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特許7150490荷役装置、その制御装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】荷役装置、その制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20221003BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B65G1/00 511A
B65G1/137 E
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018113392
(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2019214465
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】三村 尚志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩一
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-154916(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013111570(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物のピッキングのために、予め指定された第1のエリアおよび第2のエリアにおいて使用されるピッキング部と、
前記第1のエリアへの人の立ち入りを検出する第1のセンサと、
前記第2のエリアへの前記人の立ち入りを検出する第2のセンサと、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアに及ばないように、前記ピッキング部と前記第2のエリアとを遮る第1の遮断部と、
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアに及ばないように、前記ピッキング部と前記第1のエリアとを遮る第2の遮断部と、
前記ピッキング部が前記第1の遮断部によって遮られ、前記第2の遮断部によって遮られていない場合、前記第1のセンサを有効化し、前記第2のセンサを無効化し、前記ピッキング部の前記第1のエリアにおける動作を許可する一方、前記ピッキング部が前記第2の遮断部によって遮られ、前記第1の遮断部によって遮られていない場合、前記第2のセンサを有効化し、前記第1のセンサを無効化し、前記ピッキング部の前記第2のエリアにおける動作を許可する制御部とを備え
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアにおいて許可されている状態から、前記第2のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第1の遮断部に代えて前記第2の遮断部によって前記ピッキング部を遮り、前記制御部が、前記第2のセンサを有効化し、前記第1のセンサを無効化し、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアにおいて許可されている状態から、前記第1のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第2の遮断部に代えて前記第1の遮断部によって前記ピッキング部を遮り、前記制御部が、前記第1のセンサを有効化し、前記第2のセンサを無効化する、荷役装置。
【請求項2】
前記第1のエリアにおいて動作中の前記ピッキング部の動作の異常を検出する第3のセンサと、
前記第2のエリアにおいて動作中の前記ピッキング部の動作の異常を検出する第4のセンサとをさらに備え、
前記制御部は、前記ピッキング部が、前記第1の遮断部によって遮られ、前記第2の遮断部によって遮られていない場合さらに、前記第4のセンサを有効化し、前記第3のセンサを無効化する一方、前記ピッキング部が、前記第2の遮断部によって遮られ、前記第1の遮断部によって遮られていない場合さらに、前記第3のセンサを有効化し、前記第4のセンサを無効化する、請求項1に記載の荷役装置。
【請求項3】
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアにおいて許可されている状態から、前記第2のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第1の遮断部に代えて前記第2の遮断部によって前記ピッキング部を遮り、前記制御部が、前記第2および前記第3のセンサを有効化し、前記第1および前記第4のセンサを無効化し、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアにおいて許可されている状態から、前記第1のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第2の遮断部に代えて前記第1の遮断部によって前記ピッキング部を遮り、前記制御部が、前記第1および前記第4のセンサを有効化し、前記第2および前記第3のセンサを無効化する、請求項に記載の荷役装置。
【請求項4】
前記第1のエリアにおいて、前記荷物が搬送される搬送エリアへの前記人の立ち入りを検出する第5のセンサと、
前記第2のエリアにおいて、前記荷物が搬送される搬送エリアへの前記人の立ち入りを検出する第6のセンサとをさらに備え、
前記制御部は、前記ピッキング部が前記第1の遮断部によって遮られ、前記第2の遮断部によって遮られていない場合さらに、前記第6のセンサを有効化し、前記第5のセンサを無効化する一方、前記ピッキング部が前記第2の遮断部によって遮られ、前記第1の遮断部によって遮られていない場合さらに、前記第5のセンサを有効化し、前記第6のセンサを無効化する、請求項に記載の荷役装置。
【請求項5】
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアにおいて許可されている状態から、前記第2のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第1の遮断部に代えて前記第2の遮断部によって前記ピッキング部を遮り、前記制御部が、前記第2、前記第3および前記第5のセンサを有効化し、前記第1、前記第4および前記第6のセンサを無効化し、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアにおいて許可されている状態から、前記第1のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第2の遮断部に代えて前記第1の遮断部によって前記ピッキング部を遮り、前記制御部が、前記第1、前記第4および前記第6のセンサを有効化し、前記第2、前記第3および前記第5のセンサを無効化する、請求項に記載の荷役装置。
