(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20221003BHJP
【FI】
A63B53/04 D
(21)【出願番号】P 2018232870
(22)【出願日】2018-12-12
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 梢
(72)【発明者】
【氏名】北川 知憲
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-095957(JP,A)
【文献】特開2010-029358(JP,A)
【文献】特開2003-159354(JP,A)
【文献】特開2005-312942(JP,A)
【文献】特開2013-240404(JP,A)
【文献】特開2002-186691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部、クラウン部、及びソール部を有する中空構造のゴルフクラブヘッドであって、
前記ソール部は、細長状の複数のリブを有し、
前記複数のリブは、トウ側からヒール側に向かって順次配置された第1リブ、第2リブ、第3リブ、及び第4リブを含み、
前記第1リブの一端は前記第2リブの一端と接続されて第1接続端を形成し、
前記第2リブの他端は前記第3リブの一端と接続されて第2接続端を形成し、
前記第3リブの他端は前記第4リブの一端と接続されて第3接続端を形成し、
前記第1リブ及び前記第4リブは各々前記第2リブよりも長く、かつ前記第1リブ及び前記第4リブは各々前記第3リブよりも長いことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1リブは前記第1接続端に近づくにつれて高さが低くなる第1傾斜部を有し、前記第2リブは前記第1接続端に近づくにつれて高さが低くなる第2傾斜部を有し、前記第1リブの一端である前記第1傾斜部の先端と前記第2リブの一端である前記第2傾斜部の先端とが接続されて前記第1接続端を形成し、
前記第2リブは前記第2接続端に近づくにつれて高さが低くなる第3傾斜部を有し、前記第3リブは前記第2接続端に近づくにつれて高さが低くなる第4傾斜部を有し、前記第2リブの他端である前記第3傾斜部の先端と前記第3リブの一端である前記第4傾斜部の先端とが接続されて前記第2接続端を形成し、
前記第3リブは前記第3接続端に近づくにつれて高さが低くなる第5傾斜部を有し、前記第4リブは前記第3接続端に近づくにつれて高さが低くなる第6傾斜部を有し、前記第3リブの他端である前記第5傾斜部の先端と前記第4リブの一端である前記第6傾斜部の先端とが接続されて前記第3接続端を形成していることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第1リブは、フェース側からバック側に伸び、バック側に行くほどヒール側に近づくように傾斜し、
前記第4リブは、フェース側からバック側に伸び、バック側に行くほどトウ側に近づくように傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1リブ、前記第2リブ、前記第3リブ、及び前記第4リブは直線状であり、前記第1リブと前記第3リブは平行であり、前記第2リブと前記第4リブは平行であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記複数のリブは、前記第2リブと第1交差部で交わる第1交差リブと、前記第3リブと第2交差部で交わる第2交差リブと、を更に有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第1交差部において、前記第2リブの側面と前記第1交差リブの側面とが形成する少なくとも1つの角部には、トップ側からソール側に近づくに連れて末広がりとなる第1補強部が形成され、
前記第2交差部において、前記第3リブの側面と前記第2交差リブの側面とが形成する少なくとも1つの角部には、トップ側からソール側に近づくに連れて末広がりとなる第2補強部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記第1交差リブの一端は前記第2交差リブの一端と接続されて第4接続端を形成し、
