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特許7150576塗料充填ユニット及びそれを備えた塗料充填装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】塗料充填ユニット及びそれを備えた塗料充填装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/24 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
B05B7/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018220464
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020081971
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】593081224
【氏名又は名称】タクボエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小島 光
【審査官】青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-123433(JP,A)
【文献】特開2016-198708(JP,A)
【文献】特開2014-87760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18
B05B 7/00-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料受け入れ口(14a)と塗料受け入れ口(14a)から受け入れた塗料をワークに向けて噴射するための塗料噴射口(14b)を有した塗料供給路(14)と、進退動作によって前記塗料噴射口(14b)を開閉自在としたニードル(15)と、エアーによってニードル(15)を進退するためのニードル用エアー供給路(19)と、先端が前記塗料噴射口(14b)の周囲の任意の箇所で開口され、塗料噴射口(14b)の周囲にエアーを供給することで、塗料噴射口(14b)より吐出された塗料を霧化するとともにこの霧化した塗料を任意のパターンにして先端側へ噴射するための噴霧用エアー供給路(20、21)と、を具備したスプレーガン本体(12)と、
前記塗料受け入れ口(14a)に通じた塗料吐出部(26)を有したマニホールド(23)と、該マニホールド(23)に連結されたケーシング(24)と、該ケーシング(24)内に収容されるとともに、前記塗料吐出部(26)に連結された塗料吐出口(30)を有して、内部に塗料が充填される袋状の塗料用パウチ(25)と、を具備し、前記マニホールド(23)は、作動液供給手段から供給された作動液をケーシング(24)内に注入するための作動液供給口(31)と、ケーシング(24)内に注入された作動液を作動液供給手段に戻すための作動液排出口(32)と、エアー供給手段から供給されたエアーをスプレーガン本体(12)のニードル用エアー供給路(19)に供給するためのニードル用エアー供給口(33c)と、エアー供給手段から供給されたエアーをスプレーガン本体(12)の噴霧用エアー供給路(20、21)に供給するための噴霧用エアー供給口(33a、33b)と、を具備し、前記作動液供給口(31)を介して前記ケーシング(24)内に作動液を供給することで、塗料用パウチ(25)を圧迫して、塗料用パウチ(25)内の塗料を塗料吐出部(26)から吐出して前記塗料受け入れ口(14a)に供給可能とした塗料供給手段(13)と、を一体に有したスプレーガンにおける前記塗料パウチ(25)内に塗料を充填するための塗料充填ユニットであって、
スプレーガン(11)を支持する本体部(2)と、該本体部(2)に装着された作動用マニホールド(3)と、前記本体部(2)に装着された塗料充填用マニホールド(7)と、を有し、
前記作動用マニホールド(3)は、
基端側に作動液供給手段に連結され、他端側に前記作動液供給口(31)が連結される作動液供給ジョイント(301)と、
基端側に作動液供給手段に連結され、他端側に前記作動液排出口(32)が連結される作動液排出ジョイント(302)と、
基端側にエアー供給手段に連結され、他端側に前記ニードル用エアー供給口(33c)が連結されるニードル用エアー供給ジョイント(303)と、を具備し、
前記塗料充填用マニホールド(7)は、
基端側に塗料容器が連結され、他端側に前記塗料噴射口(14b)が連結される塗料充填ジョイント(701)と、を具備し、
前記作動液供給口(31)に作動液供給ジョイント(301)を連結し、前記作動液排出口(32)に作動液排出ジョイント(302)を連結し、ニードル用エアー供給口(33c)に前記ニードル用エアー供給ジョイント(303)を連結し、前記塗料噴射口(14b)に塗料充填ジョイント(701)を連結し、前記ケーシング(24)内に作動液を充填した状態で、前記ケーシング(24)内に供給された作動液を前記作動液供給手段側に戻すことでケーシング(24)内を負圧にし、それにより、塗料容器内の塗料を、スプレーガン本体(12)を介して前記塗料用パウチ(25)内に流入させて塗料の充填を行うことを特徴とする塗料充填ユニット。
【請求項2】
前記作動用マニホールド(3)は、本体部(2)に進退自在に装着され、本体部(2)にスプレーガン(11)を支持した状態で作動用マニホールド(3)を進退させることで、作動液供給ジョイント(301)と作動液供給口(31)の連結又は連結の解除、作動液排出ジョイント(302)と作動液排出口(32)の連結又は連結の解除、及びニードル用エアー供給ジョイント(303)とニードル用エアー供給口(33c)の連結又は連結の解除を可能としたことを特徴とする請求項1に記載の塗料充填ユニット。
【請求項3】
前記塗料充填用マニホールド(7)は、本体部(2)に進退自在に装着され、本体部(2)にスプレーガン(11)を支持した状態で塗料充填用マニホールド(7)を進退させることで、塗料充填ジョイント(701)と塗料噴射口(14b)の連結又は連結の解除を可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗料充填ユニット。
【請求項4】
前記塗料充填用マニホールド(7)は、着脱自在にして本体部(2)に装着されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の塗料充填ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の塗料充填ユニットを備えた塗料充填装置であって、
本体フレームと、
該本体フレームに上下方向に回動自在に連結された塗料充填ユニット(1)と、
前記本体フレームにおける前記塗料充填ユニット(1)が連結された箇所よりも上方側に上下方向に回動自在に連結された、塗料容器を装着可能な容器ケース(45)と、を具備したことを特徴とする塗料充填装置。
【請求項6】
前記塗料充填ユニット(1)をロータリーエアーシリンダーで回動自在にしたことを特徴とする請求項5に記載の塗料充填装置。
【請求項7】