【請求項6】
前記有効化されている何れかのセンサによって検出がなされた場合、前記制御部は、前記ピッキング部の動作を許可しない、請求項1乃至のうち何れか1項に記載の荷役装置。
【請求項7】
前記ピッキング部の動作中に、前記有効化されている何れかのセンサによって検出がなされた場合、前記制御部は、前記ピッキング部の動作を停止させる、請求項1乃至のうち何れか1項に記載の荷役装置。
【請求項8】
荷役装置を制御するための制御装置であって、
前記荷役装置は、
荷物のピッキングのために、予め指定された第1のエリアおよび第2のエリアにおいて使用されるピッキング部と、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアに及ばないように、前記ピッキング部と前記第2のエリアとを遮る第1の遮断部と、
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアに及ばないように、前記ピッキング部と前記第1のエリアとを遮る第2の遮断部とを備え、
前記制御装置は、
前記ピッキング部が前記第1の遮断部によって遮られ、前記第2の遮断部によって遮られていない場合、前記第1のエリアへの人の立ち入りを検出する第1のセンサを有効化し、前記第2のエリアへの前記人の立ち入りを検出する第2のセンサを無効化し、前記ピッキング部の前記第1のエリアにおける動作を許可する手段と、
前記ピッキング部が前記第2の遮断部によって遮られ、前記第1の遮断部によって遮られていない場合、前記第2のセンサを有効化し、前記第1のセンサを無効化し、前記ピッキング部の前記第2のエリアにおける動作を許可する手段と、
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアにおいて許可されている状態から、前記第2のエリアへ許可される状態へ切り替えるために、前記第1の遮断部に代わって前記第2の遮断部によって前記ピッキング部が遮られると、前記第2のセンサを有効化し、前記第1のセンサを無効化する手段と、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアにおいて許可されている状態から、前記第1のエリアへ許可される状態へ切り替えるために、前記第2の遮断部に代わって前記第1の遮断部によって前記ピッキング部が遮られると、前記第1のセンサを有効化し、前記第2のセンサを無効化する手段とを備えた、制御装置。
【請求項9】
前記ピッキング部が前記第1の遮断部によって遮られ、前記第2の遮断部によって遮られていない場合さらに、前記第2のエリアにおいて動作中の前記ピッキング部の動作の異常を検出する第4のセンサを有効化し、前記第1のエリアにおいて動作中の前記ピッキング部の動作の異常を検出する第3のセンサを無効化する一方、前記ピッキング部が前記第2の遮断部によって遮られ、前記第1の遮断部によって遮られていない場合さらに、前記第3のセンサを有効化し、前記第4のセンサを無効化する手段をさらに備えた、請求項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアにおいて許可されている状態から、前記第2のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第1の遮断部に代わって前記第2の遮断部によって前記ピッキング部が遮られると、前記第2および前記第3のセンサを有効化し、前記第1および前記第4のセンサを無効化する手段と、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアにおいて許可されている状態から、前記第1のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第2の遮断部に代わって前記第1の遮断部によって前記ピッキング部が遮られると、前記第1および前記第4のセンサを有効化し、前記第2および前記第3のセンサを無効化する手段とをさらに備えた、請求項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記ピッキング部が前記第1の遮断部によって遮られ、前記第2の遮断部によって遮られていない場合さらに、前記第2のエリアにおいて、前記荷物が搬送される搬送エリアへの前記人の立ち入りを検出する第6のセンサを有効化し、前記第1のエリアにおいて、前記荷物が搬送される搬送エリアへの前記人の立ち入りを検出する第5のセンサを無効化する一方、前記ピッキング部が前記第2の遮断部によって遮られ、前記第1の遮断部によって遮られていない場合さらに、前記第5のセンサを有効化し、前記第6のセンサを無効化する手段をさらに備えた、請求項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアにおいて許可されている状態から、前記第2のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第1の遮断部に代わって前記第2の遮断部によって前記ピッキング部が遮られると、前記第2、前記第3および前記第5のセンサを有効化し、前記第1、前記第4および前記第6のセンサを無効化する手段と、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアにおいて許可されている状態から、前記第1のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、前記第2の遮断部に代わって前記第1の遮断部によって前記ピッキング部が遮られると、前記第1、前記第4および前記第6のセンサを有効化し、前記第2、前記第3および前記第5のセンサを無効化する手段とをさらに備えた、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記有効化されている何れかのセンサによって検出がなされた場合、前記ピッキング部の動作を許可しない手段をさらに備えた、請求項乃至12のうち何れか1項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記ピッキング部の動作中に、前記有効化されている何れかのセンサによって検出がなされた場合、前記ピッキング部の動作を停止させる手段をさらに備えた、請求項乃至12のうち何れか1項に記載の制御装置。
【請求項15】
荷役装置を制御するための制御方法であって、
前記荷役装置は、
荷物のピッキングのために、予め指定された第1のエリアおよび第2のエリアにおいて使用されるピッキング部と、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアに及ばないように、前記ピッキング部と前記第2のエリアとを遮る第1の遮断部と、
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアに及ばないように、前記ピッキング部と前記第1のエリアとを遮る第2の遮断部とを備え、
前記制御方法は、
