から送信された水位データを受信する。ステップS207において、通信制御部341は、受信された水位データを記憶部33に観測データ332として蓄積する。この際、通信制御部341は、水位データを送信した中継装置20の識別情報に対応付けて水位データを記憶部33に観測データ332として蓄積する。
【0038】
ステップS208において、自律型危機管理型水位計10-2は水位が超過していると判定したとする。
ステップS209において、自律型危機管理型水位計10-2は、自装置の動作モードを監視モードから観測モードに変更して動作する。
【0039】
ステップS210において、自律型危機管理型水位計10-2は、観測モードで動作する場合、設定用動作パラメータに含まれていた観測時間及び観測間隔で水位データを取得し、取得した水位データを中継装置20に送信する。
【0040】
ステップS211において、中継装置20は、水位データを自律型危機管理型水位計10-2から受信し、受信した水位データを観測データ送信装置30に送信する。
観測データ送信装置30の下位通信部31は、中継装置20から送信された水位データを受信する。ステップS207において、通信制御部341は、受信された水位データを記憶部33に観測データ332として蓄積する。この際、通信制御部341は、水位データを送信した中継装置20の識別情報に対応付けて水位データを記憶部33に観測データ332として蓄積する。
【0041】
送信タイミング制御部343は、データベースサーバ2から通知された動作パラメータに含まれる観測周期の開始時点から送信遅延時間が経過すると、水位データの送信タイミングであると判定する。ステップS213において、送信タイミング制御部343は、観測周期の開始時点から送信遅延時間経過までに得られた水位データを観測データ332から取得する。そして、送信タイミング制御部343は、取得した水位データを送信データ生成部344に出力する。なお、送信タイミング制御部343は、観測周期の開始時点から送信遅延時間が経過した中継装置20に接続されている自律型危機管理型水位計10から送信された水位データを取得し、観測周期の開始時点から送信遅延時間が経過していない中継装置20に接続されている自律型危機管理型水位計10から送信された水位データについては取得しない。
【0042】
ステップS214において、送信データ生成部344は、送信タイミング制御部343から出力された水位データをまとめて送信データを生成する。具体的には、送信データ生成部344は、送信タイミング制御部343から出力された水位データを送信データのデータ部分に格納することによって送信データを生成する。送信データ生成部344は、生成した送信データをプロトコル変換部345に出力する。
【0043】
ステップS215において、プロトコル変換部345は、送信データ生成部344から出力された送信データをシステムに合わせてプロトコル変換する。具体的には、プロトコル変換部345は、データベースサーバ2送信用の送信データに対しては、データベースサーバ2で利用可能なプロトコルに変換し、河川情報システム3送信用の送信データに対しては、河川情報システム3で利用可能なプロトコルに変換する。
【0044】
ステップS216において、通信制御部341は、上位通信部32を制御して、データベースサーバ2送信用にプロトコル変換された送信データをデータベースサーバ2に送信する。
ステップS217において、通信制御部341は、上位通信部32を制御して、河川情報システム3送信用にプロトコル変換された送信データを河川情報システム3に送信する。
【0045】
図6は、実施形態における観測データ提供システム100で行われる水位データの送信処理の流れを示すタイミングチャートである。図6では、中継装置20が複数台の場合の水位データの送信処理の流れについて説明する。図6において、自律型危機管理型水位計10-1~10-4は中継装置20-1に接続し、自律型危機管理型水位計10-5~10-8は中継装置20-2に接続し、自律型危機管理型水位計10-9~10-12は中継装置20-3に接続しているものとする。
【0046】
自律型危機管理型水位計10-1~10-4は、所定の周期(例えば、10分毎)の水位観測を、例えば1秒毎に20回実施する。なお、図6において、観測と記載している時間が、観測データ送信装置30によって自律型危機管理型水位計10に新たに設定された観測時間である。例えば、動作パラメータ保存部342は、図6に示すように、データベースサーバ2から指定された観測周期よりも20秒早い時間を、自律型危機管理型水位計10の新たな観測時間として算出する。
【0047】
