(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】みそ汁ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
A23L 23/00 20160101AFI20221003BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20221003BHJP
C02F 1/20 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A23L23/00
F24H1/18 B
F24H1/18 C
C02F1/20 A
(21)【出願番号】P 2018182515
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】極東産機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山根将司
(72)【発明者】
【氏名】八幡陽介
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特許第3120046(JP,B2)
【文献】特開2017-221140(JP,A)
【文献】特開平8-275880(JP,A)
【文献】特開2006-314731(JP,A)
【文献】特開平8-156997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0042470(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、F24H、C02F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト状のみそと湯を混合させるための混合部と、水道水をヒーターにより加熱して貯留する第1湯タンクと、前記第1湯タンクに貯留した湯を前記混合部に供給する配管を有し、前記第1湯タンクに貯留した湯を前記混合部に供給して、ペースト状のみそと混合してみそ汁を作るみそ汁ディスペンサーであって、
水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第2湯タンクと、前記第2湯タンクに貯留した湯を前記第1湯タンクに移動する配管を設け、
前記第2湯タンクで水道水を所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去した湯を、前記第1湯タンクに移動して貯留し、前記第1湯タンクに貯留した湯を前記混合部に供給することを特徴とするみそ汁ディスペンサー。
【請求項2】
底部に穴を有する備蓄タンクを前記第1湯タンクの内部に設け、前記第2湯タンクの湯を前記備蓄タンクに一時貯留させ、一時貯留した湯を前記穴から垂れ落ちさせ、単位時間あたりに一定量の湯を前記第1湯タンクに移動させることを特徴とする前記請求項1のみそ汁ディスペンサー。
【請求項3】
みそ汁提供の準備段階で、前記第2湯タンクに水道水を給水し、所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去した湯を、前記第2湯タンクから前記第1湯タンクへ移動して前記第1湯タンクに貯留し、
みそ汁提供の段階では、前記第1湯タンクに貯留した湯を前記混合部に供給してみそ汁を作りながら、前記第2湯タンクに、水道水を給水し、所定の時間沸騰を継続させて、次に使用するトリハロメタンを除去した湯を貯留し、
前記混合部に供給することにより減少する前記第1湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、前記第2湯タンクに貯留したトリハロメタンを除去した湯を前記第1湯タンクへ移動させ、
前記第1湯タンクへ移動させることにより減少する前記第2湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、前記第2湯タンクへ水道水を給水して、所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去し、次に使用するトリハロメタンを除去した湯を前記第2湯タンクに貯留することを特徴とする前記請求項1、または前記請求項2のみそ汁ディスペンサー。
【請求項4】
前記第1湯タンクに貯留された湯の水位と、前記第1湯タンクから混合部に供給される湯の単位時間当たりの流量を対応づけて予め測定して流量パラメータとして記憶しておき、前記第2湯タンクから前記第1湯タンクに移動した湯量と前記第1湯タンクから前記混合部に供給した湯量から、現時点の前記第1湯タンクに貯留された湯量を求めて水位に換算し、水位に対応する流量パラメータから、前記第1湯タンクの湯を混合部に供給する供給時間を定めることを特徴とする前記請求項2、または前記請求項3のみそ汁ディスペンサー。
【請求項5】
前記第2湯タンクを加熱する第2湯タンク加熱部を、前記第1湯タンクを加熱する制御部を収めた本体部とは別体に設け、前記第2湯タンク加熱部と前記制御部を信号線により接続し、前記本体部と前記第2湯タンク加熱部はそれぞれ別体の電源コードで商用電源に接続され、前記第2湯タンク加熱部は、前記制御部からの信号により、前記第2湯タンクの加熱の開始と停止を行なうことを特徴とする前記請求項1、または前記請求項2のみそ汁ディスペンサー。
【請求項6】
ペースト状のみそと湯を混合させるための混合部と、水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第1湯タンクと、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給する配管を有し、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給して、ペースト状のみそと混合してみそ汁を作るみそ汁ディスペンサーであって、
水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第2湯タンクと、前記第2湯タンクに貯留した湯を前記混合部に供給する配管を設け、前記第1湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させてトリハロメタンが除去された湯を貯留して、前記第1湯タンクの湯を前記混合部に供給してみそ汁を作る動作を実行しながら、
前記第2湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させて、トリハロメタンが除去された湯を貯留し、
前記混合部に供給することにより減少する前記第1湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、前記混合部に供給する湯を、前記第2湯タンクの湯に切り替えてみそ汁を作る動作を実行しながら、
