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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】電気炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
A47J27/00 109A
A47J27/00 103P
A47J27/00 109R
A47J27/00 103N
A47J27/00 103E
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018121099
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2019013743
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】10-2017-0087328
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518096010
【氏名又は名称】クク エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウォン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ス ホ
(72)【発明者】
【氏名】パン、ホ サン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヨン ベ
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/077571(WO,A1)
【文献】特開2012-191985(JP,A)
【文献】特開2011-005004(JP,A)
【文献】特開2014-121649(JP,A)
【文献】特開2012-066134(JP,A)
【文献】特開2017-086144(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189264(JP,U)
【文献】登録実用新案第3050308(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0019759(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0345766(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1731601(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0077305(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端にフランジ部を備える内釜が収容された本体と、
前記本体の上部に結合し、ロック手段によりロックされる蓋部と、
前記ロック手段に連動回転して、前記フランジ部に選択的に係合し、上面に回転方向を表す標識部材が設けられたロッキングリングと、
前記蓋部を貫通するように配置され、前記ロック手段に連動して前記内釜内の蒸気排出のために開閉状態が転換及び維持される圧力転換手段と、
前記ロッキングリングのロック及びロック解除回転時に前記標識部材を各々感知するセンサーと、
前記センサーのうちの何れか一方から感知信号を受信した時、前記本体の電源供給が活性化されるように制御する制御部と、を含み、
前記本体には前記内釜の加熱のための加熱手段が設けられ、
前記制御部は前記本体の電源供給が活性化された時、操作パネルから入力された調理命令により前記加熱手段が駆動されるように制御し、
前記制御部は、
前記ロッキングリングのロック回転に対応する感知信号が受信された時、前記入力された調理命令により所定の圧力調理モードの制御アルゴリズムに基づいて前記内釜の調理温度を制御し、
前記ロッキングリングのロック解除回転に対応する感知信号が受信された時、前記入力された調理命令により所定の非圧力調理モードの制御アルゴリズムに基づいて前記内釜の調理温度を制御する
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
前記圧力転換手段は、前記内釜の内部と外部を連通させる連通部材と、第1方向の圧力により前記連通部材の開放及び閉鎖状態のうちいずれか一方を維持させる開閉部材とを含み、
前記開閉部材は、前記ロック手段の回転時に前記第1方向の逆方向である第2方向の圧力を形成するリンク手段により開閉状態が転換される
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項3】
前記本体には前記ロッキングリングのロック解除時に前記蓋部が選択的に開閉されるようにロックする補助ロック手段が備えられる
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項4】
さらに前記圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて、前記内釜内の圧力の高低によって選択的に開閉される圧力対応作動手段を含む
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項5】
前記蓋部の上面には、前記圧力対応作動手段及び前記圧力転換手段の蒸気排出を案内するスチームキャップが着脱自在に設けられ、
前記圧力対応作動手段は、電気信号によって開閉されるソレノイドバルブと、前記内釜内の蒸気圧力によって乗降する重量錘を備える圧力錘バルブとからなる
請求項4に記載の電気炊飯器。
【請求項6】
前記圧力転換手段は前記ロッキングリングの内周に隣接して配置され、
前記ロッキングリングの上面には、前記圧力転換手段の外周に突設された乗降翼部に対向する部分に沿ってロック回転方向に行くほど上方に傾斜したリフト突起が突出される
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項7】
前記圧力転換手段は、
前記蓋部の下面を貫通するように設けられ、内部に前記内釜の内部に連通する圧力転換流路が形成された下部シリンダーと、
