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特許7150574自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/28 20060101AFI20221003BHJP
   B62J 1/00 20060101ALI20221003BHJP
   B62J 1/16 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B62J1/28 Z
B62J1/00 D
B62J1/16 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018217874
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2020082932
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】有限会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-037374(JP,A)
【文献】特開2017-193258(JP,A)
【文献】特開2018-034736(JP,A)
【文献】登録実用新案第3196934(JP,U)
【文献】特開2016-196269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/28
B62J 1/16
B62J 1/00
B62J 17/08
B60N 2/60
B60N 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に使用する装着補助具であって、
左右一対の取付本体部を長さ調節可能な左右連結ベルトによって連結したものからなり、
前記取付本体部は板状の本体部と、この本体部の前端から後方に向かって延長する延長部と、この延長部の後端上方部と前記本体部とを連結する上連結ベルトと、前記延長部の後端下方部と前記本体部とを着脱自在に連結する下連結ベルトとから成り、
前記チャイルドシートのヘッドレストの前端部分外側に前記本体部を接合するように配置して、この本体部と前記延長部と前記上連結ベルトによって前記ヘッドレストの前端部分に装着して前記下連結ベルトの先端部分を前記本体部に連結し、前記左右連結ベルトの長さを最短にして前記ヘッドレストの背面側に張設して装着することができ、
前記本体部のそれぞれの外表面には係着部材を設けることにより、チャイルドシートカバーの内面の対応位置に設けられている係着部材と相互に係着することによりチャイルドシートカバーを当該装着補助具に取り付けて前記カバーをチャイルドシートに装着することができることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項2】
前記本体部の前方下端部と前記延長部の前方下端部とを相互に連結する前方下連結ベルトを更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項3】
前記左右連結ベルト、前記上連結ベルト、前記下連結ベルト、及び、前記前方下連結ベルトを伸縮自在の素材から形成したことを特徴とする請求項2に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項4】
前記延長部を伸縮自在の素材から形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項5】
前記下連結ベルトを案内するガイド環を前記本体部の後端下方部に設けて、このガイド環に前記下連結ベルトを挿通して案内できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項6】
前記下連結ベルトの先端部裏面に面ファスナーを設け、これと相互に係着できる面ファスナーを前記本体部の対応位置に設けて着脱自在とすることができ、前記下連結ベルトの先端をチャイルドシートのヘッドレストに設けられている孔部に挿通した後、前記ガイド環に挿通させて前記本体部の前記面ファスナーと係着させて装着することができることを特徴とする請求項5に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部に固定された前部チャイルドシート又は自転車の後部荷台部に固定された後部チャイルドシートのほぼ全体を被覆することができるチャイルドシートカバーを前記シートに装着する際に使用する装着補助具に関するものである。