前記第1湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させてトリハロメタンが除去された湯を貯留することことを特徴とするみそ汁ディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト状のみそと湯を希釈混合してみそ汁を作る方式のみそ汁ディスペンサーであり、詳しくは、水道水を所定の時間沸騰させてトリハロメタンを除去した湯を使用してみそ汁を作るみそ汁ディスペンサーであり、水道水を沸騰させている間でも中断することなく、みそ汁の提供ができるものである。
【背景技術】
【0002】
食堂などにおいて定食や丼物などとともにみそ汁を提供しようとする場合、予め作りおきしておくと時間とともに煮詰まり風味がなくなる。
そこで、みそ汁を必要に応じて必要な量を随時提供できるように、袋詰めされたペースト状のみその適量と湯タンクに貯留された湯の適量を混合部において希釈混合して、ペースト状のみそを湯に溶解させたみそ汁を、混合部から排出して器に注ぎ込む方式のみそ汁ディスペンサーが具体化されている。
【0003】
従来技術のみそ汁ディスペンサーを
図14に示す。
みそ汁ディスペンサー(501)は本体部(502)と混合部(503)とテーブル(504)からなり、本体部(502)には、第1湯タンク(505)と制御部(506)と注出スイッチ(図示せず)とみそパックフック(508)とみそ投入ポンプ(509)が設けられており、みそ汁を作る湯は、制御部(506)により、給水弁(図示せず)が開かれて水道水が第1湯タンク(505)に給水され、ヒーター(図示せず)により加熱され、湯温センサ(図示せず)により所定の温度に保たれて貯留される。
また、第1湯タンク(505)の底部から、湯配管(511)が混合部(503)に配設されており、湯弁(513)が開かれると、第1湯タンク(505)に貯留されている湯が混合部(503)に供給される。
【0004】
また、第1湯タンク(505)には、貯留した湯の量を検知するための上限フロート(図示せず)と下限フロート(図示せず)と中間フロート(図示せず)が設けられている。
【0005】
みそは、ペースト状のみそが入れられたみそパック(510)が、みそパックフック(508)にセットされ、制御部(506)により、みそ投入ポンプ(509)が起動されて
、みそ配管(512a)とみそ配管(512b)を通って混合部(503)に投入される。
【0006】
みそ汁を提供する場合には、厨房の担当者によって、器(507)がテーブル(504)に置かれて、注出スイッチ(図示せず)が押されると、制御部(506)により、湯弁(513)が開かれて、第1湯タンク(505)に貯留した湯が湯配管(511)から混合部(503)に供給され、混合部(503)の内部で水流となり、みそ投入ポンプ(509)が起動されてペースト状のみそが水流に投入され、混合部(503)において、ペースト状のみそと湯が希釈混合されてみそ汁となり、器(507)に注がれる。
【0007】
みそ汁の量と濃さは、湯弁(513)を開いている時間により湯の量を定め、みそ投入ポンプ(509)を起動している時間によりみその量を定め、両者の比率により濃さを定めている。
【0008】
みそ汁を作ることによって減少する湯は、みそ汁を一杯作る毎に水道水を湯タンク(505)に補充して所定の温度に加熱保温することにより、湯切れ状態になることなく連続してみそ汁を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【0010】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このようなみそ汁ディスペンサーに対して、水道水に含まれているトリハロメタンを除去した湯とペースト状のみそで、みそ汁を作りたいという要望があり、みそ汁ディスペンサーにおいては、水道水を10分間以上沸騰を継続させてトリハロメタンを気化して除去する方法を用いる。
この方法の場合、みそ汁の提供の準備段階で、湯タンクに水道水を給水して、湯タンクに設けられたヒーターにより加熱して、10分間以上沸騰を継続させてトリハロメタンを除去してから貯留しておき、この湯を混合部に供給してみそ汁を作るのであるが、
みそ汁を作る都度減少していく湯タンクの湯量を補うために、湯タンクに水道水を途中補充すると、トリハロメタンが除去されていない湯が混ざって貯留されてしまうので、湯タンクに貯留した湯を使いきってから、水道水を湯タンクに給水して10分間以上沸騰を継続させる必要があるので、この間、みそ汁の提供が中断してしまう。
このような背景のなか、トリハロメタンが除去されていない湯が混ざることなく、また、トリハロメタンを除去するために水道水を沸騰させている最中でも、中断することなく、トリハロメタンを除去した湯とペースト状のみそを混合でき、連続してみそ汁を提供できる、みそ汁ディスペンサーが要望されている。
【0012】
また、みそ汁ディスペンサーが設置される厨房は狭いので、小型で省スペースで設置できるみそ汁ディスペンサーが好まれているため、湯タンクを大きくすることは望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ペースト状のみそと湯を混合させるための混合部と、水道水をヒーターにより加熱して貯留する第1湯タンクと、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給する配管を有し、
第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給して、ペースト状のみそと混合してみそ汁を作るみそ汁ディスペンサーであって、
水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第2湯タンクと、第2湯タンクに貯留した湯を第1湯タンクに移動する配管を設け、第2湯タンクで水道水を所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去した湯を、第1湯タンクに移動して貯留し、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給することを特徴とする。
【0014】
底部に穴を有する備蓄タンクを第1湯タンクの内部に設け、第2湯タンクの湯を備蓄タンクに一時貯留させ、一時貯留した湯を穴から垂れ落ちさせ、単位時間あたりに一定量の湯を第1湯タンクに移動させることを特徴とする。
【0015】
みそ汁提供の準備段階で、第2湯タンクに水道水を給水し、所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去した湯を、第2湯タンクから第1湯タンクへ移動して第1湯タンクに貯留し、
