(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】流体圧シリンダ用位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20221003BHJP
F15B 15/28 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
G01B7/00 101H
F15B15/28 C
(21)【出願番号】P 2019032786
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩田 将男
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-291387(JP,A)
【文献】特開2005-163942(JP,A)
【文献】特公昭48-037189(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00
F15B 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧シリンダのピストンに設けられた永久磁石の磁界によってオンオフ動作を行う磁気センサを複数備え、前記複数の磁気センサがオンオフ動作を行うことにより、前記ピストンの位置を検出する流体圧シリンダ用位置検出装置であって、
前記複数の磁気センサの少なくとも二つは、磁界の検出感度が互いに異なっており、
前記検出感度が低い磁気センサがオン状態になることにより、前記検出感度が高い磁気センサに電力が供給されることを特徴とする流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項2】
前記検出感度が低い磁気センサはリードスイッチであり、
前記検出感度が高い磁気センサはMRセンサであることを特徴とする請求項1に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項3】
排他的論理和ゲートと、
第1発光素子と、
前記第1発光素子とは異なる光を発光する第2発光素子と、を備え、
前記リードスイッチの入力端子は、電源ラインに接続されており、
前記排他的論理和ゲートの第1入力端子は、前記リードスイッチの出力端子に接続されており、
前記排他的論理和ゲートの第2入力端子は、前記MRセンサの出力端子に接続されており、
前記第1発光素子は、前記排他的論理和ゲートの出力端子に接続され、
前記第2発光素子は、前記MRセンサの出力端子に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項4】
前記リードスイッチの検出感度と前記MRセンサの検出感度との差、及び前記リードスイッチ及び前記MRセンサのオンオフ動作のヒステリシスに基づいて、前記第1発光素子及び前記第2発光素子の発光パターンが区分されていることを特徴とする請求項3に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項5】
前記電源ラインには、前記リードスイッチに一定の電圧を印加するための定電圧回路が設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項6】
前記電源ラインは、第1接続端子と、第2接続端子と、四つのダイオードをブリッジ接続して構成されるとともに前記第1接続端子又は前記第2接続端子から流れる電流を前記リードスイッチの入力端子に流す整流ブリッジ回路と、を有していることを特徴とする請求項3~請求項5のいずれか一項に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項7】
前記リードスイッチ及び前記MRセンサは、基板に実装されており、
前記リードスイッチ及び前記MRセンサは、前記リードスイッチの感度軸と前記MRセンサの感度軸とが一致するように前記基板上に配置されていることを特徴とする請求項2~請求項6のいずれか一項に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項8】
前記発光パターンにより、予防保全を行うために、外部磁界による磁束密度の大きさを判定することを特徴とする請求項4に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項9】
前記検出感度が低い磁気センサの検出範囲は、前記検出感度が高い磁気センサの検出範囲よりも広いことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項10】
前記検出感度が低い磁気センサによって検出される合成磁界成分の磁束密度は、水平磁界成分と垂直磁界成分とを足し合わせたものであることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【請求項11】
前記検出感度が高い磁気センサによって検出される合成磁界成分の磁束密度は、水平磁界成分から垂直磁界成分を差し引いたものであることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の流体圧シリンダ用位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の磁気センサを用いて、流体圧シリンダのピストンの位置を検出する流体圧シリンダ用位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧シリンダのピストンの位置を検出する流体圧シリンダ用位置検出装置は、流体圧シリンダのピストンに設けられた永久磁石の磁界によってオンオフ動作を行う磁気センサを複数備えている。例えば特許文献1には、オン状態となる磁界の強さ、つまり、磁界の検出感度が互いに異なる二つの磁気センサ(MRセンサ)を用いて、ピストンを互いに異なる範囲で検出することが開示されている。
【0003】
ところで、流体圧シリンダは、例えば、自動車を製造する際に自動車部品を固定治具に押し当てて固定する、クランプ動作のために用いられる。自動車部品がクランプされた状態で、例えば、自動車部品同士を溶接するために、スポット溶接が行われる場合がある。スポット溶接では、自動車部品同士の溶接箇所に大きな溶接電流が流れる。これにより磁界が発生して、溶接箇所の周囲の固定治具が磁化することになる。ここで、周囲の固定治具が磁化した状態で特許文献1に示されるような流体圧シリンダ用位置検出装置を用いると、永久磁石が二つのMRセンサに近づいていないにもかかわらず、磁化した固定治具の磁界である外部磁界によって、感度の高い側のMRセンサが反応し易いことから、常時オン状態となってしまう場合がある。
【0004】
特許文献1の流体圧シリンダ用位置検出装置では、第1、第2の3端子センサが用いられ、第1、第2の3端子センサは共通に電源端子と接続され、第2の3端子センサの接地端子を第1の3端子センサの出力端子に接続している。また、第1と第2の3端子センサは感度が異なり、検出範囲が異ならせてある。感度の高い側の検出範囲は、感度の低い側の検出範囲を含むように構成されている。
【0005】
ここで、3端子センサは、MR磁気抵抗素子のブリッジ回路からなる専用ICである。感度については同じ感度のものしか流通していなく、専用に制作するには初期費用と生産数量の関係から、実用には供せないのが実情である。