前記リフト突起の傾斜面に沿って乗降して前記圧力転換流路の開閉状態が転換されるように前記乗降翼部が外周に突設された乗降ピストンと、
前記圧力転換流路の開閉状態が維持されるように、前記下部シリンダーの上部に結合されて前記乗降翼部を押圧する加圧手段と、を含む
請求項6に記載の電気炊飯器。
【請求項8】
前記乗降翼部の縁部は前記リフト突起の接触時にスライドするようにラウンドして形成される
請求項7に記載の電気炊飯器。
【請求項9】
前記加圧手段は、前記圧力転換流路が所定の理想圧力以上で強制に開放されるように、前記乗降ピストンの外周に取り付けられ、前記理想圧力に対応する弾性係数を有する弾性部材からなる
請求項7に記載の電気炊飯器。
【請求項10】
前記加圧手段は、前記圧力転換流路が所定の理想圧力以上では強制に開放されるように、前記理想圧力に対応する重量で前記乗降ピストンの外周に備えられた圧力荷重錘からなる
請求項7に記載の電気炊飯器。
【請求項11】
前記昇降ピストンは、
下面に前記圧力転換流路を遮蔽する遮蔽突起が突設され、前記遮蔽突起の外郭に沿って 転換排出孔が形成されて前記下部シリンダーの上端に安着する安着板と、
前記下部シリンダーの外周を囲むように前記安着板の外側端から下側に延長形成された下部スライド管と、を含む
請求項7に記載の電気炊飯器。
【請求項12】
前記遮蔽突起は下方に行くほど半径方向の内側に狭くなり、
前記圧力転換流路の上端には前記遮蔽突起が接するように上方に行くほど半径方向の外側に広くなる密閉接触部が設けられる
請求項11に記載の電気炊飯器。
【請求項13】
さらに前記乗降ピストンは前記安着板の外側端から上方に延びて前記蓋部の上面を貫通するように配置される上部スライド管を含み、
前記上部スライド管の内周には、前記転換排出孔の上部をカバーする飛散防止段差部が形成される
請求項11に記載の電気炊飯器。
【請求項14】
さらに前記圧力転換手段は前記蓋部の上面を貫通するように配置される上部シリンダーを含み、
前記上部シリンダーの下端には、前記転換排出孔を貫通して前記下部シリンダーに締結されるように円弧形に分割されて下方に延びたコラム締結部が形成される
請求項11に記載の電気炊飯器。
【請求項15】
前記上部シリンダーの内周には前記転換排出孔に対向配置されるように半径方向の内側に突設された飛散防止板が設けられる
請求項14に記載の電気炊飯器。
【請求項16】
さらに前記乗降ピストンは前記上部シリンダーの外周を囲むように前記安着板の外側端から上側に延長形成された上部スライド管を含み、
前記上部シリンダーの外周には前記上部スライド管の内周を密閉する密閉部材が設けられる
請求項14に記載の電気炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気炊飯器に関し、より詳しくは、内釜内の圧力状態及び非圧力状態において各々調理可能であり、調理の品質及び使用便宜性が向上した電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気炊飯器とは、営業所及び家庭で炊事時に使用する電気釜、電気圧力炊飯器などを意味し、発熱部が備えられた本体と、該本体の上部を覆う蓋部とからなる。
【0003】
本体には調理材料をいれる内釜が収容され、蓋部は本体の一側にヒンジ結合されて開閉し、下部には内釜の上部開口を密閉するための内釜カバーが備えられる。内釜カバーの一側には内釜に連通する流動孔が形成され、内釜内の蒸気が流動孔を介して蓋部に設けられた圧力調節手段に流動する。
【0004】
詳しくは、圧力調節手段は、内釜の内部と炊飯器の外部を連結する蒸気排出流路が開閉するように電気的に駆動するソレノイドバルブ、内釜内の圧力を一定に維持するための圧力錘バルブなどを備える。即ち、調理が始まると、ソレノイドバルブにより蒸気排出流路が閉鎖されて内釜内の圧力が上昇し、圧力錘バルブにより内釜内の圧力が一定に維持される。
【0005】
しかし、従来の電気炊飯器では、圧力錘の重量圧と蒸気圧の相互作用により内釜内の圧力が所定値に維持されるので、ユーザの好みや料理の種類に合わせた調理方法を適用/選択できず、調理の品質が低下する問題があった。
【0006】
即ち、圧力が不要な調理材料の場合、高圧により食感が脆くなる。またもちもちしっとりとした食感の圧力釜のご飯より柔らかい食感の非圧力釜のご飯の方が好きな人には、非圧力電気釜を別途に購入したり鍋炊きをしたりする必要がある。
【0007】
よって、炊事中にソレノイドバルブを一定時間・周期でさらに開いて火力を下げるか、或いは水に浸しておく時間を長くすることにより柔らかい食感を提供するが、非圧力電気釜の食感には及ばない。
【0008】
一方、調理中に内釜内に圧力が存在する場合、内釜の高圧状態では蓋部の開放を遮断する圧力安全装置があるため、調理状態の確認や材料の追加投入のための蓋部の開閉が不可能であり不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明は内釜内の圧力状態及び非圧力状態において各々調理可能であり、調理の品質及び使用便宜性が向上した電気炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために、本発明は、上端にフランジ部を備える内釜が収容された本体と、前記本体の上部に結合し、ロック手段によりロックされる蓋部と、前記ロック手段に連動回転して、前記フランジ部に選択的に係合し、上面に回転方向を表す標識部材が設けられたロッキングリングと、前記蓋部を貫通するように配置され、前記ロック手段に連動して前記内釜内の蒸気排出のために開閉状態が転換及び維持される圧力転換手段と、前記ロッキングリングのロック及びロック解除回転時に前記標識部材を各々感知するセンサーと、前記センサーのうちの何れか一方から感知信号を受信した時、前記本体の電源供給が活性化されるように制御する制御部と、を含み、前記本体には前記内釜の加熱のための加熱手段が設けられ、前記制御部は前記本体の電源供給が活性化された時、操作パネルから入力された調理命令により前記加熱手段が駆動されるように制御し、前記制御部は、前記ロッキングリングのロック回転に対応する感知信号が受信された時、前記入力された調理命令により所定の圧力調理モードの制御アルゴリズムに基づいて前記内釜の調理温度を制御し、前記ロッキングリングのロック解除回転に対応する感知信号が受信された時、前記入力された調理命令により所定の非圧力調理モードの制御アルゴリズムに基づいて前記内釜の調理温度を制御する電気炊飯器を提供する。
