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特許7150605医療画像の画像関連情報を検証するための装置、システム及び方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】医療画像の画像関連情報を検証するための装置、システム及び方法。
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/40 20180101AFI20221003BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
G16H30/40
A61B5/00 G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018545464
(86)(22)【出願日】2017-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2017053953
(87)【国際公開番号】W WO2017148751
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-05
(31)【優先権主張番号】16157840.6
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ブーロウ トマス
(72)【発明者】
【氏名】ノードホフ タンヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヤング スチュワート
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-290329(JP,A)
【文献】特開2007-260063(JP,A)
【文献】特開2010-194086(JP,A)
【文献】特開2011-110357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0188718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療画像の画像関連情報を検証するための装置であって、
医療画像及び関連する画像関連情報を取得するための、画像入力部と、
前記画像関連情報の1つ以上を、予測される解剖学的特徴情報に変換する変換部であって、前記予測される解剖学的特徴情報は、当該画像関連情報に基づいて予測される解剖学的特徴の情報である、変換部と、
前記取得された医療画像において前記予測される解剖学的特徴情報に対応する解剖学的特徴を探す処理、又は前記取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴を決定して当該決定した解剖学的特徴を前記予測される解剖学的特徴情報と比較する処理、を行う検出部と、
前記検出部の結果を評価して、前記画像関連情報の前記関連する医療画像との整合性を示す整合性尺度を生成する評価部と、
前記生成された整合性尺度が所定の整合性尺度よりも低い場合に、不整合の示唆を出力する出力インタフェースと、
を有する、装置。
【請求項2】
前記検出部は、予測される解剖学的特徴情報に対応する解剖学的特徴が、前記取得された医療画像において検出されたこと、又は前記取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴が、前記予測される解剖学的特徴情報と対応することの、確実性を示す、確実性尺度を生成するよう構成され、前記評価部は、前記整合性尺度の生成において、前記生成された確実性尺度を用いるよう構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出部は、2つ以上の画像関連情報から予測される解剖学的特徴情報について別個に検出を実行して、画像関連情報毎に確実性尺度を生成するよう構成され、前記評価部は、前記生成された確実性尺度を組み合わせて前記整合性尺度を生成する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記変換部は、2つ以上の画像関連情報のそれぞれを、別個の予測される解剖学的特徴情報へと別個に変換するよう構成され、前記検出部は、2つの予測される解剖学的特徴情報について別個に検出を実行して、画像関連情報毎の確実性尺度を生成するよう構成され、前記評価部は、前記生成された確実性尺度を組み合わせて前記整合性尺度の生成する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記変換部は、解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性のうちの1つ以上を含む、予測される解剖学的特徴情報に