(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1347 20060101AFI20221003BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20221003BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20221003BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/13 505
G02F1/1343
G02F1/1335 505
(21)【出願番号】P 2019012327
(22)【出願日】2019-01-28
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-094955(JP,A)
【文献】国際公開第2000/079338(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0076005(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0027335(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13,1/137-1/141
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339-1/1341
G02F 1/1347
G02F 1/1335,1/13357
G02F 1/1343
G09F 9/00,9/30-9/46
H04N 5/66-5/74
H04N 5/225
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液晶パネルと、
前記第1液晶パネルに重畳する第2液晶パネルと、
前記第1液晶パネル及び前記第2液晶パネルに重畳し、前記第1液晶パネル及び前記第2液晶パネルを介して受光するカメラと、を備え、
前記第1液晶パネルは、
第1液晶層と、
前記カメラに重畳しない第1画素電極と、
前記カメラに重畳する第2画素電極と、
前記第1画素電極に重畳し、前記第2画素電極に重畳しないカラーフィルタ層と、を備え、
前記第2液晶パネルは、
前記カメラに重畳する複数の第1透明電極と、
前記複数の第1透明電極に重畳する第2透明電極と、
前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に設けられた第2液晶層と、を備える、電子機器。
【請求項2】
前記第2液晶層は、前記第1液晶層よりも厚く、30μm以上、150μm以下の厚さを有している、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
さらに、前記第1液晶パネルを照明する照明装置を備え、
前記照明装置は、開口部を有し、
前記カメラは、前記開口部に設けられている、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
さらに、前記照明装置と前記第1液晶パネルとの間、及び、前記カメラと前記第1液晶パネルとの間に亘って設けられた第1偏光板と、
前記第1液晶パネルと前記第2液晶パネルとの間に設けられた第2偏光板と、を備え、
前記第1偏光板の透過軸及び前記第2偏光板の透過軸は、互いに直交している、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
さらに、第3偏光板を備え、
前記第2液晶パネルは、前記第2偏光板と前記第3偏光板との間に設けられ、
前記第2偏光板の透過軸及び前記第3偏光板の透過軸は、平行である、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2偏光板の透過軸及び前記第3偏光板の透過軸は、前記第2液晶層に含まれる液晶分子の初期配向方向と平行である、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数の第1透明電極は、帯状に形成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記複数の第1透明電極は、環状に形成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
さらに、第1方向に並んだ複数の光源を備え、
前記複数の第1透明電極は、前記第1方向に沿った帯状に形成され、前記第1方向と交差する第2方向に並んでいる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
さらに、駆動部を備え、
前記駆動部は、前記第2液晶層に形成されるレンズのレンズ端が前記カメラに重畳するように、複数の前記第1透明電極、及び、前記第2透明電極にそれぞれ電圧を印加する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示部及びカメラを同一面側に備えたスマートフォン等の電子機器が広く実用化されている。このような電子機器では、カメラが表示部の外側に設けられており、カメラ等を設置するためのスペースを確保する一方で、表示部を拡大する要望が高まっている。
一方で、3次元映像表示装置の光屈折部として、液晶レンズを用いる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-40908号公報
【文献】特開2014-197203号公報
【文献】特開2013-45087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、表示部を拡大することが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