みそ汁提供の段階では、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給してみそ汁を作りながら、第2湯タンクに、水道水を給水し、所定の時間沸騰を継続させて、次に使用するトリハロメタンを除去した湯を貯留し、混合部に供給することにより減少する第1湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、第2湯タンクに貯留したトリハロメタンを除去した湯を第1湯タンクへ移動させ、第1湯タンクへ移動させることにより減少する第2湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、第2湯タンクへ水道水を給水して、所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去し、次に使用するトリハロメタンを除去した湯を貯留することを特徴とする。
【0016】
第1湯タンクに貯留された湯の水位と、第1湯タンクから混合部に供給される湯の単位時間当たりの流量を対応づけて予め測定して流量パラメータとして記憶しておき、
第2湯タンクから第1湯タンクに移動した湯量と第1湯タンクから混合部に供給した湯量から、現時点の第1湯タンクに貯留された湯量を求めて水位に換算し、
水位に対応する流量パラメータから、第1湯タンクの湯を混合部に供給する供給時間を定めることを特徴とする。
【0017】
第2湯タンクを加熱する第2湯タンク加熱部を、第1湯タンクを加熱する制御部を収めた本体部とは別体に設け、第2湯タンク加熱部と制御部を信号線により接続し、
本体部と第2湯タンク加熱部はそれぞれ別体の電源コードで商用電源に接続され、
第2湯タンク加熱部は、制御部からの信号により、第2湯タンクの加熱の開始と停止を行なうことを特徴とする。
【0018】
ペースト状のみそと湯を混合させるための混合部と、水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第1湯タンクと、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給する配管を有し、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給して、ペースト状のみそと混合してみそ汁を作るみそ汁ディスペンサーであって、
水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第2湯タンクと、第2湯タンクに貯留した湯を混合部に供給する配管を設け、第1湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させてトリハロメタンが除去された湯を貯留して、第1湯タンクの湯を混合部に供給してみそ汁を作る動作を実行しながら、第2湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させて、トリハロメタンが除去された湯を貯留し、混合部に供給することにより減少する第1湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、混合部に供給する湯を、第2湯タンクの湯に切り替えてみそ汁を作る動作を実行しながら、第1湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させてトリハロメタンが除去された湯を貯留することことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
ペースト状のみそと湯を混合させるための混合部と、水道水をヒーターにより加熱して貯留する第1湯タンクと、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給する配管を有し、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給して、ペースト状のみそと混合してみそ汁を作るみそ汁ディスペンサーであって、
水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第2湯タンクと、第2湯タンクに貯留した湯を第1湯タンクに移動する配管を設け、第2湯タンクで水道水を所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去した湯を、第1湯タンクに移動して貯留し、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給することを特徴とするので、
混合部に接続されている第1湯タンクにはトリハロメタンが除去されていない湯は貯留されないので、トリハロメタンが除去されていない湯が混合部に供給されることがない。
また、第1湯タンクには水道水を給水する配管が接続されていないので、第1湯タンクにトリハロメタンが除去されていない水道水が貯留されることはない。
【0020】
底部に穴を有する備蓄タンクを第1湯タンクの内部に設け、第2湯タンクの湯を備蓄タンクに一時貯留させ、一時貯留した湯を穴から垂れ落ちさせ、単位時間あたりに一定量の湯を第1湯タンクに移動させることを特徴とするので、
第1湯タンンクに貯留されている湯に温度変化を与えることなく、所定の温度に保ちながら、第2湯タンンクの湯を第1湯タンンクに移動させることができる。
【0021】
みそ汁提供の準備段階で、第2湯タンクに水道水を給水し、所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去した湯を、第2湯タンクから第1湯タンクへ移動して第1湯タンクに貯留し、
みそ汁提供の段階では、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給してみそ汁を作りながら、第2湯タンクに、水道水を給水し、所定の時間沸騰を継続させて、次に使用するトリハロメタンを除去した湯を貯留し、混合部に供給することにより減少する第1湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、第2湯タンクに貯留したトリハロメタンを除去した湯を第1湯タンクへ移動させ、第1湯タンクへ移動させることにより減少する第2湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、第2湯タンクへ水道水を給水して、所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去し、次に使用するトリハロメタンを除去した湯を貯留することを特徴とするので、
トリハロメタンが除去されていない湯が混合部に供給されることがなく、また、トリハロメタンを除去するために水道水を所定の時間沸騰させている間でも、中断することなく、トリハロメタンを除去した湯を連続して使用してみそ汁を提供できる。
【0022】
第1湯タンクに貯留された湯の水位と、第1湯タンクから混合部に供給される湯の単位時間当たりの流量を対応づけて予め測定して流量パラメータとして記憶しておき、第2湯タンクから第1湯タンクに移動した湯量と第1湯タンクから混合部に供給した湯量から、現時点の第1湯タンクに貯留された湯量を求めて水位に換算し、水位に対応する流量パラメータから、第1湯タンクの湯を混合部に供給する供給時間を定めることを特徴とするので、