、1つ以上の画像関連情報を変換するよう構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記生成された整合性が前記所定の整合性尺度又は他の所定の整合性尺度よりも低い場合に、予測される別の解剖学的特徴情報を用いて1回以上動作を繰り返すように、前記検出部及び前記評価部を制御するためのコントローラを更に有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記変換部は、1つ以上の画像関連情報を予測される解剖学的特徴情報へと変換するための複数の画像関連情報について別個の予測される解剖学的特徴情報を保存するデータベースにアクセスするよう構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記変換部は、解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性を保存するデータベースにアクセスするよう構成された、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記変換部は、学習医療画像からの学習により取得された別個の予測される解剖学的特徴情報及び適切に関連する画像関連情報を保存するデータベースにアクセスするよう構成された、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記取得された医療画像において前記予測される別の解剖学的特徴情報に対応する解剖学的特徴を探す処理、又は前記取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴を決定して当該決定した解剖学的特徴を前記予測される別の解剖学的特徴情報と比較する処理、を行うよう構成され、前記評価部は、前記予測される別の解剖学的特徴情報に関する前記検出部の結果を評価して、前記関連する医療画像に対する前記画像関連情報の整合性を示す第2の整合性尺度を生成するよう構成され、前記出力インタフェースは、以前に生成された整合性尺度及び前記第2の整合性尺度が所定の整合性尺度よりも低い場合、不整合の示唆を出力するよう構成された、請求項6に記載の装置。

【請求項11】
前記画像入力部は、前記医療画像を含むデータ部分と、関連する画像関連情報を含むヘッダと、を有する医療画像ファイル、特にDICOM規格に従う医療画像ファイルを取得するよう構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記出力インタフェースは、特に不整合の度合いを含む、警告の形をとる不整合示唆を出力するよう構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
医療画像の画像関連情報を検証するためのシステムであって、
医療画像及び関連する画像関連情報を提供するための、画像源と、
前記画像源により提供された医療画像の画像関連情報を検証するための、請求項1に記載の装置と、
を有する、システム。
【請求項14】
医療画像の画像関連情報を検証するための方法であって、
医療画像及び関連する画像関連情報を取得するステップと、
前記画像関連情報の1つ以上を、予測される解剖学的特徴情報に変換するステップであって、前記予測される解剖学的特徴情報は、当該画像関連情報に基づいて予測される解剖学的特徴の情報である、ステップと、
前記取得された医療画像において前記予測される解剖学的特徴情報に対応する解剖学的特徴を探す処理、又は前記取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴を決定して当該決定した解剖学的特徴を前記予測される解剖学的特徴情報と比較する処理、を行う処理ステップと、
前記処理ステップの結果を評価して、前記画像関連情報の前記関連する医療画像との整合性を示す整合性尺度を生成するステップと、
前記生成された整合性尺度が所定の整合性尺度よりも低い場合に、不整合の示唆を出力するステップと、
を有する、方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、コンピュータ上で実行されたときに、請求項14に記載の方法のステップを前記コンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像の画像関連情報を検証するための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開US2011/0110572A1は、医学画像取得品質を動的に改善するシステムを開示している。該システムは、画像解析器、訂正プロセッサ、及びメッセージ生成器を含む少なくとも1つの処理装置を用いて、医療画像の品質を動的に改善する。該画像解析器は、医学画像取得装置により取得された患者の特定の解剖学的特徴の画像を表すデータを自動的に解析及び分析し、画像欠陥に関連する所定のパターンについて該画像を表すデータを検査することにより、該画像における欠陥を特定する。訂正プロセッサは、対応する訂正画像取得パラメータに画像欠陥を関連付ける所定の情報マップを用いて、特定された欠陥に応じて画像取得装置を用いて画像を再取得する際の利用のための訂正された画像取得パラメータを決定する。該メッセージ生成器は、特定された欠陥を示し、画像を再取得するため訂正された画像取得パラメータの使用を示唆するメッセージを、ユーザへの提示のために生成する。