[図面の簡単な説明]
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す分解斜視図である。
図2A】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す斜視図
図2B】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す斜視図
図3A】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す断面図
図3B】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す断面図
図4】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において加圧手段の変形例を示す例示図
図5】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において下部シリンダーの結合構造に関する変形例を示す例示図
図6】本発明の第1実施形態による電気炊飯器を示すブロック図
図7】本発明の第2実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態による電気炊飯器について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の第1実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す分解斜視図であり、図2A及び図2Bは本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す斜視図であり、図3A及び図3Bは本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す断面図である。図4は本発明の第1実施形態による電気炊飯器において加圧手段の変形例を示す例示図であり、図5は本発明の第1実施形態による電気炊飯器において下部シリンダーの結合構造に関する変形例を示す例示図であり、図6は本発明の第1実施形態による電気炊飯器を示すブロック図である。
【0014】
図1ないし図6に示すように、本発明による電気炊飯器100は、本体(図示せず)、蓋部10、ロッキングリング20、圧力転換手段50、圧力対応作動手段90、センサー18a,18b及び制御部19aからなる。
【0015】
ここで、本体(図示せず)内には、熱板ヒータ或いは誘導加熱装置などの加熱手段19cを備える装着空間が形成され、装着空間内には調理材料をいれる内釜(図示せず)が収容される。この時、内釜の上部には半径方向の外側に複数のフランジ部が突出して形成される。
【0016】
図1及び図2Aに示すように、蓋部10は、本体(図示せず)の上部に結合されて開閉し、各種電子部品及び配線が設けられる内部蓋部10bと、該内部蓋部10bをカバーし、上面の一側にハンドル11が備えられた外部蓋部10aとからなる。ここで、ハンドル11は開閉手段の一例である。即ち、ハンドルはユーザの操作により内釜のロックのためのロッキングリングなどに連動する電気式電動モーターなどで代替でき、それを含む概念である。
【0017】
以下、一側は蓋部10の開放端部17を向く方向を、他側は蓋部10のヒンジ連結部16を向く方向を意味する。
【0018】
ロッキングリング20は、内部蓋部10bの下面に回転自在に結合されて回転角度によってフランジ部に選択的にロックされる。
【0019】
詳しくは、ロッキングリング20の内周には各々のフランジ部に対応して半径方向の内側に複数のロック突起21が突設される。この時、ロッキングリング20がロック解除角度に回転すると、各々のロック突起21がフタンジ部の間の空間に配置され、蓋部10と内釜(図示せず)が分離されて開閉が可能になる。
【0020】
また蓋部10が閉じられた状態でロッキングリング20がロック角度に回転すると、各々のロック突起21がフランジ部の下端に拘束されて蓋部10と内釜(図示せず)がロックされる。
【0021】
ロッキングリング20の上面には回転方向を表すために永久磁石などの標識者22a,22bが備えられ、内部蓋部10bには標識者22a,22bを各々感知するセンサー18a,18bが備えられる。
【0022】
ここで、センサー18a,18bは磁力感知センサーなどからなり、ロッキングリング20の回転時に隣接した標識者22a,22bの磁力を感知して感知信号を送出する。なお、制御部19aはセンサー18a,18bの感知信号を受信してロッキングリング20のロック及びロック解除状態を判別する。
【0023】
この時、標識者22a,22bは1つ或いは2つからなり、センサー18a,18bはロッキングリング20のロック及びロック解除状態を各々感知するために一対からなることが好ましい。
【0024】
例えば、標識者が1つである場合、センサー18a,18bはロッキングリング20のロック時の標識者の位置及びロッキングリング20のロック解除時の標識者の位置に対応して配置される。この時、標識者はロッキングリング20のロック及びロック解除時に各々のセンサー18a,18bに交番して感知される。
【0025】
また、標識者が2つである場合は、センサー18a,18bはロッキングリング20のロック時の第1標識者22aの位置及びロッキングリング20のロック解除時の第2標識者22bの位置に各々配置される。この時、各々の標識者はロッキングリング20のロック及びロック解除時に対応する位置の各々のセンサー18a,18bに選択的に感知される。
【0026】
図1ないし図3Aに示すように、ハンドル11の下端にはハンドルベース30が連結される。詳しくは、ハンドルベース30は、支持部30c、該支持部30cの一端及び他端に突設されたロッキングリング連動部30a及び安全バー連動部30bからなる。支持部30cは上面にハンドル11の下端がキー結合され、下面に形成された回転支持溝部34に内部蓋部10bの支持突起14が挿入されて回転支持される。これにより、ハンドルベース30が捩れなくハンドル11と一体に回転できる。