前記第4接続端は、前記第2接続端のバック側に位置することを特徴とする請求項5または6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記複数のリブは、前記第1交差部及び前記第2交差部の他にリブ同士が交差する部位を有していないことを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記第1リブと前記第1交差リブは平行であり、前記第4リブと前記第2交差リブは平行であることを特徴とする請求項5乃至8の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記第1接続端において、前記第1リブと前記第2リブは鋭角を形成し、
前記第2接続端において、前記第2リブと前記第3リブは鋭角を形成し、
前記第3接続端において、前記第3リブと前記第4リブは鋭角を形成していることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフクラブヘッドにおいて、打撃性能(例えば、飛距離に優位な弾道を得る等)を向上させるための様々な技術が検討されている。打撃性能を向上させる技術としては、例えば、特許文献1~6に記載の技術が挙げられる。打撃性能を向上させるためには、クラウン側の撓みやすさを十分に考慮することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5095546号
【文献】特許第5107073号
【文献】特許第4128970号
【文献】特許第4262369号
【文献】特許第6346351号
【文献】米国特許第9707457号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ソール側の剛性を高め、クラウン側の撓みやすさを向上したゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本ゴルフクラブヘッドは、フェース部、クラウン部、及びソール部を有する中空構造のゴルフクラブヘッドであって、前記ソール部は、細長状の複数のリブを有し、前記複数のリブは、トウ側からヒール側に向かって順次配置された第1リブ、第2リブ、第3リブ、及び第4リブを含み、前記第1リブの一端は前記第2リブの一端と接続されて第1接続端を形成し、前記第2リブの他端は前記第3リブの一端と接続されて第2接続端を形成し、前記第3リブの他端は前記第4リブの一端と接続されて第3接続端を形成し、前記第1リブ及び前記第4リブは各々前記第2リブよりも長く、かつ前記第1リブ及び前記第4リブは各々前記第3リブよりも長いことを要件とする。
【発明の効果】
【0006】
開示の技術によれば、ソール側の剛性を高め、クラウン側の撓みやすさを向上したゴルフクラブヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する図である。
【
図2】リブ50について説明する図(その1)である。
【
図3】リブ50について説明する図(その2)である。
【
図4】リブ50について説明する図(その3)である。
【
図5】リブ50について説明する図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
〈第1実施形態〉
図1は、本実施形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する図であり、
図1(a)は正面図、
図1(b)は上面図、
図1(c)は左側面図、
図1(d)は右側面図である。
【0010】
図1では、フェース面11f側から視た図を正面図としており、ゴルフクラブヘッド1を水平面H(地面に相当)に基準のライ角θ
L及び基準のロフト角(図示せず)通りに接地した場合を図示している。なお、Jはホゼル部15の穴の中心軸を示している。また、矢印d
1はトウ-ヒール方向(左右方向)を、矢印d
2はトップ-ソール方向(上下方向)を、矢印d
3はフェース-バック方向(前後方向)を示している。
【0011】
図1に示すゴルフクラブヘッド1は、ウッド型のゴルフクラブヘッドであって、例えばドライバであるが、ユーティリティやフェアウェイウッドであってもよい。
【0012】
ゴルフクラブヘッド1は、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄系金属、マグネシウム、マグネシウム合金、繊維強化樹脂等を用いて形成できる。また、ゴルフクラブヘッド1は、複数の部品を接合して組み立ててもよい。以下、ゴルフクラブヘッド1について詳説する。
【0013】
ゴルフクラブヘッド1は、フェース部11と、クラウン部12と、ソール部13と、サイド部14と、ホゼル部15とを有する中空構造である。なお、中空構造の内側の面を内面、外側の面を外面と称する場合がある。
【0014】