前記ピッキング部が前記第1の遮断部によって遮られ、前記第2の遮断部によって遮られていない場合、前記第1のエリアへの人の立ち入りを検出する第1のセンサを有効化し、前記第2のエリアへの前記人の立ち入りを検出する第2のセンサを無効化し、前記ピッキング部の前記第1のエリアにおける動作を許可する工程と、
前記ピッキング部が前記第2の遮断部によって遮られ、前記第1の遮断部によって遮られていない場合、前記第2のセンサを有効化し、前記第1のセンサを無効化し、前記ピッキング部の前記第2のエリアにおける動作を許可する工程と、
前記有効化されている何れかのセンサによって検出がなされた場合、前記ピッキング部の動作を許可しない工程とを備えた、制御方法。
【請求項16】
荷役装置を制御するためのプログラムであって、
前記荷役装置は、
荷物のピッキングのために、予め指定された第1のエリアおよび第2のエリアにおいて使用されるピッキング部と、
前記ピッキング部の動作が、前記第2のエリアに及ばないように、前記ピッキング部と前記第2のエリアとを遮る第1の遮断部と、
前記ピッキング部の動作が、前記第1のエリアに及ばないように、前記ピッキング部と前記第1のエリアとを遮る第2の遮断部とを備え、
前記プログラムは、
前記ピッキング部が前記第1の遮断部によって遮られ、前記第2の遮断部によって遮られていない場合、前記第1のエリアへの人の立ち入りを検出する第1のセンサを有効化し、前記第2のエリアへの前記人の立ち入りを検出する第2のセンサを無効化し、前記ピッキング部の前記第1のエリアにおける動作を許可する機能、
前記ピッキング部が前記第2の遮断部によって遮られ、前記第1の遮断部によって遮られていない場合、前記第2のセンサを有効化し、前記第1のセンサを無効化し、前記ピッキング部の前記第2のエリアにおける動作を許可する機能、
前記有効化されている何れかのセンサによって検出がなされた場合、前記ピッキング部の動作を許可しない機能、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、荷物の荷降し作業(デパレタイズ)および荷積み作業(パレタイズ)を含む荷役作業のための荷役装置、その制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流センター等では、集積された荷物を、ピッキングロボットによって、ベルトコンベア等が備えられた搬送エリアへ荷降す作業(デパレタイズ)や、箱へ荷積みする作業(パレタイズ)といった荷役作業のために荷役装置が導入されている。
【0003】
この種の荷役装置では、荷役作業効率の向上を図るために、ピッキングロボットの動作を不連続にしないこと、言い換えると、ピッキングロボットに常に作業をさせていることが好ましい。特許文献1には、ピッキングロボットの荷役作業効率の向上のための技術が開示されている。
【0004】
例えば、デバレタイズの場合、ピッキングロボットによって荷役作業される荷物は、オペレータが荷役装置内に立ち入ることによって、荷役装置に搬入される。
【0005】
しかしながら、荷役作業される荷物の搬入のために、ピッキングロボットの動作中に、オペレータが荷役装置内に立ち入ることは、オペレータのピッキングロボットとの接触事故の恐れもあり、オペレータの安全性確保の観点から好ましくはない。
【0006】
したがって、従来の荷役装置では、オペレータによる荷物の搬入作業中は、ピッキングロボットの動作が停止されている。
【0007】
しかしながら、ピッキングロボットの動作を停止させることは、荷役作業効率の低下を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3126826号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、ピッキングロボットによる荷役作業中であっても、オペレータの安全を確保しつつ、オペレータによる荷物の搬入作業を可能にすることによって、安全性に優れ、かつ、荷役作業効率の低下を招くこともない荷役装置、その制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の荷役装置は、荷物のピッキングのために、予め指定された第1のエリアおよび第2のエリアにおいて使用されるピッキング部と、第1のエリアへの人の立ち入りを検出する第1のセンサと、第2のエリアへの人の立ち入りを検出する第2のセンサと、ピッキング部の動作が、第2のエリアに及ばないように、ピッキング部と第2のエリアとを遮る第1の遮断部と、ピッキング部の動作が、第1のエリアに及ばないように、ピッキング部と第1のエリアとを遮る第2の遮断部と、前記ピッキング部が第1の遮断部によって遮られ、第2の遮断部によって遮られていない場合、第1のセンサを有効化し、第2のセンサを無効化し、ピッキング部の第1のエリアにおける動作を許可する一方、前記ピッキング部が第2の遮断部によって遮られ、第1の遮断部によって遮られていない場合、第2のセンサを有効化し、第1のセンサを無効化し、ピッキング部の第2のエリアにおける動作を許可する制御部とを備え、ピッキング部の動作が、第1のエリアにおいて許可されている状態から、第2のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、第1の遮断部に代えて第2の遮断部によってピッキング部を遮り、制御部が、第2のセンサを有効化し、第1のセンサを無効化し、ピッキング部の動作が、第2のエリアにおいて許可されている状態から、第1のエリアにおいて許可される状態へ切り替えるために、第2の遮断部に代えて第1の遮断部によってピッキング部を遮り、制御部が、第1のセンサを有効化し、第2のセンサを無効化する
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の荷役装置のレイアウトの一例を示す平面図である。
図2】制御装置による制御に関連する部位を示すブロック図である。
図3図1における排出エリアの一例を示す拡大平面図である。
図4図3に示す矢印方向から見た排出エリアの正面図である。
図5】収納籠の構成例を示す斜視図である。
図6】収納籠の交換時における制御例を説明するためのシーケンス図である。
図7】搬入完了状態におけるロボットアームの可動範囲を示す平面図である。
図8】収納籠の交換中におけるロボットアームの可動範囲を示す平面図である。
図9】荷役装置における荷役作業時の動作例を示すフローチャートである。
図10】荷役装置における収納籠交換時の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態の荷役装置を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態の荷役装置のレイアウトの一例を示す平面図である。
【0014】
荷役装置10は、ロボットエリア14と、ロボットエリア14を中心として対称に配置された2つのピッキングエリア12(#1)、12(#2)と、2つのピッキングエリア12(#1)、12(#2)に共通して設けられた搬送エリア16および排出エリア18を備える。