【0027】
ロッキングリング連動部30aは、ロッキングリング20の回転軌跡と重畳するように延び、ロッキングリング20と重畳配置された一側に連結孔31が形成される。この時、連結孔31にはロッキングリング20の上面に突設された連結突起23が内部蓋部10bの円弧形長孔15を貫通して嵌合され、これによりロッキングリング20がハンドル11と連動して回転できる。
【0028】
安全バー連動部30bには、ハンドルベース30の回転時に一側及び他側に直線移動し、圧力安全装置90cにより直線移動が選択的に制限される安全バー35が連結される。
【0029】
詳しくは、内釜内の圧力が所定の安全圧力以上に増加すると、圧力安全装置90cの安全ピンが上昇して安全バー35が拘束され、安全バー35の直線移動が制限される。これにより、安全バー35に連結されたハンドルベース30の回転が制限されて内釜の高圧時にロッキングリング20のロック解除を防止することができる。
【0030】
なお、内部蓋部10bの下面にはリードプレート80が結合され、さらにリードプレート80の下面には内釜カバー(図示せず)が設けられる。
【0031】
この実施形態においては、内釜(図示せず)の上端開口を密閉する密閉パッキング82がリードプレート80の下面に設けられたことを例示しているが、密閉パッキング82は内釜カバー(図示せず)の縁部に設けられることもできる。
【0032】
この時、内釜カバー(図示せず)の他側には内釜内の蒸気を排出するための複数の蒸気流動孔が形成され、リードプレート80には蒸気流動孔に対面する部分に複数の連通孔81a,81b,81cが形成される。
【0033】
リードプレート80及び内部蓋部10bの間には、各々の連通孔81a,81b,81cを一体にカバーし、各々の連通孔81a,81b,81cに対応する装着孔71a,71b,71cが形成された制御板70が設けられる。勿論、制御板70及びリードプレート80が一体に形成されることもできる。
【0034】
外部蓋部10aの他側には、各々の装着孔71a,71b,71cに対応するように複数の上部貫通部13a,13b,13cが形成され、内部蓋部10bには、各々の上部貫通部13a,13b,13cの形成領域を包括するサイズの下部貫通部13dが形成される。
【0035】
圧力転換手段50は、上部貫通部13a,13b,13cのうちのいずれか一方13a及び下部貫通部13dを介して蓋部10を貫通するように配置され、内釜内の蒸気を排出するための選択的な開閉状態を維持するために備えられる。即ち、圧力転換手段50は、開放及び閉鎖のうちいずれか一方を調理過程中に持続的に維持する。
【0036】
詳しくは、圧力転換手段50は、内釜の内部と外部を連通させる連通部材と、第1方向の圧力により連通部材の開放及び閉鎖状態のうちいずれか一方を維持させる開閉部材とを含む。
【0037】
以下、第1方向が上側から下側に向かう方向である場合を例示する。後述するリンク手段及び開閉部材の位置によって、第1方向は下側から上側に向かう方向、左側から右側に向かう方向、右側から左側に向かう方向など様々に変更できる。開閉部材は第1方向の圧力によって連通部材の開放又は閉鎖を維持させる。
【0038】
開閉部材は、ハンドル11の回転時に第1方向の逆方向である第2方向の圧力を形成するリンク手段により開閉状態が転換される。ここで、第1方向の圧力により開閉部材の開放状態が維持される場合、第2方向の圧力は開閉部材を閉鎖状態に転換させ、第1方向の圧力により開閉部材の閉鎖状態が維持される場合には、第2方向の圧力は開閉部材を開放状態に転換させる。これにより、ハンドル11の回転に連動して圧力転換手段50の開閉状態が転換される。
【0039】
以下、リンク手段がハンドル11に連動するロッキングリング20のリフト突起24である場合を例示する。リンク手段はハンドル11に一体に設けられるか或いはハンドル11に連動するハンドルベース30などに備えられる。
【0040】
この実施形態においては、連通部材が下部シリンダー53及び上部シリンダー51からなって内釜の内部と外部を連通させる内部流路を形成し、開閉部材が下部シリンダー53及び上部シリンダー51の間で乗降する昇降ピストン52からなって内部流路の開閉状態を転換させることについて説明する。
【0041】
乗降ピストン52は加圧手段により下方に押圧されて内部流路の閉鎖状態を維持させ、リンク手段はロッキングリング20に一体に設けられた突起形態であって、ハンドルの回転時に昇降ピストン52を上方に押圧する。
【0042】
圧力対応作動手段90は、圧力転換手段50が配置されていない上部貫通部13b,13c及び下部貫通部13dを介して蓋部10を貫通するように配置される。
【0043】
ここで、圧力対応作動手段90は、電気信号によって開閉されるソレノイドバルブ90bと、内釜内の蒸気圧力によって乗降する重量錘を備える圧力錘バルブ90aとからなり、圧力転換手段30が閉鎖された圧力調理モードにおいて、内釜内の圧力の高低によって選択的に開閉される。
【0044】
即ち、ロッキングリング20がロック解除されるようにハンドル11が回転すると、圧力転換手段50が開放されて調理中に内釜内の蒸気が持続的に排出される非圧力調理モードで調理が行われる。この時、圧力転換手段50の内部流路は、調理中に発生した蒸気が全部排出されて内釜内に圧力を発生させないサイズの断面積を有することが好ましい。
【0045】
ロッキングリング20がロックされるようにハンドル11が回転すると、圧力転換手段50が閉鎖され、圧力対応作動手段90によって内釜内の圧力が一定水準に維持される圧力調理モードで調理が行われる。
【0046】
なお、図1ないし図6に示したように、制御部19aは、センサー18a,18bのうちのいずれか一方から感知信号が受信されると、本体(図示せず)に対する電源供給が活性化されるように制御する。
【0047】
詳しくは、センサーのうち何れか一方18aはロッキングリング20のロック時のロック回転方向側の第1標識者22aの位置に対応して配置され、他方18bはロッキングリング20のロック解除時のロック解除回転方向側の第2標識者22bの位置に対応して配置される。
【0048】
