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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】画像センサの自動的な較正
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221003BHJP
   G06T 7/80 20170101ALI20221003BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/01 451
G06T7/80
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018167779
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2019051707
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】10 2017 216 041.1
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン クリーガー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ムート
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4312057(JP,B2)
【文献】特開2003-118087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0074861(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
G06T 7/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ(2,7)によるインクジェット印刷機(4)におけるカメラの自動化された較正のため、かつ印刷ヘッドの自動化された調整のための方法であって、
テスト印刷パターン(19,20)を印刷するステップと、
デジタル画像を生成するための少なくとも1つのカメラ(5)によって、印刷された前記テスト印刷パターン(19,20)を検出するステップと、
前記コンピュータ(2,7)によって、前記テスト印刷パターン(19,20)上の座標と、前記少なくとも1つのカメラ(5)および前記印刷ヘッドの座標と、の間の座標変換を求めるステップであって、前記テスト印刷パターン(19,20)上の前d記座標を求めるために、前記デジタル画像のコンピュータ支援による評価方法を実施するステップと、
前記コンピュータ(2,7)によって、前記印刷ヘッドの調整のため、かつカメラ較正のために、前記座標変換の結果から、および/または前記座標変換の結果と前記テスト印刷パターン(19,20)の求められた測定値との比較から、補正値を導出するステップと、
前記コンピュータ(2,7)によって、前記補正値を用いて、前記印刷ヘッドの調整および前記カメラ較正を実施するステップと、
を有する方法において、
前記テスト印刷パターン(19,20)は、複数の充填された円形のディスク(16)からなり、
前記複数の充填された円形のディスク(16,18)は、最小直径を有し、
前記最小直径は、エラーを有する印刷ノズルが発生した場合にも最適に機能するように選択されており、
印刷された前記テスト印刷パターン(19,20)を少なくとも1つのカメラ(5)によって検出するために、隣り合って配置された複数のラインスキャンカメラ(5)からなるカメラシステム(5)を使用し、
前記ラインスキャンカメラ(5)は、前記印刷されたテスト印刷パターン(19,20)を、印刷解像度の少なくとも40~60%の解像度で検出する、
ことを特徴する方法。
【請求項2】
使用される全ての色分解版に対して、複数の充填された円形ディスク(16)からなるテスト印刷パターン(19)を印刷し、
それぞれの印刷ヘッドは、前記充填された円形ディスク(16)の形態の、少なくとも3つの較正点(16)からなる少なくとも2つの完全な行を印刷し、ただし、前記少なくとも3つの較正点(16)は、前記印刷ヘッドのスティッチング領域内には位置しておらず、
前記少なくとも2つの完全なセットは、用紙搬送方向にできるだけ大きな領域が形成されるように被印刷物にわたって分布されている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数の充填された円形ディスク(18)からなるテスト印刷パターン(20)を印刷し、
それぞれの印刷ヘッドは、前記充填された円形ディスク(18)の形態の、少なくとも2つの較正点(18)からなる行からなる少なくとも2つの完全なブロックを印刷し、ただし、前記少なくとも2つの較正点(18)は、前記印刷ヘッドのスティッチング領域内には位置しておらず、
それぞれのブロックは、それぞれの使用される色分解版に対して少なくとも2つの較正点(18)からなる少なくとも1つの行を含み、
前記少なくとも2つの較正点(18)からなる前記行は、用紙搬送方向にできるだけ大きな領域が形成されるように被印刷物にわたって分布されている、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのカメラ(5)によって検出された、被印刷物上の印刷を施すべき領域を、使用されている前記カメラ(5)の個数に対応する画像センサ領域に分割し、