【0015】
ロボットエリア14には、宅配物や、小包のような荷物のピッキングのためのピッキングロボット(以下、単に「ロボット」と称する)20を設置している。
【0016】
ロボット20は、荷物の荷役作業のために、ピッキングエリア12(#1)およびピッキングエリア12(#2)において共通して使用され、ピッキングエリア12(#1)に搬入された荷物に対する荷役作業を完了させると、次にピッキングエリア12(#2)において荷役作業を開始する。なお、以下の説明では、ロボット20によって行われる荷役作業として、荷降し作業(デパレタイズ)を例に挙げて説明する。しかしながら、ロボット20は、荷役作業として、荷降し作業(デパレタイズ)のみならず、荷積み作業(パレタイズ)も同様に行うことができる。
【0017】
ピッキングエリア12(#1)は、ロボット20によってピッキングされる荷物が積載されたパレット(図示せず)を載置するためのテーブル22(#1)を備えている。同様に、ピッキングエリア12(#2)は、ロボット20によってピッキングされる荷物が積載された同様のパレットを載置するためのテーブル22(#2)を備えている。
【0018】
搬送エリア16は、ロボット20によって、ピッキングエリア12(#1)またはピッキングエリア12(#2)から荷降しされた荷物を下流工程へ搬送するためのエリアであり、ロボット20によって荷降しされた荷物を、図中矢印方向へ搬送するベルトコンベア24を備えている。
【0019】
ロボット20が荷降しする荷物の中には、規格外サイズの荷物のように、荷役装置10で取り扱い可能な規格に準拠しない荷物もあり得る。ロボット20は、図示しない画像センサを備えており、この画像センサによって、規格外荷物を検知することができる。そして、規格外荷物を検知すると、検知した規格外荷物を、排出エリア18へ排出する。すなわち、排出エリア18は、ロボット20により規格外荷物が排出されるためのエリアであり、ロボット20によって排出された規格外荷物を収納するための収納籠26が設置される。
【0020】
収納籠26は、排出エリア18に着脱可能な構成となっており、規格外荷物を所定量収納すると、空の収納籠26と交換されるために、排出エリア18から搬出される。その後、排出エリア18には、空の収納籠26が搬入され、設置される。
【0021】
荷役装置10によれば、例えば、ロボット20が、ピッキングエリア12(#1)のテーブル22(#1)に載置された荷物の荷役作業を行っている間に、オペレータが、ピッキングエリア12(#2)のテーブル22(#2)へ新たな荷物を載置し、ロボット20が、ピッキングエリア12(#1)のテーブル22(#1)上のすべての荷物の荷役作業を終了すると、ピッキングエリア12(#2)のテーブル22(#2)上に既に載置されている荷物の荷役作業へとシームレスに移行する。
【0022】
一方、オペレータは、ピッキングエリア12(#2)におけるロボット20による荷役作業中に、ピッキングエリア12(#1)のテーブル22(#1)上へ新たな荷物を載置する。これによって、ロボット20は、ピッキングエリア12(#2)のテーブル22(#2)上のすべての荷物の荷役作業を終了すると、ピッキングエリア12(#1)のテーブル22(#1)上の荷物の荷役作業へシームレスに移行するという具合に、荷役装置10は、ロボット20の連続的な動作を可能にするように設計されている。
【0023】
このようなロボット20の連続的な動作を、荷物の搬入を行うオペレータの安全性を確保しつつ達成するために、荷役装置10は、種々のセンサS1~S6、L1~L5、M1~M3(図1に図示されず)と、安全フェンスF1、F2と、各センサS1~S6、L1~L5および安全フェンスF1、F2からの出力信号に応じた制御を行う制御装置50(図1に図示されず)とを備えることによって、以下に説明するようなインターロックメカニズムを実現している。
【0024】
図2は、制御装置50による制御に関連する部位を示すブロック図である。図2は、各センサS1~S6、L1~L5、M1~M3、安全フェンスF1、F2、およびロボット20と制御装置50との接続関係を示している。
【0025】
センサS1は、例えばレーザースキャナであって、ピッキングエリア12(#1)へのオペレータの立ち入りを検出するために、ピッキングエリア12(#1)内に設けられる。センサS1は、オペレータの立ち入りを検出すると、検出信号を、制御装置50へ出力する。
【0026】
センサS2は、例えばレーザースキャナであって、ピッキングエリア12(#2)へのオペレータの立ち入りを検出するために、ピッキングエリア12(#2)内に設けられる。センサS2は、オペレータの立ち入りを検出すると、検出信号を、制御装置50へ出力する。
【0027】
センサS3は、例えばレーザースキャナであって、ロボットアーム21の暴走等のようなロボット20の動作の異常を検出するために、ピッキングエリア12(#1)内の上方に設けられたカメラアーム13(#1)に固定され、上方から垂直に、ロボットアーム21を監視する。センサS3は、ロボット20の動作の異常を検出すると、検出信号を、制御装置50へ出力する。
【0028】
センサS4は、例えばレーザースキャナであって、ロボットアーム21の暴走等のようなロボット20の動作の異常を検出するために、ピッキングエリア12(#2)内の上方に設けられたカメラアーム13(#2)に固定され、上方から垂直に、ロボットアーム21を監視する。センサS4は、ロボット20の動作の異常を検出すると、検出信号を、制御装置50へ出力する。
【0029】
センサS5は、例えばレーザースキャナであって、ピッキングエリア12(#1)内の上方に設けられたカメラアーム15(#1)に固定され、上方から垂直に、ベルトコンベア24へのオペレータの立ち入りを検出する。センサS5は、ベルトコンベア24へのオペレータの立ち入りを検出すると、検出信号を、制御装置50へ出力する。
【0030】
センサS6は、例えばレーザースキャナであって、ピッキングエリア12(#2)内の上方に設けられたカメラアーム15(#2)に固定され、上方から垂直に、ベルトコンベア24へのオペレータの立ち入りを検出する。センサS6は、ベルトコンベア24へのオペレータの立ち入りを検出すると、検出信号を、制御装置50へ出力する。
【0031】
センサL4は、左右に対向して配置された一対の発光受光センサユニットであって、ピッキングエリア12(#1)へのオペレータの立ち入りを検出するために、ピッキングエリア12(#1)の入口に設けられ、ピッキングエリア12(#1)の入口に光カーテンを形成する。オペレータがピッキングエリア12(#1)の入口からピッキングエリア12(#1)内へ立ち入ると、オペレータによって光カーテンが遮られるために、センサL4は、オペレータの立ち入りを検出する。センサL4は、オペレータの立ち入りを検出すると、検出信号を、制御装置50へ出力する。
【0032】