第1液晶パネルと、前記第1液晶パネルに重畳する第2液晶パネルと、前記第1液晶パネル及び前記第2液晶パネルに重畳し、前記第1液晶パネル及び前記第2液晶パネルを介して受光するカメラと、を備え、前記第1液晶パネルは、第1液晶層と、前記カメラに重畳しない第1画素電極と、前記カメラに重畳する第2画素電極と、前記第1画素電極に重畳し、前記第2画素電極に重畳しないカラーフィルタ層と、を備え、前記第2液晶パネルは、前記カメラに重畳する複数の第1透明電極と、前記複数の第1透明電極に重畳する第2透明電極と、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に設けられた第2液晶層と、を備える、電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態の表示装置DSPを備えた電子機器100の一構成例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したカメラ1を含む電子機器100の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した第1液晶パネルPNL1の一構成例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した第1画素PX1を含む液晶素子LCDの断面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示した第2画素PX2を含む液晶素子LCDの断面図である。
【
図6】
図6は、第1透明電極TE1の形状例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1透明電極TE1の他の形状例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図1に示した第2液晶パネルPNL2の一構成例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、レンズ部LPの第2液晶層LC2にレンズLL1を形成する第1制御例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、レンズ部LPの第2液晶層LC2にレンズLL2を形成する第2制御例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、レンズ部LPの第2液晶層LC2にレンズLL3を形成する第3制御例を説明するための図である。
【
図17】
図17は、
図8に示した第2液晶パネルPNL2の一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の表示装置DSPを備えた電子機器100の一構成例を示す分解斜視図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。
【0009】
表示装置DSPは、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2と、第1液晶パネルPNL1と、光学シートOSと、導光板LGと、光源EMと、反射シートRSと、を備えている。反射シートRS、導光板LG、光学シートOS、第1偏光板PL1、第1液晶パネルPNL1、及び、第2偏光板PL2は、この順に第3方向Zに沿って並んでいる。複数の光源EMは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。第1偏光板PL1、第2偏光板PL2、及び、第1液晶パネルPNL1は、第3方向Zに沿って進行する光に対して、光学的なスイッチ機能を備えた液晶素子LCDを構成している。このような液晶素子LCDは、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面内の領域毎に、透光または遮光する機能を発揮するものである。
【0010】
第1液晶パネルPNL1は、例えばX-Y平面と平行な平板状に形成されている。第1液晶パネルPNL1は、第1偏光板PL1と第2偏光板PL2との間に設けられている。第1液晶パネルPNL1は、画像を表示する表示部DAと、表示部DAを囲む額縁状の非表示部NDAと、を備えている。表示部DAは、ノッチを含まない略四角形の領域であるが、4つの角が丸みを有していてもよい。第1液晶パネルPNL1の詳細な構成について、ここでは説明を省略するが、第1液晶パネルPNL1は、基板主面に沿った横電界を利用する表示モード、基板主面の法線に沿った縦電界を利用する表示モード、基板主面に対して斜め方向に傾斜した傾斜電界を利用する表示モード、さらには、上記の横電界、縦電界、及び、傾斜電界を適宜組み合わせて利用する表示モードに対応したいずれの構成を備えていてもよい。ここでの基板主面とは、X-Y平面と平行な面である。
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、第1液晶パネルPNL1に対して、少なくとも表示部DAに重畳している。一例では、第1偏光板PL1の透過軸T1は第1方向Xに平行であり、第2偏光板PL2の透過軸T2は第2方向Yに平行である。つまり、透過軸T1及びT2は、X-Y平面において互いに直交している。
【0011】
照明装置ILは、第1液晶パネルPNL1を背面側から照明する。照明装置ILは、例えば、光源EM、導光板LG、光学シートOS、及び、反射シートRSによって構成されている。
【0012】
導光板LGは、光源EMに対向する側面Saと、側面Saの反対側の側面Sbと、第1液晶パネルPNL1に対向する主面Scと、主面Scの反対側の主面Sdと、第1開口部OP1と、を有している。第1開口部OP1は、側面Saの反対側に設けられているが、特に制限される訳ではなく、側面Saに直交する側面に設けられてもよい。図示した例では、第1開口部OP1は、導光板LGを第3方向Zに貫通した貫通孔である。なお、第1開口部OP1は、側面Sbから側面Saに向かって窪んだ凹部あるいはノッチであってもよい。