この装着補助具は、前記チャイルドシートに装着固定をするチャイルドシートカバーの装着を補助するための物品である。
【背景技術】
【0002】
まず、本願発明においては、上記した通り、前部チャイルドシート又は後部チャイルドシート(以下単に「シート」という。)の略全体を被覆できるチャイルドシートカバー(以下単に「カバー」という。)を、前記シートに被覆する際に使用する装着補助具に関するものである。
上記シートとしては、現在良く知られているように、前部チャイルドシートにあっては、その座部が自転車のハンドル部中央の略U字形状に湾曲した部分に固定され、座部の前方には開閉自在で使用時に下方に開放される足乗せ部が設けられ、その背面部である背凭れ部には上下に摺動可能なヘッドレスト(ヘッドサポートともいう。)が設けられた形態を有するものである。
【0003】
他方、後部チャイルドシートにあっては、その座部は自転車の後部荷台部に固定され、足乗せ部は自転車の後輪の両側に座部から延長するように配設され、座部の背面部である背凭れ部にはやはり上下に摺動可能なヘッドレストが設けられた形態を有するものである。
勿論、このシートとしては、上記ヘッドレストが上下に摺動しない固定式のタイプのものも存在する。
【0004】
これらの前後のシートには、そのシートの略全体を被覆することができる各種形態のチャイルドシートカバーが市販されており、当該カバーをシートに装着するための装着補助具に関しても本願出願人は下記特許文献に示した通り先に提案を行っている。
【0005】
下記特許文献1に記載の発明は、自転車に固定されたチャイルドシートにカバーを装着する際に使用する装着補助プレートに関するものであり、当該カバーを装着する際に、カバーの高さ位置を適宜調整して保持できる装着補助プレートの提供を意図するものである。
【0006】
その構成は、その装着補助プレートの前面部を前記チャイルドシートの座席部、ヘッドレスト又はヘッドレスト支持部の背面に接合し、その背面部には面ファスナーからなる係着部材を設けたものである。
装着補助プレートにはこれをシートに装着するための装着手段を設け、これにより装着補助プレートをシートに装着し、この装着補助プレートの背面部の係着部材をカバーの背面部内側に設けた係着部材と相互に係着してカバーを適宜高さ位置に装着することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-196269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明においても、上記従来の装着補助プレートと同様に、これを装着したままの状態で、自転車の不使用時は勿論のこと、雨天、強風又は寒冷時、若しくは晴天時のどのような天候の際にも、幼児を乗せて使用することができるカバーに適用可能なものである。
【0009】
そして、本発明においては、カバーを装着するシートには各種のタイプが存在するため、つまり前部又は後部チャイルドシートにおいては、これに設けられたヘッドレスト(ヘッドサポート)が別体型(上下摺動可能型)のものもあれば、一体型(上下摺動不可)のものもあり、これら市販されているどのようなタイプのものにも取り付けられる装着補助具を提供することをその第一の課題としている。
【0010】
更に、本発明においては、チャイルドシートに幼児を腰掛けさせた際に、その幼児の頭頂部ができる限りカバーの天部に接触しないようにすること、仮に接触しても幼児の頭頂部にカバーの重みがあまり掛らないようにチャイルドシートカバーを適宜高さ位置で装着できるようにし、且つカバーの形状を安定化させることができるような装着補助具を提供することもその課題としている。
【0011】
このようにすることにより、シートに腰掛けた幼児の頭頂部の圧迫が減少し、カバー内での居住環境が非常に良くなるからである。