センサL5も、センサL4と同様に、左右に対向して配置された一対の発光受光センサユニットであって、ピッキングエリア12(#2)へのオペレータの立ち入りを検出するために、ピッキングエリア12(#2)の入口に設けられ、ピッキングエリア12(#2)の入口に光カーテンを形成する。オペレータがピッキングエリア12(#2)の入口からピッキングエリア12(#2)内へ立ち入ると、オペレータによって光カーテンが遮られるために、センサL5は、オペレータの立ち入りを検出する。センサL5は、オペレータの立ち入りを検出すると、検出信号を、制御装置50へ出力する。
【0033】
安全フェンスF1は、ロボット20がピッキングエリア12(#1)において動作する場合、ロボット20の動作が、ピッキングエリア12(#2)に及ばないように、ロボット20とピッキングエリア12(#2)とを遮るための開閉式のフェンスである。
【0034】
安全フェンスF2は、ロボット20がピッキングエリア12(#2)において動作する場合、ロボット20の動作が、ピッキングエリア12(#1)に及ばないように、ロボット20とピッキングエリア12(#1)とを遮るための開閉式のフェンスである。
【0035】
安全フェンスF1は、例えばオペレータによる動作ボタンの押圧に応じて、開閉動作を行う。図1は、安全フェンスF1が、閉状態(ロボット20とピッキングエリア12(#2)とを遮る状態)にあり、安全フェンスF2が、開状態(ロボット20とピッキングエリア12(#1)とを遮らない状態)にあることを示している。
【0036】
安全フェンスF1、F2には、安全フェンスF1、F2の閉状態を検知するセンサ(図示せず)が設けられており、これら図示しないセンサは、安全フェンスの閉状態を検知すると、閉状態を示す閉状態信号を、制御装置50へ出力する。なお、本明細書では、簡略のために、図2に示すように、図示しないセンサではなく、安全フェンスF1、F2から、制御装置50へ閉状態信号が送信されるものとして説明する。
【0037】
制御装置50は、安全フェンスF1から閉状態信号が出力され、安全フェンスF2から閉状態信号が出力されていない場合、センサS1、L4、S4、S6を有効化し、センサS2、L5、S3、S5を無効化し、ロボット20のピッキングエリア12(#1)における動作を許可する。
【0038】
一方、制御装置50は、安全フェンスF2から閉状態信号が出力され、安全フェンスF1から閉状態信号が出力されていない場合、センサS2、L5、S3、S5を有効化し、センサS1、L4、S4、S5を無効化し、ロボット20のピッキングエリア12(#2)における動作を許可する。
【0039】
ロボット20は、動作を許可されたピッキングエリア12において、テーブル22上に載置されている荷物を、1つずつ持ち上げ、ロボットアーム21を搬送エリア16まで回転させた後に、荷物をベルトコンベア24上に載置する。
【0040】
ベルトコンベア24は、図中矢印方向に進むことによって、荷物を下流工程へ搬送する。
【0041】
ベルトコンベア24の下流側には、センサL1が設けられている。ベルトコンベア24側からのオペレータの進入があると、センサL1はそのオペレータの進入を検知し、検知信号を、制御装置50へ出力する。
【0042】
また、前述したように、ロボット20が荷降しする荷物の中には、規格外サイズの荷物のように、荷役装置10で取り扱い可能な規格に準拠しない荷物もあり得る。ロボット20は、図示しない画像センサによって、このような規格外荷物を検知すると、規格外荷物を持ち上げたまま、ロボットアーム21を排出エリア18まで回転させた後に、荷物を排出エリア18へ排出する。
【0043】
このようにして、ロボット20が、動作を許可された一方のピッキングエリア12において、すべての荷物の荷役作業を完了すると、制御装置50は、オペレータ操作に応じて、ロボット20の動作するピッキングエリア12を切り替えるための切替制御を行い、他方のピッキングエリア12におけるロボット20の動作を許可する。その後、ロボット20は、許可されたピッキングエリア12において、前述したような荷役作業を行う。
【0044】
例えば、ロボット20が動作するピッキングエリア12を、ピッキングエリア12(#1)から、ピッキングエリア12(#2)へ切り替える場合、オペレータによる動作ボタンの押圧に応じて、安全フェンスF1を開き、安全フェンスF1から、閉状態信号が出力されなくなると、制御装置50は、センサS2、L5を有効化し、センサS4、S6を無効化する。その後、オペレータによる動作ボタンの押圧に応じて、安全フェンスF2を閉じ、安全フェンスF2から閉状態信号が出力されると、制御装置50は、センサS3、S5を有効化し、センサS1、L4を無効化する。
【0045】
逆に、ロボット20が動作するピッキングエリア12を、ピッキングエリア12(#2)から、ピッキングエリア12(#1)へ切り替える場合、オペレータによる動作ボタンの押圧に応じて、安全フェンスF2を開き、安全フェンスF2から閉状態信号が出力されなくなると、制御装置50は、センサS1、L4を有効化し、センサS3、S5を無効化する。その後、オペレータによる動作ボタンの押圧に応じて、安全フェンスF1を閉じ、安全フェンスF1から閉状態信号が出力されると、制御装置50は、センサS4、S6を有効化し、センサS2、L5を無効化する。
【0046】
制御装置50は、センサS1~S6、L4~L5のうち、有効化されている何れかのセンサから検出信号が出力された場合、ロボット20の動作を許可しない。特に、ロボット20の動作中に、センサS1~S6、L4~L5のうち、有効化されている何れかのセンサから検出信号が出力された場合、ロボット20の動作を停止させる。
【0047】
このような制御は、ロボット20による荷役作業中であっても、オペレータの安全を確保しつつ、オペレータによる荷物の搬入作業を可能にする。
【0048】
次に、排出エリア18における収納籠26の交換について説明する。排出エリア18は、前述したように、規格外荷物が排出されるためのエリアであるので、排出エリア18へ規格外荷物が排出されるタイミング、および、排出された規格外荷物を所定量収納している収納籠26が交換されるタイミングはともに不規則であり、前述したピッキングエリア12の切替のタイミングとは必ずしも連動しない。
【0049】
図3は、図1における排出エリア18の一例を示す拡大平面図である。
【0050】
図4は、図3に示す矢印方向から見た排出エリア18の正面図である。
【0051】
排出エリア18には、ロボット20によって排出された規格外荷物を収納するための収納籠26が設置される。
【0052】
図5は、収納籠26の構成例を示す斜視図である。図中に示す矢印方向は、図3中における矢印方向に対応している。
【0053】
排出エリア18は、前面にフェンス27を備え、さらに、内部にセンサL2、L3、M1~M3を備えている。
【0054】
フェンス27は、排出エリア18へ収納籠26を搬入する場合、および排出エリア18から収納籠26を搬出する場合に開けられ、その他の場合には閉じられる。
【0055】