前記容器ケース(45)を防爆仕様のサーボモーターで回動自在にしたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の塗料充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗料充填ユニット及びそれを備えた塗料充填装置に係り、より詳しくは、塗料供給手段を一体に備えたスプレーガンに塗料を充填するに際して、煩雑な作業を不要にすることで、塗料の充填を容易にしたことを可能にした塗料充填ユニット及びそれを備えた塗料充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗装装置においては、被塗装物(以下「ワーク」という。)に塗料を噴射するためのスプレーガンと、このスプレーガンに塗料を供給するための塗料供給手段とは別個独立したものとされており、塗料ホースを介して、塗料供給手段からスプレーガンに塗料を供給しながら、この供給された塗料をスプレーガンよりワークに向けて噴射している。
【0003】
しかしながら、このような方法を採用した場合には、塗料の色替えを行うたびごとに、スプレーガン、及び塗料ホースを洗浄しなければならず、煩わしさに耐えず、作業効率の低下を招いてしまっていた。また、塗料の色替えのたびごとにスプレーガン及び塗料ホースを洗浄する場合には、残塗料を押し出して捨てる必要があり、無駄が多いと同時に洗浄溶剤においても多く消費しており、コスト増加にもつながっていた。また、色替えの際にはスプレーガン、塗料ホースの他にポンプを洗浄する必要もあるが、特にポンプとしてダイヤフラムポンプを使用したときには、ダイヤフラムポンプは容量が大きいために、塗料の無駄が大きくなってしまっていた。
【0004】
そのために、本出願人は過去において、前述のような問題点を解決するために、塗料供給手段としてのシリンジの先端にスプレーガンを一体的に備えた発明(以下「シリンジガン」という。)を提案した。
【0005】
即ち、図20が前記シリンジガンを説明するための一部断面図であり、図においてシリンジガン71は、先端部に塗料吐出口72を備え、内部には、外周にシール部材としてのOリング82が周設されたピストン74が移動自在に挿装されたシリンジ部73と、このシリンジ部73の先端部にシリンジ部73と一体的に形成された、スプレーガンとしてのヘッド部75を具備しており、ヘッド部75は、前記塗料吐出口72の近傍に開口した霧化エアー供給路76とパターンエアー供給路77を備えている。
【0006】
そして、このシリンジガン71で塗装を行う場合には、ピストン74にピストンロッド78を連結し、ピストンロッド78には可動板79を連結し、可動板79にスクリューネジ80を螺合させ、スクリューネジ80をモーター81に連結し、この状態において、モーター81を正転あるいは逆転するとともに、霧化エアー供給路76及びパターンエアー供給路77にエアーを供給する。
【0007】
そうすると、可動板79がスクリューネジ80に沿って前進し、ピストンロッド78を介してピストン74が前進し、シリンジ部73内の塗料がヘッド部75に吐出されるとともに、この吐出された塗料が、霧化エアー供給路76から供給されるエアーにより霧化されるとともに、パターンエアー供給路77から供給されるエアーにより任意のパターンに成型されて、ワークに向けて噴射される。
【0008】
このように、前述のシリンジガンでは、塗料を供給するためのシリンジ部の先端部に、塗料を吐出するためのスプレーガンとしてのヘッド部を一体的に構成しており、塗料の色を変える場合にはシリンジガン全体を交換することとしているため、塗料の交換の際にスプレーガンを洗浄する必要が無く、従って、作業効率の向上を図ることが可能であるとともに、洗浄に際して必要とするシンナー等の洗浄溶剤も不要になり、経済性も向上させることが可能である。
【0009】
しかしながら、前述のシリンジガンでは、シリンジ内でピストンを前進させてシリンジ内の塗料をヘッドに吐出しているため、塗料漏れを防止するためにピストンの周囲にはシール材としてOリングが周設されてはいるが、ピストンが移動する際にOリングがシリンジ内壁に摺動するために、Oリングの摩耗も早く、ピストンとシリンジ内壁間を完全にシールすることが困難であった。
【0010】
また、前述したように、前述のシリンジガンでは、ピストン及びそれを前進させるための駆動系として、可動板79、スクリューネジ80、モーター81を必要とするが、これらの可動板79、スクリューネジ80、モーター81は構造的に重量が大きくなるために、シリンジガンを塗装用ロボットのアームに取り付ける際には、エンドエフェクタとして軽量化が必要になる。
【0011】
更にまた、ピストン径が大きくなると、シリンジ部73内をピストン74が移動する際の摩擦抵抗が大きくなるために、この場合には駆動系の強度を大きくする必要があるので、重量が大きくなってしまうという問題点が指摘できる。
【0012】
この点、従来から、塗料が充填された塗料バッグを容器に収容して構成され、容器内に作動液を供給し、この作動液によって塗料バッグに圧力を加えて、それによって塗料バッグ内の塗料をスプレーガン側に供給する塗料カートリッジが提案されており、この塗料カートリッジを用いることで、塗料漏れを完全に防止することができる。
【0013】
また、本出願人は過去において、内部に塗料を備えたシリンジ部の先端側に、スプレーガンとしてのヘッド部を一体的に備え、シリンジ部はシリンジ本体とこのシリンジ本体の内部に収容した塗料用パウチで構成し、シリンジ本体内に作動液を供給することで塗料用パウチを圧迫して、それによって塗料用パウチ内の塗料をシリンジ部からヘッド部に供給して、ヘッド部の塗料噴射口から吐出することとした発明(以下「パウチガン」という。)を提案した。
【0014】
そして、このパウチガンによれば、シリンジ内におけるピストンの前進動作によってシリンジ内の塗料を吐出する従来の方法と異なって、シリンジ内を完全にシールすることが可能であるとともに、ピストン及びそれを前進させるための駆動系が不要となるために、軽量化を達成することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特許第4398662号公報
【文献】特許第6158073号公報
【文献】特開2008-212857号公報
【文献】特開2007-319728号公報
【文献】特開2007-21452号公報
【文献】特開2006-347606号公報
【文献】特開2005-296750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、前述のパウチガンでは、塗料用パウチ内の塗料を使い終わった後には塗料用パウチ内に再度新しい塗料を充填可能としている。そして、その方法としては、シリンジ本体内に作動液を充填し、塗料タンク内に基端側が配置された塗料供給ホースの先端側をヘッド部の塗料噴射口に連結し、シリンジ本体内の作動液をシリンジ本体内から抜いていくことでシリンジ本体内を負圧にし、それにより、塗料タンク内の塗料を、ヘッド部を介して塗料用パウチ内に流入させることで行っていた。
【0017】
そのために、前述のパウチガンでは、塗料を充填するごとに、パウチガンに作動液を供給するための作動液供給用ホースや、シリンジ本体内の作動液をシリンジ本体から排出するための作動液排出用ホース、更に、塗料供給ホースと連結するとともに、充填が完了した後には連結の解除を行わなければならず、作業が煩雑になってしまう問題点が考えられる。
【0018】
そこで、本発明は、塗料供給手段を一体に備えたスプレーガンにおいて、塗料の充填時の作業を容易にすることで、充填作業を効率良く行うことを可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の塗料充填ユニットは、
塗料受け入れ口と塗料受け入れ口から受け入れた塗料をワークに向けて噴射するための塗料噴射口を有した塗料供給路と、進退動作によって塗料噴射口を開閉自在としたニードルと、エアーによってニードルを進退するためのニードル用エアー供給路と、先端が塗料噴射口の周囲の任意の箇所で開口され、塗料噴射口の周囲にエアーを供給することで、塗料噴射口より吐出された塗料を霧化するとともにこの霧化した塗料を任意のパターンにして先端側へ噴射するための噴霧用エアー供給路とを具備したスプレーガン本体と、