【0013】
複数の光学シートOSは、導光板LGと第1液晶パネルPNL1との間に設けられ、主面Scに対向している。光学シートOSの各々は、第1開口部OP1に重畳する第2開口部OP2を有している。光学シートOSは、例えば、プリズムシートや拡散シートである。
【0014】
反射シートRSは、主面Sdに対向している。つまり、導光板LGは、反射シートRSと光学シートOSとの間に設けられている。反射シートRSは、第1開口部OP1に重畳する第3開口部OP3を有している。第3開口部OP3、第1開口部OP1、及び、第2開口部OP2は、第3方向Zに沿ってこの順に並び、同一直線上に設けられている。反射シートRSは、例えばフレームに固定されていてもよい。その場合、フレームにも第1開口部OP1に重畳する開口部を設けてもよい。
【0015】
光源EMは、例えば、発光ダイオード(LED)であり、白色の照明光を出射する。光源EMから出射される照明光は、側面Saから入射し、導光板LGの内部を進行する。そして、導光板LGによって導光された照明光は、主面Scから第1液晶パネルPNL1に向かって出射され、第1液晶パネルPNL1を照明する。第1液晶パネルPNL1、第1偏光板PL1、及び、第2偏光板PL2は、表示部DAにおいて、照明光を選択的に透過することで、画像を表示する。
【0016】
このような表示装置DSPを組み込んだ電子機器100は、カメラ1と、第2液晶パネルPNL2と、第3偏光板PL3と、を備えている。
【0017】
第2液晶パネルPNL2は、例えばX-Y平面と平行な平板状に形成されている。第2液晶パネルPNL2の詳細な構成について、ここでは説明を省略するが、第2液晶パネルPNL2は、レンズ部LPを備えている。レンズ部LPは、第3方向Zにおいて第1乃至第3開口部OP1乃至OP3に重畳するように設けられている。第3偏光板PL3は、第2液晶パネルPNL2に対して、少なくともレンズ部LPに重畳している。一例では、第3偏光板PL3の透過軸T3は、第2方向Yに平行である。つまり、透過軸T2及びT3は、X-Y平面において平行である。なお、第3偏光板PL3は、省略されてもよい。
【0018】
カメラ1は、第3方向Zにおいて、第1乃至第3開口部OP1乃至OP3に重畳するように設けられている。また、カメラ1は、第3方向Zにおいて、第1液晶パネルPNL1の表示部DA、及び、第2液晶パネルPNL2のレンズ部LPに重畳している。
【0019】
図2は、
図1に示したカメラ1を含む電子機器100の断面図である。照明装置ILは、開口部OPAを有している。
図1に示した第1乃至第3開口部OP1乃至OP3は、開口部OPAに対応して形成されている。カメラ1は、開口部OPAに設けられている。カメラ1は、配線基板2と電気的に接続されている。第1液晶パネルPNL1は、照明装置ILに重畳している。第2液晶パネルPNL2は、第1液晶パネルPNL1に重畳している。また、第1液晶パネルPNL1及び第2液晶パネルPNL2は、カメラ1に重畳している。
【0020】
第1偏光板PL1は、照明装置ILと第1液晶パネルPNL1との間、及び、カメラ1と第1液晶パネルPNL1との間に亘って設けられている。第2偏光板PL2は、第1液晶パネルPNL1と第2液晶パネルPNL2との間に設けられている。第2液晶パネルPNL2は、第2偏光板PL2と第3偏光板PL3との間に設けられている。上記の通り、第1偏光板PL1の透過軸T1及び第2偏光板PL2の透過軸T2は、互いに直交している。また、第2偏光板PL2の透過軸T2及び第3偏光板PL3の透過軸T3は、互いに平行である。
【0021】
カメラ1は、第3偏光板PL3、第2液晶パネルPNL2、第2偏光板PL2、第1液晶パネルPNL1、及び、第1偏光板PL1を介して透過した可視光(例えば、400nm~700nmの範囲の光)を受光するように構成されている。
【0022】
第1液晶パネルPNL1は、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、第1液晶層LC1と、を備えている。第1液晶層LC1は、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に設けられている。以下、第1液晶パネルPNL1の主要部について説明する。ここで説明する第1液晶パネルPNL1は、横電界を利用する表示モードに対応して構成されている。なお、以下の説明において、第1基板SUB1から第2基板SUB2に向かう方向を上と定義し、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向かう方向を下と定義する。
【0023】
第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と、絶縁膜11及び12と、共通電極CEと、第1画素電極PE1と、第2画素電極PE2と、配向膜AL1と、を備えている。第1絶縁基板10は、ガラス基板や可撓性の樹脂基板などの透明基板である。絶縁膜11は、第1絶縁基板10の上に設けられている。共通電極CEは、絶縁膜11の上に設けられ、絶縁膜12によって覆われている。第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2は、絶縁膜12の上に設けられ、配向膜AL1によって覆われている。第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2は、絶縁膜12を介して、共通電極CEに重畳している。共通電極CE、第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2は、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2の各々は、帯電極を備えている。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って共通に設けられた平板状の電極である。第1画素電極PE1は、表示部DAにおいて、カメラ1に重畳しない第1画素PX1に設けられている。第2画素電極PE2は、表示部DAにおいて、カメラ1に重畳する第2画素PX2に設けられている。