この時、ロッキングリング20がロック回転すると、圧力転換手段50が閉鎖され、第1センサー18aが第1標識者22aの磁力を感知して感知信号を送出する。また、ロッキングリング20がロック解除回転すると、圧力転換手段50が開放され、第2センサー18bが第2標識者22bの磁力を感知して感知信号を送出する。
【0049】
ここで、制御部19aは、第1センサー18a及び第2センサー18bの感知信号のうち何れか一つが受信されると、本体の電源供給を活性化させ、本体(図示せず)の電源供給が活性化されると、本体の操作パネル19bから入力された調理命令により内釜の加熱のための加熱手段19cが駆動される。
【0050】
これにより、ロッキングリング20がロックされた圧力調理モードだけではなく、ロッキングリング20がロック解除された非圧力調理モードでも加熱手段19cが駆動されて内釜内の調理が行われる。
【0051】
制御部19aは、感知信号の未受信時には、本体(図示せず)に対する電源供給が非活性化されるように制御する。ここで、非活性化とは、調理命令が入力されても加熱手段19cが駆動しないことを意味し、感知信号の未受信とは、両方のセンサー18a,18bに標識者22a,22bが感知されていない状態を意味する。これにより、ロッキングリング20がロックされて圧力転換手段50が完全に閉鎖されたか或いはロッキングリング20がロック解除されて圧力転換手段50が完全に開放された状態でのみ本体(図示せず)に対する電源供給が活性化される。
【0052】
即ち、圧力転換手段50が部分的に開放又は閉鎖された状態で調理が行われることを防止することができるので、圧力転換手段50の部分開閉による調理品質の低下、安全事故の発生などを予防できる。
【0053】
制御部19aは、ロッキングリング20のロックに対応する感知信号が受信された状態で調理命令が入力されると、所定の圧力調理モードの制御アルゴリズムに基づいて内釜の調理温度を制御する。この時、制御部19aは圧力釜のご飯などの圧力調理に適合した調理温度が維持されるように加熱手段19cの加熱量を制御する。
【0054】
制御部19aは、ロッキングリング20のロック解除に対応する感知信号が受信された状態で調理命令が入力されると、所定の非圧力調理モードの制御アルゴリズムに基づいて加熱手段の加熱量を制御する。この時、制御部19aは非圧力釜のご飯などの非圧力調理に適合した調理温度が維持されるように加熱手段19cの加熱量を制御する。
【0055】
これにより、ハンドル11を回転させるだけでロッキングリング20のロック及びロック解除が転換されるとともに圧力転換手段50の開閉状態が転換されて、この転換された圧力/非圧力調理モードに適合した調理温度の制御アルゴリズムが自動に選択されるので、製品の使用便宜性及び調理品質が顕著に改善される。
【0056】
なお、外部蓋部10aの上面には、上部貫通部13a,13b,13cの縁部に沿って装着溝12が陥没形成され、圧力対応作動手段90及び圧力転換手段50の蒸気排出を案内するスチームキャップ60が着脱される。
【0057】
ここで、スチームキャップ60の一側には圧力錘貫通孔63が形成されて圧力錘バルブ90aの外周を囲み、内部に形成された案内空間61には圧力転換手段50及びソレノイドバルブ90bの上端が配置される。
【0058】
この時、圧力錘バルブ90aの蒸気は、圧力錘貫通孔63の内側面に衝突して減速された後に外部に排出され、圧力転換手段50及びソレノイドバルブ90bの蒸気は、案内空間61に突設された流速制御リブ(図示せず)に衝突して減速された後に案内空間61の他端の蒸気案内孔62を介して外部に排出される。これにより、高温・高圧蒸気の急速排出による火傷などの安全事故や蒸気排出騒音を最小化することができる。
【0059】
また本体(図示せず)には、蓋部10の開放端部17に突設された係止突起17aをロックする補助ロック手段が備えられる。これにより、ロッキングリング20がロック解除され圧力転換手段50が開放された非圧力調理モードにおいても、蓋部20の閉じ状態を安定的に維持することができる。よって、調理時に蒸気圧力による蓋部10の開放或いは揺れ動きなどを防止して内釜(図示せず)と内釜カバーの密着状態を維持でき、内釜の蒸気が漏れることなく圧力転換手段50及びスチームキャップ60を介して安全に排出される。
【0060】
図1ないし図3Aに示したように、圧力転換手段50は、下部シリンダー53、昇降ピストン52、上部シリンダー51及び加圧手段からなる。
【0061】
ここで、下部シリンダー53は中空円筒型に形成されて内部に圧力転換流路53aを有し、下部貫通部13dを貫通するように配置される。この時、下部シリンダー53の下端が連通孔81aに密着するように結合されることにより圧力転換流路53aと内釜の内部が互いに連通する。
【0062】
詳しくは、下部シリンダー53の下端にDカット結合部53cが形成され、下部シリンダー53と対向する連通孔81aは、Dカット結合部53cに対応するようにDカット断面に加工されたDカット孔で形成されることが好ましい。これにより、Dカット結合部53cの外周がDカット孔の内周に嵌合支持されて蒸気の圧力による下部シリンダー53の回転を防止できる。
【0063】
この時、Dカット結合部53cは外周に密閉Oリング59が取り付けられた状態でDカット孔に挿入され、Dカット孔に挿入されたDカット結合部53cの内周にはネジ山が形成されてシリンダーキャップ58の外周側のネジ山が締結される。
【0064】
シリンダーキャップ58には内釜内の蒸気が流動するように複数の蒸気排出孔58bが形成され、外周に沿ってDカット孔の下縁端に係止する締結段差部58aが形成される。ここで、各々の蒸気排出孔58bは、スナップリングプライヤーなどを用いてシリンダーキャップ58が容易に回転締結されるように、シリンダーキャップ58の面積中心点を基準として回転対称されて配列されることが好ましい。
【0065】
この時、シリンダーキャップ58がDカット結合部53cに結合されると、締結段差部58a及び下部シリンダー53の下端の間にDカット孔の縁部が係止して下部シリンダー53が固定され、密閉Oリング59により下部シリンダー53の下端及びDカット孔の縁部の間が密閉される。これにより内釜内の蒸気が漏れることなく圧力転換流路53a内に安定的に流入できる。ここで、シリンダーキャップ58はリードプレート80の連通孔81aに一体に形成されることもできる。