塗料受け入れ口に通じた塗料吐出部を有したマニホールドと、マニホールドに連結されたケーシングと、ケーシング内に収容されるとともに、塗料吐出部に連結された塗料吐出口を有して、内部に塗料が充填される袋状の塗料用パウチと、を具備し、マニホールドは、作動液供給手段から供給された作動液をケーシング内に注入するための作動液供給口と、ケーシング内に注入された作動液を作動液供給手段に戻すための作動液排出口と、エアー供給手段から供給されたエアーをスプレーガン本体のニードル用エアー供給路に供給するためのニードル用エアー供給口と、エアー供給手段から供給されたエアーをスプレーガン本体の噴霧用エアー供給路に供給するための噴霧用エアー供給口とを具備し、作動液供給口を介してケーシング内に作動液を供給することで、塗料用パウチを圧迫して、塗料用パウチ内の塗料を塗料吐出部から吐出して塗料受け入れ口に供給可能とした塗料供給手段と、を一体に有したスプレーガンにおける塗料パウチ内に塗料を充填するための塗料充填ユニットであって、
スプレーガンを支持する本体部と、本体部に装着された作動用マニホールドと、本体部に装着された塗料充填用マニホールドとを有し、
作動用マニホールドは、
基端側に作動液供給手段に連結され、他端側に前記作動液供給口が連結される作動液供給ジョイントと、
基端側に作動液供給手段に連結され、他端側に前記作動液排出口が連結される作動液排出ジョイントと、
基端側にエアー供給手段に連結され、他端側に前記ニードル用エアー供給口が連結されるニードル用エアー供給ジョイントと、を具備し、
前記塗料充填用マニホールドは、
基端側に塗料容器が連結され、他端側に塗料噴射口が連結される塗料充填ジョイントを具備し、
作動液供給口に作動液供給ジョイントを連結し、作動液排出口に作動液排出ジョイントを連結し、ニードル用エアー供給口にニードル用エアー供給ジョイントを連結し、塗料噴射口に塗料充填ジョイントを連結し、ケーシング内に作動液を充填した状態で、ケーシング内に供給された作動液を作動液供給手段側に戻すことでケーシング内を負圧にし、それにより、塗料容器内の塗料を、スプレーガン本体を介して塗料用パウチ内に流入させて塗料の充填を行うことを特徴としている。
【0020】
そして、この塗料充填ユニットを備えた本発明の塗料充填装置は、本体フレームと、この本体フレームに上下方向に回動自在に連結された塗料充填ユニットと、本体フレームにおける塗料充填ユニットが連結された箇所よりも上方側に上下方向に回動自在に連結された、塗料容器を装着可能な容器ケースと、を具備したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の塗料充填ユニットでは、スプレーガンを支持する本体部に、作動用マニホールドと塗料充填用マニホールドが装着されている。そして、作動用マニホールドは、基端側に作動液供給手段に連結され他端側にはスプレーガンの作動液供給口が連結される作動液供給ジョイントと、基端側に作動液供給手段に連結され他端側にはスプレーガンの作動液排出口が連結される作動液排出ジョイントと、基端側にエアー供給手段に連結され他端側にはスプレーガンのニードル用エアー供給口が連結されるニードル用エアー供給ジョイントとを具備している。また、塗料充填用マニホールドは、基端側に塗料容器が連結され他端側にはスプレーガンの塗料噴射口が連結される塗料充填ジョイントを具備している。
【0022】
そのために、パウチガンへの塗料を充填する際には、塗料充填ユニットにスプレーガンを装着するのみでよく、塗料を充填するごとに、パウチガンに作動液を供給するための作動液供給用ホースや、パウチガンに供給した作動液を排出するための作動液排出用ホースや、塗料供給ホースをパウチガンに連結し、及び充填後に連結を解除する必要が無く、塗料の充填作業が容易であり、塗料充填作業を効率良く行うことが可能である。そしてこのとき、本発明の塗料充填ユニットでは、塗料充填ジョイントをスプレーガンに連結するに際して、塗料充填ジョイントを塗料噴射口に連結することとし、スプレーガンの先端のキャップを外すことを不要としているため、更に、塗料充填作業を効率良く行うことが可能である。
【0023】
また、本発明の塗料充填装置では塗料充填ユニットが回動自在に装着される本体フレームの上方に、塗料容器を装着可能な容器ケースが回動自在に装着されているため、塗料容器と塗料充填ユニットを塗料供給ホースで連結することで塗料を自重により落下させることができるので、より効果的に塗料をスプレーガンに充填することが可能である。
【0024】
そしてこのとき、本発明の塗料充填装置では、塗料充填ユニットを回動自在に装着しているために、スプレーガンにおける塗料パウチ側を下側にすることで、塗料の充填を更に効率よく行うことが可能である。
【0025】
また、本発明の塗料充填装置では、容器ケースを回動自在としているために、この容器ケースを回動することで、容器ケース内の塗料を撹拌することができ、塗料に含まれるパールやメタリックが容器の底に沈殿してしまうことを有効に防止することが可能である。
【0026】
更に、本発明の塗料充填ユニットでは、スプレーガンを装着した状態で待機させているときに、ケーシング内に供給された作動液を作動液供給手段側に戻すことでケーシング内を負圧にして塗料容器内の塗料をスプレーガン本体を介して塗料用パウチ内に流入させて充填することと、塗料用パウチ内に塗料を充填している状態でケーシング内に作動液を供給することで塗料パウチ内の塗料を塗料容器内に戻すこととができるため、これを繰り返すことで、塗料パウチ内の塗料に含まれるパールやメタリックの沈殿を防止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の塗料充填ユニットの実施例の斜視図である。
図2】本発明の塗料充填ユニットの実施例の側面図である。
図3】本発明の塗料充填ユニットの実施例における作動用マニホールドを説明するための図である。
図4】本発明の塗料充填ユニットの実施例における作動用マニホールドを説明するための図である。
図5】本発明の塗料充填ユニットの実施例にスプレーガンを支持した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の塗料充填ユニットの実施例にスプレーガンを支持した状態を示す側面図である。
図7】本発明の塗料充填ユニットの実施例にスプレーガンを連結した状態を示す斜視図である。
図8】本発明の塗料充填ユニットの実施例にスプレーガンを連結した状態を示す側面図である。
図9】本発明の塗料充填装置の実施例の側面図である。
図10】本発明の塗料充填装置の実施例の平面図である。
図11】本発明の塗料充填装置の実施例の側面図であり、スプレーガンと塗料容器を装着した状態を示している。
図12】本発明の塗料充填装置の実施例の側面図であり、スプレーガンに塗料を充填している状態を示している。
図13】本発明の塗料充填装置の実施例の側面図であり、塗料容器を回動した状態を示している。
図14】本発明の塗料充填ユニットの実施例が充填対象とするスプレーガンを説明するための斜視図である。
図15】本発明の塗料充填ユニットの実施例が充填対象とするスプレーガンを説明するための斜視図である。
図16】本発明の塗料充填ユニットの実施例が充填対象とするスプレーガンの構造を説明するための図である。
図17】本発明の塗料充填ユニットの実施例が充填対象とするスプレーガンにおけるスプレーガン本体の構造を説明するための断面図である。
図18】本発明の塗料充填ユニットの実施例が充填対象とするスプレーガンを説明するための斜視図であり、ケーシングを外した状態を示している。