【0006】
また、感度を異ならせる方法は、主要構成が同じであることから、検出される磁束密度に対して、閾値を変更することになる。この異なる感度と検出位置の関係は、低感度側は検出幅が狭く、高感度側は検出幅が広い範囲で検出される特性となる。
【0007】
内部のマグネットの磁界ではない外部磁界が発生する状況においては、高感度側が先に反応することにより、低い外部磁界においても誤動作する状態となる。このため、例えば特許文献2のような対策をして使用することが提案されている。特許文献2の流体圧シリンダ用位置検出装置においては、磁気センサを取り囲む二重構造のシールドケースを備えている。これによれば、磁気センサが外部磁界の影響を受けてしまうことが二重構造のシールドケースによって低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4007956号公報
【文献】特許第3267558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の流体圧シリンダ用位置検出装置では、二重構造のシールドケースを配置するスペースを確保する必要があるため、流体圧シリンダ用位置検出装置の体格が大型化してしまう。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、小型化を図りつつも、外部磁界によって磁気センサがオン状態になってしまうことを抑制することができる流体圧シリンダ用位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する流体圧シリンダ用位置検出装置は、流体圧シリンダのピストンに設けられた永久磁石の磁界によってオンオフ動作を行う磁気センサを複数備え、前記複数の磁気センサがオンオフ動作を行うことにより、前記ピストンの位置を検出する流体圧シリンダ用位置検出装置であって、前記複数の磁気センサの少なくとも二つは、磁界の検出感度が互いに異なっており、前記検出感度が低い磁気センサがオン状態になることにより、前記検出感度が高い磁気センサに電力が供給される。
【0012】
上記流体圧シリンダ用位置検出装置において、前記検出感度が低い磁気センサはリードスイッチであり、前記検出感度が高い磁気センサはMRセンサであるとよい。
上記流体圧シリンダ用位置検出装置において、排他的論理和ゲートと、第1発光素子と、前記第1発光素子とは異なる光を発光する第2発光素子と、を備え、前記リードスイッチの入力端子は、電源ラインに接続されており、前記排他的論理和ゲートの第1入力端子は、前記リードスイッチの出力端子に接続されており、前記排他的論理和ゲートの第2入力端子は、前記MRセンサの出力端子に接続されており、前記第1発光素子は、前記排他的論理和ゲートの出力端子に接続され、前記第2発光素子は、前記MRセンサの出力端子に接続されているとよい。
【0013】
上記流体圧シリンダ用位置検出装置において、前記リードスイッチの検出感度と前記MRセンサの検出感度との差、及び前記リードスイッチ及び前記MRセンサのオンオフ動作のヒステリシスに基づいて、前記第1発光素子及び前記第2発光素子の発光パターンが区分されているとよい。
【0014】
上記流体圧シリンダ用位置検出装置において、前記電源ラインには、前記リードスイッチに一定の電圧を印加するための定電圧回路が設けられているとよい。
上記流体圧シリンダ用位置検出装置において、前記電源ラインは、第1接続端子と、第2接続端子と、四つのダイオードをブリッジ接続して構成されるとともに前記第1接続端子又は前記第2接続端子から流れる電流を前記リードスイッチの入力端子に流す整流ブリッジ回路と、を有しているとよい。
【0015】
上記流体圧シリンダ用位置検出装置において、前記リードスイッチ及び前記MRセンサは、基板に実装されており、前記リードスイッチ及び前記MRセンサは、前記リードスイッチの感度軸と前記MRセンサの感度軸とが一致するように前記基板上に配置されているとよい。
【0016】
上記流体圧シリンダ用位置検出装置において、前記発光パターンにより、予防保全を行うために、外部磁界による磁束密度の大きさを判定するとよい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、小型化を図りつつも、外部磁界によって磁気センサがオン状態になってしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態における流体圧シリンダ用位置検出装置と流体圧シリンダとの関係を示す模式図。
【
図4】流体圧シリンダ用位置検出装置の電気的構成を示す回路図。
【
図5】(a)は永久磁石の中心軸からの距離と永久磁石により生じる磁束密度との関係を示すグラフ、(b)は永久磁石の磁界を示す模式図。
【
図6】永久磁石の中心軸からの距離と合成磁界成分の磁束密度との関係、リードスイッチのオンオフ動作、及びMRセンサのオンオフ動作を示すグラフ。
【
図7】外部磁界による磁束密度とリードスイッチ及びMRセンサのオンオフ動作との関係を示すグラフ。
【
図8】(a)~(e)はピストンの位置に対するリードスイッチのオンオフ動作と第1発光素子及び第2発光素子の発光パターンとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、流体圧シリンダ用位置検出装置を具体化した一実施形態を
図1~
図8にしたがって説明する。本実施形態の流体圧シリンダは、例えば、自動車を製造する際に自動車部品を装置に固定するクランプ装置の治具の押し当て動作をさせるために用いられる。そして、本実施形態の流体圧シリンダ用位置検出装置は、流体圧シリンダのピストンの位置を検出するために用いられる。
【0020】
図1に示すように、流体圧シリンダ10は、筒状のシリンダチューブ11と、シリンダチューブ11内を往復動可能な円柱状のピストン12と、ピストン12に取り付けられたピストンロッド13と、を有している。ピストンロッド13は、ピストン12の移動に伴ってシリンダチューブ11に対して出没可能になっている。そして、ピストン12の移動に伴うピストンロッド13におけるシリンダチューブ11に対する出没動作が行われることにより、図示しないクランプ装置の治具の押し当て動作が行われるようになっている。ピストン12には、円環状の永久磁石14が設けられている。永久磁石14は、ピストン12の外周面に形成された環状の装着溝12aに装着されている。
【0021】
図2に示すように、流体圧シリンダ用位置検出装置20は、シリンダチューブ11の外周面に形成された取付溝11a内に設置されている。取付溝11aは、ピストン12の移動方向、すなわち、ピストンロッド13におけるシリンダチューブ11に対する出没方向に延びている。
【0022】
図3に示すように、流体圧シリンダ用位置検出装置20は、ケース21と、ケース21内に収容される基板22と、基板22に実装された磁気センサとしてのリードスイッチ23及びMRセンサ24と、を有している。したがって、流体圧シリンダ用位置検出装置20は、磁気センサを複数備えている。
【0023】
図1に示すように、基板22は、長四角平板状であるとともに、基板22の短手方向がピストン12の径方向に一致した状態でケース21内に収容されている。したがって、基板22は、ピストン12の径方向に起立した状態でケース21内に収容されている。基板22の長手方向はピストン12の移動方向に一致している。