【0003】
放射線画像のような医療画像が医療撮像装置を用いて取得される場合には、「検査された身体部分」、「画像の側性」、「観察位置」等といった付加的な情報(即ち関連する画像関連情報)が、例えば該画像のDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine、医療画像における情報の処理、保存、印刷及び伝送のための良く知られた規格)ヘッダにおいて、例えばPACS(Picture Archiving and Communication System)への送信によりデータベースに保存される前に、該画像とともに保存される。一般には、当該付加的な画像関連情報は、技術者によって手動で入力される。
【0004】
あらゆる手動で入力される情報と同様に、上述したエントリは、エラーを被り易い。エラーのある画像関連情報を伴う画像が保存されると、斯かるエラーは、訂正が難しい。例えば特定のハンギングプロトコルによる後続する画像閲覧においては、正しくない画像関連情報は、画像の正しくない表示に導き、従って閲覧業務フローを妨げる。
【0005】
米国特許出願公開US2011/0188718A1は、画像情報及び関連するメタデータを有する医療画像データを承認するためのシステムであって、少なくとも1つのデータ源から画像データを受信するよう構成された入力手段と、少なくとも1つの整合性基準を定義する整合性データが保存されたメモリと、画像データを解釈して、整合性基準に合致するか否かを決定し、合致しない場合には合致するように画像データを補正するよう構成された処理手段と、を有するシステムを開示している。基準画像に対する整合性を決定するため、別個のメタデータ整合及び画像整合が実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、医療画像の画像関連情報の訂正を確実にするための、医療画像の画像関連情報を検証するための装置、システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、医療画像の画像関連情報を検証するための装置であって、
医療画像及び関連する画像関連情報を取得するための、画像入力部と、
前記画像関連情報の1つ以上を、予測される解剖学的特徴情報に変換する、変換部と、
前記取得された医療画像における前記予測される解剖学的特徴情報を検索するか、又は前記取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴を決定し、前記予測される解剖学的特徴情報と比較するための、検出部と、
前記検出器の結果を評価し、前記画像関連情報の前記関連する医療画像との整合性を示す整合性尺度を生成するための、評価部と、
前記生成された整合性尺度が所定の整合性尺度よりも低い場合に、不整合の示唆を出力するための、出力インタフェースと、
を有する、装置が提示される。
【0008】
本発明の更なる態様においては、医療画像の画像関連情報を検証するためのシステムであって、
医療画像及び関連する画像関連情報を提供するための、画像源と、
前記画像源により提供された医療画像の画像関連情報を検証するための、請求項1に記載の装置と、
を有する、システムが提示される。
【0009】
本発明の更なる態様においては、医療画像の画像関連情報を検証するための対応する方法が提示される。
【0010】
本発明の更なる態様においては、コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、ここで開示された方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム、及び、プロセッサにより実行されるときに、ここで開示された方法が実行されるようにする、コンピュータプログラム製品を保存する、持続型コンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0011】
本発明の好適な実施例は、従属請求項において定義される。本発明の方法、コンピュータプログラム及び媒体は、本発明のシステム、特に従属請求項において定義されここで開示されたものと類似する及び/又は同一の好適な実施例を持つことは、理解されるべきである。