図19】本発明の塗料充填ユニットの実施例が充填対象とするスプレーガンを説明するための斜視図であり、ケーシングを外した状態を示している。
図20】従来のシリンジガンを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の塗料充填ユニットは、塗料供給手段を一体に備えたスプレーガンに塗料を充填するための塗料充填ユニットとしている。即ち、本発明が塗料の充填対象としているスプレーガンは、スプレーガン本体とこのスプレーガン本体に塗料を供給する塗料供給手段とを一体としたスプレーガンである。
【0029】
そして、スプレーガン本体は、塗料供給手段から供給された塗料を受け入れる塗料受け入れ口と、塗料受け入れ口から受け入れた塗料をワークに向けて噴射するための塗料噴射口を備えた塗料供給路を有している。
【0030】
また、スプレーガン本体は、進退動作によって、塗料噴射口を開閉自在としたニードルと、エアーによってニードルを進退させるためのニードル用エアー供給路を有している。
【0031】
更に、スプレーガン本体は噴霧エアー供給路を有しており、この噴霧エアー供給路は、先端が塗料噴射口の周囲の任意の箇所で開口され、塗料噴射口の周囲にエアーを供給することで、塗料噴射口より吐出された塗料を、霧化するとともにこの霧化した塗料を任意のパターンにして先端側へ噴射することとしている。
【0032】
一方、塗料供給手段は、マニホールドと、このマニホールドに連結されたケーシングを有しており、マニホールドは、スプレーガン本体の塗料受け入れ口に通じた塗料吐出部を備えている。また、ケーシング内には、塗料用パウチが収容されており、この塗料用パウチは、マニホールドの塗料吐出部に連結された塗料吐出口を有しており、内部に塗料が充填される袋状とされている、
【0033】
更に、マニホールドは、作動液供給手段から供給された作動液をケーシング内に注入するための作動液供給口と、ケーシング内に注入された作動液を作動液供給手段に戻すための作動液排出口と、エアー供給手段から供給されたニードル用エアーをスプレーガン本体のニードル用エアー供給路に供給するためのニードル用エアー供給口と、エアー供給手段から供給されたエアーをスプレーガン本体の噴霧エアー供給路に供給するための噴霧エアー供給口を具備しており、作動液供給口を介してケーシング内に作動液を供給することで、塗料用パウチを圧迫して、塗料用パウチ内の塗料を、塗料吐出部から吐出して塗料受け入れ口を介してスプレーガン本体に供給することとしている。
【0034】
そして、本発明の塗料充填ユニットは、前述のスプレーガンにおける塗料パウチ内に塗料を充填するための塗料充填ユニットとしている。即ち、本発明の塗料充填ユニットは、スプレーガンを支持する本体部と、この本体部に装着された作動用マニホールド及び塗料充填用マニホールドを有しており、作動用マニホールドは、基端側に作動液供給手段に連結されて他端側にスプレーガンの作動液供給口が連結される作動液供給ジョイントと、基端側に作動液供給手段に連結されて他端側にスプレーガンの作動液排出口が連結される作動液排出ジョイントと、基端側にエアー供給手段に連結されて他端側にニードル用エアー供給口が連結されるニードル用エアー供給ジョイントを具備している。
【0035】
また、塗料充填用マニホールドは、基端側に塗料容器が連結され他端側にはスプレーガンの塗料噴射口が連結される塗料充填ジョイントを具備している。
【0036】
そして、作動液供給用ジョイントをスプレーガンの作動液供給口に連結し、作動液排出用ジョイントをスプレーガンの作動液排出口に連結し、ニードル用エアー供給ジョイントをスプレーガンのニードル用エアー供給口に連結し、塗料充填ジョイントをスプレーガンの塗料噴射口に連結し、ケーシング内に作動液を充填した状態で、ケーシング内に供給された作動液を作動液供給手段側に戻すことでケーシング内を負圧にし、それにより、塗料容器内の塗料を、スプレーガン本体を介して塗料用パウチ内に流入させて塗料の充填を行うこととしている。
【0037】
ここで、作動用マニホールドを本体部に進退自在に装着し、本体部にスプレーガンを支持した状態で作動用マニホールドを進退させることで、スプレーガンの作動液供給口と作動液供給ジョイントの連結又は連結の解除、スプレーガンの作動液排出口と作動液排出ジョイントの連結又は連結の解除、及びスプレーガンのニードル用エアー供給口とニードル用エアージョイントの連結又は連結の解除を可能とするとよく、これにより、スプレーガンとの連結が容易となる。
【0038】
また、記塗料充填用マニホールドを本体部に進退自在に装着し、本体部にスプレーガンを支持した状態で塗料充填用マニホールドを進退させることで、スプレーガンの塗料噴射口と塗料充填ジョイントの連結又は連結の解除を可能にするとよく、これによっても、スプレーガンとの連結が容易となる。
【0039】
更に、塗料充填用マニホールドは、着脱自在にして本体部に装着するとよく、これにより、色替えの際には塗料充填用マニホールドを交換することで、洗浄が不要になる。
【0040】
一方、この塗料充填ユニットを備えた本発明の塗料充填装置は、本体フレームを有しており、この本体フレームには、上下方向に回動自在にして塗料充填ユニットが連結されている。また、本体フレームにおける塗料充填ユニットが連結された箇所よりも上方側には、上下方向に回動自在にして、塗料容器を装着可能な容器ケースが連結されている。
【0041】
ここで、塗料充填ユニットを回動する手段としてはロータリーエアーシリンダーを用いるとよく、また、容器ケースを回動する手段は、防爆仕様のサーボモーターを使用すると良い。
【実施例1】
【0042】
本発明の塗料充填ユニットの実施例について図を参照して説明すると、図1は本実施例の塗料充填ユニットの斜視図、図2は左側面図であり、図において1が本実施例の塗料充填ユニットである。
【0043】
そして、本実施例の塗料充填ユニットは本体部を有している。即ち、図において2が本体部であり、本実施例において前記本体部2は、間隔を置いて配置された一対の側壁201と、この側壁の下端部分を連結した底部202を有しており、一対の側壁201の外側の面にはそれぞれ、外側に向けて、連結軸203が、側壁201の面に直交する方向、即ち本体部2の側部方向に向けて連結されている。また、側壁201の内側にはそれぞれ、スプレーガンを支持するための支持板204が装着されており、この支持板204にはそれぞれ、対向する側に向けて係止突起205が、上下方向に向けて突設されている。
【0044】
次に、図において3は作動用マニホールである。即ち、前記本体部2には作動用マニホールドが装着されており、この作動用マニホールド3は、前記支持板204のそれぞれを前後方向に貫通した可動軸4の先端に連結されている。そして、前記可動軸4は支持板204に対して進退自在とされており、その基端側には可動板5が連結され、この可動板5はエアーシリンダー6に連結され、それにより、エアーシリンダー6を作動させることで、作動用マニホールド3を前後方向に進退自在としている。
【0045】
ここで、図3は前記作動用マニホールド3を裏面から示した図であり、更に図4は前記作動用マニホールド3を左側面から示した図である。そして、図において301は作動液供給ジョイント、302は作動液排出ジョイント、及び303はニードル用エアー供給ジョイントである。即ち、前記作動用マニホールド3は、スプレーガンに作動液を供給するための作動液供給ジョイント301と、スプレーガンに供給した作動液を排出するための作動液排出ジョイント302を有しており、更に、スプレーガンのニードルを進退させるためのニードル用エアーを供給し及び供給したエアーを抜くためのニードル用エアー供給ジョイント303を有している。