更に、本発明においては、幼児の座高も高低様々であり、これに対応できるようにすること、或いは、カバーのタイプも種々存在し、骨組み部材を配設したテント形式のものもあり、このようなテント形式のカバーであっても容易に装着できる装着補助具を提供することもその課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に使用する装着補助具であって、左右一対の取付本体部を長さ調節可能な左右連結ベルトによって連結したものからなり、前記取付本体部は板状の本体部と、この本体部の前端から後方に向かって延長する延長部と、この延長部の後端上方部と前記本体部とを連結する上連結ベルトと、前記延長部の後端下方部と前記本体部とを着脱自在に連結する下連結ベルトとから成り、前記チャイルドシートのヘッドレストの前端部分外側に前記本体部を接合するように配置して、この本体部と前記延長部と前記上連結ベルトによって前記ヘッドレストの前端部分に装着して前記下連結ベルトの先端部分を前記本体部に連結し、前記左右連結ベルトの長さを最短にして前記ヘッドレストの背面側に張設して装着することができ、前記本体部のそれぞれの外表面には係着部材を設けることにより、チャイルドシートカバーの内面の対応位置に設けられている係着部材と相互に係着することによりチャイルドシートカバーを当該装着補助具に取り付けて前記カバーをチャイルドシートに装着することができることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0013】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記本体部の前方下端部と前記延長部の前方下端部とを相互に連結する前方下連結ベルトを更に設けたことを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0014】
本発明の第3のものは、上記第2の発明において、前記左右連結ベルト、前記上連結ベルト、前記下連結ベルト、及び、前記前方下連結ベルトを伸縮自在の素材から形成したことを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0015】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3のそれぞれの発明において、前記延長部を伸縮自在の素材から形成したことを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0016】
本発明の第5のものは、上記何れかの発明において、前記下連結ベルトを案内するガイド環を前記本体部の後端下方部に設けて、このガイド環に前記下連結ベルトを挿通して案内できるようにしたことを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0017】
本発明の第6のものは、上記第5の発明において、前記下連結ベルトの先端部裏面に面ファスナーを設け、これと相互に係着できる面ファスナーを前記本体部の対応位置に設けて着脱自在とすることができ、前記下連結ベルトの先端をチャイルドシートのヘッドレストに設けられている孔部に挿通した後、前記ガイド環に挿通させて前記本体部の前記面ファスナーと係着させて装着することができることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1のものにおいては、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に使用する装着補助具であって、左右略対称の一対の取付本体部を長さ調節可能な左右連結ベルトによって連結したものからなり、前記取付本体部は板状の本体部と、この本体部の前端から後方に向かって延長する延長部と、この延長部の後端上方部と前記本体部とを連結する上連結ベルトと、前記延長部の後端下方部と前記本体部とを着脱自在に連結する下連結ベルトとから成り、前記チャイルドシートのヘッドレストの前端部分外側に前記本体部を接合するように配置して、この本体部と前記延長部と前記上連結ベルトによって前記ヘッドレストの前端部分に装着して前記下連結ベルトの先端部分を前記本体部に連結し、前記左右連結ベルトの長さを最短にして前記ヘッドレストの背面側に張設して装着することができ、前記本体部のそれぞれの外表面には係着部材を設けることにより、チャイルドシートカバーの内面の対応位置に設けられている係着部材と相互に係着することによりチャイルドシートカバーを当該装着補助具に取り付けてカバーをシートに装着することができることとなるのである。
【0019】
上記特許文献に記載の従来の装着補助プレートにあっては、ヘッドレストの背面に装着してカバーを取り付けていたが、本発明にあっては、ヘッドレストの両側面部の前端部分に取り付けることができ、この前端部分の外表面部に係着部材が位置し、カバー内面の対応位置に設けた係着部材と相互に係着できることとなる。
これにより、カバーの形態によっては、そのカバーの両側面部の内面に係着部材を設けたものも存在するために、このようなタイプのカバーの装着補助具として利用することができることとなるのである。
【0020】