第1湯タンクに貯留した湯量が増減する場合でも、所定の湯量を混合部に供給することができる。
【0023】
第2湯タンクを加熱する第2湯タンク加熱部を、第1湯タンクを加熱する制御部を収めた本体部とは別体に設け、第2湯タンク加熱部と制御部を信号線により接続し、本体部と第2湯タンク加熱部はそれぞれ別体の電源コードで商用電源に接続され、第2湯タンク加熱部は、制御部からの信号により、第2湯タンクの加熱の開始と停止を行なうことを特徴とするので、
第2湯タンンクを、本体部とは異なる所に設置でき、厨房の事情に応じたレイアウトで設置できる。また、異なるコンセントから電源を受給するので2つのヒーターを同時に通電させた場合の電圧降下が少ないので効率よく沸騰させることができる。
【0024】
ペースト状のみそと湯を混合させるための混合部と、水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第1湯タンクと、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給する配管を有し、第1湯タンクに貯留した湯を混合部に供給して、ペースト状のみそと混合してみそ汁を作るみそ汁ディスペンサーであって、
水道水を給水してヒーターにより加熱して貯留する第2湯タンクと、第2湯タンクに貯留した湯を混合部に供給する配管を設け、第1湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させてトリハロメタンが除去された湯を貯留して、第1湯タンクの湯を混合部に供給してみそ汁を作る動作を実行しながら、第2湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させて、トリハロメタンが除去された湯を貯留し、
混合部に供給することにより減少する第1湯タンクの湯が所定量以下になった場合には、混合部に供給する湯を、第2湯タンクの湯に切り替えてみそ汁を作る動作を実行しながら、第1湯タンクに水道水を給水して所定の時間沸騰させてトリハロメタンが除去された湯を貯留することことを特徴とするので、
トリハロメタンが除去されていない湯が混合部に供給されることがなく、
また、トリハロメタンを除去するために水道水を所定の時間沸騰を継続させている間でも、中断することなく、トリハロメタンを除去した湯を使用してみそ汁を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の外観図であり、正面図である。
【
図2】
図2は、本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の外観図であり、側面図である。
【
図3】
図3は、本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の内部構成を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の機能のブロック図である。
【
図5】
図5は、「メイン処理」のフローチャートである。
【
図6】
図6は、「給水加熱処理」のフローチャートである。
【
図7】
図7は、「みそ汁提供処理」のフローチャートである。
【
図8】
図8は、「移動処理」のフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態の内部構成を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態の「メイン処理」のフローチャートである。
【
図12】
図12は、第2の実施形態の第1湯タンクの「給水加熱処理」のフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2の実施形態の第2湯タンクの「給水加熱処理」のフローチャートである。
【
図14】
図14は、従来技術のみそ汁ディスペンサーの外観図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1と
図2を用いて本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の外観を説明をする。
みそ汁ディスペンサー(1)は、本体部(2)と混合部(7)とテーブル(3)と第2湯タンク(5)を置くための第2湯タンク加熱部(37)からなり、本体部(2)の正面には表示操作部(31)と注出スイッチ(39)とみそパックフック(18)が設けられている。
【0027】
また、本発明のみそ汁ディスペンサー(1)は、第2湯タンク(5)と第2湯タンク加熱部(37)を、第1湯タンク(4)と第1湯タンク(4)を加熱するヒーター(25)と制御部(8)を収めた本体部(2)とは別体に設けており、
本体部(2)から電源コード(34a)が出て商用電源コンセントDに接続され、第2湯タンク加熱部(37)からは電源コード(34b)が出て商用電源コンセントEに接続されており、
第2湯タンク加熱部(37)は、信号線(40)と信号線(40a)と信号線(40b)により本体部(2)の内部の制御部(8)と接続されいる。
図1と
図2は、本体部(2)を流し台Cの上に設置し、第2湯タンク加熱部(37)を流し台Cの下に設置したレイアウト例である。
【0028】
続いて、
図3を用いて本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の内部構成を説明する(
図3では、本体部(2)の内部のセンサーやヒーター等を制御する為の信号線は省略している。)
本体部(2)の内部には第1湯タンク(4)と制御部(8)が設けられている。
第1湯タンク(4)には、貯留している湯Aの量を検出するための上限フロート(21)と下限フロート(22)と中間フロート(23)と、湯Aを加熱して所定の温度に保つためのヒーター(25)と湯温センサ(24)が設けられている。
また、第1湯タンク(4)の上部には備蓄タンク(6)が設けられている。備蓄タンク(6)の下部には湯補充用穴(17)が設けられており、備蓄タンク(6)に供給された湯Aは、湯補充用穴(17)から、単位時間当たりに一定の量が、第1湯タンク(4)に注がれ、第1湯タンク(4)に貯留される。
【0029】
また、第1湯タンク(4)から配管(38a)と湯開閉弁(13)と配管(38b)が
混合部(7)の湯供給口(7a)まで配設されており、
また、みそパック(19)から、みそ配管(16a)とみそ押し出しポンプ(9)とみそ配管(16b)が混合部(7)のみそ投入ノズル(11)まで配設されており、
混合部(7)に投入されたペースト状みそBは、混合部(7)において湯Aと希釈混合されて、みそ汁注出口(7b)から器(20)に注出される。
【0030】
第2湯タンク(5)には、貯留している湯Aの量を検出するための上限フロート(27)と下限フロート(28)が設けられており、第2湯タンク(5)から、配管(14a)と給水弁(12)と配管(14b)が水道管まで配設されているので、所定量の水道水を第2湯タンク(5)に給水して、第2湯タンク加熱部(37)に設けられたヒーター(30)により、所定の時間沸騰させてから第2湯タンク(5)に貯留することができる。