【0046】
そして、作動液供給ジョイント301は、作動液供給管304を介して作動液供給手段に連結され、作動液排出ジョイント302は、作動液排出管305を介して作動液供給手段に連結され、更に、ニードル用エアー供給ジョイント303は、ニードル用エアー供給管306を介してエアー供給手段に連結されている。
【0047】
なお、本発明においては、作動液供給管304や作動液排出管305に連結する作動液供給手段や、ニードル用エアー供給管306に連結するエアー供給手段は特に限定されない。従って、作動液供給手段は、水等の作動液を蓄えた作動液タンクと、この作動液タンク内の作動液を塗料充填ユニット側に供給するポンプを有していればよく、また、エアー供給手段はコンプレッサー等の圧縮エアーを供給可能であるとともに供給したエアーを抜く手段を有していればよく、更にこれらのポンプ、コンプレッサー等を制御する制御手段を有していればよい。
【0048】
そして、作動液供給手段におけるポンプとしては、シリンジポンプを用いるとよく、これにより、作動液をスプレーガンに定量供給することが可能となる。なお、シリンジポンプは周知技術であるので詳細な説明は省略するが、例えば、先端部が前記作動液供給管304に通じた筒状のシリンジと、シリンジ内に進退自在に挿設されたピストンと、このピストンにおけるシリンジの基端側に連結したピストンロッドを具備した構成として、シリンジ内に作動液を充填した状態でピストンを進めることで、シリンジ内の作動液を、作動用マニホールド3の作動液供給ジョイント301に供給すると良い。
【0049】
また、作動液排出ジョイント302は、作動液排出管305を介して作動液タンクに連結すると良く、これにより、スプレーガンから排出された作動液を作動液タンクに戻すことが可能となる。
【0050】
次に、図において7は、塗料充填用マニホールドである。即ち、前記本体部2における底部202の下方には塗料充填用マニホールド7が備えられており、この塗料充填用マニホールド7は、底部202の下方に装着したエアーシリンダー8に連結されており、エアーシリンダー8の作動により、前後方向へ進退自在としている。
【0051】
なお、図において701は、スプレーガンに塗料を注入するための塗料充填ジョイントであり、702は、一端が塗料容器に連結された塗料ホースの他端に連結されて、塗料容器から供給される塗料を、塗料充填用マニホールド7を介して塗料充填ジョイント701に供給するための塗料受入部である。
【0052】
そして、本実施例において前記塗料充填用マニホールド7は、本体部に着脱自在にして装着されている。そのために、色替えを行う際には、塗料充填用マニホールドを交換することで対応でき、洗浄が不要になり、色替え作業の効率を高めることが可能である。
【0053】
ここで、本実施例の塗料充填ユニット1によって塗料が充填されるスプレーガンについて説明すると、図14及び図15は本実施例におけるスプレーガン11を示す斜視図、図16は本実施例におけるスプレーガン11の構造を説明するための図であり、本実施例においてスプレーガン11は、スプレーガン本体とこのスプレーガン本体に塗料を供給する塗料供給手段を有している。即ち、図14、15において12がスプレーガン本体、13が塗料供給手段であり、塗料供給手段13の下部にスプレーガン本体12が連結されており、本実施例において、スプレーガン本体12と塗料供給手段13は、一体とされている。
【0054】
まず、前記スプレーガン本体12について説明すると、図17は前記スプレーガン本体12の構造を説明するための断面図であり、本実施例において前記スプレーガン本体12は、塗料供給路が内部に形成され、前記塗料供給手段13から供給された塗料を受け入れ、この受け入れた塗料を噴射可能としている。
【0055】
即ち、図において14が塗料供給路であり、この塗料供給路14は、前記塗料供給手段13から供給された塗料を受け入れる塗料受け入れ口14aと、この塗料受け入れ口14aから受け入れた塗料をワークに向けて噴射するための塗料噴射口14bを有しており、塗料受け入れ口14aはスプレーガン本体12の側壁側で開口とされ、塗料噴射口14bは、前記スプレーガン本体12の先端面で開口とされている。そして、塗料噴射口14bは、スプレーガン11に塗料を充填する際には、塗料充填ユニット1の塗料充填用マニホールド7に形成した塗料充填ジョイント701に連結されることとしている。また、スプレーガンの先端にはキャップが装着されているが、本実施例においては、このキャップを取り外すことなく、塗料充填ジョイント701を塗料噴射口に連結可能としている。
【0056】
次に、図17において15は、前記塗料噴射口14bを開閉するためのニードルであり、このニードル15は、前記スプレーガン本体12の前後方向に移動自在とされ、即ち進退自在であり、前進することで前記塗料噴射口14bを閉鎖し、後退することで前記塗料噴射口14bを開放することとしている。
【0057】
ここで、前記ニードルを進退する方法について説明すると、本実施例においてニードル15は、ニードル用エアー供給路19に供給されたエアーによって進退することとしている。即ち、本実施例において前記塗料供給路14は、前記塗料噴射口14bからスプレーガン本体12の後方側へ任意の距離だけ伸びた後に、スプレーガン本体12の側壁方向へ向けて進路を変えて進み、スプレーガン本体12の側壁において塗料受け入れ口14aが開口している。
【0058】
一方、前記ニードル15は、スプレーガン本体12内において、スプレーガン本体12の中心部分を貫通して配設され、先端側は前記塗料供給路14内に位置し、基端側は、スプレーガン本体12内において、前記塗料供給路14内から外れて塗料供給路14から突出し、突出した部分には、スプレーガン本体12内に先後方向へ移動自在としたピストン16が固定されている。そして、ピストン16は、バネ17によってスプレーガン本体12の先端方向へ付勢され、これにより通常は、前記ニードル15は、ピストン16とともにスプレーガン本体12の先端方向へ移動し、先端部分で塗料噴射口14bを閉鎖している。
【0059】
次に、前記スプレーガン本体12の内部には、ピストン16の反バネ側にエアー室18が形成されるとともに、基端側がスプレーガン本体12の側壁で開口とされて先端側が前記エアー室18に連結された、ニードル用エアー供給路19が形成されている。そしてこのニードル用エアー供給路19の基端側の開口には、前記塗料供給手段13に形成したニードル用のエアー搬送路(図示せず)が連結され、前記塗料供給手段13からエアーが供給されることで、ニードル稼動用エアー供給路19を介して前記エアー室18内にエアーが供給され、ピストン16がスプレーガン本体12内の基端側へ押圧され、それに伴って、ニードル15がスプレーガン本体12の基端側へ移動し、ニードル15の先端による塗料噴射口14bの閉鎖が解除される。
【0060】
従って、本実施例では、ニードル用エアー供給路19を介してエアー室18にエアーを供給し、あるいは供給しているエアーを抜くことにより、ニードル15を稼動して塗料噴射口14b開閉することが可能である。但し、本発明では、必ずしも前述のような構成でニードル15稼働する必要は無く、ニードル15をスプレーガン本体12の前後方向に移動することで塗料噴射口14bを開閉自在であれば、いずれの構成としてもよい。
【0061】
次に、図において20及び21は、前記塗料噴射口14bより吐出された塗料を霧化するとともにこの霧化した塗料を任意のパターンにして先端側へ噴射するための噴霧用エアー供給路であり、本実施例において噴霧用エアー供給路は、霧化エアー供給路20とパターンエアー供給路21で構成されている。
