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特許7150618免疫グロブリン単一可変ドメインについての改善された薬物動態アッセイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】免疫グロブリン単一可変ドメインについての改善された薬物動態アッセイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20221003BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20221003BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20221003BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20221003BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20221003BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/536 D
C12P21/08 ZNA
C07K16/00
C07K19/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018567281
(86)(22)【出願日】2017-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2017065219
(87)【国際公開番号】W WO2017220645
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-04-21
(31)【優先権主張番号】62/353,784
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【微生物の受託番号】BCCM  LMBP-9680-CB
(73)【特許権者】
【識別番号】505166225
【氏名又は名称】アブリンクス エン.ヴェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】スノエック,フェールレ
(72)【発明者】
【氏名】ボンティンク,リーゼロット
(72)【発明者】
【氏名】プールマンズ,ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】モルティエ,キェール
(72)【発明者】
【氏名】バイセ,マリー-アンジュ
(72)【発明者】
【氏名】デカイザー,リース
(72)【発明者】
【氏名】バウマイスター,ユーディト
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520134(JP,A)
【文献】Muhammad Haddad et al.,Purification of polyclonal IgG specific for Camelid's antibodies and their recombinant nanobodies,Open Life Science,2016年,vol.11,pp.1-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
C12P 21/08
C07K 16/00
C07K 19/00
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の少なくとも1つのISVD、又は少なくとも1つのISVDを含むタンパク質若しくはポリペプチドの量及び/又は濃度を決定するための方法であって、該方法は、
a)試料を捕捉剤と接触させ、これにより、ISVD、タンパク質又はポリペプチドは該捕捉剤によって捕捉される工程;
b)該補足剤によって捕捉されたISVD、タンパク質又はポリペプチドを検出剤と接触させ、これにより、該検出剤は、捕捉剤によって捕捉されたISVD、タンパク質又はポリペプチドと結合する工程;
c)該補足剤によって捕捉されたISVD、タンパク質又はポリペプチドに結合した検出剤の量に対応するシグナルを発生させる工程
を含み、該方法は、消光剤の存在下で実施され、該消光剤は、既存の抗体は結合することができるが、捕捉剤も検出剤も結合することができない、ISVD、又は露出したC末端を有する少なくとも1つのISVDを含むタンパク質又はポリペプチドである、前記方法。
【請求項2】
消光剤として使用されるタンパク質又はポリペプチドが、2012年6月4日にBCCM(ゲント、ベルギー)にアクセッション番号LMBP-9680-CBの下に寄託されているハイブリドーマ細胞株によって発現されるモノクローナル抗体21-4と、1マイクロモル(μM)より良好な親和性で結合するタンパク質又はポリペプチドである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
消光剤として使用されるタンパク質又はポリペプチドが、目的とする補足剤及び目的とする検出剤と、3μM未満/3μMより悪い、10μM未満、50μM未満、又は100μMより悪い親和性で結合するタンパク質又はポリペプチドである、請求項1又は2記載の方法、
【請求項4】
消光剤が、一価免疫グロブリン単一可変ドメイン、又は5個以下、4個、3個、2個、又は1個の免疫グロブリン単一可変ドメイン(群)を含む融合タンパク質又は構築物である、請求項1~3のいずれか記載の方法。
【請求項5】
消光剤に存在する免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも1つが、露出したC末端を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
露出したC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも1つが、配列VTVSS(配列番号1)をそのC末端に有する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
少なくとも消光剤が、そのC末端に免疫グロブリン単一可変ドメインを有する、請求項4又は5記載の方法。
【請求項8】
消光剤のC末端における免疫グロブリン単一可変ドメインが、配列VTVSS(配列番号1)をそのC末端に有する、請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、生物学的試料中の免疫グロブリン単一可変ドメイン(本明細書では「ISV」又は「ISVD」とも称される)並びに少なくとも1つのISV(本明細書にさらに記載されているような)を含むタンパク質及びポリペプチドのレベルを測定するための改善された薬物動態アッセイに関する。
【0002】
特に、本発明は、このようなアッセイを実施するための改善された方法に関する。
【0003】
本発明の他の態様、実施態様、使用、及び利点は、以下のさらなる記載から明らかとなろう。
【0004】
薬物の開発では、薬物の薬物動態(PK)の分析は、動物又はヒトへの投与後の薬物の運命(例えば分布、吸収、及び/又は分泌)を決定するために実施される。一般的に、このような分析は、しばしば複数の時点における、被験者から得られた生物学的試料(血液、血清、又は血漿のような)中の薬物の存在、レベル、又は濃度を決定することを含む。
【0005】
この目的のために、薬物動態アッセイが使用され、このようなアッセイを実施するための方法及び技術は一般的に当業者には公知である。一般的に、薬物動態アッセイを実施するための通常の方法は、試料を、測定される予定の化合物に結合することのできる補足剤と接触させる工程(すなわち、該補足剤が、測定される予定の化合物を補足することができる条件下で)、次いで、捕捉剤(これは、試料中の化合物の量の尺度としての役目を果たす)によって捕捉された測定される予定の化合物の量を決定する工程を含む。実際に、しばしば「サンドイッチ」構成が使用され、ここでは補足剤を表面(例えばマルチウェルプレート又はチップの表面など)上に固定し、捕捉剤によって捕捉された化合物の量を、検出及び/又は測定され得るシグナルを発生することのできる検出剤の添加によって決定する。定量PKアッセイでは、このシグナルの強度は、捕捉剤によって捕捉された測定される予定の化合物の量の尺度であり、これはさらに、出発試料中の測定される予定の化合物の量の尺度である。
【0006】