【0024】
リードスイッチ23は、基板22の第1面に実装されている。MRセンサ24は、基板22の第1面の裏面である第2面に実装されている。よって、リードスイッチ23及びMRセンサ24は、基板22に実装されている。リードスイッチ23及びMRセンサ24は、リードスイッチ23の感度軸L1とMRセンサ24の感度軸L2とが一致するように基板22上に配置されている。リードスイッチ23の感度軸L1とは、ピストン12の径方向に延びるとともにピストン12の移動方向でのリードスイッチ23のセンサ中心C1を通過する軸のことである。つまり、リードスイッチ23の感度軸L1とは、ピストン12の移動方向の位置であり、永久磁石14の軸方向の磁界分布中心に対して、リードスイッチ23におけるピストン12の移動方向の最高感度位置(センサ中心C1に一致する位置)である。MRセンサ24の感度軸L2とは、ピストン12の径方向に延びるとともにピストン12の移動方向でのMRセンサ24のセンサ中心C2を通過する軸のことである。つまり、MRセンサ24の感度軸L2とは、ピストン12の移動方向の位置であり、永久磁石14の軸方向の磁界分布中心に対して、MRセンサ24におけるピストン12の移動方向の最高感度位置(センサ中心C2に一致する位置)である。
【0025】
リードスイッチ23及びMRセンサ24は、永久磁石14の磁界によってオンオフ動作を行う。そして、流体圧シリンダ用位置検出装置20は、リードスイッチ23及びMRセンサ24がオンオフ動作を行うことにより、ピストン12の位置を検出する。具体的には、把持装置の一対の把持爪が自動車部品をクランプしたときのピストン12の位置を検出する。流体圧シリンダ用位置検出装置20によって検出されたピストン12の位置に関する情報は、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等の外部制御機器に送信される。これにより、外部制御機器は、クランプ装置によって自動車部品がクランプされたことが把握可能になっている。
【0026】
本実施形態の流体圧シリンダ用位置検出装置20は、把持装置の一対の把持爪が自動車部品を把持した状態のときに、リードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2と永久磁石14の中心軸L3とが互いに近い状態となるように取付溝11aに装着されている。永久磁石14の中心軸L3とは、ピストン12の径方向に延びるとともにピストン12の移動方向での永久磁石14の磁石中心C3を通過する軸のことである。
【0027】
次に、流体圧シリンダ用位置検出装置20の回路構成を
図4にしたがって説明する。
図4に示すように、流体圧シリンダ用位置検出装置20は、排他的論理和ゲート30と、第1発光素子31と、第1発光素子31とは異なる光を発光する第2発光素子32と、を備えている。第1発光素子31は、赤色の光を発光する。第2発光素子32は、緑色の光を発光する。リードスイッチ23の入力端子23aは、電源ライン33に接続されている。リードスイッチ23の出力端子23bは、MRセンサ24の入力端子24aに接続されている。
【0028】
排他的論理和ゲート30の第1入力端子30aは、リードスイッチ23の出力端子23bに接続されている。排他的論理和ゲート30の第2入力端子30bは、MRセンサ24の出力端子24bに接続されている。第1発光素子31のカソード側は、排他的論理和ゲート30の出力端子30cに接続されている。第2発光素子32のカソード側は、MRセンサ24の出力端子24bに接続されている。
【0029】
電源ライン33は、第1接続端子33aと、第2接続端子33bと、整流ブリッジ回路34と、を有している。整流ブリッジ回路34は、四つのダイオード34a,34b,34c,34dをブリッジ接続して構成されている。ダイオード34aのアノードは、ダイオード34bのカソードと直列接続されている。ダイオード34aのカソードは、ダイオード34cのカソードと直列接続されている。ダイオード34bのアノードは、ダイオード34dのアノードと直列接続されている。ダイオード34cのアノードは、ダイオード34dのカソードと直列接続されている。
【0030】
電源ライン33は、一端が第1接続端子33aに接続されるとともに、他端がダイオード34aのアノードとダイオード34bのカソードとの間に接続される第1ライン331を有している。また、電源ライン33は、一端が第2接続端子33bに接続されるとともに、他端がダイオード34cのアノードとダイオード34dのカソードとの間に接続される第2ライン332を有している。さらに、電源ライン33は、一端がダイオード34aのカソードとダイオード34cのカソードとの間に接続されるとともに、他端がリードスイッチ23の入力端子23aに接続される第3ライン333を有している。
【0031】
なお、流体圧シリンダ用位置検出装置20は、第1接続端子33a及び第2接続端子33bに接続される図示しない外部電源に対して並列接続されるノイズ対策用のコンデンサ35aと、過電圧保護用のツェナーダイオード35bと、を有している。コンデンサ35aの一端は第1ライン331に接続されるとともに、コンデンサ35aの他端は第2ライン332に接続されている。ツェナーダイオード35bの一端は第3ライン333に接続されるとともに、ツェナーダイオード35bの他端はグランドに接続されている。また、ダイオード34bのアノードとダイオード34dのアノードとの間もグランドに接続されている。
【0032】
電源ライン33には、定電圧回路36が設けられている。定電圧回路36は、第3ライン333におけるツェナーダイオード35bの一端の接続部分よりもリードスイッチ23寄りに位置している。第3ライン333は、整流ブリッジ回路34と定電圧回路36とを接続する第1接続ライン333aと、定電圧回路36とリードスイッチ23の入力端子23aとを接続する第2接続ライン333bと、を有している。
【0033】
定電圧回路36は、NPN型トランジスタ36a、電流制限抵抗36b、及びツェナーダイオード36cを有している。NPN型トランジスタ36aのベース端子は、ツェナーダイオード36cを介してグランドに接続されている。NPN型トランジスタ36aのコレクタ端子は、第1接続ライン333aに接続されている。NPN型トランジスタ36aのエミッタ端子は、第2接続ライン333bに接続されている。電流制限抵抗36bの一端はNPN型トランジスタ36aのコレクタ端子と第1接続ライン333aとの間に接続されている。電流制限抵抗36bの他端はNPN型トランジスタ36aのベース端子とツェナーダイオード36cとの間に接続されている。したがって、定電圧回路36は、リードスイッチ23に一定の電圧を印加する。なお、第2接続ライン333bは、コンデンサ37を介してグランドに接続されている。
【0034】
例えば、第1接続端子33aに外部電源の正極端子が接続されるとともに、第2接続端子33bに外部電源の負極端子が接続される場合、外部電源からの電流が、第1接続端子33a及び第1ライン331を介して整流ブリッジ回路34に流れる。第1ライン331から整流ブリッジ回路34に流れる電流は、ダイオード34bを通過せずにダイオード34aを通過する。ダイオード34aを通過した電流は、ダイオード34cを通過せずに第3ライン333の第1接続ライン333aに流れる。そして、第1接続ライン333aに流れた電流は、第1接続ライン333a、定電圧回路36、及び第2接続ライン333bを介してリードスイッチ23の入力端子23aに供給される。