第2湯タンク加熱部(37)は、制御部(8)の信号により、ヒーター(30)に通電して第2湯タンク(5)の加熱を実行する。
【0031】
また、第1湯タンク(4)の内部の上方には備蓄タンク(6)が設けられており、第2湯タンク(5)から、配管(15a)と湯補充ポンプ(10)と配管(15b)が第1湯タンク(4)の備蓄タンク(6)まで配設されており、
湯補充ポンプ(10)を起動させることにより、第2湯タンク(5)に貯留されている湯Aを備蓄タンク(6)に移動させて一時的に貯留しながら、湯補充用穴(17)から湯Aを第1湯タンク(4)に垂れ落ちさせて移動して貯留する。
備蓄タンク(6)の備蓄フロート(26)が設けられている高さは、備蓄タンク(6)が満状態(これ以上貯留するとオーバーフロー口(29)から溢れる状態)の時に、備蓄フロート(26)の信号がONになる高さとしている。
【0032】
続いて、
図4の制御機能ブロック図を用いて本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の制御部(8)を説明する。
出力制御部(35)は、みそ押し出しポンプ(9)と湯補充ポンプ(10)と給水弁(12)と湯開閉弁(13)とヒーター(25)とヒーター(30)を駆動する回路である。
【0033】
入力制御部(36)は、
図4に示す全てのセンサ類を本体部(2)の内部の複数の制御線(図示せず)と信号線(40)を介して読み取る電子回路であり、
水面の上昇下降に連れて上下に移動するフロート型のスイッチである、上限フロート(21)と下限フロート(22)と中間フロート(23)と備蓄フロート(26)と上限フロート(26)と上限フロート(27)と下限フロート(28)の状態を読み取る。
また、湯温センサ(24)の状態を読み取って湯の温度を測定し、また、注出スイッチ(39)が押されたことを検知する。
【0034】
表示操作部(31)は、みそ汁ディスペンサー(1)の動作条件の設定を行うための複数のLEDやタクトスイッチと、厨房の担当者が本発明のみそ汁ディスペンサー(1)にみそ汁注出動作をさせるための注出スイッチ(39)などからなる制御回路である。
【0035】
演算部(33)は、主にワンチップマイコンからなり、予め定められたシーケンスを実行することにより、みそ汁ディスペンサー(1)を制御するものであり、出力制御部(35)や入力制御部(36)への指示や、表示操作部(31)などを制御する機能を有している。
また、演算部(33)は、外付けされた水晶振動子(図示せず)をシステムクロックとして作動し、また、水晶振動子(図示せず)のクロックを分周して時間間隔が異なるクロックを発生するタイマー機能を有するもので、タイマー機能により、出力制御部(35)が、みそ押し出しポンプ(9)と湯補充ポンプ(10)と給水弁(12)と湯開閉弁(13)を起動、および開閉する時間を定めている。
また、タイマー機能により、演算部(33)が、出力制御部(35)から第2湯タンク加熱部(37)に信号を出して、第2湯タンク(5)に給水された水道水を加熱して沸騰を所定の時間継続するための時間を定めている。
また、演算部(33)は、信号線(40)により、第2湯タンク加熱部(37)のヒーター(30)の加熱の開始と停止を行い、信号線(40a)と信号線(40b)により第2湯タンク(5)の上限フロート(27)と下限フロート(28)の信号を読み取り、貯留されている湯Aの量を検出する機能を有するものである。
【0036】
記憶部(32)は、演算部(33)が使用する制御変数や設定値などを記憶するためのRAMやROM等のメモリーICである。
【0037】
制御部(8)は、みそ汁ディスペンサー(1)の本体部(2)の制御と、本体部(2)とは別体の第2湯タンク加熱部(37)の制御を実行するものである。
【0038】
続いて、本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の演算部(33)が実行する処理をフローチャートを用いて説明する。
図5に示すフローチャートは「メイン処理」であり、
処理STP1では、第2湯タンク(5)に水道水を給水して、所定の時間加熱して沸騰を継続させてトリハロメタンを除去する処理であり、演算部(33)は、処理STP1では、
図6に示す処理「給水加熱処理」を実行し、第2湯タンク(5)にトリハロメタンを除去した湯Aを満状態にして、再び処理STP1に戻り、処理の実行を処理STP2へ進める。
【0039】
処理STP2は、トリハロメタンを除去した湯Aを第2湯タンク(5)から、第1湯タンク(4)に移動させる処理であり、演算部(33)は、
図8に示す処理「移動処理」を実行し、第1湯タンク(4)にトリハロメタンを除去した湯Aを満状態にして、再び処理STP2に戻り、処理の実行を処理STP3へ進める。
【0040】
処理STP3は、第1湯タンク(4)に貯留しているトリハロメタンを除去した湯Aを混合部(7)に供給して、ペースト状みそBと混合してみそ汁を提供する処理であり、
演算部(33)は、
図7に示す処理「みそ汁提供処理」を実行する。
また、処理STP3では、演算部(33)は、
図7に示す処理「みそ汁提供処理」と
図6に示す処理「給水加熱処理」を時分割で同時に実行する。
【0041】
演算部(33)は、みそ汁提供の準備段階では処理STP1と処理STP2を実行し、準備が完了して、みそ汁を提供する段階では処理STP3を繰り返し実行する。
【0042】
続いて、
図6に示す処理「給水加熱処理」を説明する、
処理PTP1と処理PTP2では、演算部(33)は、第2湯タンク(5)の下限フロート(28)の信号を読み、ON(下限)であれば、給水弁(12)を開いて水道水を第2湯タンク(5)に給水し、上限フロート(27)がON(上限)になれば、給水弁(12)を閉じる。
【0043】
処理PTP3と処理PTP4では、演算部(33)は、第2湯タンク加熱部(37)のヒーター(30)を、信号線(40)によりONさせて、第2湯タンク(5)に給水された水道水を加熱して沸騰させ、沸騰を所定の時間Tfの間継続させてトリハロメタンを除去する。本発明のみそ汁ディスペンサー(1)では、所定の時間Tfを15分と定めている。所定の時間Tf経過すれば、ヒーター(30)をOFFして、呼び出された処理に戻る。
【0044】
続いて、
図7に示す処理「みそ汁提供処理」を説明する。「みそ汁提供処理」は
図5に示した「メイン処理」の処理STP3から呼び出されて実行される処理である。
演算部(33)は、厨房の担当者により注出スイッチ(39)が押される毎に、処理RTP1と処理RTP2と処理RTP3を実行し、湯開閉弁(13)を開いて混合部(7)に湯Aの供給し、みそ押し出しポンプ(9)を起動させ、混合部(7)の内部に生じている水流にペースト状みそBを投入して混合希釈し、みそ汁として、みそ注出口(7b)から器(20)に注ぎ込む。湯Aの供給とペースト状のみそを投入しを所定の時間継続させた後、みそ押し出しポンプ(9)を停止させてから湯開閉弁(13)を閉じ、一杯のみそ汁ができる。処理STP3へ戻る。