記載のように、これらのアッセイを実施するのに適した技術(例えばELISA、メソスケール・ダイアグノスティックス合同会社製のMSDプラットフォーム、ジャイロス社製のGyrolab(商標)プラットフォーム、及びメルクミリポア社製のSingulex(商標)プラットフォーム)は当技術分野において周知である。しばしば、捕捉剤は、測定される予定の化合物に結合することができる(及びしばしば該化合物に対して特異的に生じ得る)抗体(ポリクローナル抗体であるが好ましくはモノクローナル抗体である)である(本発明はまた、他の捕捉剤、例えばISVD、又は測定される予定の化合物の標的の使用も考える;例えば図2、4及び5並びに本明細書におけるさらなる説明も参照されたい)。検出剤はまた、検出可能/測定可能なシグナルを提供するために使用され得る任意の適切な薬剤であり得る。例えば、検出剤は、検出可能な標識又はタグにコンジュゲートさせておいた測定される予定の化合物に対する(好ましくはモノクローナル)抗体であり得る。実際に使用されることの多いいくつかの非制限的な例としては、蛍光標識、電気化学発光技術を使用して検出され得る標識、若しくはタグ(MSDプラットフォームの一部として使用されるルテニウムに基づいたSULFO-TAG(商標)標識のような)、又は基質を検出可能/測定可能な産物へと変換することのできるセイヨウワサビペルオキシダーゼ若しくは別の酵素が挙げられる。サンドイッチイムノアッセイ(サンドイッチELISAのような)について周知であるように、検出剤として、測定される予定の化合物に結合する検出用抗体と、基質から検出可能な産物への変換を触媒することのできる酵素結合二次抗体の組合せを使用することも可能である。これらの技術及び類似した技術の一般的な説明については、標準的な参考書、並びに、例えば‘O Kennedy et al., Biochemical Education 18(3), 1990、及びGan and Patel, Journal of Investigative Dermatology (2013), 133, e12. doi:10.1038/jid.2013.287(オンライン刊行物)を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明のアッセイ方法の構成を示した図である。
図2図2は、本発明のアッセイ方法の構成を示した図である。
図3図3は、本発明のアッセイ方法の構成を示した図である。
図4図4は、本発明のアッセイ方法の構成を示した図である。
図5図5は、本発明のアッセイ方法の構成を示した図である。
図6図6は、本発明のアッセイ方法の構成を示した図である。
図7図7は、各配列番号のアミノ酸配列を示した図である。
図8図8は、実施例における結合実験の条件を示した図である。
【0008】
図1~6は、本出願によって考えられる種類の薬物動態アッセイを実施するためのいくつかの好ましいが非限定的な構成を図示する。
【0009】
図1及び他の図面では、本発明は、測定される予定の化合物(図1~6のそれぞれにおいて(1)として示されている)として二価ISVD構築物(すなわち、各々が卵形によって示され、例示された構築物において実線によって示されている適切なリンカーを介して互いに連結されている、2つのISVDを含む)を使用することによって例示されている。本明細書にさらに記載されているように、この二価ISVD構築物の選択は、説明する目的のためだけのものであり、本発明は一般的に、生物学的試料中の、少なくとも1つのISVDを含む(特に、本明細書に記載のように、露出したC末端を有する少なくとも1つのISVDを含み、すなわち、これにより該C末端(及び拡大解釈するとタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物)はアッセイを実施している間に試料中の既存抗体と結合するリスクがある)任意のタンパク質、ポリペプチド又は他の化合物又は構築物の量を決定するための任意のアッセイに適用することができることが注記されるべきである。このようなタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物の他の例は、本明細書の開示に基づいて当業者には明らかであり、本明細書に記載のように、これには例えば、一価、二価、三価、単一特異的、二重特異的、三重特異的、及び/又は二重パラトープ性のISVDポリペプチド又は構築物(例えば、実施例1では、RSVに対する三価ナノボディ構築物であるALX-0171が使用される)が挙げられる。
【0010】
図1のアッセイでは、共有結合又は他の適切なリンカー又は固定化技術(3)を介して固相支持体(4)に連結させたモノクローナル抗体(2)を使用して、測定される予定の化合物(1)を補足する。あらゆる結合していない化合物(1)を除去した後(すなわち洗浄によって)、モノクローナル抗体(2)によって捕捉された化合物(1)の量を、検出剤の添加によって決定し、この検出剤は図1に示される構成では、リンカー(7)又は別の適切なコンジュゲーション技術(例えばストレプトアビジン-ビオチン対)を介して検出可能な標識(6)にコンジュゲートさせたモノクローナル抗体(5)である。次いで、あらゆる過剰な検出剤を除去し(すなわち、再び洗浄によって)、その後、捕捉剤によって捕捉されている化合物(1)に結合した検出剤の量を、検出可能な標識(6)によって提供されるシグナルを使用して決定する。
【0011】
図2に示されるアッセイの構成は、化合物(1)に対するモノクローナル抗体の代わりに、化合物(1)の標的(8)を固相支持体(4)上に固定する(すなわちリンカー(3)を使用して)以外は、図1に示される構成と実質的に同じである。
【0012】
図3に示されるアッセイの構成では、測定される予定の化合物(1)はここでも、固相支持体(4)に連結させたモノクローナル抗体(2)によって捕捉されるが、この場合、アッセイは、測定される予定のナノボディ構築物(1)の(可溶性)標的(8)の存在下で実施され、検出剤(リンカー(7)によって連結された、モノクローナル抗体(5)と検出可能な標識(6)とを含む)は、化合物(1)ではなく標的(8)に対して指向される。
【0013】
図4に示されるアッセイの構成は、「抗ISVD ISVD」(9)(例えば、VHHのフレーワーク配列に対して指向されるナノボディ)がモノクローナル抗体の代わりに捕捉剤として使用される以外は、図3に示された構成と実質的に同じである。
【0014】
図5に示されるアッセイの構成は、モノクローナル抗体(5)の代わりに、ビオチニル化(11)抗ISVD ISVD(10)とセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識されたストレプトアビジン(12)の組合せを検出剤として使用する以外は、図2で示された構成と実質的に同じである。
【0015】
図6に示されるアッセイの構成は、検出剤として、検出用抗体(13)と標識された二次抗体(5)/(6)/(7)の組合せを使用する以外は、図2で示された構成と実質的に同じである。
【0016】
図面に明記された以外の適切なアッセイの構成は、本明細書の開示及び実施例に基づいて当業者には明らかであり、記載のように、図1~6に示されたアッセイ及び類似したアッセイは、本明細書の開示に基づいて当業者には明らかであろう一般的に公知である技術及び方法を使用して実施され得る。
【0017】
国際公開公報第12/175741号では、ISVDを含有している生物学的試料(例えば、血液試料、例えば全血、血清、及び血漿、眼液、気管支肺胞液/気管支肺胞洗浄液、脳脊髄液、又は他の生物学的液体試料)を分析するために使用されるいくつかのアッセイにおいて(例えば抗薬物抗体イムノアッセイにおいて)、タンパク質による干渉が起こり得、そしてこのようなタンパク質による干渉は、これらの中のいくつかのアッセイにおいて及び/又はこれらの中のいくつかの試料について非特異的なシグナルを発生し得ることが記載されている。国際公開公報第12/175741号はまた、このようなタンパク質による干渉が、ISVDを用いて処置されたことのある被験者及び/又はISVDが投与されたことのある被験者(例えば患者又は臨床試験被験者)から得られた試料だけでなく、ISVDを一度も投与されたことがない被験者に由来する試料においても起こり得ることを記載している。国際公開公報第12/175741号にさらに記載されているように、このことは、このような干渉が、任意の出現している抗薬物抗体ではなく、既存タンパク質との非特異的なタンパク質間相互作用に起因する可能性が高いことを示す。国際公開公報第12/175471号はさらに、これらの干渉因子が、可変ドメインのC末端が露出している場合には、可変ドメインのC末端に結合することのできる(既存の)IgG抗体である可能性が最も高いことを示す(例えば、国際公開公報第13/024069号、Holland et al., J. Clin. Immunol. 2013, 33(7):1192-203、及び国際公開公報第2015/173325号も参照)。
【0018】
薬物動態アッセイは一般的に、血清試料(すなわち、ISVD又はISVDを含む薬物が投与されている被験者由来の)の使用を含むので、ISVDの露出したC末端に対するこのような「既存抗体」がこのような試料中に存在する場合には、該アッセイに干渉し得る可能性がある。これに鑑みて、本発明は、このような干渉(及び/又はこのような干渉が起こるリスク)の低減した、改善された薬物動態アッセイ及び該アッセイを実施するための方法を提供することを目指す。
【0019】
一般的には、本発明は、(十分な量の)「消光剤」、すなわち試料中に存在するあらゆる既存抗体が結合することのできるタンパク質又はポリペプチドの存在下でアッセイを実施することによって、起こり得るタンパク質による干渉の問題を解決する。結果として、干渉因子は、捕捉剤と、測定される予定の化合物と、検出剤との間の会合を(すなわち、アッセイに影響を及ぼし得るか又は歪める可能性のある様式で)干渉することはできない(又はもはやできない)。
【0020】
一般的に、本明細書にさらに記載されているように、本明細書において使用される消光剤は、ISVD、又は露出したC末端を有するISVDを含むタンパク質及びポリペプチドであり、このISVD、タンパク質又はポリペプチドはさらに、捕捉剤によって捕捉されることができないようなものであり、測定される予定の化合物又は検出剤と結合しないようなものである。