【0012】
本発明は、ユーザ(例えば医師、技術者、看護師等)により提供されている、又は例えば自動画像解析に基づいて自動的に画像と関連付けられている、画像関連情報との、画像内容の整合性をチェックするため、画像内容を解析するための画像解析を実行するという着想に基づくものである。不整合が検出されると、対応する情報が出力される。該出力される情報は、スペルチェッカのように機能し、ユーザの注意をことによると正しくないエントリに向ける、一種の警告機構であっても良い。該出力される情報はまた、例えば医療画像と好適に合致するか否かをチェックするための、異なる予測される画像関連情報を用いて検出を繰り返すための制御信号又はトリガであっても良い。
【0013】
該チェックに用いられる不整合閾値は、予め決定された固定されたものであっても良いし、又は画像の種類に固有のものであっても良い。一実施例においては、ユーザは適宜該不整合閾値を変更又は設定しても良い。従って、該不整合閾値に対してチェックされる整合性尺度は、画像関連情報がどれだけ関連する医療画像と整合しているかを示す、絶対値又は相対的な割合のような数字であっても良い。当該チェックのため、所与の画像関連情報から導出され、医療画像に存在することが予測される例えば標識(landmarks)、距離情報、サイズ情報、解剖学的特徴であっても良い、予測される解剖学的特徴情報が用いられる。
【0014】
一実施例においては、前記検出部は、予測される解剖学的特徴情報が、前記取得された医療画像において検出されたこと、又は前記取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴が、前記予測される解剖学的特徴情報と対応することの、確実性を示す、確実性尺度を生成するよう構成され、前記評価部は、前記整合性尺度の生成において、前記生成された確実性尺度を用いるよう構成される。このことは、整合性尺度の決定における精度を向上させる。
【0015】
更により正確な結果を得るため、前記検出部は、2つ以上の画像関連情報から予測される解剖学的特徴情報について別個に検出を実行して、画像関連情報毎に確実性尺度を生成するよう構成され、前記評価部は、前記整合性尺度の生成のため前記生成された確実性尺度を組み合わせるよう構成される。代替としては、前記変換部は、2つ以上の画像関連情報のそれぞれを、別個の予測される解剖学的特徴情報へと別個に変換するよう構成されても良く、このとき前記検出部は、2つの予測される解剖学的特徴情報について別個に検出を実行して、画像関連情報毎の確実性尺度を生成するよう構成され、前記評価部は、前記整合性尺度の生成のため前記生成された確実性尺度を組み合わせるよう構成される。
【0016】
解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性を含む、種々の予測される解剖学的特徴情報が利用されても良い。従って、前記変換部は、解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性のうちの1つ以上を含む、予測される解剖学的特徴情報に、1つ以上の画像関連情報を変換するよう構成されても良い。
【0017】
前記装置は更に、前記生成された整合性が前記所定の整合性閾値又は他の所定の整合性閾値よりも低い場合に、異なる予測される解剖学的特徴情報を用いて1回以上動作を繰り返すように、前記検出部及び前記評価部を制御するためのコントローラを有しても良い。該異なる予測される解剖学的特徴情報は、1回目に用いた最初の予測される解剖学的特徴情報に関連するが、異なるものであるべきである。該情報は、任意に選択されても良いし、又は選択のため最初の予測される解剖学的特徴情報を評価する学習させられた選択部を用いて選択されても良い。このことは、検証の正確さの向上をもたらす。
【0018】
1つ以上の画像関連情報の予測される解剖学的特徴情報への変換を実行するために必要な情報を変換部が得るための、種々の選択肢がある。一実施例においては、前記変換部は、1つ以上の画像関連情報を予測される解剖学的特徴情報へと変換するための複数の画像関連情報について別個の予測される解剖学的特徴情報を保存するデータベースにアクセスするよう構成される。他の実施例においては、前記変換部は、解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性を保存するデータベースにアクセスするよう構成される。更に他の実施例においては、前記変換部は、学習医療画像からの学習により取得された別個の予測される解剖学的特徴情報及び適切に関連する画像関連情報を保存するデータベースにアクセスするよう構成される。
【0019】