【0024】
第2基板SUB2は、第2絶縁基板20と、カラーフィルタ層CFと、遮光層BMと、透明層OCと、配向膜AL2と、を備えている。第2絶縁基板20は、ガラス基板や可撓性の樹脂基板などの透明基板である。カラーフィルタ層CFは、カメラ1に重畳しない領域に設けられ、カメラ1に重畳する領域には設けられていない。つまり、カラーフィルタ層CFは、第1画素電極PE1に重畳するように設けられる一方で、第2画素電極PE2には重畳していない。カラーフィルタ層CFは、例えば、赤の第1画素PX1に配置される赤カラーフィルタCFR、緑の第1画素PX1に配置される緑カラーフィルタCFG、及び、青の第1画素PX1に配置される青カラーフィルタCFBを備えている。カラーフィルタCFR、CFG、CFBの各々は、第1画素電極PE1に重畳している。遮光層BMは、カメラ1に重畳しない領域に設けられている。つまり、遮光層BMは、隣接する第1画素電極PE1の間、隣接する第1画素PX1の間、あるいは、隣接するカラーフィルタの間に設けられている。なお、遮光層BMは、カメラ1に重畳する領域には設けられていないことが望ましい。透明層OCは、例えば有機絶縁膜である。透明層OCは、第1画素PX1においてカラーフィルタ層CFを覆い、第2画素PX2においては第2絶縁基板20に接している。透明層OCは、配向膜AL2によって覆われている。
【0025】
第1偏光板PL1の透過軸T1及び第2偏光板PL2の透過軸T2が互いに直交している場合、第1液晶層LC1を透過する光の波長をλとした時、第1液晶層LC1のリタデーションがほぼゼロまたはλに相当する場合、液晶素子LCDの透過率が最小となる。このため、カメラ1で撮影する際には、第2画素PX2において、第1液晶層LC1のリタデーションは、ゼロより大きくλより小さく設定される。リタデーションが約λ/2の場合には、液晶素子LCDの透過率は最大となる。
【0026】
第2液晶パネルPNL2は、第3基板SUB3と、第4基板SUB4と、第2液晶層LC2と、を備えている。第2液晶層LC2は、第3基板SUB3と第4基板SUB4との間に設けられている。以下、第2液晶パネルPNL2の主要部について説明する。
【0027】
第3基板SUB3は、第3絶縁基板30と、複数の第1透明電極TE1と、配向膜AL3と、を備えている。複数の第1透明電極TE1は、カメラ1に重畳している。第1透明電極TE1は、レンズ部LPにおいて、第3絶縁基板30の上に設けられ、配向膜AL3によって覆われている。第4基板SUB4は、第4絶縁基板40と、第2透明電極TE2と、配向膜AL4と、を備えている。第2透明電極TE2は、カメラ1の直上において、複数の第1透明電極TE1に重畳している。第2透明電極TE2は、レンズ部LPにおいて、第4絶縁基板40の下に設けられ、配向膜AL4によって覆われている。第3絶縁基板30及び第4絶縁基板40は、ガラス基板や可撓性の樹脂基板などの透明基板である。第1透明電極TE1及び第2透明電極TE2は、透明な導電材料によって形成されている。第2液晶層LC2は、第1透明電極TE1と第2透明電極TE2との間に設けられている。
【0028】
カメラ1の直上において、第1液晶層LC1は厚さT11を有し、第2液晶層LC2は厚さT12を有している。厚さT11及びT12は、第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT12は、厚さT11より厚く、例えば、厚さT11の10倍以上、50倍以下程度に相当する。一例では、厚さT12は、30μm以上、150μm以下であり、さらには、50μm~100μmである。
【0029】
第1偏光板PL1は第1絶縁基板10に接着され、第2偏光板PL2は第2絶縁基板20に接着され、第3偏光板PL3は第4絶縁基板40に接着されている。第3絶縁基板30は、透明な粘着樹脂ADにより、第2偏光板PL2に接着されている。なお、第1偏光板PL1、第2偏光板PL2、及び、第3偏光板PL3は、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層などを備えていてもよい。
【0030】
図3は、
図1に示した第1液晶パネルPNL1の一構成例を示す平面図である。
図3において、第1液晶層LC1及びシールSE1は、異なる斜線で示している。表示部DAは、ノッチ部を含まない略四角形の領域であり、シールSE1で囲まれた内側に位置している。シールSE1は、非表示部NDAに位置し、第1基板SUB1と第2基板SUB2とを接着するとともに、第1液晶層LC1を封止している。
第1液晶パネルPNL1は、表示部DAにおいて、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。表示部DAにおける各画素PXは、同一の回路を有している。表示部DAは、画素PXとして、カメラ1に重畳しない第1画素PX1と、カメラ1に重畳する第2画素PX2と、を備えている。
図3において拡大して示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE(第1画素電極PE1または第2画素電極PE2)、共通電極CE、第1液晶層LC1等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極CEと対向している。第1液晶層LC1は、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって駆動される。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0031】
図4は、