【0021】
したがって、第一の態様では、本発明は、試料中の、少なくとも1つのISVD、あるいは少なくとも1つのISVDを含むタンパク質、ポリペプチド、又は他の化合物若しくは構築物(該タンパク質、ポリペプチド、又は他の化合物若しくは構築物は本明細書に記載の通りである)の量及び/又は濃度を決定するための方法に関し、該方法は、
a)試料を補足剤と接触させ、これにより、ISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物又は構築物を、該補足剤によって捕捉する工程;
b)補足剤によって捕捉されたISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物を、検出剤と接触させ、これにより、該検出剤は、該補足剤によって捕捉されたISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物に結合する工程;
c)該捕捉剤によって捕捉されたISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物に結合した検出剤の量に対応するシグナルが発生する工程
を含み、該方法は、消光剤の存在下で実施され、該消光剤は、既存抗体は結合(すなわち特異的に結合)することができるが、捕捉剤及び検出剤は(実質的に)結合(すなわち、非特異的結合以外は結合)することができない、タンパク質又はポリペプチドである。この目的のために、消光剤は好ましくは、さらに本明細書に記載されている通りである。
【0022】
本明細書の開示に基づいて当業者には明らかであろうように、一般的に、上記の方法では、試料は、ISVDの露出したC末端に対して指向される既存抗体を含有していることが知られている及び/又は含有していることが疑われる生物学的液体試料であろう。特に、試料は、ISVDの露出したC末端に対して(特に、VHドメイン又はVHHドメインであるか又はこれに由来するナノボディ又は別のISVDに対して)指向される既存抗体を含有していることが知られている及び/又は含有していることが疑われる生物学的液体試料であろう。
【0023】
試料は、測定される予定の(少なくとも1つの)ISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物をさらに含有しているだろう。特に、測定される予定の該ISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物は、試料が得られた被験者に、すなわち臨床試験の一部として又は治療目的若しくは診断目的のために投与された、ISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物であり得る。1つの態様では、試料は、測定される予定のISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物の薬理学的特性、特にその薬物動態特性(例えばそのPK又は血清中半減期パラメーター)を決定するために得られる。
【0024】
試料は、被験者から得られた生物学的液体の任意の望ましくかつ適切な試料、例えば全血、血清、血漿、リンパ液、眼液、気管支肺胞液/気管支肺胞洗浄液、脳脊髄液、又は別の生物学的液体(例えば喀痰又は鼻洗浄液)の試料;特に、全血、血清、又は血漿の試料であり得る。該試料はまた、本発明のアッセイに使用するために適切に調製され得る/調製されている(例えば、適切な場合には、適切な希釈法若しくは抽出法によって、及び/又は、当技術分野においてそれ自体公知である1回以上の適切な前処理工程、例えば適切な酸解離工程によって)。実際には、通常、試料は、測定される予定の一定量のISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、若しくは構築物を含有することが知られているか、又は含有することが予想されるだろう。なぜなら、例えば、本明細書に記載のように、該試料は、該ISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物が投与された被験者から得られているからである。
【0025】
本発明のアッセイを使用して測定される予定のISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物は、一価ISVDを含み得るか又は実質的にからなり得るか、あるいは、1つ以上の(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの)ISVDを含むか又は実質的にからなるタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物であり得る。これらとしては例えば、例えば直接的な化学結合を介して又は1つ以上の適切なリンカーを使用して、互いに適切に連結された、少なくとも1つの(例えば1つ、2つ、又は3つの)ISVDと場合により1つ以上の他の部分又は実体とを含む、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物が挙げられ得る。さらなる説明及び本明細書に言及されている先行技術を参照する。
【0026】
1つの態様では、このようなタンパク質、ポリペプチド、化合物又は構築物では、存在するISVDの少なくとも1つは、治療に関連性のある標的に対して向けられるだろう。1つの具体的な態様では、このようなタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物はヒトにおいて、少なくとも1日間、例えば少なくとも3日間、例えば最大5日間又はそれ以上の半減期(t1/2βとして表現される)を有するだろう。この目的のために、該タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物は、このように半減期の延長された少なくとも1つの「治療用」ISVDを提供する、部分、結合ドメイン、又は結合単位を含有し得る。これは、例えば、(ヒト)血清タンパク質に対する、例えば(ヒト)血清アルブミンに対するISVDであり得る。本明細書におけるさらなる開示を参照する。
【0027】
別の態様では、このようなタンパク質、ポリペプチド、化合物又は構築物は、(ヒト)血清タンパク質、例えば(ヒト)血清アルブミンに対する少なくとも1つのISVDを含み、これについてはここでも、本明細書のさらなる開示を参照する。一般的に、この態様では、該タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物は通常さらに、少なくとも1つの治療的に活性な部分、結合ドメイン、又は結合単位、例えば1つ以上の治療に関連性のある標的(群)に対する1つ以上の結合ドメイン又は結合単位(これもナノボディーズなどのISVDを含む)を含有しているだろう。このようなタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物では、血清アルブミン結合性のISVDは一般的に、1つ以上の治療部分又は実体の半減期を延長させるために使用されるだろう。ここでも、このようなタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物はヒトにおいて、少なくとも1日間、例えば少なくとも3日間、例えば最大5日間又はそれ以上の半減期(t1/2βとして表現される)を有するだろう。
【0028】
本明細書に言及されているタンパク質及びポリペプチドは、好ましくは融合タンパク質である。1つの態様では、該タンパク質及びポリペプチドは、場合により1つ以上の適切なリンカーを介して連結された、ISVDを含むか又は実質的にからなる。
【0029】
一般的に、本発明では、測定される予定のISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物は、既存抗体、特に該ISVDの露出したC末端に対する既存抗体に感受性である及び/又はそれと結合するリスクのある、少なくとも1つのISVD(例えば治療標的に対するISVD及び/又は半減期延長性のISVD、例えば血清タンパク質に対するISVD)を含むようなものであろう。しばしば、該ISVDは、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物のC末端に存在するであろう。
【0030】
1つの特定の態様では、測定される予定のISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物は、既存抗体、特に該ISVDの露出したC末端に対する既存抗体に感受性である及び/又はそれと結合するリスクのある、少なくとも1つの重鎖ISVD(すなわち、本明細書にさらに記載されているように、ナノボディであるISVD、あるいは、VHHドメイン若しくはVHドメインであるか又はこれに由来する別のISVD)を含むようなものであろう。しばしば、該重鎖ISVDは、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物のC末端に存在するであろう。
【0031】
測定される予定のISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物に存在する1つ以上のISVDは、例えば既存抗体による結合を低減させるC末端伸長を有することによって(国際公開公報第12/175741号に記載のように)及び/又はフレームワーク突然変異を有することによって(国際公開公報第2015/173325号参照)、既存抗体による結合を低減させるために配列が最適化されていてもよい。