フェース部11は、打撃面となるフェース面11fを備えた部分である。なお、フェース部11は所定の厚みを有しており、フェース面11fはフェース部11の外面をなしている。クラウン部12は、ゴルフクラブヘッド1の上部を形成する部分である。ソール部13は、ゴルフクラブヘッド1の底部を形成する部分である。サイド部14は、クラウン部12とソール部13とを繋ぐ部分である。ホゼル部15は、シャフトと連結される部分である。
【0015】
なお、
図1において、点Qは、ゴルフクラブヘッド1を水平面Hに基準のライ角θ
L及び基準のロフト角通りに接地した場合に、ソール部13が水平面Hと接する点を示している。
【0016】
図2は、リブ50について説明する図(その1)であり、ゴルフクラブヘッド1を水平面Hに基準のライ角及び基準のロフト角通りに接地した場合の断面図である。
【0017】
図2(a)は、ゴルフクラブヘッド1を横方向に切断してトップ側からソール側を水平面Hに垂直な方向から視た断面図である。また、
図2(b)は、ゴルフクラブヘッド1を
図2(a)のA-A線に沿って縦方向に切断してヒール側からトウを視た断面図である。
【0018】
また、
図2(c)及び
図2(d)は、ゴルフクラブヘッド1を横方向に切断してトップ側からソール側を視た断面図であるが、
図2(a)が水平面Hに垂直な方向から視た図であるのに対し、
図2(c)及び
図2(d)は水平面Hに対して斜め方向から視た図である。
【0019】
図2に示すように、ソール部13はリブ50を有している。リブ50は、ソール部13の内面に形成された第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、第4リブ54、第1交差リブ55、及び第2交差リブ56を有している。
【0020】
リブ50の有する各リブは、幅よりも長さの方が長い細長状のリブであり、ソール部13の内面からクラウン部12側に向かって略垂直に突起している。リブ50は、更に他のリブを有してもよい。
【0021】
図3は、リブ50について説明する図(その2)である。
図3(a)は、
図2(a)から第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54のみを抜き出して図示したものである。
図3(b)は、
図2(a)から第1交差リブ55及び第2交差リブ56のみを抜き出して図示したものである。
図3(c)は、
図2(a)からリブ50の全体を抜き出して図示したものである。
【0022】
また、
図3(d)は、リブ50の第1リブ51を側面方向から視た図である。
図3(d)では、リブ50の第1リブ51のみを図示しているが、リブ50の有する他のリブも側面方向から視た形状は第1リブ51と大よそ同じである。
【0023】
図4は、リブ50について説明する図(その3)であり、
図2(c)からリブ50の全体を抜き出して拡大して図示したものである。
【0024】
図3(a)に示すように、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54は、トウ側からヒール側に向かって順次配置されている。すなわち、第1リブ51は、リブ50の有するリブのうち最もトウ側に位置している。第2リブ52は、第1リブ51よりもヒール側に位置している。第3リブ53は、第2リブ52よりもヒール側に位置している。第4リブ54は、第3リブ53よりもヒール側に位置している。
【0025】
第1リブ51は、フェース側からバック側に伸び、バック側に行くほどヒール側に近づくように傾斜している直線状のリブである。第2リブ52は、フェース側からバック側に伸び、バック側に行くほどトウ側に近づくように傾斜している直線状のリブである。第3リブ53は、フェース側からバック側に伸び、バック側に行くほどヒール側に近づくように傾斜している直線状のリブである。第4リブ54は、フェース側からバック側に伸び、バック側に行くほどトウ側に近づくように傾斜している直線状のリブである。
【0026】
図2~
図4に示すように、第1リブ51のフェース側端51aは、開放されている。すなわち、第1リブ51のフェース側端51aは、他のリブ等とは接続されていない。第1リブ51は、フェース側端51aに近づくにつれて高さが低くなる第1傾斜部51cを有している。また、第1リブ51は、バック側端51bに近づくにつれて高さが低くなる第2傾斜部51dを有している。また、第2リブ52は、バック側端52aに近づくにつれて高さが低くなる第3傾斜部52cを有している。
【0027】