図3に示した第1画素PX1を含む液晶素子LCDの断面図である。液晶素子LCDを駆動する駆動部DRは、例えば、
図3に示した走査線Gと電気的に接続された走査線駆動回路、及び、信号線Sと電気的に接続された信号線駆動回路を含んでいる。駆動部DRは、第1画素PX1に対して、画像表示に必要な信号を出力し、液晶素子LCDの透過率を制御する。液晶素子LCDの第1画素PX1における透過率は、第1液晶層LC1に印加される電圧の大きさに応じて制御される。
【0032】
第1液晶層LC1に電圧が印加されていないオフ状態の第1画素PX1において、第1液晶層LC1に含まれる液晶分子LM1は、配向膜AL1及びAL2の間で所定の方向に初期配向している。このようなオフ状態では、
図1に示した光源EMから第1画素PX1に導光された光は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2によって吸収される。このため、液晶素子LCDは、オフ状態の第1画素PX1において、黒を表示する。
第1液晶層LC1に電圧が印加されたオン状態の第1画素PXにおいて、液晶分子LM1は、第1画素電極PE1と共通電極CEとの間に形成された電界により初期配向方向とは異なる方向に配向し、その配向方向は電界によって制御される。このようなオン状態では、光源EMから第1画素PX1に導光された光の一部は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を透過する。このため、液晶素子LCDは、オン状態の第1画素PX1において、カラーフィルタ層CFに応じた色を表示する。
上記の例は、オフ状態で黒を表示する所謂ノーマリーブラックモードに相当するが、オン状態で黒を表示する(オフ状態で白を表示する)ノーマリーホワイトモードが適用されてもよい。
【0033】
図5は、
図3に示した第2画素PX2を含む液晶素子LCDの断面図である。第2画素PX2は、
図4に示した第1画素PX1と比較して、第2基板SUB2がカラーフィルタ層CF及び遮光層BMを備えていない点で相違している。すなわち、透明層OCは、第2画素電極PE2の直上において、第2絶縁基板20に接している。
【0034】
液晶素子LCDの第2画素PX2における透過率は、第1画素PX1と同様に、駆動部DRにより制御される。すなわち、液晶素子LCDは、第1液晶層LC1に電圧が印加されていないオフ状態の第2画素PX2において、オフ状態の第1画素PX1と同様に、最小透過率となり、黒を表示する。つまり、液晶素子LCDは、第2画素PX2において、遮光機能を発揮する。
液晶素子LCDは、第1液晶層LC1に電圧が印加されたオン状態の第2画素PX2において、光源EMから第2画素PX2に導光された光の一部は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を透過する。また、液晶素子LCDは、オン状態の第2画素PXにおいて、第2液晶パネルPNL2を透過してカメラ1に向かう光を透過する透光状態を形成する。液晶素子LCDは、オン状態の第2画素PX2において、最大透過率となるように制御された場合に、白を表示する、あるいは、透明状態となる。また、液晶素子LCDは、第2画素PXにおいて、最小透過率と最大透過率との間の中間透過率となるように制御された場合に、グレーを表示することもできる。つまり、液晶素子LCDは、第2画素PX2において、透光機能を発揮する。
【0035】
本実施形態によれば、カメラ1は、第1液晶パネルPNL1の表示部DAに重畳している。このため、非表示部NDAにカメラ1を設置するためのスペースを設ける必要がない。したがって、表示部DAを拡大することができる。
また、非表示部NDAにカメラ1を設置するためのスペースを設ける必要がない。このため、カメラ1が非表示部NDAに重畳している場合と比較して、非表示部NDAの額縁幅を縮小することができる。
また、カメラ1がカラーフィルタ層CFに重畳していないため、第1液晶パネルPNL1を介してカメラ1に入射した光は、カラーフィルタ層CFの影響をほとんど受けない。このため、カラーフィルタ層CFによる不所望な吸収や色付きを抑制することができる。
【0036】
図6は、第1透明電極TE1の形状例を示す図である。図示した例では、レンズ部LPにおいて、8個の第1透明電極TE11乃至TE18が設けられている。第1透明電極TE11乃至TE18の各々は、帯状に形成されている。第1透明電極TE11乃至TE18は、図示した例では、第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔を置いて並んでいる。第2透明電極TE2は、平面視において、第1透明電極TE11乃至TE18に重畳している。第2透明電極TE2は、略四角形状に形成されているが、その形状は図示した例に限定されない。複数の第1透明電極の個数については、図示した例の8個に限定されない。なお、第1透明電極TE11乃至TE18は、第2方向Yに延出し、第1方向Xに間隔を置いて並んでいてもよい。カメラ1は、図中に点線で示すように、第1透明電極TE11乃至TE18に重畳している。
第1透明電極TE11乃至TE18は、それぞれ配線W11乃至W18、及び、スイッチング素子SW11乃至SW18を介して駆動部DRと電気的に接続されている。第2透明電極TE2は、スイッチング素子SW2を介して駆動部DRと電気的に接続されている。駆動部DRは、第1透明電極TE11乃至TE18、及び、第2透明電極TE2にそれぞれ所定の電圧を印加することができる。
【0037】
図7は、第1透明電極TE1の他の形状例を示す図である。図示した例では、レンズ部LPにおいて、5個の第1透明電極TE11乃至TE15が設けられている。第1透明電極TE11乃至TE14の各々は、環状に形成されている。第1透明電極TE15は、多角形状に形成されている。なお、第1透明電極TE11乃至TE15は、円環状、あるいは、円形状に形成されてもよい。また、複数の第1透明電極の個数については、図示した例の5個に限定されない。カメラ1は、図中に点線で示すように、第1透明電極TE11乃至TE15に重畳している。