本発明の第2のものにおいては、前記本体部の前方下端部と前記延長部の前方下端部とを相互に連結する前方下連結ベルトを更に設けたことを特徴とする。
これにより、前記両取付本体部がヘッドレストの前端部において、上方にずれてしまうことが防止される。
【0021】
本発明の第3のものにおいては、前記左右連結ベルト、前記上連結ベルト、前記下連結ベルト、及び、前記前方下連結ベルトを伸縮自在の素材から形成したことを特徴とする。
これにより、前記取付本体部は、前記上連結ベルト、下連結ベルト及び前方下連結ベルトが伸縮し、ヘッドレストの前端部分に取り付け易くなり、且つ、前記左右連結ベルトも伸縮自在のため、左右両取付本体部をテンションをもってヘッドレストの先端部分に装着することが可能となる。
【0022】
本発明の第4のものにおいては、前記延長部も伸縮自在の素材から形成したものであり、その効果は、上記第3のものと同様である。
【0023】
本発明の第5のものにおいては、前記下連結ベルトを案内するガイド環を前記本体部の後端下方部に設けて、このガイド環に前記下連結ベルトを挿通して案内できるようにしたものである。
これにより前記下連結ベルトの取り回しを自由にしつつ、このガイド環を挿通させることにより本体部の係着部材との相互の係着を適切に行うことができるようにした。
【0024】
本発明の第6のものにおいては、前記下連結ベルトと本体部との着脱自在手段を面ファスナーとしたことを限定し、更に下連結ベルトの取り回し方法を特定したものである。
即ち、前記下連結ベルトの先端部裏面に面ファスナーを設け、これと相互に係着できる面ファスナーを前記本体部の対応位置に設けて着脱自在とし、前記下連結ベルトの先端をチャイルドシートのヘッドレストに設けられている孔部に挿通した後、前記ガイド環に挿通させて前記本体部の前記面ファスナーと係着させて装着することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のチャイルドシートカバー用装着補助具に係る一実施形態の前面側の全体説明図である。
図2】上記実施形態の背面側の全体説明図である。
図3】ヘッドレストが上下に摺動可能なチャイルドシートに上記実施形態に係る装着補助具を取り付けた状態の前方から見た説明図である。
図4図3の取付状態を背面側から見た説明図である。
図5】ヘッドレストが上下に摺動しない固定タイプのチャイルドシートに上記実施形態に係る装着補助具を取り付けた状態の前方から見た説明図である。
図6図5の取付状態を背面側から見た説明図である。
図7】本発明に係る装着補助具の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下添付の図面と共に、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明のチャイルドシートカバー用装着補助具に係る一実施形態の前面側の全体説明図である。
図2は、上記実施形態の背面側の全体説明図である。
【0027】
本発明に係る自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具(以下単に「装着補助具」という。)は、左右略対称の取付本体部11、11と、これら両取付本体部11、11を連結する左右連結ベルト12とから成る。
【0028】
上記それぞれの取付本体部11は、略台形形状を横に倒した形状を有する板状の本体部13と、この本体部13の前端部13fから折り返して後方側(図1において中央方向)に延長する延長部14と、この延長部14の後端側上端部と上記本体部13の上縁部とを連結する上連結ベルト15と、上記延長部14の後端側下端部から延長する下連結ベルト16と、上記延長部14の前方側下端部と本体部13の下端縁部とを連結する前方下連結ベルト17とから成る。
この前方下連結ベルト17は設けずとも実施可能である。
【0029】
ここで、前端又は前方及び後端又は後方というのは、上記装着補助具10が自転車に固定されたチャイルドシートのヘッドレストに装着された際の前端又は前方(自転車の進行方向)を意味し、後端又は後方とはその反対側を意味する。
図1及び図2では、本体部13の図中両端部が前端又は前方となり、中央部側が後端又は後方となる。
【0030】
上記左右連結ベルト12は、左右の2本のベルト12hとベルト12mとから成り、その基端部12i及び基端部12nが上記本体部11に連結固定され、それらの先端部はバックル12bによって長さ調整可能に連結されている。
【0031】