【0035】
また、例えば、第1接続端子33aに外部電源の負極端子が接続されるとともに、第2接続端子33bに外部電源の正極端子が接続される場合、外部電源からの電流が、第2接続端子33b及び第2ライン332を介して整流ブリッジ回路34に流れる。第2ライン332から整流ブリッジ回路34に流れる電流は、ダイオード34dを通過せずにダイオード34cを通過する。ダイオード34cを通過した電流は、ダイオード34aを通過せずに第3ライン333の第1接続ライン333aに流れる。そして、第1接続ライン333aに流れた電流は、第1接続ライン333a、定電圧回路36、及び第2接続ライン333bを介してリードスイッチ23の入力端子23aに供給される。よって、整流ブリッジ回路34は、第1接続端子33a又は第2接続端子33bから流れる電流をリードスイッチ23の入力端子23aに流す。
【0036】
流体圧シリンダ用位置検出装置20は、PNP型トランジスタ38を有している。PNP型トランジスタ38のエミッタ端子は、第3ライン333の第1接続ライン333aに接続されている。PNP型トランジスタ38のコレクタ端子は、システム電源となる第2接続ライン333bに接続されている。PNP型トランジスタ38のベース端子は、第1発光素子31及び第2発光素子32に接続されている。
【0037】
MRセンサ24の出力端子24bと第2発光素子32との間には、第1スイッチング回路39が設けられている。第1スイッチング回路39は、NPN型トランジスタ39a、第1電流制限抵抗39b、及び第2電流制限抵抗39cを有している。NPN型トランジスタ39aのベース端子は、第1電流制限抵抗39bを介してMRセンサ24の出力端子24bに接続されている。NPN型トランジスタ39aのコレクタ端子は、第2発光素子32に接続されている。NPN型トランジスタ39aのエミッタ端子は、グランドに接続されている。第2電流制限抵抗39cの一端は、NPN型トランジスタ39aのベース端子と第1電流制限抵抗39bとの間に接続されている。第2電流制限抵抗39cの他端は、グランドに接続されている。
【0038】
排他的論理和ゲート30の出力端子30cと第1発光素子31との間には、第2スイッチング回路40が設けられている。第2スイッチング回路40は、NPN型トランジスタ40a、第1電流制限抵抗40b、及び第2電流制限抵抗40cを有している。NPN型トランジスタ40aのベース端子は、第1電流制限抵抗40bを介して排他的論理和ゲート30の出力端子30cに接続されている。NPN型トランジスタ40aのコレクタ端子は、第1発光素子31に接続されている。NPN型トランジスタ40aのエミッタ端子は、グランドに接続されている。第2電流制限抵抗40cの一端は、NPN型トランジスタ40aのベース端子と第1電流制限抵抗40bとの間に接続されている。第2電流制限抵抗40cの他端は、グランドに接続されている。なお、リードスイッチ23の出力端子23bと排他的論理和ゲート30の第1入力端子30aとの間は、抵抗41を介してグランドに接続されている。
【0039】
図5(a)では、永久磁石14の中心軸L3からの距離と永久磁石14により生じる磁束密度との関係を示している。なお、
図5(a)は、本実施形態の磁束密度の測定結果の一例である。
【0040】
図5(b)に示すように、永久磁石14からは磁力線M1が放出され、磁界が発生している。磁界は、
図5(b)において矢印X1で示す水平方向の成分である水平磁界成分と、
図5(b)において矢印Y1で示す垂直方向の成分である垂直磁界成分と、を有している。
【0041】
図5(a)において示す実線L5は、水平磁界成分の磁束密度の特性を示している。
図5(a)において示す破線L15は、垂直磁界成分の磁束密度の特性を示している。
図5(a)において実線L5で示すように、水平磁界成分の磁束密度は、永久磁石14の中心軸L3からの距離が零のとき最大であり、永久磁石14の中心軸L3からの距離が徐々に大きくなるにつれて、徐々に小さくなっていき、やがて零になる。そして、水平磁界成分の磁束密度は、零になった後、永久磁石14の中心軸L3からの距離がさらに大きくなっていくと、再び徐々に大きくなっていき、その後、ほぼ一定の大きさに維持される。
【0042】
図5(a)において破線L15で示すように、垂直磁界成分の磁束密度は、永久磁石14の中心軸L3からの距離が零のとき零であり、永久磁石14の中心軸L3からの距離が徐々に大きくなるにつれて、徐々に大きくなっていく。そして、垂直磁界成分の磁束密度は、水平磁界成分の磁束密度よりも大きくなると、垂直磁界成分の磁束密度の上昇度合いが緩やかになり、その後、最大となる。垂直磁界成分の磁束密度が最大となる永久磁石14の中心軸L3からの距離は、水平磁界成分の磁束密度が零となる永久磁石14の中心軸L3からの距離よりも小さい。そして、垂直磁界成分の磁束密度は、最大となった後、永久磁石14の中心軸L3からの距離がさらに大きくなっていくと、徐々に小さくなっていく。このとき、垂直磁界成分の磁束密度は、水平磁界密度の磁束密度よりも常に大きい。
【0043】
図6では、リードスイッチ23が検出する合成磁界成分の磁束密度の特性を実線L6で示している。リードスイッチ23が検出する合成磁界成分の磁束密度は、
図5(a)に示す水平磁界成分の磁束密度と垂直磁界成分の磁束密度とを足し合わせたものである。
図6において実線L6で示すように、リードスイッチ23が検出する合成磁界成分の磁束密度は、永久磁石14の中心軸L3からの距離が大きくなるにつれて、徐々に大きくなっていき、その後、徐々に小さくなっていく。
【0044】
リードスイッチ23は、リードスイッチ23が検出する合成磁界成分の磁束密度が増大していき、予め定められた磁束密度の閾値であるオン閾値H1に達した場合にオン状態となる。また、リードスイッチ23は、リードスイッチ23が検出する合成磁界成分の磁束密度が減少していき、予め定められた磁束密度の閾値であるオフ閾値H2に達した場合にオフ状態となる。リードスイッチ23のオフ閾値H2はオン閾値H1よりも小さい。したがって、
図6に示すように、リードスイッチ23のオンオフ動作にはヒステリシスが生じる。
【0045】
図6では、MRセンサ24が検出する合成磁界成分の磁束密度の特性を破線L16で示している。MRセンサ24が検出する合成磁界成分の磁束密度は、
図5(a)に示す水平磁界成分の磁束密度から垂直磁界成分の磁束密度を差し引いたものである。
図6において破線L16で示すように、MRセンサ24が検出する合成磁界成分の磁束密度は、永久磁石14の中心軸L3からの距離が大きくなるにつれて、徐々に小さくなっていき、その後、零になる。
【0046】
MRセンサ24は、MRセンサ24が検出する合成磁界成分の磁束密度が増大していき、予め定められた磁束密度の閾値であるオン閾値H3に達した場合にオン状態となる。また、MRセンサ24は、MRセンサ24が検出する合成磁界成分の磁束密度が減少していき、予め定められた磁束密度の閾値であるオフ閾値H4に達した場合にオフ状態となる。MRセンサ24のオフ閾値H4はオン閾値H3よりも小さい。したがって、
図6に示すように、MRセンサ24のオンオフ動作にはヒステリシスが生じる。
【0047】