【0045】
本発明のみそ汁ディスペンサー(1)の演算部(33)が、湯Aを混合部(7)に供給して、ペースト状のみそと希釈混合する動作のタイミングは、湯開閉弁(13)を開いて混合部(7)に湯Aの供給を開始してから、所定の時間遅延後に、みそ押し出しポンプ(9)を起動させてペースト状のみそを投入し、所定の時間だけペースト状のみその投入を行った後に、みそ押し出しポンプ(9)を停止させ、みそ押し出しポンプ(9)を停止させた後、所定の時間遅延後に湯開閉弁(13)を閉じる、というタイミングで実行する。
【0046】
続いて、
図8に示す処理「移動処理」を説明する。「移動処理」は
図5に示した「メイン処理」の処理STP2と処理STP3から呼び出されて実行される処理である。
処理QPT1では、みそ汁ディスペンサー(1)がみそ汁提供の準備中の時は、演算部(33)は「Y」の方向の処理QPT6と処理QPT7と処理QPT5を実行する。処理STP2から呼び出された場合は「Y」となる。
【0047】
処理QPT6では、湯補充ポンプ(10)を起動して第2湯タンク(5)に貯留されているトリハロメタンが除去された湯Aを汲み上げて第1湯タンク(4)の備蓄タンク(6)に供給し、備蓄タンク(6)の備蓄フロート(26)がON(満状態)になっても湯補充ポンプ(10)を停止しないで供給を続け、備蓄タンク(6)のオーバーフロー口(29)から溢れさせる。そして、第1湯タンク(4)の上限フロート(21)がON(満状態)になると停止させる。処理QPT6と処理QPT7の実行後は、第2湯タンク(5)に貯留されている湯Aは全て第1湯タンク(4)に移動している。
【0048】
みそ汁提供の準備が完了している場合は、演算部(33)は「N」の方向の処理QPT2を実行する。処理STP3から呼び出された場合は「N」となる。
処理QPT2では、「給水加熱処理」が記憶部(32)に記憶している加熱継続時間Tfを読みとり、Tfが所定の時間以上でなければ、「メイン処理」の処理STP3に戻る。
Tfが所定の時間以上であれば、みそ汁を作ることにより減少する、第1湯タンク(4)の湯Aの量を検知するために上限フロート(21)の信号を読み、OFF(満状態ではない)であれば、処理QPT3へ進む。
【0049】
処理QPT3と処理QPT4処理QPT5では、湯補充ポンプ(10)を起動して、第2湯タンク(5)に貯留されているトリハロメタンが除去された湯Aを汲み上げて備蓄タンク(6)に供給し、備蓄フロート(26)がON(満状態)になれば直ちに、湯補充ポンプ(10)を停止させる。
備蓄タンク(6)に供給された湯Aがオーバーフロー口(29)から溢れる前に備蓄フロート(26)がONするので、備蓄タンク(6)に供給された湯Aは、オーバーフロー口(29)から溢れることなく、一時的に貯留されながら備蓄タンク(6)の底部の湯補充用穴(17)から第1湯タンク(4)に、単位時間当たりに一定の割合で垂れ落ちて、第1湯タンク(4)に補充される。
【0050】
演算部(33)は、処理QPT5を実行した後、「メイン処理」の処理STP3に戻るが、処理STP3は、みそ汁提供動作中に繰り返し実行される処理であるので、「移動処理」はみそ汁提供動作中に繰り返し実行され、第2湯タンク(5)に貯留されているトリハロメタンが除去された湯Aは第1湯タンク(4)に移動され、みそ汁提供動作中は第1湯タンク(4)は、上限フロート(21)がON(満状態)に保たれる。
そして、第1湯タンク(4)に移動したことにより、第2湯タンク(5)の湯Aが徐々に減少するが、演算部(33)は、
図6に示す処理「給水加熱処理」を時分割で同時に実行しているので、第2湯タンク(5)の下限フロート(28)がON(下限量)になれば、演算部(33)は、「給水加熱処理」の処理RPT1でON(下限量)を検知し、第2湯タンク(5)に水道水を給水し、加熱して所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去して貯留する。
【0051】
以上に説明した制御処理により、本発明のみそ汁ディスペンサー(1)は、
みそ汁の提供の準備段階で、第2湯タンク(5)に水道水を給水し、所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンを除去し、トリハロメタンを除去した湯Aを第2湯タンク(5)に貯留し、第2湯タンク(5)の湯Aを第1湯タンク(4)へ移動させ、第1湯タンク(4)にトリハロメタンを除去した湯Aを貯留しておき、みそ汁の提供段階では、第1湯タンク(4)に貯留した湯Aを混合部(7)に供給してみそ汁を作る動作を実行しながら、第2湯タンク(5)には再び水道水を給水し、所定の時間沸騰を継続させて、次に使用するトリハロメタンを除去した湯Aを準備しておき、混合部(7)に供給してみそ汁を作ったことによって減少した第1湯タンク(4)の湯Aが上限量よりもやや減少した場合に、準備しておいたトリハロメタンを除去した湯Aを第2湯タンク(5)から第1湯タンク(4)へ移動させ、第1湯タンク(4)をほぼ満状態に保ちながらみそ汁を作り、第1湯タンク(4)へ移動させることにより減少した第2湯タンク(5)の湯Aが下限量に達した場合に、第2湯タンク(5)へ再び水道水を給水して、所定の時間沸騰を継続させてトリハロメタンが除去し、次に使用するトリハロメタンを除去した湯Aを準備することにより、
トリハロメタンを除去するために、水道水を所定の時間沸騰を継続させいる間でも、
中断することなく、連続してトリハロメタンを除去した湯Aを使用してみそ汁を作ることができる。
【0052】
続いて演算部(33)が、第2湯タンク(5)から第1湯タンク(4)へ湯Aを移動させながら、混合部(7)に供給される湯量を所定量に定める方法を説明する。
備蓄タンク(6)に供給された湯Aは、備蓄タンク(6)の底部の湯補充用穴(17)から第1湯タンク(4)に、単位時間当たりに一定の割合で垂れ落ちて、第1湯タンク(4)に補充される式は、第1湯タンク(4)に補充される量をYaddとし、
Yadd=Yb(単位時間当たりに垂れ落ちる量)×tb(備蓄フロートがONするまでの時間)で表される。
現在貯留されている湯Aの量Yrは、満水Yfullから注出スイッチ(39)が押される毎に、湯開閉弁(13)を開いて混合部(7)に供給される湯Aを供給量mと定めた、供給量の累積Σmと第1湯タンク(4)に補充される量Yaddの差とし、
Yr = Yfull-Σm+Yadd
この式により、第1湯タンク(4)に現在貯留されている湯Aの量Yrを演算で求める。
また、現在貯留されている湯Aの量Yrの水位Lrは、第1湯タンク(4)の幅Wと奥行きDとすると、第1湯タンク(4)の断面積W×Dで割って求める。
Lr=Yr÷W×D
【0053】
現在貯留されている湯Aの水位Lrでの時間当たりの混合部(7)から供給される流量は、予め測定した水位Lとその水位での時間当たりの流量のデータ
水位280mmの場合は流量43.7cc/s、水位269mmの場合は流量42.7cc/s、