【0032】
本発明の方法及びアッセイを使用して測定され得るISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物については、本明細書に引用されている開示及び先行技術をさらに参照する。
【0033】
使用される消光剤は、露出したC末端を有する任意のISVD、あるいは露出したC末端を有する少なくとも1つのISVDを含む(特にそのC末端にISVDを有する)任意のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物であり得る。例えば、1つの具体的であるが非限定的な態様では、消光剤は、それ自体公知である適切なリンカーを使用して互いに連結されている2つのISVDを含む(又はさらには3つさえ含み得る)。
【0034】
消光剤は、試料中のあらゆる既存抗体が、本明細書に記載の通りである親和性をもって(特異的に)該消光剤に結合することができるように選択されるだろう。
【0035】
既存抗体が消光剤に(すなわち、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物ではなく)結合するであろうことを確実にするために、消光剤は、消光剤と既存抗体との間の結合相互作用についての親和性が、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物と、既存抗体との間の結合相互作用についての親和性よりも高い/より良好である(本明細書に記載のような)ように選択され得る(例えばであって限定するものではないが、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物が、既存抗体による結合を低減させるC末端伸長及び/又はフレームワーク突然変異を含有している場合、これは、このようなC末端伸長及びこのような突然変異を含有していない消光剤を選択することによって容易に成し遂げられ得る)。
【0036】
したがって、1つの非限定的な態様では、本発明の方法に使用される消光剤は、消光剤と既存抗体との間の結合相互作用についての親和性が、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物と、既存抗体との間の結合相互作用についての親和性の少なくとも10倍(例えば少なくとも100倍)高い/より良好である(本明細書に記載のような)ように選択される(一般的に、本出願の脈絡において、実例として、10nMの親和性は、100nMの親和性よりも10倍「良好」又は「高い」と判断される)。
【0037】
本明細書にさらに記載されているように、前の段落に記載のような親和性を比較する目的で、消光剤と抗体21-4(既存抗体のモデル/代用物として使用され得る)との間の結合相互作用についての親和性を、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物と、抗体21-4との間の結合相互作用についての親和性と比較することができる。したがって、1つの具体的であるが非限定的な態様では、本発明の方法において、消光剤は、消光剤と抗体21-4との間の結合相互作用についての親和性が、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物と、抗体21-4との間の結合相互作用についての親和性よりも良好/より高く(本明細書に定義されているように、特に、少なくとも10倍良好、例えば少なくとも100倍良好)なるように選択され得る。
【0038】
既存抗体が消光剤(すなわち、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物ではなく)に結合するであろうことを確実にする別の方法は、試料中に(最大限)存在することが予想される、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物の量と比較して適切な過剰量(例えば少なくとも10倍過剰、例えば少なくとも100倍過剰)を使用することである。一般的に、消光剤と既存抗体との間の結合相互作用についての親和性が、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物と既存抗体との間の結合相互作用についての親和性とほぼ同じであるか又はさらにはより悪い/より低い(と予想される)場合に、このような適切な過剰量が使用されるべきである(一般的に、本出願の脈絡において、実例として、100nMの親和性は、10nMの親和性よりも10倍「悪い」又は「低い」と判断される)。また、消光剤と既存抗体との間の結合相互作用についての親和性が、測定される予定のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物と既存抗体との間の結合相互作用についての親和性よりも良好である(と予想される)場合にも、適切な過剰量の消光剤を使用し得る。
【0039】
好ましくは、消光剤(特に、既存抗体が結合する予定の消光剤中のISVD)は、既存抗体による結合を低減させるための配列の最適化を全く有さない。例えば、それはC末端伸長を全く伴わないVTVSS配列で終わり得、それは好ましくは、既存抗体による結合を低減させることを目的とした突然変異も含有していない。それとは別に、ISVD、あるいは露出したC末端を有するISVDを含むタンパク質、ポリペプチド、化合物、若しくは構築物は、それがアッセイに干渉しない限り(例えば、それはアッセイに使用される他のいずれかの成分に結合することができるので及び/又は結合しているので)使用され得る。
【0040】
実際、既存抗体による消光剤との(可能な)結合に関して、及び既存抗体が結合することのできる適切な消光剤の選択に関して、試料中の既存抗体が異種ポリクローナル抗体個体群を形成する場合があり、既存抗体(及びISVDに対するそれらの親和性)が時々、試料毎に及び/又は被験者毎に異なる場合があることに留意する。
【0041】
これを説明するために、本発明において、マウスモノクローナル抗体クローン「21-4-3」(本明細書では「21-4」又は「ABH0015」とも称される)による結合(すなわち親和性)を、消光剤候補が、既存抗体と結合するか否かを決定するためのモデル/ツールとして使用することができる。21-4-3(及びそれを産生するハイブリドーマ、「ABH0015」とも呼ばれる)は国際公開公報第12/175741号(19頁の3~28行参照)から公知であり、ここでは、露出したC末端を有するISVDを含有するタンパク質又はポリペプチドが、タンパク質による干渉を受ける(すなわち、被験者から得られた生物学的試料中に存在し得る既存抗体と結合する)傾向を有するかどうかを決定するための代用品/モデルとして記載及び使用されている。国際公開公報第12/175741号はまた、ABH0015のVH配列及びVL配列も与える(国際公開公報第12/175741号の配列番号35及び36を参照)。国際公開公報第12/175741号の実施例7に記載のように、21-4は、国際公開公報第2006/122825号における配列番号98のナノボディ構築物を用いて免疫化されたマウスから出発してハイブリドーマ技術を使用して作製され、21-4を発現しているハイブリドーマ細胞株(「ABH0015」と呼ばれる)は、2012年6月4日にBCCM(ゲント、ベルギー)にアクセッション番号LMBP-9680-CBの下に寄託されている。国際公開公報第12/175741号の実施例8に示されているように、モノクローナル21-4抗体は、国際公開公報第2006/122825号における配列番号98のナノボディ構築物のC末端を認識し、該C末端は、フォンビルブランド因子(vWF)に対して生じたナノボディ(ヒト化VHH)からなり、ISVが、タンパク質による非特異的な干渉を受ける傾向を有するかどうかを予測するために使用され得る。実施例9では、国際公開公報第12/175741号もまた、タンパク質又はポリペプチド(特に、露出したC末端を有するISVDを含むタンパク質又はポリペプチド)がタンパク質による干渉を受ける(すなわち、被験者から得られた生物学的試料中に存在し得る既存抗体に結合する)傾向を有するか否かを予測/決定するためにABH0015が使用されているプロトコールも与える。
【0042】
本発明では、21-4への結合/21-4による結合は、タンパク質又はポリペプチドが消光剤としての使用に適しているか否かを測定/決定するための代用品として使用され得る(本明細書の実施例5も参照)。
【0043】
一般的に、本発明では、タンパク質又はポリペプチドは、実施例5に記載のプロトコールに従ってビアコアを使用して決定された場合に、1マイクロモル(μM)より良好な親和性(KDとして表現される)、例えば1000~1nMの親和性で、21-4に結合する場合に、消光剤として使用するのに適しているだろう(明瞭にするために、非限定的な例を用いると、一般的に本発明の明細書において、1nMの親和性は、1μM/1000nMの親和性より「より高い/より良好」であると判断されることに留意する)。
【0044】