リードスイッチ23のオン閾値H1は、MRセンサ24のオン閾値H3よりも大きい。すなわち、リードスイッチ23は、MRセンサ24よりも磁界の検出感度が低い。したがって、リードスイッチ23及びMRセンサ24それぞれの磁界の検出感度は互いに異なっている。よって、本実施形態の流体圧シリンダ用位置検出装置20は、検出感度が低い磁気センサであるリードスイッチ23と、検出感度が高い磁気センサであるMRセンサ24と、を備えている。
【0048】
また、リードスイッチ23が検出する合成磁界成分の磁束密度がオン閾値H1となるときの永久磁石14の中心軸L3からの距離は、MRセンサ24が検出する合成磁界成分の磁束密度がオン閾値H3となるときの永久磁石14の中心軸L3からの距離よりも長い。したがって、リードスイッチ23は、ピストン12の移動方向における合成磁界成分の磁束密度の検出範囲が、MRセンサ24よりも広い特性を有している。したがって、例えば、永久磁石14の中心軸L3がリードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2に近づくようにピストン12が移動した場合では、リードスイッチ23は、MRセンサ24よりも先にオン状態となる。
【0049】
また、リードスイッチ23が検出する合成磁界成分の磁束密度がオフ閾値H2となるときの永久磁石14の中心軸L3からの距離は、MRセンサ24が検出する合成磁界成分の磁束密度がオフ閾値H4となるときの永久磁石14の中心軸L3からの距離よりも長い。したがって、例えば、永久磁石14の中心軸L3がリードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2から離れるようにピストン12が移動した場合では、MRセンサ24は、リードスイッチ23よりも先にオフ状態となる。
【0050】
永久磁石14の中心軸L3がリードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2に近づくようにピストン12が移動して、MRセンサ24よりも先にリードスイッチ23がオン状態となると、
図4に示すように、システム電源からの電力が、電源ライン33及びリードスイッチ23を通過してMRセンサ24の入力端子24aに供給される。したがって、検出感度が低い磁気センサであるリードスイッチ23がオン状態になることにより、検出感度が高い磁気センサであるMRセンサ24に電力が供給される。
【0051】
また、リードスイッチ23がオン状態となることで、排他的論理和ゲート30の第1入力端子30aにHレベルの信号が入力される。このとき、MRセンサ24は、まだオン状態にはなっていないため、排他的論理和ゲート30の第2入力端子30bにはLレベルの信号が入力されている。したがって、排他的論理和ゲート30の出力端子30cからはHレベルの信号が出力される。これにより、排他的論理和ゲート30の出力端子30cから第2スイッチング回路40の第1電流制限抵抗40bを介してNPN型トランジスタ40aに電力が供給されて、NPN型トランジスタ40aがオン状態となる。その結果、外部電源からの電力が、電源ライン33及びPNP型トランジスタ38を介して第1発光素子31に供給され、第1発光素子31が赤色の光を発光する。第2スイッチング回路40は、第1発光素子31に流れる電流を制限する。
【0052】
さらに、永久磁石14の中心軸L3がリードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2に近づくようにピストン12が移動すると、MRセンサ24がオン状態となる。すると、排他的論理和ゲート30の第2入力端子30bにHレベルの信号が入力され、排他的論理和ゲート30の出力端子30cからはLレベルの信号が出力される。これにより、排他的論理和ゲート30の出力端子30cから第2スイッチング回路40の第1電流制限抵抗40bを介してNPN型トランジスタ40aに電力が供給されなくなり、NPN型トランジスタ40aがオフ状態となる。その結果、外部電源からの電力が、電源ライン33及びPNP型トランジスタ38を介して第1発光素子31に供給されなくなり、第1発光素子31の赤色の光が消灯する。さらに、MRセンサ24の出力端子24bから第1スイッチング回路39の第1電流制限抵抗39bを介してNPN型トランジスタ39aに電力が供給されて、NPN型トランジスタ39aがオン状態となる。その結果、外部電源からの電力が、電源ライン33及びPNP型トランジスタ38を介して第2発光素子32に供給され、第2発光素子32が緑色の光を発光する。第1スイッチング回路39は、第2発光素子32に流れる電流を制限する。
【0053】
永久磁石14の中心軸L3がリードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2から離れるようにピストン12が移動すると、リードスイッチ23よりも先にMRセンサがオフ状態となる。これにより、MRセンサ24の出力端子24bから第1スイッチング回路39の第1電流制限抵抗39bを介してNPN型トランジスタ39aに電力が供給されなくなり、NPN型トランジスタ39aがオフ状態となる。その結果、システム電源からの電力が、電源ライン33及びPNP型トランジスタ38を介して第2発光素子32に供給されなくなり、第2発光素子32の緑色の光が消灯する。
【0054】
さらに、排他的論理和ゲート30の第2入力端子30bにLレベルの信号が入力されることにより、排他的論理和ゲート30の出力端子30cからはHレベルの信号が出力される。これにより、排他的論理和ゲート30の出力端子30cから第2スイッチング回路40の第1電流制限抵抗40bを介してNPN型トランジスタ40aに電力が供給されて、NPN型トランジスタ40aがオン状態となる。その結果、外部電源からの電力が、電源ライン33及びPNP型トランジスタ38を介して第1発光素子31に供給され、第1発光素子31の赤色の光が再び発光する。
【0055】
さらに、永久磁石14の中心軸L3がリードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2から離れるようにピストン12が移動すると、リードスイッチ23がオフ状態となる。これにより、外部電源からの電力が、電源ライン33及びリードスイッチ23を通過してMRセンサ24の入力端子24aに供給されなくなる。さらに、排他的論理和ゲート30の第1入力端子30aにLレベルの信号が入力され、排他的論理和ゲート30の出力端子30cからはLレベルの信号が出力される。これにより、排他的論理和ゲート30の出力端子30cから第2スイッチング回路40の第1電流制限抵抗40bを介してNPN型トランジスタ40aに電力が供給されなくなり、NPN型トランジスタ40aがオフ状態となる。その結果、外部電源からの電力が、電源ライン33及びPNP型トランジスタ38を介して第1発光素子31に供給されなくなり、第1発光素子31の赤色の光が消灯する。
【0056】