少なくとも1つの前記画像センサ領域のうちのそれぞれの中央において、前記較正点(16,18)の上方に、充填された円形ディスク(15,17)の形態の参照点(15,17)を印刷し、前記参照点(15,17)を、個々の画像センサ領域の内部での参照のために使用する、
請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記テスト印刷パターン(19,20)上の座標を求めるための前記コンピュータ支援による評価方法を、前記較正点(16,18)の中心を検出することによって実施し、
前記較正点(16,18)の中心を検出することは、
・検出された前記テスト印刷パターン(19,20)を、コントラストに富んだグレースケール画像に変換するステップと、
・デジタル全体画像から、円形ディスク(16,18)を有する画像領域(9)を切り取るステップと、
・任意選択的に、エッジ検出(10)を実施するステップと、
・任意選択的に、前記画像領域(9)をバイナリ画像に変換し、前記バイナリ画像からラインアーチファクト(11,12)をフィルタリングするステップと、
・任意選択的に、バイナリマスク(13)を生成するために、前記円形ディスク(16,18)の中心点を通る十字を中心として前記バイナリ画像を拡大するステップと、
・任意選択的に、拡張(14)によって前記バイナリマスクを拡幅するステップと、
・任意選択的に、前記バイナリマスク(14)を使用して、前記デジタル全体画像から印刷点のモデルのパラメータを求めるステップと、
・前記円形ディスク(16,18)の中心および半径が予想された範囲内にあるか否かについて、結果をチェックするステップと、
を含む、
請求項2から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータ(2,7)による前記座標変換は、
・理論的に計算された既存の座標変換によって、前記テスト印刷パターン(19,20)の現在評価されている領域内における参照点(15,17)を探索するステップと、
・前記カメラの複数のカラーチャネルが存在する場合に、最もコントラストに富んだカラーチャネルを選択するステップと、
・前記参照点(15,17)の中心座標によって初期の前記座標変換を精緻化するステップと、
・それぞれ前記較正点(16,18)の周囲の画像領域を切り取り、前記評価方法を実施することによって、既存の前記較正点(16,18)の位置を求めるステップと、
・ずれを有する較正点(16,18)およびエラーをフィルタリングするステップと、
・前記フィルタリング後に十分な較正点(16,18)が残っている場合に、残りの較正点(16,18)によって前記座標変換のモデルのパラメータを求めるステップと、
・前記較正点(16,18)の、予想される理想位置からのずれを特定するステップと、
・個々の印刷ヘッドに関する結果として複数の前記ずれを統合するステップと、
を含む、
請求項2から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
個々の印刷インクの相互の位置ずれの形態の、見当ずれおよびレジスタずれを求めて補正するために、複数の色分解版に対して計算された座標変換を使用する、
請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記見当ずれの計算を、前記テスト印刷パターン(19,20)において分布された複数の異なる箇所において実施し、これによって前記見当ずれの平均値を求める、
請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータによるインクジェット印刷機における画像センサの自動化された較正のため、かつ印刷ヘッドの自動化された調整のための方法に関する。
【0002】
本発明は、デジタル印刷の技術分野にある。
【背景技術】
【0003】
デジタル印刷、より正確にはインクジェット印刷の分野において、インクジェット印刷機の印刷ヘッドの正確な位置合わせは、印刷機の動作だけでなく、要求される印刷品質を保証するために絶対的に必要である。インクジェット印刷ヘッドのロック時における位置合わせは、手動制御で実施することが可能であるが、今日では、好ましくは比較的小型の電気モータによって自動的に実施される。したがって、これを十分な精度で行うことができるようにするためには、このために必要な情報も同様に、コンピュータ支援による較正方法によって自動的に求めることが有利である。
【0004】
多くの印刷機では、生成された印刷品質を、自動化されたカメラ支援による画像検出システムによってチェックすることも一般的である。この画像検出システムは、殆どの場合には画像センサからなり、すなわち印刷機の最後の印刷ユニットまたは塗布ユニットの後に取り付けられた1つまたは複数のカメラからなる。この画像検出システムはさらに、画像処理コンピュータを有し、画像処理コンピュータは、存在しうる印刷エラー、見当およびレジスタの問題、ならびに達成された印刷色値に関して、検出された画像を検査する。インクジェット印刷機ではさらに、画像検出システムを使用して、いわゆる「ミッシングノズル(Missing Nozzles)」、すなわち故障した印刷ノズル、または誤って印刷を行う印刷ノズルが検出される。このような印刷ノズルは、印刷画像内にいわゆる「白い筋(ホワイトライン)」を生じさせる。すなわち、印刷画像内において、欠陥のある印刷ノズルによってインクが全く吐出されない箇所、または吐出されるインクが少なすぎる箇所、もしくはインクの吐出がずれて間違った場所で実施された箇所で、可視の帯状のアーチファクトが可視となる。これらのアーチファクトは、塗布すべき色が1つのみの場合にはこれらの箇所において白色となる可能性があり、あるいは複数の色が使用される場合には色の歪みによって目立つ可能性がある。