【0062】
まず、霧化エアー供給路20について説明すると、本実施例において前記スプレーガン本体12には、塗料噴射口14bから吐出された塗料を霧化してワークに向けて噴射するための霧化エアー供給路20が形成されている。そして、この霧化エアー供給路20は、先端部が前記塗料噴射口14bの周囲の任意の箇所で開口とされており、基端側は、前記塗料供給手段13に形成した霧化エアー搬送路(図示せず)に連通し、塗料供給手段13に形成した霧化エアー搬送路を介してエアーが供給されると、霧化エアー供給路20を介して塗料噴射口14bの周囲に霧化エアーが供給され、塗料噴射口14bより吐出された塗料を霧化することを可能としている。
【0063】
次に、パターンエアー供給路21について説明すると、本実施例においてスプレーガン本体12には、霧化エアーにより霧化された塗料の噴出パターンを任意のパターンに変更するためのパターンエアー供給路21が形成されている。そして、このパターンエアー供給路21は、先端部は、前記霧化エアー供給路20の先端部開口部よりも外側で開口2101とされており、基端側は、前記塗料供給手段13に形成したパターンエアー搬送路(図示せず)に連通し、塗料供給手段13に形成したパターンエアー搬送路を介してエアーが供給されると、パターン供給路21を介して、前記霧化エアー供給路20の先端部開口部の周囲にパターンエアーが供給され、霧化エアーにより霧化された塗料の噴出パターンを変更することを可能としている
【0064】
次に、スプレーガン本体12とともにスプレーガン11を構成する塗料供給手段13について説明すると、図14において本実施例の塗料供給手段13は、マニホールド23と、このマニホールド23に連結されたケーシング24を具備している。そして、ケーシング24は、内部を密閉状態としており、内部には塗料用パウチ25が収容されている。
【0065】
ここで、図16を参照して前記マニホールド23について説明すると、前記マニホールド23は、スプレーガン本体12の上部に連結されており、塗料吐出部26を有しているとともに、この塗料吐出部26は、図示しない塗料搬送路を介して、スプレーガン本体12の塗料受け入れ口14aに通じている。
【0066】
また、マニホールド23は、ケーシング24の内部に作動液を供給するための作動液供給部27と、ケーシング24の内部に供給した作動液を排出するための作動液排出部28(図19参照)を具備している。
【0067】
一方、前記塗料用パウチ25は、袋状としており、内部に塗料を充填可能であるとともに、前記塗料吐出部26に連結された塗料吐出口30を有している。そしてこれにより、塗料用パウチ25内の塗料を、塗料吐出部26及び図示しない塗料搬送路、及びスプレーガン本体12の塗料受け入れ口14aを介して、スプレーガン本体12に供給可能としている。
【0068】
ここで、前記塗料用パウチ25について説明すると、本実施例の塗料用パウチ25は、多層フィルムで構成され、内部に充填された塗料を吐出することで体積が小さくなり、小さくなった状態で内部に塗料を充填することで元の大きさに戻ることとしている。
【0069】
なお、ここで図18、19は前記ケーシング24を外した状態のスプレーガン11を示す斜視図であり、図において29は、ケーシング24内に供給した作動液をケーシング24から排出して塗料充填ユニット1側に戻すための作動液排出管であり、この作動液排出管29は、下端が作業液排出部28に連結され、上端はケーシング24内における上端部分で開口している。
【0070】
また、マニホールド23の側面側には、作動液供給口31、作動液排出口32が形成され、作動液供給口31は、前記作動液供給部27に通じており、作動液排出口32は、前記作動液排出部28に通じている。そして、塗料を充填する際には、作動液供給口31は塗料充填ユニット1における作動液供給ジョイント301に連結され、作動液排出口32は、塗料充填ユニット1における作動液排出ジョイント302に連結されることとしている。
【0071】
そしてこの構成により、塗料用パウチ25に塗料が充填されている状態で、作動液排出部28からの作動液の排出を不可能にして、作動液供給口31を介して作動液供給部27からケーシング24内に作動液を供給していくと、作動液によって塗料用パウチ25が圧迫される。そうすると、塗料用パウチ25は、作動液により圧迫されることで小さくなるとともに、それによって塗料用パウチ25内の塗料は、塗料吐出口30から塗料吐出部26に吐出され、更に、マニホールド内の塗料搬送路(図示せず)を介して、スプレーガン本体12の塗料受け入れ口14aより、スプレーガン本体12に供給される。
【0072】
一方、作動液排出部29からの作動液の排出を可能にした状態で、作動液供給部27からケーシング24内に作動液を供給していくと、ケーシング24内が作業液で充填された後に、ケーシング24内に供給されている作動液は、ケーシング24内の上端に開口している塗料排出管29、作動液排出部28及び作動液排出口32よりケーシング24の外部に排出される。そしてこれにより、ケーシング24を介して、作動液を戻すことができるとともに、作動液排出管の上端がケーシング24内における上端部分で開口しているため、作動液を戻す過程で、ケーシング24内のエアー抜き等を容易におこなうことが可能になる。
【0073】
更に、マニホールド23の側面には、霧化エアー供給口33a、パターンエアー供給口33b及びニードル用エアー供給口33cが形成されている。そして、これらの霧化エアー供給口33a、パターンエアー供給口33b及びニードル用エアー供給口33cは、塗料供給手段13に形成した霧化エアー搬送路、パターンエアー搬送路、ニードル稼働用のエアー搬送路(いずれも図示せず)に通じているとともに、前述したように、これらの霧化エアー搬送路、パターンエアー搬送路、ニードル稼働用のエアー搬送路はそれぞれ、スプレーガン本体12に形成した霧化エアー供給路20、及びパターンエアー供給路21、ニードル用エアー供給路19に通じている。
【0074】
そのため、霧化エアー供給口33a、パターンエアー供給口33b及びニードル用エアー供給口33cのそれぞれよりエアーを注入することで、スプレーガン本体12に形成した霧化エアー供給路20、及びパターンエアー供給路21、ニードル用エアー供給路19にエアーを供給することができ、それにより、ニードル15を稼働して塗料噴射口14bを開放するとともに、塗料供給路14に供給された塗料を、任意のパターンで霧化して塗料噴射口14bから噴射することが可能である。
【0075】
なお、図15、18及び19において34は、スプレーガン11を塗料充填ユニットに連結する際に使用する係止溝部である。即ち、本実施例では、塗料充填ユニット1の支持板204に形成した係止突起205が挿入される係止溝部34をマニホールド23に形成しており、この係止溝部34内に係止突起205を挿入することで、塗料充填ユニット1にスプレーガン11を支持可能としている。
【0076】
また、ニードル用エアー供給口33cは、スプレーガン11に塗料を充填する際には、塗料充填ユニット1の作動用マニホールド3に形成したニードル用エアー供給ジョイント303に連結されることとしている。
【0077】
次に、このように構成されるスプレーガン11に塗料を充填する方法について説明すると、本実施例の塗料充填ユニット1を用いて前述のスプレーガン11に塗料を充填する場合には、まず、作動液供給口31に作動液供給ジョイント39を連結し、作動液排出口32に作動液排出ジョイント40を連結し、ニードル用エアー供給口33cにニードル用エアー供給ジョイント41を連結し、更に、塗料噴射口14bに塗料充填ジョイント701を連結し、スプレーガン11を塗料充填ユニット1に連結する。