第1リブ51の第2傾斜部51dの先端であるバック側端51bは、第2リブ52の第3傾斜部52cの先端であるバック側端52aと接続されて、第1接続端50aを形成している。つまり、第1リブ51のバック側の高さが低い部分と第2リブ52のバック側の高さが低い部分とが接続されて、第1接続端50aを形成している。
【0028】
トップ側からソール側を視たときに、第1接続端50aにおいて、第1リブ51と第2リブ52は角θ1を形成している。角θ1は鋭角であることが好ましい。角θ1は、例えば、30deg以上90deg未満である。
【0029】
第2リブ52は、フェース側端52bに近づくにつれて高さが低くなる第4傾斜部52dを有している。また、第3リブ53は、フェース側端53aに近づくにつれて高さが低くなる第5傾斜部53cを有している。
【0030】
第2リブ52の第4傾斜部52dの先端であるフェース側端52bは、第3リブ53の第5傾斜部53cの先端であるフェース側端53aと接続されて、第2接続端50bを形成している。つまり、第2リブ52のフェース側の高さが低い部分と第3リブ53のフェース側の高さが低い部分とが接続されて、第2接続端50bを形成している。
【0031】
トップ側からソール側を視たときに、第2接続端50bにおいて、第2リブ52と第3リブ53は角θ2を形成している。角θ2は鋭角であることが好ましい。角θ2は、例えば、30deg以上90deg未満である。
【0032】
第3リブ53は、バック側端53bに近づくにつれて高さが低くなる第6傾斜部53dを有している。また、第4リブ54は、バック側端54aに近づくにつれて高さが低くなる第7傾斜部54cを有している。
【0033】
第3リブ53の第6傾斜部53dの先端であるバック側端53bは、第4リブ54の第7傾斜部54cの先端であるバック側端54aと接続されて、第3接続端50cを形成している。つまり、第3リブ53のバック側の高さが低い部分と第4リブ54のバック側の高さが低い部分とが接続されて、第3接続端50cを形成している。
【0034】
第4リブ54のフェース側端54bは、開放されている。すなわち、第4リブ54のフェース側端54bは、他のリブ等とは接続されていない。第4リブ54は、フェース側端54bに近づくにつれて高さが低くなる第8傾斜部54dを有している。
【0035】
トップ側からソール側を視たときに、第3接続端50cにおいて、第3リブ53と第4リブ54は角θ3を形成している。角θ3は鋭角であることが好ましい。角θ3は、例えば、30deg以上90deg未満である。
【0036】
このように、リブとリブとを傾斜部の先端の高さが低い部分同士で接続することで、リブ同士の接続部に応力が集中することを緩和できる。
【0037】
第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54は、例えば、フェース側から視でM字形となるように配置されている。但し、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54は、トップ側からソール側を視たときに(
図3(a)と同様の方向から視たときに)曲線状の部分を含んでいてもよい。
【0038】
第1リブ51の長さL1は、例えば、30mm以上80mm以下である。第2リブ52の長さL2は、例えば、10mm以上50mm以下である。第3リブ53の長さL3は、例えば、10mm以上50mm以下である。第4リブ54の長さL4は、例えば、30mm以上80mm以下である。
【0039】
第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、第4リブ54の各々の幅Wは、例えば、0.5mm以上3mm以下である。
【0040】
このように、リブ50において、第1リブ51及び第4リブ54は各々第2リブ52よりも長く、かつ第1リブ51及び第4リブ54は各々第3リブ53よりも長い。このような寸法関係とすることで、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54をソール部13の内面の広範囲に配置可能となり、ソール部13の剛性を効果的に高めることができる。
【0041】
第1リブ51と第3リブ53は、例えば、平行である。また、第2リブ52と第4リブ54は、例えば、平行である。なお、本明細書において、平行は、完全に平行である場合と、概ね平行である場合とを含む。概ね平行である場合とは、対象となるリブの対向する側面同士の間隔の最大値と最小値との差が5mm以内であることを言う。
【0042】
図3(b)に示すように、第1交差リブ55及び第2交差リブ56は、トウ側からヒール側に向かって順次配置されている。
【0043】