【0005】
これらの課題に対して、インクジェット印刷機において自動化されたカメラ支援による画像検出システムを使用するためには、印刷座標系(すなわち印刷ヘッドの印刷ノズル)と、生成されたカメラ画像と、の間の座標変換を計算して、印刷画像内において、種々の評価のために使用すべき領域を再検索する(例えばカメラ画像内においてノズルのテストパターンの見つけ出す)ことが必要である。そうすると、これによって、使用されるカメラのための画像センサの自動的な較正を実施することができる。その後、さらなるステップにおいて、印刷座標系と生成されたカメラ画像との間の座標変換の情報を用いて、さらに印刷ヘッドの目標通りの調整を実施することができる。
【0006】
基本的に、カメラ画像とワールド座標との間の座標変換の決定は、画像評価における確立された技術であり、「カメラ較正」として知られている(例えばOpenCVのような画像処理ライブラリでも利用可能である)。典型的には、市松模様のパターンまたは点のグリッドが使用される。
【0007】
(デジタル)印刷機におけるレジスタエラーを測定するために、パターンが使用され、このパターンを依然として「手作業」によって、または顕微鏡によって評価することができる(例えば、検査対象である2つの印刷ヘッド/バーによって印刷され、相互の間隔が測定される複数のラインのシーケンス、もしくは複数の点がそれぞれただ1つまたは少数の印刷ノズルによって印刷される特定の小さな点のパターン)。このようなパターンは、画像検出において高い精度および解像度を必要とし、したがって、印刷機内のインライン画像検出システムと共に使用するためには限定的にしか適しておらず、またはそれどころか、印刷機内に外部の測定顕微鏡または特殊な画像センサを必要とする。
【0008】
当分野からの比較的最近の米国特許出願公開第20150174934号明細書(US 20150174934 A1)は、2つの印刷ヘッドによる印刷の重ね合わせによって評価可能な強度推移をもたらす特別なパターンを記載している。
【0009】
米国特許第9090058号明細書(US 9090058 B2)には、印刷ヘッドを調整するため、かつこの調整をチェックするための同様の方法が記載されているが、デジタル印刷システムからの特定のアーチファクト(例えばミッシングノズル)、またはテスト印刷パターンの検出の精度には対処していない。
【0010】
近年、カメラ画像上の個々の発光体の位置を高精度に見つけ出すために、超解像顕微鏡法(PALM/STORM)が開発されている。
【0011】
さらに、米国特許第8459773号明細書(US 8,459,773 B2)からは、印刷されたテスト印刷パターンをHDカメラによって検出し、その後、これらの値から印刷ヘッドの位置合わせのための補正値をコンピュータ支援によって計算する、印刷ヘッドを調整するための方法が公知である。
【0012】
しかしながら、先行技術から公知のこれら全ての方法の欠点は、これらの方法において今まで、とりわけデジタル印刷のために最適化されていないテスト印刷パターン、-例えば、少数またはただ1つの印刷ノズルのみによって印刷されるラインパターンであって、ひいては、故障したノズルまたは斜めに噴霧するノズルによって歪曲されやすいラインパターン-が使用されることである。さらに、これらの方法は、自動的な画像処理システムによる評価のためには設計されていない。したがって、従来技術において頻繁に使用されるラインパターンは、例えば円形ディスクのような他のテスト印刷パターンよりも発見および測定が格段に困難である。
【0013】
さらなる欠点は、使用されるテスト印刷パターンが、上述したカメラシステムのような典型的なインライン画像検出システムによる画像検出のために設計されているのではなく、外部の別個の測定顕微鏡による測定のために設計されていることにある。さらに、これらのテスト印刷パターンは、-データ量および処理時間を妥当な範囲内に維持する低解像度のカメラシステムを使用しているにもかかわらず-印刷プロセスの精度を達成するために設計されていないことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の課題は、従来技術から公知の方法よりも改善された、より効率的な、インクジェット印刷機における画像センサの自動化された較正、および印刷ヘッドの自動化された調整を可能にする方法を発見することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題は、コンピュータによるインクジェット印刷機における画像センサの自動化された較正のため、かつ印刷ヘッドの自動化された調整のための方法であって、テスト印刷パターンを印刷するステップと、デジタル画像を生成するための少なくとも1つの画像センサによって、印刷された前記テスト印刷パターンを検出するステップと、前記コンピュータによって、前記テスト印刷パターン上の座標と、前記少なくとも1つの画像センサおよび前記印刷ヘッドの座標と、の間の座標変換を求めるステップであって、前記テスト印刷パターン上の前記座標を求めるために、前記デジタル画像のコンピュータ支援による評価方法を実施するステップと、前記コンピュータによって、前記印刷ヘッドの調整のため、かつカメラ較正のために、前記座標変換の結果から、および/または前記座標変換の結果と前記テスト印刷パターンの求められた測定値との比較から、補正値を導出するステップと、前記コンピュータによって、前記補正値を用いて、前記印刷ヘッドの調整および前記カメラ較正を実施するステップと、を有する方法において、前記テスト印刷パターンは、複数の充填された円形のディスクからなり、前記複数の充填された円形のディスクは、最小直径を有し、前記最小直径は、エラーを有する印刷ノズルが発生した場合にも最適に機能するように選択されている、ことを特徴する方法によって解決される。公知の標準的な方法と比較して本発明では、評価方法をインクジェット印刷機の特別な条件に適合させることが実施される:
・限られた個数の白い筋/斜めのノズルが存在する場合であっても、個々の印刷ノズルを正確に配置するために十分な精度(0.5印刷ノズルより良好であるか、またはPrimeFireの場合には0.3カメラピクセルよりも良好)が依然として達成されるように、印刷パターン内の個々の円形ディスクを見つけ出すための特別なアルゴリズムを定式化する。
・人間による監視がなくても評価がロバストに進行するように、自動化されたチェック方法を作成する。
・データ内の異常値を、例えば位置が狂っている全ての印刷ノズルも、自動的に識別および除外する。
・座標変換の較正と同時に、個々の印刷ヘッドに関する特定の情報を導出する(2回の印刷は必要ない)。
・上記のアルゴリズムが成功するように、枚葉紙全体にわたって所要の精度が維持されるように、印刷パターンを作成する(円の寸法、複数の色に関する枚葉紙上での分布)。
・デジタル印刷機の特別な条件(それぞれのバーに独立して取り付けられた複数のプリントヘッドへの分配)が考慮されるように、かつ個々の印刷ヘッドのパラメータを求めることができるように、印刷パターンを作成する(1つの印刷ヘッドにつき複数の点、スティッチング領域には点が存在しない等)。
【0016】
本発明による方法は、従来技術に比べて複数の利点を提供する。すなわち、1つのステップで複数の異なるパラメータを計算するために1つのテスト印刷パターンだけしか必要なくなり、これによって刷り損じ枚葉紙および時間が節約される。座標変換は、いずれにせよ毎日求めなければならないので、本発明による方法は、このプロセスから多くの利益が得られる。さらに、特別なレジスタセンサが不要となり、これによってインクジェット印刷機に関して、印刷機の複雑さの点での節約または軽減が可能となる。さらに、本発明では、ただ1つのカメラシステムが多数の側面を評価する。したがって、システムは、複数の異なる評価間のシナジーを利用することができ、複数のソースからのデータを簡単に組み合わせて、結果を改善し、相互にチェックすることが可能となる。
【0017】
この場合、充填された円形ディスクの理想的な最小直径は、実質的にカメラ解像度に依存している。ディスクの寸法は、シミュレーションによって実験的に決定することができる。以下に説明するカメラシステムからの高品質の画像の場合には、60カメラピクセルの、または670dpiカメラ解像度の場合には直径2.2mmより大きい目標寸法で十分である。
【0018】
本発明の有利な、ひいては好ましい発展形態は、添付の従属請求項と、明細書および添付図面とから明らかになるであろう。
【0019】
本発明による方法の好ましい発展形態によれば、使用される全ての色分解版に対して、複数の充填された円形ディスクからなるテスト印刷パターンを印刷し、それぞれの印刷ヘッドは、前記充填された円形ディスクの形態の、少なくとも3つの較正点からなる少なくとも2つの完全な行を印刷し、ただし、前記少なくとも3つの較正点は、当該印刷ヘッドのスティッチング領域内には位置しておらず、前記少なくとも2つの完全なセットは、用紙搬送方向にできるだけ大きな領域が形成されるように被印刷物にわたって分布されている、印刷枚葉紙上に、それぞれの印刷ヘッドが複数のディスクを生成するように、複数の充填された円形ディスクからなる行が配置される。1つの印刷ヘッドにつき少なくとも3つのディスクが、スティッチング領域に印刷されないように分布されている。それぞれの印刷ヘッドは、隣り合って配置された複数の円形ディスクからなる少なくとも2つの完全なセットを印刷することが求められている。この場合にはディスクを、y方向にできるだけ大きな領域が形成されるように枚葉紙にわたって分布させるべきである。これにより、両方の座標方向(x:印刷バー方向、y:用紙搬送方向)において高解像度が保証される。このテスト印刷パターンは、使用される全ての色分解版に対して印刷され、相応に評価される。
【0020】
本発明による方法のさらなる好ましい発展形態によれば、複数の充填された円形ディスクからなるテスト印刷パターンを印刷し、それぞれの印刷ヘッドは、前記充填された円形ディスクの形態の、少なくとも2つの較正点からなる複数の行からなる少なくとも2つの完全なブロックを印刷し、ただし、前記少なくとも2つの較正点は、当該印刷ヘッドのスティッチング領域内には位置しておらず、それぞれのブロックは、それぞれの使用される色分解版に対して少なくとも2つの較正点からなる少なくとも1つの行を含み、前記少なくとも2つの較正点からなる前記行は、用紙搬送方向にできるだけ大きな領域が形成されるように被印刷物にわたって分布されている。本発明による方法のこの実施形態では、上述した印刷すべきテスト印刷パターンは、使用されるそれぞれの色分解版の較正点からなる行を含んでいる。したがって、全ての色分解版と、ひいては使用される全ての印刷ヘッドに関する本方法のために必要とされる全ての情報とを含む、ただ1つのテスト印刷パターンを印刷するだけでよくなるという利点がある。それぞれの色分解版または印刷ヘッドに対して、独自のテスト印刷サンプルを印刷および評価する必要はない。このためにこの実施形態では、印刷すべきテスト印刷パターンが、1つの色分解版につき1つのテスト印刷パターンを有する実施形態の場合よりもやや複雑になっており、また、1つの色分解版に対して含まれている較正点の数がより少なくなっている。