センサL2は、左右に対向して配置された一対の発光受光センサユニットであって、排出エリア18へ搬入、または、排出エリア18から排出される収納籠26を検出できるように、収納籠26の高さにわたって光カーテンを形成するように配置される。これによって、意図されないタイミングで排出エリア18への収納籠26の搬入、および排出エリア18からの収納籠26の搬出があると、光カーテンが遮られるために、センサL2は、それに応じて検出信号を制御装置50へ出力する。
【0056】
センサL3もまた、左右に方向に対向して配置された一対の発光受光センサユニットであり、排出エリア18へのオペレータの立ち入りを検出できるように、センサL2よりも高い位置に光カーテンを形成するように配置される。これによって、意図されないタイミングで排出エリア18へのオペレータの立ち入りがあると、光カーテンが遮られるために、センサL3は、それに応じて検出信号を制御装置50へ出力する。
【0057】
センサM1は、例えば光反射センサであり、排出エリア18の前方右側下部に設けられ、収納籠26からの光反射を検出すると、検出信号を制御装置50へ出力する。
【0058】
センサM2は、例えば光反射センサであり、排出エリア18の前方左側下部に設けられ、収納籠26からの光反射を検出すると、検出信号を制御装置50へ出力する。
【0059】
センサM3は、例えば光反射センサであり、排出エリア18の後方左側下部に設けられ、収納籠26からの光反射を検出すると、検出信号を制御装置50へ出力する。
【0060】
収納籠26は、略直方体形状をなし、4隅の突起部31(#1~#4)によって底上げされた長方形状の底部32と、底部32の4辺にそれぞれ直立するように固定された4つの側部33(#1~#4)とによって形成され、4つの側部33(#1~#4)によって囲まれた空間内に規格外荷物が収納される。左側部33(#4)は、ロボットアーム21によってピッキングエリア12(#1)から規格外荷物が運び込まれるために、また、右側部33(#3)は、ロボットアーム21によってピッキングエリア12(#2)から規格外荷物が運び込まれるために、正面側部33(#1)および背面側部33(#2)よりも低くなっている。
【0061】
また、底部32の4隅の所定の場所には、所定の形状をした補強板34(#1~#4)が設けられている。補強板34(#1~#4)は、収納籠26の強度を確保するとともに、光反射センサであるセンサM1~M3からの光を反射する反射板としても機能する。
【0062】
収納籠26の排出エリア18への設置は、排出エリア18の外部においてジャッキアップされた収納籠26を排出エリア18内に搬入し、排出エリア18内に設けられた固定溝近傍まで移動させ、固定溝内に、4つの突起部31(#1~#4)が嵌合されるようにジャッキダウンされることによってなされる。
【0063】
センサM1、M2は、収納籠26が、排出エリア18内の固定溝近傍へ移動されると、補強板34(#1)、(#2)からの光反射を検出し、検出信号を制御装置50へ出力する。
【0064】
センサM3は、収納籠26の突起部31(#1~#4)が排出エリア18内の固定溝内に嵌合されると、補強板34(#3)からの光反射を検出し、検出信号を制御装置50へ出力する。
【0065】
このように、収納籠26は、排出エリア18に着脱可能な構成となっており、排出エリア18において、ロボット20から排出された規格外荷物を所定量収納すると、空の収納籠26と交換されるために排出エリア18から搬出される。その後、排出エリア18には、空の収納籠26が搬入され設置される。このように、排出エリア18において収納籠26の交換がなされる。
【0066】
このような排出エリア18における収納籠26の交換のために制御装置50によってなされる制御について以下に説明する。
【0067】
図6は、収納籠26の交換時における制御例を説明するためのシーケンス図である。
【0068】
図6に示す搬入完了状態T1は、収納籠26が排出エリア18へ正しく設置された状態に相当する。搬入完了状態T1になると、制御装置50は、センサL2を有効化し、センサL3を無効化する。搬入完了状態T1になると、センサM1~M3は何れも、検出信号を制御装置50へ出力する。
【0069】
図7は、搬入完了状態T1におけるロボットアーム21の可動範囲Rを示す平面図である。
【0070】
図8は、収納籠26の交換中におけるロボットアーム21の可動範囲Rを示す平面図である。
【0071】
例えば、ロボット20がピッキングエリア12(#1)において動作している場合、搬入完了状態T1になると、図7に示すように、ロボット20は、規格外荷物を持ち上げると、図中矢印に示すように、ロボットアーム21を排出エリア18側に回転させ、収納籠26の中に規格外荷物を排出する。このように、ロボットアーム21は、持ち上げた荷物が、規格内であればベルトコンベア24へ荷降しし、規格外であれば収納籠26へ排出できるように、図7中に示す可動範囲R内において回転することができる。
【0072】
収納籠26に規格外荷物が所定量収納された搬出開始状態T2になると、収納籠26を排出エリア18から搬出するために、オペレータ操作に応じて、制御装置50は、センサL3を無効化したまま、センサL2を無効化する。なお、収納籠26を排出エリア18から搬出するタイミングは、例えば、オペレータ判断によってなされる。したがって、搬出開始状態T2は、必ずしも収納籠26に規格外荷物が満載された状態であるとは限らない。制御装置50はさらに、図8に示すように、ロボットアーム21の可動範囲Rを制限し、排出エリア18からの収納籠26の搬出中に、ロボットアーム21の動作が排出エリア18へ及ばないようにする。
【0073】
収納籠26を排出エリア18から搬出する場合、収納籠26の排出エリア18への設置時とは逆に、先ず、排出エリア18に設置されている収納籠26をジャッキアップすることによって、突起部31(#1~#4)の固定溝への嵌合を解除する。これによって、センサM3から制御装置50へ検出信号は出力されなくなる。一方、突起部31(#1~#4)の固定溝への嵌合が解除されても、収納籠26が固定溝の近傍にある限り、センサM1、M2からは引き続き制御装置50へ検出信号が出力されている。
【0074】
その後、収納籠26をジャッキアップしたまま、排出エリア18から引き出すことによって、収納籠26の排出エリア18からの搬出が完了する。これにより、センサM1、M2から制御装置50へ検出信号が出力されなくなる。この状態を、搬出完了状態T3と称する。搬出完了状態T3になると、制御装置50は、センサM1、M2から検出信号が出力されなくなることに応じて、センサL2、L3を有効化する。なお、実際には、図6に示すように、センサM1、M2からの検出信号が、制御装置50へ出力されなくなるタイミングは、センサM1とセンサM2とで一致しないことがあり得る。したがって、制御装置50は、センサM1またはセンサM2の何れか一方から、検出信号が出力されなくなったタイミングで、搬出完了状態T3になったと判定し、センサL2、L3を有効化する。
【0075】