【0066】
勿論、図5に示したように、下部シリンダー153は制御板170の装着孔に固定されることもできる。即ち、下部シリンダー153の下端に設けられた固定締結部153cの外周にネジ山が形成され、装着孔171aの内周にネジ山が形成されることにより、固定締結部153cが装着孔171aに締結されることができる。この時、固定締結部153cの上端の外周には装着孔171aの縁部に支持されるOリング固定段部153eが備えられることが好ましく、Oリング固定段部153eの下部に密閉Oリング159aが取り付けられた状態で固定締結部153cが装着孔171aの内周に結合されると、下部シリンダー153及び装着孔171aの間が密閉される。
【0067】
固定締結部153cの下端にシーリング部材159bが配置されて固定締結部153c及び連通孔181aの縁部の間が密閉され、下部シリンダー153が固定される。これにより、内釜内の蒸気が漏れることなく圧力転換流路に向かって安定的に流入され、下部シリンダー153及び圧力対応作動手段90が一つの部品に固定されることができる。
【0068】
下部シリンダーは装着孔171aに嵌合などにより固定することができ、圧力転換流路及び連通孔の連通時に蒸気の漏れ防止のために密閉Oリング及びシーリング部材の装着位置を変更できる。
【0069】
乗降ピストン52は下部シリンダー53上に乗降可能に結合され、昇降ピストン52の昇降によって圧力転換流路53aが開閉される。
【0070】
ここで、昇降ピストン52は圧力転換流路53aより大きく形成され、下部シリンダー53の上端に安着する安着板52a、安着板52aの外側から上下方向に延長する上部スライド管52c及び下部スライド管52bからなる。
【0071】
この時、安着板52aの下面には圧力転換流路53aを遮蔽する遮蔽突起52fが突設され、遮蔽突起52fの外郭に沿って複数に分割された円弧形の転換排出孔52eが形成される。
【0072】
即ち、昇降ピストン52の下降時に遮蔽突起52fにより圧力転換流路53aの上端が密閉され、昇降ピストン52の上昇時に遮蔽突起52fが圧力転換流路53aの上端から離隔して内釜内の蒸気が転換排出孔52eを通して上昇する。
【0073】
上部シリンダー51は中空円筒形に形成され、上部貫通部13aを貫通するように配置される。この時、上部シリンダー51及び上部貫通部13aの間は管型密閉部材57によって密閉され、上部シリンダー51の上端の外周にはリング型密閉溝部51cが陥没形成されて管型密閉部材57の内周側シーリング突起57aが係止されて支持される。
【0074】
上部シリンダー51の下端には複数に分割された円弧形のコラム締結部51bが形成され、コラム締結部51bの内周にはネジ山が形成される。この時、コラム締結部51bが転換排出孔52eを貫通して下部シリンダー53の上端外周53d側のネジ山に締結されることにより、上部シリンダー51が下部シリンダー53に固定される。ここで、コラム締結部51bは昇降ピストン52の上昇時に蒸気流動面積を確保するために転換排出孔52eの断面積より小さく形成されることが好ましい。
【0075】
上部シリンダー51の内周には半径方向の内側に飛散防止板51fが突出形成されることが好ましい。ここで、飛散防止板51fは昇降ピストン52の上昇時に転換排出孔52eの上面から離隔する位置に形成され、転換排出孔52eをカバーするサイズで形成されることが好ましい。
【0076】
これにより、圧力転換手段50の開放時に蒸気の円滑な排出が可能であり、かつ圧力転換流路53aの内面に凝縮した水分が蒸気と共に飛散排出されることを防止できる。よって飛散した水分による火傷などの安全事故を予防でき、飯炊時の粘性の水による蓋部10の表面或いはスチームキャップ60内の汚染が最小になって、より安全かつ清潔な使用が可能である。
【0077】
なお、下部スライド管52bは下部シリンダー53の上側の外径より大きい内径を有し、上部スライド管52cは上部シリンダー51の下側の外径より大きい内径を有して、昇降ピストン52が下部シリンダー53の外周及び上部シリンダー51の外周を囲むように取り付けられる。
【0078】
これにより、各々のスライド管52b,52cが各々のシリンダー51,53の外周に沿って案内されて、昇降ピストン52が正確な方向に乗降でき、圧力転換流路53aの開閉を安定的に転換できる。
【0079】
上部シリンダー51の下部外周及び下部シリンダー53の上部外周にはリング型密閉溝部51d,53bが陥没形成されて密閉部材55,56が取り付けられる。
【0080】
この時、密閉部材55,56の外周には複数の密閉リブ55a,56aが突設される。これにより、昇降ピストン52の乗降時にも各々のスライド管52b,52c及びシリンダー51,53の間の空間が正確に密閉される。
【0081】
乗降ピストン52の上端及び下端の内周が密閉リブ55a,56aの端部に支持されるので、半径方向の流動が最小化されて昇降ピストン52がより正確な方向に乗降でき、これにより遮蔽突起52f及び圧力転換流路53aが同心整列状態を維持できるので、圧力転換流路53aの正確な開閉が可能である。
【0082】
なお、下部スライド管52bの外周には半径方向の外側に乗降翼部52dが突設される。この時、乗降翼部52dが加圧手段により下方に押圧されて圧力転換流路53aの閉鎖状態が維持される。
【0083】
ここで、加圧手段は圧力転換流路53aが所定の理想圧力以上では強制に開放されるように、理想圧力に対応する弾性係数を有するバネなどの弾性部材54からなる。
【0084】
詳しくは、上部シリンダー51の外周にはバネ支持突起51aが突設され、バネ支持突起51aの下端には弾性部材54の直径より大きいワッシャー部材51eが取り付けられる。勿論、ワッシャー部材51eはバネ支持突起51aに一体に備えられることもでき、バネ支持突起51aが弾性部材54の直径に対応する面積で形成されることもできる。
【0085】
乗降翼部52d及びワッシャー部材51eの間に弾性部材54が介在されることにより、遮蔽突起52f及び圧力転換流路53aの密着状態を維持できる。
【0086】
勿論、図4に示したように、加圧手段は、理想圧力に対応する重量で備えられて乗降ピストン152の外周に結合される圧力荷重錘154からなることもできる。この時、圧力荷重錘154はリング状に形成され、乗降翼部152dの上面に安着されるか或いは乗降翼部152dに一体に形成される。