記載のように、本発明の方法において、測定される予定のISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物が既存抗体に結合する親和性よりも、より高い/より良好な既存抗体に対する親和性を有する消光剤を使用しようとする場合、好ましくは使用される消光剤は、測定される予定のISVD、タンパク質、ポリペプチド、化合物、又は構築物が21-4に結合する親和性よりも10×(10倍)高い/良好な、好ましくは100×(100倍)高い/良好な親和性で21-4に結合するだろう(ここでも、この脈絡において、実例として、10nMの親和性は、100nMの親和性よりも10倍「高い」と判断される)。
【0045】
したがって、1つの態様では、本発明は、本明細書において上記したような方法に関し、消光剤として使用されるタンパク質又はポリペプチドは、実施例5に記載のプロトコールに従ってビアコアを使用して決定された場合に、1マイクロモル(μM)より良好な親和性で、例えば1000~1nMの親和性で、21-4に結合するタンパク質又はポリペプチドである。
【0046】
消光剤はまた、実質的に捕捉剤又は検出剤に結合すべきではない(又は、非特異的結合以外に結合すべきではない)。実際に、このことは、捕捉剤及び検出剤に対する消光剤の親和性(又はその逆である消光剤に対する補足剤の親和性、及び消光剤に対する検出剤の親和性)が、3μMより低い/悪い、好ましくは10μMより低い、より好ましくは50μMより低い、例えば100μMより悪くあるべきであることを意味する(明瞭にするために、非限定的な例を用いると、一般的に本発明の明細書において、10μMの親和性は、1μMの親和性より「より悪い/より低い」と判断されることに留意する)。一旦(候補)補足剤及び(候補)検出剤が選択されたら、(候補)消光剤に対するその親和性を決定し、これにより、目的とする補足剤及び検出剤と共に使用するに適した消光剤を選択することは十分に当業者の技能範囲内であろう。
【0047】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書において上記した方法に関し、消光剤として使用されるタンパク質又はポリペプチドは、(i)実施例5に記載のプロトコールに従ってビアコアを使用して決定された場合に、1マイクロモル(μM)より良好な親和性で、例えば1000~1nMの親和性で21-4に結合し;そして(ii)3μMより低い/悪い、好ましくは10μMより低い、より好ましくは50μMより低い、例えば100μMより悪い親和性で、目的とする補足剤及び目的とする検出剤と結合する、タンパク質又はポリペプチドである。
【0048】
本発明において、使用される消光剤は、一価ISVD(例えば一価ナノボディ)であっても、又は2つ以上(例えば2つ又は3つ)のISVD(そのうち少なくとも1つは露出したC末端を有する)を含む融合タンパク質若しくは構築物であってもよい。実際に、消光剤は通常、そのC末端にISVDを有するポリペプチド、(融合)タンパク質、又は構築物であろう(このISVDは、その後、該ポリペプチド、タンパク質、又は構築物のC末端を形成しているために、露出したC末端を有するだろう)。
【0049】
消光剤は既存抗体と結合することが可能であるべきであるので、消光剤のC末端を形成しているVHHは好ましくは、既存抗体との結合を低減させることを目的としたC末端の伸長(国際公開公報第12/175741号に記載のような)も突然変異(国際公開公報第2015/173325号に記載の突然変異のような)も全く有さないだろう。
【0050】
したがって、好ましくは、消光剤は、そのC末端にISVD(及び好ましくはナノボディ)を有するタンパク質又はポリペプチドであり、消光剤(のC末端を形成しているISVD)は好ましくは、そのC末端にアミノ酸配列VTVSS(配列番号1)を有する。消光剤は、例えば適切には、一価、二価、二重特異的、三価、又は三重特異的構築物のISVD構築物であり得る。好ましくは、消光剤は、一価ナノボディ、二価ナノボディ構築物(単一特異的であっても、二重特異的であってもよい)、又は三価ナノボディ構築物(これは単一特異的であっても、二重特異的であっても、三重特異的であってもよい)である。
【0051】
図2~6に示されているように、本発明のアッセイのためのいくつかの可能な構成では、測定される予定の化合物に対する標的(図2~6において(8)として示される)が、捕捉剤の一部として又は検出剤の一部としてのいずれかで(又は両方で)使用され得る。したがって、消光剤に存在するISVD(群)は、あらゆる標的(群)に対して指向され得るが、該標的をアッセイの一部として使用する場合には、測定される予定の化合物の標的に対して指向されるべきではない。
【0052】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書において上記した方法に関し、消光剤として使用されるタンパク質又はポリペプチドは、露出したC末端を有する少なくとも1つのISVDを含有しているタンパク質又はポリペプチドであり、該ISVDのC末端は、C末端アミノ酸配列VTVSS(配列番号1)で終わる。ここでも、該消光剤は好ましくは(i)実施例5に記載のプロトコールに従ってビアコアを使用して決定された場合に、1マイクロモル(μM)より良好な親和性で、例えば1000~1nMの親和性で21-4に結合し;そして(ii)3μMより低い/悪い親和性で、好ましくは10μMより低い、より好ましくは50μMより低い、例えば100μMより悪い親和性で、目的とする捕捉剤及び目的とする検出剤に結合する。
【0053】
別の態様では、本発明は、本明細書において上記した方法に関し、消光剤として使用されるタンパク質又はポリペプチドは、そのC末端にISVDを有するタンパク質又はポリペプチドであり、前記のC末端のISVD(及び結果として、消光剤として使用されるタンパク質又はポリペプチド)は、C末端アミノ酸配列VTVSS(配列番号1)で終わる。ここでも、該消光剤は好ましくは、(i)実施例5に記載のプロトコールに従ってビアコアを使用して決定された場合に、1マイクロモル(μM)より良好な親和性で、例えば1000~1nMの親和性で21-4に結合し;そして(ii)3μMより低い/悪い親和性で、好ましくは10μMより低い、より好ましくは50μMより低い、例えば100μMより悪い親和性で、目的とする捕捉剤及び目的とする検出剤に結合する。
【0054】
本発明の方法において消光剤を使用する1つの簡便な方法は、捕捉工程の前に(過剰な)消光剤を含有している適切な希釈緩衝液を用いて、試験される予定の試料(上記のように、酸解離工程などの、それ自体公知の1回以上の適切な前処理工程をすでに受けていてもよい)を希釈することである。このようにして、試料中の既存抗体は、捕捉工程及び検出工程より前に消光剤と結合し、したがって、該既存抗体はアッセイの測定及び/又は読み取り情報に干渉することができないことが確実となる。
【0055】
本発明の他の態様、実施態様、利点、及び適用は、本明細書におけるさらなる説明から明らかとなろう。
【0056】
本明細書において、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」(「ISV」又は「ISVD」とも称される)という用語は一般的に、別の可変ドメインとの相互作用を伴うことなく(慣用的な4本鎖のモノクローナル抗体のVHドメインとVLドメインとの間に必要とされるようなVH/VL相互作用を伴うことなく)、機能的な抗原結合部位を形成することのできる免疫グロブリン可変ドメイン(これは、VHドメイン、VHHドメイン、又はVLドメインをはじめとする、重鎖ドメイン又は軽鎖ドメインであり得る)を指すために使用される。ISVDの例は当業者には明らかであり、これには例えば、ナノボディーズ(VHH、ヒト化VHH及び/又はラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)、免疫グロブリン新規抗原受容体ドメイン、VHドメインであるか若しくはVHドメインに由来する(単一ドメイン)抗体(例えばdAb’s(商標))、及びVLドメインであるか若しくはVLドメインに由来する(単一ドメイン)抗体(例えばdAb’s(商標))が挙げられる。本明細書において特に明記されない限り、重鎖可変ドメイン(例えばVHドメイン又はVHHドメイン)に基づいた及び/又はこれに由来するISVDが一般的に好ましい。最も好ましくは、本明細書において特に明記されない限り、ISVDはナノボディであろう。
【0057】
「ナノボディ」という用語は一般的に、国際公開公報第2008/020079号又は国際公開公報第2009/138519号に定義されている通りであり、したがって具体的な態様では一般的に、VHH、ヒト化VHH、又はラクダ化VH(例えばラクダ化ヒトVH)、又は一般的に配列の最適化されたVHH(例えば、化学的安定性及び/又は溶解性のために、公知のヒトフレームワーク領域と最大限にオーバーラップさせるために、及び最大限の発現のために最適化されている)を示す。ナノボディ又はナノボディーズという用語は、アブリンクス社の登録商標であり、したがって、ナノボディ(登録商標)及び/又はナノボディーズ(登録商標)とも称され得ることを注記する。
【0058】