水位259mmの場合は流量41.7cc/s、水位249mmの場合は流量41.0cc/s、
水位239mmの場合は流量40.0cc/s、水位229mmの場合は流量39.0cc/s、
水位219mmの場合は流量38.3cc/s・・・
と10mm間隔で最大水位50mmまである表より、現在貯留されている湯Aの水位Lrでの時間当たりの流量を求める。
湯開閉弁(13)を開いて混合部(7)に供給される湯Aの供給量mを現在貯留されている湯Aの水位Lrでの時間当たりの流量で割り
湯Aの量に基づき湯開閉弁(13)を開いている時間を定め、
器(20)に注ぎ込むみそ汁の量(湯Aの量)を定めている。
【0054】
以上の演算により、第1湯タンク(4)に貯留した湯量が増減する場合でも、所定の湯量を混合部に供給することができるので、ペースト状のみそと湯の希釈率が一定なみそ汁を一定量作ることができる。
【0055】
本発明のみそ汁ディスペンサー(1)は、混合部(7)と第1湯タンク(4)を有する本体部(2)とは別体に、第2湯タンク(5)を加熱するヒーター(30)を有する第2湯タンク加熱部(5)を設け、第2湯タンク加熱部(5)は本体部(2)とは別体の電源コードを有し、第2湯タンク加熱部(5)は本体部(2)の制御部(8)と信号線(40)で接続される構成であるので、
本体部(2)を厨房の流し台の上に設置して、第2湯タンク加熱部(37)は流し台の下の方に設置する、あるいは、第2湯タンク加熱部(37)を本体部(2)の横に設置するなど、厨房の事情に応じたレイアウトの設置ができるものである。
【0056】
また、本体部(2)と第2湯タンク加熱部(37)は、それぞれ別体の電源コード(34a)と電源コード(34b)を有しているので、それぞれ異なるコンセントに接続されるので、第2湯タンク加熱部(37)のヒーター(30)と第1湯タンク(4)のヒーター(30)が同時に加熱(ON)した場合でも、みそ汁ディスペンサー(1)に入力される電源電圧が低下することはないので効率よく加熱できるものである。
【0057】
また、第2湯タンク加熱部(37)のヒーター(30)は、電磁誘導により非接触で金属製のなべを加熱する方式の加熱器を用い、制御部(8)からの信号により加熱の開始と停止を行うようにしてもよい。
【0058】
続いて、
図9を用いて第2の実施形態のみそ汁ディスペンサー(101)の内部構成を説明する。本体部(102)の内部には第1湯タンク(104)と第2湯タンク(105)と制御部(108)が設けられている。
第1湯タンク(104)には、貯留している湯Aの量を検出するための上限フロート(115)と下限フロート(116)と中間フロート(117)と、湯Aを加熱して所定の温度に保つためのヒーター(120)と湯温センサ(119)が設けられている。
【0059】
また、第2湯タンク(105)には、貯留している湯Aの量を検出するための上限フロート(122)と下限フロート(123)と中間フロート(124)と、湯Aを加熱して所定の温度に保つためのヒーター(127)と湯温センサ(126)が設けられている。
【0060】
また、第1湯タンク(104)は、配管(133b)と湯開閉弁(129)と配管(133a)により、混合部(107)の湯供給口(107a)まで配設されており、
第2湯タンク(105)は、配管(133c)と湯開閉弁(130)と配管(133a)により、混合部(107)の湯供給口(107a)まで配設されており、
湯開閉弁(129)が開かれると第1湯タンク(104)に貯留されている湯Aが混合部(107)に供給され、湯開閉弁(130)が開かれると第2湯タンク(105)に貯留されている湯Aが混合部(107)に供給される。
【0061】
また、みそパック(114)から、みそ配管(140a)とみそ押し出しポンプ(109)とみそ配管(140b)が混合部(107)のみそ投入ノズル(111)まで配設されている。
【0062】
また、第1湯タンク(104)の上方から配管(134b)と給水弁(131)を経て配管(134a)まで配設されており、第2湯タンク(105)の上方から配管(134c)と給水弁(132)を経て配管(134a)まで配設されており、配管(134a)は水道管に接続されており、給水弁(131)が開かれると第1湯タンク(104)に水道水が供給され、給水弁(132)開かれると第2湯タンク(105)に水道水が供給される。
【0063】
続いて、図xの制御機能ブロック図を用いて本発明のみそ汁ディスペンサー(101)の制御部(108)を説明する。
出力制御部(139)は、みそ押し出しポンプ(109)と給水弁(131)と給水弁(132)と湯開閉弁(129)と湯開閉弁(130)とヒーター(120)とヒーター(127)を駆動する回路である。
【0064】
入力制御部(138)は、上限フロート(115)と下限フロート(116)と中間フロート(117)とと湯温センサ(119)と上限フロート(122)と下限フロート(123)と中間フロート(124)と湯温センサ(126)と注出スイッチ(141)の信号を読み込む回路である。
【0065】
表示操作部(135)は、みそ汁ディスペンサー(101)の動作条件の設定を行うための複数のLEDやタクトスイッチと、みそ汁注出動作をするための注出スイッチ(141)等からなる制御回路である。
【0066】
演算部(136)は、主にワンチップマイコンからなり、予め定められたシーケンスを実行することにより、みそ汁ディスペンサー(101)を制御するものであり、出力制御部(139)や入力制御部(138)への指示や、表示操作部(135)などを制御する機能を有している。
また、演算部(136)は、外付けされた水晶振動子(図示せず)をシステムクロックとして作動し、また、水晶振動子(図示せず)のクロックを分周して時間間隔が異なるクロックを発生するタイマー機能を有するものである。
【0067】
記憶部(137)は、演算部(136)が使用する制御変数や設定値などを記憶するためのRAMやROM等のメモリーICである。
【0068】
続いて、本発明のみそ汁ディスペンサー(101)の演算部(136)が実行する処理をフローチャートを用いて説明する。
図11に示すフローチャートは「メイン処理」であり、
処理FTP1は、まず、第1湯タンク(104)に水道水を給水して、所定の時間加熱して沸騰を継続させてトリハロメタンを除去する処理である。演算部(136)は、後述する処理「第1湯タンク加熱処理」を実行し、トリハロメタンを除去した湯Aを第1湯タンク(104)に満状態で貯留して処理FTP1に戻り、処理の実行を処理FTP2へ進める。
【0069】
処理FTP2は、みそ汁を提供する処理である。処理FTP2では、演算部(136)は、処理FTP2の実行と後述する処理「第2湯タンク加熱処理」の実行を時分割で同時に実行する。
演算部(136)は、厨房の担当者により注出スイッチ(141)が押されると、
湯開閉弁(129)を開いて第1湯タンク(104)に貯留している湯Aを混合部(107)に供給し、みそ押し出しポンプ(109)を起動させ、混合部(107)の内部に生じている水流にペースト状みそBを投入して混合希釈し、