以上の構成により、左右略対称の取付本体部11、11は、図示はしていないヘッドレストの前端部分に装着される。
より詳細には、取付本体部11の本体部13、延長部14、上連結ベルト15、及び、前方下連結ベルト17の間にヘッドレストの前端部分を挿入するようにして、その後、下連結ベルト16をヘッドレストの下端縁部に巻き付けるようにして、本体部13の背面に設けた係着部材18としての面ファスナーに係着することができる。
【0032】
つまり、下連結ベルト16の先端部分の背面側にも係着部材16fとしての面ファスナーが設けられているために、この下連結ベルト16は本体部13の背面側の係着部材に係着し、連結することができる。
【0033】
このように、下連結ベルト16の先端部を本体部13の背面に係着する際には、本体部13の背面に設けたガイド環20に挿通させて後に相互に係着させるようにする。これについては後の図を用いて再度詳説する。
【0034】
上記のように、左右の取付本体部11をヘッドレストの先端部分に装着した後、これら左右の取付本体部11を連結する左右連結ベルト12の一方のベルト12mの先端部をバックル12bに挿通させて引き絞り、左右の取付本体部11、11の間の距離を最短として左右の取付本体部11、11をしっかりとヘッドレストの両前端部分に取り付け装着することができるのである。
【0035】
最後に、上記本体部13の背面部には、チャイルドシートカバーを係着し、取り付けるための係着部材25を設けている。
この係着部材25としては、面ファスナーを使用している。
この係着部材25にチャイルドシートカバーの対応する裏面に設けた面ファスナーと相互に係着することができ、上記装着補助具を介して当該カバーをシートに取り付けることができるのである。この取付例については、後の図7において説明する。
【0036】
以下図3乃至図6を用いてチャイルドシートに装着される状態について説明する。
図3は、ヘッドレストが上下に摺動可能なチャイルドシートに上記実施形態に係る装着補助具を取り付けた状態の前方から見た説明図である。
図4は、図3の取付状態を背面側から見た説明図である。
【0037】
この図からよく解る通り、本発明に係る装着補助具は、本体部13をヘッドレストHの外側の前端部分Hfに接合するように配置して、この本体部13と延長部14と上連結ベルト15と前方下連結ベルト17の間に上記前端部分Hfを挿入するようにして装着する。
【0038】
その後に下連結ベルト16をヘッドレストHの前端部分Hfの下端縁部を巻回させて本体部13の後端部に設けた係着部材(面ファスナー)に係着させることができ、これによって左右の両取付本体部11、11がヘッドレストHの両側の前端部分Hfに取り付けられる。
【0039】
上記下連結ベルト16をヘッドレストHの前端部分Hfの下端縁部に巻回させる際には、上記下連結ベルト16をガイド環20に挿通させて行うことができる。
このガイド環20は、プラスチック製の略矩形形状の枠体からなり、このガイド環20に挿通させることにより、この下連結ベルト16の先端部分は本体部13の係着部材18と適切に係着させることができる。
【0040】
最後に左右連結ベルト12の長さを最短に引き絞り装着が完了する。
図3及び図4は、その装着が完了した状態を図示したものである。
図5は、ヘッドレストが上下に摺動しない固定タイプのチャイルドシートに上記実施形態に係る装着補助具を取り付けた状態の前方から見た説明図である。
図6は、図5の取付状態を背面側から見た説明図である。
【0041】
この装着状態では、上記図3及び図4に図示した装着状態とその下連結ベルト16の取り回し方法が異なっている。
即ち、これらの図に示したチャイルドシートSにおいては、ヘッドレストHが上下に摺動せずに固定されているために、ヘッドレストHの前端部分形状が上記図3及び図4に示したものと異なっており、その前端部分の下端側縁Hsが下方に向かって斜めに延長してシートの座部の両側と接続する形状を有している。
【0042】
そのために、装着補助具の下連結ベルト16を上記前端部分の下端側縁Hsを巻回するように又は取り回すように配設することができないのである。
ところで、この種のシートには、シートベルトSbが設けられており、これを取り付けるための複数の孔部Shが穿設されている。
【0043】
この孔部Shの一つを利用して、下連結ベルト16を挿通させて、本体部13の側に、つまり背面側に配設することが可能となるのである。
これらの図5及び図6にあっては、この下連結ベルト16を孔部Shに挿通させ、その後、背面側に位置する本体部13の係着部材(面ファスナー)18に下連結ベルト16の先端部裏面に設けた係着部材(面ファスナー)を係着させて連結することができるのである。