一般的に、本明細書において特に明記されない限り、本明細書に言及されているISVD、ナノボディーズ、ポリペプチド、タンパク質、並びに他の化合物及び構築物は、ヒトにおける(及び/又は場合により、恒温動物、特に哺乳動物においても)疾患又は障害の予防又は治療に使用することを目的とするだろう。したがって、一般的に、本明細書に記載のISVD、ナノボディーズ、ポリペプチド、タンパク質、並びに他の化合物及び構築物は、(生物学的)薬物又は他の薬学的若しくは治療的に活性な化合物、及び/又は医薬製品若しくは医薬組成物として使用されることができるような、並びに/あるいは、適切にはその一部であり得るようなものである。このような薬物、化合物、又は製品は好ましくは、例えばこのような予防若しくは治療の必要な被験者の予防若しくは治療のために、又は臨床試験の一部として、ヒトへの投与に適しているようなものである。本明細書にさらに記載されているように、この目的のために、このような薬物又は化合物は、本発明によって提供されるISVD以外に、他の部分、実体、又は結合単位(これは、これもまた本明細書において記載されているように、例えば、1つ以上の他のさらなる治療部分、及び/又は、ISVDに基づいた若しくはナノボディに基づいた生物学的製剤の薬力学的特性若しくは薬物動態特性、例えばその半減期に影響を及ぼす1つ以上の他の部分であり得る)を含有していてもよい。このようなさらなる治療部分又は他の部分の適切な例は当業者には明らかであり、例えば一般的には、任意の治療的に活性なタンパク質、ポリペプチド、又は他の結合ドメイン若しくは結合単位、並びに、例えば国際公開公報第2009/138159号の149~152頁に記載されているような改変を含み得る。ISVDに基づいた生物学的製剤又はナノボディに基づいた生物学的製剤は好ましくは治療剤であるか又は治療剤(これは予防及び診断を含む)として使用することを目的とし、この目的のためには好ましくは、治療に関連した標的(例えばRANK-L、vWF、IgE、RSV、CXCR4、IL-23、又は他のインターロイキン又はそれらの受容体など)に対する少なくとも1つのISVDを含有している。このようなISVDに基づいた又はナノボディに基づいた生物学的製剤のいくつかの具体的であるが非限定的な例については、実施例8~18及びまた例えばアブリンクス社による様々な出願(例えばであって限定するものではないが、国際公開公報第2004/062551号、国際公開公報第2006/122825号、国際公開公報第2008/020079号、及び国際公開公報第2009/068627号)、並びに、例えばであって(限定するものではないが)国際公開公報第2006/038027号、国際公開公報第2006/059108号、国際公開公報第2007/063308号、国際公開公報第2007/063311号、国際公開公報第2007/066016号、及び国際公開公報第2007/085814号などの出願を参照する。また、本明細書にさらに記載されているように、さらなる部分は、(ヒト)血清タンパク質、例えば(ヒト)血清アルブミンに対して指向される本明細書に記載のようなISVD又はナノボディであり得、このようなISVD又はナノボディは、特に1つ以上の治療用ISVDの半減期の延長において及び/又はその延長のために、治療用途を見い出し得る。例えば、国際公開公報第2004/041865号、国際公開公報第2006/122787号、及び国際公開公報第2012/175400号を参照し、これは一般的に半減期延長のための血清アルブミン結合性ナノボディーズの使用を記載している。また、本明細書では、本明細書において特に明記されない限り、本明細書に記載された全ての用語は、国際公開公報第2009/138519号(又は、国際公開公報第2009/138519号に引用された先行技術に)又は国際公開公報第2008/020079号(又は国際公開公報第2008/020079号に引用された先行技術に)に示された意味を有する。また、方法又は技術が本明細書において具体的に記載されていない場合には、国際公開公報第2009/138519号(又は、国際公開公報第2009/138519号に引用された先行技術に)又は国際公開公報第2008/020079号(又は国際公開公報第2008/020079号に引用された先行技術に)に記載の通りに実施され得る。また、本明細書に記載のように、本発明の任意のISVD又は化合物を含む任意の医薬製品又は医薬組成物はまた、医薬製品又は医薬組成物への使用においてそれ自体公知である1つ以上のさらなる成分(すなわち、目的とする剤形に応じて)及び/又は例えば治療に使用することを目的とした1つ以上の他の化合物又は活性成分(すなわち、組合せ製品を提供するために)も含み得る。
【0059】
また、本明細書又は特許請求の範囲において使用される場合、以下の用語は、国際公開公報第2009/138519号の62~75頁に示されているのと同じ意味を有し、及び/又は適用可能である場合には、国際公開公報第2009/138519号の62~75頁に記載されている方法で決定され得る:「アゴニスト」、「アンタゴニスト」、「逆アゴニスト」、「非極性の非荷電アミノ酸残基」、「極性非荷電アミノ酸残基」、「極性荷電アミノ酸残基」、「配列同一率」、「まさに同じ」及び「アミノ酸の違い」(2つのアミノ酸配列の配列比較に言及する場合)、「実質的に単離された(形)(で)」、「ドメイン」、「結合ドメイン」、「抗原決定基」、「エピトープ」、「に対する」、又は(抗原)「に対して指向される」、「特異性」、及び「半減期」。さらに、「改変している」及び「改変するために」、「相互作用部位」、「に対して特異的である」、「交差遮断する」、「交差遮断された」及び「交差遮断している」及び「pHとは実質的に独立している」という用語は、アブリンクス社の国際公開公報第2010/130832号の74~79頁に定義されている通りである(及び/又はそこに記載されている通りに決定され得る)。また、本発明の構築物、化合物、タンパク質、又はポリペプチドに言及する場合、「一価」、「二価」(又は「多価」)、「二重特異的」(又は「多重特異的」)及び「二重パラトープ性」(又は「多重パラトープ性」)のような用語は、国際公開公報第2009/138519号、国際公開公報第2010/130832号、又は国際公開公報第2008/020079号に示された意味を有し得る。
【0060】
本明細書に言及されているISVD、ナノボディ、ISVDに基づいた生物学的製剤、ナノボディに基づいた生物学的製剤、又は任意の他のアミノ酸配列、化合物、若しくはポリペプチドに関してここで使用される「半減期」という用語は一般的には、国際公開公報第2008/020079号の57頁のo)段落に記載のように定義され得、その中で記載されているように、例えば天然の機序による配列若しくは化合物の分解及び/又は配列若しくは化合物の排除若しくは捕獲に因り、インビボにおいて、アミノ酸配列、化合物、又はポリペプチドの血清中濃度が50%減少するのに要する時間を指す。本発明のアミノ酸配列、化合物、又はポリペプチドのインビボにおける半減期は、薬物動態分析によるなどのそれ自体公知の任意の方法で決定され得る。適切な技術は当業者には明らかであり、例えば一般的には国際公開公報第2008/020079号の57頁のo)段落に記載の通りであり得る。これもまた国際公開公報第2008/020079号の57頁のo)段落に記載のように、半減期は、t1/2α、t1/2β、及び曲線下面積(AUC)などのパラメーターを使用して表現され得る。これに関して、本明細書において使用する「半減期」という用語は特に、t1/2β又は終末相半減期を指すことが注記されるべきである(t1/2α及び/又はAUCあるいはその両方を考慮しなくてもよい)。例えば、以下の実験部、並びに、標準的な参考書、例えばKenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists and Peters et al, Pharmacokinetic analysis: A Practical Approach(1996)を参照する。また、Marcel Dekkerによって刊行された"Pharmacokinetics", M Gibaldi & D Perron、改訂版(1982)も参照する。同様に、「半減期の延長」又は「延長された半減期」という用語も、国際公開公報第2008/020079号の57頁のo)段落に定義されている通りであり、特にt1/2α及び/又はAUCあるいはその両方の延長を伴う又は伴わない、のいずれかである、t1/2βの延長を指す。
【0061】
用語が本明細書において具体的に定義されていない場合、それは当技術分野におけるその通常の意味を有し、これは当業者には明らかであろう。例えば、標準的な参考書、例えばSambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual" (2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989); F. Ausubel et al, eds., "Current protocols in molecular biology", Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987); Lewin, “Genes II”, John Wiley & Sons, New York, N.Y., (1985); Old et al., “Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering”, 2nd edition, University of California Press, Berkeley, CA (1981); Roitt et al., “Immunology” (6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh (2001); Roitt et al., Roitt’s Essential Immunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK (2001);及びJaneway et al., “Immunobiology” (6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York(2005)、並びに、本明細書に引用されている一般的な背景技術を参照する。