みそ汁として、みそ注出口(107b)から器(110)に注ぎ込む。
湯Aの供給とペースト状のみその投入を所定の時間継続させた後、みそ押し出しポンプ(109)を停止させてから湯開閉弁(129)を閉じて一杯のみそ汁ができる。
みそ汁を作ることによって、第1湯タンク(104)に貯留している湯Aは徐々に減少する。
【0070】
処理FTP3では、演算部(136)は、第1湯タンク(104)の下限フロート(116)の信号を読み、ON(下限量)であれば、処理FTP4へ進み、 OFF(下限量ではない)であれば、処理FTP2へ戻り、第1湯タンク(104)に貯留している湯Aの使用を続ける。
【0071】
処理FTP4の実行開始時では、第2湯タンク(105)に貯留している湯Aを用いてみそ汁を提供する処理である。第2湯タンク(105)には、処理FTP2の実行と時分割で実行した処理「第2湯タンク加熱処理」により、トリハロメタンを除去した湯Aが満状態で貯留されている。
また、処理FTP4では、演算部(136)は、処理FTP4の実行と後述する処理「第1湯タンク加熱処理」の実行を時分割で同時に実行し、処理FTP2で使い尽くした第1湯タンク(104)に、再び水道水を給水してトリハロメタンを除去した湯Aを満状態で貯留しておく。
【0072】
処理FTP4の実行中に、厨房の担当者により注出スイッチ(141)が押されると、演算部(136)は、湯開閉弁(130)を開いて第2湯タンク(105)に貯留している湯Aを混合部(107)に供給し、みそ押し出しポンプ(109)を起動させ、混合部(107)の内部に生じている水流にペースト状みそBを投入して混合希釈し、みそ汁として、みそ注出口(107b)から器(110)に注ぎ込む。
湯Aの供給とペースト状のみその投入を所定の時間継続させた後、みそ押し出しポンプ(109)を停止させてから湯開閉弁(130)を閉じて一杯のみそ汁ができる。
みそ汁を作ることによって、第1湯タンク(105)に貯留している湯Aは徐々に減少する。
【0073】
処理FTP5では、演算部(136)は、第2湯タンク(105)の下限フロート(123)の信号を読み、ON(下限量)であれば、処理FTP2へ戻り、 OFF(下限量ではない)であれば、処理FTP4へ戻る。
【0074】
続いて、
図6に示す処理「給水加熱処理」を説明する、
処理KTP1では、演算部(136)は、給水弁(131)を開いて水道水を第1湯タンク(104)に給水し、上限フロート(115)がON(上限量)になれば、給水弁(131)を閉じる。
【0075】
処理KTP2と処理KTP3では、演算部(136)は、ヒーター(120)をON(通電)させ、水道水を加熱して、沸騰を所定の時間Tfの間継続させてトリハロメタンを除去する。本発明のみそ汁ディスペンサー(101)では、所定の時間Tfを15分と定めている。所定の時間Tf経過すれば、「メイン処理」の処理FTP1、または処理FTP4に戻る。
【0076】
続いて、
図Xに示す処理「第2湯タンク給水加熱処理」を説明する。
処理LTP1では、演算部(136)は、給水弁(132)を開いて水道水を第2湯タンク(105)に給水し、上限フロート(122)がON(上限量)になれば、給水弁(132)を閉じる。
【0077】
処理LTP2と処理LTP3では、演算部(136)は、ヒーター(127)をON(通電)させ、水道水を加熱して、沸騰を所定の時間Tfの間継続させてトリハロメタンを除去する。本発明のみそ汁ディスペンサー(101)では、所定の時間Tfを15分と定めている。所定の時間Tf経過すれば、「メイン処理」の処理FTP2に戻る。
【0078】
以上説明したように、第2の実施形態のみそ汁ディスペンサー(101)は、まず先に、第1湯タンク(104)に水道水を給水して所定の時間沸騰させてトリハロメタンが除去された湯Aを満状態で貯留し、第1湯タンク(104)の湯Aを混合部(107)に供給して(使用して)みそ汁を作る動作を実行しながら、第2湯タンク(105)に水道水を給水して所定の時間沸騰させて、トリハロメタンが除去して第2湯タンク(105)に満状態で貯留しておき、みそ汁を作ることにより、第1湯タンク(104)の湯Aが減少して下限量に達した場合には、混合部(107)に供給する湯Aを、第2湯タンク(105)の湯Aに切り替えてみそ汁を作る動作を実行しながら、第1湯タンク(104)に水道水を給水して所定の時間沸騰させて、トリハロメタンが除去して第1湯タンク(104)に満状態で貯留しておくことにより、
トリハロメタンを除去するために水道水を沸騰させている最中でも中断することなく、連続してみそ汁を提供できる、みそ汁ディスペンサー(101)である。
【符号の説明】
【0079】
1 みそ汁ディスペンサー
2 本体部
3 テーブル
4 第1湯タンク
5 第2湯タンク
6 備蓄タンク
7 混合部
7a 湯供給口
7b みそ汁注出口
8 制御部
9 みそ押し出しポンプ
10 湯補充ポンプ
11 みそ投入ノズル
12 給水弁
13 湯開閉弁
14a 配管
14b 配管
15a 配管
15b 配管
16a みそ配管
16b みそ配管
17 湯補充用穴
18 みそパックフック
19 みそパック
20 器
21 上限フロート
22 下限フロート
23 中間フロート
24 湯温センサ
25 ヒーター
26 備蓄フロート
27 上限フロート
28 下限フロート
29 オーバーフロー口
30 ヒーター
31 表示操作部
32 記憶部
33 演算部
34a 電源コード
34b 電源コード
35 出力制御部
36 入力制御部
37 第2湯タンク加熱部
38a 配管
38a 配管
39 注出スイッチ
40 信号線
40a 信号線
40b 信号線
101 みそ汁ディスペンサー
102 本体部
103 テーブル
104 第1湯タンク
105 第2湯タンク
107 混合部
107a 湯供給口
107b みそ汁注出口
108 制御部
109 みそ押し出しポンプ
110 器
111 みそ投入ノズル
113 みそパックフック
114 みそパック
115 上限フロート
116 下限フロート
117 中間フロート
119 湯温センサ
120 ヒーター
122 上限フロート
123 下限フロート
124 中間フロート
126 湯温センサ
127 ヒーター
129 湯開閉弁
130 湯開閉弁
131 給水弁
132 給水弁
133a 配管
133b 配管
133c 配管
134a 配管
134b 配管
134c 配管
135 表示操作部
136 演算部
137 記憶部
138 入力制御部
139 出力制御部
140a みそ配管
140b みそ配管
141 注出スイッチ
501 みそ汁ディスペンサー
502 本体部
503 混合部
504 テーブル
505 第1湯タンク
506 制御部
507 器
508 みそパックフック
509 みそ投入ポンプ
510 みそパック
511 湯配管
512a みそ配管
512b みそ配管
513 湯弁
A 湯
B ペースト状みそ
C 流し台
D 商用電源コンセント
E 商用電源コンセント