【0087】
ここで、理想圧力は圧力調理モードで圧力対応作動手段90により制御される内釜内の圧力より大きい圧力に設定されることが好ましい。
【0088】
即ち、圧力転換流路53aが閉鎖された状態で圧力対応作動手段90により内釜内の圧力が制御されると、加圧手段54,154による下方の押圧力により昇降ピストン52の下降状態が維持され、圧力転換流路53aが閉鎖される。
【0089】
この時、圧力対応作動手段90の制御ミスや故障などにより内釜内の圧力が増加し過ぎると、遮蔽突起52fが増加した蒸気圧力により上昇して圧力転換流路53aが強制開放される。これにより内釜内の過渡な圧力上昇による安全事故を予防できる。
【0090】
ここで、圧力転換流路53aは上方に行くほど半径方向の内側に狭くなることが好ましい。これにより遮蔽突起52fに対する蒸気の圧力面積が減少し、昇降ピストン52の下降状態の維持のための加圧手段54の圧力要求量が低減する。
【0091】
遮蔽突起52fは下方に行くほど半径方向の内側に狭くなり、圧力転換流路53aの上端には上方に行くほど半径方向の外側に広くなる密閉接触部53fが備えられることが好ましい。これにより昇降ピストン52の下降時に遮蔽突起52fの傾いた下面及び密閉接触部53fの傾いた内面が互いに面接触してより正確な密着が可能である。
【0092】
圧力転換手段50はロッキングリング20の内周に隣接して配置される。ロッキングリング20の上面には圧力転換手段50の外周に突設された乗降翼部52dに対向する部分に沿ってロック回転方向に行くほど上方に傾斜したリフト突起24が突設される。
【0093】
詳しくは、図1ないし図3Aに示したように、圧力転換手段50は昇降ピストン52の乗降翼部52dがロッキングリング20の上面に対向するように配置される。
【0094】
この時、リフト突起24はロッキングリング20のロック及びロック解除回転時に乗降翼部52dに対面するロッキングリング20の上面内周の縁部に沿って形成され、ロック回転方向に行くほど上方に傾斜して突出されることが好ましい。即ち、リフト突起24は、ロッキングリング20のロック回転状態では乗降翼部52dの下面に対面する部分の突出高さが低く、ロッキングリング20のロック解除回転状態では乗降翼部52dの下面に対面する部分の突出高さが高く形成される。
【0095】
詳しくは、ロッキングリング20のロック回転時に乗降翼部52dに対向するリフト突起24の最低端24aの高さは、遮蔽突起52fが下降して圧力転換流路53aが閉鎖されるように設定される。
【0096】
ロッキングリング20のロック解除回転時に乗降翼部52dに対向するリフト突起24の最高端24bの高さは、遮蔽突起52f及び圧力転換流路53aの間に十分な蒸気流動面積が形成されるように設定される。これにより、ロッキングリング20の回転に連動して圧力転換手段50の開放及び閉鎖状態が転換される。
【0097】
即ち、図2A及び図3Aに示したように、ロッキングリング20がロックされた状態でロック解除方向に回転されると、乗降翼部52dがリフト突起24の傾斜面に沿ってスライドして上昇する。
【0098】
この時、乗降翼部52dの下縁端52gはロッキングリング20の移動時に接触したリフト突起24が柔らかくスライドするようにラウンドして形成されることが好ましい。
【0099】
上昇した乗降翼部52dがリフト突起24の最高端24bにより支持されると、圧力転換流路53aが完全に開放され、開放された状態が維持される。
【0100】
この時、内釜内の蒸気は、蒸気流動孔、蒸気排出孔58b、連通孔81a、圧力転換流路53a、転換排出孔52e、上部シリンダー51の中空及びスチームキャップ60を経て外部に排出される。これにより、内釜内の蒸気が持続的に排出され、内釜内の圧力が増加しない非圧力調理モードで調理が行われる。
【0101】
また図2B及び図3Bに示すように、ロッキングリング20がロック解除された状態でロック方向に回転すると、乗降翼部52dがリフト突起24の傾斜面に沿ってスライドして下降する。
【0102】
乗降翼部52dとリフト突起24の最低端24aが対向配置されると、乗降翼部52dに対する上方の加圧が解除されて昇降ピストン52が下降し、圧力転換流路53aが完全に閉鎖される。
【0103】
この時、加圧手段54により昇降ピストン52の下降状態が維持されるので、内釜内の蒸気は蒸気流動孔を通して圧力対応作動手段90に流動して内釜内の圧力の高低によって選択的に排出され、内釜内の圧力が一定に維持される。
【0104】
即ち、圧力転換手段50が閉鎖された状態で内釜内の圧力が増加して圧力調理モードで調理が行われ、内釜内の圧力が一定水準以上に高くなると、圧力対応作動手段90が開放されて内釜内の蒸気が蒸気流動孔、圧力対応作動手段90及びスチームキャップ60を経て外部に排出される。
【0105】
このように圧力転換手段50の開放及び閉鎖により、圧力が要らない料理のための非圧力調理モードと、圧力炊事などの高圧が必要な料理のための圧力調理モードを容易に転換できるので、一つの装置で多様な調理方法を自由に使用でき、圧力釜のご飯のもちもちしっとりとした食感、非圧力釜のご飯の柔らかい食感など、ユーザの好みによる炊事が可能であり、製品の互換性及び炊事品質が改善される。
【0106】
さらに、非圧力調理モードでは圧力安全装置が駆動されないので、蓋部10の自由開閉が可能であり、調理中に追加材料の投入や調理状態の点検が容易になって製品の使用便宜性が改善される。
【0107】
またハンドル11を回転させるだけでロッキングリング20が回転し、圧力転換手段50の開放及び閉鎖状態を転換できるので、非圧力調理モード及び圧力調理モードを容易に選択でき、製品の使用便宜性が顕著に改善される。また別途の追加部品がなくてもロッキングリング20に突設された簡単な突起構造によりハンドル及び圧力転換手段50の連動が可能であるので、部品数の減少及び部品間の連結構造の簡素化により製品の生産性及び組立性が改善される。
【0108】
ハンドル11をロック解除方向に回転させるだけで圧力転換手段50内の広い流路を通して内釜内の蒸気が迅速に非出されるので、従来内釜の残留圧の除去のために圧力錘バルブ90aを強制開放するタンブラーピンなどの構造を省略でき、非圧力調理モードの調理中に圧力錘バルブ90aの特有の蒸気排出騒音が除去されるので、製品の静かさが向上する。