また、図6において、水位超過したと判定した自律型危機管理型水位計10と、水位超過していないと判定した自律型危機管理型水位計10とを〇(マル)と、×(バツ)で分けて示している。例えば、図6において、水位超過したと判定した自律型危機管理型水位計10は、自律型危機管理型水位計10-1、自律型危機管理型水位計10-2、自律型危機管理型水位計10-6~10-8、自律型危機管理型水位計10-9~10-12である。また、例えば、図6において、水位超過していないと判定した自律型危機管理型水位計10は、自律型危機管理型水位計10-3、自律型危機管理型水位計10-4、自律型危機管理型水位計10-5である。
【0048】
すなわち、図6において、自律型危機管理型水位計10-1、自律型危機管理型水位計10-2、自律型危機管理型水位計10-6~10-8、自律型危機管理型水位計10-9~10-12は送信対象の水位データとなり、自律型危機管理型水位計10-3、自律型危機管理型水位計10-4、自律型危機管理型水位計10-5の水位データは送信対象とならない。
また、図6において、▽マークは水位データを正常に受信したタイミングを示している。自律型危機管理型水位計10からの送信は、自律的に行う仕様のため、観測データ送信装置30は、どのタイミングでどの自律型危機管理型水位計10が水位データを送信してくるのか予想ができない。そのため、観測データ送信装置30は、受信できたものから蓄積していく。
【0049】
次に、水位データの送信について説明する。通信集中による負荷対策のため、開局通知の応答にてデータベースサーバ2から指定された観測周期に対して、中継装置20毎に送信遅延時間が設定されている。例えば、中継装置20-1に対しては送信遅延時間が40秒設定されており、中継装置20-2に対しては送信遅延時間が60秒設定されており、中継装置20-3に対しては送信遅延時間が80秒設定されている。
【0050】
これは、観測データ送信装置30が、データベースサーバ2から指定された観測周期の開始時点から40秒遅らせたタイミングで、中継装置20-1に接続されている自律型危機管理型水位計10-1~10-4から送信された水位データをまとめて送信することを示している。
また、観測データ送信装置30が、データベースサーバ2から指定された観測周期の開始時点から60秒遅らせたタイミングで、中継装置20-2に接続されている自律型危機管理型水位計10-5~10-8から送信された水位データをまとめて送信することを示している。
また、観測データ送信装置30が、データベースサーバ2から指定された観測周期の開始時点から80秒遅らせたタイミングで、中継装置20-3に接続されている自律型危機管理型水位計10-9~10-12から送信された水位データをまとめて送信することを示している。
【0051】
まず、自律型危機管理型水位計10-1~10-4の水位データの送信処理について説明する。
図6において、送信対象となっている自律型危機管理型水位計10-2から送信された水位データが、観測周期開始時点から送信遅延時間(例えば、40秒)経過したタイミングで、観測データ送信装置30で受信できていない。しかし、先に述べたように、観測データ送信装置30では、データベースサーバ2から指定された観測周期の開始時点から送信遅延時間までに揃った水位データをまとめて送信処理を行う。そのため、この観測周期(0秒~120秒)のタイミングにおいては、観測データ送信装置30は、自律型危機管理型水位計10-1の水位データのみをデータベースサーバ2及び河川情報システム3に送信する。
【0052】
なお、自律型危機管理型水位計10-2の水位データは、中継装置20-1の送信遅延時間が経過した後に観測データ送信装置30で受信されている。観測データ送信装置30は、観測周期(0秒~120秒)後も同様に、観測周期の開始時点から送信遅延時間までに揃った水位データを送信するが、次の観測周期(120秒~240秒)においても自律型危機管理型水位計10-2の水位データについては、観測周期の開始時点から送信遅延時間までのタイミングで受信できていない。
【0053】
このような場合、観測データ送信装置30の送信タイミング制御部343は、1回前の観測では送信ができなかったものの、その後正常受信できている自律型危機管理型水位計10-2の水位データがあるため、前回送信できなかった自律型危機管理型水位計10-2の水位データを自律型危機管理型水位計10-1の水位データとともにまとめて送信する。なお、観測周期の開始時点から送信遅延時間までに自律型危機管理型水位計10-2の水位データが受信できていた場合には、観測データ送信装置30は最新の水位データを送信するため、1回目の自律型危機管理型水位計10-2の水位データは破棄する。
【0054】