【0021】
本発明による方法のさらなる好ましい発展形態によれば、前記少なくとも1つの画像センサによって検出された、前記被印刷物上の印刷を施すべき領域を、使用されている前記画像センサの個数に対応する画像センサ領域に分割し、少なくとも1つの前記画像センサ領域のうちのそれぞれの中央において、前記較正点の上方に、充填された円形ディスクの形態の参照点を印刷し、前記参照点を、個々の画像センサ領域の内部での参照のために使用する。大きな行に対して若干の距離をおいて、印刷パターンの開始点のできるだけ近いところに、点探索のための参照(「基準点」)を可能にする追加的なオフセットされた点が、1つのカメラにつき1つ配置される。
【0022】
本発明による方法のさらなる好ましい発展形態によれば、印刷された前記ノズルテストパターンを少なくとも1つの画像センサによって検出するために、隣り合って配置された複数のラインスキャンカメラからなるカメラシステムを使用し、前記ラインスキャンカメラは、前記印刷されたノズルテストパターンを、印刷解像度の少なくとも40~60%の解像度で検出する。紙送り方向において、これらのカメラは、輪転式のインクジェット印刷機における予荷重が加えられた巻取紙の場合にも-画像が歪みなく記録されるように、印刷ラインクロックを用いて同期されている。カメラは、高速のデータ評価コンピュータに接続されており、このデータ評価コンピュータ上で本方法が実施される。その後、ネットワークインターフェースを介して機械制御部に結果が転送され、例えば壁面スクリーン上で操作者に対して表示が転送される。
【0023】
本発明による方法のさらなる好ましい発展形態によれば、前記テスト印刷パターン上の座標を求めるための前記コンピュータ支援による評価方法を、前記較正点の中心を検出することによって実施し、前記較正点の中心を検出することは、
・検出された前記ノズルテストパターンを、コントラストに富んだグレースケール画像に変換するステップと、
・デジタル全体画像から、画像領域を切り取るステップと、
・任意選択的に、エッジ検出を実施するステップと、
・任意選択的に、前記画像領域をバイナリ画像に変換し、前記バイナリ画像からラインアーチファクトをフィルタリングするステップと、
・任意選択的に、バイナリマスクを生成するために、前記円形ディスクの中心点を通る十字を中心として前記バイナリ画像を拡大するステップと、
・任意選択的に、拡張によって前記バイナリマスクを拡幅するステップと、
・任意選択的に、前記バイナリマスクを使用して、当初の画像から印刷点のモデルのパラメータを求めるステップと、
・とりわけ前記円形ディスクの中心および半径が予想された範囲内にあるか否かについて、結果をチェックするステップと
を含む。
【0024】
座標変換のための方法では、円形ディスクの中心点を1ピクセル以下の位置まで考慮に入れて正確に求める方法が必要である。このアルゴリズムは、円形ディスクがROI内に完全には位置していないが、50~60%を上回る部分のみが可視である場合であっても依然として機能する。しかしながら、その場合には精度が低下する可能性がある。ただし、結果の重み付けまたはスコアリングによってこれを考慮に入れることが可能である。いくつかの方法ステップは、任意選択である。しかしながら、これらの方法ステップを実施すると、方法の経過をより高速またはより正確にすることが可能となる。
【0025】
本発明による方法のさらなる好ましい発展形態によれば、前記コンピュータによる前記座標変換は、
・理論的に計算された既存の座標変換によって、前記ノズルテストパターンの現在評価されている領域内における前記参照点を探索するステップと、
・前記カメラの複数のカラーチャネルが存在する場合に、最もコントラストに富んだカラーチャネルを選択するステップと、
・前記参照点の中心座標によって初期の座標変換を精緻化するステップと、
・それぞれ前記較正点の周囲の画像領域を切り取り、上述した前記評価方法を実施することによって、既存の前記較正点の位置を求めるステップと、
・ずれを有する較正点およびエラーをフィルタリングするステップと、
・前記フィルタリング後に十分な較正点が残っている場合に、残りの較正点によって前記座標変換のモデルのパラメータを求めるステップと、
・前記較正点の、予想される理想位置からのずれを特定するステップと、
・個々の印刷ヘッドに関する結果として複数の前記ずれを統合するステップと
を含む。
【0026】
この方法によって、テスト印刷パターン上の座標と、少なくとも1つの画像センサおよび印刷ヘッドの座標と、の間の所要の座標変換が実施される。この座標変換によって、印刷ヘッドの調整およびカメラ較正のための補正値を、座標変換の結果からコンピュータによって導出し、これらの補正値を用いて印刷ヘッドの調整およびカメラ較正を実施することができる。
【0027】