第1交差リブ55は、フェース側からバック側に伸び、バック側に行くほどヒール側に近づくように傾斜している直線状のリブである。第2交差リブ56は、フェース側からバック側に伸び、バック側に行くほどトウ側に近づくように傾斜している直線状のリブである。
【0044】
図2~
図4に示すように、第1交差リブ55のフェース側端55aは、開放されている。すなわち、第1交差リブ55のフェース側端55aは、他のリブ等とは接続されていない。
【0045】
第1交差リブ55は、フェース側端55aに近づくにつれて高さが低くなる第9傾斜部55cを有している。また、第1交差リブ55は、バック側端55bに近づくにつれて高さが低くなる第10傾斜部55dを有している。また、第2交差リブ56は、バック側端56aに近づくにつれて高さが低くなる第11傾斜部56cを有している。
【0046】
第1交差リブ55の第10傾斜部55dの先端であるバック側端55bは、第2交差リブ56の第11傾斜部56cの先端であるバック側端56aと接続されて、第4接続端50dを形成している。つまり、第1交差リブ55のバック側の高さが低い部分と第2交差リブ56のバック側の高さが低い部分とが接続されて、第4接続端50dを形成している。
【0047】
第2交差リブ56のフェース側端56bは、開放されている。すなわち、第2交差リブ56のフェース側端56bは、他のリブ等とは接続されていない。第2交差リブ56は、フェース側端56bに近づくにつれて高さが低くなる第12傾斜部56dを有している。
【0048】
トップ側からソール側を視たときに、第4接続端50dにおいて、第1交差リブ55と第2交差リブ56は角θ4を形成している。角θ4は鋭角であることが好ましい。角θ4は、例えば、30deg以上90deg未満である。
【0049】
このように、リブとリブとを傾斜部の先端の高さが低い部分同士で接続することで、リブ同士の接続部に応力が集中することを緩和できる。
【0050】
第1交差リブ55及び第2交差リブ56は、例えば、フェース側から視で逆V字形(フェース側に開口するV字形)となるように配置されている。但し、第1交差リブ55及び第2交差リブ56は、トップ側からソール側を視たときに(
図3(a)と同様の方向から視たときに)曲線状の部分を含んでいてもよい。
【0051】
第1交差リブ55は、例えば、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54よりも長い。また、第2交差リブ56は、例えば、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54よりも長い。
【0052】
第1交差リブ55の長さL5は、例えば、30mm以上90mm以下である。第2交差リブ56の長さL6は、例えば、30mm以上90mm以下である。
【0053】
第1交差リブ55及び第2交差リブ56の幅は、例えば、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、第4リブ54の各々の幅Wと同様である。
【0054】
第1交差リブ55は、第2リブ52と第1交差部50eで交わっている。第1交差リブ55は、例えば、第2リブ52を約2等分する。すなわち、第1交差部50eから第2リブ52のバック側端52aまでの長さと、第1交差部50eから第2リブ52のフェース側端52bまでの長さとは、大よそ等しい。
【0055】
また、第2交差リブ56は、第3リブ53と第2交差部50fで交わっている。第2交差リブ56は、例えば、第3リブ53を約2等分する。すなわち、第2交差部50fから第3リブ53のバック側端53bまでの長さと、第2交差部50fから第3リブ53のフェース側端53aまでの長さとは、大よそ等しい。
【0056】
なお、リブ50の有する複数のリブは、第1交差部50e及び第2交差部50fの他にリブ同士が交差する部位を有していない。
【0057】
第1交差リブ55と第2交差リブ56とが接続する第4接続端50dは、第2接続端50bのバック側に位置している。第1リブ51と第1交差リブ55は、例えば、平行である。また、第4リブ54と第2交差リブ56は、例えば、平行である。
【0058】
第1交差部50eにおいて、第2リブ52の側面と第1交差リブ55の側面とが形成する角部には、トップ側からソール側に近づくに連れて末広がりとなる第1補強部61が形成されている。
【0059】
第1補強部61は、例えば、第1交差部50eにおいて第2リブ52の側面と第1交差リブ55の側面とが形成する対向する鋭角に1つずつ形成できるが、これには限定されない。第1補強部61は、必要に応じて、第2リブ52の側面と第1交差リブ55の側面とが形成する少なくとも1つの角部に形成できる。