このように、第1発光素子31及び第2発光素子32が共に消灯している状態は、永久磁石14の中心軸L3が、リードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2に対して遠い状態である。また、第1発光素子31及び第2発光素子32が共に消灯している状態から第1発光素子31の赤色の光が発光された状態は、永久磁石14の中心軸L3が、リードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2に対して近づいている状態である。そして、第2発光素子32の緑色の光が発光された状態は、永久磁石14の中心軸L3が、リードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2に近い状態である。また、第2発光素子32の緑色の光が消灯して、第1発光素子31の赤色の光が発光された状態は、永久磁石14の中心軸L3が、リードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2に対して遠ざかっている状態である。このように、流体圧シリンダ用位置検出装置20では、ピストン12の移動に伴う第1発光素子31及び第2発光素子32の発光又は消灯を確認することにより、ピストン12のおおよその位置が把握可能になっている。
【0057】
ここで、クランプ装置が自動車部品をクランプした状態でピストン12の移動を停止させ、流体圧シリンダ用位置検出装置20を、第2発光素子32の緑色の光が発光する位置で取付溝11aに装着する。これによれば、把持装置の一対の把持爪が自動車部品を把持した状態のときに、リードスイッチ23の感度軸L1及びMRセンサ24の感度軸L2と永久磁石14の中心軸L3とが互いに近い状態となるように、流体圧シリンダ用位置検出装置20を取付溝11aに装着することが可能となる。
【0058】
その結果、把持装置の一対の把持爪が自動車部品を把持しているにもかかわらず、第2発光素子32の緑色の光が発光しなかったり、一対の把持爪が自動車部品をまだ把持していないにもかかわらず、第2発光素子32の緑色の光が発光してしまったりするといった不具合が起こり難くなる。外部制御機器は、第2発光素子32の緑色の光が発光している旨の情報を受信することにより、一対の把持爪によって自動車部品が把持されていることを把握するようになっている。
【0059】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ところで、一対の把持爪によって自動車部品が把持された状態で、例えば、自動車部品同士を溶接するために、スポット溶接が行われる場合がある。スポット溶接では、自動車部品同士の溶接箇所に大きな溶接電流が流れる。これにより磁界が発生して、溶接箇所の周囲の治工具が磁化することになる。ここで、流体圧シリンダ用位置検出装置20の周囲の治工具が磁化すると、流体圧シリンダ用位置検出装置20は、磁化した治工具による外部磁界の影響を受けることになる。
【0060】
リードスイッチ23のオン閾値H1が、MRセンサ24のオン閾値H3よりも大きく、リードスイッチ23は、MRセンサ24よりも磁界の検出感度が低い。したがって、流体圧シリンダ用位置検出装置20が、外部磁界の影響を受ける環境で使用されたとしても、リードスイッチ23は、MRセンサ24に比べると、外部磁界の影響を受け難いため、外部磁界によってリードスイッチ23がオン状態になり難い。その結果として、外部磁界によってリードスイッチ23がオン状態となってMRセンサ24に電力が供給され、MRセンサ24もオン状態となってしまうことが抑制され、第2発光素子32の緑色の光が発光し続けてしまうことが抑制されている。
【0061】
図7では、外部磁界による磁束密度とリードスイッチ23及びMRセンサ24のオンオフ動作との関係を示している。
図7に示すように、以下の説明では、外部磁界による磁束密度の大きさがオフ閾値H4未満である場合を区間Aとする。また、外部磁界による磁束密度の大きさがオフ閾値H4以上であって且つオン閾値H3未満である場合を区間Bとする。さらに、外部磁界による磁束密度の大きさがオン閾値H3以上であって且つオフ閾値H2未満である場合を区間Cとする。また、外部磁界による磁束密度の大きさがオフ閾値H2以上であって且つオン閾値H1未満である場合を区間Dとする。さらに、外部磁界による磁束密度の大きさがオン閾値H1以上である場合を区間Eとする。
【0062】
図8(a)では、区間Aの状態でピストン12が移動したときのリードスイッチ23のオンオフ動作と第1発光素子31及び第2発光素子32の発光パターンとの関係を示している。
図8(b)では、区間Bの状態でピストン12が移動したときのリードスイッチ23のオンオフ動作と第1発光素子31及び第2発光素子32の発光パターンとの関係を示している。
図8(c)では、区間Cの状態でピストン12が移動したときのリードスイッチ23のオンオフ動作と第1発光素子31及び第2発光素子32の発光パターンとの関係を示している。
図8(d)では、区間Dの状態でピストン12が移動したときのリードスイッチ23のオンオフ動作と第1発光素子31及び第2発光素子32の発光パターンとの関係を示している。
図8(e)では、区間Eの状態でピストン12が移動したときのリードスイッチ23のオンオフ動作と第1発光素子31及び第2発光素子32の発光パターンとの関係を示している。
【0063】
図7及び
図8(a)に示すように、例えば、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Aの状態でピストン12が移動したときには、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオン閾値H1及びオフ閾値H2よりも小さいため、外部磁界がリードスイッチ23のオンオフ動作に影響を及ぼすことは無い。また、外部磁界による磁束密度の大きさが、MRセンサ24のオン閾値H3及びオフ閾値H4よりも小さいため、外部磁界がMRセンサ24のオンオフ動作に影響を及ぼすことは無い。
【0064】
したがって、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Aの状態でピストン12が移動する場合では、第1発光素子31の赤色の光が発光した後、第1発光素子31の赤色の光が消灯して第2発光素子32の緑色の光が発光し、さらには、第2発光素子32の緑色の光が消灯して第1発光素子31の赤色の光が再度発光する。そして、ピストン12がさらに移動して、第1発光素子31の赤色の光が消灯する発光パターンとなる。したがって、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Aの状態でピストン12が移動する場合では、流体圧シリンダ用位置検出装置20が、外部磁界の影響を受けずに、ピストン12の移動に伴って正常動作を行っているときと同じ発光パターンとなる。
【0065】
図7及び
図8(b)に示すように、例えば、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Bの状態でピストン12が移動したときには、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオン閾値H1及びオフ閾値H2よりも小さいため、外部磁界がリードスイッチ23のオンオフ動作に影響を及ぼすことは無い。また、外部磁界による磁束密度の大きさが、MRセンサ24のオン閾値H3よりも小さいため、外部磁界がMRセンサ24のオン動作に影響を及ぼすことも無い。したがって、ピストン12が移動してリードスイッチ23がオン状態となると、第1発光素子31の赤色の光が発光し、ピストン12がさらに移動してMRセンサ24がオン状態となると、第1発光素子31の赤色の光が消灯するとともに第2発光素子32の緑色の光が発光する。