前記検出及び評価は、医療画像により好適に適合する画像関連情報を見出すために、1回以上反復されても良い。それ故、一実施例においては、前記検出部は、前記取得された医療画像における代替の解剖学的特徴情報を探すよう、又は前記取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴を検出し、代替の解剖学的特徴情報と比較するよう構成され、前記評価部は、前記検出部の結果を評価して、前記関連する医療画像に対する前記代替の画像関連情報の整合性を示す代替の整合性尺度を生成するよう構成され、前記出力インタフェースは、以前に生成された整合性尺度及び前記代替の整合性尺度が所定の整合性閾値よりも低い場合、不整合の示唆を出力するよう構成される。
【0020】
更なる実施例においては、自動的に代替の推測をチェックすることも可能であり、例えばビュー位置「MLO」によるマンモグラフィーについて確実性尺度が低い場合、代替のビュー位置「CC」、「ML」、…が実際のヘッダ情報よりも画像データに好適に合致する場合には、これら代替のビュー位置がチェックされユーザに提案されても良い。この概念は、他の態様についても拡張されることができ、例えば頭部CTスキャンにおいて、頭部検出部の結果の確実性が低い場合には、画像ヘッダにおける身体部分の記述が誤っていたか否かを調べるため、代替の組織検出部が適用されても良い。
【0021】
前記画像入力部は、前記医療画像を含むデータ部分と、関連する画像関連情報を含むヘッダと、を有する医療画像ファイル、特にDICOM規格に従う医療画像ファイルを取得するよう構成されても良い。しかしながら一般的には、他のファイル形式も利用されることができる。
【0022】
前記出力インタフェースは、特に不整合性の度合いを含む、警告の形をとる不整合示唆を出力するよう構成されても良い。ユーザはこのとき、画像関連情報をチェックして修正することができる。
【0023】
更なる選択肢は、画像が身体全体の解剖学的アトラスにマッピングされ、どの器官が画像にあるかについての推測を生成することを含む。このことは次いで、例えば専用の器官検出器のような検出部を用いて、明示的にチェックされても良い。所与の器官について、ここで言及される器官検出部は、請求項1に記載されたものと同じものであっても良い。更に、器官検出部が低い確実性しかもたらさない場合には、器官の予め定義されたリストについての器官検出部が利用されても良く、最も高い確実性を持つ器官が身体部分として示唆されても良い。更に、画像情報がビュー位置に関連する場合、同一の器官について異なる標準的なビュー位置が試験されても良い。
【0024】
提案されるシステムは、画像源を有し、該画像源は、撮像システムであっても良く、即ち、取得された画像が、取得及び付加的な画像関連情報の提供の後に直接に処理されるようなものであっても良く、又は該システムは、画像(画像関連情報を伴っていても伴っていなくても良い)が保存され後の時点において画像関連情報との対応性をチェックされる画像データベースを有する。
【0025】
該システムは任意に、画像関連情報を入力するための1つ以上のユーザインタフェースと、整合性情報(例えば警告、単なる情報、制御信号等)を出力するための出力ユニット(例えばディスプレイ、コントローラ、伝送ユニット等)と、予測される解剖学的特徴情報を保持するデータベース又は記憶部を更に有しても良い。該システムは更なる要素を有しても良く、種々の態様で構成され得る。
【0026】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明によるシステム及び装置の第1の実施例の模式的な図を示す。
図2】本発明によるシステム及び装置の第2の実施例の模式的な図を示す。
図3】本発明による方法の実施例のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明による医療画像の画像関連情報を検証するためのシステム1及び装置20の第1の実施例の模式的な図を示す。システム1は、医療画像及び関連する画像関連情報を提供するための画像源を有する。該画像源は、PACS、PC又はワークステーションのハードディスク、病院の画像保存部等のような、画像データベース又は記憶部10であっても良い。代替としては、該画像源は、CTスキャナ、MRスキャナ、X線スキャナ、PETスキャナ又はその他のいずれかの医療撮像モダリティの画像取得装置であっても良い。
【0029】
システム1は更に、画像源10により提供される医療画像の画像関連情報を検証するための装置20を有する。装置20は、例えば撮像システム11に結合された又は撮像システム11に含まれるPC又はワークステーションのプロセッサであっても良いが、医療画像の所望の処理を実行するよう構成された、病院ネットワークにおける又は医師のPC又はワークステーションのような、他のいずれの処理エンティティであっても良い。例えば、装置20は、撮像システム11による画像の取得と、PACSのような記憶部10における保存と、の間の医療画像の経路のどこかにおいて配置されても良く、これにより、関連する画像関連情報(例えば医師、看護提供者若しくは看護師又は技術者により入力されたもの)が、記憶部に保存される前に検証されるようにする。