【0062】
また、本明細書においてすでに示されているように、ナノボディのアミノ酸残基は、Riechmann and Muyldermans, J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2): 185-195の論文におけるラクダ由来のVHHドメインに適用されているような;又は本明細書に言及されている、Kabat et al.(“Sequence of proteins of immunological interest”, 米国公衆衛生局、NIHベセスダ、MD州、刊行物番号91)によって示されるVHについての一般的な番号付けに従って番号付けられる。この番号付けによると、ナノボディのFR1は1位~30位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は31位~35位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2は36位~49位にアミノ酸を含み、ナノボディのCDR2は50位~65位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は66位~94位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は95位~102位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR4は103位~113位にアミノ酸残基を含む。[これに関して、VHドメイン及びVHHドメインについて当技術分野において周知であるように、各々のCDRにおけるアミノ酸残基の総数は変化し得、Kabat番号付けによって示されるアミノ酸残基の総数に対応していない場合もあることが注記されるべきである(すなわち、Kabat番号付けによる1つ以上の位置が、実際の配列においては占有されていない場合があるか、又は、実際の配列が、Kabat番号付けによって許容される数よりも多くのアミノ酸残基を含有している場合もある)。このことは、一般的に、Kabatによる番号付けが、実際の配列内のアミノ酸残基の実際の番号付けに対応していても対応していなくてもよいことを意味する。しかしながら、一般的に、Kabatの番号付けによると、CDRにおけるアミノ酸残基の数に関係なく、Kabat番号付けによる1位はFR1の開始部に対応し、及びその逆も同様であり、Kabat番号付けによる36位はFR2の開始部に対応し、及びその逆も同様であり、Kabat番号付けによる66位はFR3の開始部に対応し、及びその逆も同様であり、Kabat番号付けによる103位はFR4の開始部に対応し、及びその逆も同様である]。
【0063】
VHドメインのアミノ酸残基を番号付けするための代替的な方法(該方法を、ラクダ由来のVHHドメイン及びナノボディーズにも同じように適用することができる)は、Chothia et al.(Nature 342, 877-883 (1989))によって記載されている方法、いわゆる「AbM定義」及びいわゆる「接触定義」である。しかしながら、本明細書、態様及び図面において、Riechmann and MuyldermansによってVHHドメインに適用されているようなKabatによる番号付けに、特記しない限り従うだろう。
【0064】
また、図面、任意の配列表、及び実験部/実施例は、本発明をさらに説明するためだけに示され、本明細書において特に明記されない限り、本発明の範囲及び/又は添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈又は捉えられるべきではないことが注記されるべきである。
【0065】
本発明は、以下の非限定的な好ましい態様、実施例、及び図面を用いてこれからさらに記載され、図1~6は、本発明において使用され得る種類の薬物動態アッセイを実施するための様々な構成を図示する(各場合において、本発明において使用される消光剤は示されていない)。
【0066】
特記しない限り、以下の実験部で実施された全ての工程は、製造業者の説明書に従って又はさもなくば当業者には一般的に公知である標準的な条件を使用して実施された。
【0067】
実施例1:メソスケールディスカバリー(商標)(MSD)プラットフォームを使用したPKアッセイにおける消光剤の使用
この実施例は、ヒト血清試料中のナノボディに基づいた(融合)タンパク質の総濃度を決定するために使用された薬物動態アッセイにおける消光剤の使用を示す。この実施例では、メソスケールディスカバリープラットフォームを使用して、様々な濃度のALX-0171の添加されたヒト血清試料中のALX-0171(ヒト呼吸器合胞体ウイルスに対する三価ナノボディ構築物;国際公開公報第2010/139808号参照)の濃度を決定する。アッセイの構成は実質的に、図1に図示されている通りである(ALX-0171は、図1に説明のために示されている二価ナノボディ構築物の代わりに三価ナノボディ構築物であるが)。
【0068】
使用される消光剤は、三価ナノボディ構築物であり(N末端のヒスチジンタグ及び配列番号1の配列であるC末端を有する(すなわち、C末端の伸長は伴わない))、その配列は図7に配列番号2として示されている。
【0069】
ALX-0171ナノボディに結合しかつ中和するビオチニル化マウスモノクローナル抗体を、捕捉剤として使用し(PBS/0.1%カゼイン中5.0μg/mlで)、ストレプトアビジン-ゴールドマルチアレイ96ウェルプレート上に固定した。試験される予定のヒト血清試料を50倍に希釈した(PBS/0.1%カゼインで最初に5倍に希釈し、次いで、1000mM酢酸で5倍希釈する。室温で60分間インキュベートした後、4.0μg/mlの消光剤を含有している1Mトリス緩衝液(pH9.5)で2倍に希釈する)。室温で一晩インキュベートした後、試料を、ALX-0171が捕捉剤によって捕捉されることを可能とする標準的な条件下で、補足剤でコーティングされた96ウェルプレートに(50μlの分取液で)アプライする。
【0070】
1時間インキュベートし洗浄した後、検出剤(ALX-0171ナノボディに結合し中和する、スルホ基タグ化マウスモノクローナル抗体)を加え、固定化された補足剤によって捕捉されたALX-0171への結合を可能とした。洗浄後、プレートの各ウェルにおける電気発光シグナルの量を、Sector Imager2400を使用してMSD Read緩衝液の添加後10分以内に測定した。
【0071】
使用されるヒト血清試料中のあらゆる既存抗体の存在も、アッセイの一部としての消光剤の存在若しくは使用のいずれも、ALX-0171が987pg/mL~658537pg/mLの既知濃度でヒト血清試料中に添加された場合、ALX-0171の濃度の決定にあらゆる有意な様式で影響を及ぼさなかったことが判明した。これらの濃度は、一般的な濃度範囲内に該当し、これはとりわけ、ナノボディに基づいた治療薬の関与する臨床試験(例えば、ナノボディに基づいた治療薬のPKを決定する目的のための)中にヒト被験者から、場合により適切に希釈した後に得られた血清試料において見られることが予想される、ナノボディに基づいた治療薬の濃度を代表するだろう。
【0072】
実施例2:ELISAに基づいたPKアッセイにおける消光剤の使用
この実施例は、ヒト血清試料中のナノボディに基づいた(融合)タンパク質の総活性濃度を決定するために使用された、ELISAに基づいた薬物動態アッセイにおける消光剤の使用を示す。
【0073】
この実施例では、ナノボディは、IL-6受容体及びヒト血清アルブミンに対して指向される二重特異的構築物である(国際公開公報第2008/020079号及び国際公開公報第2009/095489号参照)。周知であるように、IL-6受容体は膜結合型並びに可溶性形の両方で存在することが知られている。この実施例に記載のアッセイは、「遊離」ナノボディ(すなわち、使用される血漿試料中に存在する可溶性IL-6受容体に結合していない)と、試料中に存在する可溶性IL-6受容体に結合しているナノボディとを含む、総活性濃度を決定することができる。
【0074】
アッセイの構成は、実質的に図4に図示されている通りである。
【0075】
使用される消光剤は、一価ナノボディであり(N末端のヒスチジンタグ、及びC末端の伸長を全く伴わない配列番号1の配列であるC末端を有する)、その配列は図7に配列番号3として示されている。
【0076】
ナノボディーズのフレームワーク(群)を認識する二価ナノボディが捕捉剤として使用され(BICA緩衝液中3.0μg/ml)、C96マキシソーププレート上にコーティングされた。試験される予定のヒト血清試料を200倍希釈した(PBS/0.1%カゼインで最初に20倍希釈し、次いで、1600mM酢酸で5倍希釈する。室温で90分間インキュベートした後、0.5μg/mlのヒトsIL-6受容体と4.0μg/mlの消光剤とを含有している1Mトリス緩衝液(pH9.5)で2倍に希釈する)。室温で60分間インキュベートした後、試料を、抗IL-6Rナノボディが捕捉剤によって捕捉されることを可能とする標準的な条件下で、補足剤でコーティングされた96ウェルプレートに(100μlの分取液で)アプライする。