次に、排出エリア18へ、空の収納籠26を搬入する準備ができた段階で、オペレータ操作によって、センサL2、L3を無効化することによって、空の収納籠26を排出エリア18へ搬入するための搬入開始状態T4となる。
【0076】
搬入開始状態T4となると、センサL2、L3が無効化されているので、オペレータは、空の収納籠26を、ジャッキアップした状態で、排出エリア18内に搬入し、排出エリア18内に設けられた固定溝近傍まで移動させることができる。これによって、センサM1、M2は、補強板34(#1)、(#2)からの反射を検出し、検出信号を制御装置50へ出力する。なお、実際には、図6に示すように、センサM1、M2から制御装置50へ検出信号が出力され始めるタイミングは、センサM1とセンサM2とで一致しないことがあり得る。したがって、制御装置50は、センサM1、M2の両方から、検出信号が出力されるようになったタイミングで、搬入開始完了状態T4になったと判定する。
【0077】
その後、オペレータが、空の収納籠26をジャッキダウンし、排出エリア18内の固定溝内に、4つの突起部31(#1~#4)を嵌合させる。これによって、センサM3は、補強板34(#3)からの反射を検出するようになり、制御装置50へ検出信号を出力する。これに応じて、制御装置50は、センサL3を無効化したまま、センサL2を有効化する。これによって、前述した搬入完了状態T1になる。搬入完了状態T1になると、制御装置50は、ロボットアーム21の可動範囲Rの制限を解除し、可動範囲Rは、図7に示す通りとなる。
【0078】
以上説明した状態T1~T4を繰り返すことによって、荷役装置10は、収納籠26の交換を、オペレータの安全を確保しつつ実施する。
【0079】
次に、以上のように構成した本発明の実施形態の荷役装置の動作例について説明する。
【0080】
図9は、荷役装置10における荷役作業時の動作例を示すフローチャートである。
【0081】
図9に示すフローチャートには、一方のピッキングエリア12へ既に荷物が搬入されており、ロボット20が、該ピッキングエリア12において荷役作業を行っている間に、他のピッキングエリア12へ荷物が搬入され、ロボット20が、一方のピッキングエリア12における荷役作業を終了すると、他方のピッキングエリア12における荷役作業へ移行する場合における動作が示されている。
【0082】
例えば、荷物が積載されたパレット(図示せず)が、ピッキングエリア12(#1)のテーブル22(#1)上に載置されることによって、ピッキングエリア12(#1)に、荷物が搬入されている(ST1)。
【0083】
ロボット20は、制御装置50によって、ピッキングエリア12(#1)における動作を許可されている。したがって、テーブル22(#1)上に載置されたパレットに積載された荷物が、ロボット20によって持ち上げられ、ロボットアーム21が、搬送エリア16側へ回転され、搬送エリア16のベルトコンベア24上へ荷降しされる荷役作業、すなわち、荷降し作業(デパレタイズ)がなされている(ST2)。
【0084】
この状態では、センサS3~S6は無効化されているが、ピッキングエリア12の入口側のセンサS1、S2、L4、L5は有効化されており、オペレータが、ピッキングエリア12(#1)、(#2)に立ち入ろうとした場合、センサS1、S2、L4、L5の何れかによって検出され、制御装置50へ検出信号が出力される。この場合、制御装置50によって、ロボット20の動作が停止される。
【0085】
ロボット20によって、ピッキングエリア12(#1)における荷役作業がなされている間に、オペレータが、ピッキングエリア12(#2)へ荷物を搬入するために、オペレータは、図示しない動作ボタンを押圧することによって、安全フェンスF1を閉じる(ST3)。これに応じて、安全フェンスF1からは、閉状態信号が制御装置50へ出力される。
【0086】
これに応じて、制御装置50によって、センサS4、S6が有効化され、センサS2、L5が無効化される(ST4)。センサS2、L5が無効化されることによって、オペレータは、ピッキングエリア12(#2)へ立ち入ることが可能となる。したがって、オペレータは、この間に、ピッキングエリア12(#2)に立ち入り、荷物が積載されたパレット(図示せず)を、テーブル22(#2)上に載置することによって、ピッキングエリア12(#2)へ荷物を搬入する(ST5)。
【0087】
この間、ロボット20は依然として、ピッキングエリア12(#1)における荷役作業を継続するが、安全フェンスF1が閉じられているために、ロボット20の動作が、ピッキングエリア12(#2)へ及ぶことはないので、ピッキングエリア12(#2)に荷物を搬入しているオペレータと、ロボット20との接触事故は回避され、オペレータの安全が確保される。
【0088】
また、万が一、ロボットアーム21の暴走等のようなロボット20の動作の異常があった場合であっても、センサS4が有効化されているので、ロボット20の動作の異常はセンサS4によって検出され、センサS4から制御装置50へ検出信号が出力される。センサS4から制御装置50へ検出信号が出力されると、制御装置50によってロボット20の動作が停止されるので、オペレータの安全が確保される。
【0089】
一方、ピッキングエリア12(#2)と搬送エリア16との間には、安全フェンスF1のような空間的な障壁が存在しないために、ピッキングエリア12(#2)へ立ち入ったオペレータが、搬送エリア16へ立ち入ることが可能である。しかしながら、センサS6が有効化されているので、オペレータが、搬送エリア16へ立ち入った場合、センサS6によって検出され、センサS6から制御装置50へ検出信号が出力される。センサS6から制御装置50へ検出信号が出力されると、制御装置50によってロボット20の動作が停止されるので、オペレータの安全が確保される。
【0090】
ピッキングエリア12(#2)への荷物の搬入が完了すると、オペレータは、ピッキングエリア12(#2)から退出し、図示しない動作ボタンを押圧することによって、安全フェンスF1を開く(ST6)。これに応じて、安全フェンスF1から、制御装置50へ閉状態信号が出力されなくなる。
【0091】
これに応じて、制御装置50によって、センサS2、L5が有効化され、センサS4、S6が無効化される(ST7)。センサS1、L4が既に有効化されていることに加えて、センサS2、L5も有効化されることによって、オペレータが、ピッキングエリア12(#1)、(#2)に立ち入ろうとしても、センサS1、S2、L4、L5の何れかによって検出され、制御装置50へ検出信号が出力される。センサS1、S2、L4、L5の何れかから検出信号が出力された場合、制御装置50によって、ロボット20の動作が停止される。
【0092】
ピッキングエリア12(#1)におけるロボット20による荷役作業が完了する(ST8)と、オペレータ操作に応じて、ロボット20は、制御装置50によって、ピッキングエリア12(#2)における動作が許可され(ST9)、ステップST2の動作に戻って、テーブル22(#2)上に載置されたパレットに積載された荷物が、ロボット20によって持ち上げられ、ロボットアーム21が搬送エリア16側に回転され、ベルトコンベア24上へ荷降しされることによって、荷役作業が行われる。