駆動部DRは、スイッチング素子SW11乃至SW15を介して第1透明電極TE11乃至TE15にそれぞれ所定の電圧を印加することができる。また、駆動部DRは、スイッチング素子SW2を介して第2透明電極TE2に所定の電圧を印加することができる。
【0038】
図8は、
図1に示した第2液晶パネルPNL2の一構成例を示す平面図である。シールSE2は、第3基板SUB3と第4基板SUB4とを接着するとともに、第2液晶層LC2を封止している。レンズ部LPは、第2液晶層LC2に重畳している。また、レンズ部LPは、上記の通り、カメラ1に重畳し、また、第1液晶パネルPNL1の表示部DAに重畳している。ここではレンズ部LPを簡略化して示しているが、例えば、レンズ部LPが
図6に示した第1透明電極TE11乃至TE18を備えた構成において、配線W11乃至W18は、第1透明電極TE11乃至TE18と同様に第3基板SUB3に設けられている。図示した例のように、配線W11乃至W18において、表示部DAに重畳する部分については、表示部DAにおける透過率の低下を抑制する観点で、透明な導電材料によって形成されることが望ましい。また、配線W11乃至W18において、非表示部NDAに重畳する部分については、透明な導電材料によって形成されてもよいし、低抵抗化の観点から金属材料によって形成されてもよい。図示した例では、奇数番の配線W11、W13、W15、W17が表示部DAに対して左側に設けられ、偶数番の配線W12、W14、W16、W18が表示部DAに対して右側に設けられている。なお、配線W11乃至W18のレイアウトは図示した例に限らない。
【0039】
図9は、レンズ部LPの第2液晶層LC2にレンズLL1を形成する第1制御例を説明するための図である。
図9の(A)は、オフ状態のレンズ部LPを示している。オフ状態では、第1透明電極TE11乃至TE18、及び、第2透明電極TE2に対して電圧が印加されない。このため、第2液晶層LC2には電圧が印加されない。第2液晶層LC2は、液晶分子LM2を含んでいる。例えば、第2液晶層LC2は、正の誘電率異方性を有し、オフ状態では、液晶分子LM2が基板主面に沿って水平に初期配向しているものとする。第2偏光板PL2の透過軸T2及び第3偏光板PL3の透過軸T3は、液晶分子LM2の初期配向方向と平行である。このようなオフ状態のレンズ部LPには、レンズは形成されない。
【0040】
図9の(B)は、オン状態のレンズ部LPを示している。オン状態では、駆動部DRは、第1透明電極TE11乃至TE18、及び、第2透明電極TE2に対して、第2液晶層LC2にレンズLL1を形成するための電圧を印加する。液晶分子LM2は、オン状態では、その長軸が第1透明電極TE11乃至TE18と第2透明電極TE2との間の電界に沿うように配向する。
【0041】
レンズLL1が図示したような凸レンズとして機能する場合について、以下にその一例を説明する。第1透明電極TE11乃至TE18に関して、カメラ1の光軸OXから離れるにしたがって、より高い電圧が印加される。つまり、第1透明電極TE11に印加される電圧は、第1透明電極TE14に印加される電圧より高い。一例では、第1透明電極TE11及びTE18に4Vの電圧が印加され、第1透明電極TE12及びTE17に3Vの電圧が印加され、第1透明電極TE13及びTE16に2Vの電圧が印加され、第1透明電極TE14及びTE15に1Vの電圧が印加される。一方で、第2透明電極TE2には、例えば0Vの電圧が印加される。第1透明電極TE11乃至TE18の各々と第2透明電極TE2とが対向する領域には、第3方向Zに沿った縦電界、あるいは、基板主面に沿った横電界が形成される。液晶分子LM2の配向方向は、これらの電界の相互作用によって制御される。液晶分子LM2は、屈折率異方性Δnを有している。このため、第2液晶層LC2は、液晶分子LM2の配向状態に応じた屈折率分布を有する。あるいは、第2液晶層LC2は、第2液晶層LC2の第3方向Zに沿った厚さをdとしたとき、Δn・dで表されるリタデーションの分布、または、位相分布を有する。図中に示したレンズLL1は、このような屈折率分布、リタデーションの分布、または、位相分布によって形成されるものである。レンズLL1は、光軸OXについて等方的に形成される。
【0042】
レンズ部LPが
図6に示した形状の第1透明電極TE11乃至TE18を備えている場合、レンズLL1は、第1方向Xに延びたシリンドリカルレンズを形成することができる。レンズ部LPが
図7に示した形状の第1透明電極TE11乃至TE15を備えている場合、レンズ部LL1は、光軸OXを中心とした凸レンズを形成することができる。
【0043】
カメラ1に向かって進行する光L10のうち、第3偏光板PL3を透過した直線偏光は、レンズLL1によって屈折し、カメラ1に入射する。つまり、レンズLL1は、主として光L10に対して集束作用を発揮する。なお、駆動部DRが第1透明電極TE11乃至TE15、及び、第2透明電極TE2に印加する電圧を制御することにより、光L10に対して発散作用を発揮するレンズを形成することも可能である。
【0044】
図10は、レンズ部LPの第2液晶層LC2にレンズLL2を形成する第2制御例を説明するための図である。第2制御例では、駆動部DRは、第2液晶層LC2に形成されるレンズLL2のレンズ端がカメラ1に重畳するように(図中に点線で示す)、第1透明電極TE11乃至TE18、及び、第2透明電極TE2にそれぞれ電圧を印加する。あるいは、駆動部DRは、第2液晶層LC2に形成されるレンズLL2が凹レンズとして機能するように(図中に一点鎖線で示す)、第1透明電極TE11乃至TE18、及び、第2透明電極TE2にそれぞれ電圧を印加する。
【0045】