【0044】
ここにおいて、下連結ベルト16は、本体部13の背面側で後方下端部分に設けたガイド環20に挿通させて係着部材18に係着させるのである。
このガイド環20の存在により、下連結ベルト16の先端部裏面に設けた係着部材(面ファスナー)と上記係着部材18とが良好に相互に係着されることとなるのである。
【0045】
ここで、上記実施形態に係る装着補助具の形態をその両端部に設けた取付本体部11と左右連結ベルト12とから形成し、取付本体部11は、その本体部13と延長部14、及び、上連結ベルト15と下連結ベルト16、並びに、任意の構成である前方下連結ベルト17とから構成しているが、このような構成を採用したのは以下の理由によるものである。
【0046】
その第一の理由は、チャイルドシートのヘッドレストが上下に摺動するしないに拘わらず、その外形形状及びその厚みが千差万別であるからである。
当該チャイルドシートのヘッドレストの側面視形状は、図3及び図4にあるような先端が半楕円又は半円形で横長タイプのものや、図5及び図6にあるような先端部からその下方縁部が斜めに傾斜するタイプ等々、種々のものがある。
【0047】
上記のような斜めに下方縁部が傾斜するタイプのものもその傾斜角度には種々のものが存在する。
そして、ヘッドレストの先端部分の厚みも、その内側には安全性を考慮してクッション部材が接合されており、相当の厚みのあるものが存在する。その厚みは例えば3cm乃至6cm程度のものも有る。
【0048】
これら種々のタイプの全てのものに対応させるためには、本発明に係る装着補助具のように、本体部13とその前端から折り返して後方に延長する延長部14と、この延長部14の後端上方部と前記本体部13とを連結する上連結ベルト15と、前記延長部14の後端下方部と前記本体部13とを着脱自在に連結する下連結ベルト16とによってヘッドレストの先端部分を取り囲むように、巻回するように装着しなければならず、このような取付本体部11の構成は必須の構成と言わざるを得ないものである。
【0049】
本発明では、上記のように、各種タイプのチャイルドシートのヘッドレストに対応できるようにすることが第一の課題であり、更に、これに付加して上記した通り、諸々の実施形態に係る構成を付加したものなのである。
これにより、本発明においては、あらゆる形態のヘッドレストに取り付けることが出来ることとなった。
【0050】
図7は、本発明に係る装着補助具の使用例を示す説明図である。
この図においては、本発明に係る装着補助具を利用してチャイルドシートカバーをシートのヘッドレストHに取り付けた状態を示している。
【0051】
本発明に係る装着補助具の取付本体部の外表面に設けた係着部材(面ファスナー)は、図中符号25で示している。
尚、この図7ではチャイルドシート自体はそのヘッドレストHとヘッドレスト支持部G及び取手部Tを図示しているが、その他の座部や背凭れ部等は図示省略している。
【0052】
ここに図示したチャイルドシートカバー30は、上方に位置する上方被覆部31と下方に位置する下方被覆部41の2つの部材、つまり、ツーピースから構成されている。
上方被覆部31は、シートの上方部、側面上方部及び背面上方部を被覆できる。
下方被覆部41は、シートの前方部、両側面部及び背面下方部を被覆できる。
【0053】
上方被覆部31は、その下端周縁部の全体に挿通部32を形成し、その内部に可撓性及び弾力性を有する線条材34(図中、破線で示す。)を配設している。
この線条材34は、可撓性及び弾力性を有する金属製ワイヤーやFRP(ファイバー・リインフォースド・プラスチック/繊維強化プラスチック)を利用する。
【0054】
この上方被覆部31は、シートのヘッドレストHの両側面に設けた係着部材25に、上方被覆部31の両側内面(裏面)にそれぞれ設けた係着部材33を相互に係着して、帽子の様に、或いは、傘の様に装着することができる。即ち、この上方被覆部31は、その下端周縁部から外方に(図7では斜め後方に)膨出するような形状を有している。
【0055】
両係着部材25、33は、それぞれ相互に係着できる面ファスナーを使用しており、その係着位置を変えることにより、この上方被覆部31のヘッドレストHへの装着位置を変更することができる。
上記挿通部32の上端部分には、日除け用の庇35を設けている。
【0056】
下方被覆部41は、1枚のシート状のものからなり、その上端縁部で、上記上方被覆部31と係合離脱自在に連結することができる。