【0066】
一方、外部磁界による磁束密度の大きさが、MRセンサ24のオフ閾値H4よりも大きいため、MRセンサ24は、ピストン12の移動に伴って一旦オン状態となると、リードスイッチ23がオフ状態になるまでは、オフ状態に戻ることが無い。したがって、ピストン12の移動に伴ってリードスイッチ23がオフ状態となるまでは、第2発光素子32の緑色の光が発光し続けることになる。そして、ピストン12が移動して、リードスイッチ23がオフ状態となると、第2発光素子32の緑色の光が消灯する。したがって、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Bの状態でピストン12が移動する場合では、第2発光素子32の緑色の光が発光した後、第1発光素子31の赤色の光が再度発光することなく、第2発光素子32の緑色の光が消灯する発光パターンとなる。
【0067】
図7及び
図8(c)に示すように、例えば、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Cの状態でピストン12が移動したときには、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオン閾値H1及びオフ閾値H2よりも小さいため、外部磁界がリードスイッチ23のオンオフ動作に影響を及ぼすことは無い。一方、外部磁界による磁束密度の大きさが、MRセンサ24のオン閾値H3及びオフ閾値H4よりも大きいため、MRセンサ24は、リードスイッチ23がオン状態となってMRセンサ24に電力が供給されると同時にオン状態となる。したがって、ピストン12の移動に伴ってリードスイッチ23がオン状態となると同時にMRセンサ24のオン状態となるため、第1発光素子31の赤色の光が発光すること無く、第2発光素子32の緑色の光が発光する。
【0068】
そして、MRセンサ24は、ピストン12の移動に伴って一旦オン状態となると、リードスイッチ23がオフ状態になるまでは、オフ状態に戻ることが無い。したがって、ピストン12の移動に伴ってリードスイッチ23がオフ状態となるまでは、第2発光素子32の緑色の光が発光し続けることになる。そして、ピストン12が移動して、リードスイッチ23がオフ状態となると、第2発光素子32の緑色の光が消灯する。したがって、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Cの状態でピストン12が移動する場合では、第1発光素子31の赤色の光が発光すること無く、第2発光素子32の緑色の光が発光し、その後、第1発光素子31の赤色の光が再度発光することなく、第2発光素子32の緑色の光が消灯する発光パターンとなる。
【0069】
図7及び
図8(d)に示すように、例えば、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Dの状態でピストン12が移動したときには、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオン閾値H1よりも小さいため、外部磁界がリードスイッチ23のオン動作に影響を及ぼすことは無い。一方、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオフ閾値H2よりも大きいため、リードスイッチ23は、ピストン12の移動に伴って一旦オン状態となると、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオフ閾値H2よりも小さくなるまでは、オフ状態に戻ることが無い。
【0070】
さらに、外部磁界による磁束密度の大きさが、MRセンサ24のオン閾値H3及びオフ閾値H4よりも大きいため、MRセンサ24は、リードスイッチ23がオン状態となってMRセンサ24に電力が供給されると同時にオン状態となる。したがって、ピストン12の移動に伴ってリードスイッチ23がオン状態となると同時にMRセンサ24のオン状態となるため、第1発光素子31の赤色の光が発光すること無く、第2発光素子32の緑色の光が発光する。
【0071】
そして、MRセンサ24は、ピストン12の移動に伴って一旦オン状態となると、リードスイッチ23がオフ状態になるまでは、オフ状態に戻ることが無い。さらに、リードスイッチ23も、ピストン12の移動に伴って一旦オン状態となると、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオフ閾値H2よりも小さくなるまでは、オフ状態とならないため、第2発光素子32の緑色の光が発光し続けることになる。したがって、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Dの状態でピストン12が移動する場合では、第1発光素子31の赤色の光が発光すること無く、第2発光素子32の緑色の光が発光し、その後、第2発光素子32の緑色の光が発光し続ける発光パターンとなる。
【0072】
図7及び
図8(e)に示すように、例えば、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Eの状態でピストン12が移動したときには、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオン閾値H1及びオフ閾値H2よりも大きいため、リードスイッチ23は、ピストン12の移動に関係無くオン状態となる。そして、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオフ閾値H2よりも小さくなるまでは、リードスイッチ23がオフ状態に戻ることは無い。
【0073】
さらに、外部磁界による磁束密度の大きさが、MRセンサ24のオン閾値H3及びオフ閾値H4よりも大きいため、MRセンサ24は、リードスイッチ23がオン状態となってMRセンサ24に電力が供給されると同時にオン状態となる。したがって、リードスイッチ23がオン状態となると同時にMRセンサ24のオン状態となるため、第1発光素子31の赤色の光が発光すること無く、第2発光素子32の緑色の光が発光する。
【0074】
そして、MRセンサ24は、リードスイッチ23がオフ状態になるまでは、オフ状態に戻ることが無い。さらに、リードスイッチ23も、外部磁界による磁束密度の大きさが、リードスイッチ23のオフ閾値H2よりも小さくなるまでは、オフ状態とならないため、第2発光素子32の緑色の光が発光し続けることになる。したがって、外部磁界による磁束密度の大きさが区間Eの状態でピストン12が移動する場合では、ピストン12の移動に関係無く、常に第2発光素子32の緑色の光が発光し続ける発光パターンとなる。
【0075】
このように、本実施形態の流体圧シリンダ用位置検出装置20では、リードスイッチ23の検出感度とMRセンサ24の検出感度との差、及びリードスイッチ23及びMRセンサ24のオンオフ動作のヒステリシスに基づいて、第1発光素子31及び第2発光素子32の発光パターンが区分されている。そして、この区分された発光パターンを確認することによって、外部磁界による磁束密度の大きさがどの程度かを把握することが可能になっている。