【0093】
なお、ロボット20が、ピッキングエリア12(#2)における動作を許可されている場合、前述したステップST2からステップST9の説明における安全フェンスF1は、安全フェンスF2として、センサS2、L5、S4、S6は、センサS1、L4、S3、S5として、それぞれ置き換えて理解されたい。
【0094】
上述したように、荷役装置10によれば、一方のピッキングエリア12において、ロボット20によって荷役作業がなされている間に、他方のピッキングエリア12へのオペレータによる荷物の搬入作業を、オペレータの安全を確保しながら実施することが可能となる。すなわち、荷役装置10は、高い作業効率と、高い安全性との両方を実現することができる。
【0095】
一方、ロボット20が持ち上げた荷物の中には、規格外サイズの荷物のように、荷役装置10で取り扱い可能な規格に準拠しない荷物もあり得る。ロボット20は、図示しない画像センサを備えており、この画像センサによって、規格外荷物を検知すると、ロボットアーム21を排出エリア18側へ回転させ、排出エリア18に設置された収納籠26へ規格外荷物を排出する。これによって、収納籠26に規格外荷物が所定量収納されると、収納籠26を排出エリア18から搬出し、空の収納籠26を排出エリア18に設置することによって、収納籠26を交換する必要がある。
【0096】
このような収納籠26の交換動作について説明する。
【0097】
図10は、荷役装置10における収納籠交換時の動作例を示すフローチャートである。
【0098】
図10に示すような収納籠26の交換動作は、図9に示す動作と連動するものではない。
【0099】
収納籠26の交換動作では、先ず排出エリア18に、空の収納籠26を設置するために、オペレータ操作によって、センサL2、L3が無効化される。また、制御装置50によって、ロボットアーム21の可動範囲Rが、図8に示すように制限される(ST11)。この状態は、図6における搬入開始状態T4に対応する。
【0100】
次に、排出エリア18の外部において収納籠26がジャッキアップされた状態で、排出エリア18内へ搬入され、排出エリア18内に設けられた固定溝近傍まで移動される(ST12)。すると、補強板34(#1)、(#2)からの光反射が、センサM1、M2によって検出され、検出信号が制御装置50へ出力される(ST13)。
【0101】
その後、排出エリア18内の固定溝内に4つの突起部31(#1~#4)が嵌合されるように、収納籠26がジャッキダウンされる。これによって、排出エリア18への収納籠26の設置が完了し、補強板34(#3)からの光反射がセンサM3によって検出され、検出信号が制御装置50へ出力される(ST14)。
【0102】
この検出信号に応じて、制御装置50によって、センサL2が有効化されるとともに、図7に示すように、ロボットアーム21の可動範囲Rの制限が解除される(ST15)。これは、図6における搬入完了状態T1に対応し、ロボット20は、規格外荷物を検知すると、ロボットアーム21を排出エリア18側へ回転させ、収納籠26へ規格外荷物を排出できるようになる。
【0103】
このように収納籠26に排出された規格外荷物が所定量に達し、図6に示す搬出開始状態T2になると、オペレータ操作によって、センサL2が無効化される(ST16)。これに応じて、制御装置50によって、ロボットアーム21の可動範囲Rが、図8に示すように制限され、排出エリア18からの収納籠26の搬出が可能となる(ST17)。
【0104】
排出エリア18から収納籠26を搬出する手順は、排出エリア18へ収納籠26を設置する手順と逆である。すなわち、排出エリア18に設置されている収納籠26をジャッキアップすることによって、固定溝への突起部31(#1~#4)の嵌合が解除される。これによって、センサM3からの検出信号は、制御装置50へ出力されなくなる。一方、突起部31(#1~#4)の固定溝への嵌合が解除されても、収納籠26が固定溝の近傍にある限り、センサM1、M2からの検出信号は、引き続き制御装置50へ出力されている(ST18)。
【0105】
その後、収納籠26をジャッキアップしたまま、排出エリア18から引き出すことによって、収納籠26の排出エリア18からの搬出が完了する(ST19)。これにより、センサM1、M2から制御装置50へ検出信号が出力されなくなる。これは、図6における搬出完了状態T3に対応する。搬出完了状態T3になると、センサM1、M2から検出信号が出力されなくなることに応じて、制御装置50によってセンサL2、L3が有効化される。
【0106】
次に、排出エリア18へ、空の収納籠26を搬入する準備ができると、ステップS11へ戻り、前述したように、空の収納籠26が、排出エリア18へ搬入され、設置される。なお、上記では、ロボット20がピッキングエリア12(#1)において動作する場合を例に説明したが、ロボット20がピッキングエリア12(#2)において動作する場合も同様に説明される。
【0107】
以上のような動作により、収納籠26はロボット20の荷役作業中に交換されるので、荷役装置10は、ロボット20の作業効率を低下させることなく、規格外荷物を排出することができる。しかも、収納籠26の交換中は、ロボットアーム21の動作が排出エリア18へ及ばないようにロボットアーム21の可動範囲Rが制限されるので、オペレータの安全を確保することもできる。
【0108】
以上説明したように、実施形態によれば、ロボット20による荷役作業中であっても、オペレータの安全を確保しつつ、オペレータによる荷物の搬入作業を可能にすることによって、安全性に優れ、かつ、荷役作業効率の低下を招くこともない荷役装置10、その制御装置50、制御装置50において実施される制御方法およびプログラムを提供することが可能となる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0110】
例えば、実施形態では、荷役作業の例として、荷降し作業(デパレタイズ)について説明した。しかしながら、実施形態の荷役装置10は、荷降し作業(デパレタイズ)のみならず、荷積み作業(パレタイズ)に対しても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
10・・荷役装置、12・・ピッキングエリア、13・・カメラアーム、14・・ロボットエリア、15・・カメラアーム、16・・搬送エリア、18・・排出エリア、20・・ピッキングロボット(ロボット)、21・・ロボットアーム、22・・テーブル、24・・ベルトコンベア、26・・収納籠、27・・フェンス、31・・突起部、32・・底部、33(#1)・・正面側部、33(#2)・・背面側部、33(#3)・・右側部、33(#4)・・左側部、34・・補強板、50・・制御装置、S1~S6、L1~L5、M1~M3・・センサ、F1、F2・・安全フェンス。
図1
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