【0030】
画像関連情報は、例えば対象の撮像位置(例えば腹臥、背臥、直立等)に関連する情報、画像身体部分(例えば胸部、手等)、ビュー位置(例えばMLO(中外側斜方)、CC(頭蓋尾側)、ML(中外側)等)、側性(例えば右、左等)、撮像システム11のタイプ(例えばMR、CT、X線等)、画像取得機器のパラメータ及び設定(例えば放射線量、継続時間、画像の数等)であっても良い。その他の情報が、代替として又はこれに加えて含まれても良い。
【0031】
装置20は、医療画像及び関連する画像関連情報を取得するための画像入力部21を有する。画像入力部21は、例えば無線又は有線の態様で、医療画像及び関連する画像関連情報を受信又は取得するためのデータインタフェース(例えばUSBインタフェース、WiFi(登録商標)インタフェース、LANインタフェース、HDMIインタフェース等)であっても良い。例えば、新たな画像関連情報が入力されるたびに、又は既存の画像関連情報が変更されるたびに、当該画像関連情報及び関連する医療画像が、装置20による検証のため該画像入力部に自動的に送信されても良い。
【0032】
医療画像及び関連する画像関連情報は、共通の医療画像ファイルに保存されても良く、このときデータ部分は医療画像を含み、ヘッダが関連する画像関連情報を含む。医療画像ファイルは、例えばDICOM規格に従って形成されても良い。
【0033】
装置20は更に、画像関連情報の1つ以上を予測される解剖学的特徴情報に変換するための変換部22を有する。予測される解剖学的特徴は、例えば標識、輪郭、形状記述子、モデル姿勢、骨、血管分岐等であっても良い。画像関連情報と予測される解剖学的特徴情報との間の関係は、例えば特定のモダリティ、身体部分、ビュー位置及び/又は側性についての、適切にラベル付けされた学習データのセットから学習されても良い。特に解剖学的な標識のセット及びその位置の分布、並びにこれらの間の空間的な関係における変動性における画像特性が、学習されても良い。斯くして、学習されたアルゴリズムが、変換部22によって用いられても良いし、又は画像関連情報と予測される解剖学的特徴情報との間の関係を保存するルックアップテーブルが、変換を実行するためにアクセスされても良い。
【0034】
変換部22は特に、画像関連情報の1つ以上を、解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性を含む、予測される解剖学的特徴情報に変換するよう構成されても良い。
【0035】
変換を実行するため、変換部22は、1つ以上の画像関連情報を予測される解剖学的特徴情報に変換するための、複数の画像関連情報についての別個の予測される解剖学的特徴情報を保存するデータベース40にアクセスしても良い。データベース40は、解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性を保存しても良い。データベース40は、学習医療画像から学習することにより得られた別個の予測される解剖学的特徴情報、及び適切に関連付けられた画像関連情報を保存しても良い。
【0036】
装置20は更に、取得された医療画像における予測される解剖学的特徴情報を検索するための、又は取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴を検出し、該特徴を予測される解剖学的特徴情報と比較するための、検出部23を有する。この目的のため、例えば特徴検出アルゴリズム、標識検出アルゴリズム又は組織検出のような1つ以上の既知の検出アルゴリズムが用いられても良い。該検出部は特に、解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性を検出するよう構成されても良い。
【0037】
装置20は更に、検出部の結果を評価し、画像関連情報の関連する医療画像との整合度を示す整合性尺度を生成するための、評価部24を有する。ここで、評価部24は特に、解剖学的特徴の数及び/又は種類、予測される画像特性、1つ以上の予測される解剖学的特徴の分布及び/又は位置、及び/又は1つ以上の予測される解剖学的特徴の空間的関係の変動性に関して、検出結果を評価するよう構成されても良い。当該評価に依存して、例えばどれだけの数の予測される解剖学的特徴が見出されたかや、予測される位置からの標識の位置の変位がどれだけ大きいか等に依存して、整合性尺度が生成される。例えば、見出された予測される解剖学的特徴の数が少ない場合、及び/又は大きな変位(例えば変位閾値を超える)がある場合には、見出された予測される解剖学的特徴の数が多い状況、及び/又は小さな変位しかない又は変位がない(例えば変位閾値より小さい)状況よりも、整合性尺度は高くなる。