第2制御例では、第1透明電極TE11乃至TE18に関して、カメラ1の光軸OXから離れるにしたがって、より低い電圧が印加される。つまり、第1透明電極TE11に印加される電圧は、第1透明電極TE14に印加される電圧より低い。一例では、第1透明電極TE11及びTE18に1Vの電圧が印加され、第1透明電極TE12及びTE17に2Vの電圧が印加され、第1透明電極TE13及びTE16に3Vの電圧が印加され、第1透明電極TE14及びTE15に4Vの電圧が印加される。一方で、第2透明電極TE2には、例えば0Vの電圧が印加される。図中に示したレンズLL2は、第2液晶層LC2の屈折率分布、リタデーションの分布、または、位相分布によって形成されるものである。図示した例では、レンズLL2は、光軸OXについて等方的に形成されるが、光軸OXについて非対称に形成されてもよい。
【0046】
図示したレンズLL2は、カメラ1の周辺に導光された表示光L20を、カメラ1の直上に向けて屈折する作用を発揮する。第2偏光板PL2の透過軸T2は、第3偏光板PL3の透過軸T3と平行であるため、レンズ部LPで屈折された表示光L20は、カメラ1に重畳する領域から出射される。つまり、カメラ1の前面(観察者側)で、表示光L20が観察される。これにより、電子機器100を第3偏光板PL3側から観察した際に、カメラ1の視認性を低減することができる。
【0047】
図11は、レンズ部LPの第2液晶層LC2にレンズLL3を形成する第3制御例を説明するための図である。第3制御例では、駆動部DRは、カメラ1の光軸OXについて非対称のレンズLL3を第2液晶層LC2に形成するように、第1透明電極TE11乃至TE18、及び、第2透明電極TE2にそれぞれ電圧を印加する。
【0048】
第3制御例では、第1透明電極TE11乃至TE18に関して、光源EMから離れるにしたがって、より高い電圧が印加される。つまり、第1透明電極TE11に印加される電圧は、第1透明電極TE18に印加される電圧より低い。一例では、第1透明電極TE11及びTE12に1Vの電圧が印加され、第1透明電極TE13及びTE14に2Vの電圧が印加され、第1透明電極TE15及びTE16に3Vの電圧が印加され、第1透明電極TE17及びTE18に4Vの電圧が印加される。一方で、第2透明電極TE2には、例えば0Vの電圧が印加される。図中に示したレンズLL3は、第2液晶層LC2の屈折率分布、リタデーションの分布、または、位相分布によって形成されるものである。
【0049】
図示したレンズLL3は、レンズLL2と同様に、カメラ1の周辺に導光された表示光L20を、カメラ1の直上に向けて屈折する作用を発揮する。これにより、電子機器100を第3偏光板PL3側から観察した際に、カメラ1の視認性を低減することができる。
【0050】
図1に示した複数の光源EMが第1方向Xに並び、第2方向Yに沿って照明光を出射する場合、
図6を参照して説明した第1透明電極TE11乃至TE18が第1方向Xに沿った帯状に形成され、第2方向Yに並んだ構成が好適である。これにより、照明光をカメラ1の直上に出射するのに好適なレンズLL3を形成することができる。
【0051】
このように、駆動部DRが第1透明電極TE11乃至TE18、及び、第2透明電極TE2に印加する電圧を制御することにより、第2液晶層LC2において各種レンズLLを形成することができる。また、駆動部DRによる電圧制御により、レンズLLの焦点を制御することもできる。
【0052】
《カメラオン》
以下に、カメラ1で撮影するカメラオン状態の第1乃至第3動作例について説明する。なお、カメラオン状態では、第1画素PX1はオン状態であってもよいし、オフ状態であってもよい。
【0053】
図12は、第1動作例を説明するための図である。第1液晶パネルPNL1における第2画素PX2は、オン状態である。第1液晶パネルPNL1、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2によって構成される液晶素子LCDは、
図5を参照して説明したように、オン状態の第2画素PX2において、カメラ1に向かう光を透過する透光状態を形成する。第2液晶パネルPNL2におけるレンズ部LPはオフ状態であり、
図9の(A)を参照して説明したように、第2液晶層LC2にはレンズは形成されない。
カメラ1に向かう光L30のうち、第2方向Yに振動面を有する第1直線偏光POL1は、第3偏光板PL3を透過する。第1直線偏光POL1は、レンズ部LPにおいてほとんどレンズ作用を受けることなく、第2偏光板PL2を透過する。第1直線偏光POL1は、オン状態の第2画素PX2において、第1方向Xに振動面を有する第2直線偏光POL2に変調される。第2直線偏光POL2は、第1偏光板PL1を透過し、カメラ1に入射する。これにより、カメラ1による撮影が可能となる。
【0054】
図13は、第2動作例を説明するための図である。レンズ部LPはオン状態であり、第2液晶層LC2には凸レンズとして機能するレンズLLが形成されている。
カメラ1に向かう光L30のうち、第1直線偏光POL1は、第3偏光板PL3を透過し、レンズ部LPにおいて、レンズLLの集束作用を受ける。集束した第1直線偏光POL1は、第2偏光板PL2を透過し、オン状態の第2画素PX2において第2直線偏光POL2に変調される。第2直線偏光POL2は、第1偏光板PL1を透過し、カメラ1に入射する。これにより、カメラ1による撮影が可能となる。
【0055】
図14は、第3動作例を説明するための図である。レンズ部LPはオン状態であり、第2液晶層LC2には凹レンズとして機能するレンズLLが形成されている。
カメラ1に向かう光L30のうち、第1直線偏光POL1は、第3偏光板PL3を透過し、レンズ部LPにおいて、レンズLLの発散作用を受ける。発散した第1直線偏光POL1は、第2偏光板PL2を透過し、オン状態の第2画素PX2において第2直線偏光POL2に変調される。第2直線偏光POL2は、第1偏光板PL1を透過し、カメラ1に入射する。これにより、カメラ1による撮影が可能となる。