【0060】
第2交差部50fにおいて、第3リブ53の側面と第2交差リブ56の側面とが形成する角部には、トップ側からソール側に近づくに連れて末広がりとなる第2補強部62が形成されている。
【0061】
第2補強部62は、例えば、第2交差部50fにおいて第3リブ53の側面と第2交差リブ56の側面とが形成する対向する鋭角に1つずつ形成できるが、これには限定されない。第2補強部62は、必要に応じて、第3リブ53の側面と第2交差リブ56の側面とが形成する少なくとも1つの角部に形成できる。
【0062】
このように、第1補強部61及び第2補強部62を設けることで、リブ同士の交差部に応力が集中することを緩和すると共に、ソール部13の剛性を高めることができる。
【0063】
図5は、リブ50について説明する図(その4)であり、フェースセンターラインに対するリブ50の配置を例示する図である。
図5に示すフェースセンターラインCLは、ゴルフクラブヘッド1を水平面に基準のライ角及び基準のロフト角通りに接地した場合に、ソール部13が水平面と接する点(
図1の点Q)を通る打球の飛行方向の線分である。
【0064】
第1リブ51とフェースセンターラインCLとが形成する角θ11は、例えば、15deg以上60deg以下である。第2リブ52とフェースセンターラインCLとが形成する角θ12は、例えば、15deg以上60deg以下である。
【0065】
第3リブ53とフェースセンターラインCLとが形成する角θ13は、例えば、15deg以上60deg以下である。第4リブ54とフェースセンターラインCLとが形成する角θ14は、例えば、15deg以上60deg以下である。
【0066】
第1交差リブ55とフェースセンターラインCLとが形成する角θ15は、例えば、15deg以上60deg以下である。第2交差リブ56とフェースセンターラインCLとが形成する角θ16は、例えば、15deg以上60deg以下である。
【0067】
角θ11、角θ12、角θ13、角θ14、角θ15、及び角θ16を上記の角度範囲とすることで、リブ50をソール部13の内面の広範囲に配置可能となり、ソール部13の剛性を効果的に高めることができる。
【0068】
このように、ゴルフクラブヘッド1において、リブ50は、ソール部13の内面に形成された第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54を有している。そして、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54は、トウ側からヒール側に向かって順次配置されて、例えば、M字形となるように接続されている。そして、第1リブ51及び第4リブ54は各々第2リブ52よりも長く、かつ第1リブ51及び第4リブ54は各々第3リブ53よりも長い。
【0069】
これにより、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54をソール部13の内面の広範囲に配置可能となるため、ソール部13の剛性を効果的に高め、ボール打撃時に選択的にクラウン部12を撓ませることができる。また、クラウン部12の撓みやすさを向上したことで、ショット時に飛距離で優位な高打出低スピンの弾道を得ることができる。
【0070】
また、トウ-ヒール方向、フェース-バック方向ともに、ソール部13の広範囲の剛性を高めることができるので、ソール部13の肉厚を減らすことが可能となる。そして、ソール部13の肉厚を減らすことにより生じた余剰重量を、ゴルフクラブヘッド1の機能にとって有利な位置に配分できる。
【0071】
更に、リブ50が、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54に加え、第1交差リブ55及び第2交差リブ56を有することで、ソール部13の剛性を高め、クラウン部12の撓みやすさを向上する効果を更に大きくできる。また、ソール部13の剛性を更に高めたことでソール部13の肉厚を更に減らすことが可能となるため、ソール部13の肉厚を減らすことにより生じた余剰重量を、ゴルフクラブヘッド1の機能にとって有利な位置に更に多く配分できる。
【0072】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、第1実施形態とは形状の異なるリブの例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0073】
図6は、リブ70について説明する図であり、ゴルフクラブヘッド2を水平面Hに基準のライ角及び基準のロフト角通りに接地した場合の断面図である。