【0038】
装置20は更に、生成された整合性尺度が所定の整合性閾値よりも低い場合に不整合の示唆を出力するための、出力インタフェース25を有する。出力インタフェース25は例えば、可視又は可聴の情報を発するための、ディスプレイ又はラウドスピーカのようなユーザインタフェースであっても良いし、又は斯かるユーザインタフェースに含められていても良いが、WiFi(登録商標)又はLANインタフェースのような、無線又は有線の態様で、他のエンティティ30に情報を送信するためのインタフェースであっても良く、これにより、例えば画像関連情報を入力した人物又は画像関連情報及び関連する医療画像の適正さを監視する又はチェックする責任のある人物のワークステーション又はPCのような他のエンティティ30において、該不整合の示唆が発せられるようにしても良い。該不整合情報は例えば、警告の形で発せられても良く、任意に不整合の度合いを含んでも良い。
【0039】
出力インタフェース25は更に、一実施例においては、画像関連情報が、適正なものであると検証された場合、例えば生成された整合性尺度が、所定の整合性閾値よりも高い場合に、受信された画像関連情報及び関連する医療画像を、所望の位置、例えば(PACSのような)画像記憶部10に転送するよう構成されても良い。
【0040】
更に、出力インタフェース25は、一実施例においては、例えば生成された整合性尺度が、所定の整合性閾値よりも高い場合に、画像関連情報が適正であると検証されたことを示す、整合性示唆を発するよう構成されても良い。斯かる整合性示唆は、画像関連情報及び関連する医療画像の保存を可能とするため、又は保存部10においてこれらを検証されたものとしてマークするため、例えば画像記憶部10のような他のエンティティにより利用されても良い。
【0041】
更に、一実施例においては、画像関連情報が適正であると検証されたことが、例えば画像記憶部10によって解釈され得る、斯かる整合性示唆は生成及び発行されない。
【0042】
所定の整合性閾値は、前もって決定され固定値であっても良い。他の実施例においては、該閾値は、画像関連情報の正当性の所望のレベルに基づいてユーザによって適合されても良い。更に、例えば撮像モダリティの種類に依存して、又は異なるユーザについて、例えば画像関連情報を入力した若しくは撮像システム11を利用して画像を取得した人物若しくは人物の職務に依存して、異なるタイプの画像に対して種々の閾値が用いられても良い。
【0043】
一実施例においては、検出器23は、取得された医療画像における予測される解剖学的特徴情報を検索する、又は取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴を検出器するのみならず、更に確実性を示す確実性尺度を生成し、これにより、取得された医療画像における1つ以上の予測される解剖学的特徴情報が検出され、又は、取得された医療画像における1つ以上の予測される解剖学的特徴が、予測される解剖学的特徴情報に対応する。評価部24は次いで、整合性尺度の生成において、該生成された確実性尺度を利用する。確実性尺度が高いと、確実性尺度が低い場合に比べて、整合性尺度は一般的に高くなる。
【0044】
好適には、検出部23は、2つ以上の画像関連情報について別個に検出を実行し、画像関連情報毎に確実性尺度を生成する。評価部24は次いで、整合性尺度の生成のため、該生成された確実性尺度を結合する。
【0045】
実施例においては、確実性尺度は、解剖学的特徴の検出の後の第2のステップとして用いられる。画像関連情報に基づいて、解剖学的特徴の検出は、画像における予測される解剖学的構造(器官、身体部分)を探すよう試み、最も適合する画像の位置を返す。確実性尺度は、例えば器官モデルの適合度の評価によって、識別された位置が実際の予測される解剖学的特徴を示す確率を(例えば0乃至1のスケールで)評価する。このとき、低い確実性尺度は、予測される器官が視野内にある見込みが小さいことを示す。
【0046】
更に、変換部22は、2つ以上の画像関連情報のそれぞれを、別個の予測される解剖学的特徴情報に変換するよう構成されても良く、検出部23は、2つ以上の予測される解剖学的特徴情報について別個に検出を実行し、画像関連情報ごとに確実性尺度を生成しても良い。評価部24は次いで、整合性尺度の生成のため、該生成された確実性尺度を結合する。
【0047】
図2は、本発明によるシステム2及び装置20'の第2の実施例の模式的な図を示す。装置20'により実行され得る方法の実施例のフロー図は、図3に示される。
【0048】
装置の第1の実施例20の要素に加え、装置の第2の実施例20'は、生成された整合性が前記所定の整合性閾値又はその他の所定の整合性閾値よりも低い場合に、別の予測される解剖学的特徴情報を用いて1度以上動作を繰り返すよう、検出部23及び評価部24を制御するためのコントローラ26を有する。