本発明による方法のさらなる好ましい発展形態によれば、個々の印刷インクの位置ずれの形態の、見当ずれおよびレジスタずれを相互に求めて補正するために、複数の色分解版に対して計算された座標変換を使用する。画像検出システムと、本発明による方法とによって見当ずれおよびレジスタずれを求めることによって、画像検出システムのデータからセンサおよび/または別個の方法によってこれらのずれを別個に求めることを省略することが可能となる。
【0028】
本発明による方法のさらなる好ましい発展形態によれば、前記見当ずれの計算を、前記テスト印刷パターンにおいて分布された複数の異なる箇所において実施し、これによって前記見当ずれの平均値を求める。理想的には、画像検出システムによる見当ずれおよびレジスタずれの特定は、枚葉紙にわたって分布された複数の異なる箇所において実施され、平均エラーがフィードバックされる。
【0029】
本発明のこのような発展形態、ならびに構造的および機能的に有利な発展形態としての本発明を、以下、少なくとも1つの好ましい実施例に基づく添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。図面において、相互に対応する要素にはそれぞれ同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】画像検出システムの構造的な構成を示す図である。
図2】円形ディスクにおける半径方向の強度推移を示す図である。
図3】画像マスクにおける帯状のアーチファクトのフィルタリングを示す図である。
図4】1つの色分解版のための、使用されるテストパターン枚葉紙の一例を示す図である。
図5】全ての色分解版を有する、使用されるテストパターン枚葉紙の一例を示す図である。
図6】本発明による方法の概略的なシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明による方法は、インクジェット印刷機4内の、好ましくは枚葉式のインクジェット印刷機4内のカメラ評価ソフトウェアの一部として実装されており、また、さらなる好ましい実施形態では、同じ構造で、輪転式のインクジェット印刷機4内のカメラ評価ソフトウェアの一部としても実装されている。このために必要な画像検出システム1は、カメラシステム5を有し、カメラシステム5は、印刷後に高解像度で枚葉紙/ラベルを読み取るための、隣り合って配置された1つまたは複数のラインスキャンカメラからなる。概略的な構造が、図1に示されている。カメラ5の解像度は、印刷解像度の約40~60%である。紙送り方向において、これらのカメラ5は、画像が歪みなく記録されるように、印刷ラインクロックを用いて-または巻取紙から取り出されるクロック(エンコーダ、インペラなど)を用いて-同期されており、このことは、輪転式のインクジェット印刷機4における予荷重が加えられた巻取紙の場合にも当てはまる。カメラは、高速のデータ評価コンピュータ7に接続されており、このデータ評価コンピュータ7上で本方法が実施される。本方法を印刷機4の制御コンピュータ2上で実施することも可能であるが、データ処理コンピュータまたは画像処理コンピュータ7によって実施することが好ましい。その後、ネットワークインターフェースを介して機械制御部に結果が転送され、(例えば印刷機4の壁面スクリーン/ディスプレイ3において)操作者6に対して表示が転送される。
【0032】
以下では、まず始めに、本発明による方法のために必要なテスト印刷パターン20を説明する。このテスト印刷パターン20は、図5の特に好ましい実施形態では、複数の色分解版に対して図示されており、したがって、相応に使用されている全ての印刷ヘッドに関してデータを生成する。しかしながら、さらなる好ましい実施形態では、1つの色分解版のみに関するデータを含むテスト印刷パターン19を使用することも可能である。このようなテスト印刷パターン19は、図4に図示されている。この場合にはもちろん、それぞれの色分解版に対してテスト印刷パターン19を印刷および評価しなければならない。
【0033】
印刷枚葉紙上に、それぞれの印刷ヘッドが複数のディスクを生成するように、複数の充填された円形ディスク16,18からなる行が配置される。1つの印刷ヘッドにつき少なくとも3つのディスク16,18が、スティッチング領域に印刷されないように分布されている。それぞれの印刷ヘッドは、隣り合って配置された複数の円形ディスク16,18からなる少なくとも2つの完全なセットを印刷することが求められている。この場合にはディスク16,18を、y方向にできるだけ大きな領域が形成されるように枚葉紙にわたって分布させるべきである。これにより、両方の座標方向(x:印刷バー方向、y:用紙搬送方向)において高解像度が保証される。ディスク16,18は、白い筋(ホワイトライン)または斜めに噴霧するノズルが存在する場合であっても、本発明の方法にとって良好な結果をもたらすために十分な大きさでなければならない。ディスクの寸法は、シミュレーションによって実験的に決定することができる。上述のカメラシステム5からの高品質の画像の場合には、60カメラピクセルの、または670dpiカメラ解像度の場合には直径2.2mmより大きい目標寸法で十分である。大きな行に対して若干の距離をおいて、印刷パターンの開始点のできるだけ近いところに、点探索のための参照(「基準点」)を可能にする追加的なオフセットされた点15,17が、1つのカメラ5につき1つ配置される。要件は、既に説明したものと同じである。
【0034】