【0074】
図6(a)は、ゴルフクラブヘッド2を横方向に切断してトップ側からソール側を水平面Hに垂直な方向から視た断面図である。また、
図6(b)は、ゴルフクラブヘッド2を
図6(a)のB-B線に沿って縦方向に切断してヒール側からトウを視た断面図である。
【0075】
また、
図6(c)及び
図6(d)は、ゴルフクラブヘッド2を横方向に切断してトップ側からソール側を視た断面図であるが、
図6(a)が水平面Hに垂直な方向から視た図であるのに対し、
図6(c)及び
図6(d)は水平面Hに対して斜め方向から視た図である。
【0076】
図6に示すように、ゴルフクラブヘッド2は、ソール部13がリブ70を有する点が、ソール部13がリブ50を有するゴルフクラブヘッド1(
図2等参照)と相違する。
【0077】
リブ70は、ソール部13の内面に形成された第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、第4リブ54を有している。リブ70は、リブ50とは異なり、第1交差リブ55及び第2交差リブ56を有していない。
【0078】
すなわち、リブ70において、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54は、トウ側からヒール側に向かって順次配置されて、例えば、M字形となるように接続されている。そして、第1リブ51及び第4リブ54は各々第2リブ52よりも長く、かつ第1リブ51及び第4リブ54は各々第3リブ53よりも長い。
【0079】
第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、第4リブ54の具体的な長さや幅、配置する角度等の例は、リブ50の場合と同様である。
【0080】
このように、要求されるソール部13の剛性や、余剰重量の配分の仕様によっては、ソール部13に、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、第4リブ54を有し、第1交差リブ55及び第2交差リブ56を有していないリブ70を設けてもよい。
【0081】
この場合にも、第1実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53、及び第4リブ54をソール部13の内面の広範囲に配置可能となるため、ソール部13の剛性を効果的に高め、ボール打撃時に選択的にクラウン部12を撓ませることができる。また、クラウン部12の撓みやすさを向上したことで、ショット時に飛距離で優位な高打出低スピンの弾道を得ることができる。
【0082】
また、トウ-ヒール方向、フェース-バック方向ともに、ソール部13の広範囲の剛性を高めることができるので、ソール部13の肉厚を減らすことが可能となる。そして、ソール部13の肉厚を減らすことにより生じた余剰重量を、ゴルフクラブヘッド2の機能にとって有利な位置に配分できる。
【0083】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0084】
例えば、上記実施形態では、第1リブ51のフェース側端51a及び第4リブ54のフェース側端54bが開放されている例を示したが、これには限定されない。例えば、第1リブ51のフェース側端51a及び第4リブ54のフェース側端54bの一方または両方は、ゴルフクラブヘッド1の内面の何れかの部分と接続されてもよい。また、第1リブ51のフェース側端51a及び第4リブ54のフェース側端54bの一方または両方は、他とリブと接続されてもよい。第1交差リブ55のフェース側端55a、及び第2交差リブ56のフェース側端56bについても同様である。
【符号の説明】
【0085】
1、2 ゴルフクラブヘッド
11 フェース部
11f フェース面
12 クラウン部
13 ソール部
14 サイド部
15 ホゼル部
50、70 リブ
50a 第1接続端
50b 第2接続端
50c 第3接続端
50d 第4接続端
50e 第1交差部
50f 第2交差部
51 第1リブ
52 第2リブ
53 第3リブ
54 第4リブ
55 第1交差リブ
56 第2交差リブ
51a、52b、53a、54b、55a、56b フェース側端
51b、52a、53b、54a、55b、56a バック側端
51c 第1傾斜部
51d 第2傾斜部
52c 第3傾斜部
52d 第4傾斜部
53c 第5傾斜部
53d 第6傾斜部
54c 第7傾斜部
54d 第8傾斜部
55c 第9傾斜部
55d 第10傾斜部
56c 第11傾斜部
56d 第12傾斜部
61 第1補強部
62 第2補強部