【0056】
《カメラオフ》
以下に、カメラ1が作動していないカメラオフ状態の第4及び第5動作例について説明する。
【0057】
図15は、第4動作例を説明するための図である。第1液晶パネルPNL1における第1画素PX1及び第2画素PX2は、いずれもオン状態である。第2液晶パネルPNL2におけるレンズ部LPはオン状態であり、
図10を参照して説明したように、第2液晶層LC2にレンズLL2が形成されている。
液晶素子LCDは、オン状態の第1画素PX1において、照明装置ILからの照明光を透過する透光状態を形成する。すなわち、赤カラーフィルタCFRを透過した赤光LR1、緑カラーフィルタCFGを透過した緑光LG1、及び、青カラーフィルタCFBを透過した青光LB1は、それぞれ第1直線偏光POL1として、第2偏光板PL2を透過し、表示光を形成する。また、液晶素子LCDは、オン状態の第2画素PX2において、透光状態を形成する。このため、第2画素PX2に導光された照明光は、第1直線偏光POL1として、第2偏光板PL2を透過する。
【0058】
第2偏光板PL2を透過した表示光(LR1、LG1、LB1)は、レンズ部LPにおいて、レンズLL2により、カメラ1の直上に向かって屈折され、第3偏光板PL3を透過する。つまり、カメラ1に重畳する領域では、カメラ1の周辺の第1画素PX1からの表示光(LR1、LG1、LB1)が出射される。これにより、カメラオフ状態でのカメラ1の視認性を低減することができる。また、表示部DAにおいては、カメラ1に重畳する領域も含めて画像を表示することができ、画像の欠けを抑制することができる。
【0059】
なお、第1液晶パネルPNL1において、第1画素PX1及び第2画素PX2がいずれもオフ状態である場合、つまり、表示部DAに黒が表示されている場合、カメラ1はほとんど視認されない。
【0060】
図16は、第5動作例を説明するための図である。第1液晶パネルPNL1における第1画素PX1及び第2画素PX2は、いずれもオン状態である。第2液晶パネルPNL2におけるレンズ部LPはオン状態であり、
図11を参照して説明したように、第2液晶層LC2にレンズLL3が形成されている。
このような第5動作例においても、第4動作例と同様に、液晶素子LCDは、カメラ1の周辺の第1画素PX1から、表示光として、赤光LR1、緑光LG1、及び、青光LB1を出射する。これらの表示光(LR1、LG1、LB1)は、レンズ部LPにおいて、レンズLL3により、カメラ1の直上に向かって屈折され、第3偏光板PL3を透過する。これにより、カメラオフ状態でのカメラ1の視認性を低減することができる。また、表示部DAにおいて、画像の欠けを抑制することができる。
【0061】
《狭額縁化》
図17は、
図8に示した第2液晶パネルPNL2の一構成例を示す断面図である。ここでは、偶数番の配線W12、W14、W16、W18を含む断面構造に着目する。なお、奇数番の配線の断面構造も図示した構成例と同様である。
【0062】
配線W12、W14、W16、W18は、第1液晶パネルPNL1の非表示部NDAに重畳するように設けられている。配線W12、W14、W16、W18の少なくとも一部は、シールSE1に重畳している場合もありうる。第2透明電極TE2は、配線W12、W14、W16、W18に重畳している。第2液晶層LC2は、配線W12、W14、W16、W18と、第2透明電極TE2との間に設けられている。なお、第2液晶パネルPNL2において、配線W12、W14、W16、W18を覆う配向膜AL3、及び、第2透明電極TE2を覆う配向膜AL4の図示を省略している。
【0063】
配線W12、W14、W16、W18に関して、表示部DAから離れるにしたがって(あるいは、シールSE2に近づくにしたがって)、より高い電圧が印加される。つまり、配線W12に印加される電圧は、配線W18に印加される電圧より低い。一例では、配線W12に1Vの電圧が印加され、配線W14に2Vの電圧が印加され、配線W16に3Vの電圧が印加され、配線W18に4Vの電圧が印加される。一方で、第2透明電極TE2には、例えば0Vの電圧が印加される。図中に示したレンズLL4は、第2液晶層LC2の屈折率分布、リタデーションの分布、または、位相分布によって形成されるものである。
【0064】
図示したレンズLL4は、表示部DAを透過した表示光(LR2、LG2、LB2)を、非表示部NDAの直上に向けて屈折する作用を発揮する。つまり、シールSE1に重畳する領域では、シールSE1に近接した第1画素PX1からの表示光(LR2、LG2、LB2)が出射される。これにより、電子機器100を第3偏光板PL3側から観察した際に、非表示部NDAの額縁幅が縮小されたように視認される。
【0065】
また、
図6を参照して説明したように配線W12、W14、W16、W18は、それぞれ第1透明電極TE12、TE14、TE16、TE18と電気的に接続されている。しかも、配線W12、W14、W16、W18のそれぞれの印加電圧は、第1透明電極TE12、TE14、TE16、TE18のそれぞれの印加電圧と一致している。したがって、レンズ部LPにおいてレンズLL3を形成しながら、配線W12、W14、W16、W18の直上においてレンズLL4を同時に形成することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示部を拡大することが可能な電子機器を提供することができる。
【0067】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
100…電子機器 DSP…表示装置
1…カメラ
LCD…液晶素子 PNL1…第1液晶パネル LC1…第1液晶層
CF…カラーフィルタ層 PE1…第1画素電極 PE2…第2画素電極
PNL2…第2液晶パネル LC2…第2液晶層
TE1…第1透明電極 TE2…第2透明電極
DR…駆動部
PL1…第1偏光板 PL2…第2偏光板 PL3…第3偏光板