【0049】
図3に示されるように、第1のステップS10において、医療画像及び関連する画像関連情報が取得される。次いで、第2のステップS11において、1つ以上の画像関連情報が、予測される解剖学的特徴情報に変換される。第3のステップS12において、取得された医療画像において、該予測される解剖学的特徴情報が検索されるか、又は、取得された医療画像において、1つ以上の所与の解剖学的特徴が検出されて、次いでこれらが予測される解剖学的特徴情報と比較される。第4のステップS13において、第3のステップの結果が評価されて、関連する医療画像に対する画像関連情報の整合性を示す整合性尺度が生成される。
【0050】
一実施例においては、第5のステップS14において、該生成された整合性が所定の整合性閾値よりも低いか否かがチェックされる。該生成された整合性が所定の整合性閾値よりも高い場合には、ステップS15において、医療画像及び画像関連情報が、記憶部10において保存され、検証されたものとしてマークされ、任意に対応する整合性示唆が発せられる。そうでなければ、ステップS16において、不整合示唆が出力される。
【0051】
更に、装置20'を用いて、検出部23及び評価部24のステップS12及びS13の更なる反復が実行される。ここで、ステップS17において代替の解剖学的特徴が選択され、検出部23に供給される。検出部23は次いで、取得された医療画像における代替の解剖学的特徴情報を検索するか、又は取得された医療画像における1つ以上の所与の解剖学的特徴を検出し、これらを代替の解剖学的特徴情報と比較する。評価部24は次いで、検出部23の結果を評価し、関連する医療画像との代替の画像関連情報の整合性を示す代替の整合性尺度を生成する。最後に、以前に生成された整合性尺度及び代替の整合性尺度が所定の整合性閾値よりも低い場合に、出力インタフェース25が、不整合示唆を出力する。この場合には、解剖学的特徴の更なるセットを検出部23への入力として用いて、1つ以上の更なる反復が実行されても良い。更に、一実施例においては、解剖学的特徴のセットが利用されると、最も高い整合性を持つ特徴が、最も見込みの高い解剖学的構造を表すものとして選択される。
【0052】
例えば、一実装例においては、予測される標識が検出されるが、検出確実性が低い場合、又は標識の空間的な関係の位置が、学習された分布と整合しない場合、関連するが異なる画像関連情報に合致する代替の検出アルゴリズムのセットが、これら代替のそれぞれにおける確実性を決定するために画像に対して実行されても良い。例えば、検出アルゴリズムが、「身体部分=胸部、ビュー位置=MLO、及び側性=右」に整合する標識を検出することに失敗した場合、画像は「側性=左」及び/又は「ビュー位置=CC又はML」について検査される。画像は更に、「身体部分=較正ファントム」について検査されても良い。これらの代替の記述が、元の画像関連情報よりも、画像内容との高い整合性を持つ場合、警告がユーザに発せられ、提供されたエントリを再確認することを提案し、画像関連情報の代替のセットを提案しても良い。
【0053】
本発明は、例えば検証ツールの形をとる、画像処理又は画像管理ソフトウェア又は業務フローの一部であっても良く、ユーザインタフェースを有しても良い。該方法の適用の後、ユーザは、自動的に生成されたボリューム又は該システムにより自動的に提案された代替の画像関連情報を許容又は拒絶するよう促されても良い。
【0054】
本発明は図面及び以上の記述において説明され記載されたが、斯かる説明及び記載は説明するもの又は例示的なものであって限定するものではないとみなされるべきであり、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。図面、説明及び添付される請求項を読むことにより、請求される本発明を実施化する当業者によって、開示された実施例に対する他の変形が理解され実行され得る。
【0055】
請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではない。単一の要素又はその他のユニットが、請求項に列記された幾つかのアイテムの機能を実行しても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
【0056】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体のような適切な媒体上で保存/配布されても良いが、インターネット又はその他の有線若しくは無線通信システムを介してのような、他の形態で配布されても良い。
【0057】
請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3