【0077】
1時間インキュベートし洗浄した後、可溶性IL-6受容体溶液(0.25μg/ml)を加え、室温で30分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、検出剤(抗体とナノボディの同時結合を可能とする、ナノボディとは異なるIL-6R上のエピトープを認識する0.25μg/mlのマウスモノクローナル抗体)を加え、ナノボディによって捕捉されたIL-6Rへの結合を可能とし、このナノボディ自体は、固定化された補足剤と結合している。洗浄後、0.65μg/mlのHRP標識ウサギ抗マウスIgを加え、室温で30分間インキュベートした。洗浄後、TMB基質を加え、450nmにおける各ウェルのODシグナルを、基準として620nmを使用して測定した。
【0078】
使用されるヒト血清試料中のあらゆる既存抗体の存在も、アッセイの一部としての消光剤の存在若しくは使用のいずれも、抗IL-6Rナノボディが20.0ng/mL~1483.1ng/mLの既知濃度でヒト血清試料中に添加された場合、抗IL-6Rナノボディの濃度の決定にあらゆる有意な様式で影響を及ぼさなかったことが判明した。これらの濃度は、一般的な濃度範囲内に該当し、これはとりわけ、ナノボディに基づいた治療薬の関与する臨床試験(例えば、ナノボディに基づいた治療薬のPKを決定する目的のための)中にヒト被験者から、場合により適切に希釈した後に得られた血清試料において見られることが予想される、ナノボディに基づいた治療薬の濃度を代表するだろう。
【0079】
実施例3:メソスケールディスカバリー(商標)(MSD)プラットフォームを使用したPKアッセイにおける消光剤の使用
この実施例は、ヒト血清試料中のナノボディに基づいた(融合)タンパク質の総活性濃度を決定するために使用された薬物動態アッセイにおける消光剤の使用を示す。この実施例では、メソスケールディスカバリープラットフォームを使用して、様々な濃度のALX-0761の添加されたヒト血清試料中のALX-0761(インターロイキン17A及びFに対する三価ナノボディ構築物)の濃度を決定する。
【0080】
アッセイの構成は実質的に、図3に図示されている通りである。使用される消光剤は一価ナノボディ(これは、C末端の伸長を全く伴わない配列番号1の配列を有するC末端を有する)であり、その配列は図7に配列番号4として示されている。
【0081】
ナノボディーズのフレームワークを認識するビオチニル化マウスモノクローナル抗体を捕捉剤として使用し(PBS/0.1%カゼイン中1.0μg/ml)、ストレプトアビジン-ゴールドマルチアレイ96ウェルプレート上に固定した。試験される予定のヒト血清試料を100倍に希釈した(20.0μg/mLの消光剤と50.0μg/mLの抗IL-17mAbとを含有しているPBS/0.1%カゼインで、最初に50倍に希釈し、その後、2倍に希釈し、これはあらゆる遊離IL-17がアッセイに干渉するのを防ぐために添加された))。室温で一晩インキュベートした後、試料を、ALX-0761が捕捉剤によって捕捉されることを可能とする標準的な条件下で、補足剤でコーティングされた96ウェルプレートに(50μlの分取液で)アプライする。
【0082】
1時間インキュベートし洗浄した後、可溶性IL-17A溶液(2.0μg/mL)を加え、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、検出剤(標的IL-17Aと結合する、0.25μg/mlのスルホ基タグ化マウスモノクローナル抗体)を加え、ナノボディによって捕捉されたIL-17Aへの結合を可能とし、このナノボディ自体は、固定化された補足剤と結合している。洗浄後、プレートの各ウェルにおける電気発光シグナルの量を、Sector Imager2400を使用してMSD Read緩衝液の添加後10分以内に測定した。
【0083】
使用されるヒト血清試料中のあらゆる既存抗体の存在も、アッセイの一部としての消光剤の存在若しくは使用のいずれも、ALX-0761が99.7ng/mL~3280.9ng/mLの既知濃度でヒト血清試料中に添加された場合、ALX-0761の濃度の決定にあらゆる有意な様式で影響を及ぼさなかったことが判明した。これらの濃度は、一般的な濃度範囲内に該当し、これはとりわけ、ナノボディに基づいた治療薬の関与する臨床試験(例えば、ナノボディに基づいた治療薬のPKを決定する目的のための)中にヒト被験者から、場合により適切に希釈した後に得られた血清試料において見られることが予想される、ナノボディに基づいた治療薬の濃度を代表するだろう。
【0084】
実施例4:ELISAに基づいたPKアッセイにおける消光剤の使用
この実施例は、マウス血漿試料中のナノボディに基づいた(融合)タンパク質の濃度を決定するために使用された、ELISAに基づいた薬物動態アッセイにおける消光剤の使用を示す。
【0085】
この実施例では、ナノボディは、Her3に対して指向される。この実施例に記載のアッセイは、試料中に存在するALX-0751の濃度を決定することができる。
【0086】
アッセイの構成は実質的に、図5に図示されている通りである。
【0087】
使用される消光剤は、二重特異的ナノボディ構築物(これはC末端伸長を全く伴わない配列番号1の配列を有するC末端を有する)であり、その配列は図7に配列番号5として示されている。
【0088】
このELISAでは、HER3-ECD(10:10のTrizma NaCl緩衝液中1.5μg/mL)を、C96マキシソーププレート上にコーティングする。試験される予定のマウス血漿試料を、200μg/mLの消光剤を含有しているPBS/0.1%カゼインで20倍希釈する。37℃で2時間インキュベートした後、試料を、ALX-0751が捕捉剤によって捕捉されることを可能とする標準的な条件下で、補足剤(標的)でコーティングされた96ウェルプレートに(50μlの分取液で)アプライする。
【0089】
1時間インキュベートし洗浄した後、検出試薬(ALX-0751ナノボディのフレームワークを認識する1μg/mLのビオチニル化ナノボディ)を加え、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、HRP標識ストレプトアビジンを加え、室温で30分間インキュベートする。洗浄後、TMB基質を加え、450nmにおける各ウェルのODシグナルを、基準として620nmを使用して測定した。
【0090】
使用されるマウス血漿試料中のあらゆる既存抗体の存在も、アッセイの一部としての消光剤の存在若しくは使用のいずれも、ALX-0751ナノボディが24.9ng/mL~266.7ng/mLの既知濃度でマウス血漿試料中に添加された場合、ALX-0751ナノボディの濃度の決定にあらゆる有意な様式で影響を及ぼさなかったことが判明した。これらの濃度は、一般的な濃度範囲内に該当し、これはとりわけ、ナノボディに基づいた治療薬の関与する前臨床試験(例えば、ナノボディに基づいた治療薬のPKを決定する目的のための)中にマウスから、場合により適切に希釈した後に得られた血漿試料において見られることが予想される、ナノボディに基づいた治療薬の濃度を代表するだろう。
【0091】
実施例5:21-4に対する親和性を決定するためのプロトコール
結合測定を、ビアコアT100を使用して、CM5センサーチップを使用して、ランニング緩衝液HBS-EP+を用いて、25℃で実施した。21-4を、固定されたウサギ抗マウスIgGを介して捕捉した。なぜなら、直接固定されたmAb21-4表面は、効率的に再生されることができないことが判明したからであった。使用される抗マウスIgG抗体は、全てのIgGサブクラス、IgA及びIgMと反応する、ポリクローナルウサギ抗マウスIgG抗体であった(GEヘルスケア社;製造番号BR-1008-38;ロット番号10111487)。抗マウスIgG抗体の固定は、活性化のためのEDC/NHSの7分間かけての注入、及び失活のための1Mエタノールアミン塩酸塩(pH8.5)の7分間かけての注入を使用した、手作業によるアミンカップリング(ビアコア社、アミンカップリングキット)を使用して実施された。結合条件は表Iに列挙されている。タンパク質の固定化レベル及び分子量に基づいて、固定された抗マウスIgG抗体に結合しているmAb21-4の理論的Rmaxは約13000RUであった(1分子のmAb21-4が、1分子の抗マウスIgG抗体に結合している)。
【0092】
【表1】
【0093】
上記方法で固定された21-4を使用した結合実験(ビアコアT100)のために使用された条件を図8に示す。抗マウスIgG抗体表面は、mAb21-4の捕捉及び全ての試料の注入後に成功裡に再生することができた(各々の再生後に基線レベルに対して限定された増加を示す)。
【0094】
上記のプロトコールを使用して、以下の表IIに示されているような様々な消光剤に対する21-4の親和性データを作成した。
【0095】
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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