次に、自律型危機管理型水位計10-5~10-8の水位データの送信処理について説明する。
図6において、送信対象となっている自律型危機管理型水位計10-6~10-8から送信された水位データが、観測周期開始時点から送信遅延時間(例えば、60秒)経過したタイミングで、観測データ送信装置30で全て受信できている。このため、観測データ送信装置30では、データベースサーバ2から指定された観測周期の開始時点から送信遅延時間までに揃った水位データをまとめて送信処理を行う。そのため、この観測周期(0秒~120秒)のタイミングにおいては、観測データ送信装置30は、自律型危機管理型水位計10-6~10-8の水位データをデータベースサーバ2及び河川情報システム3に送信する。
【0055】
次の観測周期(120秒~240秒)においては、自律型危機管理型水位計10-6の水位データについては、観測周期の開始時点から送信遅延時間までのタイミングで受信できていない。
このような場合、観測データ送信装置30は、1回前の観測では送信ができているため、自律型危機管理型水位計10-6の水位データの送信は行わず、自律型危機管理型水位計10-7及び10-8の水位データをまとめて送信する。
【0056】
次に、自律型危機管理型水位計10-9~10-12の水位データの送信処理について説明する。
図6において、送信対象となっている自律型危機管理型水位計10-9~10-12から送信された水位データが、観測周期開始時点から送信遅延時間(例えば、80秒)経過したタイミングで、観測データ送信装置30で全て受信できている。このため、観測データ送信装置30では、データベースサーバ2から指定された観測周期の開始時点から送信遅延時間までに揃った水位データをまとめて送信処理を行う。そのため、この観測周期(0秒~120秒)のタイミングにおいては、観測データ送信装置30は、自律型危機管理型水位計10-9~10-12の水位データをデータベースサーバ2及び河川情報システム3に送信する。
【0057】
次の観測周期(120秒~240秒)においても、観測データ送信装置30は、自律型危機管理型水位計10-9~10-12の水位データを全て受信できている。そのため、観測データ送信装置30は、自律型危機管理型水位計10-9~10-12の水位データをまとめて送信する。
【0058】
なお、自律型危機管理型水位計10-1~10-12は、正時のタイミングにおいては水位観測を行い、水位超過の有無に関わらず、水位データを、中継装置20を介して観測データ送信装置30に送信する。観測データ送信装置30は、正時のタイミングで取得された水位データを、河川情報システム3に送信する。
【0059】
以上のように構成された観測データ提供システム100によれば、自律型危機管理型水位計10で取得された水位データを、観測データ送信装置30において一時的に蓄積し、必要な送信タイミングでまとめて送信する。この際、観測データ送信装置30は、送信先に応じてプロトコル変換して送信データを送信先に送信する。そのため、自律型危機管理型水位計10の水位データを、プロトコルの異なる他のシステムにも取り込むことが可能になる。
【0060】
<観測データ提供システム100における変形例>
本実施形態では、観測データ送信装置30が、中継装置20毎に水位データをまとめて送信する構成を示したが、観測データ送信装置30は複数の中継装置20それぞれから送信された水位データをまとめてデータベースサーバ2及び河川情報システム3に送信するように構成されてもよい。
本実施形態では、危機管理型水位計が、自律型の仕様の場合を例に説明したが、観測データ送信システム1が備える危機管理型水位計の一部は制御型の仕様であってもよい。制御型とは、水位データの送信要求に応じて、水位データを要求元に送信する仕様である。
【0061】
本実施形態では、観測データ送信装置30が、自律型危機管理型水位計10から得られる水位データをデータベースサーバ2及び河川情報システム3に送信する構成を示したが、観測データ送信装置30は水門・陸閘に設置される開閉センサから得られる開閉情報を取得し、河川情報システム3に送信するように構成されてもよい。このように構成される場合、観測データ送信装置30は、河川情報システム3に対して水位データを送信する際に、開閉情報を含めて送信してもよいし、開閉情報が受信された際に単独で河川情報システム3に送信してもよい。なお、開閉情報のようにデータベースサーバ2との通信プロトコル上の規約の無いデータについては、観測データ送信装置30に蓄積し、観測データ送信装置30において河川情報システム3用の通信プロトコルに変換して、河川情報システム3に送信する。
【0062】