【0109】
一方、図7は本発明の第2実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す断面図である。この実施形態においては、乗降ピストン252の形状を除いた基本構成が上述した第1実施形態と同様であるので、同じ構成については同じ符号を使用し、具体的な説明は省略する。
【0110】
図7に示したように、圧力転換手段250は、下部シリンダー253、昇降ピストン252及び加圧手段からなる。この時、乗降ピストン252は上部貫通部13aを貫通して形成され、下部シリンダー253の上部に乗降可能に結合される。
【0111】
詳しくは、下部スライド管252bの下部の内周にはタブ組立突起252mが突設され、下部シリンダー253の上端の外周にはタブ結合突起253k及び突起収容溝253mが形成される。
【0112】
ここで、タブ組立突起252mの内周及びタブ結合突起253kの外周にはネジ山が形成されて互いに締結でき、突起収容溝253mはタブ結合突起253kの下部に沿って乗降ピストン252の乗降間隔に対応する上下幅で形成される。
【0113】
即ち、タブ組立突起252mはタブ結合突起253kに回転締結されて下降し、タブ結合突起253kのネジ山を介して突起収容溝253mに挿入される。この時、タブ組立突起252mはタブ結合突起253kの下端から突起収容溝253mの内部に対応する範囲で上下流動できる。
【0114】
これにより、乗降ピストン252が下部シリンダー253の上部に結合されて上下方向に乗降できながらも、圧力転換手段250の開放時に蒸気排出の流れによる乗降ピストン252及び下部シリンダー253の分離が防止される。
【0115】
上部スライド管252cは上部貫通部13aを貫通して配置される長さに延長する。即ち、上部スライド管252cは遮蔽突起252fが圧力転換流路253aの上端に密着された状態で上部貫通部13aの上側に露出される長さであることが好ましい。
【0116】
この時、加圧手段は、第1実施形態と同様に、弾性部材254或いは圧力荷重錘からなり、加圧手段が弾性部材254で形成された場合、弾性部材254の上端は上部貫通部13aの下縁部に支持される。
【0117】
上部スライド管252c及び上部貫通部13aの間は管型密閉部材57により密閉され、上部スライド管252cの上端の外周にはリング型密閉溝部252kが形成されて管型密閉部材57の内周側のシーリング突起57aが係止して支持される。
【0118】
ここで、密閉溝部252kは乗降ピストン252の乗降間隔に対応するように上下方向に拡張形成されることが好ましい。これにより乗降ピストン252の乗降時にもシーリング突起及び密閉溝部252kの密着状態が安定的に維持できる。
【0119】
乗降ピストン252が上昇すると、内釜内の蒸気は蒸気流動孔、蒸気排出孔58b、連通孔81a、圧力転換流路253a、転換排出孔252e、上部スライド管252c及びスチームキャップ60を経て蓋部10の外部に排出され、上部スライド管252cの内周には転換排出溝252eの上部をカバーする飛散防止段差部252hが形成される。
【0120】
このように、別途の上部シリンダー(図1の51参照)がなくても内釜の内部が蓋部10の外部に連通可能であり、乗降ピストン252の乗降時に上部シリンダー及び上部スライド管252cの間の密閉状態を維持するための密閉部材(図1の55参照)を省略できるので、部品数が減少して製品の生産性及び組立性が改善される。
【0121】
本発明によれば、以下の効果を提供する。
【0122】
第1に、圧力転換手段の開放及び閉鎖により、圧力が要らない料理のための非圧力調理モードと、高圧が必要な料理のための圧力調理モードを容易に転換できる。よって、一つの装置で多様な調理方法を自由に使用でき、圧力釜のご飯のもちもちしっとりとした食感、非圧力釜のご飯の柔らかい食感など、ユーザの好みによる炊事が可能であり、製品の互換性及び炊事品質が改善される。
【0123】
さらに、非圧力調理モードにおいては、圧力安全装置による制限なく、蓋部の自由開閉が可能であり、調理中に追加材料の投入や調理状態の点検が容易になるので、製品の使用便宜性が改善される。
【0124】
第2に、制御部がロッキングリングのロック及びロック解除時に標識者の位置によるセンサーの感知信号に基づいて圧力転換手段の開閉を判別して、ハンドルの回転により転換された非圧力調理モード及び圧力調理モードに適合した調理温度制御アルゴリズムが自動に選択されるので、製品の使用便宜性及び調理品質が顕著に改善される
【0125】
第3に、ハンドルの回転に連動して圧力転換手段の開放及び閉鎖状態が転換されるので、ハンドルを回転するだけで、非圧力調理モード及び圧力調理モードを容易に選択でき、製品の使用便宜性が改善される。
【0126】
第4に、ハンドル及び圧力転換手段の連動のためのリンク手段がロッキングリングに突設された簡単な突起構造からなるので、部品数の減少及び部品間の連結構造の簡素化により製品の生産性及び組立性が改善される。
【0127】
第5に、乗降ピストンの下降状態を維持するための加圧手段が所定の理想圧力に対応する弾性力或いは荷重を有するので、圧力調理時に圧力転換流路を安定的に閉鎖でき、圧力対応作動手段のエラーなどにより内釜内の圧力が上昇し過ぎた場合にも、圧力転換流路が強制開放されて製品の安全性が改善される。
【0128】
第6に、昇降ピストンの転換排出孔が飛散防止板又は飛散防止段差部によりカバーされて圧力転換流路の内面に凝縮された水分が蒸気と同時に飛散排出されることを防止できるので、飛散された水分による安全事故を予防できるとともに、飯炊時の粘性の水による蓋部及びスチームキャップの汚染が最小になってより清潔な使用が可能である。
【0129】
以上、本発明は、限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有した者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能である。従って、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7