【0078】
そして、本実施例において、スプレーガン11を塗料充填ユニット1に連結する場合には、まず、塗料充填ユニット1の支持板204に形成した係止突起205がスプレーガン11の係止溝部34に挿入するようにして、塗料充填ユニット1にスプレーガン11を載置する。この載置した状態を示す図が図5及び図6であり、図5は正面から見た斜視図であり、図6は左側の側面を示しており、この載置により、スプレーガン11が塗料充填ユニットへ設置されることになる。
【0079】
そして、この状態においては、スプレーガン11のマニホールド23に形成した作動液供給口31と塗料充填ユニット1の作動用マニホールド3に具備した作動液供給ジョイント301、スプレーガン11のマニホールド23に形成した作動液排出口32と塗料充填ユニット1の作動用マニホールド3に具備した作動液排出ジョイント302、及び、スプレーガン11のマニホールド23に形成したニードル用エアー供給口33cと塗料充填ユニット1の作動用マニホールド3に具備したニードル用エアー供給ジョイント303はそれぞれ、対向する位置関係にあり、更に、スプレーガン11の塗料噴射口14bと塗料充填ユニット1の塗料充填用マニホールド7に具備した塗料充填ジョイント701もまた、対向する位置関係にある。
【0080】
次に、作動用マニホールド3を移動するためのエアーシリンダー6を作動させて作動用マニホールド3を後退させ、更に、塗料充填用マニホールド7を移動させるエアーシリンダー6を作動させて作動用マニホールド3を前進させる。そうすると、作動液供給ジョイント301が作動液供給口31と連結し、作動液排出ジョイント302が作動液排出口32と連結し、ニードル用エアー供給ジョイント303がニードル用エアー供給口33cと連結し、更に、塗料充填ジョイント701がスプレーガン11の塗料噴射口14bと連結し、これにより、塗料充填ユニット1とスプレーガン11との連結が完了し、スプレーガン11への塗料の充填が可能になる。この状態を示す図が図7及び図8であり、図7は正面から見た斜視図であり、図8は左側の側面を示している。
【0081】
なお、本実施例では、塗料充填用マニホールド7を移動させて塗料充填ジョイント701をスプレーガン11の塗料噴射口14bに連結する際は、スプレーガン先端のキャップを外すことなく、塗料噴射口14bに塗料充填ジョイント701を連結することを可能とし、これにより、スプレーガンのキャップを外さずに塗料の充填を行うことを可能にして作業効率の向上を達成している。
【0082】
次に、この状態において、前記ケーシング24内に作動液が充填されていない場合には、作動液排出部28からの作動液の排出を不可能にして、作動液供給ジョイント301から作動液供給口31に作動液を供給し、それにより、ケーシング24内に作動液を充填する。そしてこのとき、ケーシング24内にエアーが入ってしまった場合には、作動液排出部28からの作動液の排出を可能にした状態で、作動液供給部27からケーシング24内に作動液を供給していく。そうすると、ケーシング24内が作業液で充填された後に、ケーシング24内に供給されている作動液は、ケーシング24内の上端に開口している塗料排出管29、作動液排出部28及び作動液排出口32よりケーシング24の外部に排出され、ケーシング24を介して、作動液を戻すことができるとともに、作動液排出管の上端がケーシング24内における上端部分で開口しているため、作動液を戻す過程で、ケーシング24内のエアー抜き等を容易におこなうことが可能になる。
【0083】
次に、ケーシング24内に作動液が充填されている状態、あるいは、前記ケーシング24内に作動液が充填されていない場合において作動液供給ジョイント301から作動液供給口31に作動液を供給することでケーシング24内に作動液を充填した後は、ケーシング24内の作動液を作動液供給手段側に戻すことでケーシング24内を負圧にする。そうすると、塗料容器内の塗料は、ケーシング24内が負圧であるため、一端が塗料容器に連結された塗料ホースを介して、塗料充填ジョイント701からスプレーガン11の塗料噴射口14b側に吸引される。そしてそれにより、吸引された塗料は、スプレーガン本体の塗料供給路14、マニホールド内の塗料搬送路(図示せず)を逆流し、塗料吐出部26から塗料吐出口30に流入され、塗料用パウチ25内に充填されていく。
【0084】
なお、ケーシング24内の作動液を作動液供給手段側に戻すことでケーシング24内を負圧にする場合には、それとともに、ニードル用エアー供給ジョイント303よりニードル用エアー供給口33cにエアーを供給することで、スプレーガン本体12のニードル用エアー供給路19にエアーを供給し、ニードル15を後退させて塗料噴射口14bを開放しておく。
【0085】
また、ケーシング24内に供給された作動液を作動液供給手段側に戻す場合には、ポンプ等を用いて、作動液排出管305を介して作動液を作動液タンクに戻すと良い。
【0086】
このように、本実施例の塗料充填ユニットでは、スプレーガンと連結するのみで、スプレーガンの塗料用パウチに塗料を充填することができるので、塗料を充填するごとに作動液供給用ホース、作動液排出用ホース、ニードル用エアーホースをスプレーガンに連結する必要が無く、塗料の充填作業が容易であり、塗料充填作業を効率良く行うことが可能である。
【0087】
そしてこのとき、本実施例の塗料充填ユニットでは、スプレーガンを支持した状態で、作動用マニホールド3と塗料充填用マニホールド7を進退するのみで、スプレーガンの連結及び連結の解除を行うことができるので、更に、塗料の充填作業が容易である。
【0088】
次に、このように構成される本発明の塗料充填ユニット1を備えた本発明の塗料充填装置の実施例について図を参照して説明すると、図9は本実施例の塗料充填装置41の側面を示した図であり、図10は本実施例の塗料充填装置41を平面で示した図であり、本実施例の塗料充填装置41は、2個の塗料充填ユニットを有しており、これにより、2個のスプレーガンに同時に塗料を充填可能としている。
【0089】
即ち、本実施例の塗料充填装置41は、取付ベース42上に3個の下側フレーム43が備えられており、両端に位置する下側フレーム43の後方側の上部にはそれぞれ、上側フレーム44が備えられ、これにより本体フレームが構成されている。また、前記下側フレーム43はそれぞれ、一対の縦枠用フレーム材43aとこの縦枠用フレーム材43aの上端を連結した横枠用フレーム材43bを備えたゲート状としており、上側フレーム44もまた、縦枠用フレーム材44aとこの縦枠用フレーム材44aの上端を連結した横枠用フレーム材44bを備えたゲート状としている。そして、下側フレーム43間に塗料充填ユニット1が回動自在に備えられており、上側フレーム44間には容器ケース45が回動自在に備えられ、容器ケース45内には2個の塗料容器46を収容可能としている。
【0090】
ここで、前記塗料充填ユニット1の装着について説明すると、本実施例においては、両端に位置する下側フレーム43にユニット保持部材47を装着し、中央に位置する下側フレーム43には2個のユニット用モーター48を装着している。そして、ユニット保持部材47に連結軸203の一方を回動自在に連結し、ユニット用モーター48には、連結軸203の他方が連結され、これにより、ユニット用モーター48を駆動することで、塗料充填ユニット1を、上下方向に回動することを可能にしている。即ち本実施例においては、側面視において時計周り方向あるいは反時計周り方向に回動自在としている。なお、本実施例において前記ユニット用モーター48はロータリーエアーシリンダーを用いている。
【0091】