以下の方法では、円形ディスク16,18の中心点を1ピクセル以下の位置まで考慮に入れて正確に求めるサブ方法が必要である。このために使用される方法は、次のように経過する:
【0035】
検査対象の点に対する印刷インクが既知であるので、この情報を用いて画像を、例えば被印刷物に対して最もコントラストの高いチャネルR、GまたはBを選択することにより、理想的には、コントラストに富んだグレースケール画像に変換することができる。本来の点16,18よりも約2倍大きい領域(ROI)が、グレースケールに変換された全体画像から切り取られる。バイナリ画像10において点の縁部が1ピクセル幅の線として残るように、円形ディスク9を有するROIにおいてエッジ検出が実施される。ここで、二重線11,12として出現している円形ディスク16,18内の線アーチファクト9,10をフィルタリングするために、さらに別のフィルタが使用され、このフィルタは、まず始めにバイナリ画像において、ピクセルから形成され少なくとも9ピクセルの高さである垂直な線11,12を見つけ出し、その後、この垂直な線11,12をマスクによって除去し、この結果、エッジ検出後には、欠陥のない円形ディスク13が得られる。少なくとも9ピクセルという制限値は、本方法を他のカメラ解像度に適合可能にするために設計されている。バイナリ画像は、近似的に重心点として特定された、円形ディスクの中心点を通る十字を中心にして拡大される。その結果は、マスク13と呼ばれる。マスク13は、最終的に拡張によって3~5ピクセルまで拡幅される14。このことは、図3に相応に図示されている。正確に何ピクセル分だけ拡大されるかは、使用されるカメラシステムの結像性能またはステップ応答に依存している。ここで、マスキングされたROIデータに対して非線形最小二乗適合法が実施され、印刷点のモデルのパラメータが求められる。このモデルは、円形ディスクの中心点(x0,y0)から外側への半径方向の強度推移f(r)8によって定義される。このことは、図2において良好に見て取れる。半径方向の強度推移f(r)8は、実質的に、半径r0の場合における中心の色値(A0+A1)から背景値A0への急激な変化として定義されており、この急激な変化は、対物レンズの制限された結像性能を考慮するためにさらに幅wまで拡幅される。さらに、例えばx方向およびy方向における不均等な解像度を考慮するために、非対称係数aを考慮することができる。このことは、例えば比較的高速な印刷速度を補償するための、1つの方向における解像度の低下にも関連する。
【0036】
これらの全てのパラメータに対して、まず始めに有意な初期パラメータが選択される。このようなパラメータは、例えば、x,yに関する画像の重心点、rに関する印刷画像から予想される半径、wに関する機械経験値等である。その後、例えばレーベンバーグ・マーカート(Levenberg-Marquardt)法のような標準的な数値解析法によって適合が実施される。
【0037】
結果は、その有意性に関してチェックされる。例えば、半径または中心は、予想される範囲内に位置していなければならない。これが当てはまらない場合には、対応する点16,18が疑わしく破棄され、座標変換のためには使用されない。このアルゴリズムは、円形ディスク16,18がROI内に完全には位置していないが、50~60%を上回る部分のみが可視である場合であっても依然として機能する。しかしながら、その場合には精度が低下する可能性がある。ただし、結果の重み付けまたはスコアリングによってこれを考慮に入れることが可能である。
【0038】
特に印刷画像と検出されたカメラ画像との間の座標変換に関する、本来の本発明による方法は、図6に概略的に示されており、複数のステップに分かれている:
【0039】
1.理論的に決定された粗い初期の座標変換から開始して、大きな「基準点」15,17が探索される。さらに、この点の印刷インクが、この点におけるピクセルのRGB色値から分類される。予想される点の位置の周囲の大きなROIを切り取り、その後、x方向およびy方向に積算することによって、この点が見つけ出される。このようにして形成されたこれらの2つのベクトルにおいて、両方の縁部から開始して外側から内側に向かって、強度の急激な変化が探索され、この強度の急激な変化は、3ピクセルよりも幅広の領域をもたらす。この領域に対して、色のコントラストが求められる。このステップは、3つのカラーチャネル全てに対して繰り返され、これによって最もコントラストに富んだチャネルが選択される。さらに、これによって複数のピクセルに基づいてちょうど判明した予想される点中心において、印刷インク特性の記憶されたテーブルに対して、印刷インクを分類することができる。その後、この粗い位置特定に基づいて、結果を精緻化するために上述の方法が使用される。
【0040】
2.大きな点の中心座標を用いて、初期の座標変換が精緻化または参照される。
【0041】
3.ここで、精緻化された座標変換により、個々の点16,18の周囲のROIを切り取り、上述の方法を使用してこのROIの位置を求めることができる。今では、それぞれの点16,18に関して適合の結果が、すなわちカメラピクセルx,yにおけるそれぞれの点16,18の座標と、印刷ドットx,yにおけるそれぞれの点16,18の理想位置とが判明している。
【0042】
4.ここで、点のリストから、異常値点およびエラーがフィルタリングされる。このために、以下の基準のうちのいくつかが使用される:
a.点のRGB値と背景のRGB値との間には、最小および最大のコントラストが存在しなければならない
b.点の直径は、予想される範囲内でなければならない