即ち、上方被覆部31の挿通部32の周縁部には、一方のスライドファスナーがその全周に渡り設けられ、下方被覆部41の上端縁部の全体には、他方のスライドファスナーが設けられており、上方被覆部31の後方下端中央部に上記一方のスライドファスナーの両端部が位置し、これら両端部にスライドファスナーの係合部とスライダーがそれぞれ設けられている。
【0057】
これら両端部の係合部に下方被覆部41の上端縁部に設けた他方のスライドファスナーの両端部を係合させ、それぞれのスライドファスナーをスライダーにより歯合して行くことにより上方被覆部31と下方被覆部41とが連結できるのである。
【0058】
また、下方被覆部41の前面部及び側面部を構成する上方部分41uは、PVC(ポリ塩化ビニル)等の透明素材から形成され、その下の下方部分41sは特に透明素材でなくともよく。適切な伸縮性を有する素材の生地を用いればよい。
この下端縁部に挿通部を形成して、その内部に伸縮性のある紐状部材を配設することができる。また、この下方部分41sの前面中央下端にベルト部材を設けて、自転車のサドルポストやその他のフレームに固定させることができる。
【0059】
以上のように、上記ヘッドレストHの前端部分の外表面に面ファスナーからなる係着部材25を設けているが、この係着部材25は、直接ヘッドレストHの前端部分の外表面に粘着剤を用いて接着することも可能であるが、上記本発明に係る装着補助具をヘッドレストHの前端部分に装着してその本体部13の係着部材25をヘッドレストHの前端部分の外表面に設けることが可能となるのである。
【0060】
粘着剤による接着の場合には夏季の熱等により不具合が出る可能性があり、本発明に係る装着補助具を利用することによりその弊害を防止でき、各種の形態のヘッドレストにも対応可能だからである。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその形態を種々変更して実施することができる。
本発明に係る装着補助具に係る取付本体部は、板状の本体部とこれに接続する延長部と各種の連結ベルトからなり、各種形態のヘッドレストに対応することができる。
【0062】
特に、上連結ベルト、下連結ベルト、及び、前方下連結ベルトをゴムバンド等の伸縮自在の素材を用いることにより、これらのベルト部分の長さを長短対応させることが可能となり、各種形態のヘッドレストと適合し、且つ、しっかりとヘッドレストの前端部分に装着させることが可能となる。
【0063】
勿論、左右連結ベルトに関してもゴムバンド等の伸縮自在の素材を用いることができる。
上記本体部は、板状のものであればよく、その形状は長方形、楕円形、円形等々自由に設計変更することができる。
この本体部は、板状で適宜の厚みを有するものであればよく、その背面部に面ファスナー等の係着部材が設けられていればよい。
【0064】
上記延長部を伸縮自在の素材から形成することも可能である。
前方下連結ベルトは、これを設けずに実施することができる。
上記ガイド環は、プラスチック製の矩形形状の枠体であればよく、金属製のものであってもよい。
【0065】
上記本体部の背面側に設けた係着部材の形状及びその設ける面積も自由に設計することができる。
本発明に係る装着補助具は、その本体部の背面側に係着部材を設けており、これに取り付けられるチャイルドシートカバーには、その対応する内面に係着部材が設けられたタイプのものであれば、本発明に係る装着補助具によってシートのヘッドレスト部にカバーを簡単に取り付けすることが可能となる。
【0066】
更に、上記本体部は、その内部にクッション材や可撓性を有する合成樹脂製板材、例えばベルポーレン等を内装し、外部を他の素材から成る生地やシート材で被覆したものであってもよいし、1枚の弾性又は可撓性を有する板状のものであってもよい。
【0067】
以上、本発明は簡易な構成を採用し、各種形態のヘッドレストの先端部分に容易に装着することのできるチャイルドシートカバーの装着補助具を提供することができた。
【符号の説明】
【0068】
11 取付本体部
12 左右連結ベルト
12b バックル
13 本体部
13f 前端部
14 延長部
15 上連結ベルト
16 下連結ベルト
16f 係着部材
17 前方下連結ベルト
18 係着部材
20 ガイド環
25 係着部材
H ヘッドレスト
Hf 前端部分(ヘッドレストの)
Hs 下端側縁(ヘッドレストの)
S チャイルドシート
Sh 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7