次に、図において49は、容器ケース45を回動自在に保持するためのケース保持部材である。即ち、本実施例において、両端に位置する上側フレームの一方側にはケース保持部材49が備えられ、両端に位置する上側フレームの他方側にはケース用モーター50を取り付けている。一方、前記容器ケース45は、塗料容器46が収容される箱状のケース本体45aと、このケース本体45aの両側に外側に向けて突設した回動軸45bを有している。そして、回動軸45bの一方をケース保持部材49に回動自在に連結し、回動軸45bの他方はケース用モーター50に連結されており、これにより、ケース用モーター50を駆動することで、容器ケース45を、上下方向に、即ち、側面視において時計周り方向あるいは反時計周り方向に回動自在としている。
【0092】
次に、図9において52は固定ピンであり、この固定ピン52は、図示しないエアーシリンダーに連結されて進退自在とされている。そして、塗料容器46を容器ケース45内に収容した後に容器ケース45側に押し込むことで、塗料容器46の側壁に形成したピン孔(図示せず)に挿入され、これにより塗料容器46を容器ケース45内に保持可能としている。
【0093】
なお、本実施例において前記ケース用モーター50は防爆仕様のサーボモーターとしており、前後方向に軸が向くような配置にするとともに、ギヤ51を介して前記回動軸45bに連結され、これにより、回転方向を90度変更することで、回動軸45bを回動可能としている。
【0094】
次に、このように構成される本実施例の塗料充填装置41の使用方法について説明すると、本実施例の塗料充填装置41を用いてスプレーガン11に塗料を充填する場合には、前述の方法により塗料充填ユニット1にスプレーガン11を連結する。そしてそれとともに、容器ケース45内に塗料容器46を収容した後に容器ケース45側に固定ピン52を押し込むことで塗料容器46を容器ケース45内に保持し、更に、塗料容器46に連結された塗料吐出部53と、塗料充填用マニホールド7の塗料受入部702を塗料ホース54で連結する。この状態を側面から示した図が図11である。
【0095】
次に、ユニット用モーター48を駆動して塗料充填ユニット1を上下方向に180度回動してスプレーガン11を上下反転し、スプレーガン本体12が上方になり、塗料用パウチ25が下方になるようにする。そしてこの状態で、前述したように、ケーシング24内の作動液を作動液供給手段側に戻すことでケーシング24内を負圧にし、塗料用パウチ25内に塗料を充填していく。塗料充填ユニット1を上下反転した状態を側面から示した図が図12である。
【0096】
一方、スプレーガン11への塗料の充填をしていないときや、スプレーガン11を連結した状態で待機させているときには、ケース用モーター50を駆動し、容器ケース45の上下方向への回動を継続することで、塗料に含まれるパールやメタリックが塗料容器46内の底部に沈殿してしまうことを防止することが可能である。この状態を側面から示した図が図13である。
【0097】
また、本実施例の塗料充填装置では、スプレーガンを装着した状態で待機させているときには、ケーシング内に供給された作動液を作動液供給手段側に戻すことでケーシング内を負圧にして塗料容器内の塗料をスプレーガン本体を介して塗料用パウチ内に流入させて充填することと、ケーシング内に作動液を供給することで塗料パウチ内の塗料を塗料容器内に戻すこととを繰り返すことで、塗料パウチ内の塗料に含まれるパールやメタリックの沈殿を防止することも可能である。
【0098】
このように、本実施例の塗料充填装置では、塗料充填ユニットの上方に容器ケースを装着しているため、塗料容器と塗料充填ユニットを塗料ホースで連結することで塗料を自重により落下させることができるので、より効果的に塗料をスプレーガンに充填することが可能である。
【0099】
また、塗料充填ユニットを回動自在としているため、スプレーガンにおける塗料パウチ側を下側にすることで、塗料の充填を効率よく行うことが可能である。
【0100】
更に、容器ケースを回動自在としているために、塗料容器を収容した状態で容器ケースを回動することで、塗料容器内の塗料を撹拌することができ、塗料に含まれるパールやメタリックが容器の底に沈殿してしまうことを有効に防止することが可能である。
【0101】
更にまた、スプレーガンを装着した状態で待機させているときに、ケーシング内に供給された作動液を作動液供給手段側に戻すことでケーシング内を負圧にして塗料容器内の塗料をスプレーガン本体を介して塗料用パウチ内に流入させて充填することと、ケーシング内に作動液を供給することで塗料パウチ内の塗料を塗料容器内に戻すこととを繰り返すことで、塗料パウチ内の塗料に含まれるパールやメタリックの沈殿を防止することも可能である。
【0102】
なお、前述の説明では、3個の下側フレーム43を備えて、2個の塗料充填ユニット1を装着した場合を説明したが、装着する塗料充填ユニット1の個数は限定されず、3個以上でもよく、あるいは1個でもよい。また、容器ケース45は塗料充填ユニット1の個数に対応させて2個の塗料容器を収容可能としたが、必ずしも2個の塗料容器を収容可能にする必要は無い。
【0103】
更に、前述の説明では、下側フレーム43と上側フレームとで本体フレームを構成し、下側フレーム43間に塗料充填ユニット1を回動自在に備え、上側フレーム44間に容器ケース45を回動自在に備えた場合を説明したが、必ずしも、 下側フレーム43と上側フレームとで本体フレームを構成し、下側フレーム43間に塗料充填ユニット1を備え、上側フレーム44間に容器ケース45を備える必要は無い。即ち本発明の塗料充填装置では、本体フレームを備えて、この本体フレーム間に塗料充填ユニットを備えるとともに、塗料充填ユニットが連結された箇所よりも上方側に容器ケース45が連結されていれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の塗料充填用ユニット及びそれを用いた塗料充填装置は、塗料供給手段を一体に備えたスプレーガンに塗料を充填するユニット及び装置の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 塗料充填ユニット
2 本体部
201 側壁
202 底部
203 連結軸
204 支持板
205 係止突起
3 作動用マニホールド
301 作動液供給ジョイント
302 作動液排出ジョイント
303 ニードル用エアー供給ジョイント
304 作動液供給管
305 作動液排出管
306 ニードル用エアー供給管
4 可動軸
5 可動板
6 エアーシリンダー
7 塗料充填用マニホールド
701 塗料充填ジョイント
702 塗料受入部
8 エアーシリンダー
11 スプレーガン
12 スプレーガン本体
13 塗料供給手段
14 塗料供給路
14a 塗料受け入れ口
14b 塗料噴射口
15 ニードル
16 ピストン
17 バネ
18 エアー室
19 ニードル用エアー供給路
20 霧化エアー供給路
21 パターンエアー供給路
23 マニホールド
24 ケーシング
25 塗料用パウチ
26 塗料吐出部
27 作動液供給部
28 作動液排出部
29 作動液排出管
30 塗料吐出口
31 作動液供給口
32 作動液排出口
33a 霧化エアー供給口
33b パターンエアー供給口
33c ニードル用エアー供給口
34 係止溝部
41 塗料充填装置
42 取付ベース
43 下側フレーム
44 上側フレーム
45 容器ケース
45a ケース本体
45b 回動軸
46 塗料容器
47 ユニット保持部材
48 ユニット用モーター
49 ケース保持部材
50 ケース用モーター
51 ギヤ
52 固定ピン
53 塗料吐出部
54 塗料ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図20