c.点の非対称性は、予想される値を中心とした限定された範囲内になければならず、これは、歪みのない画像の場合には1に相当する
d.エッジ急峻性は、予想される範囲内でなければならない
e.中心の位置は、できるだけ点全体が依然として領域内に位置するように、外側に離れ過ぎてはならない
f.規則的なグリッドのそれぞれの行において、印刷モチーフに依存する最小数の点が見つけ出されていなければならない。そうでない場合には、行全体が取り除かれる
g.規則的なグリッドのそれぞれの列において、印刷モチーフに依存する最小数の点が見つけ出されていなければならない。そうでない場合には、行全体が取り除かれる
【0043】
5.その後、残りの点の値対(x,y,x,y)によって、非線形最小二乗アルゴリズム、例えばレーベンバーグ・マーカート(Levenberg-Marquardt)アルゴリズムを用いて、座標変換のモデルのパラメータが求められる。このモデルは、一方では、せん断項を用いた線形座標変換からなり、他方では、光学系の歪みに対する補正項、3次多項式、例えば別個のセンサのようなカメラ5の別のアーチファクト(例えば図6の「隙間」を参照)、および図6で見て取れるようなさらに別のパラメータからなる。
【0044】
6.最後に、チェックのための最後のステップからモデルを用いて点16,18x,yが印刷ドットに換算され、予想される理想位置からのこれらの点のずれが求められる。このずれは、エラーであるとみなされる。
【0045】
7.ここで、このようにして求められたずれを、顕著に位置が狂っている可能性のある印刷ヘッドを検出するために、印刷ヘッドごとにチェックすることができる。その後、これらのヘッドの点16,18は、点16,18がさほど多くない場合には、リストから削除されるか、またはより低い評価重みが割り当てられる。このために適した、回帰のための統計的方法は、例えばIRLS(iteratively reweighted leastsquares:反復再重み付け最小二乗法)である。方法は、ステップ5に戻る。場合によってこのループを、ユーザによって指定すべき最大繰り返し回数の範囲内で複数回繰り返すこともできる。このようにして検出された異常値印刷ヘッドは、印刷ヘッドをコントロールまたは再調整するために印刷機のユーザに通知される。再調整のために、補正された座標変換によって予想される位置からの実際の印刷ヘッド位置ずれを出力することによって、調節量を計算することができる。
【0046】
8.この時点までに、それぞれのカメラ5ごとに計算が実施された。したがって、次いで、これらの個別の結果が組み合わされて1つの全体結果が形成される。このために、隣り合う2つのカメラ5のオーバーラップ領域に50%超が位置しているような点が利用される。場合によって、位置x,yは、それぞれのカメラ5に対して別個に求められたせん断に予め補正される(例えば座標変換パラメータを参照)。このステップを可能にするために、印刷ヘッドのオーバーラップ領域が存在してはならない、カメラ5のオーバーラップ領域において、他の領域よりも多くの円形ディスク16,18を印刷することが意義深いであろう。
【0047】
9.その後、個々の印刷ヘッドに関する較正の結果が統合され、評価される。これによって、それぞれの印刷ヘッドに対して、x方向およびy方向における印刷の位置の、座標変換から予想された位置からの平均ずれ、例えば次または前の印刷ヘッドにおける点の位置からの平均ずれを計算することができる。これは、個々の印刷ヘッドのレジスタエラーに相当し、これらのレジスタエラーを、色の内部での設定または場合によっては再調整をコントロールするために使用することができる。
【0048】
10.レジスタエラー:さらなる好ましい実施形態では、複数の印刷インクに関する座標変換が存在する場合には、これらの座標変換をさらに、個々の印刷インクの相互の位置ずれを特定するために使用することもできる。このために、カメラピクセルにおける固定の座標が、個々の色の印刷ピクセル位置に順次に変換される。理想的に設定された機械では、1印刷ピクセル未満の小さなエラーを除いて、同じ座標が得られなければならない。これが当てはまらない場合には、参照色に対するずれをレジスタエラーとして出力することができる。理想的には、この特定は、枚葉紙にわたって分布された複数の異なる箇所において実施され、平均エラーがフィードバックされる。
【符号の説明】
【0049】
1 画像検出システム
2 インクジェット印刷機の制御コンピュータ
3 ディスプレイ
4 インクジェット印刷機
5 画像センサ/カメラシステム
6 ユーザ
7 画像処理コンピュータ
8 円形ディスクにおける半径方向の強度推移
9 帯状のアーチファクトを有する円形ディスク
10 エッジ検出後の、帯状のアーチファクトを有する円形ディスク
11 エッジ検出後の、二重線の形態の帯状のアーチファクト
12 反転された、エッジ検出後の、二重線の形態の帯状のアーチファクト
13 エッジ検出後およびアーチファクト除去後の、円形ディスクの輪郭(マスク)
14 円形ディスクの輪郭の拡幅後に生成されたマスク
15 色分解版のための参照のための基準点
16 色分解版の較正点/円形ディスク
17 別の色分解版のための参照のための基準点
18 別の色分解版の較正点/円形ディスク
19 1つの色分解版のためのテスト印刷パターン
20 複数の色分解版のためのテスト印刷パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6