本実施形態では、図4に示すように、開局通知がなされた後に、観測データ送信装置30がデータベースサーバ2に対して開局通知を送信して中継装置20毎の動作パラメータを取得する構成を示したが、観測データ送信装置30は予めデータベースサーバ2から中継装置20毎の動作パラメータを取得するように構成されてもよい。
【0063】
図7は、変形例における観測データ提供システム100で行われる開局時の設定処理の流れを示すシーケンス図である。図7では、自律型危機管理型水位計10が2台(自律型危機管理型水位計10-1及び10-2)であり、自律型危機管理型水位計10-1及び10-2が同じ中継装置20に接続している場合を例に説明する。なお、図7において、図4と同様の処理については図4と同様の符号を付して説明を省略する。
ステップS301において、観測データ送信装置30の通信制御部341は、上位通信部32を制御して、開局通知をデータベースサーバ2に送信する。この際、通信制御部341は、自装置に接続している各中継装置20に関する開局通知をデータベースサーバ2に送信してもよいし、一部の中継装置20に関する開局通知をデータベースサーバ2に送信してもよい。
【0064】
ステップS302において、データベースサーバ2は、観測データ送信装置30から送信された開局通知を受信し、受信した開局通知に対する応答として動作パラメータを観測データ送信装置30に送信する。
観測データ送信装置30の上位通信部32は、データベースサーバ2から送信された動作パラメータを受信する。ステップS303において、動作パラメータ保存部342は、受信された動作パラメータに応じた値を動作パラメータデータベース331に保存する。具体的には、動作パラメータ保存部342は、観測開始水位、観測周期及び水位変換スケール、独自の観測間隔と、動作パラメータに含まれる送信遅延時間を考慮した観測時間の各値を動作パラメータとして、開局通知の送信元である中継装置20の識別情報に対応付けて動作パラメータデータベース331に保存する。
【0065】
自律型危機管理型水位計10-1が設置されたとする。ステップS304において、自律型危機管理型水位計10-1は、開局通知を中継装置20に送信する。
ステップS305において、中継装置20は、自律型危機管理型水位計10-1から送信された開局通知を受信し、受信した開局通知を観測データ送信装置30に中継する。観測データ送信装置30の下位通信部31は、中継装置20から開局通知を受信する。
【0066】
ステップS306において、通信制御部341は、中継装置20から開局通知を受信すると、動作パラメータデータベース331を参照し、開局通知を送信した中継装置20の識別情報に対応付けられた設定用動作パラメータの有無を判定する。ステップS306の時点では、開局通知を送信した中継装置20の識別情報に対応付けられた設定用動作パラメータが動作パラメータデータベース331に保存されているため、通信制御部341は、設定用動作パラメータが有ると判定する。
【0067】
通信制御部341は、開局通知を送信した中継装置20の識別情報に対応付けられた設定用動作パラメータを動作パラメータデータベース331から取得する。ステップS307において、通信制御部341は、下位通信部31を制御して、取得した設定用動作パラメータを中継装置20に送信する。その後、ステップS108以降の処理が実行される。
【0068】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、河川の水位が規定値を超過した後に、河川の水位データを取得する水位計と、水位計によって取得された前記水位データの中継を行う中継装置と、水位データを蓄積する蓄積部と、予め設定された送信タイミングとなった時点で、送信対象となっている蓄積部に蓄積されている水位データをまとめて送信データを生成する送信データ生成部と、送信データを、送信先のシステムに応じてプロトコル変換するプロトコル変換部と、プロトコル変換後の送信データを送信先のシステムに送信する送信部を持つことにより、標準仕様が異なるシステムに対して観測データを取り込むことができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
2…データベースサーバ,3…河川情報システム,10…自律型危機管理型水位計,20…中継装置,30…観測データ送信装置,31…下位通信部,32…上位通信部,33…記憶部,34…制御部,331…動作パラメータデータベース,332…観測データ,341…通信制御部,342…動作パラメータ保存部,343…送信タイミング制御部,344…送信データ生成部,345…プロトコル変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7