【0076】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)リードスイッチ23及びMRセンサ24それぞれの磁界の検出感度は互いに異なっており、検出感度が低い磁気センサであるリードスイッチ23がオン状態になることにより、検出感度が高い磁気センサであるMRセンサ24に電力が供給される。これによれば、流体圧シリンダ用位置検出装置20が、外部磁界の影響を受ける環境で使用されたとしても、リードスイッチ23は、MRセンサ24に比べると、外部磁界の影響を受け難いため、外部磁界によってリードスイッチ23がオン状態となり難い。その結果として、外部磁界によってリードスイッチ23がオン状態となってMRセンサ24に電力が供給され、MRセンサ24もオン状態となってしまうことを抑制することができる。したがって、外部磁界の影響を受けてしまうことを抑制するために、従来技術のような二重構造のシールドケースを設ける必要が無く、流体圧シリンダ用位置検出装置20の小型化を図りつつも、外部磁界によってリードスイッチ23及びMRセンサ24がオン状態になってしまうことを抑制することができる。
【0077】
(2)流体圧シリンダ用位置検出装置20は、検出感度が低い磁気センサとしてリードスイッチ23を用いるとともに、検出感度が高い磁気センサとしてMRセンサ24を用いた。リードスイッチ23は、検出感度が低い磁気センサとして好適であるとともに、MRセンサ24は、検出感度が高い磁気センサとして好適である。
【0078】
(3)流体圧シリンダ用位置検出装置20は、第1発光素子31及び第2発光素子32を備えている。本実施形態の流体圧シリンダ用位置検出装置20では、ピストン12の移動に伴う第1発光素子31及び第2発光素子32の発光又は消灯を確認することにより、ピストン12のおおよその位置を把握できる。
【0079】
(4)流体圧シリンダ用位置検出装置20では、リードスイッチ23の検出感度とMRセンサ24の検出感度との差、及びリードスイッチ23及びMRセンサ24のオンオフ動作のヒステリシスに基づいて、第1発光素子31及び第2発光素子32の発光パターンが区分されている。これによれば、この区分された発光パターンを確認することによって、外部磁界による磁束密度の大きさがどの程度かを把握することができる。
【0080】
本実施形態では、検出感度が低く検出幅の広い磁気センサであるリードスイッチ23と、検出感度が高く検出幅が狭い磁気センサであるMRセンサ24との関係を得るため、永久磁石14の磁界分布に対して磁気センサの種類により磁界のベクトル成分への反応の仕方に着目して達成している。同じ永久磁石14の同じ検出位置であっても、上記の関係を得ることで、永久磁石14の中心と両サイドとの3つの領域として検出及び出力を得ている。リードスイッチ23の切換出力によりMRセンサ24への電源ラインへの接続切換することで、外部磁界があっても、感度の低いリードスイッチ23の感度以下であれば、感度の高いMRセンサ24が外部磁界によって動作しない構成とした。このような構成とすることで、リードスイッチ23及びMRセンサ24それぞれの出力状態から、リードスイッチ23及びMRセンサ24のヒステリシス特性を含めて、外部磁界の強さを5つの区分で検出できる。
【0081】
(5)電源ライン33には、リードスイッチ23に一定の電圧を印加するための定電圧回路36が設けられている。これによれば、リードスイッチ23の耐久性を向上させることができる。
【0082】
(6)電源ライン33は、第1接続端子33aと、第2接続端子33bと、四つのダイオード34a,34b,34c,34dをブリッジ接続して構成されるとともに第1接続端子33a又は第2接続端子33bから流れる電流をリードスイッチ23の入力端子23aに流す整流ブリッジ回路34と、を有している。これによれば、第1接続端子33a及び第2接続端子33bそれぞれに接続される外部電源の正極端子及び負極端子それぞれの接続の自由度を向上させることができる。
【0083】
(7)リードスイッチ23及びMRセンサ24は、リードスイッチ23の感度軸L1とMRセンサ24の感度軸L2とが一致するように基板22上に配置されている。これによれば、リードスイッチ23及びMRセンサ24における基板22に対する配置の制約を抑え、大型化を抑えることができる。
【0084】
(8)本実施形態の流体圧シリンダ用位置検出装置20によれば、第1発光素子31及び第2発光素子32の発光パターンにより、外部磁界による磁束密度の大きさを判定して、予防保全を行うことができる。
【0085】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0086】
・ 実施形態において、流体圧シリンダ用位置検出装置20は、第1発光素子31及び第2発光素子32を備えていない構成であってもよい。この場合であっても、例えば、外部制御機器は、MRセンサ24がオン状態となった旨の情報を受信することにより、一対の把持爪によって自動車部品が把持されていることを把握するようになっていればよい。
【0087】
・ 実施形態において、第1発光素子31及び第2発光素子32がそれぞれ発光する光の色は、特に限定されるものではない。
・ 実施形態において、電源ライン33に定電圧回路36が設けられていなくてもよい。
【0088】
・ 実施形態において、例えば、MRセンサ24の出力端子24bと第2発光素子32との間に、第1スイッチング回路39が設けられていなくてもよい。
・ 実施形態において、例えば、排他的論理和ゲート30の出力端子30cと第1発光素子31との間に、第2スイッチング回路40が設けられていなくてもよい。要は、排他的論理和ゲート30の出力端子30cと第1発光素子31との間、及びMRセンサ24の出力端子24bと第2発光素子32との間の少なくとも一方に、定電流回路が設けられていればよい。
【0089】
・ 実施形態において、MRセンサ24の出力端子24bと第2発光素子32との間に、第1スイッチング回路39が設けられておらず、さらには、排他的論理和ゲート30の出力端子30cと第1発光素子31との間に、第2スイッチング回路40が設けられていなくてもよい。
【0090】
・ 実施形態において、電源ライン33が、整流ブリッジ回路34を有していない構成であってもよい。
・ 実施形態において、リードスイッチ23及びMRセンサ24は、リードスイッチ23の感度軸L1とMRセンサ24の感度軸L2とがピストン12の移動方向で互いにずれた状態で基板22上に配置されていてもよい。
【0091】
・ 実施形態において、複数の磁気センサの少なくとも二つが、磁界の検出感度が互いに異なっており、検出感度が低い磁気センサがオン状態になることにより、検出感度が高い磁気センサに電力が供給される構成であれば、磁気センサの数が3つ以上であってもよい。
【0092】
・ 実施形態において、MRセンサ24に代えて、例えば、ホール素子を磁気センサとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10…流体圧シリンダ、12…ピストン、14…永久磁石、20…流体圧シリンダ用位置検出装置、22…基板、23…磁気センサとしてのリードスイッチ、23a…入力端子、23b…出力端子、24…磁気センサとしてのMRセンサ、24a…入力端子、24b…出力端子、30…排他的論理和ゲート、30a…第1入力端子、30b…第2入力端子、30c…出力端子、31…第1発光素子、32…第2発光素子、33…電源ライン、33a…第1接続端子、33b…第2接続端子、34…整流ブリッジ回路、34a,34b,34c,34d…ダイオード、36…定電圧回路。